(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを商品の上面から読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段を含み、前記顧客が購入する商品を手に持って前記スキャナで読み取らせるスキャン操作を行って該商品の商品データを読み取るスキャン処理を行わせ、購入する商品の精算処理を行わせるセルフPOS装置において、
前記店舗で取り扱う商品の特徴点を抽出して、商品の商品データに関連付けて基本図形を登録する登録手段と、前記撮像手段により撮影された前記商品の画像を、前記スキャナで読み取られた商品の商品データと関連付けられた基本図形と対比判定する判定手段とを備え、
前記撮像手段は、前記商品が前記スキャナで読み取られると同時に、前記商品の上面の画像と下面の画像とを撮影する2個のカメラよりなり、前記商品の上下両面から前記スキャン操作を監視することを特徴とするセルフPOS装置。
前記判定手段により不正読取の可能性を検知時に、前記スキャン処理を行っている顧客からは見にくい前記セルフPOS装置の後部に設けられた警報ランプを点灯または点滅させる警報手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のセルフPOS装置。
前記警報ランプを点灯または点滅させるとき、前記店舗内で店員が操作する他の機器により、前記スキャナによる商品の読取動作を中止させる動作中止手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のセルフPOS装置。
前記撮像手段で読み取られた前記商品の画像及び前記登録手段に登録された前記商品の基本図形の相関値を求める相関値演算手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のセルフPOS装置。
店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを商品の上面から読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段を含み、前記撮像手段は、前記商品が前記スキャナで読み取られると同時に、前記商品の上面の画像と下面の画像とを撮影する2個のカメラよりなり、前記顧客が購入する商品を手に持って前記スキャナで読み取らせるスキャン操作を行って該商品の商品データを読み取るスキャン処理を行わせるとともに、前記商品の上下両面から前記スキャン操作を監視して、購入する商品の精算処理を行わせるセルフPOS装置の動作方法において、
前記スキャナにより読み取られる前記商品データに対応する前記商品の画像の特徴点を抽出して、商品の商品データに関連付けて基本画像を登録する基本画像登録ステップと、
前記撮像手段で撮影された前記画像を、前記スキャナで読み取られた商品の商品データと関連付けられた基本画像と対比判定する判定ステップと、
を備えることを特徴とするセルフPOS装置の動作方法。
前記警報ステップにより前記警報が発生するとき、前記店舗内で店員が操作する他の機器により、前記商品の商品データの読取動作を中止させる動作中止ステップを備えることを特徴とする請求項8に記載のセルフPOS装置の動作方法。
前記店舗内で店員が操作する他の機器により、前記商品の読取動作の中止を解除する動作中止解除ステップを備えることを特徴とする請求項9に記載のセルフPOS装置の動作方法。
前記判定ステップは、前記商品の価格帯毎に判定の閾値を異ならせ、高い価格帯の商品の判定基準を厳しく設定することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載のセルフPOS装置の動作方法。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーストア(スーパー)やコンビニエンスストア(コンビニ)を含む量販店等の店舗では、顧客の精算処理の迅速化、効率化及び効率的な売上、発注及び在庫情報管理等のためにPOS端末が開発され広く普及している。
【0003】
斯かる店舗の経営効率を改善するためには、人件費を抑えるために、顧客自身がPOSを操作して購入を希望する商品情報を入力して精算処理を行うセルフPOS装置(以下、単にセルフPOSという場合もある)が提案され普及しつつある。斯かるセルフPOSでは、顧客自身が簡単、迅速且つ正確に操作可能にする操作性の改善と共に顧客による不正を防止して、商品情報を正しく入力することが必要である。
【0004】
店舗に設置されているセルフPOSでは、顧客への操作案内(サポート)や不正防止のために数台のセルフPOSに1人の割合で案内及び監視を目的として店員を配置するのが一般的である。
【0005】
