特許第5896483号(P5896483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5896483-複合材料 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896483
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】複合材料
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   C08J5/24CFC
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-500593(P2013-500593)
(86)(22)【出願日】2011年3月24日
(65)【公表番号】特表2013-523909(P2013-523909A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】GB2011050597
(87)【国際公開番号】WO2011117643
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年3月10日
(31)【優先権主張番号】1005103.5
(32)【優先日】2010年3月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504132032
【氏名又は名称】ヘクセル コンポジッツ、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイター、マーク
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/038673(WO,A1)
【文献】 特開平07−068542(JP,A)
【文献】 特開平06−287524(JP,A)
【文献】 特開平09−255800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体として、硬化性樹脂と、構造繊維の少なくとも1つの層とを含み、外側に裏当て層を含む硬化性シート状複合材料であって、前記外側の裏当て層は、前記複合材料本体中の前記硬化性樹脂と異なる硬化性樹脂を含み、前記複合材料は、取り除くことができる固体の裏当てシートの存在無しでそれ自体の上に巻くことができ、それによって、展開が、前記複合材料の隣接する層の分離点から離れる方向の前記裏当て層の粘性流れによって促進され
前記裏当て層は、静止時にゲルを形成し、そして、10s−1のせん断速度で500Pas未満、5〜300Pas、又は5〜150Pasの粘度を示し、0.1s−1のせん断速度で500Pasを超える又は1000Pasを超える粘度を示し、すべての粘度が25℃で測定されている、
前記複合材料。
【請求項2】
除去可能な固体の裏当てシートのない、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
20cm未満又は10cm未満の直径を有するロールを形成することができるように十分に柔軟性がある、請求項1又は請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
0.5〜5.0mm又は1.0〜4.0mmの厚さを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
プリプレグ又はセミプレグである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
セミプレグであり、樹脂を含浸させていない1つ又は2つの構造繊維の層と接触している硬化性樹脂の層を含み、前記裏当て層が前記構造繊維の層の1つに隣接する、請求項5に記載の複合材料。
【請求項7】
2つの裏当て層を含み、それぞれが2つの外面のうちの1つの外面上にあり同じ組成である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
裏当て層が、少なくとも60重量%又は少なくとも70重量%の硬化性樹脂を含むか、或いは、裏当て層が、硬化性樹脂から本質的になる、請求項1から7までのいずれか一項に記載の複合材料
【請求項9】
裏当て層が微粒子材料を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の複合材料
【請求項10】
微粒子材料が、60℃を超える融点を有する、室温で固体の硬化性樹脂である、請求項9に記載の複合材料
【請求項11】
