(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記I/Oロジック領域を構成するディープN型ウェル(Deep N−Well)、および、前記I/Oバッファ領域を構成するディープN型ウェルは、互いに分離されていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体集積回路装置。
前記I/Oロジック回路および前記I/Oバッファ回路は、第1の電位が供給される第1の配線を共有するとともに、第2の電位が供給される第2の配線を共有することを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体集積回路装置。
前記第1の電位および前記第2の電位は、それぞれ、前記I/Oバッファ回路および前記I/Oロジック回路に対する電源電位およびグランド電位であることを特徴とする、請求項3に記載の半導体集積回路装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0007】
図11は、関連技術における半導体集積回路装置のチップ全体の構成を概略的に示す。
図11を参照すると、半導体集積回路装置は、CPU、RAM、アナログ領域等が配置されたコア領域160と、I/Oセルおよびパッド(ボンディングパッド)150が配置されたパッド領域170とを有する。
【0008】
図14は、I/Oセル140を採用した場合におけるパッド領域170の構成を示す。
図14を参照すると、パッド領域170には、複数のI/Oセル140と複数のパッド150が配置されている。パッド150は、I/Oセル140の一部を覆うように設けられている。I/Oセル140は、レベルシフタ回路が配置されるレベルシフタ領域110、I/Oロジック回路が配置されるI/Oロジック領域120、および、I/Oバッファ回路が配置されるI/Oバッファ領域130を有する。I/Oバッファ領域130は、抵抗素子が配置されるレジスタ領域131、135、Nバッファ(NMOSトランジスタ)が配置されるNバッファ領域132、ダイオード素子が配置されるダイオード素子領域133、134、Pバッファ(PMOSトランジスタ)が配置されるPバッファ領域136を有する。パッドはボンディングワイヤ等との接続に用いられるため、高さおよび幅に制約があり、I/Oセルの大きさに合わせて小さくすることができない。そこで、チップサイズに比して多数のI/Oセルおよびパッドが必要な場合、
図14に示すようにパッドを千鳥配置にして、高効率にレイアウトして面積を低減する手法が用いられる。
【0009】
一方、チップサイズに比してI/Oセルおよびパッドの数が少ない場合、パッドを千鳥配置とせず、1列に並べることができる。
図12は、一列に並べたパッドを備えた半導体集積回路装置の構成を示すレイアウト図である。
図12に示したI/Oセル140を、パッド150を1列に並べることができる製品に適用した場合、パッド150の高さに対してI/Oセル140の高さが高いため、
図11および
図12に示すとおり、パッド領域170の面積を削減することは困難となる。
【0010】
また、パッドを1列に並べるインラインパッド用にI/Oセルを新規に作成した場合には、ESD保護領域およびバッファサイズを再設計することなるため、余計な工数と作成費用とが必要となり、千鳥パッド用のI/Oセル140と同等のAC/DC特性とすることも難しくなるという問題もある。
【0011】
I/Oセル140において、単に、I/Oバッファ領域130の高さ方向を縮小した場合には、次のような問題が生じる。
図13は、
図12に示したI/Oセル140において、I/Oバッファ領域130の高さ方向を縮小した場合における、I/Oセル140に対する電源配線の構成を示すレイアウト図である。
【0012】
図13において、コア電源配線141およびコアグランド配線142は、それぞれ、レベルシフタ領域110に対してコア電源電位VDDおよびコアグランド電位VSSを供給する。また、I/O電源配線143およびI/Oグランド配線144は、それぞれ、I/Oロジック領域120に対してI/O電源電位VCCQおよびI/Oグランド電位VSSQを供給する。さらに、I/O電源配線145およびI/Oグランド配線146は、それぞれ、I/Oバッファ領域130に対してI/O電源電位VCCQおよびI/Oグランド電位VSSQを供給する。
【0013】
図13に示すように、I/Oバッファ領域130を高さ方向(
図13の縦方向)に縮小すると、I/O電源配線143、145およびI/Oグランド配線144、146の配線幅も狭くなり、配線が高抵抗化する。すなわち、
図12に示したI/Oセル140においてI/Oバッファ領域130の高さ方向を単純に縮小した場合には、上空に設けられた電源配線も縮小され、ESD特性および電源供給特性が劣化するおそれがある。
