特許第5896500号(P5896500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5896500
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】ソーラーパネル用架台
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20160317BHJP
   H02S 40/22 20140101ALI20160317BHJP
【FI】
   H02S20/10 C
   H02S40/22
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-215396(P2015-215396)
(22)【出願日】2015年11月2日
【審査請求日】2015年11月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515231911
【氏名又は名称】株式会社高揚
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 龍治
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−045854(JP,A)
【文献】 特開2014−075426(JP,A)
【文献】 実開平07−014660(JP,U)
【文献】 特開2014−148821(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3196882(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10
H02S 20/30
H02S 40/22
H01L 31/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルを載せる上板と、前記上板を支える前脚及び後脚と、前記後脚の後側に配した背面板と、前記背面板に取り付けた太陽光を反射する反射板と、を有する架台であって、
前記反射板は、上下に複数段かつ左右に複数枚配置され、それぞれが両端に対して中央を凹ました湾曲面を有し、前記湾曲面に空けたスライド溝に留具を通して前記背面板に取り付けられることにより、前記湾曲面をスライドさせることで傾きを調整可能であり、
前記架台は、前後に並べて複数配置され、一の架台で太陽光を受けた各反射板がそれぞれ他の架台のソーラーパネルに向けて反射する、
ことを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項2】
前記反射板が全体又は一部に凹凸を有する、
ことを特徴とする請求項に記載のソーラーパネル用架台。
【請求項3】
前記反射板の凹凸がフレネルレンズ状である、
ことを特徴とする請求項に記載のソーラーパネル用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルを載置すると共に、太陽光を効率良く利用するソーラーパネル用架台に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルは、光エネルギーを電力に変換する太陽電池(ソーラーセル)を複数集めてパネル状にしたものである。ソーラーパネルは、架台に載せて設置する場合があるが、発電効率を上げるためには、太陽光が太陽電池に対して垂直に近い角度で当たるようにする必要がある。そのため、架台も太陽の高度に合わせて傾斜させた状態にするが、時期や時間ごとに角度を調節するとなると、手間もコストも大きくなる。そこで、特許文献1に記載されているように、太陽電池パネル用架台の背面部で光反射させることにより発電効率を高めた発明も公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−110266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソーラーパネルを架台に載せて設置する場合、複数の架台が縦横に並んだ状態で配置される。特許文献1に記載の発明では、架台の背面側で単に太陽光を反射させているだけなので、後方の太陽電池に照射されるものは、ほんの一部である。
【0005】
そこで、本発明は、架台の背面側で反射させた太陽光を後方の太陽電池に効果的に照射することで発電効率を飛躍的に向上させることのできるソーラーパネル用架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明であるソーラーパネル用架台は、ソーラーパネルを載せる上板と、前記上板を支える前脚及び後脚と、前記後脚の後側に配した背面板と、前記背面板に取り付けた太陽光を反射する反射板と、を有する架台であって、前記反射板は、上下に複数段かつ左右に複数枚がそれぞれ傾きを調整可能に配置され、前記架台は、前後に並べて複数配置され、一の架台で太陽光を受けた各反射板がそれぞれ他の架台のソーラーパネルに向けて反射する、ことを特徴とする。
【0007】
前記ソーラーパネル用架台は、前記反射板が両端に対して中央を凹ました湾曲面を有する、ことを特徴とする。
