(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、無線通信システム100の概略図である。無線通信システム100は、データステーション10と、複数の中継機20と、複数のセンサ30とを有している。データステーション10、中継機20、センサ30は、通信端末であり、互いに無線通信を行い、自律的にネットワークを構築する。無線通信システム100においては、マルチホップ無線ネットワークが形成される。データステーション10は、中継機20とのみ通信を行い、センサ30は、中継機20とのみ通信を行う。データステーション10及び中継機20は、データステーション10を頂点とするツリー型のネットワークトポロジを有している。本明細書では、ネットワークにおいてデータステーション10側を上流側又は上位とし、ツリーの末端側を下流側又は下位とする。また、データステーション10、中継機20、センサ30を区別しない場合には、単に通信端末と称する場合がある。また、各中継機20を区別する場合には、符号「20」の後にアルファベットを付して区別する。
【0014】
無線通信システム100においては、センサ30が所定の物理量を検出し、その検出値、即ち、検出データが中継機20を介してデータステーション10に収集される。本開示における例では、無線通信システム100は、蒸気システムを有する工場内に設置されている。蒸気システムは、複数のスチームトラップT(
図1では1つだけ図示)を有している。センサ30は、スチームトラップTの振動及び温度を検出する。
【0015】
〈データステーションの構成〉
図2は、データステーション10のブロック図である。データステーション10は、無線通信システム100の通信経路の確立やセンサ30の検出データの収集及び管理を行う。また、データステーション10は、図示を省略するが、外部ネットワーク等を介して上位のサーバ等に接続される。データステーション10は、必要に応じて、センサ30の検出データをサーバ等に転送する。
【0016】
データステーション10は、CPU11と、メモリ12と、記憶部13と、無線通信回路14と、計時回路15と、上位インターフェース部16と、電源回路17とを有している。
【0017】
記憶部13には、各種プログラム及び各種情報が記憶されている。CPU11は、記憶部13から各種プログラムを読み込み、実行することにより、様々な処理を行う。例えば、記憶部13には、ネットワークの通信経路を形成するためのプログラム、センサ30の検出データを収集するためのプログラム、ネットワークの通信経路のツリー情報、中継機20と通信を行うスケジュールを規定したスケジュール情報、及び、収集した検出データ等が記憶されている。
【0018】
無線通信回路14は、中継機20等の他の通信端末と無線通信を行う。無線通信回路14は、CPU11の制御によって動作し、各種信号を符号化・変調等の処理により無線信号に変換し、アンテナを介して送信する。また、無線通信回路14は、アンテナを介して受信した信号を復調・複合化等の処理により適切な信号に変換する。
【0019】
計時回路15は、所定のクロックを発生し、データステーション10の基準となる時刻を計時する。
【0020】
上位インターフェース部16は、サーバ等との間のインターフェース処理を行う。
【0021】
電源回路17は、外部電源(図示省略)が接続されており、データステーション10の各要素に電力を供給する。
【0022】
〈中継機の構成〉
図3は、中継機20のブロック図である。中継機20は、データステーション10の指令に応じて、センサ30の検出データを中継し、データステーション10へ送信する。
【0023】
中継機20は、CPU21と、メモリ22と、記憶部23と、無線通信回路24と、計時回路25と、電源回路26と、電池27とを有している。
【0024】
記憶部23には、各種プログラム及び各種情報が記憶されている。CPU21は、記憶部23から各種プログラムを読み込み、実行することにより、様々な処理を行う。例えば、記憶部23には、ネットワークの通信経路を形成するためのプログラム、センサ30の検出データを中継するためのプログラム、上位及び下位の通信端末に関する情報、及び、センサ30から取得した検出データ等が記憶されている。
【0025】
無線通信回路24は、他の通信端末と無線通信を行う。無線通信回路24は、CPU21の制御によって動作し、各種信号を符号化・変調等の処理により無線信号に変換し、アンテナを介して送信する。また、無線通信回路24は、アンテナを介して受信した信号を復調・複合化等の処理により適切な信号に変換する。
【0026】
計時回路25は、所定のクロックを発生し、中継機20の基準となる時刻を計時する。また、計時回路25は、上位の通信端末からの同期信号に基づいて、中継機20の基準となる時刻を訂正する。
【0027】
電源回路26には、電池27が接続されている。電源回路26は、中継機20の各要素に電力を供給する。
【0028】
〈センサの構成〉
図4は、センサ30のブロック図である。センサ30は、スチームトラップTの振動及び温度を検出し、その検出データを対応する中継機20に送信する。センサ30は、センサ部40と、処理部50とを有している。
【0029】
センサ部40は、振動センサ及び温度センサを含んでおり、スチームトラップTの振動及び温度を検出する。センサ部40は、スチームトラップTのケーシング(例えば、蒸気及びドレンが流入する流入部)に接触するように設置され、接触した部分の振動及び温度を検出する。センサ部40は、検出した振動及び温度に対応する電気信号を処理部50に出力する。
