(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896606
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】トーキングEブック
(51)【国際特許分類】
G10L 19/00 20130101AFI20160317BHJP
【FI】
G10L19/00 315
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-50455(P2011-50455)
(22)【出願日】2011年3月8日
(62)【分割の表示】特願2004-508318(P2004-508318)の分割
【原出願日】2003年5月21日
(65)【公開番号】特開2011-145694(P2011-145694A)
(43)【公開日】2011年7月28日
【審査請求日】2011年3月8日
【審判番号】不服2015-6134(P2015-6134/J1)
【審判請求日】2015年4月2日
(31)【優先権主張番号】10/154,147
(32)【優先日】2002年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ニジム,ユセフ,ワセフ
【合議体】
【審判長】
森川 幸俊
【審判官】
関谷 隆一
【審判官】
井上 信一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−101697(JP,A)
【文献】
特開2001−195080(JP,A)
【文献】
特開2001−265370(JP,A)
【文献】
特開平10−274541(JP,A)
【文献】
特開平5−314732(JP,A)
【文献】
特開平9−161453(JP,A)
【文献】
特開2000−99308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L13/00-13/10
G10L19/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可聴情報を有する少なくとも1つの既存のMP3ファイルを含むファイルを記憶するメモリ装置と、
前記MP3ファイルを可聴に出力するよう前記MP3ファイルをデコードするMP3デコーダと、
前記MP3ファイルを可聴に再生する少なくとも1つのスピーカと、
前記少なくとも1つのMP3ファイルの前記可聴情報に適合するテキストであって、前記少なくとも1つのMP3ファイルとは別個のファイルである非MP3ファイルから得られる前記テキストを表示するディスプレイと、
前記非MP3ファイルからの前記テキストが前記ディスプレイ上に表示される厳密な視覚モードと、前記少なくとも1つのMP3ファイルからの前記可聴情報が前記スピーカによって可聴に再生される厳密な可聴モードと、前記テキストが前記非MP3ファイルから前記ディスプレイ上に表示され、同時に前記MP3デコーダによって出力されて、前記MP3ファイルに含まれるページ情報と前記非MP3ファイルに含まれる対応するページ情報とがマッチングするように、前記スピーカによって可聴に再生される組み合わされた視覚/可聴モードとの間で選択を行うよう、前記テキストの視覚的な及び/または可聴の再生中にユーザに選択をさせる手段と
を有する、Eブック。
【請求項2】
テキストを可聴に再生するための可聴データを含む少なくとも1つの既存のMP3ファイルをEブック中に記憶するステップと、
前記可聴データを出力するよう前記MP3ファイルをデコードするステップと、
前記テキストを可聴に再生するステップと、
前記テクストの視覚的な及び/または可聴の再生中に、前記Eブックのユーザに、前記可聴データに適合するテキストを有する非MP3ファイルのテキストが視覚的に再生される厳密な視覚モードと、前記テキストが可聴に再生される厳密な可聴モードと、前記非MP3ファイルからの前記テキストが、前記MP3ファイルからの前記可聴情報が可聴的に再生されるのと同時に、前記MP3ファイルに含まれるページ情報と前記非MP3ファイルに含まれる対応するページ情報とがマッチングするように、視覚的に再生される組み合わされた視覚/可聴モードとの間で選択の機会を与えるステップと、
ユーザの選択に従って前記Eブックを動作させるステップと
を有する、Eブックを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子書籍(Eブック)に関連し、より特定的にはトーキングEブック(talking Ebook)に関連する。
【背景技術】
【0002】
電子書籍(「Eブック」とも称する)は、パーソナルコンピュータを用いて又はEブックリーダを用いて読まれうる従来の印刷された書籍(又は、例えば雑誌、新聞等の他の印刷された素材)の電子バージョンである。PC又はハンドヘルドコンピュータとは異なり、Eブックリーダは、記録を取ること、高速ナビゲーション、及びキーワードサーチのためにパワフルな電子的な特徴を加えると共に、従来の紙の書籍に匹敵する読書体験を与える。しかしながら、かかる動作は、PC、ハンドヘルドコンピュータ、又はEブックリーダ上で行われると否とを問わず、一般的にはユーザがディスプレイからテキストを読むことを必要とする。従って、Eブックの使用は、一般的には、ユーザがEブックのテキスト内容(例えば、書籍、雑誌、新聞等)を読むためにディスプレイに視覚的な注意を集中することを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、ユーザがディスプレイを見ることなく内容を理解することを可能とするEブックを提供することが望ましく、非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の問題、並びに、従来技術の他の関連する問題は、本発明によるトーキングEブックにより解決される。
【0005】
