特許第5896413号(P5896413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5896413管端面の面取り加工用具および管端部の加工用具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896413
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】管端面の面取り加工用具および管端部の加工用具
(51)【国際特許分類】
   B23B 5/16 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   B23B5/16
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-123983(P2012-123983)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-248689(P2013-248689A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098615
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】石川 博光
(72)【発明者】
【氏名】中川 善博
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−100394(JP,A)
【文献】 特開昭63−002602(JP,A)
【文献】 特開2002−239825(JP,A)
【文献】 実開昭53−081986(JP,U)
【文献】 実開昭63−182802(JP,U)
【文献】 米国特許第4114484(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第01101691(GB,A)
【文献】 独国実用新案第202006007258(DE,U1)
【文献】 仏国特許出願公開第2342815(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 5/16
B23C 3/12
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って管内挿入部、チップ取付部、および、基軸部を備えており、
上記管内挿入部は、管端の開口部から該管の内側に挿入される円柱体であり、
上記チップ取付部は、隣接する上記管内挿入部および上記基軸部よりも太径の円柱状部を有し、該円柱状部の外周側から径方向に沿って三角形状に形成され、中心軸と平行で且つ該中心軸を含む固定面と、該固定面を挟み且つ径方向に沿って対称に傾斜する前後一対の側面とを含むチップ用固定部を有し、上記固定面には、三角形状の切削チップの中心を貫通する止めネジが進入する雌ネジ孔が開口している、
ことを特徴とする管端面の面取り加工用具。
【請求項2】
前記チップ用固定部は、前記円柱状部の径方向に沿って中心軸を含み且つ該中心軸と交差する斜め60度で且つ固定面およびこれを挟む前後一対の側面を有する通し溝と、該通し溝のうち、前記管内挿入部寄りの開口部における基軸部寄りの上記側面の端部に設けた上記斜め60度と対称な斜め60度の側面と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の管端面の面取り加工用具。
【請求項3】
前記チップ用固定部は、前記円柱状部の外周側から径方向に沿って三角形状に進入し、中心軸を含む三角形状の固定面と、該固定面を挟み且つ径方向に対し対称に傾斜した前後一対の側面と、上記固定面の径方向に開口した開口部と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の管端面の面取り加工用具。
【請求項4】
前記チップ用固定部は、前記円柱状部の外周側に軸方向に沿って長辺が平行な長方形の開口部と、該開口部から径方向に沿って三角形状にして穿設され、前記固定面、該固定面と平行な対向面、およびこれらに挟まれた前後一対の側面を有する単数または複数の板状凹部であり、
上記対向面と上記円柱状部の外周面との間には、前記止めネジを貫通させる通し孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の管端面の面取り加工用具。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の面取り加工用具と、面取りが形成される管の端面に隣接する外周面を切削する外周面切削用具とを備えた管端部の加工用具であって、
上記外周面切削用具は、先端側が開口する円筒形状の用具本体と、該用具本体の後端側の中心部から同軸心で突出するシャンクとを備え、
上記用具本体の内側には、後端側の有底孔と、該有底孔の先端側に隣接し且つ該有底孔の内径よりも大きな内径を有する円柱形の凹部とが同軸心で配置され、上記有底孔には、前記開先加工用具の基軸部が回転不能および抜け出し不能にして挿入され、上記凹部には、前記開先加工用具のチップ取付部と、円筒形状の間隔を置いて該開先加工用具の管内挿入部の後端側とが挿入されると共に、
