(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)は、2つの電極間にある有機材料を電圧により励起し、再び元に戻る時に光を放出する現象を利用した自発光型素子である。そしてRGB各発光層の有機EL素子をマトリクス状にn×m個配置して有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、有機ELディスプレイという。)を構成する。
【0003】
このような有機ELディスプレイは、低消費電力で発熱が少なく、薄型軽量という特性がある。さらに、有機ELディスプレイの画質は、良好な色再現性、高コントラスト、動画応答性とピーク輝度の高さ、視野角依存性がないなどの優れた特性をもつ。
【0004】
このような有機ELディスプレイの有機材料は、水や酸素に触れると劣化しやすいという特性を有する。そこで、有機ELディスプレイ製造では、真空下、または、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、RGB各発光層などや金属電極材料を基板に真空蒸着により成膜し、また、大気に触れることなく封止ガラスの接着や封止を行っている。
【0005】
さて、有機ELディスプレイ製造では長尺の製造ラインを用いるが、一般的に不活性ガス雰囲気下で行われることが多い。この場合、製造ライン全体を封止カバーで覆い、この封止カバー内に不活性ガスを充満させることになる。しかしながら、製造途中で発する塵埃や微小片(以下、単に異物という)で不活性ガスが汚染される場合もあり、通常はガス浄化装置を用いて、この封止カバー内の不活性ガスをクリーニングして異物を除去するようにしている。
【0006】
このような有機ELディスプレイ製造に関する従来技術として、例えば、特許文献1(特開2007−198364号,発明の名称:ケース収納型送風機およびガス循環精製装置)や特許文献2(特開2008−128224号,発明の名称:ケース収納型送風機およびガス循環精製装置)に記載の装置が知られている。特許文献1,2に記載の発明では、何れも電動送風機を密閉性の良いケースに収納している。そして、引用文献1では冷却板にガスを接触させて熱交換を行い、この冷却板に接する水冷パイプにより排熱を行う構造としている。さらに引用文献2ではこの電動送風機が作り出す風で電動送風機のモータを冷却する自己冷却を行う、というものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の
図1,
図2の装置では、不活性ガスをモータ4に接触させて冷却させるため不活性ガスに異物が混入するおそれがあるという問題があった。また、同様に特許文献2の
図1,
図2,
図4の装置でも、不活性ガスをモータ4に接触させて冷却させるため不活性ガスに異物が混入するおそれがあるという問題があった。
【0009】
また、特許文献1の
図3の装置や特許文献2の
図3の装置では、従来技術として説明されているが、不活性ガスは閉じた経路内にあるため、不活性ガスに異物が混入するおそれを低減させている。しかしながら、送風機構を気密構造にしないと異物に加えて送風機構の周囲から大気が混入するおそれもある。多くの部品から構成される送風機構の完全気密化は容易ではない。先に説明したように大気が混入すると、有機材料が水や酸素に触れて劣化し、発光ができないダークスポットと呼ばれる不良が発生し、有機ELディスプレイが不良品になるという問題があった。
【0010】
特許文献1,2に記載のどの従来技術を用いても異物混入や大気侵入が回避できないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、異物混入および大気侵入をともに防止しつつガスを浄化するようなガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に係るガス浄化装置は、
外部から流入する
クリーニング対象ガスに含まれる異物を除去するプレフィルタと、
前記プレフィルタから流入する
前記クリーニング対象ガスを圧送するブロワと、
前記ブロワから流入する
前記クリーニング対象ガスに含まれる異物を除去するHEPA (High Efficiency Particulate Air)フィルタと、
前記ブロワの周囲を覆うとともに
前記クリーニング対象
ガスと同じガスが内部のガス空間に
存在する封止部と、
前記封止部の外部に配置されて前記ブロワを駆動制御するブロワ駆動部と、を備え
、
前記プレフィルタに、前記封止部の外部の製造ラインから前記クリーニング対象ガスを流入させることを特徴とする。
