(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896670
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】平行2軸ヒンジ並びにこの平行2軸ヒンジを備えた小型電子機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20160317BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20160317BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
F16C11/04 V
H04M1/02 C
F16C11/04 F
H05K5/03 C
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-214873(P2011-214873)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-76415(P2013-76415A)
(43)【公開日】2013年4月25日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124085
【氏名又は名称】加藤電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】倉持 竜太
【審査官】
久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−222079(JP,A)
【文献】
特開2010−249209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00− 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体を開閉可能に連結する平行2軸ヒンジであって、前記第1の筐体と第2の筐体の各後端部側に配置されたベース部材へ取り付けられるブリッジ部材と、このブリッジ部材に対して回転可能かつ互いに離間する方向へ移動可能に平行状態で取り付けられるところの、前記第1の筐体と第2の筐体のいずれか一方を回転可能に支持する第1ヒンジシャフトと、前記第1の筐体と第2の筐体のいずれか他方を回転可能に支持する第2ヒンジシャフトと、前記第1ヒンジシャフトと前記第2ヒンジシャフトとの間に前記ブリッジ部材を挟んで設けられた第1リンク手段及び第2リンク手段から成る同期回転伝達手段と、この同期回転伝達手段と連動して前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉操作に伴い、前記第1ヒンジシャフト及び第2ヒンジシャフトの軸間距離を自ら調節する軸間距離調節手段とで構成したことを特徴とする、平行2軸ヒンジ。
【請求項2】
前記第1リンク手段は、前記ブリッジ部材の一方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材と、これらの第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材とそれぞれ係合し前記ブリッジ部材の一方の側にスライド可能に取り付けた第1スライド部材とで構成し、前記第2リンク手段は、前記ブリッジ部材の他方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第2Aリンクカム部材及び第2Bリンクカム部材と、前記第2Aリンクカム部材と第2Bリンクカム部材とそれぞれ係合し、前記ブリッジ部材の他方の側にスライド可能に取り付けられた第2スライド部材とから成り、前記第1スライド部材と前記第2スライド部材は一緒にスライド可能となるよう構成したことを特徴とする、請求項1に記載の平行2軸ヒンジ。
【請求項3】
前記軸間距離調節手段は、前記ブリッジ部材の一方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材と、前記ブリッジ部材の他方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第2Aリンクカム部材及び第2Bリンクカム部材と、前記ブリッジ部材に取り付けたガイドシャフトと、このガイドシャフトの略中間部にスライド可能に取り付けられ、前記第1ヒンジシャフトと前記第2ヒンジシャフトを挿通させた前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材の各半径方向の一側部側を軸受けする軸受部材と、前記ガイドシャフトの上部にスライド可能に取り付けられ、前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材の半径方向の他側部側を前記軸受部材側へ押圧する軸押圧部材と、前記軸押圧部材と前記軸受部材の間で前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材を挟圧させて水平方向へスライド付勢させるための弾性手段とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の平行2軸ヒンジ。
