特許第5896557号(P5896557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5896557アルミニウム塗装材及びこれを用いたプレコートアルミニウムフィン材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896557
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】アルミニウム塗装材及びこれを用いたプレコートアルミニウムフィン材
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20160317BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20160317BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20160317BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 133/24 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 171/00 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 201/02 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160317BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20160317BHJP
   F28F 13/18 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B32B15/08 G
   B32B15/20
   B05D7/14 101A
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302X
   C09D133/02
   C09D133/24
   C09D171/00
   C09D201/06
   C09D201/02
   C09D7/12
   C09D5/00 Z
   F28F13/18 B
【請求項の数】3
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-45921(P2012-45921)
(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-180496(P2013-180496A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】100155572
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 恵視
(72)【発明者】
【氏名】佐藤隆宏
(72)【発明者】
【氏名】山田隆太
(72)【発明者】
【氏名】前園利樹
【審査官】 細井 龍史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−105329(JP,A)
【文献】 特開2006−169500(JP,A)
【文献】 特開2009−139036(JP,A)
【文献】 特開昭62−186199(JP,A)
【文献】 特開平10−153395(JP,A)
【文献】 米国特許第06571864(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B05D 1/00− 7/26
C09D 1/00−10/00,101/00−201/10
F28F 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した下地皮膜と、当該下地皮膜上に形成した親水性塗膜とを含むアルミニウム塗装材であって、
前記親水性塗膜は、親水性樹脂(A)の65.0〜94.80重量%と、烏龍茶成分(B)の0.1〜5.0重量%と、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンクを含む抗菌防黴剤(C)の5.0〜25.0重量%と、0.001〜0.050μmの平均粒径を有する酸化チタン微粒子(D)の0.1〜5.0重量%とを含有し、その付着量が0.05〜2.0g/mであり、
前記親水性樹脂(A)が、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有する樹脂(a1)のα%と、アミド結合を有する樹脂(a2)のβ%と、エーテル結合を有する樹脂(a3)のγ%とを含み、α、β及びγがγ≧α+βの関係を満たすと共に、
前記(a1)がポリアクリル系樹脂を含み、前記(a2)がポリアクリルアミド系樹脂を含み、前記(a3)がポリエチレングリコール系樹脂を含み、α:β:γ=5〜25:5〜25:50〜90の関係を満たすことを特徴とするアルミニウム塗装材。
【請求項2】
アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した下地皮膜と、当該下地皮膜上に形成した親水性塗膜とを含むアルミニウム塗装材であって、
前記親水性塗膜、親水性樹脂(A)の64.0〜94.79重量%と、烏龍茶成分(B)の0.1〜5.0重量%と、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンクを含む抗菌防黴剤(C)の5.0〜25.0重量%と、0.001〜0.050μmの平均粒径を有する酸化チタン微粒子(D)の0.1〜5.0重量%と、緑茶成分及び紅茶成分の少なくとも一方(E)の0.01〜1.0重量%とを含有し、その付着量が0.05〜2.0g/mであり、
前記親水性樹脂(A)が、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有する樹脂(a1)のα%と、アミド結合を有する樹脂(a2)のβ%と、エーテル結合を有する樹脂(a3)のγ%とを含み、α、β及びγがγ≧α+βの関係を満たすと共に、
前記(a1)がポリアクリル系樹脂を含み、前記(a2)がポリアクリルアミド系樹脂を含み、前記(a3)がポリエチレングリコール系樹脂を含み、α:β:γ=5〜25:5〜25:50〜90の関係を満たすことを特徴とするアルミニウム塗装材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアルミニウム塗装材を用いたプレコートアルミニウムフィン材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム材又はアルミニウム合金材の表面に親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、抗菌防黴性に優れた高親水性塗膜を形成したアルミニウム塗装材、ならびに、当該塗装材から加工成形される、例えば熱交換器に用いられるプレコートアルミニウムフィン材に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の表面は親水性に乏しいため、熱交換器のフィン材や印刷の平板印刷版材には、表面に親水性塗膜が被覆されたものが使用されている。以下、空調機を例に挙げてその熱交換器のフィン材の場合について述べることとする。