【0030】
処理部50は、CPU51と、メモリ52と、記憶部53と、無線通信回路54と、計時回路55と、センサインターフェース部56と、電源回路57と、電池58とを有している。
【0031】
記憶部53には、各種プログラム及び各種情報が記憶されている。CPU51は、記憶部53から各種プログラムを読み込み、実行することにより、様々な処理を行う。例えば、記憶部53には、ネットワークの通信経路を形成するためのプログラム、センサ部40から振動及び温度を取得し、検出データとして中継機20に送信するためのプログラム、上位の通信端末に関する情報、及び、検出データ等が記憶されている。
【0032】
無線通信回路54は、他の通信端末と無線通信を行う。無線通信回路54は、CPU51の制御によって動作し、各種信号を符号化・変調等の処理により無線信号に変換し、アンテナを介して送信する。また、無線通信回路54は、アンテナを介して受信した信号を復調・複合化等の処理により適切な信号に変換する。
【0033】
計時回路55は、所定のクロックを発生し、センサ30の基準となる時刻を計時する。また、計時回路55は、上位の通信端末からの同期信号に基づいて、センサ30の基準となる時刻を訂正する。
【0034】
センサインターフェース部56は、センサ部40との間のインターフェース処理を行う。
【0035】
電源回路57には、電池58が接続されている。電源回路57は、センサ30の各要素に電力を供給する。
【0036】
〈システムの動作〉
このように構成された無線通信システム100の動作について、以下に詳述する。
【0037】
〈データ収集〉
無線通信システム100は、通常の運転動作として、センサ30の検出データをデータステーション10に収集する。データステーション10は、
図5に示す通信スケジュールに従って各中継機20と通信を行い、センサ30の検出データを収集する。このデータ収集に関する動作を行うデータステーション10、中継機20及びセンサ30の運転モードを通常モードとする。
【0038】
図5の通信スケジュールは、データ収集の1サイクルを示しており、
図5の通信スケジュールが繰り返し実行される。通信スケジュールは、複数のタイムスロットに分割されている。各中継機20には、特定のタイムスロットが割り当てられている。各中継機20は、対応するタイムスロットにおいてデータステーション10と通信を行い、該中継機20に繋がったセンサ30からの検出データをデータステーション10に送信する(以下、この処理を「返信処理」ともいう)。基本的には、各中継機20は、対応するタイムスロットにおいてアクティブ状態となり、対応するタイムスロット以外のときはスリープ状態となる。ただし、他の中継機20とデータステーション10との通信経路上に存在する中継機20は、下位の中継機20がデータステーション10と通信する場合に中継処理を行う必要があるため、下位の中継機20のタイムスロットにおいてもアクティブ状態となって中継処理を実行する。また、センサ30は、繋がっている中継機20のタイムスロットにおいて該中継機20へ検出データを送信するので、該中継機20のタイムスロットにおいてアクティブ状態となっている。センサ30は、中継機20へ検出データを送信する必要がないときには、基本的にはスリープ状態となっている。
【0039】
図5の通信スケジュールでは、タイムスロットがマトリックス状に規定されている。ツリー構造の通信経路の階層に従ってタイムスロットが割り当てられている。詳しくは、列ごとにツリー構造の階層が割り当てられる。例えば、列L0には、データステーション10が割り当てられ、列L1には、第1階層(即ち、ホップ数が1)が割り当てられ、列L2には、第2階層(即ち、ホップ数が2)が割り当てられる。第3階層以降についても同様である。
【0040】
通常、各中継機20には、何れか1つのタイムスロットが割り当てられる。第1階層の中継機20a,20jには、列L1のタイムスロットが割り当てられる。第2階層の中継機20b,20c,20d,20kには、列L2のタイムスロットが割り当てられる。第3階層の中継機20e,20f,20gには、列L3のタイムスロットが割り当てられる。第4階層の中継機20h,20iには、列L4のタイムスロットが割り当てられる。一方、データステーション10は、中継機20に比べて処理内容が多いので、1つのタイムスロットではなく、複数のタイムスロット(
図5では、列L0の全てのタイムスロット)がデータステーション10に割り当てられる。尚、列に含まれるタイムスロットの数と各階層に含まれる中継機20の数は異なる(通常、列に含まれるタイムスロットの数の方が多い)ので、列に含まれるタイムスロットには、中継機が割り当てられていないものも存在する。
【0041】
通信スケジュールでは、タイムスロットの処理は、列方向に進んでいく。例えば、或る列において、行番号に関して昇順(即ち、行N1からNmの順)にタイムスロットの処理が進んでいき、当該行の最後の行番号(行Nm)のタイムスロットの処理が終了すると、次の列の最初の行番号(行N1)のタイムスロットから同様の順序で処理が進められていく。
【0042】