【請求項4】
前記請求項1に記載の同期回転伝達手段において、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材をそれぞれ前記第1スライド部材及び第2スライド部材と係合させる手段を、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材にそれぞれ設けたガイド溝と、これらの各ガイド溝と係合する前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材にそれぞれ設けた第1ガイド突起及び第2ガイド突起と、で構成したことを特徴とする、請求項2に記載の平行2軸ヒンジ。
【請求項5】
前記請求項3に記載の軸間距離調節手段において、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材には、それぞれカム凸部が設けられ、前記第1の筐体と第2の筐体の開閉角度によりそれぞれ当接して前記第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトの軸間距離を調節することを特徴とする、請求項3に記載の平行2軸ヒンジ。
【請求項6】
請求項1乃至5に各記載の平行2軸ヒンジを用いたことを特徴とする、小型電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートパソコン、携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブック等の小型電子機器における第1の筐体である機器本体と、第2の筐体であるディスプレイ部とを互いに開閉可能に連結する平行2軸ヒンジ並びにこの平行2軸ヒンジを備えた小型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
2軸ヒンジには、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトを互いに交わる方向へ配置した交叉2軸ヒンジと、互いに平行方向へ配置した平行2軸ヒンジとがあるが、本願発明は後者の平行2軸ヒンジに属する。
【0003】
この平行2軸ヒンジは、1軸のヒンジに較べて、第1の筐体と第2の筐体を手に持った本を開くように左右均等に開くことができるという利点がある。そこで、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトを同期回転させるために、同期回転伝達手段として歯車を用いたものが下記特許文献1によって公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−121795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載の平行2軸ヒンジは、取付部材に対し、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトを平行かつ回転可能に取り付け、この第1ヒンジシャフトに取り付けた第1ブラケットを第1の筐体側へ、第2ヒンジシャフトに取り付けた第2ブラケットを第2の筐体側へ取り付け、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトを同期回転させるために歯車が用いられている。
【0006】
このように歯車を用いると、動作時にバックラッシュを避けることができない上に、操作時にガタが生じ易く、このガタは筐体が大きくなるにつれて拡大されてしまうといった問題点があった。
【0007】
また、第1の筐体と第2の筐体を平行2軸ヒンジを用いて開閉させようとすると、ヒンジ取付側の端部が互いに干渉して開閉操作ができなくなることから、2軸間の距離を離すか、或はこの干渉する側の端部に加工を施して互いの動作軌跡が重ならないように工夫する必要がある。しかしながら、2軸間の距離を離したり、或は互いに干渉する側の端部に加工を施したりすると、この平行2軸ヒンジを用いる筐体、即ち商品によっては、デザイン上の制約が生じ外観上好ましくないといった問題が生じた。
【0008】
本発明は上記問題点を解決しようとするもので、その課題は、歯車を用いなくとも、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトを同期して回転させることができ、ガタを生じさせることがない上に、デザイン上の制約をなくし、外観上すっきりとした、スマートな印象を与えることのできる、平行2軸ヒンジを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、第1の筐体と第2の筐体を開閉可能に連結する平行2軸ヒンジであって、