【0013】
また
、請求項2に係るガス浄化装置は、請求項1に記載のガス浄化装置において、前記封止部
は、前記クリーニング対象
ガスと同じガスをガス供給経路を介して
前記ガス空間に流入させるガス流入口と、
前記クリーニング対象ガスと同じガスを
前記ガス空間から前記ガス供給経路へ流出させるガス流出口と、を備え、
前記ガス空間内のガスを循環させることを特徴とする。
【0014】
また
、請求項3に係るガス浄化装置は、請求項1に記載のガス浄化装置において、前記
ガス空間には
、前記クリーニング対象
ガスと同じガスが充填されるとともに
前記封止部が周囲から遮蔽されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異物混入および大気侵入をともに防止しつつガスを浄化するようなガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を実施するための形態のガス浄化装置のブロック図である。
【
図2】本発明を実施するための形態のガス浄化装置の外観図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は正面図である。
【
図3】本発明を実施するための形態のガス浄化装置の外観図であり、
図3(a)は正面図、
図3(b)は右側面図である。
【
図4】本発明を実施するための形態のガス浄化装置の外観図であり、
図4(a)は左側面図、
図4(b)は正面図である。
【
図5】本発明を実施するための形態のガス浄化装置の外観図であり、
図5(a)は平面図、
図5(b)は背面図である。
【
図6】本発明を実施するための形態のガス浄化装置の外観図であり、
図6(a)はA−A線断面図、
図6(b)は背面から視た封止部の内観図である。
【
図7】本発明を実施するための形態のガス浄化装置の外観図であり、
図7(a)は右側面から視た封止部の内観図、
図7(b)は正面図から視た封止部の内観図である。
【
図8】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置のブロック図である。
【
図9】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置の外観図であり、
図9(a)は平面図、
図9(b)は正面図である。
【
図10】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置の外観図であり、
図10(a)は正面図、
図10(b)は右側面図である。
【
図11】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置の外観図であり、
図11(a)はB−B線断面図、
図11(b)は正面図である。
【
図12】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置の外観図であり、
図12(a)は平面から視た下側内観図、
図12(b)は背面から視た内観図である。
【
図13】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置の外観図であり、
図13(a)は平面から視た上側内観図、
図13(b)は正面から視た内観図である。
【
図14】本発明を実施するための他の形態のガス浄化装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、本発明を実施するための形態のガス浄化装置について図を参照しつつ以下に説明する。ガス浄化装置100は、
図1のブロック図に示すように、浄化前ガス流入口1、プレフィルタ2、第1ガス流路3、ブロワ4、第2ガス流路5、HEPAフィルタ6、浄化ガス流出口7、ブロワ駆動部8、封止部9、ガス流入口10、ガス流出口11を備えている。ガス浄化装置100の外観は、
図2〜
図5に示すようになる。
【0018】
このようなガス浄化装置100は、例えば有機ELディスプレイの製造ラインに接続され、製造ライン内に充填される窒素やアルゴンというような不活性ガス(以下、単にガスといい、大気と区別される。)を引き込んでからクリーニングを行い、浄化ガスとして再度循環供給する機能を有している。なお、以下に説明するガス浄化装置200,300も同様である。
【0019】
続いて各部について説明する。
浄化前ガス流入口1は、
