特許第5896277号(P5896277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5896277路車間通信システム及び車両位置検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896277
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】路車間通信システム及び車両位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20160317BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20160317BHJP
   H04B 10/11 20130101ALI20160317BHJP
【FI】
   G08G1/09 F
   G01C21/28
   H04B9/00 R
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-6531(P2012-6531)
(22)【出願日】2012年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-145530(P2013-145530A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】滝波 茂
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−002225(JP,A)
【文献】 特開2006−215982(JP,A)
【文献】 特開2010−093601(JP,A)
【文献】 特開2009−005168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G01C 21/28
H04B 10/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行路の近傍に設置される発光構造体と車両に搭載される車載器とを備える路車間通信システムあって、
前記発光構造体は、
LEDを光源として発光するLED発光部と、
前記LED発光部を点滅駆動して発光させるLED駆動部と、
前記LED駆動部を制御し、前記発光構造体の高さを示す発光構造体高さ情報を含む通信データに対応させて前記LED発光部の点滅状態を変調するLED駆動制御手段と、を備え、
前記車載器は、
前記車両の進行方向前方の走行路を連続して撮像し画像情報を出力する撮像手段と、
前記撮像手段が出力した連続する画像情報の各々から前記発光構造体の画像を抽出し、抽出した前記発光構造体の画像から前記LED発光部の点滅状態を検出する発光構造体画像抽出手段と、
前記発光構造体画像抽出手段によって検出された前記LED発光部の点滅状態から前記通信データを復調して取得する通信データ取得手段と、
前記撮像手段が前記発光構造体を撮像した撮像面の上下方向の総画素数と、前記発光構造体画像抽出手段が抽出した前記発光構造体の画像の高さ方向の画素数と、前記通信データ取得手段が取得した前記通信データに含まれる前記発光構造体高さ情報とを用いた演算によって、前記車両と前記発光構造体との間の距離を推定する距離推定手段と、を備える
ことを特徴とする路車間通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の路車間通信システムであって、
前記LED駆動部は、前記発光構造体が設置されている地域の商用交流電源周期の1/2の点滅周期で前記LED発光部を発光させ、
前記LED駆動制御手段は、前記通信データをビット列データに変換し、前記LED発光部の点滅周期の2周期分を前記ビット列データの各ビットに対応させて前記LED発光部の点滅状態を変調し、
前記撮像手段は、前記商用交流電源周期と略同一の周期で撮像する
ことを特徴とする路車間通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の路車間通信システムであって、
前記LED駆動制御手段は、前記ビット列データの各ビットに択一的に設定される2つの状態のうち一方の状態が設定されたビットに対応して、前記LED発光部の点滅周期に従って前記LED発光部を2回点滅させ、前記2つの状態のうち他方の状態が設定されたビットに対応して、前記LED発光部の点滅周期の2周期分の前半又は後半の1周期に前記LED発光部を1回点滅させ、後半又は前半の1周期に前記LED発光部を消灯させるように変調する
ことを特徴とする路車間通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の路車間通信システムの前記車載器を備えた前記車両に搭載される車両位置検出装置であって、
前記車両位置検出装置は、車両位置情報取得手段と、車両位置情報補正手段と、を備え、
前記通信データは、前記発光構造体の位置を特定可能な構造体位置情報を含み、
前記車両位置情報取得手段は、前記車両の現在の位置を特定する車両位置情報を通信によって外部から取得し、
前記車両位置情報補正手段は、前記通信データ取得手段が取得した前記通信データに含まれる前記構造体位置情報によって特定される前記発光構造体の位置と、前記距離推定手段が推定した前記車両と前記発光構造体との間の距離とを用いて、前記車両位置情報取得手段が取得した前記車両位置情報によって特定される前記車両の現在の位置を補正する