斯かるセルフPOSに関連する従来技術は、種々の特許文献等に開示されている。商品の品名、単価等の商品データと共にその商品の外観特徴に関するデータを商品別に予め記憶する商品別データ記憶部を設けることにより、商品の売上登録処理を煩雑なキー操作をすることなく可能にする商品販売登録データ処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、商品の重量とバーコードの関連付けを商品のバーコードを読み込んだ際に記憶して学習するように重量データを取り込むことにより、商品データファイルに個々の商品の重量を登録する作業の煩わしさを解消するセルフチェックアウト端末が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
更に、商品バーコード読取装置、警報装置、画像データを出力する監視カメラ等の撮像部を備え、顧客による商品の不正持出を防止するセルフチェックアウト端末が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
更にまた、商品の重量検知部を設けることにより、顧客が商品のバーコード読取を行うことなく会計処理を行い、商品の不正持ち帰るのを防止するセルフチェックアウト端末が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述の如き従来技術には、操作性及び顧客による不正の検知及び防止等の点で改善するべき課題を有する。例えば、原材料の値上げ等により予告なく商品の容量を変化させる商品も少なくないので、斯かる場合には重量データの更新が必要になると共に顧客とのトラブルの原因ともなり得る。従って、商品の重量データを使用して監視する手法は実用的ではないにもならず重量検知部により装置の小型軽量化を阻害する。
【0011】
また、形状認識技術を使用する場合は、商品の基本図形とバーコードを関連付けて予め登録する必要があるため、特に多種多様な商品を扱う店舗では、多大な工数を必要とする。また、撮影された商品の
特徴点を抽出してバーコードと関連付けて記憶する方式では、低価格の商品についても厳しい判断が行われ、高価な商品に対して甘い判断が行われる虞があるので効率が悪い。
【0012】
更に、少なくとも複数台のセルフPOSに対して1人の案内や監視のための店員を配置する必要があり、セルフPOS導入の最大の目的である人件費削減の効果が充分に得られない。
【0013】
本発明は、従来技術の上述の如き課題又は欠点に鑑みなされたものであり、斯かる課題を克服又は軽減し、操作性に優れると共に顧客による不正を効果的に防止可能なセルフPOS装置及びその動作方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるセルフPOS装置及びその動作方法は、次の如き特徴的な構成を採用している。
【0015】
(1)本発明のセルフPOS装置は、店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段を含み、前記顧客が購入する商品の精算処理を行うセルフPOS装置において、
前記店舗で取り扱う商品の
特徴点を抽出して基本図形を登録する登録手段と、前記撮像手段により撮影された前記商品の画像を前記基本図形と対比判定する判定手段とを備え、
前記商品の画像と対比される基本図形が前記登録手段に登録されていない場合には、前記撮影手段により撮影された最初の画像に基づき前記基本図形を生成して前記登録手段に登録するセルフPOS装置。
(2)店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段を含み、前記顧客が希望する商品の精算処理を行うセルフPOS装置において、
前記店舗で取り扱う商品の
特徴点を抽出して基本図形を登録する登録手段と、
前記撮像手段により撮影された前記商品の画像を前記基本図形と対比判定する判定手段と、該判定手段により不正読取の可能性を検知時に警報を発生する警報手段とを備えるセルフPOS装置。
(3)店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段を含み、前記顧客が希望する商品の精算処理を行うセルフPOS装置において、
前記店舗で取り扱う商品の
特徴点を抽出して基本図形を登録する登録手段と、
前記撮像手段により撮影された前記商品の画像を前記基本図形と対比判定する判定手段とを備え、
前記撮像手段は前記スキャナで読み取られる商品の異なる側の画像を撮影する少なくとも2個よりなるセルフPOS装置。
(4)前記撮像手段で読み取られた前記商品の画像及び前記登録手段に登録された前記商品の基本図形の相関値を求める相関値演算手段を更に備える上記(1)、(2)又は(3)のセルフPOS装置。
(5)前記相関値が所定の閾値以上である場合に、前記登録手段に登録され基本図形を入れ替える上記(4)のセルフPOS装置。
