(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896314
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】浮力構造システムと浮体式洋上風力発電システム
(51)【国際特許分類】
F03D 9/30 20160101AFI20160317BHJP
F03D 80/00 20160101ALI20160317BHJP
【FI】
F03D9/00 G
F03D11/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-171175(P2014-171175)
(22)【出願日】2014年8月26日
(62)【分割の表示】特願2012-130235(P2012-130235)の分割
【原出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2014-219012(P2014-219012A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-127719(P2011-127719)
(32)【優先日】2011年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511138722
【氏名又は名称】永田 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】永田 龍彦
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−251139(JP,A)
【文献】
特開2004−176626(JP,A)
【文献】
特開2005−041253(JP,A)
【文献】
特開2004−044508(JP,A)
【文献】
特開2007−331414(JP,A)
【文献】
特開2005−201194(JP,A)
【文献】
特開2003−072675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 9/30
F03D 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二等辺三角形を形成する位置に設置された水面に接する近傍にある3つのメインフロートと、それぞれのメインフロートの下部に設置された結合部と、それぞれの結合部の下部に設置された姿勢安定用のウエイト部分と、それぞれのメインフロート上部に設置された支柱と、それぞれの支柱の上端部に設置された風車と、それぞれの風車に接続された発電ユニットと、それぞれの結合部をつなぎ側面形状が並行四辺形を形成するよう配置された6本の水平支柱と、それぞれの結合部と水平支柱を回転自在に結合する為の継ぎ手からなる事を特徴とする浮力構造システム。
【請求項2】
複数の浮力構造システムを連結する場合において浮力構造システムの2個の結合部と、二等辺三角形を形成する位置に設置される追加の結合部と、追加される結合部と浮力構造システムの2個の結合部を側面形状が並行四辺形を形成する様に結合する為の各2本の水平支柱と、浮力構造体の結合部と水平支柱を回転自在に結合する為の継ぎ手と、追加される結合部上部に設置されたメインフロートと、追加される結合部の下部に設置されたウエイト部分と、追加されるメインフロート上部に設置された支柱と、追加される支柱の上端部に設置される風車と、追加される風車に接続される発電ユニットからなる請求項1に記載の浮力構造システム。
【請求項3】
外部からの信号により浮力構造システムの水位を調整する事を特徴とする請求項1と請求項2の何れかに記載の浮力構造システム。
【請求項4】
自己安定型垂直軸風力発電ユニットが組み込まれた事を特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の浮力構造システム。
【請求項5】
潮流発電用ユニットが設置された事を特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の浮力構造システム。
【請求項6】
波力発電用ユニットが設置された事を特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の浮力構造システム。
【請求項7】
3角形を形成する浮力構造システムの中間位置又はその近傍に養魚用生簀が設置されている事を特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の浮力構造システム。