【0008】
前記ソーラーパネル用架台は、前記反射板が前記湾曲面に空けたスライド溝に留具を通すことにより前記背面板に取り付けられ、前記湾曲面をスライドさせることで傾きを調整する、ことを特徴とする。
【0009】
前記ソーラーパネル用架台は、前記反射板が全体又は一部に凹凸を有する、ことを特徴とする。
【0010】
前記ソーラーパネル用架台は、前記反射板の凹凸がフレネルレンズ状である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、架台の背面側で反射させた太陽光を後方の太陽電池に効果的に照射することで発電効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明であるソーラーパネル用架台の斜視図である。
図2】本発明であるソーラーパネル用架台の後部における側面断面図である。
図3】本発明であるソーラーパネル用架台の背面板の斜視図である。
図4】本発明であるソーラーパネル用架台の背面板の正面図である。
図5】本発明であるソーラーパネル用架台の反射板の中央に凹凸を設けた場合の斜視図である。
図6】本発明であるソーラーパネル用架台の反射板をフレネルレンズ状に加工した場合の斜視図である。
図7】本発明であるソーラーパネル用架台の反射板の中央をフレネルレンズ状に加工した場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0014】
まず、本発明であるソーラーパネル用架台の構造について詳細に説明する。図1は、ソーラーパネル用架台の斜視図である。ソーラーパネル用架台100は、複数の架台200が前後左右に並べて配置される。各架台200に搭載されたソーラーパネル300で太陽光発電を行い、それらの電気エネルギーは接続箱に集められ、パワーコンディショナで直流から交流に変換した上で電気が供給される。
【0015】
ソーラーパネル用架台100においては、一の架台200の反射板500で太陽光を反射させて、一の架台200の後方にある他の架台200aのソーラーパネル300aに向けて照射する。他の架台200aにおいては、太陽から直接的に受けた太陽光エネルギーと、前方にある一の架台200から間接的に受けた太陽光エネルギーを、ソーラーパネル300aで電力に変換する。
【0016】
架台200は、ソーラーパネル300を載せる上板210と、上板210を支える前脚220及び後脚221と、後脚221の後側に配した背面板400と、背面板400に取り付けた太陽光を反射する反射板500と、を有する。
【0017】
上板210は、太陽の方向に傾けられ、前脚220と後脚221の長さで角度を調整する。太陽の相対的な位置は時間と共に変わるので、最も太陽光エネルギーが強くなるときに、太陽光に対して垂直となるようにすれば良い。上板210は、平面の板でも良いし、軽量化のために一部が空いた枠状のものでも良い。
【0018】
前脚220は、少なくとも架台200の前側の左端及び右端に棒状の部材を取り付けられ、後脚221は、少なくとも架台200の後側の左端及び右端に棒状の部材を取り付けられる。前脚220及び後脚221を伸縮可能にして設置箇所ごとに長さを調整するようにしても良い。
【0019】
背面板400は、架台200の背面側に配置する板であり、反射板500を取り付けるために設けられる。左端の後脚221から右端の後脚221にかけて背面板400を配置すると、強風などの抵抗となる場合があるので、隙間を空けるなどして通気性を確保しても良い。
【0020】
図2は、ソーラーパネル用架台の後部における側面断面図である。図2に示すように、架台200においては、ソーラーパネル300が上板300に保持されており、上板300の後端より若干内側の位置に後脚221が取り付けられ、上板300の後端に背面板400が吊り下げられる。ソーラーパネル300は、下面が上板300に接していても良いし、取付金具等で高さを調整して上板300から浮かせた状態で保持しても良い。
【0021】
背面板400には反射板500が取り付けられるが、背面板400が下垂に近い状態であるので、太陽光を後方に反射可能なのは上半分であり、下半分は地面に反射する可能性が高いため、反射板500は少なくとも上半分に取り付ければ良い。また、背面板400についても反射板500が取り付けられるサイズであれば良い。なお、上半分は、架台200の背面を任意の高さの位置で上下に分けた場合の上側の部分であり、下半分はその残りの部分である。
【0022】
背面板400の下端が地面より高い位置の場合、背面板400を架台200から吊り下げた状態であっても良いが、強風などにより揺れ動かないように、背面板400から支持部材410を前方に延ばして筋交い状に後脚221に固定しても良いし、背面板400から支持部材411を下方に延ばして杭状に地面に固定しても良い。さらに、支持部材410の場合は、伸縮可能にして背面板400の角度を調整しても良い。
【0023】
図3は、ソーラーパネル用架台の背面板の斜視図であり、図4は、ソーラーパネル用架台の背面板の正面図である。すなわち、背面板400は、架台200の背面側に配置されるので、架台200の後方から見た図である。
【0024】
