【文献】
Laulhere JP,J Biol Chem,Purification and characterization of ferritins from maize, pea, and soya bean seeds. Distribution in various pea organs,1988年,vol.263, no.21,p.10289-94
【文献】
Galatro A,Soybean ferritin: isolation, characterization, and free radical generation.,J Integr Plant Biol,2012年,vol.54, no.1,p.45-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ヒトおよび他の動物において鉄は、酸素輸送、好気性細胞活動、細胞内電子伝達、および体組織内の統合酵素反応を含めた多くの生命維持に必要な細胞機能および生合成過程の遂行および維持に不可欠である。鉄の欠乏は世界中で最も一般的な栄養不足であり、先進国および途上国の両方の3000万人の人々に影響を与えている。鉄の欠乏は、子供の成長および学習の減退を含めて多くの影響を有する。
【0003】
体組織中の貯蔵鉄の大部分は、フェリチン中に含まれている。フェリチンは、サブユニットの自己組織化で作られる細胞内タンパク質−鉄複合体である。このタンパク質ケージは、植物、動物、および細菌中で、鉄を可逆的にケージドバイオミネラルFe
2O
3・H
2Oにすることができる。このタンパク質ナノケージ内の鉄オキシバイオミネラルは、タンパク質合成用の鉄濃縮物であり、また抗酸化物質保護用のFe(II)/酸素/過酸化物のトラップ(フェントン化学の反応物)である。フェリチン中に封じ込められる鉄は、非毒性の使用しうる形の鉄(II)イオンの溶解度の1000億倍に濃縮される。フェリチンタンパク質のサブユニットである4本のα−へリックスバンドルは、ミネラル化において2個のFe(II)原子をFe(III)−オキソ架橋二量体中間体に変換する触媒中心を含有する。二種類のフェリチンは、i)動物、植物、および細菌中に見出されるマキシフェリチン、すなわち24個のポリペプチド、4本のバンドルのサブユニット集合体と、ii)古細菌および細菌中のミニフェリチン(Dpsタンパク質とも呼ばれる)、すなわち12個のポリペプチド、4本のバンドルのサブユニット集合体である。
【0004】
動物ではフェリチンは、組織中、具体的には肝臓、腎臓、脾臓、および骨髄の赤血球系細胞中に主に存在し、ヘモグロビンの産生のための鉄の蓄えとして働く。フェリチンのわずかな部分は血清中に存在し、全体的な鉄の貯蔵にはほとんど貢献しないが、動物における鉄レベルのレポーターとして臨床的に使用される。フェリチンは、フェリチンの2つの主要なサブタイプであるHまたはLの比率に応じて概ね25種類のはっきり区別できる異性体として動物中に生ずる。これらのはっきり区別できるサブタイプは、それらの組織内分布、鉄酸化の速度とメカニズム、コア形成、および生理学的鉄回転率の点で異なる。
【0005】
植物および動物由来のフェリチンは、ヒトおよび他の動物用の食糧供給源として使用することができる。フェリチンは、大部分が消化を切り抜けてそのまま生き残り、フェリチン分子当たりの大量の鉄のために、どの他の食餌性の鉄供給源または鉄サプリメントよりも効率的に腸によって吸収される。フェリチンはまた、高熱による処理を切り抜ける。フェリチンタンパク質は、フェリチン鉄を、自然腸溶性で遅効性の効率よく吸収される鉄供給源にする。したがってフェリチンは、食生活において鉄を増やす必要性のある動物における鉄を補うために使用することができる。
【0006】
現在、鉄欠乏疾患の治療または鉄欠乏症の予防のための量を被験者に投与することができる植物および動物性フェリチンを、低コストの容易に入手できる供給源から単離する方法の必要性が存在する。また、植物および動物性フェリチンに由来する鉄の量を決定するための方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、(a)豆果または豆果加工流を可溶性および不溶性豆果の画分に分離するステップと、(b)その不溶性豆果の画分に中性の塩類緩衝液を加えて、不溶性豆果の溶液にするステップと、(c)ステップ(b)の不溶性豆果の溶液を清澄化して、可溶性および不溶性豆果の溶液の画分に分けるステップと、(d)ステップ(c)の清澄化された可溶性豆果の溶液を酵素処理するステップと、(e)ステップ(d)の酵素処理され、清澄化された可溶性豆果の溶液を分別して、非フェリチン成分を除去するステップと、(f)ステップ(e)の分別された可溶性豆果の溶液から単離されたフェリチンを濃縮するステップとによって、豆果または豆果加工流からフェリチンを単離する方法を述べる。
【0008】
本発明はまた、(a)豆果または豆果加工流を可溶性および不溶性豆果の画分に分離するステップと、(b)その不溶性豆果の画分に中性の塩類緩衝液を加えて、不溶性豆果の溶液にするステップと、(c)ステップ(b)の不溶性豆果の溶液を清澄化して、可溶性および不溶性豆果の溶液の画分に分けるステップと、(d)ステップ(c)の清澄化された可溶性豆果の溶液を酵素処理するステップと、(e)ステップ(d)の酵素処理され、清澄化された可溶性豆果の溶液を分別して、非フェリチン成分を除去するステップと、(f)ステップ(e)の分別された可溶性豆果の溶液から単離されたフェリチンを濃縮するステップとによって、豆果または豆果加工流からフェリチンを単離する方法を述べる。
【0009】
本明細書中ではまた、(a)植物性材料を可溶性および不溶性画分に分離するステップと、(b)ステップ(a)の可溶性画分から非フェリチン成分を除去し、それによってフェリチンを単離するステップと、(c)ステップ(b)からの単離されたフェリチンを濃縮するステップとによって植物性材料からフェリチンを単離する方法を述べる。この植物性材料は、ダイズなどの豆果由来のものであることができる。