【請求項8】
生け簀は上下する為の機構を有し、餌の供給装置を備えている事を特徴とする請求項7に記載の浮力構造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電に係り、特に自己安定型垂直軸風車を設置した、水深のある洋上で使用される浮体式洋上風力発電に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の枯渇及び地球温暖化対策の一環として石油や石炭を使用しない発電が注目を集めている。
特に、昨年の東日本大震災に伴う福島原子力発電所の大事故以来、原子力や石油、石炭以外の再生可能エネルギーへの注目が非常に高まっている。
その中でも、太陽光発電や風力発電が重要な役目を担おうとしている。
【0003】
太陽光発電に関しては、各家庭の屋根等に設置する小規模発電の場合は屋根のスペースを有効に活用出来るのでメリットが有る。しかし、大規模太陽光発電の場合は、大きな面積の太陽光パネルを設置する必要があるが、この場合はその代わりに森林や畑等の緑地を潰す事になり、地球温暖化対策の観点からは逆行する事になり、好ましくない。つまり、太陽光発電の場合には、例えば100のエネルギーを得ようとすれば100に相当する緑地が無くなる事になる。例え、その土地が現在遊休状態であっても、近い将来くるであろう全地球上の人口爆発に伴う食糧危機の場合には、それらの土地は直ぐ食糧生産の為に利用する必要があり、その場合は太陽光パネルを撤去する事になり、恒久的なエネルギー対策には不向きである。
【0004】
それに比べ、風力発電の場合は、例えば太陽のエネルギーを広い太洋で吸収した結果、強い風が発生し日本に来る事になり、エネルギーの集合、蓄積、積分と言う観点から太陽光発電に比べ、遥かに大きなメリットが有る。つまり、日本の面積よりもはるかに広い太洋で蓄積された熱エネルギーを利用する事になるので、風力発電の為に利用される緑地面積は皆無に近い。
勿論、洋上発電施設から海底ケーブル等で送られて来る電力の処理をする為の施設が陸上に必要ではあるが、大きな面積は必要ない。
【0005】
風力発電に関しては、現在は水平軸風車が主流を占めているが、陸地に設置される場合が殆んどで、近くに民家等があり、騒音等の問題の為に、設置が進んでいない地域も有る。例えば日本等は正にその例である。
水平軸風車の場合は風車軸周りの加重が偏加重となっており、垂直性の維持が非常に困難であり、更に、常に風に正対する必要が有る為に、目まぐるしく変化する風向への対応は非常に困難である。
特に、洋上発電の場合はその事が顕著で、特に全地球の60%以上を占有する100m以上の深海域の場合は浮体方式にするしか方法が無く、水平軸風車の適用は非常に厳しく、高いハードルが有あり、実現は困難である。
【0006】
垂直軸風車の場合は風車の回転軸中心と風車取り付けタワーの中心とは完全に一致するので、例え浮体方式の場合も技術的には特に問題は無い。
【0007】
この様に、洋上風力発電は周りを海で囲まれた国にとっては非常に重要であり、これからは主流となる事は疑いの余地は無い。水深が有る場合は浮体式風力発電の設置が必須条件であるが、現在、世界中の何処を探しても、その様な水平軸風車は実用化されていない。特に、水深が有り、風向が目まぐるしく変わる地域では、風向を気にしない垂直軸風車が有効であるとして、最近、注目を集めて世界中で色々とトライされているが、今のところ実用化の目途が立っている方式は報告されて居ない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】さらなる風を求めて 垂直軸風車 関和市、牛山泉 共著 p31〜p41
【非特許文献2】風力エネルギー読本 牛山泉著 p210−p218
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
色んな風況下での垂直軸風車の効率の良い使用形態及び効果的な保護対策について考える。
【0010】
課題1はどんな強風下に於いても風車の回転を止めず、破壊されない事。
一般的には、台風等の強風が吹く場合は、ブレーキ等により風車を強制的に止めて風車の破損を防止する処置が取られる。此の場合は、強力な台風のエネルギーの為に強力なブレーキシステムが必要になり、風車の強度向上の必要性やコストアップ等問題になってくる。更に、台風等の強烈な乱気流が渦巻いている場合は止まっている特定の風車翼が大きな力を集中的に受ける場合があり、破壊が集中する危険性がある。回転していれば、その様な力は分散、平均化されるので問題が発生しずらい。
