特許第5896229号(P5896229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896229
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20160317BHJP
   H01R 12/79 20110101ALI20160317BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R12/79
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-113451(P2012-113451)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-239410(P2013-239410A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】福地 和紀
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3789345(US,A)
【文献】 特開2010−225448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 12/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材差込み部が設けられたハウジングと、
該ハウジングに配列配置されて設けられ、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、該配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングに対して移動可能に配され、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれる上記配線板状部材と共に該配線板状部材の上記ハウジングへの差込み方向に沿って移動して該配線板状部材との係合連結状態をとる可動係合部材と、
上記ハウジングに回動変位可能に配され、上記配線板状部材との係合連結状態におかれた上記可動係合部材に対する係合係止を行う係止位置と上記可動係合部材に対する係合係止を解除する係止解除位置とを選択的にとり、上記係止位置をとるとき、上記配線板状部材に上記複数のコンタクトが上記複数の接触端子部に接触接続された状態を維持させ、上記係止解除位置をとるとき、上記可動係合部材を上記配線板状部材と共に該配線板状部材の上記ハウジングからの抜出し方向に沿って移動して該配線板状部材との係合連結状態を解除し得るものとなす係止部材と、
を備えて構成されるコネクタ装置。
【請求項2】
上記ハウジングが、上記可動係合部材の上記配線板状部材の上記ハウジングへの差込み方向に沿った移動及び上記配線板状部材の上記ハウジングからの抜出し方向に沿った移動を規制して上記可動係合部材の移動範囲を定める移動規制部が設けられたものとされることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記可動係合部材が、上記ハウジング内に移動可能に配された本体部と、該本体部に設けられ、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた上記配線板状部材が当接する板状部材受部と、該板状部材受部に当接した上記配線板状部材に対する係止を行う状態と該係止を解除する状態とを選択的にとる可動係止部と、上記係止部材による係合係止を受ける係合受部と、を有していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記可動係止部が、上記本体部から伸びる可動腕状部分と該可動腕状部分に設けられて上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた上記配線板状部材に係合する状態をとる係合突起部分とを有し、上記可動腕状部分が上記ハウジングの一部に係合して上記係合突起部分を伴って揺動変位することを特徴とする請求項3記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記可動係合部材が上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれる上記配線板状部材と共に該配線板状部材の上記ハウジングへの差込み方向に沿って移動するとき、上記可動腕状部分が上記ハウジングの一部に係合して上記係合突起部分を伴って揺動変位し、上記係合突起部分に上記配線板状部材との係合状態をとらせるものとされることを特徴とする請求項4記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記係止部材が、該係止部材に上記ハウジングに対する回動変位を生じさせる操作が加えられる操作部と、上記可動係合部材に設けられた係合受部に係合して上記可動係合部材を係止する状態をとる係合部とを有しており、該係合部が上記可動係合部材に設けられた係合受部に係合したもとで上記操作部に上記操作が加えられたとき、上記係合部が上記可動係合部材に設けられた係合受部との係合を解除するものとされることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項7】
上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部の夫々に、上記可動係合部材と上記係止部材との組が設けられることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと、装着された配線板状部材に係合してその配線板状部材に対する係止を行う状態と配線板状部材に対する係止を解除する状態とを選択的にとる係合係止手段と、を備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、種々の電気部品が取り付けられる主配線基板との連結が、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板との連結にあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板との連結に用いられる種々のコネクタ装置は、通常、配線板状部材が差し込まれる差込み部を形成するものとされて主配線基板に配される、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有している。そして、斯かるコネクタ装置は、そのハウジング内に配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトを備えており、さらには、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータを備えたものとされることも少なくない。
【0004】
