(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等において、車両に対してスライド可能に設けられたスライドシートやスライドドア等が利用されている。スライドシートには、乗員が着座しているか否かを検出する着座センサや、シートベルトを装着しているか否かを検出するシートベルトセンサ等の電子機器が取り付けられ、スライドドアには、ドアウィンドを開閉駆動するための駆動モータや、ドア解放時に足元を照らすためのドアカーテシランプ等の電子機器が取り付けられている。このため、スライドシートやスライドドア等のスライド体が設けられた車両には、スライド体側の電子機器と車体側に設けられた制御装置等の電子機器とを接続するために、車体とスライド体とに亘って電線を配索する種々の電線配索装置あるいは給電装置が用いられている。
【0003】
このような電線配索装置においては、スライド体側の電子機器と車体側の電子機器とを接続する電線(例えば、フラットケーブル、又はフラットハーネスと称することもある)に、スライド体のスライドに伴う余長部分が形成されることから、この電線の余長部分を巻き取って電線がスライド体等に干渉しないようにするための巻取装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された従来のフラットケーブル巻取装置00は、
図5に示すように、フラットケーブルCの一端側を巻き取るとともに他端側を繰り出させる装置であって、全体略円筒状のケース101と、ケース101内設けられるとともにフラットケーブルCの一端側を保持する内側環状壁102と、この内側環状壁102に案内されて回転自在に設けられるロータ103と、このロータ103をフラットケーブルCの巻取方向Rに付勢するコイルばね104と、を備え、ロータ103には、その周方向に沿って複数のローラ105が並べて設けられている。
【0004】
この巻取装置100は、ケース101内に導入したフラットケーブルCの一端側を、複数のローラ105のうちの1つで反転させて内側環状壁102内部に保持するとともに、フラットケーブルCの他端側をケース101外に導出させる。そして、巻取装置100は、コイルばね104の付勢力によってロータ103を巻取方向Rに回転させることで、内側環状壁102の周囲にフラットケーブルCを巻き付けるとともに、複数のローラ105の外周にフラットケーブルCを巻き付け、これによりフラットケーブルCを巻き取るように構成されている。一方、スライド体のスライドに伴ってフラットケーブルCの他端側が引っ張られた場合には、ロータ103が巻取方向Rと反対方向に回転し、内側環状壁102及び複数のローラ105外周に巻き付けられていたフラットケーブルCの巻付けが解かれ、フラットケーブルCがケース101の外側に繰り出されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の巻取装置においては、フラットケーブルCが繰り出される際に、内側環状壁102に巻き付けられていたフラットケーブルCが弛み、弛んだフラットケーブルCがローラ105に干渉するという不具合の可能性がある。具体的には、
図6(A)に示すように、内側環状壁102と複数のローラ105外周とにそれぞれ複数周(例えば、3周)ずつフラットケーブルCが巻き付けられた巻取状態から、
図6(B)に示すように、ロータ103が巻取方向Rと反対方向に1回転するまで、さらには
図6(C)に示すように、ロータ103が2回転するまでの間に、内側環状壁102周囲のフラットケーブルCに弛みが発生する。このような弛みは、複数のローラ105外周に重ねて巻き付けられたフラットケーブルC同士の摩擦抵抗や、フラットケーブルCとローラ105との摩擦抵抗等によって、内側環状壁102から巻付けが解かれたフラットケーブルCがローラ105側に送り出されないことに起因するものである。