【0010】
植物性材料は、植物全体からなることもでき、また植物の一部、例えば種子、豆、茎、果実、葉、根、および花のうちの1種類または複数種類であることもできると考えられる。その植物性材料は、豆果の加工からの廃棄流由来の材料であってもよい。
【0011】
一態様において可溶性と不溶性の分離のステップは、機械的分離によって行うことができる。
【0012】
非フェリチン成分を除去するステップを可溶性画分の酵素処理によって行うことが考えられる。その酵素処理された非フェリチン成分を除去することができる。非フェリチン成分を除去するために使用される酵素は、1種類または複数種類のグリコシダーゼ酵素であることができる。
【0013】
単離されたフェリチンは、例えば可溶性画分の乾燥によって、または限外濾過によって濃縮することができる。
【0014】
非フェリチン成分を除去する前または後の何れかでの可溶性画分の分別などの追加のステップを、上記フェリチンの単離方法に加えることができる。これに加えて可溶性画分を、例えば有機溶剤などの溶媒で処理することもできる。
【0015】
また、(a)動物性材料を可溶性および不溶性画分に分離するステップと、(b)この可溶性画分を熱変性するステップと、(d)この熱変性した可溶性画分から酵素消化によって炭水化物を除去するステップと、(c)この酵素処理され、熱変性された可溶性画分を濃縮するステップとによって動物性材料からフェリチンを単離する方法を述べる。この動物性材料は、例えば動物由来の肝臓、腎臓、脾臓、または骨髄などの動物組織であることができる。
【0016】
可溶性と不溶性の分離のステップは、機械的分離によって行うことができる。ステップ(d)に使用される酵素は、1種類または複数種類のグリコシダーゼ酵素であることができる。熱変性は80℃未満の温度で行うことが考えられる。単離されたフェリチンの濃縮は、その可溶性画分の低温における乾燥、噴霧乾燥、または限外濾過によって達成することができる。
【0017】
可溶性画分の酵素処理後のサイズ分画を含めた追加のステップを、この動物性材料からフェリチンを単離する方法に加えることができる。加えることができる別のステップは、例えば有機溶剤などの溶媒による処理である。
【0018】
本発明はまた、本明細書中で述べる方法によって得られる単離されたフェリチンを対象とする。
【0019】
本発明はまた、既知重量百分率のフェリチン鉄供給源を有する試料中のフェリチン鉄の量を決定するための方法を述べる。この方法は、(a)試料の単位重量当たりのその試料中の全体の鉄を測定するステップと、(b)ステップ(a)からの試料の既知の体積当たり重量の可溶性抽出物を準備して、可溶性試料抽出物を作製するステップと、(c)この試料の可溶性試料抽出物の単位重量当たりの全体の鉄を決定するステップと、(d)定量免疫学的分析を使用してこの可溶性試料抽出物中の単位重量当たりのフェリチンタンパク質を決定するステップと、(e)ステップ(c)からの全体の鉄の量をステップ(d)からのフェリチンタンパク質の量で除し、それにステップ(a)からの試料中の全体の鉄の量を乗じ、補正係数を乗じたものを使用して試料中のフェリチン鉄の量を計算し、それによって試料中のフェリチン鉄の量を決定するステップとを有する。豆果の場合、補正係数は0.75である。
【0020】
この方法で使用されるフェリチン鉄供給源は、植物または動物由来の材料であることができる。フェリチンを含有する試料は、被験者の正常組織または高フェリチン血清中の動物性フェリチンに由来することができる。
【0021】
定量免疫学的分析は、任意の手段、例えば定量イムノブロット、ウェスタンブロット分析、および定量キャピラリー電気泳動によって行うことができると考えている。
【0022】
本発明はまた、本明細書中の方法によって得られる単離されたフェリチンの有効量の使用または投与を必要とする生物における使用、あるいはその使用または投与によって鉄の欠乏により引き起こされる状態の治療について述べる。
【0023】
治療を必要とする生物は、任意の生物、例えば植物、またはヒトを含めた哺乳動物などの動物であることができる。
【0024】
本発明はまた、本明細書中で述べる方法により得られる単離されたフェリチンを加えることによって加熱加工物の鉄含有量を増加させる方法を述べる。この単離されたフェリチンは、その物を加熱加工する前にその物に加えることができる。一実施形態では加熱加工物は食品である。別の実施形態では加熱加工物は飲料である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本明細書中で使用される下記の用語およびそれらの語尾変化は、そのような用語が使用される文脈が明白に別の意味を意図していない限り下記に示す意味を有する。
【0028】
本明細書中で使用される用語「或る(aおよびan)」および「その(the)」および類似の指示対象は、文脈中でそれらの用法によって別段の指定がなされない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されたい。
【0029】
用語「緩衝液」または「緩衝化溶液」とは、酸または塩基を加えたときに、さもなければ起こるはずのpHの変化を、溶液中に存在すると低減または調節する酸および塩基の混合物を指す。
【0030】
本明細書中で使用される用語「(実質上全体として)含む(comprise)」およびこの用語の語尾変化(comprisingおよびcomprisesなど)は、他の添加剤、成分、整数値、またはステップを排除することを意図しない。
【0031】