タイムスロットの割り当ては、通信経路が確立されたときにデータステーションが行う。例えば、無線通信システム100の全体の通信経路の確立に先立ち、通信端末間で経路が形成される。その後、データステーション10は、どの通信端末同士が繋がっているかという経路情報を取得し、無線通信システム100の全体の通信経路を確立する。通信経路が確立されると、データステーション10は、各中継機20にタイムスロットを割り当て、各中継機20に対応するタイムスロットの番号を通知する。このとき、下位の中継機20の中継処理を行う必要がある中継機20には、それ自身のタイムスロットに加えて、下位の中継機20のタイムスロットも通知される。また、中継機20は、繋がっているセンサ30に該中継機20のタイムスロットを通知する。データステーション10は、通信スケジュール(即ち、中継機20へのタイムスロットの割り当て)を記憶部13に保存する。中継機20は、それ自身のタイムスロットと中継処理を行う必要がある下位の中継機20のタイムスロットを記憶部23に保存する。センサ30は、繋がっている中継機20のタイムスロットを記憶部53に保存する。
【0043】
データ収集においては、データステーション10は、通信スケジュールに従って、対応する中継機20にセンサ30の検出データを要求するリクエスト信号を送信する。一方、中継機20は、通信スケジュールに従って、割り当てられたタイムスロットのタイミングでアクティブ状態となって、データステーション10からのリクエスト信号を待機する。また、中継機20は、割り当てられたタイムスロットに応じて、該中継機20に繋がっているセンサ30から検出データを取得する。中継機20は、リクエスト信号を受信すると、センサ30からの検出データをデータステーション10へ返信する。また、中継機20は、通信経路上の下位の中継機20に割り当てられたタイムスロットのタイミングでもアクティブ状態となって、データステーション10と下位の中継機20との間の中継処理を行う。センサ30は、繋がっている中継機20のタイムスロットに応じてアクティブ状態となって検出データを該中継機20に送信する。
【0044】
〈同期処理〉
このように、データステーション10、中継機20及びセンサ30が共通の通信スケジュールに基づいて処理を実行するためには、データステーション10、中継機20及びセンサ30が同期している必要がある。そのため、データステーション10は、中継機20へ各種信号を送信する際に同期時刻(基準時刻)を含んだ同期信号を送信する。同期信号を受信した中継機20は、計時回路25の時刻を同期時刻に同期させる。また、中継機20も、他の中継機20又はセンサ30へ各種信号を送信する際に同期時刻を含んだ同期信号を送信する。この同期信号を受信した中継機20又はセンサ30は、同様に、計時回路25又は計時回路55の時刻を同期時刻に同期させる。このように、データステーション10の同期時刻(基準時刻)が、中継機20及びセンサ30に伝達されていく。最終的に、データステーション10、中継機20及びセンサ30の全ての時刻が同期する。
【0045】
しかしながら、通信端末は広範囲に亘って配置され、且つ、各通信端末間に通信を阻害する障害物が存在する場合もあり、一部の通信端末間で通信不良が生じる場合がある。そのような場合、通信不良が生じた地点よりも下位の通信端末は、同期信号を受信することができず、上位の通信端末、ひいては、データステーション10と同期することができない。無線通信システム100では、データステーション10、中継機20及びセンサ30が共通の通信スケジュールを保持し、中継機20及びセンサ30は、通信スケジュールに基づいて自律的にスリープ状態とアクティブ状態とを切り替えることによって対応するタイムスロットにおいて通信を可能とする。そのため、同期が取れていない中継機20及びセンサ30は、通信スケジュールに基づくスリープ状態とアクティブ状態との切り替えが不適切になり、他の通信端末と適切に通信を行うことが困難となる。特に、無線通信システム100が蒸気システムに適用される場合のように、中継機20及びセンサ30が比較的高温の環境下に設置される場合には、計時回路25及び計時回路55の温度特性に起因するクロックのズレが生じやすい。
【0046】
そこで、非同期状態の中継機20及びセンサ30は、同期モードとなる。同期モードにおいては、中継機20及びセンサ30は、センサ30の検出データの収集に関する処理を行わず、他の通信端末からの同期信号を待機する状態となる。同期モードの中継機20及びセンサ30は、同期信号を受信し、同期が完了すると通常モードに移行する。
【0047】
図6は、中継機20の機能ブロック図である。中継機20は、機能ブロックとして、通信部201と、判定部202と、同期部203とを有している。
【0048】
通信部201は、他の無線通信との通信を実行する。通信部201は、CPU21と無線通信回路24とで構成される。通信部201は、中継機20の処理に応じて、他の無線通信と通信を適宜行う。
【0049】
判定部202は、中継機20が他の通信端末と同期が取れているか否かを判定する。判定部202は、CPU21及び記憶部23とで構成される。記憶部23には、他の通信端末からの同期信号を受信した時間が記憶されている。判定部202としてのCPU21は、記憶部23に記憶されている前回の同期信号の受信からの経過時間に基づいて、中継機20が他の通信端末と非同期状態か否かを判定する。
【0050】