【0014】
また、特許文献1に記載された半導体集積回路装置によると、I/O回路部とESD保護素子部を、コア領域の辺に沿う方向(横方向)に配置することで、辺に垂直な方向(縦方向)の高さを削減することが可能となる。しかしながら、この半導体集積回路装置においては、ワイヤボンディング用パッド(第1のパッド)と、ウエハ試験用パッド(第2のパッド)も、同様に、横方向に配置されている。このとき、これらのパッドの横方向の幅に応じて、I/O領域の横方向の幅が増大する。すなわち、特許文献1に記載された半導体集積回路によると、I/O領域の高さを削減したことにより、I/O領域の幅が増大してしまい、I/O領域の面積を削減することは困難であるという問題がある。
【0015】
そこで、半導体集積回路装置において、I/Oセルの高さを低減すると同時に幅の増大を防ぐことで、I/Oセルの占める領域の面積を削減することが課題となる。なお、ここでは、コア領域の辺のうちのI/Oセルが配置された辺に平行な方向へのI/Oセルの幅を、単に「幅」といい、この辺に垂直な方向へのI/Oセルの幅を「高さ」という。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一視点に係る半導体集積回路装置は、
コア領域と、
前記コア領域の各辺に沿って、それぞれ1列に配置された複数のパッドと、
レベルシフタ回路、I/Oロジック回路およびI/Oバッファ回路を含む複数のI/Oセルとを有し、
前記複数のパッドの各々は、接続される前記複数のI/Oセルの各々に含まれるI/Oロジック回路およびI/Oバッファ回路と平面視して重なって配置され、
前記I/Oロジック回路が配置されたI/Oロジック領域、および、前記I/Oバッファ回路が配置されたI/Oバッファ領域は、前記コア領域の辺に平行な方向に互いに並んで配置され、
前記複数のパッドの各々の前記コア領域の辺に平行な方向の幅は、前記I/Oセルが配置されたI/Oセル領域の前記コア領域の辺に平行な方向の幅以上である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る半導体集積回路装置は、I/Oロジック領域とI/Oバッファ領域をコア領域の辺に平行な方向に並んで配置することで、I/Oセルの高さを低減すると同時に、I/Oロジック領域およびI/Oバッファ領域をいずれもI/Oセルに対するパッドが配置された領域と重なるように配置することで、I/Oセルの幅の増大を防ぐことができるため、I/Oセルの面積を削減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
はじめに、本発明の概要について説明する。なお、この概要に付記する図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0020】
図2は、本発明の半導体集積回路装置の全体の構成を示すレイアウト図である。
図1は、
図2の一点鎖線部分を拡大したレイアウト図である。
図1および
図2を参照すると、本発明の半導体集積回路装置は、レベルシフタ回路、I/Oロジック回路およびI/Oバッファ回路を含むI/Oセル(40)がコア領域(60)の周囲に配置された半導体集積回路装置であって、I/Oロジック回路が配置されたI/Oロジック領域(20)、および、I/Oバッファ回路が配置されたI/Oバッファ領域(30)は、I/Oセル(40)に対するパッド(50)が配置された領域と重なり合うとともに、コア領域(60)の辺に平行な方向に互いに並んで配置されている。
【0021】
ここで、I/Oバッファ領域(30)は、さらにESD保護素子が配置されたESD保護素子領域を含んでいてもよい。また、I/Oロジック回路は、I/Oバッファ回路をコントロールする回路、入力回路、プルアップダウン用回路、および、これらの制御回路等を含んでいてもよい。なお、
図1は、I/Oロジック領域(20)とI/Oバッファ領域(30)が、各I/Oセル(40)において同様に配置されている場合の構成を示したが、I/Oロジック領域(20)とI/Oバッファ領域(30)は、I/Oセル(40)ごとに、異なる配置(
図1において左右逆)を有していてもよい。
【0022】
I/Oロジック領域(20)とI/Oバッファ領域(30)とを、コア領域(60)の辺に平行な方向に並んで配置することで、I/Oセル(40)の高さを低減することができる。また、I/Oロジック領域(20)およびI/Oバッファ領域(30)を、いずれもI/Oセル(40)に対するパッド(50)が配置された領域と重なるように配置することで、I/Oセルの幅の増大を防ぐこともできる。したがって、かかる半導体集積回路装置によると、I/Oセル(40)の面積を削減することで、パッド領域(70)の面積も削減することができ、関連技術の半導体集積回路装置(