ことを特徴とする車両位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行路の近傍に設置された発光構造体と車両との路車間通信システムと、それを用いた車両位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−85845号公報には、目標距離検出装置が記載されている。この装置では、画像センサが取得した画像が操作表示器に表示され、表示された画像から操作員が測距目標を選択し、想定される目標の大きさを操作表示器に入力する。目標面表示範囲算出器が、画像の総画素数と、選択された目標が占める画素数と、想定した目標の大きさとから目標表示範囲を計算し、距離演算器が、目標表示範囲と画像センサから得られる画角とから目標までの距離を計算する。操作員が目標の種類のみを入力した場合は、装置に予め格納された目標の一般的な大きさを用いて目標までの距離を計算する。
【0003】
また、特開2010−276583号公報には、車両位置測定装置が記載されている。この装置では、道路脇に設置された支柱から道路上方で横に延びるバーに光ビーコンが取付けられ、車両が接近してくる斜め下方に向けて近赤外線信号が発信される。近赤外線信号には光ビーコンの設置位置が緯度及び経度で示される位置情報が含まれる。車両は、全地球測位システム(GPS)を利用して車両位置を検出する位置検出手段、車載通信手段、撮像手段及び位置補正手段等を備えている。光ビーコンに近接する所定のエリアに車両が進入すると車載通信手段が光ビーコンからの近赤外線信号を受信して光ビーコンの設置位置情報を取得し、撮像手段が車両斜め上方の光ビーコンの撮像を開始する。車両が光ビーコンの真下を通過したことを撮像手段が検出したとき、位置検出手段によって検出された車両の位置と、光ビーコンの設置位置情報とが一致するように位置補正手段が車両の位置を補正することによって車両位置が正確に測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−85845号公報
【特許文献2】特開2010−276583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の目標距離検出装置では、目標の選択や目標の大きさを操作員が手動で入力しなければならないため作業が煩雑であり、且つ誤入力等があった場合には目標までの距離が誤って算出されてしまうおそれがある。また、操作員が目標の種類のみを入力した場合は、目標の一般的な大きさを用いて目標までの距離を計算するため、距離の算出精度が低下するおそれがある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の装置では、道路脇に設置された多数の支柱のそれぞれに専用の光ビーコンを新たに設置する必要がある。
【0007】
そこで本発明は、煩雑な作業を必要とせず、且つ目標までの距離を精度良く推定することが可能な路車間通信システムの提供、及び既存の設備を利用して車両位置を補正することが可能な車両位置検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明の路車間通信システムは、車両の走行路の近傍に設置される発光構造体と車両に搭載される車載器とを備える。
【0009】
発光構造体は、LED発光部と、LED駆動部と、LED駆動制御手段とを備える。LED発光部は、LEDを光源として発光する。LED駆動部は、LED発光部を点滅駆動して発光させる。LED駆動制御手段は、LED駆動部を制御し、発光構造体の高さを示す発光構造体高さ情報を含む通信データに対応させてLED発光部の点滅状態を変調する。車載器は、撮像手段と、発光構造体画像抽出手段と、通信データ取得手段と、距離推定手段とを備える。撮像手段は、車両の進行方向前方の走行路を連続して撮像し画像情報を出力する。発光構造体画像抽出手段は、撮像手段が出力した連続する画像情報の各々から発光構造体の画像を抽出し、抽出した発光構造体の画像からLED発光部の点滅状態を検出する。通信データ取得手段は、発光構造体画像抽出手段によって検出されたLED発光部の点滅状態から通信データを復調して取得する。距離推定手段は、撮像手段が発光構造体を撮像した撮像面の上下方向の総画素数と、発光構造体画像抽出手段が抽出した発光構造体の画像の高さ方向の画素数と、通信データ取得手段が取得した通信データに含まれる発光構造体高さ情報とを用いた演算によって、車両と発光構造体との間の距離を推定する。

【0010】
上記構成では、路車間通信の発光構造体側では、発光構造体のLED発光部の点滅する発光状態が発光構造体高さ情報を含む通信データによって変調される。車両側では、撮像手段が連続して撮像し出力する画像情報の各々に発光構造体の画像が含まれている場合、発光構造体画像抽出手段は、出力された各画像情報から発光構造体の画像を抽出し、LED発光部の点滅状態を検出する。通信データ取得手段は、連続して検出された一連の点滅状態から通信データを取得し、距離推定手段は、抽出された発光構造体の画像と取得された通信データに含まれる発光構造体高さ情報とに基づいて車両と発光構造体との距離を推定する。
【0011】
このように、撮像手段が連続して撮像し出力する画像情報から発光構造体高さ情報を取得して車両と発光構造体との距離を推定するので、発光構造体の高さに関する情報を都度入力する等の煩雑な操作が不要である。また、発光構造体高さ情報を個々の発光構造体から直接取得するので、発光構造体と車両との距離を精度良く推定することができる。さらに、LED発光部を備えた街路灯等の既存の発光構造体にLED駆動制御手段を設ければよいので、既存の設備を有効に利用して車両と発光構造体との距離を推定することができる。