同期部203は、同期信号を受信したときに中継機20の基準の時刻を訂正する(通常の同期処理)一方、中継機20が非同期状態のときには同期動作(詳しくは後述する)を行うことによって他の通信端末との同期を図る(非同期状態での同期処理)。同期部203は、CPU21と計時回路25とで構成される。同期部203としてのCPU21は、通常の同期処理においては、受信した同期信号に基づいて計時回路25の時刻を訂正する。一方、CPU21は、非同期状態での同期処理においては、計時回路25と協働して、中継機20のスリープ状態とアクティブ状態との切替を行うことによって後述する同期動作を実行する。
【0051】
図7は、センサ30の機能ブロック図である。センサ30は、機能ブロックとして、通信部301と、判定部302と、同期部303とを有している。
【0052】
通信部301は、他の無線通信との通信を実行する。通信部301は、CPU51と無線通信回路54とで構成される。通信部301は、センサ30の処理に応じて、他の無線通信と通信を適宜行う。
【0053】
判定部302は、センサ30が他の通信端末と同期が取れているか否かを判定する。判定部302は、CPU51及び記憶部53とで構成される。記憶部53には、他の通信端末からの同期信号を受信した時間が記憶されている。判定部302としてのCPU51は、記憶部53に記憶されている前回の同期信号の受信からの経過時間に基づいて、センサ30が他の通信端末と非同期状態か否かを判定する。
【0054】
同期部303は、同期信号を受信したときにセンサ30の基準の時刻を訂正する(通常の同期処理)一方、センサ30が非同期状態のときには同期動作(詳しくは後述する)を行うことによって他の通信端末との同期を図る(非同期状態での同期処理)。同期部303は、CPU51と計時回路55とで構成される。同期部303としてのCPU51は、通常の同期処理においては、受信した同期信号に基づいて計時回路55の時刻を訂正する。一方、CPU51は、非同期状態での同期処理においては、計時回路55と協働して、センサ30のスリープ状態とアクティブ状態との切替を行うことによって後述する同期動作を実行する。
【0055】
〈処理フロー〉
以下、無線通信システム100の処理の流れについて、さらに詳細に説明する。
【0056】
データ収集を行う場合、データステーション10は、通信スケジュールに従って処理を進める。具体的には、データステーション10は、それ自身に割り当てられたタイムスロットにおいて、データステーション10に必要な処理を行う。続いて、データステーション10は、タイムスロットの順番で、タイムスロットに割り当てられた中継機20と順次、通信を行う。このとき、データステーション10から各中継機20に送られる信号には、少なくとも、センサ30の検出データの返信を要求するリクエスト信号とデータステーション10の基準信号に同期させるための同期信号とが含まれている。
【0057】
−中継機−
このときの中継機20の処理について、
図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
中継機20は、前述の如く、それ自身が割り当てられたタイムスロットと、該中継機20が下位の中継機20の通信経路上に存在する場合には該下位の中継機20が割り当てられたタイムスロットとにおいてアクティブ状態となり、それ以外のタイムスロットにおいてはスリープ状態となっている。CPU21は、スリープ状態となる際にアクティブ状態になるべき次のタイムスロットの開始時刻を計時回路25に設定している。計時回路25は、計時を継続し、設定された時刻になるとCPU21に時刻の到来を通知する。CPU21は、計時回路25からの通知を受けてスリープ状態からアクティブ状態となる(ステップSa1)。こうして、中継機20は、対応するタイムスロットにおいてアクティブ状態となる。
【0059】
次に、中継機20は、ステップSa2において、行う処理が返信処理か中継処理かを判定する。すなわち、現在のタイムスロットが該中継機20に割り当てられたタイムスロットであれば、行う処理は返信処理であり、現在のタイムスロットが下位の中継機20に割り当てられたタイムスロットであれば、行う処理は中継処理である。
【0060】
行う処理が中継処理の場合には、中継機20は、ステップSa3において中継処理を行う。詳細な説明は省略するが、中継機20(通信部201)は、データステーション10からのリクエスト信号を受信すると該リクエスト信号を下位の通信端末へ送信し、下位の中継機20からの検出データを受信すると該検出データを上位の通信端末へ送信する。
【0061】
中継機20は、中継処理が完了するか、又は、タイムスロットが終了すると、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSa6)。具体的には、CPU21は、前述の如く、アクティブ状態になるべき次のタイムスロットの開始時刻を計時回路25に設定し、スリープ状態となる。
【0062】
一方、行う処理が返信処理の場合には、中継機20は、データステーション10からのリクエスト信号を待機する(ステップSa4)。
【0063】
そして、中継機20(通信部201)は、リクエスト信号を受信すると、センサ30からの検出データをデータステーション10へ向けて送信する(ステップSa5)。このとき、中継機20(同期部203)は、データステーション10からリクエスト信号と共に送られてきた同期信号に基づいて、計時回路25の時刻を訂正する。これにより、中継機20は、データステーション10と同期する。中継機20は、検出データの送信が完了すると、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSa6)。