従来のコネクタ装置に備えられるアクチュエータは、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるもの、または、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に当接し、回動せしめられるとき、配線板状部材を押圧して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトに夫々接触接続された状態におく、もしくは、配線板状部材に対する押圧を解除して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトとの接触接続から解放された状態におくものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれる。
【0005】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもとにおいて、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0006】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合してそれを係止し、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係合係止手段を備えたものが従来提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0007】
特許文献1に示されるコネクタ装置(回路基板用電気コネクタ)にあっては、ハウジング(40)における複数のコンタクト(端子(10;20))の配列方向の両端部に一対の金属部材 (ロック金具(30)) が夫々取り付けられており、各金属部材には、ハウジングに差込み部(受入空間(挿入溝)(45))を通じて差し込まれた配線板状部材(平型導体(F))における係合部(被係止部(F2)) に係合して配線板状部材を係止する状態をとる係合係止手段(上腕部(31)及びロック部(35)) が形成されている。また、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータ(可動部材(60)) が、金属部材に係合するものとされている。
【0008】
そして、配線板状部材がハウジングに差し込まれたもとで、アクチュエータがハウジングに対して起き上がった位置からハウジングに対して伏した位置へと回動せしめられたとき、アクチュエータに設けられたカム部(65)の作用によって、金属部材に形成された係合係止手段が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に向けて変位せしめられ、その配線板状部材における係合部に係合する状態をとる。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、係合係止手段によって係止され、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止されるものとされる。
【0009】
その後、アクチュエータが、ハウジングに対して伏した位置からハウジングに対して起き上がった位置へと回動されるときには、アクチュエータに設けられたカム部の作用によって、金属部材に形成された係合係止手段が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材から離脱する方向に変位せしめられ、配線板状部材との係合を解除する。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、係合係止手段により係止された状態から解放され、ハウジングから抜脱され得る状態におかれる。
【0010】
また、特許文献2にも、上述の特許文献1に示されるものと同様な、ハウジング(40), 複数のコンタクト(端子(10;20)),アクチュエータ(可動部材(60)) 、及び、配線板状部材(平型導体(F)) に対する係合係止手段(上腕部(31)及びロック部(35)) が形成され金属部材 (ロック金具(30)) を備えたコネクタ装置(回路基板用電気コネクタ)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−181206号公報(段落0033,0049〜0054,図3,8,9,12)
【特許文献2】特開2011−181207号公報(段落0028,0044〜0049,図3,8,9,12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係合係止手段を備えた、配線板状部材の主配線基板との連結に用いられるコネクタ装置として従来提案されているものにあっては、係合係止手段によるハウジングに差し込まれた配線板状部材に対する係止状態が、ハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータの回動操作に連動してとられることになり、斯かるアクチュエータの回動操作は、配線板状部材がハウジングに差し込まれた後に行われるものとされる。従って、ハウジングに差し込まれた配線板状部材を、係合係止手段によって係止されて、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態のもとにおくにあたっては、先ず、配線板状部材をハウジングに差し込み、次に、ハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを回動させる、という二段階の操作が必要とされることになる。
【0013】
このような二段階の操作が必要とされるということは、コネクタ装置の主配線基板への実装状態や主配線基板におけるコネクタ装置の周囲の電子部品の実装状態等によっては、作業性が良くない煩わしい操作を行わなければならないという不都合がもたらされ、さらには、それゆえ二段階の操作が不確実なものとなってしまう虞もある。
【0014】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板との連結に用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと配線板状部材に対する係止及び係止解除を行う係合係止手段とを備えたコネクタ装置であって、係合係止手段によりハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態を、先ず配線板状部材をハウジングに差し込み、次にハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを回動させるという二段階の操作を必要とすることなく、配線板状部材をハウジングに差し込むだけの操作をもって、確実に得ることができ、さらには、係合係止手段に簡単で容易な操作を加えることにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材をハウジングから適正に抜脱され得る状態におくことが可能とされるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項7までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられ、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、その配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングに対して移動可能に配され、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる配線板状部材と共に配線板状部材のハウジングへの差込み方向に沿って移動してその配線板状部材との係合連結状態をとる可動係合部材と、ハウジングに回動変位可能に配され、配線板状部材との係合連結状態におかれた可動係合部材に対する係合係止を行う係止位置と可動係合部材に対する係合係止を解除する係止解除位置とを選択的にとる係止部材と、を備えて構成される。そして、係止部材は、係止位置をとるとき、配線板状部材に複数のコンタクトが複数の接触端子部に接触接続された状態を維持させ、係止解除位置をとるとき、可動係合部材を配線板状部材と共に配線板状部材のハウジングからの抜出し方向に沿って移動してその配線板状部材との係合連結状態を解除し得るものとなすものとされる。斯かるもとで、可動係合部材と係止部材とは、配線板状部材に対する係合係止手段を形成している。