【0003】
最近の空調機用熱交換器は、軽量化のために熱効率の向上とコンパクト化が要求され、フィン間隔をでき得る限り狭くする設計が取り入れられている。空調機用熱交換器では、冷房運転中に空気中の水分がアルミニウムフィンの表面に凝縮水となって付着する。金属材料の表面は、一般に親水性に乏しいため、暖房時の室外機では、大気中に存在する水分が、フィン表面に付着し、霜となって凍りつき、フィン間の空気の流れが妨げられることにより、通風抵抗が増大してしまう。
【0004】
そこで、室外熱交換器に付着した霜を融解するために、室外熱交換器に高温の冷媒を流す除霜運転が必要となる。この場合、室内熱交換器は、温度が低下し、室内を暖める空気を得られなくなることになるため、このフィン表面に付着した霜を迅速に除去する必要がある。
【0005】
フィン表面の霜を迅速に排除するための方法として、(1)アルミニウムフィン材表面に高親水性塗膜を形成し、融解した霜を流下せしめる方法、(2)アルミニウムフィン材表面に撥水性塗膜を形成し、霜を表面に付着させないようにする方法、が考えられるが、(2)の方法は、現時点では極めて困難である。一方、(1)の方法は、親水性を得るために表面に塗膜を形成するものであり、このような高親水性塗膜によって、アルミニウムフィン表面における霜の排除が迅速に行われる。
【0006】
従来から、親水性塗膜の形成方法が種々提案され、実用化されている。例えば、アルミニウム材表面にアルカリ珪酸塩+樹脂塗膜を形成させる方法(下記特許文献1)、親水性アクリル樹脂、疎水性アクリル及びコロイダルシリカを含有する親水性塗膜を形成する方法(下記特許文献2)等が提案されている。
【0007】
しかしながら、親水性を付与するために、アルカリ珪酸塩+潤滑性塗膜を形成させる方法やコロイダルシリカを含有する親水性塗膜を形成する方法は、親水性の経時的な持続性に乏しいこと、ならびに、素材に塗布されこれをフィンに加工する際に、潤滑性塗膜硬度が高いために金型の磨耗が大きく、フィン材にクラックが発生し易い問題があった。
【0008】
このような金型摩耗やクラック発生等の欠点のない潤滑性塗膜を形成させる塗料も提案されている(下記特許文献3〜7)。このような塗料組成物として、例えばポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、セルロース系樹脂等の水溶性の親水性樹脂を含む親水性塗料組成物や添加剤としてカーボンブラックを含有する塗膜を設けた材料等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3335285号
【特許文献2】特許2880308号
【特許文献3】特開昭63−173632号公報
【特許文献4】特開平5−302042号公報
【特許文献5】特開平9−14889号公報
【特許文献6】特開2008−001080号公報
【特許文献7】特開2009−214017号公報
【0010】
しかしながら、ポリビニルアルコール系樹脂等によって構成される有機系親水性塗膜を形成したフィン材を備えた室外機などでは、大気中に漂っている汚染物が塗膜表面に付着したり、太陽光中の紫外線等による樹脂劣化が生じ、高親水性を維持することが出来なかった。
【0011】
セルロース系樹脂等によって構成される有機系親水性塗膜は、表面に露出する特定のエーテル結合が少ないため成形性が不十分であり、更に特定のカーボンブラックを含有しないと親水性が不十分となって長期の使用に耐えられなかった。
【0012】
また、カーボンブラックを含有するポリアクリル酸系樹脂等によって構成される有機系親水性塗膜では、カーボンブラックの一部しか表面に露出させないため、長期に亘る臭気物質の吸着性を保持することが出来なかった。更に、ポリアクリルアミド系樹脂等によって構成される有機系親水性塗膜では、臭気の吸脱着性を満足することはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、プレコートフィン材等の熱交換器用アルミニウム材であって、親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、抗菌防黴性に優れたアルミニウム塗装材の開発について鋭意検討してきた。その結果、アルミニウム又はアルミニウム合金の基材の少なくとも一方の面に、特定の樹脂、特定の植物由来の成分、特定の抗菌剤及び特定の酸化微粒子を含有する親水性塗膜を設けたアルミニウム塗装材が、親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、抗菌防黴性のいずれにおいても優れた性能を発揮することを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金の基材表面に親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、抗菌防黴性において優れた性能を発揮する親水性塗膜を備えたアルミニウム塗装材、ならびに、このようなアルミニウム塗装材を用いた、例えば熱交換器用のプレコートアルミニウムフィン材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は請求項1において、アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した下地皮膜と、当該下地皮膜上に形成した親水性塗膜とを含むアルミニウム塗装材であって、前記親水性塗膜は、親水性樹脂(A)の65.0〜94.80重量%と、烏龍茶成分(B)の0.1〜5.0重量%と、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンクを含む抗菌防黴剤(C)の5.0〜25.0重量%と、0.001〜0.050μmの平均粒径を有する酸化チタン微粒子(D)の0.1〜5.0重量%とを含有し、その付着量が0.05〜2.0g/mであり、前記親水性樹脂(A)が、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有する樹脂(a1)のα%と、アミド結合を有する樹脂(a2)のβ%と、エーテル結合を有する樹脂(a3)のγ%とを含み、α、β及びγがγ≧α+βの関係を満たすと共に、前記(a1)がポリアクリル系樹脂を含み、前記(a2)がポリアクリルアミド系樹脂を含み、前記(a3)がポリエチレングリコール系樹脂を含み、α:β:γ=5〜25:5〜25:50〜90の関係を満たすことを特徴とするアルミニウム塗装材とした。
【0016】
本発明は請求項2において、アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に形成した下地皮膜と、当該下地皮膜上に形成した親水性塗膜とを含むアルミニウム塗装材であって、前記親水性塗膜、親水性樹脂(A)の64.0〜94.79重量%と、烏龍茶成分(B)の0.1〜5.0重量%と、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンクを含む抗菌防黴剤(C)の5.0〜25.0重量%と、0.001〜0.050μmの平均粒径を有する酸化チタン微粒子(D)の0.1〜5.0重量%と、緑茶成分及び紅茶成分の少なくとも一方(E)の0.01〜1.0重量%とを含有し、その付着量が0.05〜2.0g/mであり、前記親水性樹脂(A)が、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有する樹脂(a1)のα%と、アミド結合を有する樹脂(a2)のβ%と、エーテル結合を有する樹脂(a3)のγ%とを含み、α、β及びγがγ≧α+βの関係を満たすと共に、前記(a1)がポリアクリル系樹脂を含み、前記(a2)がポリアクリルアミド系樹脂を含み、前記(a3)がポリエチレングリコール系樹脂を含み、α:β:γ=5〜25:5〜25:50〜90の関係を満たすことを特徴とするアルミニウム塗装材とした。
