特許第5896416号(P5896416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896416
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   H02G3/16
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-182963(P2012-182963)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-42388(P2014-42388A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】山本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】倉地 和俊
(72)【発明者】
【氏名】冨田 景
(72)【発明者】
【氏名】冨田 泰助
(72)【発明者】
【氏名】丸井 崇義
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−85431(JP,A)
【文献】 特開2010−136570(JP,A)
【文献】 特開2004−88946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに取り付けられるカバーと、を有し、
前記フレームに、電線束の端部に被せられて各電線の芯線同士が電気接続された部分を保護するボンダーキャップが圧入保持されるボンダーキャップ収容部と、端子付き電線が挿入される端子付き電線収容部と、が設けられ、
前記カバーが、前記ボンダーキャップ収容部及び前記端子付き電線収容部の挿入口側に取り付けられる電気接続箱において、
前記ボンダーキャップ収容部の挿入口を構成する縁部が、低背部分と、該低背部分よりも突出した突出部分と、で構成され、
前記カバーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記低背部分から前記カバーまでの間隔が前記ボンダーキャップの全長よりも大きく、前記突出部分の最も突出した部分から前記カバーまでの間隔が前記ボンダーキャップの全長よりも小さく、かつ、前記電線束が前記低背部分側に曲げられている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記端子付き電線収容部が、前記低背部分に隣接しており、
前記低背部分が、前記端子付き電線収容部の挿入口を構成する縁部と同じ高さに形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンダーキャップ収容部と端子付き電線収容部が設けられたフレームを有する電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用電気接続箱は、様々な構造のものがあるが、例えば、ボンダーキャップ収容部と端子付き電線収容部が設けられたフレームを有する構造のものがある(特許文献1を参照。)。また、図4は、従来の電気接続箱に用いられるフレームの斜視図であり、該フレームのボンダーキャップ収容部にボンダーキャップが圧入保持された状態を示す斜視図である。図5図4に示されたフレームのみの斜視図である。
【0003】
図4,5に示すように、フレーム302は、合成樹脂で構成されており、ボンダーキャップ5が圧入保持されるボンダーキャップ収容部306と、端子付き電線が挿入される端子付き電線収容部307と、結束バンド308が通される通し孔309と、が設けられている。また、図4,5においては、フレーム302の一部を示している。
【0004】
上記ボンダーキャップ収容部306は、ボンダーキャップ5を収容可能な有底筒状に形成されている。また、ボンダーキャップ5は、電線束4の端部に被せられて各電線の芯線同士が電気接続された部分を保護する部材である。
【0005】
上記端子付き電線収容部307は、筒状に形成されており、ボンダーキャップ収容部306に隣接配置されている。また、ボンダーキャップ収容部306の挿入口を構成する縁部は、端子付き電線収容部307の挿入口を構成する縁部よりも突出している。
【0006】
上記通し孔309は、ボンダーキャップ収容部306の挿入口近傍に設けられている。この通し孔309に通される結束バンド308は、図4に示すように電線束4の外周に巻き付けられて、ボンダーキャップ5がボンダーキャップ収容部306から脱落することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−88946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のフレーム302においては、以下に示す様々な問題があった。
【0009】