図11、
図12)と比較して、半導体集積回路装置の面積を小さくすることが可能となる。
【0023】
図5を参照すると、I/Oロジック領域(20)を構成するディープN型ウェル(Deep N−Well)DNW、および、I/Oバッファ領域(30)を構成するディープN型ウェルDNWは、互いに分離されていることが好ましい。I/Oバッファ領域(30)とI/Oロジック領域(20)を、ディープNWEL構造(DNW)を使用して分割することにより、ラッチアップを防止することが可能となる。
【0024】
図7を参照すると、I/Oロジック回路およびI/Oバッファ回路は、第1の電位(I/O電源電位VCCQ)が供給される第1の配線(I/O電源配線43)を共有するとともに、第2の電位(I/Oグランド電位VSSQ)が供給される第2の配線(I/Oグランド配線44)を共有することが好ましい。これにより、関連技術の半導体集積回路(
図13)と比較して、I/Oセル(40)に供給する電源周回配線幅を広くすることができ、安定した電源供給が可能となる。
【0025】
図7および
図8(a)を参照すると、I/Oバッファ回路(37)は、Pバッファ(PMOSトランジスタP1)とNバッファ(NMOSトランジスタN1)とを有し、Pバッファ(P1)が配置されるPバッファ領域(36)は、レベルシフタ回路(11)が配置されるレベルシフタ領域(10)と隣り合うように配置されていることが好ましい。これにより、レベルシフタ回路(11)とPバッファ(P1)に対して、共通のI/O電源電位(VCCQ)を容易に供給することが可能となる。
【0026】
図8(a)を参照すると、I/Oバッファ領域(30)は、PMOSトランジスタ(P1)、NMOSトランジスタ(N1)、第1および第2の抵抗素子(R2、R1)、ならびに、第1および第2のダイオード素子(D2、D1)を備え、PMOSトランジスタ(P1)は、ゲート端子がIOロジック回路(21)に接続され、ソース端子またはドレイン端子の一方がバックゲート端子および第1の配線(I/O電源配線43)に接続され、他方が第1の抵抗素子(R2)の第1の端子に接続され、第1の抵抗素子(R2)は、第2の端子がパッド(PAD)に接続され、第1のダイオード素子(D2)は、第1の配線(43)とパッド(PAD)との間に接続され、NMOSトランジスタ(N1)は、ゲート端子がI/Oロジック回路(21)に接続され、ソース端子またはドレイン端子の一方がバックゲート端子および第2の配線(I/Oグランド配線44)に接続され、他方が第2の抵抗素子(R1)の第1の端子に接続され、第2の抵抗素子(R1)は、第2の端子がパッド(PAD)に接続され、第2のダイオード素子(D1)は、第2の配線(44)とパッド(PAD)との間に接続されていてもよい。
【0027】
図8(a)および
図9を参照すると、レベルシフタ回路(11)が配置されるレベルシフタ領域(10)は、I/Oロジック回路(21)に供給される第1の電源電位(I/O電源電位VCCQ)が供給される回路が設けられた第1の電位領域(I/O電位領域12)と、コアロジック回路(61)に供給される第2の電源電位(コア電源電位VDD)が供給される回路が設けられた第2の電位領域(コア電位領域13)とを有し、第1の電位領域(12)はI/Oロジック領域(20)の内部に設けられ、第2の電位領域(13)はコア領域(60)とI/Oロジック領域(20)およびI/Oバッファ領域(30)との間に設けられていることが好ましい。かかる構成によると、I/Oセル(40)の高さをさらに低減することが可能となる。
【0028】
(実施形態1)
第1の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体集積回路装置におけるパッド領域の構成を拡大して示した図である。
図1を参照すると、パッド領域70には、複数のI/Oセル40が配置されている。また、各I/Oセル40は、レベルシフタ回路が配置されたレベルシフタ領域10と、I/Oロジック回路が配置されたI/Oロジック領域20と、I/Oバッファ回路が配置されたI/Oバッファ領域30とを含む。
【0029】
レベルシフタ領域10は、コア領域60側に配置されている。I/Oロジック領域20およびI/Oバッファ領域30は、コア領域60の辺に平行な方向(
図1の横方向)に互いに並んで配置されている。また、I/Oロジック領域20およびI/Oバッファ領域30は、いずれも、I/Oセル40に対するパッド(ボンディングパッド)50が配置された領域と重なり合っている。
【0030】
I/Oロジック領域20とI/Oバッファ領域30を、コア領域の辺に平行な方向に並んで配置することで、