(6)前記警報手段が警報を発するとき、前記スキャナによる商品の読取動作を中止させる動作中止手段を備える上記(2)のセルフPOS装置。
(7)前記動作中止手段は、前記店舗内の他の機器により店員により操作可能にする上記(6)のセルフPOS装置。
【0016】
また、本発明のセルフPOS装置の動作方法は、
(8)店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段を含み、前記顧客が購入する商品の精算処理を行うセルフPOS装置の動作方法において、
前記スキャナにより読み取られる前記商品データに対応する前記商品の画像の
特徴点を抽出して基本画像を登録する基本画像登録ステップと、
前記撮像手段で撮影された前記画像を前記基本画像と対比判定する判定ステップと、
前記撮像手段で撮影された商品の画像と対比する前記基本画像が存在しないとき、前記撮影手段で撮影された商品の画像に基づき前記基本画像を作成するステップとを備えるセルフPOS装置の動作方法。
(9)店舗等で顧客が購入を希望する商品の商品データを読み取るスキャナ及び該スキャナで読み取られる前記商品の画像を撮影する撮像手段とを含み、前記顧客が購入する商品の精算処理を行うセルフPOS装置の動作方法において、
前記スキャナにより読み取られる前記商品データに対応する前記商品の画像の
特徴点を抽出して基本画像を登録する基本画像登録ステップと、
前記撮像手段で撮影された前記商品の画像を前記基本画像と対比判定する判定ステップと、
該判定ステップにより不正読み取りの可能性を検出したとき、警報を発生する警報ステップと
を備えるセルフPOS装置の動作方法。
(10)前記判定ステップは、前記商品の価格帯毎に判定の閾値を異ならせ、高い価格帯の商品の判定基準を厳しく設定する上記(8)又は(9)のセルフPOS装置の動作方法。
(11)前記警報ステップにより前記警報が発生するとき、前記店舗の店員により前記商品の商品データの読取動作を中止させる動作中止ステップを備える上記(9)のセルフPOS装置の動作方法。
(12)前記警報ステップにより前記警報が発生するとき、前記警報を無視して前記商品の読取動作を継続して前記精算動作の円滑化を図るステップを備える上記(9)のセルフPOSの動作方法。
【発明の効果】
【0017】
上述の如き特徴的な構成を採用する本発明のセルフPOS装置及びその動作方法によると、次の如き実用上の特有の効果を奏する。
【0018】
本発明によると、商品の
特徴点を抽出する非本図形を予め登録する必要がないので、操作が簡単である。その理由は、スキャナにより商品の商品コード(バーコード)の読取時にカメラ(撮像手段)により図形を読み取りその
特徴点を抽出することにより基本図形を登録するので、例え最初の商品であっても基本図形を登録可能であるからである。店舗で取り扱う商品の基本図形の学習機能により、読み取るサンプル数が増加するほど、形状認識の精度を向上することが可能である。
【0019】
また、本発明によると、顧客による不正読み取りを効果的に防止可能である。その理由は、顧客による不正行為はカメラにより撮影した図形データに基づき基本図形を参照して判断可能であるからである。更に、顧客による不正行為は、商品の相互に反対側から複数のカメラで撮影して画像データを得ることが可能であるからである。更にまた、不正行為の虞が検知されると、警報ランプ等により店員に知らせ、有人POS等ならセルフPOSの読取動作を中止可能であるからである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明によるセルフPOS装置及びその動作方法の好適な実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。但し、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0022】
先ず、
図1は、本発明の主要部であるセルフPOSの概略全体構成を示し、
図1(A)はセルフPOS10の正面図、
図1(B)はセルフPOS10の右側面図及び
図1(C)はセルフPOS10の斜視図である。
【0023】
このセルフPOS10は、本体部20及びこの本体部20の上方に設けられたコントロール(制御)部30により構成されている。本体部20は、店舗に陳列して販売される商品(図示せず)に添付された商品コード等の商品データ(以下、バーコードという)をスキャンするバーコードスキャナ(以下、単にスキャナという)21、このスキャナ21の近傍に配置されたカメラ(撮像手段)22及び各部を制御する電子回路や電源回路等を収容する筐体23により構成されている。他方、コントロール部30は、各種の文字や画像情報を表示する、例えば液晶表示パネル(LCD)等のディスプレイ(表示画面)31及び後述する各種の制御部を有する。
【0024】