前記第1の筐体と第2の筐体の各後端部側に配置されたベース部材と、このベース部材へ取り付けられるブリッジ部材と、このブリッジ部材に対して回転可能かつ互いに離間する方向へ移動可能に平行状態で取り付けられるところの、前記第1の筐体と第2の筐体のいずれか一方を回転可能に支持する第1ヒンジシャフト及び前記第1の筐体と第2の筐体のいずれか他方を回転可能に支持する第2ヒンジシャフトと、前記第1ヒンジシャフトと前記第2ヒンジシャフトとの間に前記ブリッジ部材を挟んで設けられた第1リンク手段及び第2リンク手段から成る同期回転伝達手段と、この同期回転伝達手段と連動して前記第1の筐体と前記第2の筐体の開閉操作に伴い、前記第1ヒンジシャフト及び第2ヒンジシャフトの軸間距離を自ら調節する軸間距離調節手段とで構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の第1リンク手段は、前記ブリッジ部材の一方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材と、前記ブリッジ部材の他方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第2Aリンクカム部材及び第2Bリンクカム部材と、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と係合し、前記ブリッジ部材にスライド可能に取り付けられた第1スライド部材と、前記第2Aリンクカム部材と第2Bリンクカム部材とそれぞれ係合し、前記ブリッジ部材にスライド可能に取り付けられた第2スライド部材とから成り、前記第1スライド部材と前記第2スライド部材は一緒にスライド可能となるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の前記軸間距離調節手段は、前記ブリッジ部材の一方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材と、前記ブリッジ部材の他方の側の前記第1ヒンジシャフト及び前記第2ヒンジシャフトに取り付けられた第2Aリンクカム部材及び第2Bリンクカム部材と、前記ブリッジ部材に取り付けたガイドシャフトと、このガイドシャフトの略中間部にスライド可能に取り付けられ、前記第1ヒンジシャフトと前記第2ヒンジシャフトを挿通させた前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材の各半径方向の一側部側を軸受けする軸受部材と、前記ガイドシャフトの上部にスライド可能に取り付けられ、前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材の半径方向の他側部側を前記軸受部材側へ押圧する軸押圧部材と、前記軸押圧部材と前記軸受部材の間で前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材を挟圧させて水平方向へスライド付勢させるための弾性手段とで構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の同期回転伝達手段は、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材をそれぞれ前記第1スライド部材及び第2スライド部材と係合させる手段を、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材にそれぞれ設けたガイド溝と、これらの各ガイド溝と係合する前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材にそれぞれ設けた第1及び第2ガイド突起と、で構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の軸間距離調節手段において、前記第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と前記第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材には、それぞれカム凸部が設けられ、前記第1の筐体と第2の筐体の開閉角度によりそれぞれ当接して前記第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトの軸間距離を調節することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の平行2軸ヒンジは、請求項1乃至5に各記載の平行2軸ヒンジを用いた小型電子機器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成したので、第1の筐体と第2の筐体を相対的に開くと、第1の筐体と第2の筐体に取り付けた第1ブラケットと第2ブラケットが、各々第