更に、もし、強風下において風車を停止すれば、折角の強力な台風のエネルギーを無駄にする事になる。
【0011】
課題2はどんな風況下に於いても浮体構造体の垂直性の維持をする事。
水平軸風車にせよ、垂直軸風車にせよ、台風やハリケーン等による強力な風や波浪等により風車軸が影響を受けて傾いたり、激しい上下動を繰り返す様では、安定な発電をする事は不可能であり、トラブル発生の要因ともなる。どんな風況下に於いても風車軸の垂直性確保や上下動の沈静化は必須条件である。
【0012】
課題3は洋上風車が設置される周辺海域における海洋生物に悪影響を与えない事。
洋上に於ける大規模発電を行う為には、多数の風車を設置する必要があるが、この場合は、設置される海域に於いて海洋植物、魚介類等の海洋生物に悪影響を与えない事が必要であり、その為には太陽光や潮流等を遮断しない事が必須条件になる。その事により、漁業との協業が可能となり、短期間に広い水域への洋上風力発電の展開が可能となる。
【0013】
課題4は出来るだけトラブルを少なくし、メンテナンスフリーである事。
洋上風力発電は陸地から離れた、水深のある海域での長時間の無人運転が必須になるが、その為にはメンテナンスフリーが重要な条件となる。然るに、現在良く使用されている風車の大部分が、水平軸風車、垂直軸風車共に増速ギア付発電機を使用している。この方式の発電機はギアの磨耗の為に定期的に交換等のメンテナンスが欠かせない。これは定期的な発電の中断やメンテナンスコスト等の問題を抱えている。
洋上風力発電によって相当な割合の発電量を賄う為には、上記、課題1〜課題4までの問題が完全に解決される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は水面に接する近傍にあるメインフロートと、フロートの下部に設置された結合部と、結合部の下部に設置された姿勢安定用の重し部分と、メインフロート上部に設置された支柱と、支柱の上端部に設置された風車と、風車に接続された発電ユニットからなる浮体式洋上風力発電システムを提供する事により、課題2を解決したものである。
【0015】
本発明は外部からの信号により浮力構造体の水位を調整する事を特徴とする請求項1に記載の浮体式洋上風力発電システムを提供する事により、課題2を解決したものである。
【0016】
本発明は自己安定型垂直軸風力発電ユニットが組み込まれた事を特徴とする請求項1から請求項2に記載の浮体式洋上風力発電システムを提供する事により、課題2を解決したものである。
【0017】
本発明は潮流発電用ユニットが設置された事を特徴とする請求項1から請求項3に記載の浮体式洋上風力発電システムを提供する事により、課題2を解決したものである。
【0018】
本発明は波力発電用ユニットが設置された事を特徴とする請求項1から請求項4に記載の浮体式洋上風力発電システムを提供する事により、課題2を解決したものである。
【0019】
本発明は2個の浮力構造体と、2個の浮力構造体に対して並行四辺形を形成する為の2本の水平支柱と浮力構造体と水平支柱を回転自在に結合する為の継ぎ手とからなる請求項1から請求項5の何れかに記載の2連浮力構造システムを提供する事により、課題2を解決したものである。
【0020】
本発明は2連浮力構造体システムとその中の2個の浮力構造体と二等辺三角形を形成する位置に設置される追加の浮力構造体と、追加される浮力構造体と他の2個の浮力構造体を並行四辺形を形成する様に結合する為の各2本の水平支柱と浮力構造体と水平支柱を回転自在に結合する為の継ぎ手からなる事を特徴とする請求項6に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0021】
本発明はN連浮力構造システムにおいて、その内の2個の浮力構造体と二等辺三角形を形成する位置に設置される追加の浮力構造体と、追加される浮力構造体と他の2個の浮力構造体を並行四辺形を形成する様に結合する為の各2本の水平支柱と浮力構造体と水平支柱を回転自在に結合する為の継ぎ手からなる請求項7に記載の浮体構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0022】
本発明は水平支柱と回転継ぎ手を結合するピン1と、回転結合継手からなる回転結合部と、回転結合部同志を結合する為のピン2と、締め付け金具1と、締め付け金具2と、回転結合部と締め付け金具を結合するピン2と、締め付け金具1と締め付け金具2を固定し、締め付ける役目を持つボルトからなる請求項6から請求項8の何れかに記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3と課題4を解決したものである。
