【実施例】
【0019】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0020】
実施例1(抽出物の調製)
1)マルメロ果皮エタノール抽出物
果皮80gにEtOH320mLを加え、常温、1週間浸漬後、ろ紙でろ過し、抽出液300mLを得た。
固形分濃度 33.7mg/mL(固形分収率12.6%)
2)マルメロ果肉エタノール抽出物
果肉200gにEtOH800mLを加え、常温、1週間浸漬後、ろ紙でろ過し、抽出液800mLとした。
固形分濃度24.2mg/mL(固形分収率9.7%)
3)マルメロ果皮熱水抽出物(果皮熱水15min)
果皮100gを熱水300mLに加え、15分間煮沸し、ガーゼおよびろ紙でろ過し、抽出液300mLとした。
固形分濃度29.8mg/mL(固形分収率8.9%)
4)マルメロ果肉熱水抽出物(FSE)
果肉200gを熱水600mLに加え、15分間煮沸し、ガーゼおよびろ紙でろ過し、抽出液600mLとした。
固形分濃度33.9mg/mL(固形分収率10.2%)
5)マルメロ果肉熱水抽出物(FLE)
果肉100gを熱水300mLに加え、3時間煮沸し、ガーゼおよびろ紙でろ過し、抽出液300mLとした。
固形分濃度38.3mg/mL(固形分収率11.5%)
6)マルメロ種子エタノール抽出物(種子EtOH)
種子20gにEtOH80mLを加え、常温、1週間浸漬後、ろ紙でろ過し、抽出液80mLとした。
固形分濃度0.73mg/mL(固形分収率0.3%)
7)マルメロ種子10%EtOH抽出物(種子10%EtOH)
種子20gに10%(v/v)EtOH280mLを加え、常温、1週間浸漬後、ざるおよびブフナーロートで吸引ろ過し、抽出液250mLを回収した。
固形分濃度12.9mg/mL(固形分収率16.0%)
【0021】
実施例2(皮膚角化細胞におけるTARC発現に対する作用)
皮膚角化細胞が誘導する免疫担当細胞誘因性サイトカイン(ケモカイン)のうち、TARCへの影響を評価した。TARCは、アレルギー型免疫応答の司令塔となるTh2型細胞を誘因するケモカインであり、IgE抗体とならび近年アトピー性皮膚炎の病態との相関が強いマーカーとして認識されてきている。これを抑制することは皮膚炎に炎症性免疫応答の起点をつくることを妨げることから、炎症の軽減につながることが期待されている。
【0022】
(方法)
ヒト皮膚角化細胞株HaCaTの培養系にマルメロ各部位の抽出物を加え、24時間培養後に細胞を洗浄し、TNF−α及び/又はIFN−γの6時間刺激によりTARC発現を誘導した後の発現量について定量PCR法により確認を行った。
【0023】
(結果)
(1)10ng/mL TNF−α+10ng/mL IFN−γによるTARC誘導に対する効果を
図1に示す。
図1中、NCはネガティブコントロールであり、TNF−α及びIFN−γによる刺激をしない場合である。PCはポジティブコントロールであり、TNF−α及びIFN−γのみの刺激をした場合である。
図1より、マルメロ果肉熱水抽出物(FSE)及びマルメロ果皮熱水抽出物にTARC発現抑制作用が認められ、マルメロ果皮熱水抽出物のTARC発現抑制作用が強かった。
【0024】
(2)20ng/mL TNF−αによるTARC誘導に対する効果を
図2に示す。
図2中のNCとPCは、
図1と同じである。
図2より、マルメロ種子エタノール抽出物が、強力なTARC発現抑制作用を有することが判明した。また、マルメロ種子エタノール抽出物の添加量を20ng/mLから7000ng/mLに段階的に増加させることにより、さらにTARC発現抑制作用が増強することを確認した。
【0025】
実施例3(マウス皮膚における抗アレルギー作用)
(1)マルメロ種子エタノール抽出物(種子EtOH)の調製
マルメロ種子をエタノール(特級品99.5%)で1週間室温で浸漬した。抽出液を二重の市販ガーゼでろ過し、No.2ろ紙でろ過した。得られた抽出液に適量の水を加え、ロータリーエバポレーターで40℃でエタノールを除去し、得られた懸濁液をフリーザーで凍結した。抽出物の固形分収率は0.4%であった。
【0026】
(2)マウス皮膚における抗アレルギー作用
(方法)