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトと共にブリッジ部材に対して回転し、その際に同期回転伝達手段の、第1リンク手段の第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材と、第2リンク手段の第2Aリンクカム部材及び第2Bリンクカム部材のそれぞれの一方がそれぞれ第1スライド部材及び第2スライド部材を介して他方の第1Aリンクカム部材及び前記第1Bリンクカム部材と第2Aリンクカム部材及び前記第2Bリンクカム部材のそれぞれ他方を回転させるので、第1の筐体と第2の筐体のどちらか一方を主体として開閉させても、第1ヒンジシャフト或は第2ヒンジシャフトが同期回転伝達手段を介して同期して回転し、第1の筐体と第2の筐体を本を開くように同期して開閉させることができる。
【0016】
また、同期回転伝達手段と連動して、第1の筐体と第2の筐体の開閉操作に伴い、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトの軸間距離調節手段の、第1リンク手段の第1Aリンクカム部材及び第1Bリンクカム部材と第2リンク手段の第2Aリンクカム部材及び第2Bリンクカム部材のそれぞれに設けたカム凸部が互いに当接して、第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトの軸間距離を調節して、この軸間距離を調節するデザイン状の制約を生じさせる他の手段を別に設けなくとも、第1の筐体と第2の筐体のスムーズな開閉操作を可能にすることができたものである。その他の効果は以下の実施例の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る平行2軸ヒンジを用いたノートパソコンの第1の筐体と第2の筐体の閉成状態の斜視図である。
【
図2】本発明に係る平行2軸ヒンジを用いたノートパソコンの第1の筐体と第2の筐体を全開させて見た斜視図である。
【
図3】本発明に係る平行2軸ヒンジの動作終了時の状態を一方向から見た斜視図である。
【
図4】本発明に係る平行2軸ヒンジの動作終了時の状態を他方の側から見た斜視図である。
【
図6】本発明に係る平行2軸ヒンジを一方の側から見た分解斜視図である。
【
図7】本発明に係る平行2軸ヒンジの動作を
図3の矢印Bの方向から見た説明図であり、(a)は動作前の状態を示し、(b)は動作途中の状態を示し、(c)は動作終了時の状態を示している。
【
図8】本発明に係る平行2軸ヒンジの軸受部材と軸押圧部材の動作の説明図であり、(a)は動作前の状態を示し、(b)は動作途中の状態を示し、(c)は動作終了時の状態を示している。
【
図9】本発明に係る平行2軸ヒンジの第1スライド部材を示し、(a)はその斜視図、(b)は見る方向を変えてみた斜視図である。
【
図10】本発明に係る平行2軸ヒンジの第2スライド部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその側面図である。
【
図11】本発明に係る平行2軸ヒンジの第1Aリンクカム部材或は第1Bリンクカム部材の斜視図である。
【
図12】本発明に係る平行2軸ヒンジの第2Aリンクカム部材或は第2Bリンクカム部材を示し、(a)はその斜視図であり、(b)は見る方向を変えて見た斜視図である。
【
図13】本発明に係る平行2軸ヒンジの軸受部材の斜視図である。
【
図14】本発明に係る平行2軸ヒンジの軸押圧部材の斜視図である。
【
図15】本発明に係る平行2軸ヒンジの第1ヒンジシャフトと第2ヒンジシャフトの軸間距離の変動を説明する説明図であり、(a)は第1の筐体と第2の筐体の閉成状態を示し、(b)は第1の筐体と第2の筐体の中間の開成状態を示し、(c)は第1の筐体と2の筐体の全開成状態を示し、(d)は本発明に係る平行2軸ヒンジを用いない場合の第1の筐体と第2の筐体の中間開成状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明では本発明をノートパソコンに実施した場合について述べるが、本発明はノートパソコンに限らず、携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブック等の小型電子機器に用いることができる。
【0019】
図面によれば
図1と
図2において、指示記号1で示したものは、例えば小型電子機器の一例としてのノートパソコンであり、本発明に係る平行2軸ヒンジ2は、図中A視の部分の一方或は双方にキーボード部3aを設けた第1の筐体である装置本体3(以下、単に第1の筐体という)とディスプレイ部4aを設けた第2の筐体4を開閉可能に連結するものである。そして、指示記号2aで示されたものは、平行2軸ヒンジの後述するブリッジ部材5を取り付けるための
ベース部材で、第1の筐体3と第2の筐体4のそれぞれ後端部に配置されている。
【0020】
図3乃至
図14に示してあるように、本発明に係る平行2軸ヒンジ2の具体的構成は、