【0023】
本発明は回転結合部が2個により構成される事を特徴とする請求項9に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3と課題4を解決したものである。
【0024】
本発明は回転結合部が3個により構成される事を特徴とする請求項9に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3と課題4を解決したものである。
【0025】
本発明は回転結合部が4個により構成される事を特徴とする請求項9に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3と課題4を解決したものである。
【0026】
本発明は回転結合部が6個により構成される事を特徴とする請求項9に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3と課題4を解決したものである。
【0027】
本発明は3角形を形成する浮力構造体の中間位置又はその近傍に養魚用生簀が設置されている事を特徴とする請求項7から請求項8に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0028】
本発明は生け簀は上下する為の機構を有し、餌の供給装置を備えている事を特徴とする請求項14に記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0029】
本発明は一辺の浮力構造体の数が3個以上ある場合に、両端の2個を除いた中間の浮力構造体を間引いた事を特徴とする請求項6から請求項13の何れかに記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0030】
本発明は通常は最小の長さを維持しているが、浮力構造体が上下動する時には必要に応じて伸び縮みをする水平支柱から構成される事を特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0031】
浮力構造体のフロート部と最下部のウエイト部の略中間位置から略水平方向に伸びるワイヤと伸びた先端部から上方向に伸びるワイヤと下方に延びるワイヤと、上方向に伸びるワイヤの先端に結合される外部フロート部と下方に伸びるワイヤの先端に結合されるアンカー部とからなるアンカーシステムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0032】
本発明は最低2個以上のアンカーシステムから構成される事を特徴とする請求項6から請求項14の何れかに記載の浮力構造システムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0033】
本発明は浮力構造体のフロート部下部を出てプーリーを経由して浮力構造体の最下部にあるウエイト部上部に至るワイヤと回転自在のプーリー保持部とプーリー保持部から略水平方向に伸びて外部フロート部からのワイヤとアンカー部からのワイヤの結合点に至るワイヤとから構成される事を特徴とする請求項16と請求項17の何れかに記載のアンカーシステムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0034】
本発明はモーターによって駆動されるプーリー保持部とプーリー保持部から出る水平ワイヤと浮力構造体のフロート部下部を出てプーリーを経由して浮力構造体の最下部にあるウエイト部上部に至るチェインとから構成される事を特徴とする請求項18に記載のアンカーシステムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【0035】
本発明は浮力構造体のフロート部下部近くに設置されるモーター駆動付のプーリー保持部と浮力構造体の最下部にあるウエイト部上部近くに設置される回転自在のプーリー保持部とモーター駆動付のプーリー保持部と回転自在のプーリー保持部を経由して外部フロート部からのワイヤとアンカー部からのワイヤの結合点から伸びる略水平方向のワイヤと結合するチェインとから構成される事を特徴とする請求項15から請求項18の何れかに記載のアンカーシステムを提供する事により、課題2と課題3を解決したものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、自己安定型垂直軸風車の採用により、どの様な強風下においても決して停止する事無く、所定以下の回転数を維持し、遠心力等による破壊を防ぎ、強風の強力な風エネルギーを有効に発電に利用し、常に安定した発電が保障される。