【0064】
一方、中継機20がタイムスロットの間にリクエスト信号を受信できない場合には、データステーション10と中継機20との間で通信不良が生じている可能性がある。そこで、中継機20(判定部202)は、リクエスト信号を前回受信したときから現在までの時間である不通時間が所定の判定時間α以上か否かを判定する(ステップSa7)。
【0065】
偶発的に通信が不成功となった場合に通信不良が生じることもあれば、工場内の定期修理等によって通信の障害物となる構造体が存在する場合に通信不良が生じることもある。
【0066】
そこで、不通時間が判定時間αよりも短い場合には、通信不良は一時的なものであるとして、中継機20は、今回のタイムスロットでのデータステーション10との通信を諦め、特段の処理を行わない。つまり、中継機20は、タイムスロットの終了時に、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSa6)。
【0067】
一方、不通時間が判定時間αよりも長い場合には、通信不良が長期間続いていることになる。通信不良が長期間続くと、中継機20は、上位の通信端末からの同期信号を受信できないので、同期が取れていない状態となる。そこで、不通時間は判定時間α以上である場合には、中継機20は、同期モードとなり、同期部203は、非同期状態での同期処理を実行する(ステップSa8)。
【0068】
以下、同期処理について詳しく説明する。
図9は、同期信号の送信タイミングを示す図である。
図10は、中継機20の同期処理における待機動作を示す説明図である。
【0069】
同期処理の説明に先立ち、同期信号の送信について説明する。同期信号は、データステーション10及び中継機20が各タイムスロットにおいて各種信号を送信する際に併せて送信される。つまり、データステーション10及び中継機20のそれぞれは、所定の時間間隔(即ち、通信スケジュールの1サイクル)ごとに該時間間隔内に少なくとも1回、同期信号を送信する。同期信号は、タイムスロットのうちの所定期間の間(例えば、タイムスロットの終盤)に断続的に送信される。例えば、
図9に示す例では、同期信号は、1秒周期で繰り返し送信される。
【0070】
一方、同期モードの中継機20は、
図10に示すような待機動作を行う。具体的には、中継機20は、常にアクティブ状態となるわけではなく、アクティブ状態とスリープ状態とを交互に繰り返す。アクティブ状態は、同期信号を受信可能な状態である。アクティブ状態とスリープ状態とが繰り返されることによって、待機動作においても消費電力が節約される。
図10の例では、アクティブ期間とスリープ期間とは、共に2秒で同じ長さである。アクティブ期間は、同期信号の送信周期(
図9の例では1秒)よりも長い期間である。そのため、同期信号が中継機20に適切に届いている場合には、アクティブ期間において少なくとも1つの同期信号を受信することができる。
【0071】
同期モードの中継機20は、このような待機動作を、同期信号を受信するまで常に行うわけではなく、待機動作とスリープ状態とを繰り返す。この待機動作とスリープ状態との繰り返しを同期動作と称する。
【0072】
待機動作を継続する時間は、通信スケジュールの1サイクルと同じ時間か、それ以上の時間である。例えば、通信スケジュールの1サイクルが1時間かかる場合には、待機動作を少なくとも1時間継続する。通信スケジュールの1サイクル中には中継機20の上位の通信端末(即ち、同期信号を送信する通信端末)のタイムスロットが必ず含まれるので、待機動作中に該中継機20への同期信号が必ず1回は発報される。尚、中継機20は、上位の通信端末からの同期信号だけでなく、電波が届く範囲に存在する他の通信端末からの同期信号を受信した場合にも同期を行うことができる。この点においても、待機動作を通信スケジュールの1サイクルと少なくとも同じ時間継続することによって、他の通信端末からの同期信号を受信する可能性を高めることができる。
【0073】
中継機20は、同期動作において、待機動作を行う回数及びタイミングを日ごとに変えている。中継機20は、
図11に示すような同期スケジュールに基づいて同期動作を行う。具体的には、24時間中に含まれる待機動作の回数は、日が経過するごとに減っていく。尚、24時間の起算時刻は、任意に設定可能である。例えば、起算時刻は、非同期状態と判定された時点の時刻であってもよい。あるいは、起算時刻は、午前0時であってもであってもよいし、中継機20の電源を入れた時刻であってもよい。その場合、非同期状態と判定された時刻が起算時刻を過ぎているときには、1日目の同期スケジュールの途中から待機動作を実行するようにすればよい。
【0074】
図11の例では、1回の待機動作を継続する時間は、1時間である。この場合、通信スケジュールの1サイクルの時間は、1時間以下である。1日目は、待機動作が7回行われ(ただし、1回目と2回目の待機動作は連続している)、2日目は、待機動作が5回行われ、3日目は、待機動作が2回行われる。仮に、通信不良が早期に解消される場合は、待機動作を数回行えば、中継機20は同期信号を受信することができる。つまり、同期信号を受信できない時間が長くなることは、通信不良を引き起こす原因が長期的に存在することを意味する。例えば、定期修理時の足場が1ヶ月設置され、この足場により通信不良が引き起こされている場合などがある。そのような場合には、1日に何回も待機動作を行うことは消費電力の無駄である。同期信号の受信の可否を1日に1、2回確認することで、長期的な通信不良が解消したか否かを確認することができる。そこで、中継機20は、待機動作の回数を通信不良が発生してから日が経過するごとに減らしていく。これにより、中継機20は、消費電力を節約することができる。