図1と
図2に示した
ように、第1の筐体3と第2の筐体4のそれぞれ後端部に配置されたベース部材2aへ取り付けられるブリッジ部材5と、このブリッジ部材5に対して回転可能かつ互いに離間する方向へ移動可能に平行状態で取り付けられるところの、第1の筐体3と第2の筐体4のいずれか一方を回転可能に支持する第1ヒンジシャフト10及び前記第1の筐体3と第2の筐体4のいずれか他方を回転可能に支持する第2ヒンジシャフト11と、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11との間にブリッジ部材5を挟んで設けられた第1リンク手段F及び第2リンク手段Gから成る同期回転伝達手段Dと、この同期回転伝達手段Dと連動して第1の筐体3と第2の筐体4の開閉操作に伴い、第1ヒンジシャフト10及び第2ヒンジシャフト11の軸間距離を自ら調節する軸間距離調節手段Eとで構成されている。
【0021】
同期回転伝達手段Dは、ブリッジ部材5を挟んで一方の側に設けた第1リンク手段Fと、ブリッジ部材5の他方の側に設けた第2リンク手段Gとで構成されている。第1リンク手段Fは、ブリッジ部材5の一方の側の第1ヒンジシャフト10及び第2ヒンジシャフト11に取り付けられた第1Aリンクカム部材7及び第1Bリンクカム部材8と、この第1Aリンクカム部材7及び第1Bリンクカム部材8のそれぞれと係合し前記ブリッジ部材5の一方の側にスライド可能に取り付けられた第1スライド部材6とで構成され、第2リンク手段Gは、ブリッジ部材5の他方の側の第1ヒンジシャフト10及び第2ヒンジシャフト11に取り付けられた第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13と、この第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13とそれぞれ係合し前記ブリッジ部材5の他方の側にスライド可能に取り付けられた第2スライド部材9とで構成されている。
【0022】
軸間距離調節手段Eは、ブリッジ部材5に取り付けたガイドシャフト17と、このガイドシャフト17の略中間部にスライド可能に取り付けられ、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11を挿通させた第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13の各半径方向の一側部側を軸受けする軸受部材14と、前記ガイドシャフト17の上部にスライド可能に取り付けられ、第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13の半径方向の他側部側を軸受部材14側へ押圧する軸押圧部材15と、軸押圧部材15と軸受部材14の間で第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13を挟圧させて水平方向へスライド付勢させるための弾性手段16とで構成されている。この弾性手段16は、8枚のそれぞれにガイドシャフト17を挿通させる挿通孔16bを設けた皿バネ16aと、ガイドシャフトの端部を挿通させてその露出端部をかしめる取付孔16dを設けた平ワッシャー16cとで構成されている。尚、皿バネの数に限定はなく、皿バネは、スプリングワッシャー、圧縮コイルスプリング、その他の弾性手段に代えることができる。
【0023】
また、第1Aリンクカム部材7及び前記第1Bリンクカム部材8と第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13をそれぞれ第1スライド部材6及び第2スライド部材9と係合させる手段は、第1Aリンクカム部材7及び第1Bリンクカム部材8と第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13にそれぞれ設けたガイド溝7c、7c・8c、8c及び12c、12c・13c、13cと、これらの各ガイド溝7c、7c・8c、8c及び12c、12c・13c、13cと係合する第1スライド部材6及び第2スライド部材9にそれぞれ設けた第1ガイド突起6aと第2ガイド突起6b及び第1ガイド突起9aと第2ガイド突起9bとで構成されている。
【0024】
また、第1Aリンクカム部材7及び第1Bリンクカム部材8と第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13には、それぞれカム凸部7b、8b及び12b、13bが設けられ、第1の筐体3と第2の筐体4の開閉角度によりそれぞれのカム凸部7b、8b及び12b、13bが当接して第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の軸間距離を調節する。
【0025】
ブリッジ部材5は、とくに
図6に示したように、軸受プレート部5aと、この軸受プレート部5aの上下端部より同一方向へ折り曲げて形成した上部取付プレート部5bと、