【0018】
本発明は請求項では、請求項1又は2に記載のアルミニウム塗装材を用いたプレコートアルミニウムフィン材とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアルミニウム塗装及びこれを用いたプレコートアルミニウムフィン材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の基材表面に親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、抗菌防黴性において優れた性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(アルミニウム塗装
本発明に係るアルミニウム塗装材は、アルミニウム又はアルミニウム合金の基材と、当該基材の少なくとも一方の面に形成した下地皮膜と、当該下地皮膜上に形成した親水性塗膜とを備える。
【0021】
(1)アルミニウム基材
本発明で用いる基材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材である。以下において、アルミニウム及びアルミニウム合金からなる基材を、単に「アルミニウム材」と記す。なお、アルミニウム以外の金属を基材に用いることもできる。
【0022】
(2)下地皮膜
アルミニウム材には、耐食性の下地皮膜が形成される。耐食性下地皮膜としては、化成処理皮膜、耐食性有機皮膜、陽極酸化皮膜、ベーマイト皮膜等が挙げられ、いずれの耐食性下地皮膜を用いてもよい。耐食性、密着性、経済性の観点から、化成処理皮膜と有機耐食性皮膜を用いるのが好ましい。
【0023】
化成処理皮膜としては、クロム系、ジルコニウム系、チタン系及びこれらの元素を混合した化成処理皮膜が用いられるが、耐食性、皮膜密着性の観点からクロム系の化成処理皮膜が好ましい。化成処理皮膜の形成方法としては、塗布型、電解型、反応型の化成処理方法等が用いられるが、いずれの方法を用いてもよい。乾燥温度も任意である。上記化成処理皮膜の形成方法のうち、成形性、皮膜密着性、耐食性に優れた塗布型クロメート法によるのが好ましい。この場合の化成処理皮膜の付着量はCr元素換算で2〜50mg/mである。塗布量がCr元素換算で2mg/m未満では、十分な耐食性と皮膜密着性が得られない場合がある。また、50mg/mを超えても耐食性や皮膜密着性の効果向上が期待できず経済性に欠ける。好ましい塗布量はCr元素換算で5〜15mg/mである。
【0024】
有機耐食性皮膜は有機樹脂で構成されているため厚さの調整が可能であり、高度の耐食性を保持することができる。有機樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂等が用いられるが、いずれの樹脂を用いてもよい。この場合の有機耐食性皮膜の付着量は0.5〜10.0g/mである。0.5g/m未満では十分な耐食性が得られない場合があり、10.0g/mを超えても、耐食性向上が期待できず不経済である。
【0025】
(3)親水性塗膜
本発明に用いる親水性塗膜について説明する。親水性塗膜は、親水性樹脂(A)、烏龍茶成分(B)、抗菌防黴剤(C)、酸化チタン微粒子(D)を含有し、親水性塗膜の付着量が0.05〜2.0g/mとする。このような親水性塗膜は、親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、ならびに、抗菌防黴性において優れ、これらの成分が共存することにより、初めて上記の性能を満足することができる。
【0026】
A.親水性樹脂
親水性塗膜における親水性樹脂は、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方、アミド結合、ならびに、エーテル結合を含有する樹脂より構成される。これらの官能基と結合とにより、親水性、塗膜密着性、成形性及び臭気物質の吸脱着性を発揮することが可能となる。特に親水性においては、これらの官能基及び結合により水と樹脂との濡れ性が向上し、親水性を向上することができるものと考えられる。このような親水性樹脂としては、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有する樹脂(a1)、アミド結合を有する樹脂(a2)及びエーテル結合を有する樹脂(a3)を混合したものを用いることが好ましい。ここで、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方、アミド結合、エーテル結合はそれぞれ、樹脂(a1)、(a2)及び樹脂(a3)中に1つ以上含有されていればよいが、複数個含有されているのが好ましい。また、樹脂(a1)、(a2)及び樹脂(a3)は、その他の官能基や結合を有してもよい。
このような混合系に代えて、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有するモノマー単位、アミド結合を有するモノマー単位及びエーテル結合を有するモノマー単位からなる共重合体を用いてもよい。
親水性塗膜における親水性樹脂の含有量は、乾燥状態で65.0〜94.80重量%である。65.0重量%未満では親水性が十分に得られ難く、94.80重量%を越えると
抗菌防黴性及び耐臭気性を満足することができない。
【0027】
まずは、親水性樹脂が、樹脂(a1)、樹脂(a2)及び樹脂(a3)を混合系である場合について説明する。
上記樹脂(a1)としては、エチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基を含む単量体を重合させた重合体であって、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有するものを用いることができる。このような樹脂(a1)としては、単量体として、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、イタコン酸系モノマー、マレイン酸系モノマー及びフマル酸系モノマー等をラジカル重合させた重合体、ならびに、これらの単量体と、他のエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合させた共重合体を用いることができる。
【0028】
前記エチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基を含む単量体は特に限定されるものではないが、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2エチルへキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2エチルブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸3エトキシプロピル等);メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸デシルオクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2メチルへキシル、メタクリル酸3メトキシブチル等)等を好適に用いることができる。