【0012】
また、LED駆動部は、発光構造体が設置されている地域の商用交流電源周期の1/2の点滅周期でLED発光部を発光させ、LED駆動制御手段は、通信データをビット列データに変換し、LED発光部の点滅周期の2周期分をビット列データの各ビットに対応させてLED発光部の点滅状態を変調し、撮像手段は、商用交流電源周期と略同一の周期で撮像してもよい。
【0013】
また、LED駆動制御手段は、ビット列データの各ビットに択一的に設定される2つの状態のうち一方の状態が設定されたビットに対応して、LED発光部の点滅周期に従ってLED発光部を2回点滅させ、2つの状態のうち他方の状態が設定されたビットに対応して、LED発光部の点滅周期の2周期分の前半又は後半の1周期にLED発光部を1回点滅させ、後半又は前半の1周期にLED発光部を消灯させるように変調してもよい。
【0014】
上記構成では、発光構造体側のLED駆動部は、LED発光部を商用交流電源周期(60Hz又は50Hz)の1/2の点滅周期で点滅して発光させる。LED駆動制御手段は、LED発光部の点滅周期の2周期分をデータのビット列データの各ビットに対応させ、ビット列データに従って点滅状態を変調する。例えば、ビットが“0”の場合、2周期分とも点滅させ、ビットが“1”の場合、前半の1周期分のみ点滅し後半の1周期分は消灯するように変調する。このようなLED発光部の点滅状態は、例えば発光構造体が全波整流型のLED駆動部を備える場合は、LED駆動制御手段によって容易に変調が可能であり、発光構造体側の点滅駆動処理等が簡素化される。
【0015】
また、車両側では、発光構造体が撮像手段によって撮像される。LED発光部の点滅状態は、商用交流電源周期に対応して変調されているので、発光構造体を商用交流電源周期と略同一の周期で撮像することによってLED発光部の点滅状態は容易に検出される。すなわち、商用交流電源が60Hzの場合は、撮像手段として、例えばNTSC方式のカメラを使用することによって、発光構造体画像抽出手段は、カメラが出力する毎秒略60枚の画像からLED発光部の点滅状態を検出できる。また、商用交流電源が50Hzの場合は、PAL方式のカメラを使用することによって、発光構造体画像抽出手段は、カメラが出力する毎秒50枚の画像からLED発光部の点滅状態を検出できる。通信データ取得手段は、検出されたLED発光部の2周期分の点滅周期のうち後半の1周期が点滅した場合に“0”、消灯していた場合に“1”とするビット列に復調することによって通信データを取得する。規格化されたカメラを使用することによって車両側の画像処理等が簡素化される。このように、上記構成によれば、発光構造体と車両との路車間通信において、発光構造体側及び車両側の双方の処理を簡素化することができる。
【0016】
また、上記路車間通信システムの車載器を備えた車両に、車両位置情報取得手段と車両位置情報補正手段とを備えた車両位置検出装置を搭載してもよい。通信データは、発光構造体の位置を特定可能な構造体位置情報を含む。車両位置情報取得手段は、車両の現在の位置を特定する車両位置情報を通信によって外部から取得する。車両位置情報補正手段は、通信データ取得手段が取得した通信データに含まれる構造体位置情報によって特定される発光構造体の位置と、距離推定手段が推定した車両と発光構造体との間の距離とを用いて、車両位置情報取得手段が取得した車両位置情報によって特定される車両の現在の位置を補正する。
【0017】
上記構成では、車両位置検出装置が上記路車間通信システムの車載器を備えた車両に搭載される。車載器は、発光構造体の位置を特定する構造体位置情報を取得し、車両と発光構造体との間の距離を推定する。車両位置検出装置では、車両の現在の位置を特定する車両位置情報を車両位置情報取得手段が通信によって外部から取得し、車載器が取得した発光構造体の位置と、車載器が推定した車両と発光構造体との距離とに基づいて、取得された車両の現在の位置を、車両位置情報補正手段が補正する。すなわち、車両の現在位置の補正に必要な発光構造体の位置情報と、車両と発光構造体との距離との双方が、上記路車間通信システムから供給される。従って、光ビーコン等の新たな専用設備を必要とせず既存の設備を利用して車両の現在の位置を補正することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、路車間通信システムにおいて煩雑な作業を必要とせず、且つ目標までの距離を精度良く推定することが可能となる。また、車両位置検出装置において既存の設備を利用して車両位置を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態における路車間通信システムのシステム構成図である。
図2】街路灯の要部を示す模式図である。
図3】ビット列データの構成を示す図である。
図4】LEDランプの点滅を利用したビット列データの変復調を示す図である。
図5】通信データ送信処理を示すフローチャートである。
図6】通信データ受信処理を示すフローチャートである。
図7】車両位置検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態に係わる路車間通信システムは、街路灯(発光構造体)1と車両10に搭載された車載器11等とから構成される。街路灯1は、車両10の走行路の近傍に設置され、電源部2、LED駆動部3、LEDランプ6及びECU7等を備えている。