図1で示すように、上流側開口部が封止部9の外側に形成され、また、下流側開口部が封止部9の内側に形成されている。浄化前ガス流入口1の流路は、図示しない製造ラインの空間と、封止部9のガス空間91にあるプレフィルタ2と、の間で連通しており、製造ラインからの浄化前のガス(以下、浄化前ガスという)を流入させる。浄化前ガス流入口1は、
図2,
図3,
図4,
図5,
図6でも示すように封止部9から突出するように設けられている。
【0020】
プレフィルタ2は、
図1で示すように、浄化前ガス流入口1の下流側開口に連結されている。プレフィルタ2は浄化前ガス流入口1から流入する浄化前ガスから殆どの異物を除去した準清浄ガスを生成し、後段へ流出させる。プレフィルタ2は、
図1,
図6,
図7で示すように封止部9の内部に配置されている。
【0021】
第1ガス流路3は、
図1で示すように、上流側開口部がプレフィルタ2側に連結され、また、下流側開口部がブロワ4側に連結されている。第1ガス流路3は、
図1,
図6,
図7でも示すように封止部9内に配置され、詳しくは
図6(a)で示すように略U字状に形成されている。これにより内部構成をコンパクトな配置とすることができる。
【0022】
ブロワ4は、
図1で示すように、第1ガス流路3の下流側開口に連結され、また、第2ガス流路5の上流側開口に連結されている。ブロワ4は、プレフィルタ2で異物が殆ど除去された準浄化ガスを下流側へ圧送する。ブロワ4は、
図1,
図6,
図7で示すように封止部9の内部に配置されている。
【0023】
第2ガス流路5は、
図1で示すように、上流側開口部が封止部9の内側に形成され、また、下流側開口部が封止部9の外側に形成されている。第2ガス流路5は、ブロワ4から圧送された準浄化ガスを後段のHEPAフィルタ6へ流入させる。第2ガス流路5は、
図2,
図3,
図4,
図5,
図6,
図7でも示すように封止部9から上側へ突出するように設けられている。
【0024】
HEPAフィルタ6は、
図1で示すように、第2ガス流路5の下流側開口が連結され、また、浄化ガス流出口7の上流側開口が連結されている。HEPAフィルタ6は、プレフィルタ2から出力される準浄化ガスから高い粒子捕集率(例えば定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上:JIS Z 8122)で異物を除去した上で、下流へ流出させる。HEPAフィルタ6は、
図1で示すように封止部9の外部に配置され、詳しくは
図2,
図3,
図4,
図5,
図6,
図7で示すように封止部9の外部上側に配置されている。
【0025】
浄化ガス流出口7は、
図1で示すように、上流側開口部がHEPAフィルタ6に連結され、また、下流側開口部が図示しない配管等を介して製造ラインに連結されている。浄化ガス流出口7の流路は、図示しない製造ラインの空間と連通しており、製造ラインへ浄化ガスを流出させる。浄化ガス流出口7は、
図2,
図3,
図4,
図5,
図6,
図7でも示すようにHEPAフィルタ6に固定されるように設けられている。
【0026】
ブロワ駆動部8は、
図1で示すように、ブロワ4が内蔵する電動機(図示せず)を駆動制御するものであり、例えばインバータ装置である。ブロワ駆動部8は、
図2,
図3,
図4,
図5,
図6,
図7でも示すように封止部9の外部上側に配置されている。
【0027】
封止部9は、
図1で示すように、その内部にガス空間91が形成されており、このガス空間91内にプレフィルタ2、ブロワ3が配置されている。このように封止部9は、プレフィルタ2、ブロワ3を外界から隔離して外部から封止する機能を有している。このガス空間91内には製造ライン内に充填されるガスと同じ種類であって清浄なガスが充填されている。そしてこのガスが漏出しないように機械的な連結箇所でシールを施すなど高気密な構造を有している。
【0028】
ガス流入口10は、
図1で示すように、上流側開口部が封止部9の外側に形成され、また、下流側開口部が封止部9の内側に形成されている。ガス流入口10の流路は、図示しないガス供給経路と封止部9のガス空間91との間で連通しており、ガス供給経路からのガスを流入させる。ガス流入口10は、
図2,
図3,
図4,
図5,
図6,
図7でも示すように封止部9から突出するように設けられている。
【0029】
ガス流出口11は、
図1で示すように、上流側開口部が封止部9の内側に形成され、また、下流側開口部が封止部9の外側に形成されている。ガス流出口11の流路は、図示しないガス供給経路と封止部9のガス空間91との間で連通しており、ガス供給経路へガスを流出させる。ガス流出口11は、
図2,
図3,
図4,
図5,