上記用具本体の先端面に、径方向に対して傾斜する斜め方向に沿って、当該用具本体の先端側と上記管内挿入部と挟まれた管の外周面を切削する所要数の切削刃が配設されている、
ことを特徴とする管端部の加工用具。
【請求項6】
前記用具本体の外周面には、長軸または長辺が該用具本体の軸方向に沿ったチップ挿入用の長孔が形成されると共に、該長孔または矩形孔から円周方向に沿って離間した位置には、チップ固定用の止めネジを通すための通し孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の管端部の加工用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の端面に開先などを構成するための面取りを形成するための面取り加工用具、および該面取り加工用具を含み且つ端面に隣接する外周面の切削をも連続して行える管端部の加工用具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鋼管などの金属製の管における切断面のバリ取りを行った後、該バリ取りが施された端面に面取りを行うため、円筒形状の把持部における凹部の底面の中心部に、上記把持部の軸方向に沿って尖った先端を開口部側に向けた角錐形状の刃部を突設すると共に、上凹部の底面と反対側の外面に円盤状のヤスリ(研削部材)を設けたリーマが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記リーマは、バリ取り用の刃部と面取り用のヤスリとを円筒形状の把持部の内外に併設しているため、上記刃部によってバリ取りした後で、該リーマを回転工具から一旦取り外し、向きを変え且つ上記ヤスリを外向きにして面取りを行う、という煩雑な操作が必要であった。しかも、前記角錐形状の刃部や円盤状のヤスリでは、対象となる管の内径や外径の範囲が限定される、という問題があった。
【0003】
一方、管を切断して開先加工するため、加工すべき管の外側に取り付けるハウジング内に変速リングギヤを配置し、該ギアのうち内周側のギヤと噛み合う環状の面板ギアと一体の面板に一対のホルダを前記面板の中心に対し対称に取り付け、該ホルダごとにバイトを求心状に把持可能とし、ハウジングの外側に設けたモータによって上記ホルダと共にバイトを回転させることで、管の切断と面取りとを行う切断・開先加工装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
前記切断・開先加工装置では、管の切断と面取りとを複数のバイトを同期して作動させ、高速度による送りと戻しとができる反面、加工の対象となる管は比較的外径の大きなものに限られると共に、装置の構成が非常に複雑で且つ大型となるため、高価になり、操作も煩雑になる、という問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−103138号公報(第1〜5頁、図1〜4)
【特許文献2】特開2003−117720号公報(第1〜8頁、図1〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、比較的細径である金属管の端面に開先などを構成するための面取りを簡素な構造の用具で迅速且つ容易に形成できる管端面の面取り加工用具、および該面取り加工用具を含んで管の外周面の切削と面取りとを連続して迅速且つ容易に行える管端部の加工用具を提供する、ことを課題とする。
尚、本発明の加工対象となる管の外径は、60mm以下、望ましくは50mm以下、より望ましくは30mm以下、一層望ましくは20mm以下の細径であると共に、上記管の内径は、少なくとも10mm以上である。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、電動式などの回転工具に装着できる基軸部と、対象となる管の内側に挿入して支持する管内挿入部と、これらの間に位置し且つ三角形状の切削チップを固定可能としたチップ取付部とを一体化する、ことに着想してなされたものである。
即ち、本発明による管端面の面取り加工用具(請求項1)は、軸方向に沿って管内挿入部、チップ取付部、および、基軸部を備えており、上記管内挿入部は、管端の開口部から該管の内側に挿入される円柱形体であり、上記チップ取付部は、隣接する上記管内挿入部および上記基軸部よりも太径の円柱状部を有し、該円柱状部の外周側から径方向に沿って三角形状に形成され、中心軸と平行で且つ該中心軸を含む固定面と、該固定面を挟み且つ径方向に沿って対称に傾斜する前後一対の側面とを含むチップ用固定部を有し、上記固定面には、三角形状の切削チップの中心を貫通する止めネジが進入する雌ネジ孔が開口している、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、例えば、電動式回転工具のチャックに前記基軸部を把持し、且つ管内挿入部を管の面取りを形成すべき端面に開口する内側(中空部)に挿入した状態で、前記チップ固定部の固定面と前後一対の側面との間に予め止めネジで固定した三角形状の切削チップにおける何れか1つの切削刃を、上記管の端面に対し、外周側から斜め姿勢にして軸方向に沿って順次接近させることにより、軸方向に対してほぼ直角であった端面をほぼ円錐形に切削して面取りを迅速且つ容易に形成することができる。しかも、上記管の端面において、該端面を切断に形成した際に付着していたバリをも併せて切除することも可能である。