【0021】
LEDランプ6はLED(発光ダイオード)を光源として発光する。
【0022】
電源部2は、街路灯1の設置されている地域の商用交流電源(50Hz又は60Hz)をLED駆動部3に供給する。
【0023】
LED駆動部3は、整流回路部4と点滅制御リレー5とを有する。整流回路部4は電源部2から供給される交流電圧を整流してLEDランプ6に電圧を供給する。整流回路部4の出力電圧値が所定電圧V1よりも低い期間においてはLEDランプ6が発光せず、整流回路部4の出力電圧値が所定電圧V1以上の期間においてはLEDランプ6が発光する。図2に示すように点滅制御リレー5は、整流回路部4の回路内に配置され、励磁コイル5aを励磁することによって接点5bが閉じたオンの状態となり回路が導通状態となり、励磁コイル5aを非励磁とすることによって接点5bが開いたオフの状態となり回路が開放状態となる。なお、点滅制御リレー5は、半導体を用いたソリッドステート・リレー等であってもよい。点滅制御リレー5がオンの状態では、整流回路部4は、商用交流電源周期の1周期のなかで、整流回路部4のU端子の電圧がプラスとなりV端子の電圧がマイナスとなるプラス側の1/2周期及び整流回路部4のU端子の電圧がマイナスとなりV端子の電圧がプラスとなるマイナス側の1/2周期ともに整流した電圧を出力する全波整流回路として機能するので、LEDランプ6は商用交流電源周期の1/2の点滅周期で点滅(点灯及び消灯)する。点滅制御リレー5がオフの場合は、整流回路部4は、商用交流電源周期のプラス側の1/2周期のみ整流した電圧を出力し、マイナス側の1/2周期には整流した電圧を出力しない半波整流回路として機能するので、LEDランプ6は、商用交流電源周期のプラス側の1/2周期に1回点滅し、マイナス側の1/2周期は消灯する。すなわち、LEDランプ6は商用交流電源周期の1/2の点滅周期(100Hz又は120Hz)で点滅を繰返す。
【0024】
ECU7は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備える。CPUはROMに格納された通信データ送信処理プログラムを読み出して通信データ送信処理を実行することによって、LED駆動制御部8として機能する。RAMは、後述の街路灯1のID番号及び街路灯1の高さ情報を含む通信データ及びビットカウンタC等の記憶領域として機能する。
【0025】
LED駆動制御部(LED駆動制御手段)8は、LED駆動部3に設けられた点滅制御リレー5を制御し、通信データに対応させてLEDランプ6の点滅を変調する。通信データは、街路灯1に固有の街路灯のID番号を示すID番号データ(構造体位置情報)と、街路灯1の高さを示す街路灯高さデータ(発光構造体高さ情報)とから構成され、街路灯1側から車両10側に送信するためのビット列データに変換されて記憶領域に記憶されている。図3に示すように、ビット列データは各ビットが“0”又は“1”に対応する21ビットのデータ部Aと4ビットの区切コード部Bとから構成される合計25ビットのデータ長を有する。区切コード部Bは連続して送信される送信データから1回分の送信データを識別するために設けられ、本実施形態では4ビット連続する“0”コードで構成される。また、データ部Aには、3ビットごとに“1”のビットが割り付けられる。データ部Aと区切コード部Bとの境界にあるデータ部Aの最終ビットは“1”に設定されるので、車載器11側で送信データを受信する際に4ビット連続する“0”で構成される区切コード部Bを識別することができる。図3は無信号状態のビット列データを示す。ビット列データには、図3の左から右に向かって各ビットに1から25までのビット番号が付される。ビット番号1〜9にID番号データ、ビット番号10〜21に街路灯高さデータの各通信データが割り付けられ、ビット番号22〜25に区切コード部Bが割り付けられる。データ部Aの3ビットごとに“1”のビットを割り付けるため、データ部Aのビットの組み合わせにはいくつかの無効な組み合わせが発生し、ビット列データで表される数値の有効数が減少する。例えば、ビット列データの長さが9ビットのID番号データの場合、0、1、9、73等の数値が無効となるため、これらの数値の組み合わせを除く216個の有効数を有する。ビット列データの長さが12ビットの街路灯高さデータの場合は、1296個の有効数を有する。ID番号データは、1基の街路灯に対して1個のID番号を割り当てる。ID番号の割り当ては、後述の街路灯位置情報テーブルQに記載されているエリア内で重複しなければよく、全国全ての街路灯に固有のID番号を割り当てる必要はないので、216個の有効数で足りる。街路灯1の高さ(cm)は、路面からLEDランプ8までの高さで表される。街路灯高さデータは、街路灯1の高さと、街路灯基準高さ(例えば、6m)との偏差値であらわされる。偏差値を用いることによって、少ないビット数で街路灯1の必要な範囲の高さをあらわすことができる。なお、街路灯の高さは、例えば路面から街路灯の先端部までの高さであらわしてもよい。また、街路灯1の高さを基準高さとの偏差値ではなく街路灯1の高さの絶対値であらわしてもよい。なお、ビット列データには上記のように無効な数値が存在するので、予め通信データとビット列データの有効数との対応関係を定めた変換テーブルPに従って各通信データがビット列データに変換されている。
【0026】