このようなフラットケーブルCの弛みを完全に除去することは、巻取装置の構造上困難であり、弛んだフラットケーブルCがローラ105等に干渉すると、ロータ103の回転が阻害され、フラットケーブルCを円滑に巻き取ったり繰り出したりできなくなるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は、フラットケーブルの弛みを抑制することで巻取り及び繰り出しを円滑化することができるフラットケーブル巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、フラットケーブルの一端側を巻き取り他端側を繰り出させるフラットケーブル巻取装置であって、前記フラットケーブルを挿通させる挿通孔を有したケースと、前記ケース内に設けられて前記フラットケーブルの一端側を保持する中心軸と、前記中心軸を中心として回転自在に設けられる回転体と、前記回転体を前記フラットケーブルの巻取方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記回転体には、前記回転体の周方向に沿って並設された複数のローラが前記回転体の径方向にスライド自在に設けられ、前記複数のローラのうち少なくとも1つは、前記ケースの挿通孔から導入された前記フラットケーブルを前記中心軸に向かって反転させる反転ローラとされ、前記付勢手段によって付勢された前記回転体の巻取方向への回転に伴い、前記中心軸の周囲に前記フラットケーブルが巻き付けられる内側巻付部と、前記複数のローラの外周に前記フラットケーブルが巻き付けられる外側巻付部と、が形成されつつ該フラットケーブルが巻き取られた際に、前記外側巻付部によって、前記複数のローラが、前記内側巻付部に向かって押し付けられることを特徴とするフラットケーブル巻取装置である。
【0009】
上記構成によれば、一端側を保持されたフラットケーブルが他端側を反転ローラで反転されケースの外部に導出される。この状態で付勢手段の復元力によって回転体を巻取方向に回転させると、中心軸の外周と、回転体の複数のローラの外周と、にフラットケーブルが巻き取られることにより、中心軸の外周に沿ってフラットケーブルが巻き付けられた内側巻付部が形成されるとともに、複数のローラの外周に沿ってフラットケーブルが巻き付けられた外側巻付部が形成され、フラットケーブルが巻き取られる。この際、外側巻付部の巻付け力によって、反転ローラが中心軸側にスライドされ、内側巻付部に向かって押し付けられる。フラットケーブルが巻き取られるに伴って、フラットケーブルの中心軸への巻付回数が増え、内側巻付部の径寸法が増加され、複数のローラは、内側巻付部によって回転体の径方向外側に向かって押し戻され、回転体の径方向外側にスライドされる。反転ローラは、内側巻付部に向かって押し付けられた状態で回転(自転)され、複数のローラの外周から巻き取られたフラットケーブルを、中心軸側に送り出す。このような巻付状態からフラットケーブルが繰り出される際には、回転体が巻取反対方向に回転して外側巻付部の巻付けが解かれてケース外に繰り出されるとともに、内側巻付部の巻付けが解かれ、フラットケーブルが反転ローラを介して外側巻付部に送られ、フラットケーブルが繰り出される。フラットケーブルが繰り出されるに伴って、フラットケーブルの中心軸への巻付回数が減り、内側巻付部の径寸法が低減され、反転ローラは、外側巻付部の巻付け力によって、中心軸に向かって押され、中心軸側に向かってスライドされる。この際、反転ローラは、外側巻付部によって内側巻付部に押し付けられた状態で回転(自転)され、中心軸から巻付けを解かれたフラットケーブルを、複数のローラの外周側に送り出す。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、反転ローラが回転体の径方向にスライド自在に設けられ、外側巻付部によって、反転ローラが、内側巻付部に向かって押し付けられているから、フラットケーブルが繰り出される際、反転ローラが、内側巻付部に向かって押し付けられた状態で、フラットケーブルを巻込みながら回転され、中心軸から巻付けを解かれたフラットケーブルが、反転ローラ側に強制的に送り出されることとなり、中心軸の周囲(内側巻付部)にフラットケーブルの弛みを生じ難くでき、弛んだフラットケーブルが複数のローラ(反転ローラ)に干渉するのが抑制され、回転体の回転が阻害されることなく、フラットケーブルの巻取り及び繰り出しを円滑化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のフラットケーブル巻取装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されたフラットケーブル巻取装置の分解斜視図である。
【
図3】フラットケーブル巻取装置を構成するローラが回転テーブル(回転体)に軸支された状態を示す断面図である。