このセルフPOS装置10は、本体部20の前面に配置された商品(
図1中には不図示)のバーコードをスキャナ21によりスキャンして読み取ると同時にカメラ22で撮影された商品の3次元画像を抽出して、商品のバーコードと関連付けて記憶する。
【0025】
ここで、顧客が商品のバーコードをセルフPOS10のスキャナ21に読み取らせる際には、スキャナ21の読み取り用レーザー光(レーザービーム)の出力側には顧客の手等が妨害とならないようにスキャンさせる必要がある。そのために、カメラ22は、スキャナ21の側に設けるのが形状認識を容易にするので好ましい。
【0026】
図2は、
図1に示すセルフPOS10のスキャナ21による商品のバーコード読み取り動作及びカメラ22による商品撮影動作の説明図である。更に、このセルフPOS10は、会計処理に使用する電子マネーマルチリーダ(非接触ICカードリーダ)24、レシートプリンタ25及び警報ランプ(
図2(B)参照)27を備えている。
図2(A)は、スキャナ21による読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲を斜線で示す。
図2(B)は、
図2(A)のスキャナ21部分の拡大図である。
【0027】
図2(B)に示す如く、スキャナ21は、その下方に配置した商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る。
【0028】
しかし、顧客が悪意を持って不正を働く場合には、例えばスキャナ21に向けた1つの商品の裏側(即ち、
図2(B)の商品40の下側)に別の商品を隠してスキャンを行ったかのように見せかけることも想定される。斯かる不正行為を防止するために、カメラ22をスキャナ21と反対側に設けた方がよい。そこで、
図2(B)中には、カメラ22をスキャナ21側とその下方の両方に図示している。このように、異なる位置に2台のカメラ22を配置し、これら2台のカメラ22により商品40の上下両面からスキャン操作を監視するのも効果的である。
【0029】
次に、
図3を参照して、本発明によるセルフPOS10の好適な実施例の詳細な構成を説明する。
図3(A)に示す如く、セルフPOS10の本体部20の一番下には、レシートプリンタ25が設置され、その上部に商品40のバーコード41を読み取るためのスキャナ(固定スキャナ)21が配置されている。このスキャナ21は、レーザー光の照射角度が斜めになるように設置されている。更に、このスキャナ21のレーザー光を遮るように電子マネーマルチリーダ(複数規格対応の非接触ICカードリーダ)24が設置されている。
【0030】
本体部20の上方に配置されたコントローラ部30は、大型のXGAディスプレイ(表示画面)31、磁気カードリーダ32及びスピーカ33を有する。本体部20とディスプレイ31は、約2mmの金属板の上に取り付けられており、安定的に設置されると共に設置場所に顧客が購入予定の商品40を載置するスペースを確保する役割を果たしている。上述した如く、カメラ22は、スキャナ21の近傍及びスキャナ21を下側から見上げる位置に2台取り付けられている。
【0031】
図3(B)には、
図3(A)のコントロール部30、ディスプレイ部31、レシートプリンタ25、スキャナ21、電子マネーマルチリーダ24、スピーカ33及びカードリーダ32等の具体例の仕様を示す。
【0032】
次に、セルフPOS10の動作を簡単に説明する。店舗へ買い物に来た顧客は、自分が購入を希望する商品(
図2(B)の40)を選択して(又は買い物カゴに入れて)セルフPOS10の前に運び精算する。セルフPOS10の足となる板金には、右側に黄色い枠の中に「スキャン前」本体部正面の青色枠の中に「スキャンエリア」、左側には緑色の枠の中に「スキャン後」と表示されている。そこで、先ず右側の「スキャン前」のエリアに商品を載せる。
【0033】
その後、商品を1個ずつスキャンエリアに移動させ、スキャナ21で商品40のバーコード41を順次読み取らせる。通常のPOS(セルフPOSを含む)では、バーコード41を読み取ると読み取り完了を知らせるために「ピッ」等の読み取り完了音を出す。しかし、本発明のセルフPOS10では、この時点では読み取り完了音は出さない。
【0034】
セルフPOS10は、読み取った商品40のバーコード41を店舗内に設置されたPLUサーバ(
図6を参照して後述)に問い合わせを行う。そして、その商品の商品名、商品の単価等の売上集計処理に必要なデータをバーコード41に関連付けて記憶されている基本図形とサンプル数のデータを得る。
【0035】
また、セルフPOS10のスキャンエリアには上述の如く2台のカメラ22が上下に設置されているので、スキャンエリアに人間(顧客)の手が入ったことを認識する。そこで、顧客が持っている商品(物体)40の形状認識をバーコード41の読み取りを、PLUサーバへの問い合わせと同時進行で行う。