LED駆動制御部8は、このビット列データに対応してLEDランプ6の点滅を変調する。すなわち、ビット列データのビットが“0”のときは商用交流電源電圧のプラス側から始まる1周期分の期間にわたって点滅制御リレー5をオンにする。この結果、LED駆動部3の整流回路部4は全波整流モードになり、LEDランプ6は商用交流電源周期の1周期分の期間に2回点滅する。ビットが“1”のときは商用交流電源電圧のプラス側から始まる1周期分の期間にわたって点滅制御リレー5をオフにする。この結果、LED駆動部3の整流回路部4は半波整流モードになり、LEDランプ6は商用交流電源電圧がプラス側の前半の1/2周期の期間に1回点滅し、商用交流電源電圧がマイナス側の後半の1/2周期の期間は消灯する(図4(a),(b),(c)参照)。
【0027】
次に、ECU7が実行する通信データ送信処理について、図5のフローチャートに基づいて説明する。本処理は、電源部2の商用交流電源周期(50Hz又は60Hz)に同期して毎秒50回又は60回の割合で繰返して実行される。ECU7は先ず、ビットカウンタCが25よりも大きいか否かを判定する(ステップS1)。ビットカウンタCが25以下の場合には、ステップS3に進む。ビットカウンタCが25よりも大きい場合は1回の通信データの送信が終了しているので、ビットカウンタCを初期設定値の1に設定し(ステップS2)ステップS3に進む。ステップS3では、ビット列データを読み出し、ビットカウンタCのカウント値と同一のビット番号のビットに対応させてLEDランプ6の点滅を制御し、点滅状態を変調する。すなわち、ビットカウンタCのカウント値と同一のビット番号のビットが“0”の場合は点滅制御リレー5をオンにして整流回路部4を全波整流モードにする。ビットが“1”の場合は点滅制御リレー5をオフにして整流回路部4を半波整流モードにする。次に、ビットカウンタCのカウント値に1を加算して(ステップS4)本処理を終了する。このように、ビット列データのデータ部Aのビット番号の小さい順にLEDランプ6の点滅が変調され、最後に区切コード部Bによる変調が実行されて1回の送信が終了する。本実施形態では、1回の送信データの送信に商用交流電源周期の25周期分を対応させているので、商用電源周波数が50Hzの場合は、1秒間に2回の送信が実行される。
【0028】
車両10は、車載器11と車両位置検出装置17及び表示器21等を備えている。車載器11は、ビデオカメラ12(撮像手段)とECU13とを有する。
【0029】
ビデオカメラ12は、車両10の前部に配置されて車両10の進行方向前方の走行路を撮像し、連続した画像情報をECU13へ出力する。ビデオカメラ12は、規格化された撮像方式であるNTSC方式とPAL方式とが切替え可能である。NTSC方式のときは毎秒略60枚のインターレース画像を撮像し、PAL方式のときは毎秒50枚のインターレース画像を撮像してECU13に出力する。ビデオカメラ12は、エンジンの始動と共に撮像を開始しエンジンの停止またはバックアップ電源(バッテリー)からの電力供給の停止と共に撮像を終了する。また、交差点等におけるエンジンのアイドリングストップ時は撮像を継続する。
【0030】
ECU13は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、ROMに格納された通信データ受信処理プログラムを読み出して通信データ受信処理を実行することによって、街路灯画像抽出部14、通信データ取得部15及び距離推定部16として機能する。RAMは、ECU13がビデオカメラ12から取得した画像、ビット列データ、変換テーブルP、街路灯1のID番号及び後述の車両10と街路灯1との距離D、距離フラグF等の記憶領域として機能する。
【0031】
街路灯画像抽出部(街路灯画像抽出手段)14は、ビデオカメラ12が撮像した連続する車両前方の画像情報から街路灯1の画像を抽出し、撮像されている街路灯1のLEDランプ6の点滅を連続して検出する。街路灯1は、撮像された街路灯画像と、予め設定された街路灯のテンプレート画像とのパターンマッチング等によって抽出される。LEDランプ6の点滅状態は、点滅周期の2周期分の期間のうち後半の1周期の期間での点灯あるいは消灯を検出することによって識別できるので、ビデオカメラ12の撮像周期は街路灯1の電源部2の交流電源周期と略同期させる。すなわち、電源部2が50Hzの場合はPAL方式で毎秒50枚の連続する画像を取得し、電源部2が60Hzの場合はNTSC方式に切替えて毎秒略60枚の連続する画像を取得する。
【0032】
通信データ取得部15(通信データ取得手段)は、街路灯画像抽出部14が検出したLEDランプ6の点滅の状態をビット列データに復調し、ビット列データを通信データへ変換する。すなわち、検出されたLEDランプ6の画像が、点灯状態の時は“0”、消灯状態の時は“1”とするビット列に復調し、ビット番号を付してビット列データを作成する(図4(c)〜(f)参照)。復調されたビット列データの中から4ビット継続する“0”で構成される区切コード部Bを検出し、データ部Aのビット番号1〜9のビット列データをID番号データ、ビット番号10〜21のビット列データを街路灯高さデータとして、通信データに変換する。ビット列データから通信データへの変換の際は、予め通信データとビット列データの有効数との対応を定めた変換テーブルPを参照する。また、街路灯高さ情報は街路灯1の高さと基準高さとの偏差値として送信されるので、基準高さを加算して街路灯1の高さを取得する。
【0033】