【0029】
これら単量体と共重合し得るエチレン性不飽和モノマーとは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチレン、トルエン、プロピレン、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2ヒドリキシエチル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が用いられる。これらのなかでも、親水性及び密着性の更なる向上を図る点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0030】
本発明において用いる樹脂(a1)としては、市販のものを用いてもよい。樹脂(a1)の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜300,000、より好ましくは3,000〜200,000の範囲内である。
【0031】
上記樹脂(a2)としては、ポリアクリルアミド系樹脂を用いることができる。ポリアクリルアミド系樹脂としては、アクリルアミドの単独重合体又はアクリルアミドと他の共重合可能なモノマーとの共重合体であって、アミド結合を有するものを用いることができる。
【0032】
アクリルアミドと他の共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物やそれらの第4級塩など;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸のC1〜24アルキルエステルなどを挙げることができる。
【0033】
本発明において用いる樹脂(a2)の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜800,000の範囲内である。
【0034】
上記樹脂(a3)としては、ポリエチレングリコール系樹脂を用いることができる。ポリエチレングリコール系樹脂としては、ポリエチレングリコール単独重合体やエチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等であって、エーテル結合を有するものを用いることができる。本発明において用いる樹脂(a3)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜40,000、より好ましくは8,000〜25,000の範囲内である。
【0035】
本発明において、樹脂(a1)、樹脂(a2)及び樹脂(a3)の配合比率は、親水性塗膜の親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性及び臭気物質の吸脱着性を満足するために、γ≧α+βを満足する必要がある。ここで、αは、親水性樹脂中における樹脂(a1)の含有量(%)であり、βは同じく樹脂(a2)の含有量(%)であり、γは同じく樹脂(a3)の含有量(%)を示す。γ<α+βの場合には、上記特性を満足することができない。
【0036】
α、β、γの具体な数値は、得られる組成物に望まれる性能などに応じて適宜選定すればよいが、α:β:γ=5〜25:5〜25:50〜90の関係を満たすのが好ましい。これにより、親水性、耐汚染性、成形性、塗膜密着性を更に満足することができる。その理由はとしては、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方、アミド結合、エーテル結合は親水性に優れること、これらが効果的に様々な臭気物質を吸着して塗膜中に取り込んで優れた臭気物質の吸着性を示すこと、更に親水性樹脂そのものの優れた親水性により、臭気物質の吸着性を更に向上させることが挙げられる。
【0037】
次に、カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有するモノマー単位、アミド結合を有するモノマー単位及びエーテル結合を有するモノマー単位からなる共重合体について説明する。
【0038】
カルボキシル基及びその塩の少なくとも一方を有するモノマー単位としては、上述のアクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、イタコン酸系モノマー、マレイン酸系モノマー及びフマル酸系モノマー等、ならびに、これらのモノマー単位と上述の他のエチレン性不飽和モノマー単位とを用いることができる。
【0039】
アミド結合を有するモノマー単位としては、アクリルアミドモノマー又はアクリルアミドモノマーと上述の他の共重合可能なモノマーとを用いることができる。また、エーテル結合を有するモノマー単位としては、ポリエチレングリコールモノマーや、エチレングリコールモノマーとプロピレングリコールモノマー等であって、エーテル結合を有するものを用いることができる。
【0040】
このような共重合体の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜500,000、より好ましくは3,000〜300,000の範囲内である。
【0041】
B.烏龍茶成分
本発明においては、塗料組成物中に上記樹脂成分に加えて烏龍茶成分が添加される。烏龍茶成分は、アセトアルデヒド等の臭気物質を吸着する機能を有する。
【0042】
親水性塗膜における烏龍茶成分の含有量は、乾燥状態で0.1〜5.0重量%であり、好ましくは1.0〜3.0重量%である。烏龍茶成分が0.1重量%未満では臭気成分の吸着性が十分に得られ難く、5.0重量%を超えたのでは臭気成分の吸着性向上の効果が期待できず、更に所望の親水性が得られない。
【0043】
本発明に用いられる烏龍茶成分の製造方法は特に限定されるものではない。例えば、烏龍茶の葉や茎を、室温から所定温度に加熱する際に、水、酸性水溶液、含水エタノール、エタノール、含水メタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル又はグリセリン水溶液等の溶媒又はこれらの混合溶媒によって抽出した抽出物が用いられる。抽出液から溶媒を除去した抽出物を用いるだけでなく、抽出によって得られる抽出液(烏龍茶抽出成分と抽出溶媒からなる)としても、或いは、当該抽出液の濃縮液としても用いることができる。特に、室温水又は温水によって抽出した抽出液自体を塗膜組成物に添加する方法が、臭気成分吸着性の観点から好ましい。
【0044】
このような抽出によって得られる烏龍茶成分には、カテキン類(カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート);タンニン類が含有される。その他、ケンフェロール、クエルセチン、ミリセチン等のフラボノイド;GODポリフェノール等のポリフェノール類(カテキン類を除く);マロン酸、コハク酸、没食子酸等の有機酸;カフェイン;アミノ酸;糖類;ビタミン類;等の種々の成分が含有されている。
【0045】