除去可能な固体シートの存在なしにそれ自体の上に巻かれた請求項1から10までのいずれか一項に記載の未硬化の複合材料のロールを展開する方法であって、展開が、複合材料の隣接する層の分離点から離れる方向の裏当て層の粘性流れにより促進される、上記方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合材料、特に硬化性プリプレグ及びセミプレグに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、特に、極めて低い物質密度で優れた力学的特性を提供することにおいて、伝統的な建設材料に対する利点が十分に実証されている。その結果、このような材料の使用はますます広範囲に及び、これらの応用分野は、「工業」並びに「スポーツ及びレジャー」から、高性能の航空宇宙用部品にまで至る。
【0003】
エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた繊維配列を含むプリプレグは、このような複合材料の世代で広く使用されている。典型的にはこのようなプリプレグの多数のプライは、所望の通りに「レイアップ」され、得られた積層体は、典型的には高温への曝露によって硬化されて、硬化した複合積層体を生じる。
【0004】
ある特定のタイプのプリプレグは、いわゆるセミプレグであり、このセミプレグは、樹脂を部分的にのみ含浸させた繊維配列を含み、この繊維配列の一部は「乾燥」状態のまま残っている。
【0005】
このようなセミプレグは、乾燥領域が、封じ込められた空気を積層体から脱出させるための経路を可能にすることから、最終の硬化した複合積層体においてより低い多孔度をもたらすことができる。
【0006】
一般的なセミプレグ配列とは、本質的に乾燥状態を保ち、極めてわずかな樹脂しか隣接する繊維中に移動しない1つ又は2つの隣接する繊維の層と接触している、硬化性樹脂の層を有することである。このようなセミプレグは、大きな耐荷重性の構造体の一部として、例えば風力タービン回転翼用スパーとして特定の使用を見出している。
【0007】
しかし、一部の樹脂は、時間の経過と共に、特に保存の間、繊維中に不可避的に移動し、他方の面まで通過することがあり、この現象は、ブロッキングとして知られている。
【0008】
プリプレグ及びセミプレグは典型的には、シート材のロールとして生産される。構造体をプリプレグ又はセミプレグから生産することが望まれる場合、ロールは展開され、材料は所望の通りに広げて置かれる。この展開が可能となるよう、固体裏当てシート、例えばポリセン又は紙をプリプレグ又はセミプレグの外面に適用するのが一般的である。
【0009】
材料を巻いてロールにする際に、裏当てシートは、プリプレグ又はセミプレグの隣接する層が互いに接着するのを防ぐ。続いてロールを展開する際に、裏当てシートは次いで、硬化性プリプレグ又はセミプレグから取り除かれ、次いで廃棄物として廃棄される。
【0010】
したがって、このような固体裏当てシートは、非固着性の表面をもたらすように慎重に調製及び配合されるので、裏当てシートは樹脂表面から取り外すことができ、巻かれたプリプレグ又はセミプレグの隣接する層の間の接着を防ぐことができる。
【0011】
しかし、裏当てシートのこのような使用は、裏当てシートが使用後廃棄されるので、無駄が多く生産のコストを増大させる。さらに、裏当てシートは、ロールからうまく取り除こうとする努力にもかかわらず、特にますます一般的となりつつある自動化された工程に適用された場合、ロールからうまく取り除かれない可能性がある。これが起こると、プリプレグ及び/又はセミプレグの全スタックが捨てられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
裏当てシートの使用を必要としないセミプレグを生産するための試みがなされている。これは、硬化性樹脂層が任意の隣接する繊維層を通って移動しブロッキングを引き起こす傾向が少なくなるように、樹脂層の粘度を上昇させることを含んでいた。これを達成することはできるが、粘度の上昇は、セミプレグのタック及びドレープ適性を低下させ、不可避のブロッキングを長引かせるだけであり、これによって保存時間に制限が生じる。これらの欠点を考慮して、裏当てシートなしのセミプレグは現在推奨されていない。
【0013】
したがって、本分野におけるさらなる向上が非常に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、硬化性樹脂と、少なくとも1つの構造繊維の層とを含み、せん断依存性レオロジーを有する外側裏当て層を含む硬化性シート状複合材料であって、裏当て層が、複合材料の外表面上で静止時に流れを本質的に示さず、誘発されたせん断に対して粘性流れ応答を示す、上記複合材料に関する。
