(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896443
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】燃料ノズル
(51)【国際特許分類】
F23R 3/16 20060101AFI20160317BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20160317BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20160317BHJP
F23R 3/14 20060101ALI20160317BHJP
F23R 3/20 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
F23R3/16
F02C7/00 F
F02C7/22 C
F23R3/14
F23R3/20
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-135645(P2009-135645)
(22)【出願日】2009年6月5日
(65)【公開番号】特開2010-281513(P2010-281513A)
(43)【公開日】2010年12月16日
【審査請求日】2012年5月31日
【審判番号】不服2014-26276(P2014-26276/J1)
【審判請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】山本 武
(72)【発明者】
【氏名】下平 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松浦 一哲
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 要治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 征二
【合議体】
【審判長】
加藤 友也
【審判官】
伊藤 元人
【審判官】
梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−196831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射部を環状に囲む気体流路は、燃料噴射位置近傍であって、スワーラ下流にある流路面積縮小部の下流側端部に形成された喉部と、該喉部下流側に喉部に続く流路面積拡大部(フレア)とで形成され、燃料噴射位置近傍において前記の喉部とフレア間が急激に流路面積の拡大する段部形態の窪み形状となって、該窪み領域で再循環気流を形成させることによりフレア壁面への燃料付着を防止する機能を備えたことを特徴とする液体用燃料ノズル。
【請求項2】
フレア領域に外部から空気が導入される流路が設けられた請求項1に記載の燃料ノズル。
【請求項3】
燃料噴射部を環状に囲む気体流路はインナーウォールで形成され、その周りにメイン燃料噴射部を有するステージング型である請求項1または2に記載された燃料ノズル。
【請求項4】
全圧の高い領域であるパイロット及びメインのスワーラの上流から空気をフレア裏面に導くと共に、メイン流路出口近くの内壁から噴出させる流路を形成し、該流路を流れる空気でフレアを冷却する機能を備えたことを特徴とする請求項3に記載の燃料ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ジェットエンジンの燃焼器に用いる燃料ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用ジェットエンジンの燃焼器は、アイドル状態や離陸や巡航などの様々な出力レベルにわたって作動するものであるが、そのいずれの段階においても燃料消費と排気中の有害物質を減らすような設計が求められる。従来の航空機用ジェットエンジンの燃焼器では窒素酸化物(NOx)削減のための技術として拡散燃焼によるリッチ・クエンチ・リーン燃焼方式(RQL燃焼方式)等が用いられている。RQL燃焼方式とは、当量比が1近くの燃焼でNOxが多く生成されることから、燃焼器の上流部で燃料過濃(当量比>1)で燃焼させ、その後、急速に空気を導入することによって燃料希薄(当量比<1)で燃焼させることによりNOxを低く抑えて燃焼させる方式である。
【0003】
排気中の有害物質を減らして適当な耐久性を有する改良された燃焼器を提供することを目的として、特許文献1にはRQL燃焼方式の低エミッション燃焼器が提示されている。この燃焼器は
図6に示されるように、航空機用ターボファンエンジン中の環状のケーシング112の内部に配置された単一環状の燃焼器110である。燃焼器は、長手方向つまり軸方向の中心軸線114に対して軸対称であり、加圧された空気116を圧縮機(図示せず)から受け、その空気は燃料118と混合され点火されて、高温の燃焼ガス120を発生し、その燃焼ガスは燃焼器から高圧タービンノズル122を含む従来のタービン段中に排出される。燃焼器は、半径方向外側及び内側の環状の燃焼器ライナ124,126を含み、環状の燃焼器ライナ124,126はその前方端で環状のドーム128と接合され、その後方端で半径方向に間隔を置いて配置され、環状の燃焼器出口130を画定する。円周方向に間隔を置いて配置された複数の燃料ノズルが、ドームを貫いて適切に装着される。燃料ノズルは従来の燃料噴射器132及び協働する空気旋回翼つまり旋回カップ134により構成される。各旋回カップは、それぞれの燃料噴射器を同軸に受けるためにドームに適切に取り付けられ、そして燃焼器内部で燃焼される燃料と空気の混合気を発生するために、空気を旋回させて噴射器からの燃料と混合するように構成されたものである。