従って、例えば、比較的細径な配管の端部同士を溶接によって接続する際に、通常の電動工具を用いて簡単且つ精度良く面取りを管の端面に形成して、軸方向に沿って隣接する2つの管間に所望の開先を形成できると共に、比較的低コストにより前記加工用具を製作することも可能である。
【0008】
尚、本発明の対象となる金属管には、鋼管、ステンレス鋼管、銅管、チタン合金製の管、アルミニウム合金製の管、あるいは断面が円形の内側(中空部)を有するアルミニウム合金製の押出形材などが含まれる。
また、前記面取り加工用具は、例えば、Cr−Mo鋼や高速度工具鋼(ハイス)などの工具鋼からなる。
更に、管内挿入部は、加工すべき管の内側(中空部)の内径に対して、最小限の隙間を置いた外径を有している。係る管内挿入部は、その内周側部分と外周側部分との2つの部分に分割し、該両部分が互いに軸方向に沿ってネジ結合あるいは嵌合可能とした形態とすることで、異なる内径の管に対しても活用することが可能である。
また、前記基軸部は、電動工具のチャックに把持され、あるいは後述する外周面切削用具の内側の最深部に位置する有底孔に回転不能に挿入されるため、円柱形の軸方向に沿った複数の平坦面円を有する形態としたり、または円柱形の表面の一部に回転止めの雄ネジの先端が当接する平坦面を設けた形態としても良い。
更に、前記切削チップは、例えば、超硬からなり、ほぼ正三角形を呈し、各角部における同じ方向の側面に切削刃が形成されたスローアウェイ形チップである。
加えて、前記加工用具により管の端面に形成される面取りには、溶接用の開先を構成するものに限らず、他の用途や、単に面取りするためのものも含まれる。
【0009】
また、本発明には、前記チップ用固定部は、前記円柱状部の径方向に沿って中心軸を含み且つ該中心軸と交差する斜め60度で且つ固定面およびこれを挟む前後一対の側面を有する通し溝と、該通し溝のうち、前記管内挿入部寄りの開口部における基軸部寄りの上記側面の端部に設けた上記斜め60度と対称な斜め60度の側面と、を備えている、管端面の面取り加工用具(請求項2)も含まれる。
これによれば、比較的太径の円柱状部に対し、例えば、その中心軸の一部を含み該中心軸と交差する斜め60度で交差する通し溝を切削加工によって形成し、更に該通し溝のうち、前記管内挿入部寄りの開口部における基軸部寄りの上記側面の端部に設けた上記斜め60度と対称な斜め60度の側面を切削加工によって形成することで、チップ用固定部を切削加工のみによって簡単且つ確実に得ることができる。尚、上記2つの切削加工の順序は、逆であっても良い。
【0010】
更に、本発明には、前記チップ用固定部は、前記円柱状部の外周側から径方向に沿って三角形状に進入し、中心軸を含む三角形状の固定面と、該固定面を挟み且つ径方向に対し対称に傾斜した前後一対の側面と、上記固定面の径方向に開口した開口部と、を備えている、管端面の面取り加工用具(請求項3)も含まれる。
これによれば、比較的太径の円柱状部に対し、例えば、所定の金型による熱間鍛造や所定の鋳型を用いる精密鋳造などにより、前記固定面と扇形状を呈する一対の側面と開口部とからなる前記チップ用固定部を形成することが可能である。
尚、上記開先加工用具のチップ取付部には、中心軸に対して点対称に配設した一対のチップ用固定部を形成することも可能である。
【0011】
加えて、本発明には、前記チップ用固定部は、前記円柱状部の外周側に軸方向に沿って長辺が平行な長方形の開口部と、該開口部から径方向に沿って三角形状にして穿設され、前記固定面、該固定面と平行な対向面、およびこれらに挟まれた前後一対の側面を有する単数または複数の板状凹部であり、上記対向面と上記円柱状部の外周面との間には、前記止めネジを貫通させる通し孔が形成されている、管端面の面取り加工用具(請求項4)も含まれる。
これによれば、比較的太径の円柱状部に対し、例えば、前記同様の熱間鍛造や精密鋳造などによって、板状凹部の前記チップ用固定部を単数または複数形成することが可能である。しかも、板状凹部は、幅が狭いため、仮に複数個を円柱状部に形成してもチップ取付部の強度の低下を抑制でき、耐久性も向上し得る。
尚、上記面取り加工用具のチップ取付部には、中心軸に対して点対称に配設した一対、3つ、あるいは4つのチップ用固定部を形成することも可能である。
【0012】
一方、本発明による管端部の加工用具(請求項5)は、前記面取り加工用具と、開先が形成される管の端面に隣接する外周面を切削する外周面切削用具とを備えた管端部の加工用具であって、上記外周面切削用具は、先端側が開口する円筒形状の用具本体と、該用具本体の後端側の中心部から同軸心で突出するシャンクとを備え、該用具本体の内側には、後端側の有底孔と、該有底孔の先端側に隣接し且つ該有底孔の内径よりも大きな内径を有する円柱形の凹部とが同軸心で配置され、上記有底孔には、前記開先加工用具の基軸部が回転不能および抜け出し不能にして挿入され、上記凹部には、前記開先加工用具のチップ取付部と、円筒形状の間隔を置いて該開先加工用具の管内挿入部の後端側とが挿入されると共に、上記用具本体の先端面に、径方向に対して傾斜する斜め方向に沿って、当該用具本体の先端側と上記管内挿入部と挟まれた管の外周面を切削する所要数の切削刃が配設されている、ことを特徴とする。
