(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャープペンシルリフィルの筆記先端及び前記複数のボールペンリフィルの筆記先端がいずれも軸筒内に没入している状態においては、前記シャープペンシル解除カム及び前記複数のボールペン解除カムの各稜線は互いに近接した位置にあり、
前記シャープペンシルノック機構を前記ノック部の押圧により前方へ移動させることで該シャープペンシルリフィルを前方へ移動させると、前記ノック機構側係止部と前記軸筒側係止部が互いに係合することで、該シャープペンシルリフィルの筆記先端が前記開口部から突出した状態で前記スプリングを圧縮しつつ係止した状態となり、この状態においては、前記シャープペンシル解除カムの稜線は平面視で前記複数本のボールペンリフィルの方向寄りに移動しており、
この状態で、いずれかの前記ボールペンノック棒の前記スライド突起を前方へ移動させると、前記ボールペン解除カムの先端解除斜面が、前記シャープペンシル解除カムの後端解除斜面と当接することで、前記ノック機構側係止部と前記軸筒側係止部との係合が解かれ、該シャープペンシルリフィルは前記スプリングの付勢力により後方へ移動することでその筆記先端は前記開口部内へ没入し、
前記一のボールペンノック棒の前記スライド突起を前方へ移動させることで該ボールペンリフィルを前方へ移動させると、該スライド突起は前記係合切欠と係合することで、該ボールペンリフィルの筆記先端が前記開口部から突出した状態で前記スプリングを圧縮しつつ係止した状態となり、この状態においては、前記ボールペン解除カムの稜線は平面視で前記他のボールペンリフィルの方向寄りに移動しており、
この状態で、前記他のボールペンノック棒の前記スライド突起を前方へ移動させるか又は前記シャープペンシルノック機構の前記ノック部を押圧するかにより、前記ボールペン解除カムの先端解除斜面又は前記シャープペンシル解除カムの先端解除斜面が、該一のボールペンノック棒の前記ボールペン解除カムの後端解除斜面と当接することで、該一のボールペンノック棒のスライド突起と前記係合切欠との係合が解かれ、該一のボールペンリフィルは前記スプリングの付勢力により後方へ移動することでその筆記先端は前記開口部内へ没入することを特徴とする請求項1記載の多機能ペン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような従来の多機能ペンでは、ノック操作機構とシャープペンシルリフィルとが筆記状態では一直線上にはないため、シャープペンシルに必須の芯繰出機構も、ノックにより加えられる力が、途中で曲がった部分を経て先端に及ぶこととなっている。このため、たとえば特許文献3に示すような、筆記時に芯に筆記面から加えられる力が、軸心に沿って芯繰出機構の一部を構成する芯回転機構に伝達されるような構造のシャープペンシルリフィルは多機能ペンには適用不可能なものであった。
また、シャープペンシルリフィルの芯繰出機構は上述のように軸筒内の周縁寄りに位置している。そのため、通常のシャープペンシルのように後端から芯を補給することは困難なである。よって、軸筒を分解して、シャープペンシルリフィルを一旦ノック操作機構から取り外してから、そのリフィルの後端より芯を補給する必要があった。この手順を芯補給のたびに繰り返すのは煩雑であった。それを解消して多機能ペンにおいても後端より芯補給が可能とする技術が特許文献4及び特許文献5に開示されている。ただし、これらの特許文献4及び特許文献5のいずれにおいても、確かに芯は後端から補給可能ではあるものの、芯を補給する孔は軸心から外れた周縁寄りに設けられていた。これは、通常のシャープペンシルで後端の中心孔に芯を補給する手順に慣れているユーザーにとってはとまどいを引き起こすものであり、スムーズな補給動作が阻害されるものでもあった。
【0006】
以上の問題点に鑑み、本願においては、多機能ペンにおいて、シャープペンシルリフィルの芯繰出機構を筆記時において軸心に位置させることで、筆記面から筆記先端にかかる力を直線上にその芯繰出機構に伝達可能とすることを第1の課題とする。
また、本願においては、上記の第1の発明の課題に加え、後端からの芯補給も容易とすることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明