【0004】
本発明者らの環境適応エンジンチームでは現在「航空エンジン環境技術研究開発(TechCLEAN)」の一環として、航空機用エンジンの窒素酸化物排出値を国際民間航空機関(ICAO)のCAEP4基準値の20%以下に低減することを目標として、先進的な燃焼技術の研究開発を進めているところである。今後、燃費削減のために高圧力比化が進むことは必至で前述したRQL燃焼方式ではNOxや煙の排出が急激に増加する傾向にある。この問題を解決するためにパイロット燃料噴射部として拡散燃焼方式、メイン燃料噴射部として予混合燃焼方式を用いるステージング型燃料ノズルの研究開発が盛んに行われている。このステージング型燃料ノズルとは、パイロット燃料噴射部の作動で生じた燃焼によりエンジンのアイドル等の低負荷運転を行うと共に、中負荷から高負荷で作動するメイン燃料噴射部で形成される予混合気を安定に燃焼させるための口火として用いることにより、排気中のNOxの低減や燃焼効率の向上を可能とするものである。
【0005】
ステージング型燃料ノズルでは、ガスタービンエンジンの耐久性の悪化を防止しながら、公害物質の生成をより効果的に抑制する燃料噴射装置を提供することを目的とした発明が特許文献2に提示されている。この内容は、
図5に示されるように、パイロット燃料噴射部1とメイン燃料噴射部10とを備える燃料噴射装置であって、前記パイロット燃料噴射部1は、インナ燃料チャンバ形成体111と、該インナ燃料チャンバ形成体111を囲んで配設されるインナ油膜形成体13と、インナ空気流路113と、前記インナ油膜形成体13を囲んでインナ空気流路の外周を形成するインナーウォール114を有し、前記インナ燃料チャンバ形成体111のインナ燃料チャンバ111aから前記インナ油膜形成体13内面に噴射された燃料が、同インナ油膜形成体13内面上を油膜とされて下流側に送られてその下流側先端13aからフィルム状で放出され、このフィルム状で放出された燃料がインナ空気流路113の空気流により微粒化されて燃焼領域に送気されるというものである。
しかし、ステージング型燃料ノズルでは、エンジンの低負荷時においてパイロット燃料のみを噴射するため、メイン噴射部を通って燃焼器に流れ込む空気との混合により燃焼効率が低下する傾向にある。これを軽減するため、円錐形状の窪み(以下、フレア)を設け、ここにパイロット火炎を形成することが行われているが、噴射された燃料がフレア表面に付着して微粒化が悪化し、燃焼効率の低下、煙の発生、希薄限界の悪化を招くという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記の問題すなわち、(1)ステージング型燃料ノズルのパイロットフレアヘの燃料の付着による燃焼効率の低下、煙の発生、希薄限界の悪化の問題、(2)パイロット燃料噴射部の燃料と空気の混合気とメイン燃料噴射部を通過した空気の混合による燃焼効率の低下の問題を解決した燃料ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の燃料ノズルは、燃料噴射部を環状に囲む気体流路は、燃料噴射位置近傍であって、スワーラ下流にある流路面積縮小部の下流側端部に形成された喉部と、該喉部下流側に喉部に続く流路面積拡大部(フレア)とで形成され、
燃料噴射位置近傍において前記の喉部とフレア間が急激に流路面積の拡大する段部形態の窪み形状となって、該窪み領域で再循環気流を形成させることによりフレア壁面への燃料付着を防止する機能を備えたことを特徴とする。
また、本発明の燃料ノズルは、上記構成に加え、より好ましい形態としてフレア領域に外部から空気が導入される流路が設けられる構成を採用する。
また、本発明の燃料ノズルは、燃料噴射部を環状に囲む気体流路はインナーウォールで形成され、その周りにメイン燃料噴射部を有するステージング型であるものを提示する。
さらに、本発明のステージング型燃料ノズルは、全圧の高い領域であるパイロット及びメインのスワーラの上流から空気をフレア裏面に導くと共に、メイン流路出口近くの内壁から噴出させる流路を形成する形態を提示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の燃料ノズルは、燃料噴射部を環状に囲む気体流路が、喉部と、該喉部下流側のフレアとで形成され、前記の喉部とフレア間が急激に流路面積の拡大する窪み形状となって、該窪み領域で再循環気流を形成させるものであるから、この領域に発生する再循環気流によって、噴射部から噴霧された燃料が気体流路の壁面に付着することを効果的に防止する機能を備える。
