特許第5896524号(P5896524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896524
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20160317BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D47/34 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-82496(P2012-82496)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209153(P2013-209153A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】角田 義幸
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−320594(JP,A)
【文献】 特開平09−193953(JP,A)
【文献】 特開2009−202122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(100)の口頸部(101)外周に嵌合させる装着キャップ(A)に上端部を固定して容器体(100)内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ(10)及び底部に吸込み弁(52)を備えた小径の液用シリンダ(11)を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材(B)と、シリンダ部材(B)に装着された作動部材Cとを備え、作動部材Cは、シリンダ部材(B)に対して上方付勢状態で上下動可能に装着した外殻部材(Ca)と、シリンダ部材(B)に対して所定幅の上下動が可能で且つ外殻部材(Ca)に対して相対上下動が可能な内軸部材(Cb)とを備え、外殻部材(Ca)は、液用シリンダ(11)内を摺動する液用ピストン(Ca1)をステム(Ca2)外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ(10)内を摺動する空気用ピストン(Ca3)をステム(Ca2)外周上部に連携させ、ステム(Ca2)上端に吐出ヘッド(Ca4)を嵌着してなり、内軸部材(Cb)は、ステム(Ca2)内を貫通するとともに、上部外周を吐出ヘッド(Ca4)内周に摺動可能に嵌合させて装着し、液用シリンダ(11)内から吐出ヘッド(Ca4)内へ連通する液流路を内部に形成し、該液流路の上流側に吐出弁(62)を、下流側に起泡層(80)を設けてなり、外殻部材(Ca)に空気用シリンダ(10)内から吐出弁(62)と起泡層(80)との間の液流路に連通する空気通路pを備え、吐出ヘッド(Ca4)の押し下げにより外殻部材(Ca)が下降するとともに、内軸部材(Cb)が所定幅下降した後外殻部材(Ca)に対して相対的に上昇し、液用シリンダ(11)内の液と空気用シリンダ(10)内の空気を合流させて起泡層(80)を介して起泡させて吐出ヘッド(Ca4)のノズル(41)より吐出し、上方付勢力による外殻部材(Ca)の上昇時には、内軸部材(Cb)が所定幅上昇した後、外殻部材(Ca)に対して相対的に下降することを特徴とする泡吐出器。
【請求項2】
内軸部材(Cb)を、下端が液用シリンダ(11)の底部と隙間をあけて位置させた棒状部(Cb1)と、棒状部(Cb1)上に連結してステム(Ca2)内に相対上下動可能に嵌合させ、内部に液用シリンダ(11)内と連通する液流路を画成した軸筒(Cb2)と、軸筒(Cb2)上端に嵌着するとともに、ステム(Ca2)上端部に嵌着したり吐出ヘッド(Ca4)の縦筒(35)内を摺動するシール部(68)を外周に突設した筒状のシール部材(Cb3)と、シール部材(Cb3)内に嵌着した装着筒部材(Cb4)を介して固定した、筒体(81)の端面に起泡層(80)としてのメッシュを張設した起泡部材(Cb5)とで構成した請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
棒状部(Cb1)の下端部を吸込み弁体(50)とするとともに、液用シリンダ(11)の底面を吸込み弁用の弁座(12)として、吸込み弁(52)を構成した請求項2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