【0036】
顧客の手を認識は、既知の手法(例えば、特開2006−350434号公報に開示されている手法)による。また、顧客の手に一部が隠れている商品(物体)40の認識は、例えば
図4に示す既知の「ダイナミックスペースカービング法」等を使用してもよい。
【0037】
セルフPOS10は、PLUサーバから受け取ったデータにバーコードに関連付けて記憶されている基本図形があるか否かの確認を行う。バーコードに関連付けて記憶されている基本図形がない場合には、今回形状認識した物体を基本図形として、「サンプル数」の値を「1」として、バーコードデータと共にPLUサーバに送信する。
【0038】
PLUサーバは、セルフPOS10から受け取った基本図形と「サンプル数」をバーコードと関連付けて記憶する。
図5は、上述したセルフPOS10の動作に関連する説明図である。
図5(A)は、バーコードと基本図形の関連付けを説明する図である。即ち、バーコード、各バーコードの読み込んだサンプル回数及び基本図形を含んでいる。
図5(B)は、商品価格別相関値閾値を示す。
図5(C)は、基本図形学習閾値を示す。
図5(D)は、セルフPOS10のディスプレイ31に表示される表示画面の具体例を示す。
【0039】
セルフPOS10にスキャナ21で読み取った商品40のバーコード41に関連付けて記憶されている基本図形があれば、形状認識を行った商品(物体)と基本図形の相関値を計算する。セルフPOS10は、予め設定された商品の価格と相関値の閾値を関連付けた相関値閾値表を持っている(
図5(B)参照)。商品(物体)40と基本図形から計算した相関値とPLUサーバから得た商品の価格から相関値閾値表を参照し相関値が閾値を超えていた場合には、商品40が正常に読み取られたと判断し、バーコード読み取りの完了を示す「ピッ」等の音を発生させる。そして、読み取られた商品40の商品名、商品の価格等を購入商品として精算可能な形で記憶し、ディスプレイ31に商品名、価格等を表示する。
【0040】
また、セルフPOS10は、予め設定された基本図形学習閾値(
図5(A)参照)も有する。商品(物体)と基本図形から計算した相関値が基本図形学習閾値を超えていると、先ほど行った形状認識の計算結果を元の基本図形のサンプル数がN回であった場合には、今回の形状認識の計算結果を基本図形のN+1回目の学習数値として基本図形の再計算を行う。再計算された基本図形とサンプル数は、バーコードデータと共にPLUサーバに送られる。
【0041】
PLUサーバは、セルフPOS10から受け取った商品40のバーコード41に関連付けて記憶している基本図形とサンプル数のデータを新たにセルフPOS10から受け取ったデータに書き換える。相関値が基本図形学習閾値を超えていない場合には、形状認識の計算結果は捨てられる。
【0042】
次に、商品(物体)と基本図形から計算した相関値とPLUサーバから得た商品の価格から相関値閾値表を参照し、相関値が閾値を超えていなかった場合の動作の説明を行う。
【0043】
閾値を超えなかった場合は、商品40の形状認識が正しく行えなかった場合及び顧客が悪意を持って商品の不正な読み取りを行った場合の2通りの場合が考えられる。閾値を超えなかった場合、セルフPOS10は、顧客に商品の再読み取りを促すために、例えば「商品を正しい位置に置いてください」又は「再度読み取らせてください」等のメッセージを出す。そして、商品40のバーコード41を再度読み取ると共に再度形状認識を行い相関値の計算を行う。
【0044】
再計算の結果が閾値を超えれば、読み取りの完了音、画面表示、基本図形の学習を前述と同様の手順で行う。再計算でも閾値を超えていなかった場合、セルフPOS10は、商品40のバーコード41の前に別の商品のバーコードを置いて2つの商品を一緒にスキャンさせ1つの商品と見せかける等の不正が行われている可能性も考えられる。そこで、セルフPOS10は、
図1(B)に示す赤色の警報ランプ27を点灯又は点滅させ店員に知らせる。店員は、セルフPOS10の後のカウンタ内にいるのが通常であるので、この警報ランプ27の点灯に気付く。逆に、顧客からはセルフPOS10の後側の警報ランプ27は見にくいので、店員は顧客に気付かれることなく、顧客の行動を監視できる。
【0045】
ここで、
図6及び
図7を参照して、セルフPOS10を備える一般的な店舗用機器を含む店舗システム構成を説明する。
図7は
図6中の店舗システムを構成する有人POS120の1例を示す斜視図である。
【0046】
図6に示す店舗システム100は、上述の如き1台以上のセルフPOS10と共にPLUサーバ(又は店舗サーバ)110、複数の有人POS120A、120B及び受発注端末(ST130及びGOT140)を備え、店舗内LAN150により相互接続されている。更に、この店舗LAN150は、ルータ160を介してIP回線170に接続されているのが好ましい。