【0013】
これによれば、前記面取り加工用具の基軸部を外周面切削用具の凹部を通じてその奥に位置する有底孔に回転不能に挿入し、且つ開先加工用具のチップ取付部と管内挿入部の基端側を上記切削用具の凹部内に間隔を置いて挿入した状態で、当該外周面切削用具のシャンクを、例えば、電動工具のチャックに把持することで、上記切削用具の先端面側から加工すべき管をその端面側から順次上記凹部内に軸方向に沿って上記間隔(隙間)内に進入するように、上記チャックを回転しつつ該電動工具を前進させ得る。その結果、上記切削用具の先端面に径方向に対し斜めの切削刃が上記管の外周面を管の端面側から一定の厚みで順次切削すると共に、引き続いて係る管の端面が前記チップの切削刃により斜めに切削されて、ほぼ円錐形状の面取りを連続して迅速且つ容易に形成することが可能となる。
尚、前記所要数の切削刃には、複数および単数の切削刃からなる形態を含む。
また、前記外周面切削用具による管の外周面の切削には、例えば、断面が円形の中空部を内設する管部とその外側に突出する凸部とを有するアルミニウム合金の押出形材を加工する際には、上記凸部のみ(一部)を切除する形態も含まれる。
更に、前記切削チップは、予め、前記面取り加工用具のチップ取付部にネジ止めした状態で、該面取り加工用具と共に外周面切削用具の凹部へ軸方向に沿って収納しても良いが、後述するように、切削用具の長孔から挿入するようにしても良い。
加えて、前記外周面切削用具は、例えば、そのシャンクをボール盤や旋盤などのチャックに把持して、外周面の切削と端面の面取りとを連続して行っても良い。
【0014】
また、本発明には、前記用具本体の外周面と内側の凹部との間には、長軸または長辺が該用具本体の軸方向に沿ったチップ挿入用の長孔が形成されると共に、該長孔または矩形孔から円周方向に沿って離間した位置には、チップ固定用の止めネジを通すための通し孔が形成されている、管端部の加工用具(請求項6)も含まれる。
これによれば、切削チップの最外部分と外周面切削用具の先端面に位置する切削刃や凹部の内壁面との間における間隔が狭い場合、上記切削用具の用具本体に開設した上記長孔を介して、切削チップを、予め凹部に挿入された面取り加工用具のチップ用固定部に挿入し、前記通し孔を貫通した止めネジを該チップ中央部の透孔を通じて前記雌ネジ孔に螺入することで、切削チップを確実に固定できる。
尚、前記長孔には、長方形、長円形、および楕円形が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は一形態の管端面の面取り加工用具を示す側面図、(b)は(a)中のX−X線の矢視に沿った断面図。
図2】上記面取り加工用具を円周方向に90度回転した姿勢の側面図。
図3】上記面取り加工用具を示す斜視図。
図4】上記面取り加工用具に切削用チップを固定した状態を示す側面図。
図5】切削用チップを固定した上記面取り加工用具の使用状態を示す概略図。
図6】管端部の加工用具に用いる外周面切削用具を示す断面図。
図7】上記外周面切削用具を円周方向に90度回転した姿勢の断面図。
図8】本発明による管端部の加工用具を示す概略図。
図9】上記管端部の加工用具の使用状態を示す概略図。
図10図9に続く上記加工用具の使用状態を示す概略図。
図11図10に続く上記加工用具の使用状態を示す概略図。
図12】上記加工用具にて外周面と端面とが加工される前後の管の斜視図。
図13】上記加工用具にて外周面と端面とが加工される押出形材の斜視図。
図14】異なる形態の管端面の面取り加工用具を示す側面図。
図15】上記面取り加工用具を円周方向に90度回転した姿勢の側面図。
図16】上記面取り加工用具を含む管端部の加工用具の使用状態を示す概略図。
図17】(a),(b)は上記面取り加工用具におけるチップ取付部の応用形態を示す概略図。
図18図17(b)中のY−Y線の矢視に沿った断面図。
図19】更に異なる形態の管端面の面取り加工用具を示す側面図。
図20】上記面取り加工用具を円周方向に90度回転した姿勢の側面図。
図21】上記面取り加工用具を含む管端部の加工用具の使用状態を示す概略図。
図22】(a)は上記面取り加工用具におけるチップ取付部の応用形態を示す概略図、(b)は(a)中のZ−Z線の矢視に沿った断面図。
図23】(a),(b)は上記チップ取付部の異なる応用形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1(a),図2は、本発明による一形態の管端面の面取り加工用具1を示す側面図、図3は、該面取り加工用具1を示す斜視図である。
上記面取り加工用具1は、ハイスなどの工具鋼からなり、図1(a),図2図3に示すように、中心軸(軸)C方向に沿って管内挿入部2、チップ取付部5、および、基端部3を同軸心にて一体に備えている。尚、図1(a)と図2以降の図面において、便宜上、図面の左側を先端側とし、図面の右側を後端側と称する。
上記管内挿入部2は、加工すべき管の端面から内側(中空部)に所定の隙間を介して挿入される円柱体であり、その先端には面取りが付されている。
また、上記チップ取付部5は、隣接する管内挿入部2および基端部3よりも太径の円柱状部6と、後述する切削チップ20を固定するためのチップ用固定部chとを備えている。