【0016】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係止部材が、当該係止部材にハウジングに対する回動変位を生じさせる操作が加えられる操作部と、可動係合部材に設けられた係合受部に係合して可動係合部材を係止する状態をとる係合部とを有しており、係合部が可動係合部材に設けられた係合受部に係合したもとで操作部に上述の操作が加えられたとき、係合部が可動係合部材に設けられた係合受部との係合を解除するものとされる。
【0017】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材がハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続され、それに加えて、ハウジングに対して移動可能に配された可動係合部材が配線板状部材と共に配線板状部材のハウジングへの差込み方向に沿って移動して配線板状部材との係合連結状態をとるとともに、ハウジングに回動変位可能に配された係止部材が、配線板状部材との係合連結状態におかれた可動係合部材に対する係合係止を行う係止位置をとる。それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、係合係止手段を形成する可動係合部材と係止部材とによって係止され、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。
【0018】
また、配線板状部材が係合係止手段を形成する可動係合部材と係止部材とによって係止されたもとで、係止部材が可動係合部材に対する係合係止を解除する係止解除状態をとり、それにより、可動係合部材が配線板状部材と共に配線板状部材のハウジングからの抜出し方向に沿って移動して配線板状部材との係合連結状態を解除し得るものとされる。その結果、配線板状部材が、可動係合部材と係止部材とによる係止から解放されて、ハウジングから適正に抜脱され得る状態におかれる。
【0019】
斯かるもとで、係止部材は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、係止部材にハウジングに対する回動変位を生じさせる操作が加えられる操作部と、可動係合部材に設けられた係合受部に係合して可動係合部材を係止する状態をとる係合部とを有したものとされる。そして、係合部が可動係合部材に設けられた係合受部に係合したもとで操作部に上述の操作が加えられたとき、係合部が可動係合部材に設けられた係合受部との係合を解除する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るコネクタ装置によれば、上述のように、ハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、係合係止手段を形成する可動係合部材と係止部材とによって係止され、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態を、例えば、先ず配線板状部材をハウジングに差し込み、次にハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを回動させるというような二段階の操作を必要とすることなく、配線板状部材をハウジングに差し込むだけの操作をもって、確実に得ることができる。その際、可動係合部材が、ハウジングに差し込まれる配線板状部材と共に配線板状部材のハウジングへの差込み方向に沿って移動して配線板状部材との係合連結状態を自動的にとるとともに、係止部材が、ハウジングに対して回動変位して、配線板状部材との係合連結状態におかれた可動係合部材に対する係合係止を行う係止位置を自動的にとるので、可動係合部材と係止部材とによる配線板状部材に対する係止が、極めて容易かつ円滑に行われる。
【0021】
また、係合係止手段を形成する可動係合部材と係止部材とによる配線板状部材に対する係止を解除して、配線板状部材をハウジングから抜脱され得るものとするにあたっては、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、係止部材にハウジングに対する回動変位を生じさせる操作を加えるだけで、係止部材に可動係合部材との係合係止を解除させて、可動係合部材を配線板状部材と共に配線板状部材のハウジングからの抜出し方向に沿って移動して配線板状部材との係合連結状態を解除するものとなすことができる。従って、係合係止手段に簡単で容易な操作を加えることにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材をハウジングから適正に抜脱され得る状態におくことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す斜視図である。
図2】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す平面図である。
図3】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す平面図である。
図4】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す正面図である。
図5】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す底面図である。
図6】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す背面図である。
図7】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す側面図である。
図8図4におけるVIII−VIII線断面を示す断面図である。
図9】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える可動係合部材を単体で示す斜視図である。
図10】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係止部材を単体で示す斜視図である。
図11】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係止部材を単体で示す斜視図である。