第1の問題は、ボンダーキャップ収容部306の挿入口を構成する縁部が、端子付き電線収容部307の挿入口を構成する縁部よりも突出しているので、端子付き電線を端子付き電線収容部307に挿入しづらいという問題である。
【0010】
第2の問題は、フレーム302に通し孔309が設けられているため、該フレーム302の製造金型の形状が複雑になってしまうという問題である。また、ボンダーキャップ5の脱落防止に結束バンド308を用いるため、部品費がアップし、組立作業工数も増加してしまうという問題もあった。
【0011】
上記第2の問題を解決する方法として、本願の発明者は、通し孔309及び結束バンド308を廃止し、代わりにフレーム302に取り付けられるカバーでボンダーキャップ5を押さえ、該ボンダーキャップ5の脱落を防止する方法を見出した。しかしながら、この方法では、上記第1の問題は解決できなかった。
【0012】
また、フレーム302に取り付けられるカバーでボンダーキャップ5を押さえつつ、ボンダーキャップ収容部306の壁を低くすれば、端子付き電線を端子付き電線収容部307に挿入し易くなるものの、今度は逆に、ボンダーキャップ5がボンダーキャップ収容部306から脱落し易くなってしまうという新たな問題が生じてしまう。このように、第1の問題と第2の問題を同時に解決することは容易ではなかった。
【0013】
したがって、本発明は、結束バンドを用いることなくボンダーキャップがボンダーキャップ収容部から脱落することを防止できる電気接続箱を提供することを第1の目的とし、結束バンドを用いることなくボンダーキャップがボンダーキャップ収容部から脱落することを防止でき、かつ、端子付き電線を端子付き電線収容部に容易に挿入することができる電気接続箱を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記第1の目的を達成するために請求項1に記載された発明は、フレームと、前記フレームに取り付けられるカバーと、を有し、前記フレームに、電線束の端部に被せられて各電線の芯線同士が電気接続された部分を保護するボンダーキャップが圧入保持されるボンダーキャップ収容部と、端子付き電線が挿入される端子付き電線収容部と、が設けられ、前記カバーが、前記ボンダーキャップ収容部及び前記端子付き電線収容部の挿入口側に取り付けられる電気接続箱において、前記ボンダーキャップ収容部の挿入口を構成する縁部が、低背部分と、該低背部分よりも突出した突出部分と、で構成され、前記カバーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記低背部分から前記カバーまでの間隔が前記ボンダーキャップの全長よりも大きく、前記突出部分の最も突出した部分から前記カバーまでの間隔が前記ボンダーキャップの全長よりも小さく、かつ、前記電線束が前記低背部分側に曲げられていることを特徴とする電気接続箱である。
【0015】
上記第2の目的を達成するために請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記端子付き電線収容部が、前記低背部分に隣接しており、前記低背部分が、前記端子付き電線収容部の挿入口を構成する縁部と同じ高さに形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、前記ボンダーキャップ収容部の挿入口を構成する縁部が、低背部分と、該低背部分よりも突出した突出部分と、で構成され、前記カバーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記低背部分から前記カバーまでの間隔が前記ボンダーキャップの全長よりも大きく、前記突出部分の最も突出した部分から前記カバーまでの間隔が前記ボンダーキャップの全長よりも小さく、かつ、前記電線束が前記低背部分側に曲げられているので、ボンダーキャップがボンダーキャップ収容部から脱落しそうになっても、曲げられた電線束の弾性復元力が作用してボンダーキャップが低背部分と逆側の突出部分側に傾くことになり、該突出部分側の壁とカバーに挟まれてボンダーキャップの脱落が防止される。よって、結束バンドを用いることなくボンダーキャップがボンダーキャップ収容部から脱落することを防止できる電気接続箱を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、前記端子付き電線収容部が、前記低背部分に隣接しており、前記低背部分が、前記端子付き電線収容部の挿入口を構成する縁部と同じ高さに形成されているので、結束バンドを用いることなくボンダーキャップがボンダーキャップ収容部から脱落することを防止でき、かつ、端子付き電線を端子付き電線収容部に容易に挿入することができる電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかる電気接続箱に用いられるフレームの斜視図である。
図2図1に示すフレームのボンダーキャップ収容部にボンダーキャップが圧入保持され、フレームにカバーが取り付けられた状態を示す断面図である。