【0075】
やがて、中継機20は、待機動作を1日に1回だけ行うようになり、且つ、その継続時間を通信スケジュールの1サイクルよりも短くする。詳しくは、1日のうち所定の開始時刻から通信スケジュールの1サイクルに相当する時間が経過するまでの期間(以下、「待機期間」と称する)における一部の期間(以下、「小期間」と称する)だけ待機動作を行う。そして、中継機20は、小期間のタイミングを日ごとに変え、最終的に、数日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う。
【0076】
図11の例では、経過時刻の0時間目に相当する時刻が開始時刻であり、0時間目に相当する時刻から1時間経過するまでの期間が待機期間である。4日目以降は、待機期間においてのみ待機動作が行われる。具体的には、4日目には、待機期間の開始時刻から10分間だけ待機動作が行われる。この10分間が小期間に相当する。5日目には、小期間が遅くなる方向にずれて、待機期間の開始時刻の8分後から10分間だけ待機動作が行われる。6日目以降も小期間が遅くなる方向に少しずつずれていく。6日目には、待機期間の開始時刻の17分後から10分間だけ待機動作が行われる。7日目には、待機期間の開始時刻の25分後から10分間だけ待機動作が行われる。8日目には、待機期間の開始時刻の34分後から10分間だけ待機動作が行われる。9日目には、待機期間の開始時刻の42分後から10分間だけ待機動作が行われる。10日目には、待機期間の開始時刻の51分後から10分間だけ待機動作が行われる。尚、10日目は、待機期間の終了時刻よりも1分間だけ長く待機動作が行われる。11日目以降は、4日目以降の動作が繰り返される。
【0077】
このように、本来、1回で行う待機動作を数日に分けて行うことによって、1日ごとの消費電力を低減することができる。つまり、待機動作を複数の日で分割しない場合、最低でも、通信スケジュールの1サイクルに相当する時間の待機動作に必要な電力を毎日消費することになる。それに対し、待機動作を複数の日で分割して行うと、概ね、通信スケジュールの1サイクルに相当する時間の待機動作に必要な電力で数日間の待機動作を行うことができる。尚、日ごとの待機動作の時間は通信スケジュールの1サイクルよりも短いため通信不良の解消が長期化する可能性があるものの、数日をかけて待機期間の全期間で待機動作が行われるので通信不良の解消はいずれ検出される。
【0078】
尚、同期モードの中継機20は、同期が取れていないため、待機動作を行う際の計時が正確でない虞がある。そのため、中継機20が同期スケジュールと計時回路25による計時に基づいて待機動作を行っても、待機動作のタイミングは正確な時間からずれている可能性がある。それに対し、中継機20は、待機動作を行う小期間が日ごとに連続するように小期間を変更している。これにより、計時の不正確さによる悪影響を低減することができる。例えば、同期スケジュール上で一の小期間の終了時刻と他の小期間の開始時刻とが一致する場合、計時が不正確であると、実際には2つの小期間の間に隙間が生じてしまう虞があり、待機期間中で待機動作を実行しない期間(以下、「空白期間」と称する)が生じ得る。計時のズレは日ごとに大きくなり得るので、前述の一の小期間の待機動作と他の小期間の待機動作とを数日空けて行うと、空白期間も長くなり得る。それに対し、待機動作を行う小期間が日ごとに連続する場合、前述の一の小期間の待機動作を行った次の日に他の小期間の待機動作が行われるので、空白期間を低減することができる。
【0079】
さらには、中継機20は、連続する2つの小期間を部分的に重複させている。
図11の例では、連続する各2つの小期間が1分又は2分だけ重複している。そのため、中継機20の計時のズレが生じたとしても、2つの小期間の間に空白期間が生じることを抑制することができる。また、小期間の重複する部分は、計時回路25の1日の最大ズレ量よりも長く設定されている。これにより、空白期間の発生をさらに抑制することができる。
【0080】
同期処理の流れを
図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0081】
中継機20は、同期モードに移行すると、ステップSb1において前述の同期動作を実行する。
【0082】
そして、中継機20は、ステップSb2において、同期信号を受信したか否かを判定する。同期信号を受信していない場合には、中継機20は、ステップSb1に戻り、同期動作を継続する。
【0083】
一方、同期信号を受信した場合には、中継機20は、計時回路25の時刻を同期信号に含まれる同期時刻に同期させる。同期処理が完了すると、中継機20は、同期モードから通常モードへ移行し、
図8の通常の処理のフローにリターンする。つまり、中継機20は、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSa6)。このとき、CPU21は、前述の如く、アクティブ状態になるべき次のタイムスロットの開始時刻を計時回路25に設定し、スリープ状態となる。