本明細書中で使用される用語「補正係数」とは、試料中のフェリチン鉄の量の計算に使用される数を指す。補正係数は、そのフェリチン鉄の供給源がフェリチン鉄のほかに鉄を含有する可能性があるために、元のフェリチン鉄供給源におけるフェリチン鉄の最低限の比率では、掛け算されなければならない数である。したがって補正係数は、計算の誤差が起こらないように使用されなければならない。例として、豆果では最低でも鉄の75%がフェリチン鉄であり、したがって補正係数0.75がフェリチン鉄の豆果供給源で使用されることになる。しかしながらフェリチン鉄の他の供給源は別の補正係数を有する。
【0032】
本明細書中で使用される用語「フェリチン」とは、生物において高効率の腸の鉄吸収を与え、かつ天然の鉄含有フェリチンと同一または実質上類似の生物学的かつ/または化学的活性および構造を有するケージド鉄酸化物ミネラルを有するタンパク質を意味する。したがってフェリチンには、結合して球状ナノケージを形成する12個または24個のフェリチンサブユニットを含む、鉄ミネラルを有する天然に存在するフェリチンタンパク質または組換え型の鉄ミネラル再構成フェリチンタンパク質が含まれる。天然のフェリチンには、ヒトのフェリチン、他の動物由来のフェリチン(例えば、ウマ脾臓またはウシガエル由来のフェリチン)、植物のフェリチン(例えば、ダイズおよび任意の他の豆果または豆果のプロセス流由来の)、微生物のフェリチン、マイコフェリチン(真菌由来の)、細菌のフェラチン(バクテリオフェラチン)、あるいは古細菌のフェリチンが挙げられる。フェラチンタンパク質には、遺伝的形質転換微生物、例えば大腸菌(E.coli)や、他の細菌および酵母によって発現される組換え型フェラチンが挙げられる。遺伝的形質転換または組換え微生物は、天然のフェラチンと同一または相似のアミノ酸配列を有することができる。フェラチンタンパク質という用語は、動物性異性体HおよびLの一方または両方、あるいは植物性異性体(H−1、H−2など)からなるタンパク質ケージを含むことができる。
【0033】
「フェリチンタンパク質サブユニット」は、フェリチンタンパク質を構成する12個または24個のポリペプチドサブユニットの1つと定義される。フェリチンサブユニット内のアミノ酸の識別のために本明細書中で使用される付番方式は、ウマ脾臓のLフェリチンの原配列に基づいている(Swiss Protein Database Accesion Number P02791)。このウマ脾臓付番方式は、ヒトのH配列(Swiss Protein Database Accesion Number P02794、なおヒトのL配列の受託番号はP02792である)に基づく付番方式に容易に変換することができる。このヒトのH配列は、N末端に4個の追加のアミノ酸を有する。したがってヒトのH配列の付番は、ウマ脾臓フェリチンにおける対応するアミノ酸数に4を加える。例えば、ウマ脾臓の付番によるL134は、ヒトのH配列の付番によるL138に対応する。フェリチンサブユニット配列の配列比較は、例えばHandbook of Metalloproteins(Messerschmidt,A等編、John Wiley & Sons,Chichester,UK,pp.771〜81,2001)中のTheil,E.C.の記述の中に、またComprehensive Supramolecular Chemistry,Vol.5(K.S.Suslick編、Pergamon Press,Oxford,UK,pp.65〜89,1996)中のWaldo,G.S.およびTheil,E.C.の記述の中に見出すことができる。
【0034】
「アポフェリチン」は、タンパク質ケージの状態、すなわちミネラル化されていない状態のフェリチンである。
【0035】
「フェリチンポア」は、組立てられたフェリチンタンパク質ケージにおいて8個のFe
2+流出/流入イオンチャネルにつながる外側または内側のフェリチンケージポアの一つであり、これらチャネルおよびポアはフェリチンサブユニットの三量体によって形成される。無傷の24個のサブユニットのフェリチンタンパク質ケージでは、それぞれ3個のフェリチンサブユニットの結合部に8個の3回対称軸が存在する。各フェリチンポアおよびイオンチャネルは、これらのフェリチンサブユニットの三方向に通じる結合部(three−way junction)によって形成される。ポアは、X線結晶学によってフェリチンタンパク質の結晶中で視覚化することができ、またFe
2+の流出の速度の変化によって溶液中で分析することができる。
【0036】
「イムノブロット」または「免疫検出法」は、他のタンパク質を含む物質の複雑な混合物をしばしば含有する溶液中のタンパク質(「被検体」と呼ばれる)の存在または濃度を測定する特殊な種類の生化学的試験である。イムノアッセイに関係する方法および技術は、当業者によく知られている。
【0037】
本明細書中で使用される「単離」または「フェリチンの単離」は、フェリインを植物または動物性材料中の他の成分から分離することを意味し、これは実質上純粋な目標化合物、例えば実質上純粋なフェリチンを提供する。実質上純粋なフェリチンは、本発明の方法によって加工される材料中に全タンパク質の重量を基準にして約50%〜約100%、約50%〜約80%、約70%〜約85%、約65%〜約95%の量でフェリチンを含有する。
【0038】
用語「個体」、「被験者」、および「患者」は本明細書中では区別なく使用され、一般には哺乳動物を指す。用語「哺乳動物」は哺乳綱に属する個体と定義され、制限なしにヒト、飼育動物および家畜、ならびに動物園の動物、スポーツ動物、および愛玩動物、例えば畜牛、ヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、および畜牛を含む。
【0039】
