【実施例】
【0026】
図1〜
図5に示す本発明の第1実施例の外装構造は、対向する側壁22,22を有する固定部材2Aと、締着部材3aの大径部31を収納し、且つ締着部材3aをスライド可能に保持する溝部11a,11aを有する支持部材1Aとからなる取付構造により固定された支持部材1Aに、桟部材5Aを介して間接的に太陽電池パネル6Aを固定してなるものである。
【0027】
前記固定部材2Aは、
図1(b),(c)及び
図7(a)に示すように下地4Cに固定する固定部21と、この固定部21から立ち上がる左右一対の側壁22と、を有する構成であり、前記側壁22には水上側に向かって開口する長孔溝222が形成される。
図示実施例の固定部材2Aは、側壁22,22が水上側に設けられ、水下側には内側が開放する略コ字状の保持部23,23が設けられているピース材である。この保持部23は、上方への規制手段の一態様である。
また、前記固定部21には、複数の孔211が設けられ、孔211に固定具20にて下地4Cに固定するが、
図1(b)に示すように孔211(固定具20頭部)や固定部21の下面及び周縁には接着材兼シーリング材25が配されている。
【0028】
図示実施例の側壁22は、内側への傾斜部分である折曲部221を有する構成(側壁22の下半が略垂直状、側壁22の上半が内側へ傾斜状)であり、その配設状態において左右から支持部材1Aを包持することができ、その上方への持ち上がりを防止することができる。即ちこの折曲部221は、上方への規制手段の一態様である。
また、この側壁22に設けられる長孔溝222は、前述のように水上側に向かって開口しており、前記折曲部221より上方に設けられ、後述する支持部材1Aの溝部11aに大径部31が収容された状態の締着部材3Aが遊嵌可能である。
【0029】
また、この支持部材の取付構造には、太陽電池パネル等の新設用レベルに調整するレベル調整手段が設けられ、該レベル調整手段として、側壁22,22の下方をテーパ状とした調整部24を設けている。
この調整部24は、支持部材1Aへ固定する太陽電池システム等のレベルを調整するものであり、この調整部24より上方の側壁22等と下地面(既存屋根)の勾配に沿う固定部21間を側面視テーパー状とした。
この調整部24の役割については、
図6に示すように、一点鎖線で示された取付基準面にレベル調整したものであり、図面の右側が水上側、左側が水下側を示すが、この固定部材2Cの取付位置が水上側或いは水下側にずれたとしても、図示するように取付基準面に沿って調整部24を調整した支持部材1Aを固定すればよく、太陽電池パネル6Aを敷設する際にレベル調整をする必要が無く、容易に太陽電池パネル6Aを敷設することができる。なお、ここで用いた固定部材2Cは、
図7(c)に示すように側壁22に折曲部221が設けられない以外は、前記固定部材2Aと全く同様である。
【0030】
前記支持部材1Aは、
図1(d)に示すように前述のように締着部材3aの大径部31を収納し、且つ締着部材3aをスライド可能に保持する溝部11aを有する構成である。
図示実施例の支持部材1Aは、中央に空間部12を有する略門型成形体である比較的短尺な定尺材であって、左右及び頂部に合計5つの溝部11a〜11cを有する構成であり、各溝部11a〜11cは、何れも内部に断面が略矩形状の空間を備え、開放部に内側へせり出した突出部が設けられ、内部空間に収納する取付ボルト等の脱落を防止する構成である。
【0031】
これらの溝部11a〜11cのうち、左右の中段に設けられ、外側やや上方が開放する溝部11a,11aが、前記固定部材2Aとの連結に用いられる締着部材3aを保持するものであり、頂部の上方が開放する溝部11bは、後述する桟部材5Aの取り付けに用いられるものであり、左右の下段に設けられる外側が開放する溝部11cは、調整機構として用いられていないが、その下方側面が、取付状態において、前記固定部材2Aの調整部24,24上に載置させる設置部13,13であり、その略L字状の先端14が前記固定部材2Aの保持部23に保持される被保持部14である。
【0032】
また、この支持部材1Aは、前記固定部材2Aの側壁22,22間に配設されて取り付けられるものであり、取付状態において、前記固定部材2Aの側壁22の長孔溝222の内側に溝部11aが連通するように配置される。