軸筒(Cb2)内に形成した液流路の下端部を透孔(59)を介して液用シリンダ(11)内と連通させ、軸筒(Cb2)の下面周縁部で構成する逆止弁用の弁座(57)と、ステム(Ca2)内周下端部に嵌合した液用ピストン(Ca1)のピストンロッド(20)より突設した逆止弁体(22)とで構成する逆止弁(58)を設けた請求項2又は請求項3に記載の泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出器に関し、詳しくは、ノズル内に残った泡を操作中に内部に引き戻すことが可能な泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
泡吐出器として、大径の空気用シリンダと小径の液用シリンダを上下に同心円状に連設したシリンダ部材と、液用シリンダ内を摺動する液用ピストンをステム外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ内を摺動する空気用ピストンをステム外周上部に連携させ、ステム上端に吐出ヘッドを嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材とを備え、作動部材の上下動により液用シリンダ内の液と空気用シリンダ内の空気を合流させて起泡部材を介して起泡させ、吐出ヘッドの吐出口より吐出する如く構成したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
従来の泡吐出器では、泡吐出後に吐出ヘッドのノズル先端内に泡が氷柱状に残存し、泡垂れをすると共に、それが固化する等の不都合の虞がある。泡は一般に比較的流動性に乏しい場合が多く、泡の吐出後にノズル内の残存物がそのままの位置に止まることがあり、その結果、ノズル内流路が狭くなったり、甚だしい場合には詰まってしまい、泡の円滑な吐出を阻害する等の不都合の虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、吐出のための作動部材の一回の上下動操作中に常時ノズル内に内方への吸気作用を施すことができ、たとえノズル内に泡が残存することがあっても内部への吸引が可能で、ノズル先端に於ける泡切れの良い泡吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体100の口頸部101外周に嵌合させる装着キャップAに上端部を固定して容器体100内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ10及び底部に吸込み弁52を備えた小径の液用シリンダ11を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材Bと、シリンダ部材Bに装着された作動部材Cとを備え、作動部材Cは、シリンダ部材Bに対して上方付勢状態で上下動可能に装着した外殻部材Caと、シリンダ部材Bに対して所定幅の上下動が可能で且つ外殻部材Caに対して相対上下動が可能な内軸部材Cbとを備え、外殻部材Caは、液用シリンダ11内を摺動する液用ピストンCa1をステムCa2外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ10内を摺動する空気用ピストンCa3をステムCa2外周上部に連携させ、ステムCa2上端に吐出ヘッドCa4を嵌着してなり、内軸部材Cbは、ステムCa2内を貫通するとともに、上部外周を吐出ヘッドCa4内周に摺動可能に嵌合させて装着し、液用シリンダ11内から吐出ヘッドCa4内へ連通する液流路を内部に形成し、該液流路の上流側に吐出弁62を、下流側に起泡層80を設けてなり、外殻部材Caに空気用シリンダ10内から吐出弁62と起泡層80との間の液流路に連通する空気通路pを備え、吐出ヘッドCa4の押し下げにより外殻部材Caが下降するとともに、内軸部材Cbが所定幅下降した後外殻部材Caに対して相対的に上昇し、液用シリンダ11内の液と空気用シリンダ10内の空気を合流させて起泡層80を介して起泡させて吐出ヘッドCa4のノズル41より吐出し、上方付勢力による外殻部材Caの上昇時には、内軸部材Cbが所定幅上昇した後、外殻部材Caに対して相対的に下降する。