【
図4】
図1に示されたフラットケーブル巻取装置の動作を説明する平面図であり、(A)は、フラットケーブルが繰り出される様子を示す図であり、(B)は、フラットケーブルが巻き取られる様子を示す図であり
【
図5】従来のフラットケーブル巻取装置を示す平面図である。
【
図6】
図5に示されたフラットケーブル巻取装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態にかかるフラットケーブル巻取装置を
図1〜
図4を用いて説明する。フラットケーブル巻取装置1は、例えば、車両等のフロアにスライド自在に設けられるスライドシートと車両との間に配索されるフラットケーブル2を巻き取るものである。フラットケーブル2は、フロア側に設けられたコネクタ等に一端が接続され、スライドレールに沿って案内されるフラットケーブル2の他端がスライドシート側のコネクタ等に接続されている。
【0013】
フラットケーブル2は、互いに平行な複数の芯線と、各芯線を被覆する絶縁被覆と、を備えて可撓性を有した薄い帯板状に形成されている。芯線は複数の導線が撚られて構成され、被覆部は、合成樹脂から構成されている。なお、本実施形態では、互いに平行な複数の芯線を有するフラットケーブル2を用いた場合を例示するが、フラットケーブルとしては、任意の断面形状を有していてもよいし、芯線及び絶縁被覆の構成も適宜なものが選択可能である。
【0014】
フラットケーブル巻取装置1は、
図1、
図2に示すように、巻き取ったフラットケーブル2を収容するケース3と、このケース3内に回転自在に設けられる回転体としての回転テーブル4と、この転テーブル4上に回転自在に支持された複数(本実施形態では6個)のローラ5と、回転テーブル4をフラットケーブル2の巻取方向に付勢する付勢手段としての渦巻きばね6(
図2に示す)と、を備えている。ケース3は、回転テーブル4及び渦巻きばね6を収容するロアケース3Aと、このロアケース3Aの上面7Bを覆って該ケース3を中空状に閉じるアッパーケース3B(
図2に示す)と、を備え、ロアケース3A内の略中心部には、回転テーブル4を回転自在に軸支する中心軸7が立設されている。
【0015】
ロアケース3Aは、
図2に示すように、車両のフロアに平置きで設置され、このフロアに対向する底部31と、この底部31の外周に沿って略円筒状に立設された周壁32と、フラットケーブル2の他端側を外部に導出するためのケーブル導出部33と、ケース3から引き出されたフラットケーブル2の一端側を保護するためのケーブル保護部34と、を有して構成されている。アッパーケース3Bは、全体円盤状に形成され、その中心位置には、フラットケーブル2を挿通させる挿通孔3aが形成された天面部35と、この天面部35の外周に沿って略円筒状に垂下されたロアケース3Aの周壁32に重なる垂下壁36と、中心軸7からケーブル保護部34までフラットケーブル2の一端側を案内するケーブル案内部37と、ケーブル保護部34の上部を覆うカバー部38と、を有して構成されている。
【0016】
中心軸7は、
図2に示すように、ロアケース3Aの底部31内面に立設されて全体略円柱状に形成されており、その周面7Aによって回転テーブル4を回転自在に支持している。この中心軸7には、周面7Aから中心に向かって切り込まれるとともに上面7Bに開口したスリット71と、このスリット71と反対側から切り込まれて上面7Bに開口した係止溝72と、これらスリット71と係止溝72とを連通させる連通溝73と、が平面視でクランク状に形成されている。スリット71は、フラットケーブル2の一端側を挿通させて係止するもので、このスリット71に挿通されたフラットケーブル2の一端側は、連通溝73に通されて折り曲げられるとともに、中心軸7の上面7Bから導出されてアッパーケース3Bのケーブル案内部37に導かれる。さらに、フラットケーブル2の一端側は、ケーブル案内部37からロアケース3Aのケーブル保護部34に導かれ、ケース3の外部に導出され、フロア側のコネクタ等に接続される。
【0017】