更に、前記基端部3は、管内挿入部2およびチップ取付部5よりも細径のほぼ円柱形状を呈し、図1(a)に示すように、その後端寄りには、後述する抜け止め用のネジの先端部が当接する角形の平坦部4を有する。尚、係る基端部3は、図1(a)中のX−X線の矢視に沿った図1(b)の断面図で示すように、放射方向に対称な3つの平坦面3aが軸C方向に沿って帯状に付された略おむすび形状の非円形断面3Xとしても良い。
【0017】
前記チップ取付部5のチップ用固定部chは、図1(a),図2図3に示すように、円柱状部6の径方向に沿って中心軸Cの一部を含み且つ該中心軸Cと斜め60度で交差する固定面7、および該固定面7を挟んだ前後一対の側面9a,12,13を有する斜めの通し溝11と、該通し溝11のうち、管内挿入部2寄りの開口部における基軸部3寄りの上記側面13に対し上記斜め60度と対称である斜め60度の側面9bとを備えている。上記固定面7のうち、前後で対称な側面9a,9b間の中央部には、後述する切削チップ20を固定するための雌ネジ孔8が開口している。また、管内挿入部2に隣接する上記側面9aの先端側における円柱状部6の角部には、後述する切削チップ20の切削刃19を突出させるためのR形の切欠10が形成されている。
【0018】
図4に示すように、前記チップ取付部5のチップ用固定部chには、例えば、超硬(WC)からなるスローアウェイ形の切削チップ20が固定される。該切削チップ20は、側面視でほぼ正三角形を呈し、3組の側面18と、各側面18の一端側に位置する浅い円弧形の切削刃19と、中心部に形成され且つ止めネジ17を貫通させる透孔21とを備えている。
図4に示すように、切削チップ20において、前後一対の対称に傾斜する側面18は、チップ用固定部chにおける前後一対の側面9a,9bと個別に面接触し、且つ残りの側面18は、チップ取付部5の円柱状部6よりも外側において平行に突出するように、前記止めネジ17を雌ネジ孔8にネジ結合することにより、固定面7に固定される。そのため、先端側の上記側面9aに面接触した側面18の先端側に位置する切削刃19は、前記切欠10内から先端側に斜め上向きして突出した姿勢となる。
【0019】
図5は、電動工具22のチャック23に、予め、切削チップ20をチップ用固定部chに固定した前記面取り加工用具1の基端部3を把持すると共に、管内挿入部2を、面取りすべき金属製の管Pの内側(中空部)25に挿入した状態を示す。
図5中の円周方向に沿った実線の矢印で示すように、切削チップ20を含む開先加工用具1をチャック23と共に回転させた状態で、図5中の白抜きの矢印で示すように、更に両手または片手で支持した電動工具22と共に、切削チップ20および開先加工用具1を軸方向Cに沿って(図示で左側の方向に)前進させる。
その結果、図5中の一点鎖線部分Uの部分拡大断面図で示すように、軸方向Cと直交していた管Pの端面26は、回転しつつ前進した前記切削チップ20の切削刃19によって切削された結果、ほぼ円錐形状の面取り(溶接用の開先の一部)27に加工された。この際、端面26の外周側に位置していたバリも併せて切除される。
尚、前記管Pは、例えば、アルミニウム合金あるいは銅合金からなり、外径が約18mmで且つ内側25の内径が約13mmである。
【0020】
以上のような管端面の面取り加工用具1によれば、前記管Pで軸C方向に対してほぼ直角であった端面26をほぼ円錐形状に切削して面取り27に迅速且つ容易に加工することができる。しかも、上記管Pの端面26に該端面26を切断により形成した際に付着していたバリも併せて切除することも可能である。
従って、例えば、比較的細径な配管の端部同士を溶接によって接続する際に、一般的な電動工具22を用いて簡単且つ精度良く面取り27を管Pの端面26に形成することにより、所望の開先が容易に得られる。しかも、前記面取り加工用具1は、構造が簡素で且つほぼ切削加工のみで製作できるため、比較的低コストにすることもできる。
【0021】
図6図7は、前記面取り加工用具1と併用することで、本発明による一形態の管端部の加工用具40の要部を構成する外周面切削用具30の軸方向に沿った断面図であり、且つ円周方向において90度ずらした断面図である。
外周面切削用具30は、前記同様の工具鋼からなり、図6図7に示すように、先端側に開口する凹部32を内設した円筒形状の用具本体31と、該用具本体31の後端側の中心部から同軸心で後端側に突出するシャンク39とを備えている。
上記用具本体31の内側に位置し且つほぼ円柱形を呈する上記凹部32の後端側の中心部には、同軸心で有底孔37が連通している。該有底孔37は、例えば、断面略おむすび形状であり、そのシャンク39寄りの位置には、上記本体31の外周面から径方向に沿って雌ネジ孔38が貫通している。
【0022】
また、図6図7に示すように、前記用具本体31の先端面には、径方向に対し傾斜した方向に沿っており且つ点対称にして複数(例えば、8個)の超硬チップからなる短冊形状の切削刃33が配設されている。各切削刃33は、凹部32の入口側に連続して進入する内側刃34をも含んでいる。