ベース部材2aへ取り付ける下部取付プレート部5cとで構成され、軸受プレート部5aには、上部取付プレート部5bと下部取付プレート部5cに対して平行に第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11を回転可能に軸受けする一対の変形第1軸受孔5dと変形第2軸受孔5eが設けられている。さらに、変形第1軸受孔5dと変形第2軸受孔5e間に位置して上下方向にガイド長孔5fが設けられている。上部取付プレート部5bの中央部には円形状の取付孔5hが設けられ、下部取付プレート部5cの中央部には取付変形孔5gが設けられると共に、この下部取付プレート部5cには、その両端部側に図示してない取付ネジを用いて
ベース部材2aへ取り付ける際の取付孔5i、5iが設けられている。
【0026】
第1スライド部材6は平面略三角形状を呈しており、その一側部側に一対の第1ガイド突起6aと第2ガイド突起6bが離間して設けられると共に、その他側部側にはブリッジ部材5のガイド長孔5fとスライド可能に係合する係合突起6cが設けられている。第2スライド部材9は平面略三角形状を呈しており、その一側部側に一対の第1ガイド突起9aと第2ガイド突起9bが離間して設けられている。その他側部側には第1スライド部材6の係合突起6cと係合する係合凹部9cが設けられている。第1スライド部材6と第2スライド部材9の各部材の図面に指示線で示された指示記号6d、6e・9d、9eのものは、ブリッジ部材5の軸受プレート部5aを挟んで第1スライド部材6と第2スライド部材9を取付ネジd、dで固着するための取付孔である。以上の構成により、第1スライド部材6と第2スライド部材9は、ガイド長孔5fから抜け出ることなく、当該ガイド長孔5fに対し一緒にスライド可能となるように取り付けられている。
【0027】
第1Aリンクカム部材7と第1Bリンクカム部材8は、両方とも同じ形状であり、その軸方向を貫通して変形取付孔7a、8aが設けられると共に、その一側部を半径側へ膨出させてカム凸部7b、8bが設けられ、このカム凸部7b、8bの一側部側にガイド溝7c、8cが設けられると共に、このガイド溝7c、8cを設けた側に段部7d、8dが設けられている。
【0028】
第2Aリンクカム部材12と第2Bリンクカム部材13は、両方とも同じ形状であり、その軸方向を貫通して断面円形の挿通孔12a、13aが設けられると共に、その一側部を半径側へ膨出させてカム凸部12b、13bが設けられ、このカム凸部12b、13bの一側部側にガイド溝12c、13cが設けられると共に、このガイド溝12c、13cを設けた側に段部12d、13dが設けられている。さらに、そのカム凸部12b、13bを設けた側とは反対側に一対の係止片12e、13eが設けられると共に、カム凸部12b、13bを除いた外周部には、係合凹部12f、13fが設けられている。
【0029】
第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11は、とくに
図6に示したように、その各一端部に設けた変形第1取付部10aと11aの設置角度が互いに交叉する方向に設けられている点を除けば左右対称である。各変形第1取付部10aと11aに続いて円形第1軸部10bと11bが設けられ、この円形第1軸部10bと11bに続いて、その両側を削除した変形第1フランジ部10cと11cが設けられている。この変形第1フランジ部10cと11cに続いて、円形第2軸部10dと11dが設けられ、この円形第2軸部10dと11dに続いて片側を削除した変形第2フランジ部10e、11eが設けられている。そして、この変形第2フランジ部10e、11eに続いて変形第2取付部10f、11fが設けられている。さらに、この第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11は、その円形第1軸部10b、11bをブリッジ部材5の軸受プレート部5aに設けた変形第1軸受孔5dと変形第2軸受孔5eに軸受させている。
【0030】
第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の各変形第1取付部10a、11aには、第1Aリンクカム部材7と第1Bリンクカム部材8が、その変形取付孔7a、8aを挿通させ、各変形第1取付部10a、11aの露出端をかしめることにより、共に回転するように取り付けられている。第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の円形第1軸部10b、11bには、第2Aリンクカム部材12と第2Bリンクカム部材13が、互いの断面略円形の挿通孔12a、13aを挿通させて取り付けられており、その各係止片12e、13eを変形第2フランジ部10e、11eと係合させることにより共に回転するように構成されている。
【0031】