図12に示すように、I/Oロジック領域120とI/Oバッファ領域130とが縦方向に配置されたI/Oセル140と比較して、I/Oセル40の高さを低減することができる。また、I/Oロジック領域20およびI/Oバッファ領域30を、いずれもI/Oセル40に対するパッド50が配置された領域と重なるように配置することで、I/Oセルの(
図1の横方向の)幅の増大を防ぐこともできる。したがって、本実施形態に係る半導体集積回路装置によると、個々のI/Oセル40の面積を削減することで、パッド領域70の面積を、関連技術のパッド領域170と比較して削減することができる。
【0031】
図2は、本実施形態の半導体集積回路装置のチップ全体の構成を概略的に示す。
図2は、一例として、本実施形態のI/Oセル40を使用してパッド50を1列に並べた場合の半導体チップの全体図を示す。
図2を参照すると、半導体集積回路装置は、コア領域60と、コア領域60の周囲に設けられたパッド領域70とを有する。パッド領域70には、複数のI/Oセル40と、各I/Oセル40に対するパッド50が配置されている。
【0032】
本実施形態に係る半導体集積回路装置によると、関連技術の半導体集積回路装置のパッド領域170(
図12)と比較して、パッド領域70の面積を削減することができ、装置自体のサイズも、関連技術の半導体集積回路装置(
図11)と比較して小さくすることができる。ちなみに、発明者等は、関連技術のI/Oセル140(
図12)と比較して、本実施形態ではI/Oセル40(
図1)のサイズを高さ方向に56um縮小化できることを確認し、チップサイズも、一辺について56um×2=112umの縮小化が可能であることを確認している。
【0033】
なお、I/Oバッファ領域30には、
図8に示すように、ESD保護抵抗(抵抗素子R1、R2、ダイオード素子D1、D2)および出力バッファ(NMOSバッファN1、PMOSバッファP1)が設けられていてもよい。これらの素子を、関連技術の千鳥パッド用I/Oセルのバッファ領域に設けられた素子と同一とすることで、ESD耐性、および、バッファのAC/DC特性が関連技術のI/Oバッファと同等になるようにすることも可能である。
【0034】
本実施形態では、関連技術の半導体集積回路装置(
図11、
図12)において、I/Oバッファ領域130の上(
図12の縦方向)に設けられていたI/Oロジック領域120を、I/Oバッファ領域30の隣に配置することで、I/Oセル40の高さ(
図1の縦方向)を縮小した。また、パッド50のピッチは最小で65umとして、I/Oセル40の幅(
図1の横方向)は、最小ピッチを超えないようにした。
【0035】
本実施形態では、I/Oロジック領域20とI/Oバッファ領域30とをコア領域60の辺に平行な方向に並んで配置することで、I/Oセル40の高さを低減した。また、I/Oロジック領域20およびI/Oバッファ領域30をいずれもI/Oセル40に対するパッド50が配置された領域と重なるように配置することで、I/Oセル40の幅の増大を防いだ。これにより、I/Oセル40の面積を関連技術のI/Oセル140と比較して大幅に削減することが可能となる。
【0036】
(実施形態2)
第2の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照して説明する。第1の実施形態のように、I/Oロジック領域20をI/Oバッファ領域30の隣に配置したことにより、ラッチアップが生じやすくなる。本実施形態では、ラッチアップを防止するための構成を備えた半導体集積回路装置を提供する。
【0037】
はじめに、ラッチアップが生じるメカニズムについて、
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、I/Oセル40の平面パターン図、および、ディープN型ウェル(Deep N−Well、DNL)構造を採用した半導体集積回路装置においてI/Oバッファ領域30とI/Oロジック領域20の分割を行わなかったときのA−A’断面図を示す。
【0038】
このとき、
図3に示すように、パッドPAD直下のP領域P、I/Oバッファ領域30およびI/Oロジック領域にまたがるN型ウェルNW、I/Oロジック領域20おけるP型ウェルPW、ならびに、I/Oグランド直下のN領域Nにより、P−NW−PW−Nの寄生サイリスタ素子が形成される。
【0039】
図4は、
図3の断面図の等価回路を示す。パッドPADからのサージ電流が流れると、トランジスタT1からベース電流が電流I1の方向に流れる。電流I1が流れると、トランジスタT2がオン状態となり、電流I2が流れる。このような現象が起きた場合には、電源をオフとしない限り、永久に電流が流れ続けることになり、素子が破壊されるに至る。
【0040】
すなわち、