更に、図6図7に示すように、用具本体31の外周面には、長辺が軸方向に沿った長方形状の長孔35が凹部32との間に形成され、該長孔35から円周方向に離間した位置には、断面円形の通し孔36が形成されている。上記長孔35は、予め、凹部32に挿入された前記開先加工用具1のチップ用固定部chに対し、前記切削チップ20を挿入するための孔であり、上記通し孔36は、挿入された切削チップ20を固定面7に開口する雌ネジ孔8にネジ結合する前記止めネジ17を貫通させる通孔である。
【0023】
本発明による管端部の加工用具40は、以下のようにして組み立てられる。
先ず、図8図9に示すように、外周面切削用具30の凹部32の開口部側から軸C方向に沿って前記面取り加工用具1を挿入する。その際、該加工用具1の基軸部3を有底孔37に回転不能に挿入し、且つ雌ネジ孔38に外側から螺入させた固定ネジ41の先端を基軸部3の平坦面4に当接することによって、上記加工用具1を上記切削用具30に対し抜け出し不能に固定する。この際、上記加工用具1のチップ取付部5と、管内挿入部2の後端側の部分とは、上記切削用具30の凹部32内に、円筒形状の間隔(隙間)を置いて同軸心で配置される。
尚、上記凹部32の内壁面と管内挿入部2の後端側との間隔は、凹部32の内壁面とチップ取付部5との間隔よりも大きくされている。前者の間隔は、後述する管Pの管壁の厚みよりも大とする必要があるためである。一方、後者の間隔は、切削チップ20の作用に支障のない限りで、最小限にして設定される。
【0024】
次いで、切削チップ20を径方向に沿って長孔35から凹部32内に挿入し、図8図9に示すように、更に前記開先加工用具1のチップ取付部5のチップ用固定部chに前記同様にして配置する。更に、通し孔36を貫通させた止めネジ17を、上記切削チップ20の透孔21に通した後、その雄ネジ部を固定面7の中央部に開口する雌ネジ孔8に挿入してネジ結合する。
その結果、図8図9に示すように、外周面切削用具30の内側に開先加工用具1を同軸心で固定し、且つ管内挿入部2の先端側が切削用具30の外側に突出した管端部の加工用具40が構成された。
【0025】
以下において、前記管端部の加工用具40の使用方法について説明する。
先ず、図9に示すように、内側に面取り加工用具1が固定された外周面切削用具30のシャンク39を電動工具(図示せず)などのチャック42に固定する。係る状態で、上記切削用具30の切削刃33,34の直前に端面26が位置し、且つ内側(中空部)25に管内挿入部2の先端側が進入するように、加工すべきアルミニウム合金などからなる管Pを同軸心で拘束する。
次いで、図9中の円周方向に沿った実線の矢印で示すように、面取り加工用具1を含む外周面切削用具30をチャック42と共に回転させた状態で、図9中の白抜きの矢印で示すように、更に両手で支持した電動工具などと共に、面取り加工用具1を含む外周面切削用具30を軸方向Cに沿って(図示の左側方向に)前進させた。その結果、上記切削用具30の先端側の切削刃33,34によって、上記管Pの外周面24が端面26側から順次一定の厚みで切削され始める。
【0026】
引き続いて、面取り加工用具1を含む外周面切削用具30を、回転させつつ軸方向Cに沿って前進させる。その結果、図10に示すように、前記管Pの端面26は、切削チップ20のうち、チップ取付部5の先端側に突出した切削刃19の直前付近の位置まで前記凹部32内に進入すると共に、該管Pの外周面24が軸方向に沿った一定の長さにおいて切削される。
更に、面取り加工用具1を含む外周面切削用具30を、回転させつつ軸方向Cに沿って前進させる。その結果、図11に示すように、前記管Pの端面26は、切削チップ20の切削刃19により斜め切削され、ほぼ円錐形を呈する面取り(開先の一部)27に加工される。この間において、該管Pの外周面24が軸C方向に沿って更に切削される。
【0027】
図12(a)は、加工前の前記管Pの端部付近を示す斜視図である。そして、前記外周面切削用具30の先端側に位置する切削刃33,34によって、垂直な端面26側から一定の厚みで外周面24が切削され且つ図示しない酸化皮膜も順次除去される。連続して、最後に凹部32内に位置していた切削チップ20の切削刃19によって端面26がほぼ円錐形状に切削される。
その結果、図12(b)の斜視図で示すように、前記管Pは、面取り27に加工された端面と切削面28とを管端部Peに加工される。従って、溶接すべき一対の管P,Pの端部に約90度〜鈍角の開先と、これに隣接する外周面ごとに仕上げ加工が不要の皮膜が除去された外周面28とを効率良く形成できる。
【0028】
以上のような管端部の加工用具40によれば、前記切削用具30の先端側から加工すべき管Pをその端面26側から順次凹部32内に軸C方向に沿って前記間隔(隙間)内に進入するように、前記電動工具により回転しつつ前進させ得る。その結果、前記切削用具30の先端側の切削刃33,34が前記管Pの外周面24を端面26側から一定の厚みの順次切削していくと共に、連続して、係る管Pの端面26が前記切削チップ20の切削刃19に斜めに切削され、ほぼ円錐形状の面取り(面取り)27を迅速且つ容易に形成することができる。
【0029】
図13(a)は、前記加工用具40の加工対象となる加工前のアルミニウム合金製の押出形材43の端部付近を示す斜視図である。
該押出形材43は、図13(a)に示すように、平坦な平板部44と、その下側面に沿って連続して付設され且つ内側(中空部)46を有する管部45とを図示の前後方向に沿って一体に有する。尚、符号47は、管部45の端面である。