また、急激に流路面積の拡大する窪み形状が段部形態とされた本発明の燃料ノズルは、流れの剥離が起こり、窪み領域で再循環気流を発生させる。この再循環気流は前記の急激に流路面積の拡大する窪み形状と同様に、噴射部から噴霧された燃料が気体流路の壁面に付着することを効果的に防止する。
また、上記構成に加え、より好ましい形態としてフレア領域に外部から空気が導入される流路が設けられる構成を採用した本発明の燃料ノズルは、窪みの表面への煤等の付着や、急激な空気流量の減少があった場合等の窪みでの火炎生成の防止にも有効である。
【0009】
また、燃料噴射部を環状に囲む気体流路はインナーウォールで形成され、その周りにメイン燃料噴射部を有するステージング型である本発明の燃料ノズルは、パイロットフレアヘの付着による燃焼効率の低下、煙の発生、希薄限界の悪化を効果的に防止することができるだけでなく、メイン燃料が停止しているときには、メイン空気流路からは空気のみが噴出していて火炎が存在しないので、パイロット燃料がこれに混入すると燃焼せずに下流に流されてしまうため、燃焼効率が低下するという現象が生じるが、この構成を採用したことにより、フレアに付着した燃料が十分に微粒化されないためにメイン空気と混合して燃焼せずに燃焼器から排出されることによる燃焼効率の低下の問題を解決することができる。
さらに、全圧の高い領域であるパイロット及びメインのスワーラの上流から空気をフレア裏面に導くと共に、メイン流路出口近くの内壁から噴出させる流路を形成する形態を備えた本発明のステージング型燃料ノズルは、この空気流によって火炎に直接触れるパイロットフレアや保炎器を冷却し、焼損しないようにするために重要であると共に、メイン燃料の流路の内側内壁へ付着した燃料の微粒化や空気との混合を促進する効果をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る燃料ノズルの全体構造を示した図である。
【
図2】本発明に係る燃料ノズルにおけるパイロット燃料噴射部近傍の部分拡大図である。
【
図3】本発明に係る燃料ノズルにおけるメイン燃料噴射部近傍の部分拡大図である。
【
図4】本発明に係る燃料ノズルにおける窪み部空気流路近傍の部分拡大図である。
【
図5】従来のステージング型燃料ノズルの例を示す図である。
【
図6】従来のRQL燃焼方式の燃料ノズルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明に係る燃料ノズルの全体構造を示した図であって、この燃料ノズルはパイロット燃料噴射部1とメイン燃料噴射部10を備えたステージング燃焼方式の燃料ノズルである。図の右方向(下流側)に燃焼室が配置され燃焼器として構成されるものである。本発明の課題であるステージング型燃料ノズルのパイロットフレアヘの燃料の付着による燃焼効率の低下、煙の発生、希薄限界の悪化の問題を解決する技術を説明する前に、燃料ノズルとしての動作について予め説明する。まず、パイロット燃料噴射を
図2を参照しながら説明すると、パイロット燃料は
図1のパイロット燃料供給管11から供給され、流路12を通してインナ油膜形成体13の内面に送り出される。流路12には第1の旋回器14aと第2の旋回器14bが配置されているので、パイロット燃料は旋回流となっていて、旋回器14bの下流で遠心力によってインナ油膜形成体13の内面に液膜が形成される。一方、中央の第1空気流路15にはスワーラ16が配置されているのでここに供給される空気も回転力が付与され、旋回流となって右方向に進行する。空気流路の開口部15aに至り、この旋回空気流はインナ油膜形成体13の内面に向けて流路を広げることとなるが、この空気流はインナ油膜形成体13の内面に液膜状となって送られてくる前記パイロット燃料を更に遠心力で薄膜化させる機能を果たす。この薄膜化されたパイロット燃料は、インナ油膜形成体13の先端部に至り、今度はインナ油膜形成体13の外側に配置されている第2の空気流路17を通して送られてくる第2の空気流と接触することとなる。この第2の空気流路17にはスワーラ18が配置されているのでここに供給される空気も回転力が付与されている。したがって、前記薄膜化されたパイロット燃料はインナ油膜形成体13の先端部において内側の第1の空気流と外側から第2の空気流とによって挟まれた形態で両側の旋回流によって微粒化され、右方向に飛散される。以上が本発明におけるパイロット燃料噴射動作である。
【0012】
次に、本発明におけるメイン燃料噴射動作を
図3を参照しながら説明する。メイン燃料は
図1のメイン燃料供給管21から供給され、噴射口22からアウタ油膜形成体23の内面に向けて噴出される。アウタ油膜形成体23の内側には第3の空気流路24が形成されており、噴射口22より上流側にスワーラ25が配置されているので、この第3の空気流路24を流れる空気流は回転力が付与されて図面の右方向へ送られる。アウタ油膜形成体23の内面に向けて噴出されたメイン燃料はこの旋回空気流の遠心力を受け、アウタ油膜形成体23の内面において液膜状に押し広げられながら右方向に送られる。この液膜化されたメイン燃料は、アウタ油膜形成体23の先端部に至り、今度はアウタ油膜形成体23の外側に配置されている第4の空気流路26を通して送られてくる第4の空気流と接触することとなる。この第4の空気流路26にはスワーラ27が配置されているのでここに供給される空気も回転力が付与されている。したがって、前記液膜化されたメイン燃料はインナ油膜形成体13の先端部において内側の第3の空気流と外側から第4の空気流とによって挟まれた形態で両側の旋回流によって微粒化され、右方向に飛散される。以上が本発明におけるメイン燃料噴射動作である。