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、内軸部材Cbを、下端が液用シリンダ11の底部と隙間をあけて位置させた棒状部Cb1と、棒状部Cb1上に連結してステムCa2内に相対上下動可能に嵌合させ、内部に液用シリンダ11内と連通する液流路を画成した軸筒Cb2と、軸筒Cb2上端に嵌着するとともに、ステムCa2上端部に嵌着したり吐出ヘッドCa4の縦筒35内を摺動するシール部68を外周に突設した筒状のシール部材Cb3と、シール部材Cb3内に嵌着した装着筒部材Cb4を介して固定した、筒体81の端面に起泡層80としてのメッシュを張設した起泡部材Cb5とで構成した。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、棒状部Cb1の下端部を吸込み弁体50とするとともに、液用シリンダ11の底面を吸込み弁用の弁座12として、吸込み弁52を構成した。
【0009】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段又は第3の手段に於いて、軸筒Cb2内に形成した液流路の下端部を透孔59を介して液用シリンダ11内と連通させ、軸筒Cb2の下面周縁部で構成する逆止弁用の弁座57と、ステムCa2内周下端部に嵌合した液用ピストンCa1のピストンロッド20より突設した逆止弁体22とで構成する逆止弁58を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作動部材Cが外殻部材Caと内軸部材Cbとで構成され、作動部材Cの押し下げ時に内軸部材Cbが外殻部材Caに対して相対的に上昇するため、外殻部材Caの上端部を構成する吐出ヘッドCa4の内容積が減少し、作動部材Cの上昇時に内軸部材Cbが外殻部材Caに対して相対的に下降するため、吐出ヘッドCa4の内容積が増大し、良好なノズル41内吸引効果を発揮する。そのため、ノズル41内にたとえ泡の残存があったとしても吐出ヘッドCa4内方へ引き戻され、ノズル先端内の泡切れを良くすると共に、外気との接触が多いノズル41先端部に於ける泡の固化等を確実に防止することができ、泡の円滑な吐出を可能とする。また、形状的にも従来品と比較して大きさの増大もなく形成できる利点もある。
【0011】
内軸部材Cbを、下端が液用シリンダ11の底部と隙間をあけて位置させた棒状部Cb1と、棒状部Cb1上に連結してステムCa2内に相対上下動可能に嵌合させ、内部に液用シリンダ11内と連通する液流路を画成した軸筒Cb2と、軸筒Cb2上端に嵌着するとともに、ステムCa2上端部に嵌着したり吐出ヘッドCa4の縦筒35内を摺動するシール部68を外周に突設した筒状のシール部材Cb3と、シール部材Cb3内に嵌着した装着筒部材Cb4を介して固定した、筒体81の端面に起泡層80としてのメッシュを張設した起泡部材Cb5とで構成した場合には、相互の組み付け操作を容易に行なえるという特徴を備え、各部材をコンパクトに効率良く組み付けることができる利点がある。
【0012】
棒状部Cb1の下端部を吸込み弁体50とするとともに、液用シリンダ11の底面を吸込み弁用の弁座12として、吸込み弁52を構成した場合には、別に吸込み弁52を形成する必要もなく、また、内軸部材Cbの最下降時の特別な係止手段を必要とせず、構造をより簡素化することができる。
【0013】
軸筒Cb2内に形成した液流路の下端部を透孔59を介して液用シリンダ11内と連通させ、軸筒Cb2の下面周縁部で構成する逆止弁用の弁座57と、ステムCa2内周下端部に嵌合した液用ピストンCa1のピストンロッド20より突設した逆止弁体22とで構成する逆止弁58を設けた場合には、スペースをとらずに逆止弁58を形成できる利点があり、また、逆止弁58の存在で、泡吐出器1が転倒した場合にも液の漏出を防止できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】泡吐出器の縦断面図である。(第1実施例)
図2】作動部材を押し下げた状態の泡吐出器の縦断面図である。(第1実施例)
図3図1の二点鎖線円Xで囲まれた部分の要部拡大断面図である。(第1実施例)
図4図1の二点鎖線円Yで囲まれた部分の要部拡大断面図である。(第1実施例)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1及び図2は本発明の泡吐出器の第1実施例を示す。泡吐出器1は、装着キャップAと、シリンダ部材Bと、作動部材Cとを備えている。尚、便宜上図1に於ける左方を前部、右方を後部、手前を右部、奥方を左部として以下を説明する。