図3図2に示された電気接続箱の作用効果を説明するための説明図である。
図4】従来の電気接続箱に用いられるフレームの斜視図であり、該フレームのボンダーキャップ収容部にボンダーキャップが圧入保持された状態を示す斜視図である。
図5図4に示されたフレームのみの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態にかかる「電気接続箱」を図1〜3を参照して説明する。また、「電気接続箱」は、自動車に搭載されて、前記自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。また、本発明では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックスとも言う。)、ヒューズブロック(ヒューズボックスとも言う。)、リレーブロック(リレーボックスとも言う。)を総称して、以下電気接続箱と呼ぶ。
【0020】
上記電気接続箱1は、図2に示すように、合成樹脂製のフレーム2と、フレーム2に取り付けられる合成樹脂製のカバー3と、を有している。
【0021】
上記フレーム2には、図1に示すように、ボンダーキャップ5が圧入保持されるボンダーキャップ収容部6と、端子付き電線が挿入される複数の端子付き電線収容部7と、が設けられている。また、図1においては、フレーム2の一部を示している。
【0022】
上記ボンダーキャップ収容部6は、ボンダーキャップ5を収容可能な有底筒状に形成されている。また、図1,2中の符号64はボンダーキャップ収容部6を構成する周壁であり、符号63は底壁であり、符号60は挿入口である。また、ボンダーキャップ収容部6の挿入口60を構成する縁部は、端子付き電線収容部7の挿入口70を構成する縁部と同じ高さの低背部分61と、該低背部分61よりも突出した突出部分62と、で構成されている。すなわち、端子付き電線収容部7の挿入口70を構成する縁部が一様の高さであるのに対し、ボンダーキャップ収容部6の挿入口60を構成する縁部は、斜めになっている。
【0023】
上記ボンダーキャップ5は、電線束4の端部に被せられて各電線の芯線同士が電気接続された部分を保護する合成樹脂製の部材である。各電線は被覆電線であり、その端部においては絶縁被覆が除去されて芯線が露出している。また、各電線の芯線同士は、溶接されるなどして電気接続されている。ボンダーキャップ5は、これら芯線同士が電気接続された部分を覆って、防水・絶縁等の役割を果たしている。
【0024】
上記端子付き電線収容部7は、筒状に形成されている。また、複数の端子付き電線収容部7のうちボンダーキャップ収容部6に隣接配置された端子付き電線収容部7は、ボンダーキャップ収容部6の低背部分61に隣接している。また、上述したように、ボンダーキャップ収容部6の低背部分61は、隣接配置された端子付き電線収容部7の挿入口70を構成する縁部と同じ高さに形成されている。
【0025】
なお、本実施形態では、全ての端子付き電線収容部7の縁部が一様の高さに形成されているが、ボンダーキャップ収容部6に隣接していない端子付き電線収容部7は、その縁部が低背部分61より突出していても良い。
【0026】
上記カバー3は、図2に示すように、ボンダーキャップ収容部6及び端子付き電線収容部7の挿入口60,70側に取り付けられる。また、カバー3及びフレーム2は、カバー3がフレーム2に取り付けられた状態で、低背部分61からカバー3までの間隔K1がボンダーキャップ5の全長Lよりも大きく、突出部分62の最も突出した部分からカバー3までの間隔K2がボンダーキャップ5の全長Lよりも小さくなるように形成されている。また、ボンダーキャップ収容部6外に位置付けられた電線束4は、低背部分61側に曲げられている。
【0027】
上記構成の電気接続箱1によれば、図3に示すように、ボンダーキャップ5がボンダーキャップ収容部6から脱落しそうになっても、曲げられた電線束4の弾性復元力が作用してボンダーキャップ5が低背部分61と逆側の突出部分62側に傾くことになり、該突出部分62側の周壁64とカバー3に挟まれてボンダーキャップ5の脱落が防止される。よって、結束バンドを用いることなくボンダーキャップ5がボンダーキャップ収容部6から脱落することを防止できる。
【0028】
また、電気接続箱1によれば、ボンダーキャップ収容部6に隣接配置された端子付き電線収容部7が、ボンダーキャップ収容部6の低背部分61に隣接しているので、端子付き電線を端子付き電線収容部7に容易に挿入することができる。
【0029】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 電気接続部
2 フレーム
3 カバー
4 電線束
5 ボンダーキャップ
6 ボンダーキャップ収容部
7 端子付き電線収容部
60,70 挿入口
61 低背部分
62 突出部分
図1
図2
図3
図4
図5