「豆果」は、1種類または複数種類のダイズ、黄色エンドウマメ、グリーンピース、レンティル、ヒヨコマメ(ガルバンソとも呼ばれる)、ラッカセイ、トレフォイル、インゲンマメ、ウズラマメ、白インゲンマメ、アズキ、黒インゲンマメ、暗赤色または明赤色のインゲンマメ、ソラマメ、ベービーリマビーンズ、ピンクビーンズ、黄色マメ(mayocova beans)、アズキ、ブラックアイピー(ササゲとも呼ばれる)、クランベリービーンズ、白マメ、蔓アズキ、バタービーンズ、および上記の何れかの組合せであることができる。豆果は、例えば、インゲンマメ種(Phaseolus種)(例えばインゲンマメ(Phaseolus vulgaris))、エンドウ種(Pisum種)(例えばエンドウ(Pisum sativum))、レンズ種(Lens種)(例えばインゲンマメ(Lens vulgaris)、ヒラマメ(Lens culinaris))、レンリソウ種(Cicera種)(例えばヒヨコマメ(Cicera arietenum))、ササゲ種(Vigna種)(例えばササゲ(Vigna unguiculata))、ダイズ種(Glycine種)(例えばダイズ(Glycine max))、およびこれらの何れかの組合せを含めた様々な種の何れかであることができる。
【0040】
用語「栄養補助製剤」は、疾患の予防または治療を含めた医療的および/または健康的利点を与える食品または食品の一部を指す。栄養補助製品は、単離された栄養素、栄養補助食品、および食べ物から、遺伝子組換え食品(genetically engineered designer foods)、機能性食品、ハーブ製品、およびシリアル、スープ、飲料などの加工食品に及ぶ。用語「機能性食品」は、「それが含有する伝統的な栄養素を越えて健康的利点を提供することができる任意の改質食品または食品成分」を含む食品を指す。関心のある栄養補助製剤には、フードバー(例えば、シリアルバー、ブレクファーストバー、エネルギーバー、栄養バー)、チューインガム、飲料、強化飲料、飲料サプリメント(例えば、飲料に加えられる粉末)、錠剤、トローチ剤、キャンデーなどを含めた、獣医またはヒトが使用するための食品が挙げられる。
【0041】
用語「溶液」は、溶媒と溶質を含む組成物を指し、真溶液および懸濁液が含まれる。溶液の例には、液体中に溶解させた固体、液体、または気体と、液体中に懸濁させた粒子またはミセルが挙げられる。
【0042】
本明細書中で使用される「サプリメント」または「栄養補助食品」は、ヒト、動物、および植物への鉄の供給を補充し、補完し、また増加するのに、また様々な疾患および状態を治療するのに役立つ。栄養補助食品は、経口投与用に製剤化することができる。本発明において意図している栄養補助食品は、フェリチンを、サプリメント中の全タンパク質の重量を基準にして10%〜約90%の量で含む。例えば、主題の栄養補助食品は、フェリチンを、サプリメント中の全タンパク質の重量を基準にして約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、または約55%〜約90%の量で含む。経口製剤の場合、主題の栄養補助食品は、錠剤、散剤、顆粒剤、またはカプセル剤を製造するための適切な添加剤と一緒に、例えばラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンなどの通常の添加剤と一緒に、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、またはゼラチンなどの結合剤と一緒に、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤と一緒に、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と一緒に、また望むならば増量剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、および着香料と一緒に製剤化することができる。栄養補助食品は、1日につき1回または2回以上の用量で投与することができる。栄養補助食品は、様々な頻度、例えば毎日4回、毎日3回、毎日2回、毎日1回、一日おき、週に3回、週に2回、または週に1回投与することができる。
【0043】
本明細書中で使用される「治療用組成物」は、医薬組成物、機能性食品、栄養補助食品、または他の物質などの治療効果を有することを意図した物質を意味する。治療用組成物は、薬学的に許容できる担体を含有するように構成することができる。治療用組成物は、賦形剤、アジュバント、担体、または増量剤などの薬学的に許容できる医薬品添加剤、さらにpH調整および緩衝剤、等張化剤、安定化剤、および湿潤剤などの薬学的に許容できる補助物質を含有することができる。
【0044】
本明細書中で使用される語句「治療に有効な量」および「予防に有効な量」とは、疾患またはその疾患の明らかな症状の治療、予防、または管理において治療効果を与える量を指す。その治療に有効な量は、疾患、疾患の症状、または疾患に罹りやすい体質を治す、癒す、軽減する、鎮める、変える、除く、改善する、好転させる、または影響を与える目的で、疾患または状態、疾患の症状、または疾患に罹りやすい体質を治療することができる。治療に有効なその特定量は、普通の開業医によって容易に決めることができ、また疾患の種類、患者の病歴と年齢、病期、および他の治療薬の投与などの当業界で知られている因子に応じて変えることができる。
【0045】
本明細書中で使用される用語「治療」または「治療する」は、生物、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトにおいて鉄で治療可能な状態の任意の治療を対象として含み、それには
(i)その状態に罹りやすいが、まだそれに罹ったと診断されていない被験者にその状態が起こるのを防ぐこと、
(ii)その状態を抑制すること、例えばその進行を阻みまたは遅らせること、あるいは
(iii)その状態を緩和すること、例えばその状態の退縮を引き起こすこと
が含まれる。