更にダイレクトドライブ方式の発電方式を採用する事によりギア等の摩擦を完全に無くし、メンテナンスフリーを実現し、陸地から離れた海域などに安心して設置する事が可能となる。
本発明によれば、多数の浮力構造体が2本の水平バーにより並行四辺形として安定的に結合される事により、どの様な気象条件においても使用が保障される。又、3角形に配置される風車の中間領域は素通しである為、太陽光、潮が自由に通過出来、魚、貝等の養殖をする事が出来る。この事により、養漁業等とのコラボレーションが可能となり、海域または水域を共有出来るので、養魚業者のコンセンサスを得る事が可能となり、洋上風力発電の早期の導入が可能となる。
この事により全地球の6割以上を占める広大な深海域に於ける発電が可能となり、太陽光発電の様に緑地を発電の為に利用する必要が無い為に、少ない緑地を減らす必要が無く、将来の食料危機対策としても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の自己安定型垂直翼風車が浮力構造体上に設置されている斜視図(A)と側面図(B)である。
【
図2】上記
図1に記載の浮力構造体の自動水位調整のコンセプトを表している断面図である。
【
図3】浮力構造体に潮流発電用ユニットが設置されている斜視図である。
【
図4】浮力構造体に波力発電用ユニットが設置されている側面図である。
【
図5】上記
図1の浮体式浮力構造体が2個、2本の水平支柱により並行四辺形を構成する様に結合されている状態の斜視図である。
【
図7】上記
図5に1個の浮体式浮力構造体が結合され、3角形結合体を構成しようとする状態の斜視図である。
【
図8】上記
図5が完全に結合した状態の斜視図である。
【
図9】上記
図8の三角形結合浮体構造システムの垂直性維持特性に関する評価データを示す表である。
【
図10】上記
図8の三角形結合浮体構造システムの垂直性維持特性に関する評価データに基づくグラフである。
【
図11】上記
図8の三角形結合浮体構造システム中間に養魚用生け簀が設置されている状態を表している。生簀は水面近くに設置されている。
【
図12】上記
図8の三角形結合浮体構造システム中間に養魚用生け簀が設置されている状態を表している。生簀は深く沈んでいる状態を表している。
【
図13】上記
図8の三角形結合浮体構造システム中間に養魚用生け簀が設置されている状態を表している。生簀の上下動を管理し、餌の供給を行うユニットを表している。生簀は水面近くに設置されている。
【
図14】上記
図8の三角形結合浮体構造システム中間に養魚用生け簀が設置されている状態を表している。生簀の上下動を管理し、餌の供給を行うユニットを表している。生簀は深く沈んでいる状態を表している。
【
図15】上記
図8の三角形結合浮体構造システム中間に養魚用生け簀が設置されている状態を表している。生簀は水面近くに設置されている。水平支柱結合用可動継ぎ手が表記されている。
【
図16】上記
図15の三角形結合浮体構造システムを拡大表記している図である。
【
図17】上記
図8の三角形結合浮体構造システムにおいて水平支柱結合用可動継ぎ手を拡大している図である。
【
図18】水平支柱結合用可動継ぎ手だけを拡大表記した図である。
【
図19】三連風車が風車を1個ずつ結合して、4連、5連、6連、7連等とシステム化される概念を表している図である。
【
図20】上記
図8の3角形結合体がマルチ化された7連直列結合状態の斜視図である。
【
図21】上記
図8のマルチ化された7連直列結合体の間に養魚用生け簀が設置された状態の斜視図である。
【
図23】上記
図22のシステムで中間の風車を間引いた状態を表している。
【
図25】上記
図24のシステムで中間の風車を間引いた状態を表している。
【
図27】上記
図26のシステムで中間の風車を間引いた状態を表している
【
図28】3本の水平支柱結合用可動継ぎ手だけを拡大表記した図である
【
図29】4本の水平支柱結合用可動継ぎ手だけを拡大表記した図である
【
図30】6本の水平支柱結合用可動継ぎ手だけを拡大表記した図である
【
図31】3連風車用アンカーシステムの基本的なコンセプトを示す図である。
【
図32】3連風車用アンカーシステムの浮力構造体の姿勢制御対策NO1を示す図である。水平ワイヤの3角形結合。
【
図33】3連風車用アンカーシステムの浮力構造体の姿勢制御対策NO2を示す図である。上記
図32の3角形結合の頂点部に回転自在のプーリーを設置する。
【
