【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、硬化性樹脂と、少なくとも1つの構造繊維の層とを含み、せん断依存性レオロジーを有する外側裏当て層を含む硬化性シート状複合材料であって、裏当て層が、複合材料の外表面上で静止時に流れを本質的に示さず、誘発されたせん断に対して粘性流れ応答を示す、上記複合材料に関する。
【0015】
裏当て層は、硬化性複合材料の製造の間に外面上に適用され、この外面上で、裏当て層は、流れ特性を本質的に示さない。複合材料がそれ自体の上に巻かれると、裏当て層は、流れ特性を本質的に示さないことから、その場所に留まる。したがって、これによって、巻かれた複合材料の隣接する層の硬化性樹脂が接触するのを防ぐ。
【0016】
よって、シート状複合材料は、ロールの形態であることが好ましい。よって、複合材料は、20cm未満、より好ましくは10cm未満の直径を有するロールを形成することができるように十分に柔軟性があることが好ましい。
【0017】
このように複合材料は、容易に巻くことができないような厚さでないことが好ましい。よって、複合材料は通常、0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜4.0mmの厚さを有する。
【0018】
複合材料のロールの使用が望まれる際には、ロールは公知の様式で展開される。展開作用がもたらすせん断応力によって、裏当て層は粘性流れ応答を示すようになる。これは、裏当て層がせん断力に応答して流動するという効果を有し、これは複合材料の隣接する層の分離点から離れる方向である。よって、この裏当て層は、複合材料の隣接する層が、互いに接着することなくロールから分離することを可能にする。
【0019】
本発明は、従来技術で使用されているような除去可能な裏当てシートが省略された場合の隣接する層の間の不可避の接着を制御することを目指しているため、極めて革新的であると考えられる。隣接する層が一緒に接着するのを防ぐことではなく、巻く際に誘発されるせん断力が、隣接する巻かれた層の繊維中への裏当て層の流れをいくらか引き起こすことから、隣接する巻かれた層が一緒に接着されるのであろうと考えられる。
【0020】
レオロジーを制御して、裏当て層が、巻かれている時及び保存されている時には、複合材料の隣接する層と間でその場所に留まることを可能とし、また裏当て層が展開から誘発されたせん断を一度受けると、流動することを可能とすることによって、複合材料は、除去可能な裏当て用の紙又はシートを必要とすることなく、そのままの状態で展開することができる。
【0021】
したがって、本発明の裏当て層は複合材料の一体部分を形成するので、これは取り除かれないということがわかる。
【0022】
よって、複合材料は通常、除去可能な固体裏当てシートを含まない。
【0023】
「除去可能」とは、シートを複合材料から、複合材料の残りの部分をそのままの状態で残したまま剥がすことができることを意味する。
【0024】
複合材料は通常、プリプレグ又はセミプレグである。しかし、本発明は、セミプレグに特に適用できると考えられる。
【0025】
セミプレグの典型的な配列は、樹脂を十分に含浸させていない1つ又は2つの構造繊維の層と接触している硬化性樹脂の層を含む。この配列において、裏当て層は、1つのこのような構造繊維層に隣接しているのが好ましいが、しかし他の配列は可能である。
【0026】
複合材料は、材料の追加層を含み得るが、それぞれは、複合材料がロールを形成するのに十分な柔軟性を保つことが確実となるように利用されなければならない。
【0027】
本発明の複合材料は、構造部品、例えば風力タービン回転翼用スパーなど、又は航空宇宙用車両、例えば航空機などの形成における使用に特に適している。このような構造体は一般的にかなり大きいので、複合材料は、10.0cmを超える長さを有するロール、及び少なくとも1.0mの巻かれた材料を形成することができることが好ましい。よって、複合材料は、少なくとも0.1m
2、好ましくは少なくとも0.3m
2の表面積を有する。
【0028】
本発明の複合材料は、本明細書に記載されている裏当て層を含むのに1つの外面のみを必要とすることが理解されよう。
【0029】
しかし、裏当て層の外側層を1つのみ有する複合材料のシートを展開した後、展開した複合材料は、裏当て層をその外側層の両方の上に含む傾向があることが判明した。これは、裏当て層が流動して、複合材料の隣接する層の分離点でのせん断作用から離れる方向に流動するので、裏当て層の一部は、複合材料上の元の位置に留まり、別の部分は、複合材料の隣接する層に移ることが判明したからである。実際には、裏当て層は分割して、複合材料の両方の外面を覆う。
【0030】
よって、複合材料は、2つの裏当て層を含むことができ、それぞれは2つの外面のうちの1つの外面上にあり同じ組成である。
【0031】