ケーブル導出部33は、ロアケース3Aの周壁32の外面から突出して設けられ、その上面7Bに、フラットケーブル2を収容するための複数の溝部(挿通孔)33Aが形成されている。複数の溝部33Aは、ロアケース3Aの内部と外部とを連通して設けられているとともに、スライドレールのスライド方向に沿って直線状に延びて設けられている。複数の溝部33Aのうち、所定の1本の溝部33Aにフラットケーブル2が挿通されることで、フラットケーブル2の他端側がケース3の内部と外部とに亘って配索されている。さらに、フラットケーブル2がケース3の内部に巻き取られる際またはケース3の外部に繰り出される際に、溝部33Aに沿ってフラットケーブル2が案内されるようになっている。
【0018】
回転テーブル4は、
図2に示すように、全体円盤状に形成され、その中心位置には、中心軸7を挿通させる孔部4aが形成されている。また、回転テーブル4の上面には、ローラ5を回転テーブル4の径方向にスライドさせる6つのレール部41が、中心軸7を中心とした放射状に設けられている。
【0019】
各レール部41は、
図2、
図3に示すように、回転テーブル4の上面7Bから凹に形成され、中心軸7側から径方向外側に向かって延在した長穴42と、該長穴42における回転テーブル4の径方向外側の端部に設けられた円形部43と、を有している。この長穴42には、ローラ5を回転テーブル4に取り付けるための一対の係止部44が設けられている。一対の係止部44は、長穴42の幅方向の上端部から互いに近付く方向に延びて設けられ、長穴42の長手方向の全長に形成されている。この長穴42は、一対の係止部44よりも下方側の空間の幅寸法が、円形部43における直径寸法と等しく形成されている。
【0020】
6つのローラ5の各々は、
図2に示すように、軸部51と、中央に軸部1が挿通される孔部5aを有する円筒状に形成されたローラ本体52と、を備えている。各ローラ5が、回転テーブル4にスライド自在に取り付けられた状態で、中心軸7側にスライドされると、6つのローラ5は、回転テーブル4の周方向に沿って並ぶ位置に設けられる。これら6のローラ5のうち3つのローラ5は、反転ローラ5A(
図1に示す)とされ、反転ローラ5Aは、反転ローラ5A以外のローラ5と交互に設けられている。反転ローラ5Aは、中心軸7に巻き付けられたフラットケーブル2の他端側を反転させる。
【0021】
軸部51は、
図3に示すように、円柱状の軸部本体53と、該軸部本体53から外側方向に延在し軸部本体53よりも大径に形成されているとともに、係止部44に係止される被係止部54と、を備えている。この被係止部54は、軸部本体53の長手方向(高さ方向Y)の端部に設けられ、その径方向の寸法は前述した円形部43の直径寸法と等しく形成されている。また、被係止部54の高さ方向Yの寸法は、長穴42の下側空間における高さ方向Yの寸法よりも小さく形成されている。
【0022】
渦巻きばね6は、弾性を有する線状の金属をスパイラル状に巻いて形成されている。この渦巻きばね6は、中心側の端部が中心軸7の係止溝72に挿通固定され、外周側の端部が回転テーブル4の下面に係止されることにより、回転テーブル4をフラットケーブル2の巻取方向に付勢する。即ち、回転テーブル4を巻取方向と反対方向に所定数だけ回転させて渦巻きばね6に付勢力を蓄えさせてから、反転ローラ5A反転させたフラットケーブル2を複数のローラ5、5Aの外周に巻き付けることにより、渦巻きばね6の復元力によって回転テーブル4が巻取方向に付勢され、この付勢力によってフラットケーブル2が中心軸7及び回転テーブル4に巻き取られるようになっている。
【0023】
次に、フラットケーブル巻取装置1の回転テーブル4にローラ5(反転ローラ5A)を組み付ける方法について説明する。軸部51を被係止部54側から回転テーブル4のレール部41に近付け、被係止部54を円形部43の下面に重ね、被係止部54を中心軸7側にスライドさせることにより、一対の係止部44が、軸部51の軸部本体53と被係止部54との間に進入し、被係止部54を係止し、軸部51を回転テーブル4に該回転テーブル4の径方向にスライド自在に取り付ける。そして、ローラ本体52の孔部4a内に軸部51を挿通することにより、ローラ本体52を軸部51に回転自在に装着する。こうして、回転テーブル4にローラ5、5Aを組み付ける。
【0024】
続いて、フラットケーブル巻取装置1におけるフラットケーブル2の動作について
図4を参照して説明する。複数のローラ5、5Aを回転テーブル4の中心軸7から離れた側にスライドし、複数のローラ5、5Aを中心軸7から離間させておく。複数枚(本実施形態では3枚)のフラットケーブル2の一端側を重ねてスリット71に係止させ、他端側を1枚ずつ独立し、各フラットケーブル2を各反転ローラ5Aの巻取方向側に配索し、そして、フラットケーブル2の他端側を各反転ローラ5Aで反転させ、溝部33Aからケース3の外部に導出する。