図6,
図7でも示すように封止部9から突出するように設けられている。
【0030】
続いて、実際の経路について説明する。
図6(a),(b)で示すように、浄化前ガスは、浄化前ガス流入口1を経てプレフィルタ2へ流入し、あらかたの異物が除去された準浄化ガスとして流出される。プレフィルタ2から流出された準浄化ガスは、第1ガス流路3を経て封止部9内のブロワ4へ流入する。
【0031】
準浄化ガスは、ブロワ4により圧送され、
図6(a),
図7(a),(b)で示すように、第2ガス流路5を介して封止部9から外へ流出され、
図7(a),(b)で示すように、HEPAフィルタ6へ流入する。HEPAフィルタ6から流出された浄化ガスは、浄化ガス流出口7を介して図示しない製造ラインへ流出される。
【0032】
続いて、本発明の特徴をなす大気侵入防止技術について説明する。本発明では特にブロワ4を、気密性が高い封止部9のガス空間91に配置するとともにガス流入口10およびガス流出口11を含むガス供給経路によりガス空間91にガスを循環させつつ充填する。このガスは製造ラインに充填するガスと同じガスである。ブロワ4は、第1ガス流路3、ブロワ4および第2ガス流路5を流れる準浄化ガスを圧送するときに、ブロワ4から準浄化ガスを漏出させたり、また、若干ではあるがブロワ4の周囲にあるガスを吸引し、この準浄化ガスに混入させる。
【0033】
仮にブロワの周囲が大気で覆われているような場合には、ブロワを通じて大気が製造ラインに侵入し、大気中の酸素に影響されて不良品が発生するおそれがある。しかしながら、本発明ではブロワ4の周囲も製造ラインと同じガスが充填されているため、仮にブロワ4の周囲にあるガスがブロワ4内に流入しても、大気が混入するわけではなく、製造ライン内は依然ガスのみが充填されるため、例えば有機ELディスプレイのように大気中の酸素を嫌う製造対象の不良品が発生するおそれを低減させている。また、ブロワ4から準清浄ガスが漏出してもガス空間91内やガス供給経路に留まるため、ガスが消費されることもない。
【0034】
また、ブロワ4へはプレフィルタ2を経てから準浄化ガスが供給されるため、ブロワ4から封止部9内のガス空間91へ準浄化ガスが漏れて異物とともに放出されたとしてもその量は僅かであり、また、ガス流入口10からガス空間91へ清浄なガスが流入し、ガス放出口11からガス供給経路へガスが流出するというように、ガスがガス供給経路内を循環しているため、異物がガス空間内で増えることもない。ガス供給経路途中で図示しない高機能のフィルタ(例えばHEPAフィルタ)があればこの異物も除去されるため、ガス空間91内は清浄なガスが充填され続けることとなる。加えてブロワ4自体から発塵した異物やガス空間91内に浮遊する異物がブロワ4に吸引されて準浄化ガスに混入したとしてもHEPAフィルタ6で確実に除去されるため、製造ライン内へは異物が到達するおそれを殆どなくしている。
【0035】
また、第1ガス流路3、ブロワ4および第2ガス流路5による経路は、周囲のガスを流入させないように気密性を高めており、この点でも製造ラインへは異物が到達するおそれを殆どなくしている。
【0036】
なお、
図7(a)で示すように、ガス流入口10の軸線上にブロワ4が存在するようにして、ガス流入口10から流入するガスをブロワ4に直接当ててブロワ4を冷却する機能も有している。充分に温度が低いガスをブロワ4に当てるようにすれば、ブロワ4の温度上昇も抑えることができる。
【0037】
続いて本発明を実施するためのガス浄化装置の他の形態について以下に説明する。
ガス浄化装置200は、
図8のブロック図に示すように、浄化前ガス流入口1、プレフィルタ2、第1ガス流路3、ブロワ4、第2ガス流路5、HEPAフィルタ6、浄化ガス流出口7、ブロワ駆動部8、封止部20を備えている。ガス浄化装置200の外観は、
図9〜
図11に示すようになる。
【0038】
先の形態と比較すると、まず、封止部20にガス流入口やガス流出口がなくガス空間が完全に遮蔽された構造である点で相違する。さらに、先の形態では本体に対して封止部9が一体に形成されている構成について説明したが、本形態では本体から封止部20が分離されている点で相違する。以下、特に封止部20について重点的に説明するとともに他の構成については同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0039】
封止部20は、
図8で示すように、ガス空間201が形成されており、このガス空間201内にブロワ4が配置されている。このように封止部20は、ブロワ4を外部から封止する機能を有している。このガス空間201内には製造ラインに充填されるガスが充填されている。