【0084】
このように、同期モードの中継機20は、日ごとに待機動作の回数を減らし、いずれは、一日のうちで決まった待機期間内の小期間だけ待機動作を行い且つ、小期間を日ごとに変えて、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行うことによって、消費電力を低減して、待機動作を長期間継続することができる。特に、中継機20は、電池駆動なので、消費電力を低減できることは非常に有効である。
【0085】
−センサ−
以上の説明では、中継機20の処理について説明したが、センサ30も、通常モード及び同期モードを有し、中継機20と同様の処理を行う。
図13は、センサ30の通常モードの処理のフローチャートである。
【0086】
センサ30は、前述の如く、繋がっている中継機20に割り当てられたタイムスロットにおいてアクティブ状態となり、それ以外のタイムスロットにおいてはスリープ状態となっている。CPU51は、スリープ状態となる際にアクティブ状態になるべき次のタイムスロットの開始時刻を計時回路55に設定している。計時回路55は、計時を継続し、設定された時刻になるとCPU51に時刻の到来を通知する。CPU51は、計時回路55からの通知を受けてスリープ状態からアクティブ状態となる(ステップSc1)。こうして、センサ30は、対応する中継機20のタイムスロットにおいてアクティブ状態となる。
【0087】
次に、センサ30は、中継機20からの検出信号を待機する(ステップSc2)。検出信号は、中継機20がセンサ30に検出データを要求するときに中継機20からセンサ30に送信される信号である。そして、センサ30が検出信号を受信すると、センサ部40がスチームトラップTの振動及び温度を検出し、処理部50(通信部301)が検出データを中継機20へ送信する(ステップSc3)。このとき、センサ30(同期部303)は、中継機20から検出信号と共に送られてきた同期信号に基づいて、計時回路55の時刻を訂正する。これにより、センサ30は、中継機20と同期し、結果としてデータステーション10と同期する。センサ30は、検出データの送信が完了すると、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSc4)。
【0088】
一方、センサ30が所定の期間内に検出信号を受信できない場合には、中継機20とセンサ30との間で通信不良が生じている可能性がある。そこで、センサ30(判定部302)は、検出信号を前回受信したときから現在までの時間である不通時間が所定の判定時間α以上か否かを判定する(ステップSc5)。この判定時間αは、中継機20が通信不良を判定するときの判定時間αと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0089】
不通時間が判定時間αよりも短い場合には、通信不良は一時的なものであるとして、センサ30は、今回のタイムスロットでの中継機20との通信を諦め、特段の処理を行わない。センサ30は、タイムスロット内の所定のタイミング又はタイムスロットの終了時に、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSc4)。
【0090】
一方、不通時間が判定時間α以上である場合には、センサ30は、同期モードとなり、同期部303は、非同期状態での同期処理を実行する(ステップSc6)。
【0091】
センサ30は、同期処理が完了すると、アクティブ状態からスリープ状態となる(ステップSc4)。
【0092】
センサ30の同期処理の内容は、中継機20の同期処理と同じである。つまり、センサ30は、待機動作とスリープ状態とを繰り返す同期動作を、同期信号を受信するまで行う。このとき、センサ30は、待機動作を行う回数を日ごとに減らしていく。いずれは、センサ30は、一日のうちで決まった待機期間内の小期間だけ待機動作を行い且つ、小期間を日ごとに変えて、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う。これにより、センサ30は、消費電力を低減して、待機動作を長期間継続することができる。特に、センサ30は、電池駆動なので、消費電力を低減できることは非常に有効である。
【0093】
以上のように、無線通信システム100は、データステーション10、中継機20及びセンサ30(複数の通信端末)によりネットワークを形成し、複数の通信端末は、同期信号を送受信することによって同期するように構成され、複数の通信端末のうち非同期状態の通信端末は、一日のうちの所定の開始時刻からの所定の期間を待機期間とし、同期信号を受信するための待機動作を待機期間うちの小期間(一部の期間)だけ行い、待機動作を行う小期間を日ごとに変え、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う。
【0094】
また、中継機20及びセンサ30は、他の通信端末と非同期状態の場合には、一日のうちの所定の開始時刻からの所定の期間を待機期間とし、同期信号を受信するための待機動作を待機期間うちの小期間(一部の期間)だけ行い、待機動作を行う小期間を日ごとに変え、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う。
【0095】