図4では、アッパーケース3Bは省略されている。
【0025】
そして、前述のように、渦巻きばね6の復元力によって回転テーブル4を巻取方向に回転させると、中心軸7の外周と、回転テーブル4の複数のローラ5、5Aの外周と、にフラットケーブル2が巻き取られる。これにより、中心軸7の外周に沿ってフラットケーブル2が巻き付けられた内側巻付部21が形成されるとともに、複数のローラ5、5Aの外周に沿ってフラットケーブル2が巻き付けられた外側巻付部22が形成される。この際、外側巻付部22の巻付け力によって、反転ローラ5Aが中心軸7側にスライドされ、内側巻付部21に向かって押し付けられる。フラットケーブル2が巻き取られるに伴って、
図4(A)に示すように、フラットケーブル2の中心軸7への巻付回数が増え、内側巻付部21の径寸法が増加され、複数のローラ5、5Aは、内側巻付部21によって回転テーブル4の径方向外側に向かって押し戻され、回転テーブル4の径方向外側にスライドされる。そして、反転ローラ5Aは、内側巻付部21に押し付けられた状態で回転(自転)され、中心軸7から巻付けを解かれたフラットケーブル2を、中心軸7側に送る。このように、フラットケーブル2が巻き取られる。
【0026】
以上のようにフラットケーブル2をケース3内部に巻き取った状態からフラットケーブル2が引き出される際は、
図4(B)に示すように、回転テーブル4が巻取反対方向に回転して外側巻付部22の巻付けが解かれてケース3外に繰り出されるとともに、内側巻付部21の巻付けが解かれ、フラットケーブル2が反転ローラ5Aを介して外側巻付部22に送られ、フラットケーブル2が繰り出される。フラットケーブル2が繰り出されるに伴って、フラットケーブル2の中心軸7への巻付回数が減り、内側巻付部21の径寸法が低減され、反転ローラ5Aは、外側巻付部22の巻付け力によって、中心軸7に向かって押され、中心軸7側に向かってスライドされる。この際、反転ローラ5Aは、外側巻付部22によって内側巻付部21に押し付けられた状態で回転(自転)され、中心軸7から巻付けを解かれたフラットケーブル2を複数のローラ5、5Aの外周側に送り出し、フラットケーブル2は、ケース3の外部へ順次繰り出される。
【0027】
上述した実施形態によれば、反転ローラ5Aが回転テーブル4の径方向にスライド自在に設けられ、外側巻付部22によって、反転ローラ5Aが、内側巻付部21に向かって押し付けられているから、フラットケーブル2が繰り出される際、反転ローラ5Aが、内側巻付部21に向かって押し付けられた状態で、フラットケーブル2を巻込みながら回転され、中心軸7から巻付けを解かれたフラットケーブル2が、反転ローラ5Aの外周側に強制的に送り出されることとなり、中心軸7の周囲(内側巻付部21)にフラットケーブル2の弛みを生じ難くでき、弛んだフラットケーブル2が複数のローラ5(反転ローラ5A)に干渉するのが抑制され、回転テーブル4の回転が阻害されることなく、フラットケーブル2の巻取り及び繰り出しを円滑化することができる。
【0028】
また、フラットケーブル2の一端側を中心軸7に保持する際に、複数のローラ5(反転ローラ5A)を回転テーブル4の中心軸7から離れた側にスライドし、複数のローラ5を中心軸7から離間させ、中心軸7の周囲にスペースを形成することにより、フラットケーブル2を中心軸7に保持し易くできる。
【0029】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0030】
例えば、前記実施形態では、スライドシート用の電線配索装置に用いられるフラットケーブル巻取装置を例示したが、本発明の巻取装置は、スライドシート用に限らず、スライドドア用の電線配索装置に用いることもできるし、回動開閉するドアやボンネットなどに電線を配索するための配索装置に用いることもできる。さらには、車両に限らず、各種の可動部を備えた機器や装置において、可動部を跨いで電線を配索するための配索装置において本発明の巻取装置を利用しても良い。また、前記実施形態では、説明を簡略にするために、1本のフラットケーブルを巻き取る巻取装置を例示したが、複数本のフラットケーブルを束ねて巻き取る巻取装置に対しても、本発明を用いることができる。