図12】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれる直前の状態を示す断面図である。
図13】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれ、本発明に係るコネクタ装置の一例が備える可動係合部材がフレキシブル印刷配線基板との係合連結状態をとった状態を示す断面図である。
図14】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングへのフレキシブル印刷配線基板の差込みが完了し、本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係止部材が可動係合部材を係止した状態を示す断面図である。
図15】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれ、本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるコンタクトがフレキシブル印刷配線基板における接触端子部に接触接続された状態を示す断面図である。
図16】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係止部材が可動係合部材に対する係止を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0024】
図1(斜視図)及び図2(平面図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示し、図3(平面図),図4(正面図),図5(底面図),図6(背面図)及び図7(側面図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例を示す。
【0025】
図1図7において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11には、その正面側端面部11aに板状部材差込み部12が設けられており、板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと板状部材収容空間が伸びている。
【0026】
ハウジング11は、例えば、図示されていない主配線基板に配され、それにより、コネクタ装置10の全体が主配線基板に取り付けられたものとされる。その際、ハウジング11における正面側端面部11aとそれに対向する背面側端面部11bとに挟まれた一対の対向平板状部のうちの一方が主配線基板に対接する平板状部とされて他方がそれに対向する平板状部とされる。以下においては、主配線基板に対接するハウジングの一平板状部を下方平板状部11cといい、それに対向するハウジングの他平板状部を上方平板状部11dという。そして、正面側端面部11aに設けられた板状部材差込み部12を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板13が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング11に差し込まれる。
【0027】
ハウジング11には、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト14が、ハウジング11の長手方向(以下、ハウジング長手方向という。)に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト14は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13に配列配置された複数の接触端子部15に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、他のフレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして用いられてもよい。
【0028】
図2図7, 図4におけるVIII−VIII線断面をあらわす図8、及び、後述される図15に示されるように、複数のコンタクト14の夫々は、ハウジング11の背面側端面部11b側においてハウジング11に固定される固定部16と、固定部16からハウジング11の内部へとハウジング11の正面側端面部11aに向かって対を成して伸びる下方ビーム部17及び上方ビーム部18と、固定部16からハウジング11の背面側端面部11bの外部へと伸びる接続端子部19とを有している。
【0029】
図8に示されるように、コンタクト14の下方ビーム部17は、ハウジング11における下方平板状部11cの内面側部分にハウジング長手方向に配列配置されて形成された複数の溝20のうちの1つに配されている。複数の溝20は、夫々がハウジング11における正面側端面部11a及び背面側端面部11bの両者に直交する方向、即ち、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差し込み方向及びフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に沿って伸びるものとされた平行溝を成している。コンタクト14の上方ビーム部18は、その先端部分に接点部18aが形成されたものとされている。コンタクト14の接続端子部19は、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に、例えば、半田付けにより接続される。そして、複数のコンタクト14は、例えば、ハウジング11の背面側端面部11b側から板状部材差込み部12に向けてハウジング11の内部へと押圧挿入される。
【0030】
このようなもとで、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるフレキシブル印刷配線基板13は、それにおける複数の接触端子部15がハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14に夫々対応する位置をとる状態におかれる。そして、複数のコンタクト14の夫々における上方ビーム部18の先端部分に形成された接点部18aが、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15のうちの対応するものに接触接続される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に連結される。
【0031】
また、コネクタ装置10は、各々がハウジング11に対して移動可能に配され、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたとき、そのフレキシブル印刷配線基板13と共にフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込み方向に沿って移動してフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態をとるものとされる一対の可動係合部材21を備えている。斯かる一対の可動係合部材21は、ハウジング11における配列配置された複数のコンタクト14を挟むハウジング長手方向の両端部に夫々設けられている。