上記押出形材43の管部45の端面47側を加工するには、図13(b)に示すように、予め、管部45の両側における平板部44に一対のスリット48を打ち抜き加工などによって形成する。各スリット48の幅は、前記外周面切削用具30の先端側に位置する切削刃33,34の径方向の長さよりも大とされ、且つ一対のスリット48,48の間隔は、管部45の外径と同じとされる。
【0030】
そして、前記面取り加工用具1を含む外周面切削用具30を、電動工具など共に回転させつつ、前記押出形材43の管部45の端面47側から該管部45の軸方向に沿って前進させる。その結果、図13(c)に示すように、管部45の平板部44側に位置していた左右一対の凸部44aを切削して円柱形の外周面52と、ほぼ円錐形状の面取りが形成された端面49とが連続して形成された押出形材50を迅速且つ容易に得ることができる。尚、上記図中の符号51は、上記切削加工後に露出した平板部44の新たな端面を示す。
前記の押出形材43で例示したように、前記加工用具40によれば、単純なパイプの管の端部に限らず、端部に管部を含む各種の素材に対しても、外周面の切削と管Pの端面の面取りとを効率良く確実に施すことが可能である。
【0031】
図14図15は、異なる形態である管端面の面取り加工用具1aの前記同様に互いに異なる位置での側面図である。
上記面取り加工用具1aは、前記同様の管内挿入部2、円柱状部6を有するチップ取付部5、および基軸部3を備えている。該面取り加工用具1aが前記開先加工用具1と相違するのは、チップ取付部5に設けたチップ用固定部chである。
上記チップ用固定部chは、図14図15に示すように、一辺が円柱状部6の外周面と共通し且つ該外周面とから径方向沿って三角形状に進入し、中心軸Cを一部に含む正三角形状の固定面7と、該固定面7を挟み且つ径方向に対して対称の傾斜した前後一対の扇形状の側面9a,9bと、これらの最奥の交差する交差辺14と、上記固定面7から径方向に開口した約4分1のドーム形の開口部7aとを備えている。係るチップ用固定部chは、前記円柱状部6を熱間鍛造するか、所定の鋳型および鋳鋼を用いる精密鋳造により成形することが可能である。
【0032】
前記面取り加工用具1aは、前記図5で示したように、そのチップ用固定部chに切削チップ20を固定し、且つ前記同様の電動工具22のチャック23に基軸部3を固定することで、管Pの端面26に面取り27を形成することができる。
更に、図16に示すように、以上のような面取り加工用具1aの主要部を前記外周面切削用具30の凹部32内に挿入・固定し、該切削用具30の用具本体31の長孔35から挿入した切削チップ20を前記固定部chに止めネジ17によって固定することで、異なる形態の管端部の加工用具40aが組み立てられる。
上記加工用具40aも、図16に示すように、そのシャンク39を電動工具などのチャック42に把持し、該チャック42と共に回転させつつ軸方向に沿って前進させることで、管Pの外周面24を端面26側から一定の厚みで順次切削できると共に、連続して、切削チップ20の切削刃19により、上記端面26をほぼ円錐形状に面取り(開先の一部)27に加工することができる。
【0033】
図17(a),(b)は、前記面取り加工用具1aのチップ取付部5の応用形態であるチップ取付部5aを互いに円周方向で90度ずれた位置で示す側面図、図18(a)は、図17(b)中のY−Y線の矢視に沿った断面図である。
チップ取付部5aは、図示のように、円柱状部6内で前記中心軸Cに対し、一対のチップ用固定部chを点対称に形成しており、比較的小面積とした一対の固定面7を個別に挟む側面9a,9bによる最奥の交差辺14,14の間には、それぞれ開口部7aが連通する菱形状の隙間sが形成されている。
そのため、図18(b)の切削チップ20を装着した断面図で示すように、チップ取付部5aにおける一対のチップ用固定部chの固定面7ごとに切削チップ20を止めネジ17により固定することで、一対の切削チップ20を点対称にして固定することができる。
以上のようなチップ取付部5aを含む面取り加工用具1aを用いることにより、管Pの端面26の面取り27が一層迅速化できる。更に、係るチップ取付部5aを含む開先加工用具1aを前記外周面切削用具30の内側に固定した加工用具40aを用いることで、管Pの外周面24の切削と端面26の面取り27とを一層効率良く行うことが可能となる。
【0034】
図19図20は、更に異なる形態である管端面の面取り加工用具1bの前記同様に互いに異なる位置での側面図である。
上記面取り加工用具1bも、前記同様の管内挿入部2、円柱状部6を有するチップ取付部5、および基軸部3を備えている。該面取り加工用具1bが前記開先加工用具1と相違するのも、チップ取付部5に設けたチップ用固定部chである。
上記チップ用固定部chは、図19図20に示すように、円柱状部6の外周側に軸方向に沿って長辺が平行な長方形の開口部7bと、該開口部7bから径方向に沿って三角形状にして穿設され、前記同様の固定面7、該固定面7と平行で且つ相似形の対向面15、およびこれらに挟まれた前後一対の側面9a,9bを有する板状凹部である。更に、上記対向面15と上記円柱状部6の外周面との間には、前記固定ネジ17を貫通させる通し孔16が形成されている。