本明細書および特許請求の範囲中の規定量は、本発明の実施と矛盾しない規定量の変形量を包含することを意図している。そのような変形量は、明細書中で概要を述べる手順に従って当業熟練者によって容易に決められ、一般には+/−10〜20%の幅の変動をエンコードする。
【0046】
フェリチン鉄
フェリチンは、ケージド鉄酸化物ミネラルを有するタンパク質ケージを含有する点で食餌性の鉄の独特の形態である。他の鉄サプリメントおよび食餌性の鉄供給源とは対照的に、フェリチンのタンパク質外被は、使用者の腸を、鉄によって引き起こされるフリーラジカル化学作用(腸を刺激する恐れのある)から保護する。これに加えてフェリチン鉄は、腸から血液中にゆっくり放出され、それもまた鉄によって引き起こされるフリーラジカル化学作用から腸を保護することを可能にする。
【0047】
植物性フェラチンは、平均でタンパク質ケージ当たり1000個の鉄原子を含有する。また動物性フェラチンは、平均でタンパク質ケージ当たり1500個〜2000個の鉄原子を含有し、これは体によるより一層効率的なフェリチン鉄の吸収を可能にする。換言すれば、腸における一輸送事象にとって使用者の体は、それが非ヘム鉄塩およびキレート剤から得る1000倍ほどの量を得ることになる。
【0048】
フェリチン鉄は、動物によってうまく吸収される。ラットモデルにおいてフェリチンは、鉄欠乏症を治すことを示した。ヒトではフェリチン鉄は、およそ20〜30%吸収される。
【0049】
フェリチン鉄は、非ヘム鉄サプルメントまたは食用肉由来のヘム鉄などの他の鉄供給源の吸収のメカニズムとは異なるメカニズムを使用して腸によって吸収される。ヒトは、フェリチンを多く含む豆果などの形で数千年の間フェリチン鉄を消費してきており、それら豆果は12,000年の間栽培されてきた。すべての現代文化が、それらの伝統的および現代的な食べ物中に豆果を含む。これに加えて植物性フェラチンは完全菜食主義者によっても食べられており、それは多くの完全菜食主義者の食べ物が鉄不足であり、鉄を補う必要があるために重要である。
【0050】
植物性材料からのフェラチンの単離
植物性材料を出発材料として使用して実質上純粋な形でフェラチンを単離することができる。フェラチンは、植物性材料から、(a)植物性材料を可溶性および不溶性画分に分離するステップと、(b)ステップ(a)の可溶性画分から非フェリチン成分を除去し、それによってフェリチンを単離するステップと、(c)ステップ(b)からの単離されたフェリチンを濃縮するステップとによって単離することができる。
【0051】
フェラチン単離のこの方法は、以前に述べられてきた方法よりも労働集約的でなく、また費用がかからない。植物からフェリチンを抽出する以前の方法は、植物性材料を液体窒素中で粉砕し、続いて抽出緩衝液を加え、濾過および遠心分離によって清澄化することを含む(Ragland,M等の論文、J Biol Chem.265:18339〜44(1990))。しかしながらこのような方法は、この方法の労働集約的かつ費用がかかる性質のせいで研究のためにのみ適している。
【0052】
典型的な出発植物性材料は、ダイズなどの豆果である。ダイズに加えて、黄色エンドウマメ、グリーンピース、レンティル、ヒヨコマメ、ラッカセイ、トレフォイル、インゲンマメ、ウズラマメ、白インゲンマメ、アズキ、黒インゲンマメ、暗赤色または明赤色のインゲンマメ、ソラマメ、グリーンベービーリマビーンズ、ピンクビーンズ、黄色マメ、アズキ、ブラックアイピー、クランベリービーンズ、白マメ、蔓アズキ、バタービーンズ、またはこれらの組合せを出発植物性材料として使用することができる。
【0053】
本発明では、フェリチンを単離するために使用される植物性材料は、その植物全体を含むことも、また植物のフェリチンを多く含む任意の部分、例えば種子、茎、果実、葉、根(例えば、根粒着生根)、花、茎などを含むこともできると考えている。幾つかのケースでは、フェリチンの供給源は、種子、根粒着生根、および葉のうちの1種類または複数種類である。フェリチンの供給源が種子または豆である場合、そのフェラチンを種子または豆全体、あるいは種子または豆の一部分、例えば外皮から得ることができる。
【0054】
ダイズなどの豆果からの植物種子は、他の植物種子、葉の幼若および老化期の部分、フェリチンを蓄積するが窒素固定用でもある根粒と比較して高いフェリチン含有量を有する。ダイズ種子は試験されており、動物およびヒトの栄養素用の鉄の良好な供給源であることが示されており(Murray−Kolb等の論文、Am J Clin Nutr.77:180〜4,2003、Davila−Hicks等の論文、Am J Clin Nutr.80:936〜40,2004、Theil E.C.等の論文、J Nutr.142:478〜83,2012、Beard,J.L.等の論文、J Nutr.126:154〜60,1996)、大部分がヒトの消化を無傷で切り抜ける(Theil E.C.等の論文、J Nutr.142:478〜83,2012)。細胞培養液の検討では無傷のフェリチンが、極性が与えられた腸の細胞モデルの先端側から受容体誘発エンドサイトーシスによって輸送される(San Martin等の論文、J Nutr.138:659〜66,2008)。無傷のフェリチンから腸によって吸収された鉄は細胞内で処理され、基底外側から放出される(Theil E.C.等の論文、J Nutr.142:478〜83,2012)。精製されたフェリチンおよび大豆ミールは、ラットモデル系において鉄欠乏症を治療するための鉄の供給源である(Beard,J.L.等の論文、J Nutr.126:154〜60,1996)。
【0055】
出発植物性材料はまた、大豆または他の豆の加工により生ずる加工流または廃棄流であることもできる。例えば、単離されるフェリチンの供給源は、大豆からの豆腐または豆乳の生産による廃棄流であることができる。豆乳用の大豆を加工することにより、おからと呼ばれる大豆の不溶性副産物が生成される。豆果廃棄物処理の流れからの湿潤または乾燥何れかのおからまたは他の材料を、出発植物性材料として使用することができる。