図34】3連風車用アンカーシステムの浮力構造体の姿勢制御対策NO3を示す図である。上記
図32の3角形結合の頂点部にモーター駆動のプーリーを設置する。
【
図35】3連風車用アンカーシステムの浮力構造体の姿勢制御対策NO4を示す図である。上記
図32の3角形結合のフロート部側にモーター駆動のプーリーを設置する
【
図36】7連六角形結合システム用アンカーシステムの図である。
【
図37】水平軸風車用3角形システム用アンカーシステムの図である。
【
図38】水平軸風車用7連直列結合システム用アンカーシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。
本発明は名前の示すとおり、先ず、垂直軸風車の自己安定を図る為の方策について述べる。
【0039】
図1(A)は自己安定型垂直軸風力発電ユニットが組み込まれた浮力構造体を示した斜視図である。メインフロート21の下部に結合用構造体22を介して姿勢安定用のバラスト23が設置され、メインフロート21の上部に風車軸4が設置され、その上端に風車が設置されている。
図2は浮力構造体の水位調整について表している図である。外部信号によって比重の小さな物質をフロート下部の結合用構造体に注入する事により水が軽い物質に置換される事により浮力構造体が軽くなり浮力構造体が上に持ち上がる。
図2(A)は通常の状態で、一番浮き上がっている。
図2(B)は少し沈んでいる状態で、波が高い場合に利用する。
図2(C)はメインフロート部も水没している状態で、強烈な波浪や高い津波等の時に利用するが、メインフロートも水没しているので、波の影響を受けにくく、風車軸の激しい上下動を抑える事が可能である。
外部信号とは水位、波の振幅、浮力構造体の上下動幅等のセンサー信号や外部の制御センターからの台風や津波等に基づく危険信号等である。
【0040】
この浮力構造体は高い波に対しても安定した姿勢を維持する事が出来るので、潮流発電用ユニットや波力発電ユニットを併設する事が可能である。
図3は2個のプロペラ付潮流発電ユニットが浮力構造体に設置されている状態を示している。
図4は2個の波力発電ユニットが浮力構造体に設置されている状態を示している。
フロート55の上下によりマグネット56が回転し、コイル57との間で発電を行う1事が出来る。
【0041】
図5は2個の浮力構造体22が2本の水平支柱24により、平行四辺形を形成する様に回転自在に結合された浮力構造システムの斜視図で、
図6は側面図である。このシステムは2本の水平支柱24により並行四辺形を形成する様に回転自在に結合されているので、片方の浮力構造体22が強い波等により傾斜しようとしても、他方の浮力構造体22により保持されているので、問題無い。
【0042】
図7は上記2個の浮力構造体22が2個の浮力構造体22と二等辺三角形を形成する位置に配置される追加の浮力構造体22により、各2本の水平支柱24により、回転自在に結合され、三角形を形成しようとしている状態の斜視図である。3個の浮力構造体22は各2本の水平支柱24により結合される。
図8は上記
図64の状態から、三角形結合が完了した状態の斜視図である。
【0043】
図9は波の上下動に対して、浮力構造体の垂直性維持特性を実験で出した結果である。
浮力構造体の浮力大きさを3段階で変えたデータを取った。
▲1▼ Weight−3の浮力=2×(Weight−2の浮力)=2×〔1.5×(
Weight−1の浮力)〕
▲2▼ 水平支柱の傾き角度に対して浮体構造体の傾き角度(パラメータ=浮力)
▲3▼ 結果 → 例えば、水平支柱の最大傾き角度11.2° に対して
* Weight−1の傾き角度=5°
* Weight−2の傾き角度=4.3°
* Weight−3の傾き角度=1.7°
計算すると、Weight−3の減衰効果=1.7°/11.2°=0.15=15%
つまり、Weight−3は浮体構造体の傾きを15%に抑える事が出来た事になる。
もし、浮体構造体の浮力をもっと大きくすれば、更に減衰効果は大きくなる可能性がある。
図10のグラフは減衰効果を表している。
これで本発明の効果が実際に証明された事になる。
【0044】
この三角形の中心付近に後述の養魚用生け簀25を配置する事が可能である。
図11は3角形結合浮力構造体の中心に生け簀25が配置されている状態である。
図12は生け簀25が数十メーター下に沈んでいる状態を表している。
これは波浪が高い場合や赤潮等が発生している時に魚を守るために沈める事がある。
図13は生け簀25の上下を行う為の機構である。これは更に底に沈んでいる生け簀の魚に餌を自動的に与える機能もあわせ持っている。