【0032】
さらに、コネクタ装置10は、各々がハウジング11に回動変位可能に配され、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21に対する係合係止を行う係止位置と可動係合部材21に対する係合係止を解除する係止解除位置とを選択的にとるものとされる、一対の係止部材22を備えている。斯かる一対の係止部材22も、ハウジング11における配列配置された複数のコンタクト14を挟むハウジング長手方向の両端部に夫々設けられており、ハウジング11におけるハウジング長手方向の両端部のうちの一方に設けられた一対の可動係合部材21のうちの一方と一対の係止部材22のうちの一方とが組を成し、また、ハウジング11におけるハウジング長手方向の両端部のうちの他方に設けられた一対の可動係合部材21のうちの他方と一対の係止部材22のうちの他方とが別の組を成している。
【0033】
一対の可動係合部材21の夫々とそれに対応する一対の係止部材22の夫々とは、フィレキシブル印刷配線基板に対する係合係止手段を形成している。
【0034】
一対の可動係合部材21の夫々は、図9に示されるように、ハウジング11内に移動可能に配される本体部23と、その本体部23に設けられて、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13がそれに当接する板状部材受部24と、板状部材受部24に当接したフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う状態とその係止を解除する状態とを選択的にとる可動係止部25と、係止部材22による係合係止を受ける係合受部26とを有している。
【0035】
可動係合部材21における可動係止部25は、本体部23から伸びる可動腕状部分27と、可動腕状部分27に設けられてフレキシブル印刷配線基板13に係合する状態をとる係合突起部分28とを有しており、可動腕状部分27をハウジング11の上方平板状部11dに形成された切欠き部29を通じてハウジング11の外部に臨ませる状態をとる。係合突起部分28は、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に設けられた一対の切欠き係合部30のうちの1つに係合する状態をとり、係合突起部分28がフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部30に係合するとき、可動係合部材21における可動係止部25がフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を行う状態におかれる。また、可動係合部材21における係合受部26は、その背面側端部に係止部材22に当接係合する状態をとる傾斜面26aが形成されたものとされている。
【0036】
図8に示されるように、一対の可動係合部材21の夫々における本体部23は、ハウジング11における下方平板状部11cの内面側部分にハウジング11における正面側端面部11a及び背面側端面部11bの両者に直交する方向、即ち、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差し込み方向及びフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に伸びるものとして形成された溝31に配されていて、溝31に案内されて移動し得るものとされている。それにより、可動係合部材21が、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差し込み方向に沿った移動及びフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に沿った移動を行うことができることになる。
【0037】
ハウジング11の下方平板状部11cにおける溝31の両端部を夫々形成する部分は、溝31に配された可動係合部材21の本体部23のフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差し込み方向に沿った移動を規制する移動規制部32及び溝31に配された可動係合部材21の本体部23のフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に沿った移動を規制する移動規制部33を形成している。それにより、溝31に配された可動係合部材21の本体部23は、移動規制部32と移動規制部33との間を溝31に案内されて移動し得るものとされている。これら移動規制部32及び33は、溝31に配された本体部23を有した可動係合部材21の、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差し込み方向に沿った移動及びフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に沿った移動を規制して、可動係合部材21の移動範囲を定めていることになる。
【0038】
一対の係止部材22の夫々は、ハウジング11の背面側端面部11b及び上方平板状部11dの両方に亙って形成された切欠き部35内に配されたものとされている。そして、一対の係止部材22の夫々は、図10及び図11に示されるように、係止部材22にハウジング11に対する回動変位を生じさせる操作が加えられる平板状部を成す操作部36と、可動係合部材21に設けられた係合受け部26に係合して可動係合部材21を係止する状態をとる係合部37とを有している。係合部37には、可動係合部材21における係合受部26に形成された傾斜面26aが係合当接する状態をとる傾斜面37aが形成されている。
【0039】
各係止部材22の操作部36には、ハウジング11における切欠き部35に設けられた一対の軸受孔に夫々挿入される一対の回動軸38が、ハウジング長手方向に沿うことになる方向に突出するものとして設けられている。それにより、ハウジング11の上方平板状部11dに形成された切欠き部35内において、ハウジング11に回動変位可能に配された係止部材22は、操作部36に係止部材22にハウジング11に対する回動変位を生じさせる操作が加えられたときには、操作部36に設けられてハウジング11における切欠き部35に設けられた一対の軸受孔に夫々挿入される一対の回動軸38を回動中心として、ハウジング長手方向に直交する方向に回動せしめられて、係止位置と係止解除位置とを選択的にとる。
【0040】
また、各係止部材22の係合部37は、係止部材22が係止位置をとるとき、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21の係合受部26に係合して当該可動係合部材21を係止し、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に、それに配列配置された複数の接触端子部15にハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14が接触接続された状態を維持させ、また、係止部材22が係止解除位置をとるとき、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21の係合受部26との係合を解除して、可動係合部材21を、フレキシブル印刷配線基板13と共にそのハウジング11からの抜出し方向に沿って移動してフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態を解除し得るものとなす。