尚、上記チップ用固定部chも、前記円柱状部6を熱間鍛造するか、所定の鋳型および鋳鋼を用いる精密鋳造によって成形し得る。
【0035】
前記面取り加工用具1bも、前記図5で示したように、そのチップ用固定部chに切削チップ20を固定し、且つ前記同様の電動工具22のチャック23に基軸部3を固定することで、管Pの端面26に面取り27を形成することができる。
更に、図21に示すように、以上のような面取り加工用具1bの主要部を前記外周面切削用具30の凹部32内に挿入して固定し、用具本体31の長孔35から径方向に沿って挿入した切削チップ20を前記固定部chに止めネジ17によって固定することで、本形態の管端部の加工用具40bが組み立てられる。
上記加工用具40bも、図21に示すように、そのシャンク39を電動工具などのチャック42に把持し、該チャック42と共に回転させつつ軸C方向に沿って前進させることで、管Pの外周面24を端面26側から一位の厚みで順次切削できると共に、連続して、切削チップ20の切削刃19により、上記端面26をほぼ円錐形状に面取り(開先の一部)27に加工することができる。
【0036】
図22(a)は、前記面取り加工用具1bのチップ取付部5の応用形態であるチップ取付部5bを示す側面図、図22(b)は、図22(a)中のZ−Z線の矢視に沿った断面図である。
上記チップ取付部5bは、図示のように、円柱状部6内で前記中心軸Cに対し、一対のチップ用固定部chを点対称に形成しており、若干小面積とした一対の固定面7を個別に挟む側面9a,9bによる最奥の交差辺14,14の間には、それぞれ開口部7bが連通する菱形状の隙間sが形成されている。従って、図22(a),(b)に示すように、チップ取付部5bにおける一対のチップ用固定部chの固定面7ごとに前記切削チップ20を止めネジ17により固定することで、一対の切削チップ20を点対称にして固定することが可能となる。
【0037】
また図23(a)は、前記円柱状部6において中心軸(C)の周りに3つのチップ用固定部chを対称に形成したチップ取付部5cの断面図を示す。
更に、図23(b)は、前記円柱状部6において中心軸(C)の周りに4つのチップ用固定部chを対称に形成したチップ取付部5dの断面図を示す。
以上のようなチップ取付部5b〜5dを含む面取り加工用具1bを用いても、管Pの端面26の面取り27が一層迅速化することができる。
更に、上記チップ取付部5b〜5dを含む面取り加工用具1bを前記外周面切削用具30の内側に固定した加工用具40bを用いることで、管Pの外周面24の切削と端面26の面取り27とを効率良く行うことが可能となる。
【0038】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記管内挿入部2は、外周面が円柱形を呈するパイプ形としたり、あるいは外周面を後端側から先端側に向かって緩く縮径している形態としても良い。
また、前記管内挿入部2は、チップ取付部5側の中心部に位置する小径のボルトと、該ボルトに螺着する雌ネジ孔を有する取り替え可能な複数の円柱状体との組み合わせにより構成しても良い。
更に、前記基軸3は、断面が四角形以上の多角形としたものでも良い。
加えて、前記外周面切削用具30は、その用具本体31において前記長孔35と通し孔36を省略した形態としても良い。かかる形態の場合、前記切削チップ20は、予め前記開先形成用具1などの固定部chに固定された後、上記切削用具30の凹部32に軸方向に沿って挿入される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、比較的細径の金属管の端面に面取りを簡素な構造の治具で迅速且つ容易に形成できる管端面の面取り加工用具、および該面取り加工用具を含んで管の外周面の切削と面取りとを連続して迅速且つ容易に行える管端部の加工用具を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1,1a,1b…………管端面の面取り加工用具
2…………………………管内挿入部
3…………………………基軸部
5,5a〜5d…………チップ取付部
6…………………………円柱状部
7…………………………固定面
7a,7b………………開口部
8…………………………雌ネジ孔
9a,9b………………側面
11………………………通し溝
12,13………………側面
15………………………対向面
16………………………通し孔
17………………………止めネジ
20………………………切削チップ
24………………………外周面
25………………………中空部(内側)
26………………………端面
27………………………面取り
30………………………外周面切削用具
31………………………用具本体
32………………………凹部
33………………………切削刃
35………………………長孔
36………………………通し孔
37………………………有底孔
39………………………シャンク
40,40a,40b…管端部の加工用具
C…………………………中心軸/軸
ch………………………チップ用固定部
P…………………………管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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