上記の第1の課題に鑑み、本願における第1の発明は、シャープペンシルとして機能するシャープペンシルリフィル30と、ボールペンとして機能する複数本のボールペンリフィル50とが軸筒10に収納される多機能ペンPであって、
前記軸筒10内部には、前記シャープペンシルリフィル30及び前記複数本のボールペンリフィル50の前後方向への移動を誘導するために各々に対応する誘導孔21が設けられたガイドスペーサ20が設けられ、
前記シャープペンシルリフィル30の後端は、前記軸筒10内の後方に設けられたシャープペンシルノック機構40に連結され、該シャープペンシルノック機構40の前後方向の移動によって該シャープペンシルリフィル30の筆記先端31が該軸筒10先端の開口部11から出没するとともに、
前記各ボールペンリフィル50の後端は、前記軸筒10内の後方に設けられたボールペンノック棒60に連結され、該ボールペンノック棒60の前後方向の移動によって該ボールペンリフィル50の筆記先端51が前記開口部11から出没するように形成され、
前記軸筒10内部には、前記シャープペンシルリフィル30の筆記先端31が前記開口部11から突出している状態を維持するために前記シャープペンシルノック機構40を係止するための軸筒側係止部15が設けられ、
前記シャープペンシルノック機構40には、前記軸筒側係止部15と係合するためのノック機構側係止部45が設けられ、
前記シャープペンシルノック機構40と前記ガイドスペーサ20との間には、前記シャープペンシルリフィル30を後方へ付勢するスプリング41が介在し、
前記各ボールペンノック棒60と前記ガイドスペーサ20との間には、前記ボールペンリフィル50を後方へ付勢するスプリング61がそれぞれ介在し、
前記シャープペンシルリフィル30及びシャープペンシルノック機構40の前記軸筒10内の平面位置は、前記軸筒10内で前記複数本のボールペンリフィル50及びボールペンノック棒60の平面位置よりも軸心寄りであり、
前記シャープペンシルノック機構40の後端はノック部42として前記軸筒10後端の開口部12から突出しているとともに、
前記シャープペンシルノック機構40の側面には前記複数のボールペンノック棒60の方向へ突出するシャープペンシル解除カム43が設けられており、
前記シャープペンシル解除カム43は、前後方向に延びる突条として形成され、その先端及び後端が各々斜めに削がれていることでそれぞれ先端解除斜面43a及び後端解除斜面43bとして形成されるととともに、これら先端解除斜面43a及び後端解除斜面43bの間は真っ直ぐな稜線43cとして形成され、
前記ボールペンノック棒60の各々には、外方へ突出するスライド突起62と、他のボールペンノック棒60の方向へ突出するボールペン解除カム63が設けられれており、
前記各ボールペン解除カム63は、前後方向に延びる突条として形成され、その先端及び後端が各々斜めに削がれていることでそれぞれ先端解除斜面63a及び後端解除斜面63bとして形成されるととともに、これら先端解除斜面63a及び後端解除斜面63bの間は真っ直ぐな稜線63cとして形成され、
前記軸筒10の外周の後端部分には、前後方向に延びるスリットであって、その中で前記スライド突起62が前後方向に摺動可能なスライドスリット13が、前記ボールペンリフィル50のボールペンノック棒60の各々に対応して設けられ、
前記各スライドスリット13の前端には、他のスライドスリット13の方向へ切り欠かれた
、前記スライド突起62が係合する係合切欠13aが設けられている
とともに、
前記シャープペンシル解除カム43は前記ボールペンリフィル50の前記スライド突起62と前記軸筒10の前記係合切欠13aとの係合を解除するものであり、
前記ボールペン解除カム63は、前記シャープペンシルリフィル30の前記ノック機構側係止部45と前記軸筒10の前記軸筒側係止部15との係合又は他の前記ボールペンリフィル50の前記スライド突起62と該軸筒10の前記係合切欠13aとの係合を解除するものであることを特徴とする。
【0008】