本発明の1つの面によれば、Eブックが提供される。Eブックは、メモリ装置、MP3デコーダ、及び少なくとも1つのスピーカを有する。メモリ装置は、ファイルを記憶する。ファイルは、少なくとも1つのMP3ファイルを含む。MP3デコーダは、テキストを出力するようMP3ファイルをデコードする。少なくとも1つのスピーカは、テキストを可聴に再生する。
【0006】
本発明の他の面によれば、Eブックを使用する方法が提供される。Eブックに少なくとも1つのMP3ファイルが記憶される。少なくとも1つのMP3ファイルは、テキストを可聴に再生するためのデータを含む。MP3ファイルは、テキストを出力するようデコードされる。テキストは可聴に再生される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、ユーザがディスプレイを見ることなく内容を理解することを可能とするEブックを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の例示的な実施例による、本発明が適用されうるコンピュータシステム100を示すブロック図である。
【
図2】本発明の例示的な実施例による、Eブック200を示すブロック図である。
【
図3】本発明の例示的な実施例による、トーキングEブックを用いる方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の例示的な実施例による
図3の方法のステップ330及び340を更に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上述の及び他の面、特徴、及び利点は、添付の図面と共に読まれるべき、以下の望ましい実施例の詳細な説明から明らかとなろう。本発明は、トーキングEブックに関連する。本発明は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、専用プロセッサ、又はそれらの組合せである様々な形で実現されうる。望ましくは、本発明はハードウエア及びソフトウエアの組合せとして実現される。更に、ソフトウエアは、望ましくはプログラム記憶装置上に有形に具現化されたアプリケーションプログラムとして実現される。アプリケーションプログラムは、任意の適当なアーキテクチャを有するマシンにアップロードされ実行されうる。望ましくは、マシンは、1つ又はそれ以上の中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び、入力/出力(I/O)インタフェースといったハードウエアを有するコンピュータプラットフォーム上で実現される。コンピュータプラットフォームは、オペレーティングシステム及びマイクロ命令コードも含む。本願に記載する様々な処理及び機能は、マイクロ命令コードの一部であるか、オペレーティングシステムを介して実行されるアプリケーションプログラムの一部(又はそれらの組合せ)でありうる。更に、追加的なデータ記憶装置及び印刷装置といった様々な他の周辺装置がコンピュータプラットフォームに接続されうる。
【0010】
更に、添付の図面に示す構成要素であるシステム構成要素及び方法段階のうちの幾つかは望ましくはソフトウエア中で実現されるため、システム構成要素(又は方法段階)の間の実際のつながりは、本発明がどのようにプログラムされるかによって異なりうる。本願の教示することが与えられると、当業者は本発明の上述の及び同様の実施及び形態を考えることが可能となろう。
【0011】
図1は、本発明の例示的な実施例による、本発明が適用されうるコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータ処理システム100は、システムバス104を介して他の構成要素に動作上結合される少なくとも1つのプロセッサ(CPU)102を含む。読み出し専用メモリ(ROM)106、ランダムアクセスメモリ(RAM)108、ディスプレイアダプタ110、I/Oアダプタ112、及びユーザインタフェースアダプタ114は、システムバス104に動作上結合される。
【0012】
ディスプレイ装置116は、ディスプレイアダプタ110によってシステムバス104に動作上結合される。ディスク記憶装置(例えば、磁気又は光ディスク記憶装置)118は、I/Oアダプタ112によりシステムバス104に動作上結合される。
【0013】
マウス120及びキーパッド122は、ユーザインタフェースアダプタ114によりシステムバス104に動作上結合される。マウス120及びキーパッド122は、システム100へ情報を入力し、システム100から情報を出力するのに用いられる。キーパッド122は、標準キーボード(例えばqwertyタイプ)であってもよく、又は簡略キーセットを有する専門キーボード又はキーパッドであってもよい。
【0014】
コンピュータシステム100は、更に、MP3デコーダ194、スピーカ196、及びマッチング装置199を含む。
【0015】
図2は、本発明の例示的な実施例による、Eブック200を示すブロック図である。Eブック200は、バス201によって相互接続された以下の要素を含み、即ち、少なくとも1つのメモリ装置(以下、「メモリ装置」230)、少なくとも1つのプロセッサ(以下、「プロセッサ」240)、ユーザ入力装置250(例えば、キーボード、キーパッド、タッチセンサ、及び/又は遠隔制御装置)、ディスプレイ260、MP3デコーダ270、スピーカ290、及びマッチング装置299を含む。知られているように、MP3デコーダ270及びスピーカ290は、MP3ファイルを再生するのに用いられる。マッチング装置299は、以下のようにMP3ファイルを再生するのに任意に使用されうる。本願に記載の本発明の教示が与えられていれば、当業者は、本発明の趣旨及び範囲を維持しつつ、
図1に示すコンピュータシステム100及び
図2に示すEブック200の上述の及び様々な他の形態を考えることができるであろう。本願では、「Eブック(Ebook)」の用語は、スタンドアロン式のEブック装置(例えばEブック200)、又は、コンピュータシステム(例えばコンピュータシステム100)に含まれるEブックを示すと理解されるべきである。