距離推定部(距離推定手段)16は、街路灯画像抽出部14が抽出した街路灯1の画像と、通信データ取得部15が取得した街路灯1の高さデータから、車両10と街路灯1との間の距離を推定する。
【0034】
ここで、ビデオカメラ12が街路灯1を撮像した撮像面の上下方向の総画素数をN、街路灯画像抽出部14が抽出した街路灯1の画像の高さ方向の画素数をn、街路灯1の高さをhとすると、ビデオカメラ12が街路灯1を撮像した撮像面の上下方向の距離Lは式(1)によって表される。
【0035】
L=(N/n)×h ・・・(1)
【0036】
また、車両10から街路灯1までの距離をDとすると、距離Lと距離Dとの関係は、ビデオカメラ12の上下方向の画角(ビデオカメラ12からみた撮像範囲をあらわす角度)θを用いて式(2)によって表される。
【0037】
tan(θ/2)=(L/2)/D ・・・(2)
【0038】
式(1)を式(2)に代入し、式(3)によって距離Dを求めることができる。
【0039】
D=(N×h)/(2n×tan(θ/2)) ・・・(3)
【0040】
距離推定部16は、ビデオカメラが撮像した画像から上下方向の総画素数N、街路灯画像抽出部14が抽出した街路灯1の画像から街路灯1の高さ方向の画素数nを求め、通信データ取得部15が取得した街路灯1の高さh、ビデオカメラ12の画角θ、N及びnを式(3)に代入することによって、車両10から街路灯1までの距離Dを推定する。
【0041】
次に、ECU13が実行する通信データ受信処理について、図6のフローチャートに基づいて説明する。本処理は、ビデオカメラ12の撮像のタイミングに同期して繰り返し実行される。ビデオカメラ12には、撮像のフレームレート、絞り値、シャッタースピードが予め所定の値に設定されている。なお、ビデオカメラ12のフレームレートにはNTSC方式が初期設定されており、毎秒略60枚のインターレース画像を撮像する。従って、本処理は毎秒略60回の周期で繰り返し実行されるが、ビデオカメラ12の撮像方式がPAL方式に切替えられた場合には、ビデオカメラ12の撮像のタイミングに同期して毎秒50回の周期で繰り返し実行される。ECU13は、まずビデオカメラ12が撮像した車両前方の画像を取得する(ステップS10)。次に、今回取得した画像の中から街路灯1の画像の抽出処理を行う(ステップS11)。街路灯1の画像が抽出されたか否かを判断し、抽出されなかった場合は処理を終了する(ステップS12)。街路灯1の画像が抽出された場合は、抽出された街路灯が複数個であるか否かを判定し(ステップS13)、複数個が抽出された場合は、車両10に最も近接する街路灯を選択する(ステップS14)。抽出された街路灯の選択は、例えば撮像された複数の街路灯の大きさを比較し、最も大きな街路灯を最も近接する街路灯1と判断して選択する。次に、抽出された街路灯1のLEDランプ6の点滅状態をビット列データに復調する。すなわち、今回の撮像画面から抽出された街路灯1のLEDランプ6が点灯状態にある場合には、ビット列データの今回の値を“0”とし、消灯状態にある場合には、ビット列データの今回の値を“1”としてビット番号を付し、ビット列データとして記憶領域に記憶する(ステップS15)。次に、LEDランプ6の点滅の有無を検出する(ステップS16)。LEDランプ6の点滅状態は、変調されるビット列データによって変化するので、記憶領域に記憶されており今回復調されたビット番号よりもビット番号の小さいビット列データを参照して点滅の有無を判断する。今回復調されたビットが“0”のとき(LEDランプ6が点灯状態)では、今回復調されたビットを含め区切コード部Bの4ビットを超えて5ビット以上連続して“0”である場合、または、今回復調されたビットが1のとき(LEDランプ6が消灯状態)では、データ部Aの21ビットを超えて22ビット以上連続して1である場合は、LEDランプ6の点滅が検出されないと判断する(ステップS16の判定がNO)。ビデオカメラ12による街路灯1の撮像のタイミングは、図4(d)に示すように、点滅周期の2周期分の期間の後半の1周期の期間中央付近が望ましい。LEDランプ6の点滅が正しく検出できない場合は、撮像のタイミングが、期間中央付近からずれている可能性があるのでビデオカメラ12の撮像のタイミングを調整し、必要に応じて絞り値やシャッタースピードを調整する(ステップS23)。点滅状態が検出された場合(ステップS16の判定がYES)は、ビット列データから区切コード部Bを検出する。すなわち、ビット列データが4ビット連続して“0”であるか否かを判定し(ステップS17)、4ビット連続して“0”でない場合は(ステップS17の判定がNO)、ステップS21へ進み、送信データ1回分のビット列データをすでに検出しているか否かを判定する。ステップS21の判定がYESの場合は、送信データ1回分のビット列データに区切コード部Bが検出されておらず、LEDランプ6の点滅の周期とビデオカメラ12の撮像の周期の不一致が考えられる。この場合は、ビデオカメラ12の撮像方式をNTSC方式からPAL方式へ、あるいはPAL方式からNTSC方式へ切替える(ステップS22)。ステップS21の判定がNOの場合は処理を終了する。4ビット連続して“0”である区切コード部Bが検出された場合は、変換テーブルPを参照してデータ部Aの21ビットのビット列データを、ID番号データ、街路灯高さデータの各通信データに変換する(ステップS18)。次に、ECU13は、撮像された画像の総画素数N、街路灯1の画素数n、街路灯高さh及びビデオカメラ12の画角θを式(3)に代入して、車両10から街路灯1までの距離Dを推定する(ステップS19)。次に、距離Dの推定が完了したことを示す距離フラグFをオンにして(ステップS20)本処理を終了する。