【0015】
裏当て層は、硬化性複合材料の製造の間に外面上に適用され、この外面上で、裏当て層は、流れ特性を本質的に示さない。複合材料がそれ自体の上に巻かれると、裏当て層は、流れ特性を本質的に示さないことから、その場所に留まる。したがって、これによって、巻かれた複合材料の隣接する層の硬化性樹脂が接触するのを防ぐ。
【0016】
よって、シート状複合材料は、ロールの形態であることが好ましい。よって、複合材料は、20cm未満、より好ましくは10cm未満の直径を有するロールを形成することができるように十分に柔軟性があることが好ましい。
【0017】
このように複合材料は、容易に巻くことができないような厚さでないことが好ましい。よって、複合材料は通常、0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜4.0mmの厚さを有する。
【0018】
複合材料のロールの使用が望まれる際には、ロールは公知の様式で展開される。展開作用がもたらすせん断応力によって、裏当て層は粘性流れ応答を示すようになる。これは、裏当て層がせん断力に応答して流動するという効果を有し、これは複合材料の隣接する層の分離点から離れる方向である。よって、この裏当て層は、複合材料の隣接する層が、互いに接着することなくロールから分離することを可能にする。
【0019】
本発明は、従来技術で使用されているような除去可能な裏当てシートが省略された場合の隣接する層の間の不可避の接着を制御することを目指しているため、極めて革新的であると考えられる。隣接する層が一緒に接着するのを防ぐことではなく、巻く際に誘発されるせん断力が、隣接する巻かれた層の繊維中への裏当て層の流れをいくらか引き起こすことから、隣接する巻かれた層が一緒に接着されるのであろうと考えられる。
【0020】
レオロジーを制御して、裏当て層が、巻かれている時及び保存されている時には、複合材料の隣接する層と間でその場所に留まることを可能とし、また裏当て層が展開から誘発されたせん断を一度受けると、流動することを可能とすることによって、複合材料は、除去可能な裏当て用の紙又はシートを必要とすることなく、そのままの状態で展開することができる。
【0021】
したがって、本発明の裏当て層は複合材料の一体部分を形成するので、これは取り除かれないということがわかる。
【0022】
よって、複合材料は通常、除去可能な固体裏当てシートを含まない。
【0023】
「除去可能」とは、シートを複合材料から、複合材料の残りの部分をそのままの状態で残したまま剥がすことができることを意味する。
【0024】
複合材料は通常、プリプレグ又はセミプレグである。しかし、本発明は、セミプレグに特に適用できると考えられる。
【0025】
セミプレグの典型的な配列は、樹脂を十分に含浸させていない1つ又は2つの構造繊維の層と接触している硬化性樹脂の層を含む。この配列において、裏当て層は、1つのこのような構造繊維層に隣接しているのが好ましいが、しかし他の配列は可能である。
【0026】
複合材料は、材料の追加層を含み得るが、それぞれは、複合材料がロールを形成するのに十分な柔軟性を保つことが確実となるように利用されなければならない。
【0027】
本発明の複合材料は、構造部品、例えば風力タービン回転翼用スパーなど、又は航空宇宙用車両、例えば航空機などの形成における使用に特に適している。このような構造体は一般的にかなり大きいので、複合材料は、10.0cmを超える長さを有するロール、及び少なくとも1.0mの巻かれた材料を形成することができることが好ましい。よって、複合材料は、少なくとも0.1m、好ましくは少なくとも0.3mの表面積を有する。
【0028】
本発明の複合材料は、本明細書に記載されている裏当て層を含むのに1つの外面のみを必要とすることが理解されよう。
【0029】
しかし、裏当て層の外側層を1つのみ有する複合材料のシートを展開した後、展開した複合材料は、裏当て層をその外側層の両方の上に含む傾向があることが判明した。これは、裏当て層が流動して、複合材料の隣接する層の分離点でのせん断作用から離れる方向に流動するので、裏当て層の一部は、複合材料上の元の位置に留まり、別の部分は、複合材料の隣接する層に移ることが判明したからである。実際には、裏当て層は分割して、複合材料の両方の外面を覆う。
【0030】
よって、複合材料は、2つの裏当て層を含むことができ、それぞれは2つの外面のうちの1つの外面上にあり同じ組成である。
【0031】