【0016】
図3は、本発明の例示的な実施例によるトーキングEブックを用いた方法を示すブロック図である。
【0017】
少なくとも1つのMP3ファイル(以下「MP3」ファイルという)を含む1つ又はそれ以上のファイル(以下「ファイル」という)は、Eブックに入力される(ステップ310)。MP3ファイルは、可聴に再生されるべきテキストに対応するデータを含む。望ましくは、1つ又はそれ以上のファイルは、MP3ファイルを含むことに加えて、MP3ファイルから可聴に再生されるべきものと同じテキストを有する少なくとも1つの他のファイル(以下「非MP3ファイル」という)を含む。しかしながら、非MP3ファイルのテキストは視覚的に再生される。ファイルは、インターネット等からダウンロードされたメモリ装置(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、フラッシュメモリ等)を介して与えられうる。そしてファイルはEブックに記憶される(ステップ320)。
【0018】
任意に、Eブックのユーザには、テキストがディスプレイ上に表示される厳密な視覚モードと、テキストがMP3デコーダによって出力されスピーカによって可聴に再生される厳密な可聴モードと、テキストがディスプレイ上に表示され、同時にMP3デコーダによって出力及びスピーカによって可聴に再生される組み合わされた視覚/可聴モードの間で選択を行う選択の機会が与えられる(ステップ325)。当業者にとって明らかであるように、厳密な視覚モードは非MP3ファイルに対応し、厳密な可聴モードはMP3ファイルに対応し、組み合わされた視覚/可聴モードは非MP3ファイルとMP3ファイルの両方に対応する。
【0019】
Eブックによってコマンドが受信される(ステップ330)。本発明を例示するために、コマンドは少なくともMP3ファイルの再生に対応すると仮定する。従って、コマンドは、例えば、ステップ325で任意に与えられる視覚モード又は視覚/可聴モードに対応してもよく、又はステップ325で与えられるモードとは独立のMP3ファイルの再生に対応しうる。
【0020】
MP3ファイルは、コマンドに応答して、デコードされ、それに対応するテキストが可聴に再生される(ステップ340)。従って、Eブックの使用者は、ディスプレイを見ることなくEブックから内容を理解することができる。ステップ340はまた、MP3ファイルからのテキストの可聴の再生と同時に非MP3ファイルに含まれるテキストを表示する段階を含みうる(ステップ340a)。例えば、ステップ335において受信されるコマンドが組み合わされた視覚/可聴モードに対応する場合は、テキストは可聴及び視覚的の両方で再生される。
【0021】
図4は、本発明の例示的な実施例による、
図3の方法のステップ330及び340を更に示すフローチャートである。
図4の例示的な実施例によれば、MP3ファイルは、ヘッダ部を含み、ヘッダ部はページ番号を含む。MP3ファイルのヘッダに含まれるページ番号は、以下説明するように非MP3ファイル中の対応するページ番号とマッチングされる。
【0022】
Eブックの使用者から、MP3ファイルの再生に対応するコマンドが受信される(ステップ410)。次に、MP3ファイルに対応するテキストが、非MP3ファイルから既に視覚的に再生されているかどうかが判定される(ステップ420)。視覚的に再生されていなければ、MP3ファイルはデコードされ、可聴に再生される(ステップ430)。それ以外の場合、現在視覚的に再生されている非MP3ファイルのページ番号とMP3ファイルの対応するページ番号の間で一致するか判定される(ステップ440)。MP3ファイルは、非MP3ファイルと同じページ番号から開始してデコードされ可聴に再生される(ステップ450)。このことは、ユーザがEブックから内容を先ず視覚的に、次に可聴に理解することをシームレスに続けることを可能とする。ステップ430は、テキストの始まりで、可聴再生が以前に終了したテキスト中の点で、又は任意の他の点で、テキストをデコードし可聴に再生するよう実行されうることが認められるべきである。
【0023】
ユーザ入力は、テキストの視覚的な及び/又は可聴の再生中の任意の時点において受信されうる(ステップ460)。ユーザ入力は、視覚的及び/又は可聴の再生のうちのいずれかを無効とすること及び/又は有効とすることに対応しうる。ユーザ入力は、Eブックによってテキストの再生の制御に対して影響を与える(ステップ470)。上述した説明では、ページ番号に基づいてMP3ファイルを非MP3ファイルとマッチングさせたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲を維持しつつ、MP3ファイルと非MP3ファイルを相互に関連付ける様々な他の方法を考えるであろう。
【0024】
例示的な実施例について、添付の図面を参照して説明したが、本発明はこれらの厳密な実施例に限られるものではなく、当業者によれば本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な他の変化及び変更が成されうることが理解されるべきである。かかる変化及び変更は、添付の特許請求の範囲に定義されるように本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0025】
[関連出願への相互参照]
本願は、ここに参照として組み入れられる共通に譲渡され本願と同時に出願された出願人整理番号IU010084(名称「Text−To−Speech(TSS) for Hand−Held Devices」)、IU010084(名称「Voice Command and Hand−Held Devices」)、IU010086(名称「Mizing Music and Text−To−Speech(TSS) for Hand−Held Devices」)の出願に関連する。