上記カテキン類等の烏龍茶成分を親水性塗膜に含有させることにより、臭気成分の吸着性が高められる。烏龍茶成分の中でも、カテキン類(カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)が臭気成分の吸着性に大きく寄与する。特に、これらのカテキン類が会合した多量体、好ましくはカテキン2量体及び3量体が臭気成分の吸着性を高めるのに有効に作用する。このカテキンの2量体及び3量体は茶類の中でも特に烏龍茶に多く含まれているので、臭気成分の吸着性を確保するために烏龍茶成分を親水性塗膜に含有させるのがよい。本発明では、カテキン類、ならびに、カテキン類の2量体と3量体の合計量が、烏龍茶成分の0.5〜20重量%の烏龍茶を用いるのが好ましい。
【0046】
なお、本発明で用いる烏龍茶成分はアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸だけでなく、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、更には、他の種類の臭気成分の吸着にも用いることができる。
【0047】
C.抗菌防黴剤
本発明において、得られる親水性塗膜に防菌防黴性を付与することを目的として、抗菌防黴剤が添加される。本発明における抗菌防黴剤とは、抗菌性及び防黴性の少なくともいずれか一方を有するものであって、抗菌性及び防黴性の両方を有するものが好ましい。抗菌防黴剤としては抗菌・防黴性、親水性、塗膜形成時の耐熱性を確保するため、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンクを用いるのが好ましい。
【0048】
この抗菌防黴剤を前記の親水性樹脂に配合することによって、本発明の親水性塗膜中に抗菌防黴剤が均一に分散され、塗膜表面に抗菌防黴剤が析出することによって、親水性と抗菌・防黴性を両立することが可能となる。
【0049】
親水性塗膜における抗菌防黴剤の含有量は、乾燥状態で5.0〜25.0重量%であり、好ましくは10.0〜20.0重量%である。5.0重量%未満では抗菌防黴剤の含有量が少なく、十分な抗菌・防黴性を得ることができない。一方、抗菌防黴剤量が25.0重量%を超えると、親水性等の塗膜物性を低下させ、フィン材として使用に耐えられない。
【0050】
D.酸化チタン微粒子
発明において、親水性塗膜は微粒子を含有し、この微粒子中には50重量%以上、好ましくは70重量%以上の酸化チタン微粒子が含まれる。親水性塗膜中に酸化チタン微粒子を含有させると、塗膜表面に分散されることにより親水性を向上する。酸化チタン成分としては、アモルファス酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、過酸化チタンなどの1種又は2種以上を組み合わせたものが好適に用いられる。
【0051】
酸化チタン微粒子は親水性樹脂と配合することにより、親水性をより向上させることができる。酸化チタン微粒子自体が親水性を有する上に、微小な微粒子を親水性樹脂中に配合させることにより、微粒子が表面に露出し、更に親水性を向上することができる。
【0052】
酸化チタン微粒子に、酸化チタン成分の他に酸化亜鉛成分を組み合わせることによって、親水性を更に向上させることができる。
【0053】
本発明で用いる酸化チタン微粒子は、すでに公知である以下の製造方法により容易に製造することができる。即ち、沈澱法(共沈法)等の液相法;スパッタ法等の気相法;原料粉末を混合し、これを非酸化性雰囲気中又は酸化性雰囲気中で加熱焼成して反応させる固相法;など、各種の方法で製造することが出来る。
【0054】
これらの製造方法のうち、比較的合成が簡便であることから沈澱法が好ましい。例えば、硫酸チタン等の水溶性無機チタン化合物等のチタン化合物を、加熱加水分解又は中和することによって酸化チタン微粒子を製造するものである。酸化亜鉛成分も含有させるには、硝酸塩、硫酸塩等の亜鉛成分を含有する水溶液を更に添加することにより、酸化チタン/酸化亜鉛の微粒子を製造することができる。
【0055】
親水性塗膜における酸化チタン微粒子の含有量は、乾燥状態で0.1〜5.0重量%であり、好ましくは1.0〜3.0重量%である。0.1重量%未満では親水性が不十分となり、5.0重量%を超えるとアルミニウム塗装板をフィン材等に成形する際に金型磨耗が激しく、成形時に割れ等が生じて使用に耐えられない。
【0056】
酸化チタン微粒子の平均粒径は、0.001〜0.050μmである。平均粒径が0.001μm未満では、工業生産の点から製造が困難である上、塗膜形成中の際に微粒子が塗膜中に埋没してしまい、親水性塗膜表面に酸化チタン微粒子量が少なくなるため、親水性を維持できなくなる可能性がある。一方、平均粒径が0.050μmを超えると、酸化微粒子の露出表面積が少なくなるため、親水性が低下する。
【0057】
E.緑茶成分、紅茶成分
更に、本発明においては、烏龍茶成分に加えて緑茶成分及び紅茶成分の少なくともいずれか一方を親水性塗膜の成分として添加するのが好ましい。これら緑茶成分及び紅茶成分は、烏龍茶成分によって吸着した臭気成分を塗膜中に定着する機能を有する。したがって、緑茶成分や紅茶成分を親水性塗膜成分として添加することにより、吸着した臭気成分の脱着率が低減されることにより定着性が高められる。結果的に、親水性塗膜の吸脱着性が一層向上することになる。
【0058】
親水性塗膜中において、親水性樹脂(A)の含有量を64.0〜94.79重量%として、緑茶及び紅茶成分の少なくともいずれか一方は、0.01〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%含有される。0.01重量%未満では臭気成分の吸脱着性が得られ難く、1.0重量%を超えたのでは効果向上が期待できず不経済となる。
【0059】
なお、これら含有量は、緑茶成分単独又は紅茶成分単独の場合にはそれぞれ単独含有量としてのものであり、緑茶成分と紅茶成分の両方を用いる場合には両者を合計した含有量としてのものである。
【0060】
本発明に用いられる緑茶成分及び紅茶成分の製造方法もまた、特に限定されるものではない。これら緑茶成分及び紅茶成分の製造方法としては、上記の烏龍茶成分の抽出方法と同様の方法が用いられる。緑茶成分及び紅茶成分のうちポリフェノール類が臭気成分定着性において特に優れているので、ポリフェノール類をより多く含有する緑茶成分や紅茶成分を添加するのが好ましい。本発明では、ポリフェノール類が成分の5〜50重量%含有される緑茶や紅茶を用いるのが好ましい。
【0061】
なお、本発明で用いる緑茶成分、紅茶成分もアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸だけでなく、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、更には、他の種類の臭気成分の定着にも用いることができる。
【0062】
従来ではカーボンブラック等の固体物質を樹脂塗膜中に保持することによって、臭気物質の吸着を補っていた。しかしながら、長期に亘って使用すると、樹脂塗膜中のカーボンブラック等が脱落し、臭気物質の吸着性の低下を回避することができなかった。本発明では、臭気を吸着する烏龍茶成分、更に好ましくは緑茶成分、紅茶成分が親水性樹脂に取り込まれ、親水性塗膜中の親水性樹脂自体が臭気物質の吸着体となっているものと考えられる。その結果、親水性樹脂におけるそれぞれの官能基と烏龍茶成分、更に好ましくは緑茶成分、紅茶成分が臭気物質を吸着し、更に親水性樹脂自体の親水性が臭気物質の吸着を更に向上させ、強固に臭気物質を保持し続けるものと考えられる。
【0063】