本発明における「多機能ペンP」とは、「シャープペンシルリフィル30」を備え、かつ、複数本の「ボールペンリフィル50」を備えたものである。シャープペンシルリフィル30には、シャープペンシルとして機能するための芯繰り出し機構や芯収納部を備えるとともに、筆記の際に軸筒10の先端から突出するシャープペンシルの筆記先端31を備えるものである。一方、ボールペンリフィル50には、インクを収容するインク収容管と筆記先端51としてのボールペンチップとを備えるものである。
「ガイドスペーサ20」とは、軸筒10内部のほぼ中心部分に嵌挿される略円筒状の部材であって、シャープペンシルリフィル30及び複数本のボールペンリフィル50にそれぞれ対応した「誘導孔21」をこれらリフィルと同数だけ有しているものである。
【0009】
「シャープペンシルノック機構40」とは、軸筒10内の後方に設けられた、シャープペンシルリフィル30を前後方向に移動させてその筆記先端31を軸筒10から出没させるための機構をいう。また、このシャープペンシルノック機構40は、筆記先端31が軸筒10から突出した状態にあっては、芯を繰り出すためのノック機構も兼ねるものである。このシャープペンシルノック機構40とガイドスペーサ20との間にはスプリング41が介在し、それによってシャープペンシルノック機構40は常に後方へ付勢されている。なお、このシャープペンシルノック機構40の後端はノック部42として前記軸筒10後端の開口部11から突出しており、シャープペンシルリフィル30の先端が軸筒10先端から突出した状態にあるときに、これを押圧することで芯の繰り出しのためのノック動作が行われるものである。
【0010】
「ボールペンノック棒60」とは、前記軸筒10内の後方に設けられた、ボールペンリフィル50を前後方向に移動させてその筆記先端51を軸筒10から出没させるための機構をいう。このボールペンノック棒60とガイドスペーサ20との間にはスプリング61が介在し、それによってボールペンノック棒60は常に後方へ付勢されている。
「軸筒側係止部15」と「ノック機構側係止部45」とは、互いにそれぞれ軸筒10側の構造及びシャープペンシルノック機構40が備える構造であって、互いに係合可能な形状を有することで、シャープペンシルの筆記状態を保つためのものである。軸筒側係止部15はたとえば、軸筒10内部の肉厚を異ならせることで長手方向に沿って設けられた段状のレール様構造の所定位置に、周方向に沿って設けられた段部、凹部又は凸部として形成することができる。また、ノック機構側係止部45はたとえば、この段部、凹部又は凸部として設けられた軸筒側係止部15と係合し得る段部、凸部又は凹部としてそれぞれ形成することができる。
【0011】
そして、前記シャープペンシルリフィル30及びシャープペンシルノック機構40の前記軸筒10内の平面位置(すなわち、軸筒10の後方から見た位置)は、前記軸筒10内で前記複数本のボールペンリフィル50及びボールペンノック棒60の平面位置よりも軸心寄りである。このような位置関係に基づき、このノック機構側係止部45が軸筒側係止部15に係合するときは、ボールペンリフィル50が位置している方向に沈み込むように移動して係合する。その移動距離は、非筆記状態におけるシャープペンシルリフィル30の軸心と、多機能ペンP自体の軸心との距離にほぼ相当するように設定することが望ましい。そのように設定することで、筆記状態においてシャープペンシルリフィル30が多機能ペンP自体の軸心に位置することが可能となる。
【0012】
「スライドスリット13」とは、ボールペンリフィル50のボールペンノック棒60に設けられているスライド突起62が前後方向に摺動可能なスリットである。すなわち、スライドスリット13はボールペンリフィル50の数と同数設けられることになる。そして、その各スライドスリット13の先端には、他のスライドスリット13の方向へ切り欠かれた「係合切欠13a」が設けられている。すなわち、一のスライド突起62が対応するスライドスリット13に沿って前方へ押圧されると、その先端にある係合切欠13aに嵌り込むような状態で係合するものである。