【0017】
装着キャップAは、泡吐出器1を容器体100に固定するためのもので、容器体100の口頸部101外周に嵌合させる周壁2の上端縁よりフランジ状の頂壁3を延設し、頂壁3中央部にガイド筒4を起立している。
【0018】
シリンダ部材Bは、上端部を装着キャップA裏面外周部に装着固定させた大径の空気用シリンダ10の下部に、小径の液用シリンダ11を同心円状に延設している。液用シリンダ11は、空気用シリンダ10の底壁部内周縁に周壁部の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部を延設し、底壁部の上面を吸込み弁用の弁座12として構成している。また、底壁部の中央開口縁よりパイプ嵌合筒13を一体に垂設し、パイプ嵌合筒13に吸上げ用のパイプ14の上端を嵌着し、その下端を容器体100内下端部に垂下させている。更に、液用シリンダ11内面の底壁部外縁部から周壁部下端部に至る部分に、周方向複数の係止リブ15を突設している。各係止リブ15の上下中間部には上向き段部を設けている。
【0019】
作動部材Cは、外殻部材Caと内軸部材Cbとを備えている。
【0020】
外殻部材Caは、シリンダ部材Bに対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用ピストンCa1と、ステムCa2と、空気用ピストンCa3と、吐出ヘッドCa4とを備えている。
【0021】
液用ピストンCa1は、図3に示すようにステムCa2内下部に嵌着したピストンロッド20の下端外周より外方へ上下スカート状の摺動部21を突設し、摺動部21を液用シリンダ11内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、ピストンロッド20の内周下部には、後述する逆止弁用の弁座57とで逆止弁58を構成する環状の逆止弁体22を突周設している。そして、液用ピストンCa1のピストンロッド20下面と、液用シリンダ11に設けた各係止リブ15の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて外殻部材Caを常時上方へ付勢させている。
【0022】
ステムCa2は、上下端を開口した筒状をなし、液用シリンダ11に摺動する液用ピストンCa1を下部外周に突設するとともに、空気用シリンダ10内を摺動する空気用ピストンCa3を外周上部に連携させて、液用シリンダ11内及び空気用シリンダ10内を上下動可能に装着されている。また、外面上下方向中間部にはフランジ状に突設した空気吐出弁用の弁座25を突設しており、その上方の筒壁外周には周方向複数の縦突条26を突設している。
【0023】
空気用ピストンCa3は、内周縁の筒状弁部30をステムCa2外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、筒状弁部30外周より延設した階段状の隔壁31を介して、空気用シリンダ10内周に液密摺動可能に嵌合した上下スカート状の摺動部32延設している。筒状弁部30はステムCa2外周の縦突条26外面に上下動可能に嵌合させている。また、空気用シリンダ10の階段状の隔壁31には外気を導入するための外気導入弁33を設けている。外気導入弁33は、下降した外殻部材Caが上昇する際に空気用シリンダ10内が負圧となることで開弁し、外気を導入する。
【0024】
また、後述する如く、ステムCa2の外周上端部には、吐出ヘッドCa4の縦筒35下端部を嵌合しており、縦筒35の嵌合部分の下端部に環状凹部43を凹設している。筒状弁部30はその環状凹部43の外周面に、上端部を摺動可能に嵌合させている。また、筒状弁部30は環状凹部43の頂面と、空気吐出弁用の弁座25との間を上下動可能に装着しており、筒状弁部30の下端部と空気吐出弁用の弁座25とで空気吐出弁34を構成している。この空気吐出弁34は、図1に示す外殻部材Caが最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、外殻部材Caを押し下げた際には開弁し、更に押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。そして、ステムCa2と筒状弁部30との間に、空気吐出弁34から環状凹部43内に連通し、空気用シリンダ10内からステムCa2内へ連通する空気通路pを構成する通気路を備えている。