F.その他の添加剤
本発明の親水性塗膜には、必要に応じて、タンニン酸、没食子酸、フイチン酸、ホスフィン酸等の防錆剤;ポリアルコールのアルキルエステル類等のレベリング剤;相溶性を損なわない範囲で添加されるフタロシアニン化合物等の着色剤;アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩系等の界面活性剤等;の添加剤を添加することができる。
【0064】
G.親水性塗膜の形成
本発明に用いる親水性塗膜は、アルミニウム基材面に親水性塗膜用の液状の塗料組成物を塗装(塗布)しこれを焼付けることにより形成し得る。
【0065】
本発明に用いる親水性塗膜を形成する塗料組成物は、各成分を溶媒に溶解、分散させて調製される。このような溶媒には、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水等の水性溶媒、アセトン等のケトン系溶剤、エタノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の一連のグリコールアルキルエーテル系溶剤のエステル化物等が挙げられ、その中でも水性溶媒が好ましく、水が特に好ましい。
【0066】
塗料組成物の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、塗膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。ロールコーター法としては、塗布量管理が容易なグラビアロール方式や、厚塗りに適したナチュラルコート方式や、塗布面に美的外観を付与するのに適したリバースコート方式等を採用することができる。また、塗膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
【0067】
塗膜形成する際の焼付けは、焼付け温度(到達表面温度)が180〜300℃で、焼付け時間が1〜60秒の条件で行うのが好ましい。塗膜形成における焼付け温度が180℃未満であったり、焼付け時間が1秒未満であったりする場合には、塗膜が十分に形成されず塗膜密着性が低下する。焼付け温度が300℃を超えたり、焼付け温度が60秒を超える場合には、塗膜成分が変性し、親水性を著しく低下させることになる。
【0068】
塗膜厚さとしての付着量は、0.05〜2.0g/m、好ましくは0.1〜1.5g/mである。付着量が0.05g/m未満では、所望の親水性、成形性、臭気物質の吸脱着性、抗菌防黴性が得られず、2.0g/mを超えるとこれら各特性の更なる向上が見られず不経済となる。
【0069】
このようにして作製されるアルミニウム塗装材は、その表面にプレス成形加工用の揮発性プレス油を塗布してからスリット加工やコルゲート加工等の成形加工を施すことにより、所望のフィン形状からなるプレコートアルミニウムフィン材に成形される。このようなプレコートアルミニウムフィン材は、例えば空調機用熱交換器のフィン材として好適に用いられるが、フィン材間の結露等を防止する用途であれば、空調機用熱交換器に限定されるものではない。
【実施例】
【0070】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜31及び比較例1〜24
表1〜9に示すように、親水性樹脂(A)、烏龍茶成分(B)、抗菌防黴剤(C)、酸化チタン微粒子(D)、緑茶成分及び紅茶成分(E)、他の添加物を含有する親水性塗膜用の塗料組成物を調製した。実施例1〜16及び比較例1〜24では、緑茶成分及び紅茶成分(E)を添加しなかった。実施例17、18、20〜24では、緑茶成分及び紅茶成分(E)としていずれか一方を添加し、実施例19では、緑茶成分及び紅茶成分(E)の両方を添加した。他の添加物は、比較例9及び10のみにおいてカーボンブラックを添加した。
【0071】
ポリアクリル系樹脂としてはポリアクリル酸(重量平均分子量30,000)を、ポリアクリルアミド系樹脂としてはポリアクリルアミド(重量平均分子量20,000)を、ポリエチレングリコール系樹脂としてはポリエチレングリコール(重量平均分子量20,000)を用いた。なお、表中においてPVAは、ポリビニルアルコール系樹脂を示す。抗菌防黴剤(C)として、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンク(ZPT)と、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール(TBZ)を用いた。酸化チタン微粒子としては、各表に示す平均粒径を有するものを用いた。カーボンブラックとしては、一次粒径0.03μm、DBP吸油量100cm/100g、窒素吸着比表面積80cm/gのものを用いた。
【0072】
烏龍茶成分、緑茶成分及び紅茶成分としては、表10の成分を含有する抽出液を用いた。烏龍茶抽出液は市販の烏龍茶抽出液であり、緑茶抽出液は市販の緑茶抽出液であり、紅茶抽出液は市販の紅茶葉からの抽出液である。ポリフェノール等の各成分は、高速液体クロマト法により測定した。表10に示すポリフェノール、カテキン、カフェイン、その他茶成分は、抽出液から抽出溶媒である水を除去した抽出物であり、各成分の重量%は、この抽出物全体を100%とした場合の数値を表す。また、表1〜9に示す、各茶成分の含有量は、抽出物としての含有量である。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
表1〜9に示す各成分の配合量(樹脂配合量、烏龍茶成分の配合量、抗菌防黴剤の配合量、酸化チタン微粒子の配合量、緑茶成分及び紅茶成分、他の添加物)は、親水性塗膜用の塗料組成物に含有されるこれら各成分の合計100重量部に対する重量部として示した。言い換えれば、これらの配合量は、乾燥状態の親水性塗膜における各成分の重量%を表わすものである。なお、塗料組成物は、各成分の合計量100gを溶媒である水1リットル中に溶解又は分散して調製した。
【0084】
アルミニウム基材表面には、親水性塗膜を以下のようにして形成した。アルミニウム基材であるアルミニウム合金板(1100−H24材、0.100mm厚さ)を弱アルカリ脱脂し、水洗した後に乾燥した。次いで、このように処理したアルミニウム合金板表面に、下地皮膜として、塗布型クロメート皮膜、エポキシ系樹脂の耐食性有機皮膜、或いは、ベーマイト皮膜を形成した。次いで、下地皮膜上に、各親水性塗料組成物をロールコーターにて塗布し、到達板表面温度(PMT)200℃で20秒間焼付けして、アルミニウム塗装板を得た。なお、実施例2では下地皮膜を形成せずに、アルミニウム合金板上に同様に親水性塗料組成物を塗布して焼付けた。
【0085】
このようにして得られたアルミニウム塗装板試料について親水性(初期及び持続性)、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、抗菌防黴性、耐臭気性を後述の方法で測定した。結果を表1〜7に示す。
【0086】
上記各測定にあたっては、まず試料を以下のようにして前処理した。各試料を揮発性プレス油(出光興産社製ダフニAF−2A)に1分間浸漬し、これを取り出した後に室温で試料を垂直に30秒間保持して油を切った。次いで、180℃の熱風炉中(大気雰囲気)に2分間投入した後に室温まで冷却した。
【0087】
親水性(初期、親水持続性)