本発明の主要な特徴は、裏当て層がせん断依存性レオロジーを有することである。これは、裏当て層が、誘発されたせん断に対する粘性流れ応答を示し、これによって液体として流動することを意味する。しかし、ロール上で保存されている間に遭遇する、せん断が低い又はゼロに近い環境下では、裏当て層は、いかなる流動も本質的に示さず、よってその場所に留まり、保存中に移動する傾向がない。
【0032】
これを達成する1つの方法は、裏当て層がせん断減粘特性を示し、したがって静止時に粘性がより高い流体、及びせん断に応答して粘性がより低い流体として挙動することである。
【0033】
別の可能性は、裏当て層が静止時にゲルになって、保存の際に本質的に固体のままであるために十分な小さい測定可能な降伏応力を有することである。隣接する層が分離されたときに一度せん断力に遭遇すると、降伏応力は超過し、裏当て層は、せん断の領域から離れる方向に液体のように流動する。
【0034】
よって、好ましくは裏当て層は、10s−1のせん断速度で500Pas未満、より好ましくは5〜300Pas、最も好ましくは5〜150Pasの粘度を示し、0.1s−1のせん断速度で500Pasを超える、より好ましくは1000Pasを超える粘度を示す。すべての粘度は、25℃で測定される。
【0035】
好ましい実施形態において、裏当て層は、複合材料の本体中の硬化性樹脂と同じであってもよく又は異なっていてもよい硬化性樹脂を含む。
【0036】
好ましい実施形態において、裏当て層は、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の硬化性樹脂を含む。実際に、裏当て層が硬化性樹脂から本質的になることがさらに好ましいこともある。当技術分野で公知のこのような硬化性樹脂は、ニュートン流体として知られており、したがってレオロジー改質材料を含むことが好ましい。
【0037】
硬化性樹脂を含む裏当て層は、従来技術のように取り除かれないので特に望ましい。したがって、硬化性樹脂を含むことによって、裏当てシートは、複合材料の本体中の硬化性樹脂と共に効果的に共硬化することができる。このようにして、裏当て層は、硬化した複合体の力学的特性に対していかなる有害効果をもたらすこともなく、硬化すると複合材料の一部となることができる。
【0038】
公知の硬化性樹脂のせん断減粘性は、例えば十分な量及びタイプの固体微粒子材料を添加することによって改変することができる。これに適した材料は、ヒュームドシリカ粒子であるが、他に多くの適切な微粒子材料も存在し得る。ある特定の好ましい実施形態では、微粒子材料は、60℃を超える融点を有する、室温で固体の硬化性樹脂である。この実施形態では、樹脂だけではく、レオロジー改質材料も複合材料の本体中の樹脂と共に共硬化する。
【0039】
公知の硬化性樹脂のゲル化は、適切なゲル化剤、例えばUS7,550,722に記載のものなどを添加することによって改変することができる。特に適切なタイプの非ポリマー性ゲル化剤として、フェノール、特に二官能性及び三官能性フェノールのアルキルエーテルなどが挙げられる。好ましくはアルキルエーテルのアルキル成分は、ヘキシルからオクタデシルの範囲内である。裏当て層は、2〜10重量%のゲル化剤に含み得るのが適切である。
【0040】
非ポリマー性ゲル化剤としての使用に特に適している化合物として、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ビスフェノールのオクチルからオクタデシルエーテル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、アントラキノンジオール、ピロガロール、フロログルシノール及びスチルベンジオールなどが挙げられる。
【0041】
構造繊維層中の繊維は、一方向性の織物形態、又は多軸性であってよい。好ましくは、繊維は一方向性であり、これらの方向性は、例えば、近接する層の繊維が互いに直角になるように、近接する繊維層の間の角度を表すいわゆる0/90配列で配列することによって、例えばプリプレグ又はセミプレグなどの複合材料の全体を通して変化することになる。他の配列、例えば他の多くの配列の中でも、0/+45/〜45/90が当然ながら可能である。
【0042】
繊維は、割れた(すなわち延伸破壊された)、選択的に不連続な繊維又は連続繊維を含んでもよい。
【0043】
構造繊維は、多種多様な材料、例えばガラス、カーボン、グラファイト、金属化ポリマー、アラミド及びこれらの混合物から作製することができる。グラスファイバーが好ましい。複合材料は通常、30〜70重量%の構造繊維を含む。
【0044】
上述のように、裏当て層(それ自体、大部分が硬化性樹脂であってよい)に加えて、本発明の複合材料は、硬化性樹脂、すなわち熱硬化性樹脂を含む。硬化性樹脂は、個別の層として存在してもよく、又は構造繊維の層に完全に若しくは部分的に含浸されていてもよい。複合材料は通常、裏当て層中に存在し得る硬化性樹脂を除いて、15〜50重量%の硬化性樹脂を含む。したがって、これは通常、せん断依存性レオロジーを有さないニュートン流体である。