【0025】
吐出ヘッドCa4はステムCa2の外周上端部に内周下端部を嵌合させた縦筒35を頂板36裏面より垂設し、頂板36の周縁部から丈の短い外垂壁37を垂設し、外垂壁37と縦筒35との間から丈の長い内垂壁38を垂設している。内垂壁38の下端部には、内垂壁38の内面下端部に嵌着した嵌合筒39の下面に延設したリング板40を嵌着し、リング板40の内周縁を、外殻部材Caが最上昇位置に於いて、ガイド筒4の外周上部に突設した環状突起5外面に当接させている。また、縦筒35の上端に基端を開口し、内垂壁38及び外垂壁37を貫通して前方へ突設したノズル41を延設し、その先端に吐出口42を開口している。更に、縦筒35の下端部内面には上記した環状凹部43を凹設しており、環状凹部43直上の縦筒35内面には、下端を環状凹部43の上端に開口し、上端をステムCa2直上に開口した縦凹溝44を縦設している。そして、この縦凹溝44内、環状凹部43内、ステムCa2と筒状弁部30との間とで、空気用シリンダ10内からステムCa2内に連通する空気通路pを構成している。また、縦筒35内の上端部には係止用リブ45を突設している。
【0026】
内軸部材Cbは、シリンダ部材Bに対して所定幅の上下動が可能で且つ外殻部材Caに対して相対上下動が可能に構成したもので、棒状部Cb1と、軸筒Cb2と、シール部材Cb3と、装着筒部材Cb4と、起泡部材Cb5とを備えている。
【0027】
棒状部Cb1は、下端部が吸込み弁体50を構成する棒状をなし、下端部外面に、それぞれ液用シリンダ11の係止リブ15間に位置させる、周方向複数の係止突部51を突設しており、液用シリンダ11内から液用ピストンCa1の摺動部21内に至る長さを有しており、各係止突部51がコイルスプリングs下面に当接する位置から吸込み弁用の弁座12と下面が当接する位置までの上下動が可能に装着している。そして、棒状部Cb1の下端部と吸込み弁用の弁座12とで吸込み弁52を構成している。
【0028】
軸筒Cb2は、棒状部Cb1上端に下端を連結してステムCa2内に相対上下動可能に嵌合させ、内部に液用シリンダ11内と連通する液流路を画成している。図示例では、外周下部に、外郭部材Caのピストンロッド20が上下動可能に嵌合する環状の凹部55を凹設した、上端開口の有底筒状をなし、下面中央部より垂設した連結用突部56を、棒状部Cb1の上に立設した嵌合筒53に嵌合させて両者を固定させている。また、下面周縁部を逆止弁用の弁座57としてピストンロッド20から突設した逆止弁体22とで、逆止弁58を構成している。更に、軸筒Cb2の筒壁下部には透孔59を穿設し、該透孔59を介して液用シリンダ11内と軸筒Cb2内の液流路とを連通させている。また、軸筒Cb2の上端部内周は大径に形成して、大径部の下面を吐出弁用の弁座60とし、該吐出弁用の弁座60上に玉状の吐出弁体61を載置して吐出弁62を構成している。
【0029】
シール部材Cb3は、軸筒Cb2の上端部内周に、下部の小径筒部65を嵌着させ、小径筒部65の上端より軸筒Cb2上面に嵌合するフランジ66を介して大径筒部67を起立し、大径筒部の外周上端部より、吐出ヘッドCa4の縦筒35内周に液密、気密に摺動嵌合する、上下スカート状をなす、シール部68を突設している。尚、シール部材Cb3の軸筒Cb2への嵌着は、小径筒部65の外周及びフランジ66下面にわたる隙間用リブ69を介して嵌着固定しており、従って、小径筒部65及びフランジ66と軸筒Cb2との間には、ステムCa2直上の縦筒35内面に開口した空気通路pと軸筒Cb2内を連通する隙間が形成されている。図示例の隙間用リブ69は周方向複数突設している。また、小径筒部65の下面には周方向複数の凹部70を形成している。
【0030】
装着筒部材Cb4は、内部に起泡部材Cb5を嵌合して、シール部材Cb3の大径筒部67内に下部を嵌着している。図示例では、大径筒部67内周に嵌着した連結筒部75の上端より、中央に連通窓を開口して延設したフランジ状の底板76を備え、また、フランジ状の底板76周縁より上方に装着筒部77を立設している。
【0031】
起泡部材Cb5は、起泡層80としてのメッシュを張設した筒体81を一対用意して、起泡層80が上端及び下端になる如く装着筒部材Cb4の装着筒部77内に嵌着している。尚、図示例では筒体を一対設けているが、起泡層80としてのメッシュを張設した筒体を一つ嵌着することも、三個以上嵌着することも可能であり、適宜選択することが可能である。
【0032】