【0041】
このようなもとで、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるにあたっては、先ず、図1図2及び図12に示されるように、フレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が配列配置された端子配列部分40の先端縁部が、ハウジング11の正面側端面部11aに設けられた板状部材差込み部12に対向する位置に配される。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、その端子配列部分40に配された複数の接触端子部15がコネクタ装置10のハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14に夫々対応する位置をとる状態におかれる。
【0042】
このとき、コネクタ装置10のハウジング11内における一対の可動係合部材21の夫々は、一対の可動係合部材21のうちの一方を示す図12に示されるように、ハウジング11の下方平板状部11cの内面側部分に形成された溝31に配された本体部23が、その正面側端部を移動規制部33に当接させて位置規制され、また、可動係止部25が有する可動腕状部分27及び係合突起部分28が、ハウジング11の上方平板状部11dに形成された切欠き部29内に位置するものとされている。
【0043】
その後、フレキシブル印刷配線基板13は、コネクタ装置10のハウジング11に、その正面側端面部11aに設けられた板状部材差込み部12を通じて差し込まれる。その際には、フレキシブル印刷配線基板13における端子配列部分40の先端縁部が、ハウジング11内の可動係合部材21における板状部材受部24に当接係合し、それにより、可動係合部材21がハウジング11に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板13と共にフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に沿って移動する。斯かる可動係合部材21の移動に伴い、可動係合部材21における可動係止部25が有する可動腕状部分27が、ハウジング11における上方平板状部11dの内面側部分に当接し、係合突起部分28と共に可動係合部材21における本体部23に近接する方向に揺動変位する。それにより、図13に示されるように、可動係合部材21における可動係止部25が有する係合突起部分28が、端子配列部分40の先端縁部を可動係合部材21における板状部材受部24に当接係合させたフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部30に係合する。
【0044】
また、斯かる際、図13に示されるように、可動係合部材21における係合受部26に形成された傾斜面26aが、係止部材21における係合部37に形成された傾斜面37aに係合当接し、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込みに伴って傾斜面37aが設けられた係止部材21の係合部37をフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に押圧する。それにより、係止部21が、操作部36に設けられてハウジング11における切欠き部35に設けられた一対の軸受孔に夫々挿入される一対の回動軸38を回動中心として、係合部37をハウジング11の下方平板状部11cから離隔させる方向に移動させるように回動せしめられる。
【0045】
続いて、可動係合部材21がハウジング11に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板13と共にフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に沿ってさらに移動し、その後、図14に示されるように、可動係合部材21の本体部23が、その背面側端部をハウジング11における移動規制部32に当接させて位置規制される状態におかれる。このように、可動係合部材21の本体部23が移動規制部32によって位置規制される状態がとられるとき、端子配列部分40の先端縁部を可動係合部材21における板状部材受部24に当接係合させたフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込みが完了し、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に対する予め定められた差込み位置をとるものとされる。
【0046】
このとき、係止部材22における係合部37は、それに設けられた傾斜面37aに可動係合部材21における係合受部26に形成された傾斜面26aが当接係合した状態から、係合受部26が係合部37を通り過ぎた状態に移行して、可動係合部材21における係合受部26に係合する。それにより、係止部材22が、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21に対する係合係止を行う係止位置をとるものとされ、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、可動係合部材21と係止部材22とによって、ハウジング11に対する予め定められた差込み位置を維持すべく係止された状態におかれる。
【0047】
このようにして、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に対する予め定められた差込み位置を維持すべく係止されたもとにおいては、図15に示されるように、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14の夫々が、それにおける上方ビーム部18の先端部分に形成された接点部18aが、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15のうちの対応するものに接触接続された状態におかれ、その状態が安定に維持される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における接触端子部15が、コンタクト14を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に確実かつ安定に連結されることになる。
【0048】