【0040】
封止部20の外観としては、
図9,
図10,
図11で示すように、封止部20と筐体21とが分離するとともに、第1ガス流路3および第2ガス流路5により封止部20と筐体21との間の流路が連結されている。封止部20の内部のガス空間201には、
図8,
図12,
図13で示すように、ブロワ4が配置される。また、駆動ライン22がブロワ駆動部8とブロワ4とに接続されており、封止部20と筐体21との間を渡されている。
【0041】
続いて、実際の経路について説明する。
図12(a),(b)で示すように、浄化前ガスは、浄化前ガス流入口1を経てプレフィルタ2へ流入し、あらかたの異物が除去された準浄化ガスとして流出する。プレフィルタ2から流出された準浄化ガスは、第1ガス流路3を経て封止部20内のブロワ4へ流入する。
【0042】
準浄化ガスは、ブロワ4により圧送され、
図12(a),
図13(a),(b)で示すように、第2ガス流路5を介して封止部20から外へ流出され、
図13(a),(b)で示すように、HEPAフィルタ6へ流入する。HEPAフィルタ6から流出された浄化ガスは、浄化ガス流出口7を介して図示しない製造ラインへ流出される。
【0043】
続いて、本発明の特徴をなす大気侵入防止技術について説明する。本発明では特にブロワ4を封止部20のガス空間201に配置するとともにガス空間201をガスで充満させる。このガスは製造ラインに充填するガスと同じガスである。ブロワ4は、第1ガス流路3、ブロワ4および第2ガス流路5を流れる準浄化ガスを圧送するときに、若干ではあるがブロワ4の周囲にあるガスを吸引し、この準浄化ガスに混入させる。
【0044】
仮にブロワの周囲が大気で覆われているような場合には、ブロワを通じて大気が製造ラインに侵入し、大気中の酸素に影響されて不良品が発生するおそれがある。しかしながら、本発明ではブロワ4の周囲も製造ラインと同じガスが充填されているため、仮にブロワ4の周囲にあるガスがブロワ4内に流入しても、大気が混入することなく、製造ライン内はガスのみが充填されるため、例えば有機ELディスプレイのように大気中の酸素を嫌う製造対象の不良品が発生するおそれを低減させている。また、ブロワ4から準清浄ガスが漏出してもガス空間201内に留まるため、ガスが消費されることもない。
【0045】
また、ブロワ4へはプレフィルタ2を経てから準浄化ガスが供給されるため、ブロワ4から封止部20内のガス空間201へ準浄化ガスが漏れて異物とともに放出されたとしてもその量は僅かであり、また、ブロワ4自体から発塵した異物やガス空間201内に浮遊する異物がブロワ4に吸引されて準浄化ガスに混入したとしてもHEPAフィルタ6で確実に除去されるため、製造ライン内へは異物が到達するおそれを殆どなくしている。
【0046】
また、第1ガス流路3、ブロワ4および第2ガス流路5による経路は、周囲のガスを流入させないように気密性を高めており、この点でも封止部20内や製造ラインへは異物が到達するおそれを殆どなくしている。
【0047】
以上、本形態のガス浄化装置200について説明した。なお、本形態では各種の変形形態が可能である。例えば、本形態では、先の形態のように冷却機能を設けてないが、例えば、封止部20の上に冷却フィンを配置したり、封止部20に外側から冷風や冷水を当てるなどの冷却でも対処が可能である。少なくとブロワ4のみをガス空間201内に配置し、第1ガス流路3および第2ガス流路5で封止部の内外をつなげば本発明の特徴を満たすものである。
【0048】
また、本形態では封止部20のガス空間201内にブロワ4のみを配置するものとして説明した。しかしながら、
図14に示すガス浄化装置300のように、封止部20に対してガス流入口10およびガス流出口11を設け、これらガス流入口10およびガス流出口11に対してガス供給経路に取り付けてガス空間201内のガスを循環冷却および浄化するようにしても良い。これは、
図1で示すようなプレフィルタ2、第1ガス流路3およびブロワ4を配置するガス浄化装置100と比較すると、プレフィルタ2を封止部9の外へ置くとともに、ブロワ4のみをガス空間91内に配置する構成でもある。少なくとブロワ4のみをガス空間201(91)内に配置し、第1ガス流路3および第2ガス流路5で封止部20(9)の内外をつなげば本発明の特徴を満たすものである。
【0049】
以上説明したような本発明のガス浄化装置によれば、特に、異物混入や大気侵入を共に防止し、清浄なガスにして送り出すという効果が見込める。