背面板400において、反射板500は、1枚の金属板を使用しても良いが、複数の金属板を並べて使用しても良い。例えば、2枚の金属板を上下に並べても良いし、さらに、図3図4に示すように、上下段に分けて上段及び下段にそれぞれ複数枚の金属板を横方向に並べても良いし、さらに縦方向に多段になっても良い。複数の反射板500を背面板400に配置するために、補助的に枠材420などを用いても良い。なお、金属板は、鏡面状でも良いが、太陽光などを反射できれば良い。
【0025】
複数の反射板500は、全てを同じ方向を向いていても良いが、反射板500の向きや角度をそれぞれ変えても良い。例えば、上段に配置された金属板を垂直より若干だけ下方に傾け、下段に配置された金属板を垂直より若干だけ上方に傾けても良い。また、左端又は右端に行くほど中央を向くように角度を調整しても良い。
【0026】
反射板500は、平面状にしても良いし、両端に対して中央を凹まして湾曲状にしても良い。反射板500に湾曲面510を形成することにより、太陽光を反射させたときに一点又はライン状に集光させる。
【0027】
反射板500の背面板400への固定は、例えば、反射板500の上寄りの位置及び下寄りの位置にそれぞれ横長のスライド溝520を貫通させ、留具530をスライド溝520の上面側から下面側に通して枠材420に螺合等する。このとき、枠材420は、背面板400の左端から右端にかけて、スライド溝520を空けた位置に渡すように設ければ良い。
【0028】
スライド溝520の中心に留具530を通したとき、反射板500で反射させた太陽光が、中央付近に集光するように湾曲する角度を調整する。留具530を緩め、スライド溝520に沿って反射板500を左方向又は右方向に回動させれば、反射光が集光する向きが変わる。
【0029】
このように、ソーラーパネル用架台100によれば、架台200の背面側で反射させた太陽光を後方の太陽電池に効果的に照射することで発電効率を飛躍的に向上させることができる。
【実施例2】
【0030】
次に、反射板の形状のバリエーションについて説明する。図5は、ソーラーパネル用架台の反射板の中央に凹凸を設けた場合の斜視図であり、図6は、ソーラーパネル用架台の反射板をフレネルレンズ状に加工した場合の斜視図であり、図7は、ソーラーパネル用架台の反射板の中央をフレネルレンズ状に加工した場合の斜視図である。
【0031】
図5に示すように、反射板500aには、中央付近など一部に山状の凹凸540aが形成される。凹凸540aは、全て均一な山状にしても良いし、中央からの位置に応じて山の高さや幅を変動させても良い。また、山状に突出させても良いし、谷状に溝を掘っても良い。さらに、山以外の形状にしても良い。反射板500aに凹凸540aを形成することで、太陽光の反射効率が変わる。反射板500aの湾曲を抑えて反射板500aに凹凸540aを形成しても良いし、反射板500aの湾曲と凹凸540aの形成を併用しても良い。
【0032】
図6に示すように、反射板500bには、中央付近など一部にフレネルレンズ状の凹凸540bが形成される。フレネルレンズのうちリニアフレネルレンズは、中央から端側に向かって鋸状の突起又は溝が平行直線状に並ぶように形成したものであり、太陽光が直線状に集光する。
【0033】
図7に示すように、反射板500cには、全体にフレネルレンズ状の凹凸540cが形成される。中央付近だけでなく、全体的に鋸状の突起又は溝が並ぶように形成しても良い。フレネルレンズ状にすることで、太陽光の反射効率が向上する。
【0034】
反射板500の表面形状を変えることにより、架台200の背面側で反射させた太陽光を後方の太陽電池により効果的に照射することが可能となり、発電効率を飛躍的に向上させることができる。
【0035】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、反射板に蒲鉾状の突起や溝が並んだレンチキュラー状の凹凸を形成しても良いし、円柱の側面の一部を切り出したシリンドリカルレンズ状の凹凸を形成しても良い。
【符号の説明】
【0036】
100:ソーラーパネル用架台
200、200a:架台
210:上板
220:前脚
221:後脚
300、300a:ソーラーパネル
400:背面板
410、411:支持部材
420:枠材
500、500a、500b、500c:反射板
510:湾曲面
520:スライド溝
530:留具
540a、540b、540c:凹凸
【要約】
【課題】架台の背面側で反射させた太陽光を後方の太陽電池に効果的に照射することで発電効率を飛躍的に向上させることのできるソーラーパネル用架台を提供する。
【解決手段】ソーラーパネル用架台は、ソーラーパネルを載せる上板と、前記上板支える前脚及び後脚と、前記後脚の後側に配した背面板と、前記背面板に取り付けた太陽光を反射する反射板と、を有する架台であって、前記反射板は、上下に複数段かつ左右に複数枚がそれぞれ傾きを調整可能に配置され、前記架台は、前後に並べて複数配置され、一の架台で太陽光を受けた各反射板がそれぞれ他の架台のソーラーパネルに向けて反射する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7