本発明の主要な特徴は、裏当て層がせん断依存性レオロジーを有することである。これは、裏当て層が、誘発されたせん断に対する粘性流れ応答を示し、これによって液体として流動することを意味する。しかし、ロール上で保存されている間に遭遇する、せん断が低い又はゼロに近い環境下では、裏当て層は、いかなる流動も本質的に示さず、よってその場所に留まり、保存中に移動する傾向がない。
【0032】
これを達成する1つの方法は、裏当て層がせん断減粘特性を示し、したがって静止時に粘性がより高い流体、及びせん断に応答して粘性がより低い流体として挙動することである。
【0033】
別の可能性は、裏当て層が静止時にゲルになって、保存の際に本質的に固体のままであるために十分な小さい測定可能な降伏応力を有することである。隣接する層が分離されたときに一度せん断力に遭遇すると、降伏応力は超過し、裏当て層は、せん断の領域から離れる方向に液体のように流動する。
【0034】
よって、好ましくは裏当て層は、10s
−1のせん断速度で500Pas未満、より好ましくは5〜300Pas、最も好ましくは5〜150Pasの粘度を示し、0.1s
−1のせん断速度で500Pasを超える、より好ましくは1000Pasを超える粘度を示す。すべての粘度は、25℃で測定される。
【0035】
好ましい実施形態において、裏当て層は、複合材料の本体中の硬化性樹脂と同じであってもよく又は異なっていてもよい硬化性樹脂を含む。
【0036】
好ましい実施形態において、裏当て層は、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の硬化性樹脂を含む。実際に、裏当て層が硬化性樹脂から本質的になることがさらに好ましいこともある。当技術分野で公知のこのような硬化性樹脂は、ニュートン流体として知られており、したがってレオロジー改質材料を含むことが好ましい。
【0037】
硬化性樹脂を含む裏当て層は、従来技術のように取り除かれないので特に望ましい。したがって、硬化性樹脂を含むことによって、裏当てシートは、複合材料の本体中の硬化性樹脂と共に効果的に共硬化することができる。このようにして、裏当て層は、硬化した複合体の力学的特性に対していかなる有害効果をもたらすこともなく、硬化すると複合材料の一部となることができる。
【0038】
公知の硬化性樹脂のせん断減粘性は、例えば十分な量及びタイプの固体微粒子材料を添加することによって改変することができる。これに適した材料は、ヒュームドシリカ粒子であるが、他に多くの適切な微粒子材料も存在し得る。ある特定の好ましい実施形態では、微粒子材料は、60℃を超える融点を有する、室温で固体の硬化性樹脂である。この実施形態では、樹脂だけではく、レオロジー改質材料も複合材料の本体中の樹脂と共に共硬化する。
【0039】
公知の硬化性樹脂のゲル化は、適切なゲル化剤、例えばUS7,550,722に記載のものなどを添加することによって改変することができる。特に適切なタイプの非ポリマー性ゲル化剤として、フェノール、特に二官能性及び三官能性フェノールのアルキルエーテルなどが挙げられる。好ましくはアルキルエーテルのアルキル成分は、ヘキシルからオクタデシルの範囲内である。裏当て層は、2〜10重量%のゲル化剤に含み得るのが適切である。
【0040】
非ポリマー性ゲル化剤としての使用に特に適している化合物として、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ビスフェノールのオクチルからオクタデシルエーテル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、アントラキノンジオール、ピロガロール、フロログルシノール及びスチルベンジオールなどが挙げられる。
【0041】
構造繊維層中の繊維は、一方向性の織物形態、又は多軸性であってよい。好ましくは、繊維は一方向性であり、これらの方向性は、例えば、近接する層の繊維が互いに直角になるように、近接する繊維層の間の角度を表すいわゆる0/90配列で配列することによって、例えばプリプレグ又はセミプレグなどの複合材料の全体を通して変化することになる。他の配列、例えば他の多くの配列の中でも、0/+45/〜45/90が当然ながら可能である。
【0042】
繊維は、割れた(すなわち延伸破壊された)、選択的に不連続な繊維又は連続繊維を含んでもよい。
【0043】
構造繊維は、多種多様な材料、例えばガラス、カーボン、グラファイト、金属化ポリマー、アラミド及びこれらの混合物から作製することができる。グラスファイバーが好ましい。複合材料は通常、30〜70重量%の構造繊維を含む。
【0044】
上述のように、裏当て層(それ自体、大部分が硬化性樹脂であってよい)に加えて、本発明の複合材料は、硬化性樹脂、すなわち熱硬化性樹脂を含む。硬化性樹脂は、個別の層として存在してもよく、又は構造繊維の層に完全に若しくは部分的に含浸されていてもよい。複合材料は通常、裏当て層中に存在し得る硬化性樹脂を除いて、15〜50重量%の硬化性樹脂を含む。したがって、これは通常、せん断依存性レオロジーを有さないニュートン流体である。