【0013】
さて、いよいよ本発明の着目課題であるステージング型燃料ノズルのパイロットフレアヘの燃料の付着による燃焼効率の低下、煙の発生、希薄限界の悪化の問題について説明する。燃料ノズルを航空機用ジェットエンジンの燃焼器に用いる場合、エンジンの低負荷時にはパイロット燃料噴射部のみで燃料の噴射を行い、拡散燃焼を行う。パイロット燃料噴射部下流にはパイロット火炎の安定性のためにフレア(流路面積拡大部)を設けることが行われているが、そのフレア表面に噴霧されたパイロット燃料が付着してしまい、燃焼効率低下、煙の生成、希薄限界の悪化を招くという現象が起こる。本発明は噴霧されたパイロット燃料がフレア表面に付着してしまうことを防止するための構成を提示する。
【0014】
本発明の燃料ノズルは、薄膜化されたパイロット燃料を内側の第1の空気流と外側から第2の空気流とによって挟まれた形態で両側の旋回流によって微粒化して噴霧するパイロット燃料噴射部におけるインナ油膜形成体13の先端部で、
図4に部分拡大して示すようにインナ油膜形成体13の先端部を環状に囲む気体流路2を、喉部4と、該喉部下流側のフレア5とで形成するのであるが、前記の喉部4とフレア5間が急激に流路面積の拡大する段差形態とする。それによってその段差の下流側に窪み領域6が形成されるようにする。第2の空気流路17を流れる空気流のうち外側壁面に近い空気流は喉部4まで該壁面に沿って滑らかに流れるが、段差部分で壁面から強制的に剥離させられる。その結果、窪み領域6において図に示すような渦流が発生し、該窪み領域6で再循環気流を形成させるものとなる。安定した再循環気流を生成することで噴霧されたパイロット燃料がフレア5の表面に付着することを大きく軽減することが出来る。
また、図に示した本発明の実施形態では、全圧の高い領域であるパイロット及びメインのスワーラの上流から空気をフレア裏面に導くと共に、メイン流路出口近くの内壁から噴出させる冷却用空気流路8を形成する形態を提示する。更に、この冷却用空気流路8から窪み領域6を連通させる流路9を設ける。冷却用空気流路8の気圧は窪み領域6の気圧より高いため自然に冷却用空気流路8から窪み領域6へ空気が流入されるが、この空気は前記の窪みの表面への煤等の付着や、急激な空気流量の減少があった場合等の窪みでの火炎生成の防止に有効である。
なお、ここに示した実施形態はパイロット燃料噴射部を環状に囲む気体流路はインナーウォールで形成され、その周りにメイン燃料噴射部を有するステージング型のものであるが、本発明の燃料ノズルは、必ずしもステージング型燃料ノズルに限定されない一般燃料ノズルにおいてもフレア面に燃料が付着しないという作用効果において有効である。
【0015】
また、同軸のパイロット燃料噴射部、メイン燃料噴射部を持つ上記の実施形態の燃料ノズルでは、パイロットフレア後端とメイン流路の間に後方ステップ保炎器7を設ける構成が採用されていることにより、パイロット燃料噴射部の中心部に形成される再循環流に加えて、火炎の周囲でも保炎を行い、メイン噴射部を通過してきた空気と混合する前に燃焼させることで燃焼効率を向上することができると共に、メイン燃料噴射時にはメインの予混合気にパイロット火炎やパイロット火炎によって生成された高温の既燃ガスを確実に接触させることができる。また、圧力の高い位置(パイロット燃料噴射部及びメイン燃料噴射部のスワーラの上流)より空気を導き、パイロットのフレア5、後方ステップ保炎器7を裏面より冷却し、メイン流路出口近くの内側の壁からフィルム状に噴出する構造を設けたことにより、火炎に直接触れるパイロットフレアや保炎器を冷却し、焼損しないようにする重要な機能を果たすと共に、メイン燃料の流路の内側内壁へ付着した燃料の微粒化や空気との混合を促進するという作用効果をもつものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
液体燃料を用いる連続燃焼を行うガスタービン燃焼器、ボイラー等に適用可能である。また、液体の微粒化と気体との混合を行う装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 パイロット燃料噴射部 2 気体流路
4 喉部 5 フレア
6 窪み領域 7 後方ステップ保炎器
8 冷却用空気通路 9 連通流路
10 メイン燃料噴射部 11 パイロット燃料供給管
12 流路 13 インナ油膜形成体
14a 第1の旋回器 14b 第2の旋回器
15 第1の空気流路 16 スワーラ
17 第2の空気流路 18 スワーラ
21 メイン燃料供給管 22 噴射口
23 アウタ油膜形成体 24 第3の空気流路
25 スワーラ 26 第4の空気流路
27 スワーラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2001−1147018号公報 「低エミッション燃焼器」 平成13年5月29日公開
【特許文献2】特開2004−226051号公報 「燃料噴射装置」 平成16年8月12日公開