第1の筐体3と第2の筐体4の各端部を取り付ける第1ブラケット18と第2ブラケット19は共に同じ構成であり、取付プレート部18a、19aと、この取付プレート部18a、19aの各端部より折り曲げて形成した取付片18b、19bを備えている。各取付プレート部18a、19aには、第1の筐体3と第2の筐体4を取り付ける際に用いる複数の取付孔18c、19cが設けられ、取付片18b、19bには第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の変形第2取付部10f、11fを取り付ける変形取付孔18d、19dが設けられている。
【0032】
次に、ガイドシャフト17は、断面略楕円形状のもので、その上下端部をブリッジ部材5の上部取付プレート部5bに設けた取付孔5hと、下部取付プレート部5cに設けた取付変形孔5gの間にその両端部を挿入させて各露出側をかしめることにより、ブリッジ部材5の上部取付プレート部5bと下部取付プレート部5cの間に取り付けられる。
【0033】
軸受部材14は、ガイドシャフト17をその変形挿通孔14aに挿通させてスライド可能に取り付けられると共に、軸押圧部材15もその変形挿通孔15aにガイドシャフト17を挿通させてスライド可能に取り付けられている。軸受部材14の側には第1湾曲凹部14b、14cが設けられ、軸押圧部材15の側には第2湾曲凹部15b、15cが設けられており、この第2湾曲凹部15b、15cにはさらに係合突部15d、15eが設けられている。そして、第1湾曲凹部14b、14cと第2湾曲凹部15b、15cの間に、第2Aリンクカム部材12と第2Bリンクカム部材13の各胴部12g、13gを挟み、弾性手段16の弾力により圧接状態で保持している。
【0034】
次に、本件発明に係る平行2軸ヒンジ2の作用について説明する。まず、平行2軸ヒンジ2のブリッジ部材5を
図1と
図2に示した
ベース部材2aへ取り付け、図示はしてないが、第1ブラケット18を第1の筐体3の後端部側に取り付け、第2ブラケット19を第2の筐体4の後端部側へ取り付ける。以下の説明では、第1ブラケット18には第1の筐体3が、第2ブラケット19には第2の筐体4が取り付けられているものとして説明するが、第1ブラケット18へ第2の筐体4を取付第2ブラケット19へ第1の筐体3を取り付けても良い。
【0035】
図7(a)と
図8(a)に示したように、第1の筐体3と第2の筐体4を閉じた閉成状態においては、第1ブラケット18と第2ブラケット19は互いに対向状態にある。この対向状態において、同期回転伝達手段Dの第1スライド部材6と第2スライド部材9は共に、ブリッジ部材5のガイド長孔5fの下部側に位置しており、軸間距離調節手段Eの軸受部材14と軸押圧部材15が弾性手段16の弾力により、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11を挿通させている第2Aリンクカム部材12と第2Bリンクカム部材13を挟圧して、
図8(a)に示したように、軸受部材14の各第1湾曲凹部14b、14cの外側に位置させている。
【0036】
この閉成状態から、例えば第1の筐体3を開くと、同期回転伝達手段Dと軸間距離調節手段Eとが連動して、次のように動作することになる。まず、第1ブラケット18と共に第1ヒンジシャフト10が回転し、この第1ヒンジシャフト10が回転すると、この第1ヒンジシャフト10と共に回転するように構成されている第1リンク手段Fの第1Aリンクカム部材7と第2リンク手段Gの第2Aリンクカム部材12が回転することから、互いのガイド溝7c、12cを係合させている第1ガイド突起6a、9aを介して第1スライド部材6と第2スライ部材9がガイド長孔5f内をスライドするので、第2ガイド突起6b、9bを介して第1Bリンクカム部材8と第2Bリンクカム部材13が回転することになり、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11が同期して回転することになる。そうすると、第2の筐体4も第1の筐体3とともに同期して開かれることになる。
【0037】
他方、第1の筐体3と第2の筐体4の閉成状態から、第2の筐体4側を開くと、同期回転伝達手段Dと軸間距離調節手段Eとが連動して、次のように動作することになる。まず、第2ブラケット19と共に第2ヒンジシャフト11が回転し、この第2ヒンジシャフト11が回転すると、この第2ヒンジシャフト11と共に回転するように構成されている第1リンク手段Fの第1Bリンクカム部材8と、第2リンク手段Gの第2Bリンクカム部材13が回転することから、互いのガイド溝8c、13cを係合させているカム凸部8b、13bを介して第1スライド部材6と第2スライド部材9がガイド長孔5f内をスライドするので、第1ガイド突起6a、9aを介して第1Aリンクカム部材7と第2Aリンクカム部材12が回転することになり、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11が同期して回転することになる、そうすると、第2の筐体4も第1の筐体3とともに同期して開かれることになる。
【0038】