【0045】
硬化性樹脂は、当技術分野で従来から公知のもの、例えばフェノール−ホルムアルデヒド、ウレア−ホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミドなどの樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリエステル、不飽和ポリエステル、シアネートエステル樹脂、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0046】
特に好ましいのは、エポキシ樹脂、例えば単官能性、二官能性又は三官能性又は四官能性のエポキシ樹脂である。
【0047】
エポキシ樹脂は、単官能性、二官能性、三官能性及び/又は四官能性のエポキシ樹脂を含み得る。
【0048】
適切な二官能性エポキシ樹脂は、例として、以下に基づくものが挙げられる;ビスフェノールF、ビスフェノールA(場合によって臭素化したもの)、フェノール及びクレゾールエポキシノボラックのジグリシジルエーテル、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せ。
【0049】
二官能性エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はこれらの任意の組合せから選択することができる。
【0050】
適切な三官能性エポキシ樹脂は、例として、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、トリグリシジルアミノフェニル、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せに基づくものが挙げられる。
【0051】
適切な四官能性エポキシ樹脂として、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(Mitsubishi Gas Chemical CompanyからTetrad−Xの名称で市販、及びErisys GA−240としてCVC Chemicalsから市販)及びΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えばHuntsman Advanced MaterialsのMY721)が挙げられる。
【0052】
熱硬化性樹脂はまた、1つ又は複数の硬化剤を含んでもよい。適切な硬化剤として、無水物、特にポリカルボン酸無水物;アミン、特に芳香族アミン、例えば1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び特にスルホン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)、及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。好ましい硬化剤は、アミノスルホン、特に4,4’DDS及び3,3’DDSである。
【0053】
樹脂及び繊維のタイプ及びデザインのさらなる例を、WO2008/056123において見出すことができる。
【0054】
裏当て層は、性能向上剤をさらに含んでもよい。これは、このような材料を複合材料の本体中の硬化性樹脂に添加するのが不適当である場合に特に有益である。裏当て層の材料は、保存の間及びさらには硬化後にも複合材料の外側層上に大部分留まることが予想できることにも留意されたい。したがって、性能向上剤がまた、複合体のこの領域において局在していることが有利となり得る。このような性能向上剤は通常、裏当て層の0〜10重量%のレベルで存在することになる。
【0055】
適切な性能向上剤の例として、難燃剤、靭性、UV安定剤及び抗真菌剤が挙げられる。
【0056】
別の態様では、本発明は、本明細書において定義された複合材料が、除去可能な固体裏当てシートの存在なしにそれ自体の上に巻かれる、未硬化の複合材料のロールを形成する方法に関する。
【0057】
同様に、別の態様では、本発明は、除去可能な固体シートの存在なしにそれ自体の上に巻かれた本明細書において定義されている未硬化の複合材料のロールを展開する方法であって、展開が、複合材料の隣接する層の分離点から離れる方向の裏当て層の粘性流れにより促進される方法に関する。
【0058】
一度展開されると、複合材料は、典型的には、構造部材の形状に適合するように複数の層の配列の一部として広げて置かれる。次いで複合材料は、高温への曝露により、場合によって高圧への曝露により硬化されて、硬化した複合材料を生産することができる。