「シャープペンシル解除カム43」及び「ボールペン解除カム63」とは、シャープペンシルリフィル30のノック機構側係止部45と軸筒10の軸筒側係止部15との係合状態又はボールペンリフィル50のスライド突起62と軸筒10の係合切欠13aとの係合状態を互いに解除可能な構造をいう。具体的には、シャープペンシルリフィル30が筆記可能な状態となっている場合、シャープペンシル解除カム43に、複数のボールペンリフィル50のうちのいずれかのボールペン解除カム63が作用することで、ノック機構側係止部45と軸筒側係止部15との係合状態が解除されることとなっている。また、いずれかのボールペンリフィル50が筆記可能な状態となっている場合、そのボールペン解除カム63に、他のボールペンリフィル50のボールペン解除カム63又はシャープペンシルリフィル30のシャープペンシル解除カム43が作用することで、スライド突起62と係合切欠13aとの係合状態が解除されることとなっている。
【0013】
本発明に係る多機能ペンPにおいては、具体的には、前記シャープペンシルリフィル30の筆記先端31及び前記複数のボールペンリフィル50の筆記先端51がいずれも軸筒10内に没入している状態においては、前記シャープペンシル解除カム43及び前記複数のボールペン解除カム63の各稜線43c,63c,63cは互いに近接した位置にある。
また、前記シャープペンシルノック機構40を前記ノック部42の押圧により前方へ移動させることで該シャープペンシルリフィル30を前方へ移動させると、前記ノック機構側係止部45と前記軸筒側係止部15が互いに係合することで、該シャープペンシルリフィル30の筆記先端31が前記開口部11から突出した状態で前記スプリング41を圧縮しつ
つ係止した状態となり、この状態においては、前記シャープペンシル解除カム43の稜線43cは平面視で前記複数本のボールペンリフィル50の方向寄りに移動している。
【0014】
この状態で、いずれかの前記ボールペンノック棒60の前記スライド突起62を前方へ移動させると、前記ボールペン解除カム63の先端解除斜面63aが、前記シャープペンシル解除カム43の後端解除斜面43bと当接することで、前記ノック機構側係止部45と前記軸筒側係止部15との係合が解かれ、該シャープペンシルリフィル30は前記スプリング41の付勢力により後方へ移動することでその筆記先端31は前記開口部11内へ没入する。
前記一のボールペンノック棒60の前記スライド突起62を前方へ移動させることで該ボールペンリフィル50を前方へ移動させると、該スライド突起62は前記係合切欠13aと係合することで、該ボールペンリフィル50の筆記先端51が前記開口部11から突出した状態で前記スプリング61を圧縮しつつ係止した状態となり、この状態においては、前記ボールペン解除カム63の稜線63cは平面視で前記他のボールペンリフィル50の方向寄りに移動している。
【0015】
この状態で、前記他のボールペンノック棒60の前記スライド突起62を前方へ移動させるか又は前記シャープペンシルノック機構40の前記ノック部42を押圧するかにより、前記ボールペン解除カム63の先端解除斜面63a又は前記シャープペンシル解除カム43の先端解除斜面43aが、該一のボールペンノック棒60の前記ボールペン解除カム63の後端解除斜面63bと当接することで、該一のボールペンノック棒60のスライド突起62と前記係合切欠13aとの係合が解かれ、該一のボールペンリフィル50は前記スプリング61の付勢力により後方へ移動することでその筆記先端51は前記開口部11内へ没入することとなっている。
また、本発明に係る多機能ペンPにおいては、前記ボールペンリフィル50は2本設けられているとともに、前記軸筒10のスライドスリット13の係合切欠13aは、互いの方向へ向かって切り欠かれ、前記各ボールペンノック棒60のボールペン解除カム63は互いの方向へ向かって突出していることが望ましい。
【0016】
(2)第2の発明
上記の第2の課題に鑑み、本願における第2の発明は、上記第1の発明の特徴に加え、前記ノック部42の後端の中心に、前記シャープペンシルリフィル30の筆記先端31と連通する芯補充孔44が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記の構成により、本願における第1の発明においては、シャープペンシルリフィルが非筆記状態においてもボールペンリフィルよりは軸心寄りに位置しているとともに、筆記状態においてはほぼ軸心に位置することが可能となっている。よって、筆記面から筆記先端にかかる力を直線上にその芯繰出機構に伝達可能となっている。