この構成によれば、非同期状態の通信端末は、待機期間の全期間における待機動作を一日で行うのではなく、複数の日に分けて行う。これにより、通信端末の一日の消費電力を低減できるので、通信端末は長期間に亘って待機動作を行うことができる。
【0096】
また、非同期状態の通信端末は、待機動作を行う小期間を日ごとに連続させることによって、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う。
【0097】
この構成によれば、待機期間の中で隣り合う2つの小期間での待機動作を連続する日に行うので、通信端末の計時が不正確であっても、2つの小期間の間で発生し得る、待機動作を行わない空白期間を低減することができる。
【0098】
さらに、待機動作を行う小期間は、次の日の待機動作を行う小期間と部分的に重複している。つまり、或る日の小期間の末尾部分は、その次の日の小期間の先頭部分と部分的に重複している。また、或る日の小期間の先頭部分は、その前の日の小期間の末尾部分と部分的に重複しているともいえる。
【0099】
この構成によれば、待機期間の中で隣り合う2つの小期間の間で発生し得る空白期間をより一層低減することができる。
【0100】
また、複数の通信端末のうち同期信号を送信する通信端末は、所定の時間間隔ごとに前記時間間隔内に少なくとも1回、同期信号を送信し、待機期間は、時間間隔以上である。
【0101】
つまり、データステーション10及び中継機20のそれぞれは、通信スケジュールの1サイクルごとに、該1サイクル内に少なくとも1回、同期信号を送信する。そして、待機期間は、通信スケジュールの1サイクル以上の長さに設定されている。これにより、通信不良が解消されているのであれば、通信端末は、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う間に同期信号を受信することができる。
【0102】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0103】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0104】
例えば、無線通信システム100は、蒸気システム以外に適用してもよい。また、センサ30は、スチームトラップTの振動及び温度を検出しているが、これ以外の物理量(例えば、電力等)を検出してもよい。
【0105】
また、無線通信システム100は、通常動作としてセンサ30の検出データを収集しているが、前述の同期処理は通常動作の内容に限定されるものではない。
【0106】
さらに、前述の説明では、通信端末が同期状態から非同期状態となったことを判定したときに、同期モードとなっているが、これに限られるものではない。例えば、通信端末が新たに設置されて、無線通信システム100のネットワークに参加するときなど、無線経路がまだ確立されていない場合も、同期モードとなり、前述の同期処理を実行してもよい。
【0107】
同期動作においては、非同期状態となってから一日の待機動作の回数を減らしていき、非同期状態となってから4日目以降に待機期間内の小期間における待機動作を実行しているが、非同期状態となるとすぐに待機期間内の小期間における待機動作を実行してもよい。つまり、
図11の例の4日目以降の同期処理から開始してもよい。
【0108】
また、待機期間は、通信スケジュールの1サイクルと同じでなくてもよく、該1サイクルよりも長くてもよい。また、小期間の長さは、10分に限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、小期間の長さは、一律である必要はなく、それぞれ異なる長さであってもよい。また、前記実施形態では、7日間かけて待機期間の全期間で待機動作を行っているが、これに限られるものではない。
【0109】
さらに、待機期間内において小期間を日ごとに遅らせているが、小期間を日ごとに早めるようにスケジュールしてもよい。また、待機期間内において待機動作を行う小期間は、日ごとに連続しているが、日ごとに連続していなくてもよい。
図11の例でいえば、4日目に、待機期間の開始時刻の8分後から10分間だけ待機動作が行われ、5日目に、待機期間の開始時刻の34分後から10分間だけ待機動作が行われ、6日目に、待機期間の開始時刻の51分後から10分間だけ待機動作が行われ、7日目に、待機期間の開始時刻の17分後から10分間だけ待機動作が行われ、8日目に、待機期間の開始時刻の42分後から10分間だけ待機動作が行われ、9日目に、待機期間の開始時刻の25分後から10分間だけ待機動作が行われ、10日目に、待機期間の開始時刻から10分間だけ待機動作が行われてもよい。
【0110】
また、連続する各2つの小期間が部分的に重複しているが、重複していなくてもよい。
【0111】
前記実施形態において、センサ30は、中継機20と同期するように構成されているが、データステーション10と同期してもよい。
無線通信システム100は、データステーション10、中継機20及びセンサ30によりネットワークを形成する。複数の通信端末は、同期信号を送受信することによって同期するように構成されている。複数の通信端末のうち非同期状態の通信端末は、一日のうちの所定の開始時刻から所定の時間が経過するまでの期間を待機期間とし、同期信号を受信するための待機動作を待機期間うちの一部の期間行い、待機動作を行う小期間を日ごとに変え、複数の日をかけて待機期間の全期間で待機動作を行う。