第1の筐体と第2の筐体のどちらを主体に開いても、開かれて行くうちに軸間距離調節手段Eが連動し、
図7(b)と
図8(b)に示したように、同期して第1Aンクカム部材7及び第2Aリンクカム部材12の各カム凸部7b、12bと第1Bリンクカム部材8及び第2Bリンクカム部材13の各カム凸部8b、13bがそれぞれの頂部7e、8eと12h、13hの部分を当接させることになり、第2Aリンクカム部材12と第2Bリンクカム部材13は弾性手段16の押圧力に抗して軸受部材14と軸押圧部材15の第1湾曲凹部14b、14cと第2湾曲凹部15b、15cに挟まれつつ互いに離間する方向へスライドし、同時に第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11は第2Aリンクカム部材12及び第2Bリンクカム部材13の変形第1軸受孔5dと変形第2軸受孔5eの中を外方向へスライドすることになり、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の軸間距離が開く結果、第1の筐体3と第2の筺体4の各端部が干渉することなく開かれることになる。第1の筐体3と第2の筐体4の各端部が互いに干渉しない角度まで開かれると、互いのカム凸部7b、8b・12b、13bの頂部7e,8e・12h、13h同士の接触を離脱することになることから、外方向へ移動を強制されていた第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11は第2Aリンクカム部材12と第2Bリンクカム部材13が軸受部材14と軸押圧部材15の間を互いに近づく方向、つまり中央側へスライド付勢されることから、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11は中央寄りに移動し、元位置に戻ることになる。この状態を示したものが
図7(c)と
図8(c)である。
【0039】
開いた第1の筐体3と第2の筐体4を閉じる場合には、上記したのと逆の作用を経て、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の軸間距離が開いて閉じることになり、第1筐体3と第2筐体4の閉成操作はその各端部が互いに干渉することなくスムーズになされ、
図7(a)と
図8(a)に示したような閉じられた状態となる。
【0040】
図15は第1の筐体3と第2の筐体4の開閉操作に伴う、第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の軸間距離の変化を模式的示すもので、(a)から(c)に示したように、第1の筐体3と第2の筐体4の閉成状態から全開成状態に至るまでに、開閉操作に伴い第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の軸間距離が変化して、開閉される第1の筐体3と第2の筐体4の平行2軸ヒンジ2側の端部が互いに干渉しない結果、第1筐体3と第2筐体4の干渉側の端部に逃がしの加工を加えなくとも、また、最初から第1ヒンジシャフト10と第2ヒンジシャフト11の軸間距離を開けておかなくとも、開閉操作が可能となるものである。そして、第1の筐体3と第2の筐体4を閉じたときにも開いたときにも第1の筐体3と第2の筐体4の間に間隙が生じることがなくスマートな外観を保つことができるものである。尚、(d)は本発明に係る平行2軸ヒンジを用いない場合には、第1の筐体3と第2の筐体4が開けなくなることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は以上のように構成したので、小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体を互いに重なり合った閉成状態から、第1の筐体と第2の筐体の平行2軸ヒンジ側の端部に加工を施したり、2軸の間の距離を離した取付状態としなくとも、ガタのないしっくりとした操作フィーリングで本を開くように開閉する際の平行2軸ヒンジ並びにこの平行2軸ヒンジを用いた小型電子機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0042】
D 同期回転伝達手段
E 軸間距離調節装置
F 第1リンク手段
G 第2リンク手段
1 ノートパソコン
2 平行2軸ヒンジ
2a
ベース部材
3 第1の筐体
4 第2の筐体
5 ブリッジ部材
6 第1スライド部材
6a 第1ガイド突起
6b 第2ガイド突起
7 第1Aリンクカム部材
7b カム凸部
7c ガイド溝
8 第1Bリンクカム部材
8b カム凸部
8c ガイド溝
9 第2スライド部材
9a 第1ガイド突起
9b 第2ガイド突起
10 第1ヒンジシャフト
11 第2ヒンジシャフト
12 第2Aリンクカム部材
12b カム凸部
12c ガイド溝
13 第2Bリンクカム部材
13b カム凸部
13c ガイド溝
14 軸受部材
15 軸押圧部材
16 弾性手段
17 ガイドシャフト