その後、図16に示されるように、フレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21に対する係合係止を行う係止位置をとるものとされた係止部材22における操作部36の背面側端部に、例えば、ハウジング11における上方平板状部11dから下方平板状部11cに向かう方向の押圧操作が加えられると、係止部材22が、操作部36に設けられてハウジング11における切欠き部35に設けられた一対の軸受孔に夫々挿入される一対の回動軸38を回動中心として、係合部37をハウジング11の下方平板状部11cから離隔させる方向に移動させるように回動せしめられる。それにより、係止部材22における係合部37が可動係合部材21における係合受部26との係合を解除し、係止部材22が、フレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21に対する係合係止を解除する係止解除位置をとるものとされる。その結果、可動係合部材21を、フレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態を解除し得る状態におき、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13を、ハウジング11から適正に抜脱され得る状態におくことができることになる。
【0049】
可動係合部材21がフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態を解除する際には、当該可動係合部材21が、フレキシブル印刷配線基板13と共にフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に沿って移動せしめられる。それにより、可動係合部材21における可動係止部25が有する可動腕状部分27が、ハウジング11における上方平板状部11dの内面側部分に当接しなくなって、ハウジング11における上方平板状部11dに形成された切欠き部29内を、係合突起部分28と共に可動係合部材21における本体部23から離隔する方向に揺動変位し、係合突起部分28がフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部30との係合を解除するものとされる。
【0050】
なお、上述の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板13が一対の切欠き係合部30が設けられたものとされているが、フレキシブル印刷配線基板13は、一対の切欠き係合部30に代えて、各々に可動係合部材21における可動係止部25が有する係合突起部分28が係合する状態がとられる一対の係合孔が設けられたものとされてもよく、斯かる場合にも、上述と同様にして、可動係合部材21と係止部材22とによるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除が行われる。
【0051】
上述のようなコネクタ装置10によれば、ハウジング11にそれに設けられた板状部材差込み部12を通じて差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、係合係止手段を形成する可動係合部材21と係止部材22とによって係止され、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態を、例えば、先ずフレキシブル印刷配線基板をハウジングに差し込み、次にハウジングに対して回動可能とされたアクチュエータを回動させるというような二段階の操作を必要とすることなく、フレキシブル印刷配線基板13をハウジング11に差し込むだけの操作をもって、確実に得ることができる。その際、可動係合部材21が、ハウジング11に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板13と共にフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込み方向に沿って移動してフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態を自動的にとるとともに、係止部材22が、ハウジング11に対して回動変位して、フレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態におかれた可動係合部材21に対する係止を行う係止位置を自動的にとるので、可動係合部材21と係止部材22とによるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止が、極めて容易かつ円滑に行われることになる。
【0052】
また、係合係止手段を形成する可動係合部材21と係止部材22とによるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除して、フレキシブル印刷配線基板13をハウジング11から抜脱され得るものとするにあたっては、係止部材22にハウジング11に対する回動変位を生じさせる操作を加えるだけで、係止部材21に可動係合部材21との係合を解除させて、可動係合部材21をフレキシブル印刷配線基板13と共にフレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの抜出し方向に沿って移動してフレキシブル印刷配線基板13との係合連結状態を解除するものとなすことができる。従って、係合係止手段に簡単で容易な操作を加えることにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13をハウジング11から適正に抜脱され得る状態におくことができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングに設けられ、配線板状部材がハウジングに差し込まれたとき、配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとる係合係止手段とを備えたコネクタ装置であって、係合係止手段によりハウジングに差し込まれた配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱が阻止される状態を、配線板状部材をハウジングに差し込むだけの操作をもって、確実に得ることができ、さらには、係合係止手段に簡単で容易な操作を加えることにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材をハウジングから適正に抜脱され得る状態におくことができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0054】
10・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 11a・・・正面側端面部, 11b・・・背面側端面部, 11c・・・下方平板状部, 11d・・・上方平板状部, 12・・・板状部材差込み部, 13・・・フレキシブル印刷配線基板, 14・・・コンタクト, 15・・・接触端子部, 16・・・(コンタクト14の)固定部, 17・・・下方ビーム部, 18・・・上方ビーム部, 18a・・・接点部, 19・・・接続端子部, 20,31・・・溝, 21・・・可動係合部材, 22・・・係止部材, 23・・・(可動係合部材21の)本体部, 24・・・板状部材受部, 25・・・可動係止部, 26・・・係合受部, 27・・・可動腕状部分, 28・・・係合突起部分, 29,35・・・切欠き部, 30・・・切欠き係合部, 32,33・・・移動規制部, 36・・・操作部, 37・・・係合部, 38・・・回動軸, 40・・・端子配列部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16