そして、図示実施例では、水下(軒側)、水上(棟側)が間隔を介して分割状(非連続状)に配するようにしている。
図3(a)が水下側の納めを示し、
図3(b)が水上側の納めを示している。なお、この
図3において、7B,7Cは納めカバー材を示す。
【0033】
前記溝部11aに保持させる締着部材3aは、汎用の六角ボルトであって、その頭部が前記溝部11a内に収納させる大径部31であり、雄ねじ部分が溝部11a外へ突出するので、この雄ねじ部分を把持して所定位置に調整してもよい。また、この締着部材3aとしては、予め緩くナット3bを連結しておいてもよい。
【0034】
図示実施例の下地4Cは、流れ方向に配設された躯体4A上に略平坦状に略ボード状の下地材4Bが敷設され、更にその上面にスレート屋根材4Cが段状に敷設されている構成である。なお、前記固定部材2Aを配設する水上側のスレート屋根材4Cには、水切り板4Dが配設され、固定部材2Aの固定部21の周縁に水の溜まりが形成されるのを抑制するようにした。
【0035】
また、前記桟部材5Aは、流れ方向に取り付けられる前記支持部材1Aに対して直交するように配設される、即ち桁行き方向に配設される連続材である。
図示実施例の桟部材5Aは、
図5(b)に示すように高さの中程に、太陽電池パネル6Aのフレーム材6bの下端を支持する段状部51,51が設けられ、頂部53には、隣接する太陽電池パネル6A,6A間を塞ぐ覆い材7aや納めカバー材7B,7C等がビス止めされる。また、流れ方向に向く両下端に、略L字状の係止片52,52を有し、該係止片52に被さるように押さえ材5bが配設され、前記支持部材1Aの溝部11bに保持させた締着部材3cとナット3dにて取り付けられている。
【0036】
前記桟部材5Aに取り付けられる太陽電池パネル6Aは、太陽電池の側縁に裏面側に中空部分を備えるフレーム材6bを周設した構成であって、このフレーム材6bの下端が前記桟部材5Aの段状部52に支持される状態で取り付けられる。
また、流れ方向に隣接する太陽電池パネル6A,6A間に、
図4に示すように覆い材7aを配してビス止めすることにより、水下側の太陽電池パネル6Aのフレーム材6bを、覆い材7aと桟部材5Aとで挟むように一体的に固定すると共に、太陽電池パネル6A,6A間へのゴミ等の浸入を防止している。
【0037】
これらの各部材から構成される第1実施例の外装構造は、
図1(a)に矢印にて示すように組み付けられる。
図1(a)には、(1)前記固定部材2Aの固定部21に設けた複数の孔211に、固定具20を打ち込んで下地4Cに固定すること、(2)前記固定部材2Aを前記六角ボルトである締着部材3aを支持部材1Aの溝部11aに挿入すること、(3)該締着部材3aを固定部材2Aの長孔溝222に遊嵌させること、(4)更に締着部材3aの雄ねじ部分に座金とワッシャーと共にナット3bを取り付けること、(5)固定部材2Aの水上側のスレート屋根材4Cの下面に水切り板4Dを配設すること、(6)支持部材1Aの溝部11bに締着部材3cを保持させ、押さえ部材5bにて前記桟部材5Aを押さえ付けて座金とワッシャーと共にナット3dを締め付けて取り付けること、が矢印で示され、加えて(7)前記桟部材5Aに対し、流れ方向に隣接する太陽電池パネル6A,6Aを、覆い材7aを介在させつつ取り付けることが示されているが、それらの手順は特に限定するものではない。
特に前記(2)〜(4)の作業に関し、前述のように予め締着部材3aには緩くナット3bを連結しておいてもよい。より詳しくは締着部材3aの雄ねじ部分の先端付近にナット3bを螺合しておき、この状態で、締着部材3aの頭部31を支持部材1Aの溝部11aに収納し、ナット3bを把持しつつ、既に下地4Cに固定した固定部材2Aの長孔溝222に、水上側からスライドさせるように臨ませて取り付ける。締着部材3aを固定部材2Aの長孔溝222にスライド状に取り付ける操作は、支持部材1Aを固定部材2Aの側壁22,22間にスライド状に取り付けつつ行う。
【0038】
図2、
図4、及び
図5(a)は、前述の(1)〜(7)の作業を行って、固定部材2A及び支持部材1Aを取り付けた後、前記構成の桟部材5A及び太陽電池パネル6Aを取り付けた一般部を示すものであって、