10週齢のNC/Nga系雌性マウスを、コントロール群、0.1%種子抽出物(0.1%SE固形分)塗布群及び1%種子抽出物(1%SE固形分)塗布群(各群6匹)に分けた。マウスの背部毛を剃り、0〜28日の間1週間に2回背部をSDSで処理して皮膚のバリア機能を低下させた後、EtOH(コントロール群)、種子抽出物を0.1%含むEtOH(0.1%SE塗布群)、種子抽出物を1%含むEtOH(1%SE塗布群)を1匹あたり100μL塗布した。加えて7日〜28日の間1週間に2回(種子EtOH塗布と同日)背部にダニ抗原入り軟膏を1匹あたり100mg塗布した。その後1週間に1回ずつ、Allergology International, Vol 56, No.2, 2007:139-148の記載に従って皮膚症状スコア(発赤、痂皮形成・乾燥、浮腫、擦傷・組織欠損)を測定した。また、28日目のマウス皮膚背部におけるTARC遺伝子発現量を測定した。さらに、28日目のマウス背部皮膚における病理組織学的検査を行った。
【0027】
(結果)
(1)マウスの皮膚症状スコアの変化を
図3に示す。
図3から明らかなように、種子EtOH(
図3中SE)塗布により、アトピー性皮膚炎モデルであるNC/Nga系マウスに対して有意な皮膚症状の低下をもたらした。
また、種子EtOH塗布群は、病理組織学的検査におけるHE染色標本で、表皮の痂皮形成及び表皮の肥厚を抑制し、真皮及び皮下組織の炎症性細胞の浸潤を抑制した。また、種子EtOH塗布群は、トルイジン青染色標本で、真皮及び皮下組織での肥満細胞出現度を抑制した。
【0028】
(2)マウス皮膚背部におけるTARC遺伝子発現量の測定結果を
図4に示す。
図4より、種子EtOH(
図4中SE)塗布により、NC/Nga系マウスのTARC遺伝子発現量が有意に低下した。
【0029】
[処方例1]クリーム
下記の処方(単位は質量%)により、クリームを製造した。
(1)精製水 69.9
(2)メチルパラベン 0.15
(3)ジプロピレングリコール 2.5
(4)オリーブ油 12.0
(5)硬化油 4.0
(6)パルミチン酸イソプロピル 1.8
(7)セタノール 1.5
(8)ステアリン酸 3.5
(9)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.8
(10)モノステアリン酸ソルビタン 0.2
(11)ポリオキシエチレンステアリルエーテル 1.0
(12)プロピルパラベン 0.05
(13)ジステアリン酸ポリエチレングリコール(1) 0.5
(14)フェノキシエタノール 0.3
(15)マルメロ種子10%EtOH抽出物(種子10%EtOH) 1.0
【0030】
〔製法〕上記成分(1)に(2)、(3)を加え80℃に加熱溶解し水相とする。成分(4)〜(13)を80℃に加熱溶解し油相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却する。成分(14)、(15)を加え、30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
【0031】
[処方例2]乳液
下記の処方(単位は質量%)により、乳液を製造した。
(1)精製水 91.9
(2)ジプロピレングリコール3.0
(3)キサンタンガム 0.2
(4)メチルパラベン 0.2
(5)モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.3
(6)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 0.9
(7)オリーブ油 2.5
(8)マルメロ種子10%EtOH抽出物(種子10%EtOH) 0.1
【0032】
〔製法〕上記成分(1)に(2)、(3)を加え80℃に加熱溶解し水相とする。成分(4)〜(7)80に加熱溶解し油相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却する。成分(8)を加え、30℃まで攪拌冷却して乳液を得た。
【0033】
[処方例3]リキッドファンデーション
下記の処方(単位は質量%)により、リキッドファンデーションを製造した。
(1)精製水 57.7
(2)濃グリセリン 8.0
(3)1,3ブチレングリコール 8.0
(4)マルメロ種子10%EtOH抽出物(種子10%EtOH) 0.1
(5)エタノール 5.0
(6)メチルパラベン 0.1
(7)ブチルパラベン 0.1
(8)セリサイト 8.0
(9)酸化チタン 10.0
(10)酸化鉄 1.0
(11)メチルポリシロキサン 0.5
(12)ネオペンチルグリコール 1.5
【0034】
〔製法〕上記成分(1)に(2)〜(4)を加え室温で攪拌し水相とする。成分(5)〜(7)を攪拌して溶解した後、水相に加え室温で攪拌する。成分(8)〜(10)を攪拌して混合し、成分(11)、(12)を加え攪拌混合し、顔料粉末とする。水相に顔料粉末加え室温で攪拌し、リキッドファンデーションを製造した。