図3に示す構成によると、寄生トランジスタによるサイリスタ構造が形成されるため、パッドPADからのサージ電流によりラッチアップを起こして過電流が発生し、素子が破壊されるおそれがある。
【0041】
図5は、本実施形態の半導体集積回路装置の構成を示す。
図5は、I/Oセル40の平面パターン図、および、ディープN型ウェル(Deep N−Well、DNL)構造を採用した半導体集積回路装置においてI/Oバッファ領域30とI/Oロジック領域20の分割を行なったときのA−A’断面図を示す。
【0042】
図5を参照すると、ディープN型ウェル構造を使用して、I/Oバッファ領域30とI/Oロジック領域20とが分離されている。すなわち、I/Oロジック領域20におけるNウェルNWおよびディープN型ウェルDNWと、I/Oバッファ領域30におけるNウェルNWおよびディープN型ウェルDNWとは、P型基板P−Subによって分離されている。
【0043】
図6は、
図5の断面図の構造に対する等価回路を示す。
図5および
図6を参照すると、本実施形態の半導体集積回路装置によると、
図3に示すような、寄生トランジスタによるサイリスタ構造は形成されないことが分かる。
【0044】
したがって、
図5に示すように、ディープN型ウェルDNWを用いて素子分離を行うことで、パッドPADからのサージ電流によるラッチアップを防止することができる。また、かかる構造によると、バッファ回路とロジック回路との距離を短縮することも可能となり、I/Oセル40の幅(
図1の横方向)の増大を防ぐことができる。なお、
図5に示した構造によると、I/Oバッファ領域30に電流が流れてノイズが発生した場合においても、I/Oロジック領域20にもDNW構造があることから、ノイズが伝播することによる誤動作を起こし難いという利点もある。
【0045】
(実施形態3)
第3の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照して説明する。
図13を参照して上述したように、関連技術の半導体集積回路(
図11、
図12)においてI/Oセル140を高さ方向(
図13の縦方向)にそのまま縮小した場合、I/O電源配線143、145、および、I/Oグランド配線144、146の幅が細くなり、電源供給特性が劣化する。本実施形態では、かかる問題を解消する半導体集積回路装置を提供する。
【0046】
図7は、本実施形態の半導体集積回路装置における電源配線の構成を示すレイアウト図である。
図7は、I/Oセル40上の配線層に形成された電源周回配線を示す。
【0047】
図7を参照すると、I/Oロジック領域20に設けられたI/Oロジック回路、および、I/Oバッファ領域30に設けられたI/Oバッファ回路は、I/O電源電位VCCQが供給されるI/O電源配線43を共有するとともに、I/Oグランド電位VSSQが供給されるI/Oグランド配線44を共有している。すなわち、本実施形態の半導体集積回路装置によると、I/O電源配線43およびI/Oグランド配線44を、I/Oバッファ領域30とI/Oロジック領域20との間で共通化することができる。
【0048】
関連技術の半導体集積回路装置のように、I/Oセル140を高さ方向にそのまま縮小した場合には、I/O電源配線143、145、およびI/Oグランド配線144、146の幅がいずれも細くなる。一方、本実施形態によると、関連技術の半導体集積回路と比較して、I/Oセル40に供給する電源周回配線、すなわち、I/O電源配線43およびI/Oグランド配線44の幅を広くすることができ、安定した電源供給が可能となり、ESD耐性も向上する。
【0049】
図8は、本実施形態に係る半導体集積回路装置におけるI/Oセル40および電源セル80の構成を示すブロック図およびレイアウト図である。
図8(a)は、I/Oセル40の構成を示すブロック図およびレイアウト図である。
図8(a)は、I/Oセル40と、コア領域60(
図2)に設けられたコアロジック回路61とを示す。
図8(a)を参照すると、I/Oセル40は、レベルシフタ回路11、I/Oロジック回路21およびI/Oバッファ回路37を備えている。レベルシフタ回路11、I/Oロジック回路21およびI/Oバッファ回路37は、それぞれ、
図7のレベルシフタ領域10、I/Oロジック領域20およびI/Oバッファ領域30に設けられる。
【0050】
I/Oバッファ回路37は、さらに、Pバッファ(PMOSトランジスタ)P1、Nバッファ(NMOSトランジスタ)N1、抵抗素子R1、R2、および、ダイオード素子D1、D2を備えている。PバッファP1、抵抗素子R2、ダイオード素子D2、ダイオード素子D1、NバッファN1および抵抗素子R1は、それぞれ、
図7のPバッファ領域36、レジスタ領域35、ダイオード素子領域34、ダイオード素子領域33、Nバッファ領域32およびレジスタ領域31に設けられる。
【0051】