【0056】
廃棄流および/または豆果自体に由来する植物性材料を処理してフェリチンを単離し、続いてそのフェリチンを濃縮する。次いでその濃縮されたフェリチンを使用して、例えば鉄欠乏症の治療などの、治療を必要とするヒトおよび他の動物を治療することができる。
【0057】
植物性材料を可溶性および不溶性画分に分離するステップは、例えば機械的分離などの任意の分離技術により行うことができる。
【0058】
非フェリチン成分は、その分離された植物性材料の可溶性画分から、例えば可溶性画分の酵素処理などの任意の手段によって除去することができる。酵素は、1種類または複数種類の炭水化物分解酵素であることができる。好ましい実施形態ではその方法で使用される1種類または複数種類の酵素は、グリコシダーゼ酵素である。別法では、またはこれに加えてその方法で使用される1種類または複数種類の酵素は、アミラーゼ、具体的にはα−アミラーゼまたはβ−アミラーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ガラクタナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロンアセチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、β−グルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、および/またはグルクロニシダーゼ(glucuronisidase)であることができる。これら酵素は、炭水化物を分解するために通常用いられる用量で使用される。
【0059】
酵素処理の後、その可溶性画分を透析して低分子量の非フェリチン成分を除去することができる。その単離されたフェリチンの濃縮は、例えばフェリチン含有可溶性画分を乾燥するなどの任意の手段によって、または限外濾過によって達成することができる。
【0060】
フェリチンを単離する方法における追加のステップには、非フェリチン成分の除去後に可溶性画分を分別するステップを挙げることができる。これに加えてフェリチンを単離するこの方法は、出発材料または可溶性画分を無機または有機溶媒で処理するステップを含むことができる。溶媒処理は、可溶性画分から非フェリチン成分を除去する前または後に行うことができる。
【0061】
本発明の方法の生成物は、単離されたフェリチン、精製されたフェリチン、または実質上精製されたフェリチンと呼ばれる。本発明の方法によって単離されるフェリチンは、下記でさらに述べるような産業用途に有用である。
【0062】
動物性材料からのフェリチンの抽出
動物ではフェリチンは、肝臓、腎臓、脾臓、および骨髄中に高い量で存在する。本発明は、フェリチンを動物の組織から得ることができると考えている。動物由来の鉄含有フェリチンもまた、食餌において鉄の増加を必要としているヒトおよび他の動物が使用することができる。
【0063】
動物性材料からのフェリチンの単離は、(a)動物性材料を可溶性および不溶性画分に分離するステップと、(b)この可溶性画分を熱変性するステップと、(c)この熱変性した可溶性画分から酵素消化によって炭水化物を除去するステップと、(d)この酵素処理され、熱変性された可溶性画分を濃縮し、それによってフェリチンを単離するステップとを使用して行うことができる。
【0064】
その出発動物性材料は、動物由来の肝臓、腎臓、脾臓、または骨髄などの動物組織であることができる。
【0065】
可溶性および不溶性物質の分離は、例えば機械的分離などの任意の手段によって達成することができる。
【0066】
熱変性のステップは、タンパク質を変性するのに適した温度で行うことができる。80℃未満の温度を使用することができると考えている。
【0067】
炭水化物は、例えば、熱変性された可溶性画分を酵素処理するなどの任意の手段によって可溶性画分から除去することができる。酵素は、1種類または複数種類の炭水化物分解酵素であることができる。好ましい実施形態ではその方法で使用される1種類または複数種類の酵素は、グリコシダーゼ酵素である。別法では、またはこれに加えてこの方法で使用される1種類または複数種類の酵素は、アミラーゼ、具体的にはα−アミラーゼまたはβ−アミラーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ガラクタナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロンアセチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、β−グルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、および/またはグルクロニシダーゼであることができる。これら酵素は、炭水化物を分解するために通常用いられる用量で使用される。単離されたフェリチンの濃縮は、例えば低温における乾燥、限外濾過、または噴霧乾燥などの任意の手段により達成することができる。
【0068】
動物性材料からフェリチンを単離する方法において他のステップを追加することも考えられる。例えば、酵素処理された可溶性画分をサイズ分画して、消化された炭水化物材料を除去することができる。これに加えてこのフェリチンを単離する方法は、その可溶性画分を無機または有機溶媒で処理するステップを含むことができる。溶媒処理は、可溶性画分から非フェリチン成分を除去する前または後に行うことができる。
【0069】
産業用途
植物または動物の何れかの出発材料から本発明の方法によって得られる単離されたフェリチンは、様々な産業用途を有する。この単離されたフェリチンは、具体的には食品、飲料、栄養補給食品、およびサプリメントなどのヒトまたは動物の栄養素用の製品に加えるのに有用である。