【0059】
本発明は次に、例を用いて以下の図を参照して例示される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明によるセミプレグの概略図である。
図2】展開された際の巻かれた複合材料の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図を参照すると、図1は、本発明によるセミプレグ10の概略図を示している。セミプレグの層は、例示を簡略化するために、ねじれ型の形態で示されている。
【0062】
セミプレグ10は、図に示されているように、セミプレグの長さに対して、45°及び30°の角度で配列された、310gsmの一方向性カーボン繊維織物の2つの層12を含む。
【0063】
繊維層12の間に挟まれているのは、330gsmのM9.6エポキシ樹脂層14(Hexcelから入手可能)である。1つの外面は、200gsmのエポキシ樹脂(LY1556)を含み5%シリカ粒子(Aerosil R202)を含有してせん断減粘特性をもたらす裏当て層16で覆われている。
【0064】
使用中、セミプレグ10は、保存の間セミプレグ10の隣接する層を効果的に分離する裏当て層と共に、それ自体の上に巻かれる。
【0065】
セミプレグ10は、それ自体の上に巻かれるとき、巻く際に生じる小さなせん断応力は、裏当て層が流動し乾燥した繊維層12の隣接するシートに侵入するのに十分となり得る。この初期の流れが一度生じると、裏当て層は、実質的に流動しない形態に戻り、保存の間はセミプレグ10の層の間のその場所に留まる。
【0066】
図2は、展開の際に生じる一連の事象を概略的に示している。最初の像は、本発明による巻かれたセミプレグの概略的側断面図を示している。図示されているのは、第1のセミプレグ20及び同じセミプレグ22の隣接する層である。同様に図示されているのは、セミプレグ層20、22の間に挟まれた裏当て層24である。各セミプレグは、硬化性樹脂28、例えばエポキシ樹脂を部分的に含浸させた、一方向性カーボン繊維の構造繊維26を含む。
【0067】
図2の第2の像は、長期間の保存後の配列を示している。裏当て層は、隣接する繊維26及び樹脂28が裏当て層24にいくらか移動しているにもかかわらず、2つのセミプレグ層20、22を隔離し続けていることがわかる。
【0068】
図2の第3の像は、巻かれたセミプレグの展開が試みられた際に何が起こるかを示している。裏当て層はせん断依存性レオロジーを有するので、近接するセミプレグ20が分離するように誘発すると、裏当て層は、液体のように挙動し、最大せん断応力の点から離れる方向に流動する。したがって、裏当て層24は、近接するセミプレグ層に接着したまま留まり、代わりに2つに効果的に分割して、展開に対して不良メカニズムとして作用する。
【0069】
したがって、展開の際、セミプレグシートは、元の裏当て層24の約半分を1つの面上に含み、残りの半分を他方の面上に含むことになる。
【0070】
展開されたセミプレグは、次いで裏当て層を取り除く必要なしに広げて置かれ、所望の通りに成形されて、例えば風力タービン回転翼用スパーなどの構造体の一部、又は航空宇宙車両構造体の一部を形成することができる。
【0071】
一度形成されると、集合体は、当技術分野で公知の任意の適切な手段により、高温及び場合によっては高圧へ曝露されることにより硬化される。裏当て層は、大部分は硬化性樹脂から構成されるので、硬化性樹脂と共に共硬化して、得られる硬化した構造体の強度に貢献する。
【実施例】
【0072】
配合材料:
・液体ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ樹脂)。Huntsman Advanced Materials、Cambridge、UKのLY1556。
・固体ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ樹脂)。Hexion Speciality Chemicals B.V.、 Rotterdam、The NetherlandsのEpikote1001。
・ジシアンジアミド(硬化剤)。Alzchem Trostberg GmbH、Trostberg、GermanyのDyhard 100。
・3,3’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1,1−ジメチルウレア)+(硬化剤)。AlzchemのDyhard UR500。