図14は生簀が底に沈んでいる状態を表している。
【0045】
図15は回転結合部59を具体的に表した3角形浮力構造体を表している。
図16及び
図17は回転結合部59の理解を深める為に拡大している図である。
図18は回転結合部だけを拡大表示している。
図28は3水平支柱の回転結合部を拡大した状態である。
図29は4水平支柱の回転結合部を拡大した状態である。
図20は6水平支柱の回転結合部を拡大した状態である。
【0046】
図19は上記三角形浮力構造システムに上記
図7及び
図8のやり方と同じ手法により、3連、4連、5連、6連、7連と風車の数を増やしていけるマルチ化システムの可能性を示している。
図20はその様な手法によって増やした7連洋上風力発電システムを表している斜視図である。
図21は上記
図20において、三角形の空間の中に養魚用生け簀25が5個配置された状態を表している斜視図である。
【0047】
図23は
図22の6連3角形結合浮力構造体の中間で浮力構造体を間引いた状態を示している。
図25は
図24の12連直列のシステムの中間で浮力構造体を間引いた状態を示している。
図27は
図26の19連6角形結合システムの中間で浮力構造体を間引いた状態を示している。
【0048】
図31は3角形浮力構造体の位置保持の為のアンカーシステムを表している。
このシステムの特徴は外部フロート73を水面上に浮かす事により、水位がどの様な水深になっても浮力構造体に繋がっている水平ワイヤ69の高さ位置が変わらない為に、いつも同じ様な位置で引っ張り、浮力構造体の垂直性に悪影響を与える事が無い事である。
図32は
図31の変形版である。
図33はY字の結合点を回転自在のプーリーに置き換えたシステムである。
図34は
図33のプーリーをモーター駆動のプーリーで置き換えたシステムである。
図35は
図34のシステムにおいて、モーター駆動のプーリーを浮力構造体上部に移動した状態である。
図36は7連5角形結合浮力構造体用のアンカーシステムを表している。
図37は3角形結合浮力構造体に水平軸風車が載っているシステムにアンカーシステムが結合した状態である。
図38は7連直列結合浮力構造体に水平軸風車が載っているシステムにアンカーシステムが結合した状態である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
深い水域での浮体式風力発電は本発明の最もターゲットとする分野であり、漁業とのコラボレーション等により早期の立ち上げ、運用が期待出来、将来の必要電力の相当な割合は供給出来るものと期待される。
更に、本発明によれば、風向を気にしない垂直軸風車であり、且つ、垂直翼が回転によるは刃ね出来るので、突風や高速回転等の過大な力による破損を避ける事が可能である。 この事により、無人での長期間の安定的な運用が可能となる。
【0050】
例えば、高速道路や新幹線等の広大、長大な空間に一定間隔で設置すれば莫大な数の風車を設置出来、必要な電力の或る割合を賄う事が可能となる。この場合、両方とも騒音問題はあまり問題にならないので、設置に関する地域住民その他、関係者の理解を得る事はそんなに困難では無い。
【0051】
更に、海外に目を向けると、温暖化現象により、各地で砂漠化が進行しているが、この地域に膨大な数の風車を設置し、垂直軸風車の特徴を生かして直接地下水を汲み上げる事が出来る。或いは垂直軸風車で発電した電力により地下水を汲み上げるか、又は、水を生成し、緑地化を進める事が出来れば、砂漠を緑地に変える事も夢では無い筈であり、発明者はその事を強く望み、夢で終わらせない様に、努力を惜しまない所存である。
【符号の説明】
【0052】
21 メインフロート
22 結合用円柱
23 姿勢安定用バラスト
24 浮力構造体結合用水平支柱
25 養魚用生け簀
51 プロペラ
52 発電機
53 回転保持機構
54 回転アーム
55 フロート
56 マグネット
57 コイル
58 ハウジング
59 可動継ぎ手
60 水平支柱結合ピン
61 水平支柱結合体
62 締め付け金具−1
63 締め付け金具−2
64 可動継ぎ手用ピン
65 ボルト
66 垂直翼回転保持部−2
67 垂直翼角度保持部−1
68 垂直翼角度保持部−2
69 水平ワイヤ
70 フロート結合ワイヤ
71 アンカー結合ワイヤ
72 アンカー
73 外部フロート
74 Y字結合ワイヤ
75 回転自在プーリーAssy
76 モーター駆動プーリーAssy(Y字の頂点部に配置)
77 モーター駆動プーリーAssy(フロート部下部に配置)
78 回転自在プーリーAssy(ウエイト部上部に配置)