ゴニオメーターで純水の接触角を測定した。アルミニウム塗装板を作製した直後の親水性である初期親水性と、乾湿サイクル後の親水持続性を評価した。乾湿サイクルは、作製したアルミニウム塗装板を流量が1リットル/分の水道水に8時間浸漬した後、80℃で16時間乾燥する工程を1サイクルとしてこれを20サイクル行なった。各表中の記号の意味は以下の通りであり、●、◎及び○を性能を満足する合格とし、△及び×を不合格とした。
●:接触角が10°以下であり非常に優れていることを示す。
◎:接触角が10°を超え、かつ20°以下であり非常に良好であることを示す。
○:接触角が20゜を越え、かつ30°以下であり、良好であることを示す。
△:接触角が30゜を越え、かつ40゜以下であり、不良であることを示す。
×:接触角が40゜を越え非常に不良であることを示す。
【0088】
(耐汚染性)
作製したアルミニウム塗装板を前処理し、次いで汚染サイクル処理を実施した。汚染サイクル処理はパルミチン酸蒸気を含む50℃の空気にアルミニウム塗装板を1時間暴露することにより気相中でパルミチン酸を吸着させ、次いで水道水に6時間浸漬後、乾燥機中で乾燥することを1サイクルとし、これを10サイクル実施した。10サイクル後の親水性塗膜表面の接触角を、上記親水性評価と同様の方法で測定した。各表中の記号の意味は以下の通りであり、◎、○を性能を満足する合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:接触角が20°以下であり非常に良好であることを示す。
○:接触角が20゜を越え、かつ40°以下であり、良好であることを示す。
△:接触角が40゜を越え、かつ60゜以下であり、不良であることを示す。
×:接触角が60゜を越え非常に不良であることを示す。
【0089】
塗膜密着性
JIS H4001に従った付着性試験を行い、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。各表中において、全て残存した場合(25/25)を合格(○)とし、それ以外を不合格(×)とした。
【0090】
成形性
実機フィンプレスにてドローレス成形を実施した状況で評価した。成形条件は以下の通りである。揮発性プレスオイル:AF−2C(出光興産)を使用し、しごき率は58%、成形スピードは250spmで実施した。評価結果である各表中の記号の意味は以下の通りであり、◎及び○を性能を満足する合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:非常に良好であることを示す。
○:良好であることを示す。
△:カラー部内面にキズが発生して不良であることを示す。
×:座屈、カラー飛びが発生して不良であることを示す。
【0091】
抗菌防黴性
1.抗菌性試験
作製したアルミニウム塗装板を用いて、JIS Z2801に従った抗菌性試験(フィルム密着法)を行い、次式を用いて、抗菌活性値を求めた。
R=log(A/B)
R:抗菌活性値
A:ブランク試験片の培養後の生菌数平均値
B:抗菌加工試験片の培養後の生菌数平均
評価結果である各表中の記号の意味は以下の通りであり、○を性能を満足する合格とし、×を不合格とした。
○:Rが2.0以上であり、良好であることを示す。
×:Rが2.0未満であり、不良であることを示す。
【0092】
2.防黴性試験
作製したアルミニウム塗装板を用いて、JIS Z2911に従ったかび抵抗性試験を行い、菌糸の発育状況を肉眼で調べた。
評価結果である各表中の記号の意味は以下の通りであり、0を性能を満足する合格とし、1及び2を不合格とした。
0:試験片の接種した部分に菌糸の発育が認められない。
1:試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全表面積の1/3を超えなかった。
2:試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全表面積の1/3を超えた。
【0093】
耐臭気性
アルミニウム塗装板は、アルミニウム塗装板を作製した直後と親水性の乾湿サイクルを実施したサンプルにて評価を実施した。
1−1.アセトアルデヒド吸着試験
アセトアルデヒド雰囲気の容器中に各アルミニウム塗装板を配置し、アセトアルデヒドを吸着させた後の容器内のアセトアルデヒド濃度(Ca)を測定した。Caは未吸着のアセトアルデヒド量に対応する濃度である。測定条件は以下の通りであった。なお、下記のアセトアルデヒド初期濃度(20ppm)から上記アセトアルデヒド濃度Caを差し引いた濃度(Cb)が、アルミニウム塗装板によるアセトアルデヒド吸着量に対応する濃度である。アセトアルデヒドの吸着率(%)は、(Cb/20)×100で表わされる。
試料の面積 :100×200mm
試料容器 :5リットルデシケータ
容器のガス量:5リットル
ガス初期濃度:アセトアルデヒド20ppm
ガス測定方法:アセトアルデヒド検知管
試験室温度 :20℃
測定時間 :24時間
各表中の記号の意味は以下の通りであり、◎、○を性能を満足する合格とし、△、×を不合格とした。
◎:70%を越える吸着率であり、非常に良好であることを示す。
○:吸着率が55%を越え、かつ70%以下であり、良好であることを示す。
△:吸着率が40%を越え、かつ55%以下であり、不良であることを示す。
×:吸着率が40%以下であり、非常に不良であることを示す。
【0094】
1−2.アセトアルデヒド脱着試験
大気雰囲気の容器中にアセトアルデヒドを吸着した各アルミニウム塗装板を配置し、アセトアルデヒドを脱着させた後の容器内のアセトアルデヒド濃度(Cc)を測定した。測定条件は以下の通りであった。なお、上記アセトアルデヒド濃度Cbから上記アセトアルデヒド濃度Ccを差し引いた濃度(Cd)が、アルミニウム塗装板によるアセトアルデヒド定着量に対応する濃度である。したがって、アセトアルデヒドの定着率(%)は、(Cd/Cb)×100で表わされる。
試料の面積 :100×200mm
試料容器 :5リットルデシケータ
容器のガス量:5リットル
ガス初期濃度:アセトアルデヒド 0ppm
ガス測定方法:アセトアルデヒド検知管
試験室温度 :20℃
測定時間 :24時間
各表中の記号の意味は以下の通りであり、◎及び○を性能を満足する合格とし、△及び×を不合格とした。
◎:定着率が95%を越え、非常に良好であることを示す。
○:定着率が90%を越え、かつ95%以下であり、良好であることを示す。
△:定着率が60%を越え、かつ90%以下であり、不良であることを示す。
×:定着率が60%以下であり、非常に不良であることを示す。
【0095】
2−1アンモニア吸着試験
アンモニア雰囲気の容器中に各アルミニウム塗装板を配置し、アンモニアを吸着させた後の容器内のアンモニア濃度(Ca)を測定した。Caは未吸着のアンモニア量に対応する濃度である。測定条件は以下の通りであった。なお、下記のアンモニア初期濃度(20ppm)から上記アンモニア濃度Caを差し引いた濃度(Cb)が、アルミニウム塗装板によるアンモニア吸着量に対応する濃度である。アンモニアの吸着率(%)は、(Cb/20)×100で表わされる。
試料の面積 :100×200mm
試料容器 :5リットルデシケータ
容器のガス量:5リットル
ガス初期濃度:アンモニア20ppm
ガス測定方法:アンモニア検知管
試験室温度 :20℃
測定時間 :24時間
各表中の記号の意味は以下の通りであり、◎、○を性能を満足する合格とし、△、×を不合格とした。
◎:45%を越える吸着率であり、非常に良好であることを示す。