・Araldite DY135ブルー、Huntman Advanced Materials、Cambridge、UK.の青色顔料。
・疎水性シリカ。Evonik Industries AG、Essen、GermanyのAerosilR202。
・Arizona Chemicals、Almere、The NetherlandsのSylvagel 1000(ゲル化剤)。
【0073】
基板材料
HexFIT 2000:Hexcel GmbH、Neumarkt、AustriaのM9.6−LT/35%/BB630/2Gセミプレグ材。
Hexcel GmbH、Neumarkt、AustriaのM9.6−LT、M9.7樹脂。
【0074】
ガラスUD繊維の補強層がいずれの側にも付着している、M9.6−LT、M9.6F−LT又はM9.7樹脂(Hexcel専売の配合された樹脂系)の340gsmの薄膜層から標準セミプレグ材を構築した。
【0075】
液体樹脂、ヒュームドシリカ及び/又は微粉化した固体バッジ(badge)樹脂及び硬化剤系、例えば当業者に公知のdicy/uroneを使用して、裏当て層を配合した。適切なゲル化剤、例えば、Sylvagel 1000(以下を参照されたい)を使用して液体エポキシ樹脂を「ゲル化する」ことによって、別の裏当て層を配合した。
【0076】
裏当て層の配合物:
例1
LY1556 73.69%
Epikote 1001(篩にかけた) 16.77%
Dyhard 100 2.97%
Dyhard UR500 1.35%
Aerosil R202 4.73%
DW0135ブルー 0.49%
例2
LY1556 89.13%
Dyhard 100 3.21%
Dyhard UR500 1.45%
Aerosil R202 5.73%
DW0135ブルー 0.48%
例3
Epikote 816MV 95%
Sylvagel 1000 5%
40mmパラレルプレートを備えたBohlin Geminiレオメーターを使用して測定した場合、以下の粘度がせん断速度に関して得られる
【表1】
【0077】
例2及び例3のせん断減粘特性が明確に示されている。
【0078】
次いで、材料の外表面の1つに裏当て層を200gsmまで適用した。
【0079】
よってこのような集合体は、ポリセン差し込み紙を必要とせずに、一緒に圧縮することができる。これは、裏当て層が2プライの間の界面として作用しているように、2プライの材料を一緒に圧縮する試験方法を使用して測定された。
【0080】
裏当て層は、剥離の際、以前隣接していた基板の表面上に均等に分布することが示された。
【0081】
剥離試験
両面感圧粘着性織物を使用して、セミプレグの試料を硬質アルミニウム基板及び柔軟性のあるアルミニウム箔基板に固定した。空気プレスを使用して、周辺温度において11kPaで所与の時間これらを圧縮した。次いでこの試料パネルを、試験用に25mmの細長い片に切断した。
【0082】
InstronシリーズIXソフトウエア及び2kNロードセルを使用するInstron5569試験フレームを使用して試験を行った。300mm/分のクロスヘッドスピードで、クロスヘッドを200mm移動させながら、箔側を180°で剥離した。これによって100mmの試料を剥離し取った。剥離強度を、N/25mmの単位で記録した。繊維トウ損傷の定性的評価も同様に記録した。
【0083】
標準セミプレグ材であるHexFIT2000:M9.6−LT/35%/BB630の2プライからなる対照試料は、61Nの剥離力を必要とし、7日間の11kPaでの加圧後、激しい繊維トウ損傷があったことが判明した。例1及び例2の両方に記載の抗ブロッキング膜を使用した同じ材料は、14Nの剥離力を必要とし、7日間の加圧後、繊維損傷は観察されなかった。個別の結果を以下の表にまとめている。
【表2】
【0084】
さらに、標準セミプレグ材であるHexFIT2000:M9.6−LT/35%/BB630の2プライからなる対照試料は、53Nの剥離力を必要とし、15分間の11kPaでの加圧後、繊維トウ損傷があったことが判明した。例3に記載の抗ブロッキング膜を使用した同じ材料の試料は、4Nの剥離力を必要とし、15分間の11kPaでの加圧後、繊維損傷はなかった。個別の結果を以下にまとめている
【表3】
【0085】
Tg及びILSSの評価
HexFIT2000:M9.6−LT/35%/BB630の7プライからなる対照積層体並びに例1及び2に記載の抗ブロッキング層がコーティングされたHexFIT2000:M9.6−LT/35%/BB630の7プライからなる試験積層体を、真空バッグ集合体の中で、120°で1時間硬化した。すべての積層体は、ガラス転移温度126〜127℃及び層間せん断強度(ILSS)47MPaを示した。
図1
図2