【0047】
また、
図7に示す有人POS120は、本体部122及びコントロール部124により構成されている。そして、コントロール部124は液晶表示パネル等のディスプレイ125を含み、オペレータが指定するセルフPOS10の動作を停止させる「POS停止」126及びセルフPOS10の異常を無視する「無視」127等の操作ボタン(ソフトキー)を備えている。更に、これらの操作ボタンの近傍には、スキャナ21で読み取られたバーコード41に対応する商品名の表示部128を有し、例えば「グリコ アーモンドチョコレート」の如き商品名が表示される。
【0048】
セルフPOS10には「動作中止機能」を備えており、上述の如き商品の不正な読み取り等を検知すると、店員が有人POS120や受発注端末130、140等から指定したセルフPOS10の動作を中止させ、フリーズ状態にすることができる。
【0049】
顧客が不審な行動をしている場合には、店員はセルフPOS10を動作中止する。セルフPOS10が動作中止状態(フリーズ状態)になれば、顧客は商品40の精算処理ができないので、店員を呼ぶこととなる。そこで、店員は、有人POS120へ顧客を誘導するか、セルフPOS10の設置場所へ行き、隠し操作でセルフPOS10の「動作中止状態」を解除する。その結果、店員監視のもとで商品40のスキャン等の精算処理を行うことになるので、効果的な不正防止が可能である。
【0050】
尚、セルフPOS10の「動作中止機能」は、セルフPOS10の電源をOFFにするか、実際には動作状態にあるにも拘わらず外部からの入力を無視してフリーズ状態に見せかけるか又はディスプレイ31の画面を真っ暗にして顧客にセルフPOS10が故障したと思わせてもよい。店員は、セルフPOS10を再度起動させるための隠し操作の知識を有するので、セルフPOS10を復旧させることができる。
【0051】
また、相関値閾値及び基本図形学習閾値は、セルフPOS10に記憶しているのではなく、PLUサーバ110に記憶するのが好ましい。バーコード読み取り後のセルフPOS10からの問い合わせの都度、これらの値をPLUサーバ110からセルフPOS10へ送られる。更に、相関値閾値は、価格毎に設定するのではなく、スキャナ21で読み取られる商品40のバーコード41に関連付けて記憶してもよい。基本図形学習閾値も同様である。
【0052】
顧客が購入を希望する全ての商品40のスキャンが終了すると、顧客は「支払いボタン」を押下する。その結果、ディスプレイ31に表示された精算金額を確認し、その後に電子マネーマルチリーダ24で決済を行う。顧客の精算が終了すると、レシートプリンタ25からレシートが印字されて出力される。
【0053】
次に、
図8のフローチャートを参照して、本発明によるセルフPOSの動作方法、即ち上述したセルフPOS10の動作を詳細に説明する。
【0054】
先ず、セルフPOS10のスキャナ21で読み取られた商品40のバーコード41入力の有無、即ちバーコード41に関連付けて登録又は記憶された基本図形があるか否かを判断する(ステップS1)。バーコード41の入力がない場合(ステップS1:NO)には、ステップS1へ戻り、バーコード41の入力を待つ。バーコード41の入力があると(ステップS1:YES)、カメラ22により商品40を撮影して画像認識を実行する(ステップS2)。
【0055】
次に、PLUサーバ110に問い合わせを行う(ステップS3)。PLUサーバ110から、商品名、価格(単価)、基本図形及びサンプル数(即ち、今までに撮影した当該商品の画像の数)Nを受け取る(ステップS4)。そして、サンプル数Nが0より大きいか否か判断する(ステップS5)。
【0056】
バーコード41に関連付けて登録された基本図形が存在しない場合(ステップS5:NO)には、カメラ22で今回撮影した図形を当該商品40の基本図形として登録し、「サンプル数N」を「1」とする(ステップS17)。バーコード41の読み取り終了音「ピッ」を発生する(ステップS18)。その商品40の商品名及び価格をディスプレイ31に表示し(ステップS19)、後述するステップS13へ移行する。
【0057】
他方、サンプル数N>0の場合(ステップS5:YES)、カメラ22で撮影した商品、即ち形状認識を行った商品40と基本図形の相関値を計算する(ステップS6)。セルフPOS10には予め設定された商品の価格と相関値の閾値を関連付けた相関値閾値表(
図5(B)参照)を有している。そこで、相関値>相関値閾値か否か、即ち商品と基本図形から計算した相関値とPLUサーバ110から得た商品の価格から相関値閾値表を参照して相関値が閾値を超えているか否か判断する(ステップS7)。
【0058】
相関値>相関値閾値の場合(ステップS7:YES)には、商品40が正しく読み取られたと判断し、バーコード41読み取りの完了を示す完了音「ピッ」を発生する(ステップS8)。そして、その商品40の商品名及び価格等を購入商品として精算可能な形でディスプレイ31に表示する(ステップS9)。