コアロジック回路61は、I/Oセル40のレベルシフタ回路11に接続され、コア電源電位VDDおよびコアグランド電位VSSが供給されている。レベルシフタ回路11は、コアロジック回路61およびI/Oロジック回路21に接続され、コア電源電位VDDおよびI/O電源電位VCCQならびにコアグランド電位VSSが供給されている。I/Oロジック回路は、レベルシフタ回路11、ならびに、PバッファP1およびNバッファN1のゲート端子に接続され、I/O電源電位VCCQおよびI/Oグランド電位VSSQが供給されている。PバッファP1は、I/O電源配線と抵抗素子R2との間に接続されている。抵抗素子R2は、PバッファP1とパッドPADとの間に接続されている。ダイオード素子D2は、I/O電源配線とパッドPADとの間に接続されている。NバッファN1は、I/Oグランド配線と抵抗素子R1との間に接続されている。抵抗素子R1は、NバッファN1とパッドPADとの間に接続されている。ダイオード素子D1は、I/Oグランド配線とパッドPADとの間に接続されている。
【0052】
図7および
図8(a)を参照すると、PバッファP1が配置されるPバッファ領域36は、レベルシフタ回路11が配置されるレベルシフタ領域10と隣り合うように配置されている。このとき、レベルシフタ回路11とPバッファP1に対して、共通のI/O電源電位VCCQを容易に供給することが可能となる。
【0053】
図8(b)は、電源セル80の回路図およびレイアウト図を示す。
図8(b)は、電源セルと例として、I/O電源供給セルの構成を示している。
図8(b)を参照すると、電源セル80は、回路Aおよび回路Bを備えている。回路Aは、容量素子C1、抵抗素子R3〜R6、および、インバータIN1、IN2を備えている。一方、回路Bは、抵抗素子R7、MOSトランジスタM1、および、ダイオード素子D3を備えている。
【0054】
電源セル80に関しても、
図8(b)の下段に示すように、回路Aが配置された回路A領域81と回路Bが配置された回路B領域82とを、コア領域60の辺に平行な方向(
図1の横方向)に互いに並んで配置することで、
図8(a)に示したI/Oセル40と同様に、縦方向(
図8(b)の縦方向)のサイズを縮小することが可能となる。
【0055】
(実施形態4)
第4の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1の実施形態に係る半導体集積回路装置のI/Oセル40の変形例を提供する。
図9は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示すレイアウト図である。
【0056】
第1の実施形態では、
図1に示すように、レベルシフタ回路が設けられたレベルシフタ領域10とI/Oロジック回路が設けられたI/Oロジック領域20とを分割した。本実施形態では、レベルシフタ回路の一部を、I/Oロジック領域に移動することで、I/Oセル40の高さ(
図9の縦方向)をさらに短縮する。
【0057】
図8(a)および
図9を参照すると、レベルシフタ回路11が配置されるレベルシフタ領域10は、I/Oロジック回路21に供給されるI/O電源電位VCCQが供給される回路が設けられたI/O電位領域12を有するとともに、コアロジック回路61に供給されるコア電源電位VDDが供給される回路が設けられたコア電位領域13を有する。そこで、本実施形態では、I/O電位領域12をI/Oロジック領域20の内部に設けるとともに、コア電位領域13を、コア領域60(
図9において非図示)とI/Oロジック領域20およびI/Oバッファ領域30との間に設ける。
【0058】
本実施形態の構成(
図9(b))によると、レベルシフタ回路11を構成するすべての回路をレベルシフタ領域10に配置した構成(
図9(a))と比較して、I/Oセル40の高さをさらに低減することが可能となる。
【0059】
(実施形態5)
第5の実施形態に係る半導体集積回路装置について、図面を参照して説明する。本実施形態は、電源セル(
図8(b))の変形例を提供する。
図10は、本実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示すレイアウト図である。
【0060】
図8(b)に示した電源セル80の回路Bを2列にした電源セルを作成するとともに、電源セル80の回路Aを各セルの間のスペースを利用して配置する。これにより、横方向(
図10の横方向)の面積を増やすことなく、ESD耐性を強化することが可能となる。なお、
図10に示すように、各セル間の空いたスペースに電源間容量セルを配置して、電源の安定化を図ることもできる。
【0061】
上記の特許文献等の先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。