そして、吐出弁62直上の液通路に空気通路pを連通し、そこに気液混合室Rを設けている。
【0033】
上記泡吐出器1は、図1の状態から吐出ヘッドCa4を押し下げると、外殻部材Caが下降するとともに、内軸部材Cbが液用シリンダ11底部に当接するまで下降した後、外殻部材Caに対して相対的に上昇する。
【0034】
詳述すると、外殻部材Caが下降すると、空気用ピストンCa3がステムCa2に対して相対的に上昇して空気吐出弁34が開き、下降する空気用ピストンCa3により空気用シリンダ10内の空気が加圧されて空気通路pを介して気液混合室R内に導入される。また、外郭部材Caとの摩擦力で内軸部材Cbが下降し、下端部の吸込み弁体50が吸込み弁用の弁座12に当接して吸込み弁52が閉じるまで下降する。その後、内軸部材Cbはその位置に止まり、外殻部材Caは更に下降するため、内軸部材Cbが外殻部材Caに対して相対的に上昇する。その際、逆止弁58が開き、下降する液用ピストンCa1により加圧された液用シリンダ11内の加圧液を逆止弁58を介して透孔59より軸筒Cb2内の液流路に導入し、吐出弁62を開いて気液混合室Rに導入させ、ここで気液を混合する。気液混合室Rで混合された気液は起泡部材Cb5を通過して発泡し、吐出ヘッドCa4のノズル41の吐出口42から外部へ吐出される。
【0035】
吐出ヘッドCa4の押圧を解除すると、コイルスプリングsの付勢力により外殻部材Caが上昇し、その際空気用ピストンCa3がステムCa2に対して相対的に下降して空気吐出弁34が閉じ、空気用シリンダ10内の負圧化によって外気導入弁33が開いて外気が空気用シリンダ10内に導入される。一方、外殻部材Caの上昇により内軸部材Cbは、外殻部材Caと内軸部材Cbとの相互の摩擦力で上昇し、吸込み弁52が開いて負圧化した液用シリンダ11内に容器体100内の液が導入される。内軸部材Cbはその係止突部51がコイルスプリングsの下面に当接するまで上昇するが、それ以上上昇しないため、その後は外殻部材Caに対して相対的に下降し、逆止弁体22が逆止弁用の弁座57に当接して逆止弁58が閉じるまで、外殻部材Caは上昇する。その際吐出弁62は閉じる。
【0036】
本発明では、吐出ヘッドCa4を押し下げて外殻部材Caを下降させた際に、当初下降した内軸部材Cbは外郭部材Caに対して相対的に上昇し、図2に示す如く、縦筒35内の容積を減少させる。そして、この状態から吐出ヘッドCa4の押圧を解除して外殻部材Caを上昇させると、縦筒35内の容積が増加する。従って、ノズル41内の空気を吸引し、所謂バックサクション作用を生じるため、ノズル41内に泡が残存していても縦筒35内に吸引することができる。
【0037】
尚、上記実施例では、吸込み弁体を内軸部材に一体に形成した例を示したが、これに限らず、吸込み弁を内軸部材とは別に形成することも可能である。その際には、シリンダ部材に対する内軸部材の所定幅の上下動を規制する規制手段を新たに設ける必要がある。
【符号の説明】
【0038】
1:泡吐出器
A:装着キャップ
2…周壁、3…頂壁、4…ガイド筒、5…環状突起
B:シリンダ部材
10…空気用シリンダ、11…液用シリンダ、12…吸込み弁用の弁座、
13…パイプ嵌合筒、14…吸上げ用のパイプ、15…係止リブ
C:作動部材
Ca:外殻部材
Ca1:液用ピストン
20…ピストンロッド、21…摺動部、22…逆止弁体
Ca2:ステム
25…空気吐出弁用の弁座、26…縦突条、
Ca3:空気用ピストン
30…筒状弁部、31…階段状の隔壁、32…摺動部、33…外気導入弁、
34…空気吐出弁
Ca4:吐出ヘッド
35…縦筒、36…頂板、37…外垂壁、38…内垂壁、39…嵌合筒、
40…リング板、41…ノズル、42…吐出口、43…環状凹部、44…縦凹溝、 45…係止用リブ、
Cb:内軸部材
Cb1:棒状部
50…吸込み弁体、51…係止突部、52…吸込み弁、53…嵌合筒
Cb2:軸筒
55…環状の凹部、56…連結用突部、57…逆止弁用の弁座、58…逆止弁、
59…透孔、60…吐出弁用の弁座、61…吐出弁体、62…吐出弁
Cb3:シール部材
65…小径筒部、66…フランジ、67…大径筒部、68…シール筒、
69…隙間用リブ、70…凹部
Cb4:装着筒部材
75…連結筒部、76…フランジ状の底板、77…装着筒部
Cb5:起泡部材
80…起泡層、81…筒体
s:コイルスプリング
p:空気通路
R:気液混合室
100:容器体
101…口頸部
図1
図2
図3
図4