【0042】
表示器21は、車室内の例えばインストルメントパネル(図示省略)に設けられ、車両位置検出装置17が出力する車両10の現在の位置を表示して運転者の運転支援を行う。
【0043】
車両位置検出装置17は、GPS測位部18、ECU19等を備える。
【0044】
GPS測位部18は、GPS衛星(図示省略)からの電波信号を受信し、車両10の現在の位置を緯度、経度等で特定する位置情報を取得する。
【0045】
ECU19は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備える。CPUはROMに格納された車両位置検出処理プログラムを読み出して車両位置検出処理を実行することによって、車両位置情報補正部20として機能する。RAMは、後述の街路灯位置情報テーブルQ等の記憶領域として機能する。
【0046】
車両位置情報補正部(車両位置情報補正手段)20は、街路灯のID番号によって街路灯1の位置を特定することが可能な街路灯位置情報テーブルQを備えている。街路灯位置情報テーブルQには、街路灯が設置されているエリアを特定するエリア情報と、そのエリア内に設置されている街路灯のID番号と、そのID番号で特定される街路灯の位置を緯度、経度等で特定する街路灯位置情報とが関連付けられている。車両位置情報補正部20は、GPS測位部18が取得した車両10の現在の位置情報によって現在の車両の位置が含まれる街路灯位置情報テーブルQ上のエリアを特定し、そのエリア内のID番号と、車載器11の通信データ取得部15が取得した街路灯1のID番号とを照合し、ID番号の一致する街路灯の街路灯位置情報を、街路灯1の位置を特定する位置情報として取得する。取得した街路灯1の街路灯位置情報と、車載器11の距離推定部16が推定した街路灯1と車両10との距離Dとを用いて、GPS測位部18が取得した車両10の現在位置を補正する。
【0047】
次に、ECU19が実行する車両位置検出処理について、図7のフローチャートに基づいて説明する。本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。ECU19は、まず車載器11の距離フラグFがオンか否かを判別する(ステップS30)。距離フラグFがオフの場合は、車載器11側で、車両10と街路灯1との距離の推定が完了していないので本処理を終了する。距離フラグFがオンの場合は、距離フラグFをオフにし(ステップS31)、GPS測位部18から車両10の現在の位置情報を取得する(ステップS32)。続いて、車載器11から街路灯1のID番号及び車両10と街路灯1と距離Dを取得する(ステップS33)。次に、街路灯位置情報テーブルQを参照して、街路灯1のID番号によって特定される街路灯1の位置情報を取得する(ステップS34)。次に、街路灯1の位置情報と、車両10と街路灯1との距離Dとを用いて、車両10の現在の位置を補正し(ステップS35)、車両10の現在の位置を表示器21に表示する(ステップS36)。
【0048】
本実施形態では、街路灯1側においては、街路灯1のLEDランプ6の点滅する発光状態が街路灯1のID番号及び街路灯1の高さ情報を含む通信データによって変調される。車両10側では、ビデオカメラ12が連続して撮像し出力する画像情報の各々に街路灯1の画像が含まれている場合、街路灯画像抽出部14は、出力された各画像情報から街路灯1の画像を抽出し、LEDランプ6の点滅状態を検出する。通信データ取得部15は、連続して検出された一連の点滅状態から通信データを取得し、距離推定部16は、抽出された街路灯1の画像と取得された通信データに含まれる街路灯高さ情報とに基づいて車両10と街路灯1との距離Dを推定する。このように、ビデオカメラ12が連続して撮像し出力する画像情報から街路灯高さ情報を取得して車両10と街路灯1との距離を推定するので、街路灯1の高さに関する情報を都度入力する等の煩雑な操作が不要である。また、街路灯高さ情報を個々の街路灯1から直接取得するので、街路灯1と車両10との距離Dを精度良く推定することができる。さらに、LEDランプ6を備えた既存の街路灯1にLED駆動制御部8等を設ければよいので、既存の設備を有効に利用して車両10と街路灯1との距離Dを推定することができる。
【0049】
また、本実施形態では、商用交流電源周期の1/2の点滅周期でLEDランプ6を点滅させ、点滅周期の2周期分を送信データのビット列の各ビットに対応させて点滅状態を変調する。すなわち、ビットが“0”の場合、2周期分とも点滅させ、ビットが“1”の場合、前半の1周期分のみ点滅し後半の1周期分は消灯するように変調する。このようなLEDランプ6の点滅状態は、街路灯1が全波整流型のLED駆動部を備える場合は、LED駆動制御部8によって容易に変調が可能であり、街路灯1側の点滅駆動処理等が簡素化される。車両10側では、ビデオカメラ12を使ってLEDランプ6の点滅状態を検出する。街路灯1のLEDランプ6の点滅状態は、商用交流電源周期に対応して変調されているので、商用交流電源周期と略同一の周期で撮像することによってLEDランプ6の点滅状態は容易に検出される。すなわち、商用交流電源が50Hzの場合はPAL方式、60Hzの場合はNTSC方式のそれぞれ規格化されたビデオカメラが使用できる。本実施形態では、PAL方式及びNTSC方式相互の切替えが可能なビデオカメラ12を使用することによって、50Hz又は60Hzのいずれの商用交流電源にも対応できる。検出されたLEDランプ6の点滅状態は、通信データ取得部15によってビット列データに復調され通信データに変換される。規格化された撮像方式のビデオカメラ12を用いることによって、通信データを取得するための画像処理等が簡素化される。このように、本実施形態によれば、街路灯1と車両10との路車間通信において、街路灯1側及び車両10側の双方の処理を簡素化することができる。