【0070】
本明細書中で述べた方法によって得られる単離されたフェリチンは、加熱加工物の鉄含有量を増すためにその加熱加工物に加えることができると考えられる。加熱加工物は、食品または飲料であることができる。この単離されたフェリチンは、その物が加熱加工される前または後の何れかでその加熱加工物に加えることができる。
【0071】
鉄欠乏症の治療または予防
本発明の方法は、上記の方法によって単離された植物性または動物性フェリチンを含有する治療用または補給用組成物を、鉄を必要としている生物に任意の既知の手段によって送達することができると考える。その生物は、ヒトを含む哺乳動物などの動物であることができる。あるいはその生物は植物である。好ましい実施形態ではこの組成物は、経口的に送達することができる。
【0072】
本発明のフェリチンを含有する治療用または補給用組成物は、鉄欠乏症を治療または予防するのに十分な用量で投与することができる。本明細書中で開示した方法によって鉄の欠乏に関係のある障害(例えば貧血など)を治療するのに有効な治療または予防量は、治療の対象となっている障害の症状を改善または緩和するために全治療過程の間に送達される植物または動物由来のフェリチン剤あるいは植物または動物由来のフェリチンを含有する治療用組成物の十分な量を含む。組成物はまた、薬学的に許容できる担体または医薬品添加剤を含有することができる。そのような担体または医薬品添加剤には、その組成物を受け入れる個体にとって有害な抗体の産生をそれ自体引き起こさず、かつ過度の毒性なしに投与することができる任意の医薬品が挙げられる。
【0073】
この単離されたフェリチン剤および治療用組成物は、連続的な送達、断続的な送達、または連続的および断続的な送達の組合せにより投与することができる。これらに限定されないが、被験者の疾患または障害の重篤度、治療歴、一般健康状態および/または年齢、および存在する他の疾患を含めた多くの因子が、被験者を効果的に治療するのに必要な用量および時期に影響を与える可能性がある。さらに、治療に有効な量の組成物による被験者の治療は、単独治療または一連の治療を含むことができる。それらを個別にまたは複数種類として投与することに加えて、本発明の治療用組成物は、疾患の治療に有効な他の既知の薬剤と組み合わせて投与することもできる。任意の出来事において、投与する医者は、当業界で知られているまたは本明細書中で述べた標準的な有効性の尺度を用いて観察される結果に基づいてこの治療用組成物の投与の量および時期を調整することができる。
【0074】
フェリチン鉄の定量
植物抽出物中のフェリチンタンパク質および鉄の濃度の大まかな決定については、ウサギのポリクローナル抗ダイズフェリチン抗血清を用いる定量ウェスタンブロットを使用して以前に示されている(Regland,M.およびTheil,E.C.の論文、Plant Mol.Biol.21:555〜560,1993、Kimata,Y.およびTheil,E.C.の論文、Plant Physiol.104:263〜270,1994、Burton,J.W.等の論文、J.Plant Nutr.21:913〜927,1998)。
【0075】
本発明の方法は、古典的な定量ウェスタンブロットか、あるいは試料中のフェリチン鉄の量の測定および全タンパク質の定量を組み合わせたキャピラリー電気泳動を用いた自動化定量免疫分析の何れかを使用する、天然の、または再構成鉄ミネラルを有する組換えアポフェリチン由来の何れかの植物性または動物性フェリチン由来の鉄の正確な定量を意図している。その鉄は、食品、栄養補助食品、機能性食品などに含まれていることができる。本明細書中で述べた手順によって分離されるフェリチンを含めて任意の天然または加工材料に由来するフェリチン鉄を定量することができる。
【0076】
試料中のフェリチン鉄の量を決定するためには、フェリチン鉄供給源の試料の重量百分率が既知でなければならない。そのフェリチン鉄供給源は、植物性材料由来のものであることも、また動物性材料由来のものであることもできる。試料は、任意の種類の試料、例えば食品、飲料、植物または動物性材料からの試料を含めて天然のまたは加工された材料であることができる。これに加えて、被験者の正常組織または高フェリチン血清を含めて動物または植物に由来する組織中のフェリチン鉄の量を決定することができる。
【0077】
試料が既知重量百分率のフェリチン鉄供給源を有するその試料中のフェリチ鉄の量を決定するためのステップは、(a)試料の単位重量当たりのその試料中の全体の鉄を測定するステップと、(b)ステップ(a)からの試料の既知の体積当たり重量の可溶性抽出物を準備して、可溶性試料抽出物を作製するステップと、(c)この試料の可溶性試料抽出物の単位重量当たりの全体の鉄を決定するステップと、(d)定量免疫学的分析を使用してこの可溶性試料抽出物中の単位重量当たりのフェリチンタンパク質を決定するステップと、(e)ステップ(c)からの全体の鉄の量をステップ(d)からのフェリチンタンパク質の量で除し、それにステップ(a)からの試料中の全体の鉄の量を乗じ、補正係数を乗じたものを使用して試料中のフェリチン鉄の量を計算し、それによって試料中のフェリチン鉄の量を決定するステップとを含む。その式は、a(c/d)(補正係数)=eである。
【0078】
この計算に使用される補正係数は、その試料中のフェリチン鉄の供給源によって決まる。例えば、豆果を含む試料については補正係数は0.75であり、上式はa(c/d)(0.75)=eのようになることになる。
【0079】
上記ステップ(d)に使用される定量免疫学的分析は、例えば定量イムノブロット、ウェスタンブロット分析、または定量キャピラリー免疫電気泳動などの任意の種類の定量免疫学的分析であることができる。
【0080】
試料中のフェリチン鉄の量を決定するために必要な構成要素をキットの状態で提供することも可能であると考えている。