【0059】
次に、サンプル数Nがサンプル数基準値を超えているか否か、即ち商品の図形学習が十分であるか否かを判断する(ステップS10)。カメラ22で撮影した商品40の画像を学習に用い、基本図形を更新し、サンプル数N=N+1とし(ステップS11)、基本図形を再計算する(ステップS12)。そして、サンプル数基準値を超えるまでは、バーコード41、故本図形及びサンプル数をPLUサーバ110へ送信し、カメラ22から入力される商品40の画像は全て学習に利用される(ステップS13)。例えば、「おでんの詰め合わせ」のように液体と共に袋詰めされた形状が一定でない商品の場合には、学習しても特徴点の抽出が不可能であるので、サンプル数Nが基準値を超えた時点で基準図形なしとして画像認識適用外の商品としてバーコード41と関連付けて記憶する。画像認識適用外商品は、予め登録しておくことも可能である。
【0060】
また、セルフPOS10は、予め設定登録された基本図形学習値(
図5(C)参照)を備えている。商品40及び基本図形から計算した相関値が基本図形学習閾値を超えていた場合には、先ほど行った形状認識けいさんけっかを元の基本図形のサンプル数がN回であったとき、今回の形状認識の計算結果を基本図形のN+1回目の学習数値として基本図形の再計算を行う。再計算された基本図形とサンプル数Nは、スキャナ21により読み取られたバーコード41のデータと共にPLUサーバ110へ送られる。PLUサーバ110は、セルフPOS10から受け取ったバーコードに関連付けて記憶している基本図形とサンプル数Nのデータを、新たにセルフPOS10から受け取ったデータに書き換える。
【0061】
商品40に関する基本図形の学習は、例えば既知のパラメトリック固有空間法等を使用して行う。形状のサンプル数を増やせば、認識率が向上することが知られている。例えば、フレーム数が多いほど認識率が向上し、部分認識法による形状認識によると、例えばサンプル数Nが10以上であれば、認識率は約99%に向上する。
【0062】
上述したサンプル数基準値は、認識率が約99%になるサンプル数とするのが望ましい。従って、サンプル数基準値は、形状認識方法により変化する。相関値が基本図形学習閾値を超えていない場合には、形状認識の計算結果は廃棄する。その後、顧客による精算ボタンの押下の有無を判断する(ステップS14)。精算ボタンの押下がなければ(ステップS14:NO)、上述したステップS1へ戻る。他方、精算ボタンの押下があれば(ステップS14:YES)、顧客は、ディスプレイ31に表示された商品データ及び精算金額を確認して、電子マネーマルチリーダ24で電子マネー(図示せず)による支払を含む精算処理を行い(ステップS15)、レシートプリンタ25でレシートを印刷して発行し(ステップS16)、精算又は会計処理を終了する。
【0063】
次に、カメラ(撮像手段)22で撮影した商品40の画像と基本図形から計算した相関値がPLUサーバ110から得た商品の価格相関値閾値表(
図5(B)参照)を参照する相関値が閾値を超えていなかった場合(ステップS7:NO)の動作を説明する。
【0064】
閾値を超えなかった場合は、商品40の形状認識が正常に行えなかった場合と顧客が悪意を持って商品40の不正な読み取りを行った場合が考えられる。そこで、前者の場合に対応するために、セルフPOS10は、顧客に対して商品40の再読み取りを促すために、「もう一度読み取らせてください」又は「商品を正しい位置に置いてください」等の案内メッセージを出す(ステップS20)。そこで、商品40のバーコード41の再読み取りを行い(ステップS21)、再度形状認識を行い、商品40の図形と基本図形の相関値の計算を行う(ステップS22)。
【0065】
次に、再計算した相関値>相関値閾値の判断を行う(ステップS23)。再計算の結果が閾値を超えれば(ステップS23:YES)、上述したステップS8へ移行し、読取完了音を発生する。そして、商品40の商品名、価格等の商品データをディスプレイ31に表示する(ステップS9)と共に上述した基本図形の学習を行う。
【0066】
他方、再計算でも閾値を超えていなかった場合(ステップS23:NO)には、商品40の前に他の商品のバーコードを置いてバーコード41の不正読取を行うか又はスキャナ21により2個の商品を一緒にスキャンさせて1個の商品と見せかける等の不正読取動作を行っている可能性がある。そこで、セルフPOS10の背後に設けられた赤色の警報ランプ27を点灯又は点滅させて店員に知らせる(ステップS24)ことにより、上述の如く(顧客に気付かれることなく)店員が適正処置、例えば店員が別の有人POS120等の操作によりセルフPOS10の「動作停止機能」を作動させる
【0067】