図3(a)はその水下側の納めを、
図3(b)はその水上側の納めを示す。
【0039】
このように施工される本発明の外装構造、及び支持部材の取付構造は、面倒な手間を必要とすることもなく、部材(締着部材3a,3b等)の落下等も生じ難く、また特殊な構成のナットを用いる必要もなく、極めて容易に支持部材1Aを取り付けることができ、太陽電池パネル6Aを極めて容易に設置することができる。
また、固定部材2Aに取付基準面をレベル調整する調整部24を設けているので、太陽電池パネル6A等の外設部材を敷設する際にレベル調整をする必要が無く、そのために部材や時間を必要とすることなく、容易に太陽電池パネル6A等の外設部材を敷設することができる。
【0040】
さらに、この第1実施例では、支持部材1Aと固定部材2Aが、上方への規制手段(側壁22の折曲部221、保持部23など)を有して組み付けられているので、固定部材2Aと支持部材1Aとの取付強度が向上し、支持部材1Aの上方への持ち上がりを防止することができる。
【0041】
また、この第1実施例では、固定部材2Aの側壁22が、支持部材1Aを包持する折曲部221を有するので、この構成自体が前記上方への規制手段の一態様となるばかりでなく、傾斜状の側壁22(の上半)に長孔溝222を設けることとなるため、締着作業をより容易に行うことができる。即ち前記支持部材1Aの溝部11aが外側やや上方が開放する構成と相俟って、締着部材3aの雄ねじ部分が外側やや上方へ向いているため、この状態でナット3bを締め付けるレンチ等の治具の回動操作も容易となる。
【0042】
さらに、この第1実施例では支持部材1Aを、流れ方向に沿って、水下側、水上側が間隔を介して分割状(非連続状)に配するようにしたので、配設位置の微調整を行っても、他の支持部材1Aに影響を及ぼすことがない。しかも、部材作製(製造)や管理の観点からも、取り扱いが容易な所定寸法の支持部材1Aを用意しておけばよいので、この点でも望ましい。
【0043】
次に、
図7(a)に示す固定部材2A、
図7(b)に示す参考例である固定部材2B、
図7(c)に示す実施例である固定部材2C、及び
図7(d)に示す参考例である固定部材2Dについて説明する。
図7(a)に示す固定部材2Aは、前記第1実施例にも用いたので、既に説明したとおりであるが、側壁22には長孔溝222の水下側に略円状の孔223を設けているので、
図5に示すようにこの孔223からビス2eを打ち込んで支持部材1Aとビス止めしてもよい。このビス2eも、上方への規制手段の一態様である。
【0044】
図7(b)に示す参考例である固定部材2Bは、側壁22,22が水上側ばかりでなく水下側にまで延在しており、保持部23が設けられない以外は、前記
図7(a)の固定部材2Aとほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この固定部材2Bでは、前記上方への規制手段として前記第1実施例と同様に折曲部221が支持部材1Aを包持する効果が果たされる。さらに側壁22,22間に支持部材1Aを保持する部分が前記第1実施例より大きいので、支持部材1Aのぐらつき(仮置き)を押さえる作用が大きい。
【0045】
図7(c)に示す実施例である固定部材2Cは、前記
図6の調整部24の説明に用いたものであり、側壁22,22が上端まで略鉛直状であって、折曲部221が設けられない以外は、前記
図7(a)の固定部材2Aとほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この固定部材2Cでは、前記上方への規制手段として前記第1実施例と同様に保持部23が支持部材1Aの被保持部14を保持する効果が果たされる。
【0046】
図7(d)に示す参考例である固定部材2Dは、保持部23も折曲部221も設けられない以外は、前記
図7(a)の固定部材2Aとほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この固定部材2Dでは、前記上方への規制手段が設けられていないが、側壁22,22間に支持部材1Aを保持する部分が前記第1実施例より大きいので、支持部材1Aのぐらつき(仮置き)を押さえる作用は大きい。