【実施例】
【0081】
実施例1:植物からのフェリチンの単離
植物からフェリチンを単離するために、ほぼ中性に緩衝した中性の塩水溶液を加えた後に、出発植物性材料を可溶性および不溶性画分に分離した。この混合物は、室温で冷やしてもよく、また加熱してもよい。この実施例では、その植物性材料/塩溶液を32から43
oFの間(0〜6℃)で一晩、ゆっくり揺り動かす(stirring)か、掻き混ぜて(agitation)撹拌しながら冷やし続けた。免疫分析を妨げない、より極端な温度、pH、および溶媒の条件もまた使用することができる。次に、この植物性材料/塩類溶液抽出物を濾過し、続いて35,000xgを超える連続的または静的遠心分離(static centrifugation)を使用して20分間清澄化させた。
【0082】
炭水化物は、清澄化のステップから得られた可溶性画分から部分的に除去された。炭水化物を、抽出の間または清澄化の後のどちらかで加えられるグリコシダーゼ酵素の混合物によって除去した。
図1は、グリコシダーゼで処理されたフェリチン抽出物中の炭水化物、すなわちデンプンまたはセルロースの除去を示す。グラフは、室温におけるグリコシダーゼ処理フェリチン抽出物中の炭水化物の還元糖への転化を経時的に示す。この実施例では、放出される糖を3,5−ジニトロサリチル酸−糖複合体の500nmにおける吸光度として測定し、紫外・可視分光測定法により分析した。
【0083】
炭水化物を酵素的に除去した後に、消化された糖および酵素を除去するためにその清澄化された溶性液をサイズ選択膜で透析した。次いで、この分別された溶性液を低温を用いて乾燥し、その単離されたフェリチンを濃縮した。
【0084】
次いで、単離されたフェリチンを含有するこの得られた製剤を食品または飲料の添加物として、あるいは鉄欠乏症のヒトおよび他の動物の治療のためのサプルメントとして使用する。今までのところ1000倍を超えるフェリチンの濃縮液がこのプロセスによって達成されている。
【0085】
実施例2:動物からのフェリチンの単離
例えば、肝臓、腎臓、脾臓、骨髄、または他のフェリチンを多く含む供給源などの動物性材料からフェリチンを単離することができる。動物性材料からのフェリチンの単離は、(a)動物性材料を可溶性および不溶性画分に分離するステップと、(b)この可溶性画分を熱変性するステップと、(d)この熱変性した可溶性画分から酵素消化によって炭水化物を除去するステップと、(c)この酵素処理され、熱変性された可溶性画分を濃縮するステップとを使用して行うことができる。動物由来の鉄を含有する単離されたフェリチンもまた、食餌において鉄を増やす必要性のあるヒトおよび他の動物によって使用されることができる。
【0086】
実施例3:全フェリチン含量の決定
フェリチン含量は、動物または植物性出発材料由来の加工物(すなわち食品、サプリメント、栄養補給食品)を含めた任意のフェリチンを含む物質から求めることができる。この実施例では、豆果由来のフェリチン鉄を含有する食品試料においてフェリチン鉄を定量した。
【0087】
まず、その食品の全鉄含有量を決定した。次に、その加工物の鉄の濃度、非豆果成分の量の比率、および豆果成分の量の比率を決定した。その得られた数字から、加工物全体の豆果の鉄含有量を計算した。
【0088】
次いで、抽出物のタンパク質画分についてフェリチンタンパク質当たりの鉄の量を決定した。これを行うために、例として加工物1mg当たりの抽出される材料3mlを使用してその加工物の水性抽出物を調製した。抽出物中の全体の鉄濃度を決定する。抽出物中の特異的フェリチンタンパク質の濃度もまた、豆果フェリチン全体またはフェリチンペプチドに対して行われる抗血清による化学発光または蛍光の定量と結合させた定量免疫学的分析、例えば定量イムノブロットまたは自動化キャピラリー電気泳動を使用して決定される。抽出タンパク質濃度は、タンパク質のクーマシックブルーなどの染料との結合に基づくBradford比色タンパク質分析法などの標準的なタンパク質アッセイにより決定される。試料の分割量の乾燥重量を決定する。フェリチンタンパク質当たりの鉄の量と、フェリチン鉄の量と、抽出物1ml当たりおよび豆果出発材料1g当たりの全豆果タンパク質の量を、鉄、タンパク質、およびフェリチンに特異的な免疫分析を総合した結果から計算される。加工食品の最高および最低フェリチン含量を決定する。食品1g当たりの豆果フェリチン鉄の量は、食品1g当たりの加えられた豆果のグラム数と、その加工食品に加えられた豆果1g当たりの豆果フェリチン鉄のグラム数から計算される。加工食品1g当たりのフェリチンの最低量は、その得られた数に0.75を乗じて豆果中の非フェリチン鉄の最高量を明らかにすることによって計算される。動物性フェリチンがそのフェリチンの供給源である場合には、ヘム鉄の測定と、全体の鉄の決定の対応する補正がなされることになる。
【0089】
天然および加工材料において測定されるフェリチンに加えて、動物またはヒトにおける組織中の、あるいは高フェリチン血症の期間の血清中の鉄含有フェリチンの量は、フェリチンに対して行われる特異抗血清と、ウェスタンブロットまたは自動化キャピラリー電気泳動などの定量免疫分析法の使用によって決定することができる。
【0090】
本発明を幾つかの好ましい実施形態に関してかなり詳細に述べてきたが、他の実施形態もあり得る。例えば、本発明の方法に対して開示されたステップは、制限的なものではなく、またそれらは、各ステップがこの方法にとってどうしても不可欠であることを示唆するものでもなく、それよりむしろ単に例示的なステップであるに過ぎない。したがって別添の特許請求の範囲の有効範囲は、本開示中に含まれる好ましい実施形態の記述に限定されるべきではない。本明細書中で引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照により援用される。