○:吸着率が35%を越え、かつ45%以下であり、良好であることを示す。
△:吸着率が25%を越え、かつ35%以下であり、不良であることを示す。
×:吸着率が25%以下であり、非常に不良であることを示す。
【0096】
2−2 アンモニア脱着試験
大気雰囲気の容器中にアンモニアを吸着した各アルミニウム塗装板を配置し、アンモニアを脱着させた後の容器内のアンモニア濃度(Cc)を測定した。測定条件は以下の通りであった。なお、上記アンモニア濃度Cbから上記アンモニア濃度Ccを差し引いた濃度(Cd)が、アルミニウム塗装板によるアンモニア定着量に対応する濃度である。したがって、アンモニアの定着率(%)は、(Cd/Cb)×100で表わされる。
試料の面積 :100×200mm
試料容器 :5リットルデシケータ
容器のガス量:5リットル
ガス初期濃度:アンモニア 0ppm
ガス測定方法:アンモニア検知管
試験室温度 :20℃
測定時間 :24時間
各表中の記号の意味は以下の通りであり、◎、○を性能を満足する合格とし、△、×を不合格とした。
◎:定着率が90%を越え、非常に良好であることを示す。
○:定着率が80%を越え、かつ90%以下であり、良好であることを示す。
△:定着率が70%を超え、かつ80%以下であり、不良であることを示す。
×:定着率が70%以下であり、非常に不良であることを示す。
【0097】
表1〜5に示すように実施例1〜31はいずれも、初期の親水性及び親水持続性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、抗菌防黴性及び耐臭気性が良好であった。また、緑茶成分、紅茶成分を配合することにより、耐臭気性の脱着に際立って優れていた。
【0098】
これに対し、比較例1では、親水性塗膜に烏龍茶成分、防菌防黴剤及び酸化チタン微粒子が含有されていなかったため、親水性(持続)、抗菌防黴性、耐臭気性(初期及び持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することが出来なかった。
【0099】
比較例2では、親水性塗膜中における親水性樹脂の含有比率が多過ぎ、かつ、防菌防黴剤の含有比率が少な過ぎたため、抗菌防黴性、耐臭気性(初期及び持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することが出来なかった。
【0100】
比較例3では、親水性樹脂に樹脂(a2)及び(a3)が含有されていなかったため、耐汚染性、成形性、耐臭気性(初期及び持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0101】
比較例4では、親水性樹脂に樹脂(a1)及び(a3)が含有されていなかったため、耐汚染性、成形性、耐臭気性(初期及び持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0102】
比較例5では、親水性樹脂に樹脂(a1)及び(a2)が含有されていなかったため、親水性(持続)、耐汚染性、塗膜密着性、耐臭気性(初期及び持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0103】
比較例6では、親水性樹脂に樹脂(a3)が含有されていなかったため、成形性、耐臭気性(初期におけるアセトアルデヒド脱着性及びアンモニア脱着性、持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0104】
比較例7では、親水性樹脂に樹脂(a2)が含有されていなかったため、耐汚染性、耐臭気性(初期におけるアセトアルデヒド脱着性及びアンモニア脱着性、持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0105】
比較例8では、樹脂(a1)の代わりにポリビニルアルコール系樹脂を用いたため、耐汚染性、耐臭気性(初期におけるアセトアルデヒド脱着性及びアンモニア脱着性、持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0106】
比較例9では、樹脂(a1)の代わりにポリビニルアルコール系樹脂を用い、カーボンブラックを添加したため、耐臭気性(持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0107】
比較例10では、親水性塗膜に烏龍茶成分の代わりとしてカーボンブラックを添加したため、耐臭気性(持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0108】
比較例11及び12では、親水性樹脂におけるγ≧α+βの関係を満たしていなかったため、成形性、耐臭気性(初期におけるアセトアルデヒド脱着性及びアンモニア脱着性、持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0109】
比較例13では、親水性塗膜中における親水性樹脂の含有比率が低過ぎ、かつ、烏龍茶成分の含有比率が高過ぎたためたため、親水性(初期及び持続)、耐汚染性を満足することができなかった。
【0110】
比較例14では、親水性塗膜中における烏龍茶成分の含有比率が低過ぎたため、耐臭気性(初期におけるアセトアルデヒド脱着性及びアンモニア脱着性、持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【0111】
比較例15では、親水性塗膜中における烏龍茶成分の含有比率が高過ぎたため、親水性(持続)、耐汚染性を満足することができなかった。
【0112】
比較例16では、抗菌防黴剤を含有しなかったため、抗菌防黴性を満足することができなかった。
【0113】
比較例17では、抗菌防黴剤の含有比率が低過ぎたため、抗菌防黴性を満足することができなかった。
【0114】
比較例18では、抗菌防黴剤の含有比率が高過ぎたため、親水性(初期及び持続)、耐汚染性を満足することができなかった。
【0115】
比較例19では、抗菌防黴剤としてビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)−ジンクを含有していなかったため、耐汚染性、抗菌性を満足することが出来なかった。
【0116】
比較例20では、酸化チタン微粒子の粒径が大き過ぎたため、親水性(持続)、耐汚染性を満足することができなかった。
【0117】
比較例21では、酸化チタン微粒子を含有していなかったため、親水性(持続)、耐汚染性を満足することができなかった。
【0118】
比較例22では、酸化チタン微粒子の含有比率が低過ぎたため、親水性(持続)、耐汚染性を満足することができなかった。
【0119】
比較例23では、酸化チタン微粒子の含有比率が高過ぎたため、成形性を満足することができなかった。
【0120】
比較例24では、親水性塗膜の付着量が少な過ぎたため、親水性(持続)、耐汚染性、抗菌防黴性、耐臭気性(初期におけるアセトアルデヒド脱着性及びアンモニア脱着性、持続におけるアセトアルデヒド吸脱着性及びアンモニア吸脱着性)を満足することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明により、親水性、耐汚染性、塗膜密着性、成形性、臭気物質の吸脱着性、ならびに、抗菌防黴性において優れた性能を発揮する親水性塗膜を表面に備えるアルミニウム塗装材、ならびに、これを用いたプレコーとアルミニウムフィン材が得られる。