【0045】
硬化性樹脂は、当技術分野で従来から公知のもの、例えばフェノール−ホルムアルデヒド、ウレア−ホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミドなどの樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリエステル、不飽和ポリエステル、シアネートエステル樹脂、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0046】
特に好ましいのは、エポキシ樹脂、例えば単官能性、二官能性又は三官能性又は四官能性のエポキシ樹脂である。
【0047】
エポキシ樹脂は、単官能性、二官能性、三官能性及び/又は四官能性のエポキシ樹脂を含み得る。
【0048】
適切な二官能性エポキシ樹脂は、例として、以下に基づくものが挙げられる;ビスフェノールF、ビスフェノールA(場合によって臭素化したもの)、フェノール及びクレゾールエポキシノボラックのジグリシジルエーテル、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せ。
【0049】
二官能性エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はこれらの任意の組合せから選択することができる。
【0050】
適切な三官能性エポキシ樹脂は、例として、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、トリグリシジルアミノフェニル、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せに基づくものが挙げられる。
【0051】
適切な四官能性エポキシ樹脂として、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(Mitsubishi Gas Chemical CompanyからTetrad−Xの名称で市販、及びErisys GA−240としてCVC Chemicalsから市販)及びΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えばHuntsman Advanced MaterialsのMY721)が挙げられる。
【0052】
熱硬化性樹脂はまた、1つ又は複数の硬化剤を含んでもよい。適切な硬化剤として、無水物、特にポリカルボン酸無水物;アミン、特に芳香族アミン、例えば1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び特にスルホン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)、及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。好ましい硬化剤は、アミノスルホン、特に4,4’DDS及び3,3’DDSである。
【0053】
樹脂及び繊維のタイプ及びデザインのさらなる例を、WO2008/056123において見出すことができる。
【0054】
裏当て層は、性能向上剤をさらに含んでもよい。これは、このような材料を複合材料の本体中の硬化性樹脂に添加するのが不適当である場合に特に有益である。裏当て層の材料は、保存の間及びさらには硬化後にも複合材料の外側層上に大部分留まることが予想できることにも留意されたい。したがって、性能向上剤がまた、複合体のこの領域において局在していることが有利となり得る。このような性能向上剤は通常、裏当て層の0〜10重量%のレベルで存在することになる。
【0055】
適切な性能向上剤の例として、難燃剤、靭性、UV安定剤及び抗真菌剤が挙げられる。
【0056】
別の態様では、本発明は、本明細書において定義された複合材料が、除去可能な固体裏当てシートの存在なしにそれ自体の上に巻かれる、未硬化の複合材料のロールを形成する方法に関する。
【0057】
同様に、別の態様では、本発明は、除去可能な固体シートの存在なしにそれ自体の上に巻かれた本明細書において定義されている未硬化の複合材料のロールを展開する方法であって、展開が、複合材料の隣接する層の分離点から離れる方向の裏当て層の粘性流れにより促進される方法に関する。
【0058】
一度展開されると、複合材料は、典型的には、構造部材の形状に適合するように複数の層の配列の一部として広げて置かれる。次いで複合材料は、高温への曝露により、場合によって高圧への曝露により硬化されて、硬化した複合材料を生産することができる。
【0059】
本発明は次に、例を用いて以下の図を参照して例示される。