上述した従来のセルフPOSでは、例えば不正読取を検知すると、単に商品の読取動作を停止するのみである。店舗に多くの店員がいる場合には、何れかの店員が対応可能であるが、少数の店員でセルフPOSを店舗の片隅に配置して対応する、特に小規模店舗の場合には、セルフPOSの読取動作停止は運用上好ましくない結果を招くこととなる。しかし、本発明のセルフPOS装置では、店舗内の有人POS120(又は受発注端末130、140)等により、セルフPOS10の読取動作を店員が操作可能にするので、コンビニ等の小規模店舗を少数(1〜2名)の店員により効率的に運用することが可能である。
【0068】
本発明のセルフPOS装置では、セルフPOS10の警報ランプ27が点灯したときに、有人POS120等から上述した「動作中止」の指示機能に加えて、
図7に示す「無視」ボタン127により、トラブルを起こしそうな顧客の場合には画像認識の不一致を無視するよう操作することも可能である。この「無視」機能により、顧客との無用なトラブルを防止し又は店員の手が離せないような場合には、不正を無視して業務の円滑化を優先させることも可能である。
【0069】
上述した相関閾値及び基本図形学習閾値は、セルフPOS10に記憶するのではなく、PLUサーバ110に記憶し、セルフPOS10による商品40のバーコード41を読み取り後に、セルフPOS10からの要求に応じてPLUサーバ110からセルフPOS10へ送るように構成してもよい。更に、相関値閾値は、商品40の価格毎に設定するのではなく、商品毎にバーコードに関連付けて記憶してもよい。基本図形学習閾値についても同様である。
【0070】
尚、顧客は、精算が終了するとセルフPOS10の近傍(例えば、左側)に置かれた精算済み商品及び発行されたレシートを持って帰宅する。
【0071】
以上、本発明によるセルフPOS装置及びその動作方法の好適な実施例について詳述した。しかし、本発明は、斯かる実施例に限定されるべきではなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能である。
【0072】
例えば顧客の手に一部が隠れている商品(物体)の認識を行うダイナミックスペースカービング法(
図4(A)〜(E)参照)等は、実際には認識率が余りよくない。その場合に、手の動きを認識する認識方法の研究が進んでいる。例えば、複数のカメラを用いて人間の手の動きを認識させると、その認識率は相当に改善できる。例えば、セルフPOSは、手に持った商品の形状認識を行わせず、手の動作の認識のみを行わせる。
【0073】
また、セルフPOS10による商品のバーコード読取部の前を手が通過したことを認識すると、バーコードの読み取りがあったか確認する。手の通過を認識し、バーコードの読み取りが確認されたとき、バーコード読取完了音「ピッ」を出力し、PLUサーバ110に商品40の商品名及び価格等の精算に必要な商品データを問い合わせる。PLUサーバ110から得られた商品名及び価格をディスプレイ31に表示し、精算可能なようにデータを記憶する。
【0074】
手の動きが認識できず、バーコードの読み取りのみを検知した場合にも、バーコード読取完了音「ピッ」を出力し、PLUサーバ110に商品名及び価格等の精算に必要なデータを問い合わせ、PLUサーバ110から得られた商品名及び価格をディスプレイ31に表示し、精算可能なように商品データを記憶する。
【0075】
手の通過を認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、「もう一度読み取らせてください」等のメッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す。その結果、バーコード41の読み取りができれば、バーコード41の読取完了音「ピッ」を出力し、PLUサーバ110に商品名及び価格等の精算に必要なデータを問い合わせる。そして、PLUサーバ110から得られた商品名及び価格をディスプレイ31に表示し、精算可能なようにデータを記憶する。
【0076】
「もう一度読み取らせてください」の再スキャンメッセージを出力した後も手の通過のみを認識して、バーコードの読み取りができない場合には、店員に異常を知らせるためにセルフPOS10の後部に設けられた警報ランプ27を点灯させて店員に異常を知らせる。
【0077】
更に、他の実施例を説明する。現在の画像認識技術では、手に隠れた商品(物体)40を完全に認識することができないのが現状である。しかし、手に商品(物体)40を持っているか否かの認識は略確実にできる。
【0078】
上述した実施例にあるような動作を、スキャンエリアを手が通過したことを認識して行うのではなく、スキャンエリアを商品(物体)10を持った手が通過したときに行うようにすることで、単に手が通過しただけで、再読み取りのメッセージを出力することを防止できる。