【0050】
また、車両10には車両位置検出装置17が搭載される。車両10に搭載された車載器11は、街路灯1のID番号と街路灯高さ情報とを取得し、車両10と街路灯1との間の距離Dを推定する。車両位置検出装置17では、車両10の現在位置を特定する車両位置情報をGPS測位部18がGPS衛星との通信によって取得する。車載器11が取得した街路灯1のID番号から車両位置情報補正部20が街路灯1の位置を特定する。特定された街路灯1の位置と車載器11が推定した車両10と街路灯1との距離Dとに基づいて、GPS測位部が取得した車両10の現在位置を、車両位置情報補正部20が補正する。すなわち、車両10の現在位置の補正に必要な街路灯1の位置情報と、車両10と街路灯1との距離Dとの双方が、本実施形態の路車間通信システムから供給される。従って、光ビーコン等の新たな専用設備を必要とせず既存の設備を利用して車両10の現在の位置を補正することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、ビット列データのビットが“0”のときは商用交流電源周期の1周期分の期間を点滅制御リレー5をオンにし、ビットが“1”のときは点滅制御リレー5をオフにしたが、ビット列データのビットが“0”のときは商用交流電源周期の1周期分の期間を点滅制御リレー5をオフにし、ビットが“1”のときは点滅制御リレー5をオンにしてもよい。この場合は、ビット列データのビットが“0”のとき、LEDランプ6は商用交流電源周期の前半の1/2周期の期間に1回点滅し、後半の1/2周期分の期間は消灯し、ビット列データのビットが“1”のとき、LEDランプ6は商用交流電源周期の1周期の期間に2回点滅する。また、LEDランプ6を商用交流電源周期の1周期分の期間に1回点滅させる場合、前半の1/2周期の期間は消灯させ、後半の1/2周期分の期間に点灯させてもよい。この場合は、ビデオカメラ12の撮像のタイミングは商用交流電源周期の前半の1/2周期の期間中央付近にすることが望ましい。
【0052】
また、1回の通信データのビット列データは本実施形態の25ビットに限定されず、必要に応じて25ビットよりも拡張又は短縮してもよい。また、通信データの区切コード部B及びデータ部Aのビット列の形式は、本実施形態(区切コード部Bは4ビット連続“0”であり、データ部Aは3ビットごと“1”を立てる)に限定されず、通信データのデータ部が区切コード部によって識別できるものであればよい。例えばデータ部との識別が可能な特殊なビットパターン等であってもよく、また区切コード部をデータ部の開始部分及び終了部分等の複数箇所に設けてもよい。
【0053】
また、街路灯1のLEDランプ6の点滅周期は商用交流電源周期の1/2の点滅周期に限定されず、例えば商用交流電源周期の1/2の点滅周期よりも早い周期で点滅させてもよい。この場合は、路車間通信の通信速度を早めることができる。
【0054】
また、発光構造体は街路灯に限定されず、例えば、LED発光部を有する交通信号機等であってもよい。また発光構造体の種類は街路灯の1種類に限定されず、例えば街路灯及び交通信号機等の複数種類が混在してもよい。
【0055】
また、街路灯1の位置の特定のために通信データに含める街路灯位置情報は、街路灯1のID番号に限定されず、例えば街路灯1の位置を直接的に示す緯度、経度情報等であってもよい。
【0056】
また、車両位置検出装置17は、車両10の現在の位置を表示器21に表示したが、これらの情報を用いて所定の処理を実行する他の装置(例えば車両10の運転支援装置等)に出力してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、車載器11と車両位置検出装置17とをそれぞれ個別の装置としたが、車両位置検出装置17に車載器11の機能を付加してもよい。この場合は、車両位置検出装置を搭載する既存の車両において、街路灯1と車両との路車間通信を容易に適用して車両位置の補正をすることができる。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、LED発光部を備えた発光構造体と車両との路車間通信システムとして広く適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 街路灯
2 電源部
3 LED駆動部
4 整流回路部
5 点滅制御リレー
6 LEDランプ(LED発光部)
7 ECU
8 LED駆動制御部(LED駆動制御手段)
10 車両
11 車載器
12 ビデオカメラ(撮像手段)
13 ECU
14 街路灯画像抽出部(発光構造体画像抽出手段)
15 通信データ取得部(通信データ取得手段)
16 距離推定部(距離推定手段)
17 車両位置検出装置
18 GPS測位部(車両位置情報取得手段)
19 ECU
20 車両位置情報補正部(車両位置情報補正手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7