また、本願における第2の発明においては、上記のとおり、筆記状態及び非筆記状態を通じてシャープペンシルリフィルがほぼ軸心ないし軸心寄りの位置を占めることとなっているので、ノック部の後端の中心に芯補充孔を設けることができる。よって、通常のシャープペンシルと同様の感覚できわめて容易に芯の補充が可能となっている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す説明において、「前方」とは多機能ペンPにおいて筆記先端31,51の位置する側を意味し、「後方」とはその反対側、すなわちノック部42の位置する側を意味する。また、「正面側」とは多機能ペンPにおいてたとえば
図1(A)で示す側をいい、「背面側」とは同じく
図1(C)で示す側をいう。
(1)外観
本発明の実施の形態に係る多機能ペンPは、
図1に示すような外観を呈する。すなわち、軸筒10は、前方に位置する先軸16と、後方に位置する後軸17とが、互いに螺合して形成される(
図1(A)〜(C))。軸筒10内部には、後述するように、1本のシャープペンシルリフィル30及び2本のボールペンリフィル50,50が内蔵されている。そして、軸筒10の先端及び後端にはそれぞれ開口部11,12が設けられている。軸筒10先端の開口部11(
図1(A)〜(D))は、該シャープペンシルリフィル30の筆記先端31又は該ボールペンリフィル50,50の筆記先端51,51のいずれかが筆記のために突出し、また没入するためのものである。一方、軸筒10後端の開口部12からは、シャープペンシルリフィル30の繰り出し操作及び芯繰り出しのためのノック操作に用いられる、ノック42部が突出している(
図1(A)〜(C)、(E))。非筆記状態においては、
図1(E)に示すように、ノック部42は軸筒10後端の開口部12の中でやや正面側に偏心している。
【0020】
軸筒10の正面における後端付近には、前後方向にスリットが設けられている。これをガイドスリット18と称する(
図1(A))。このガイドスリット18の中には、後述のシャープペンシルノック機構40の一部であるガイド突起48が前後に移動可能に位置している(
図1(A))。
軸筒10の背面における後端付近には、前後方向の一対のスリットが設けられている。これをスライドスリット13,13と称する(
図1(A)、(B))。各スライドスリット13,13の前端部分は互いに向かって切り欠かれており、この部分を係合切欠13a,13aと称する(
図1(A)、(B))。これらのスライドスリット13a,13aの中には、後述のボールペンノック棒60,60の一部であるスライド突起62,62が前後に移動可能に位置している(
図1(B)、(C))。
【0021】
(2)内部構造
図2は、
図1の多機能ペンPを各断面図で示したものである。
軸筒10内には、1本のシャープペンシルリフィル30及び2本のボールペンリフィル50,50が内蔵されている(
図2(A)〜(C))。また、軸筒10内のほぼ中間(やや後端寄り)には、ガイドスペーサ20が嵌挿されている(
図2(A)、(B))。このガイドスペーサ20には、
図2(C)に示すように、前記1本のシャープペンシルリフィル30及び2本のボールペンリフィル50,50の前後方向への移動を誘導するための3個の誘導孔21,21,21が設けられている。具体的には、これらの誘導孔21,21,21のうち、ほぼ軸心側に位置する1個がシャープペンシルリフィル30を挿通させ誘導するためのシャープペンシル挿通孔24である。また、これより背面側に位置する2個が、ボールペンリフィル50,50を挿通させ誘導するためのボールペン挿通孔28,28である。また、シャープペンシル挿通孔24の正面(
図2(A)中における上方。以下同)寄りには、後方に突出する小突起が形成されており、これをシャープペンシルスプリング受け25と称する(
図2(A)、(C))。ガイドスペーサ20の構造の詳細についてはさらに後述する。
【0022】
シャープペンシルリフィル30の後端は、軸筒10内後方に位置するシャープペンシルノック機構40を貫通するようにしてこれと連結されている。シャープペンシルノック機構40の後端は前記ノック部42と連結している(
図2(A))。なお、このノック部42の最外層を構成するノックキャップ42aを外すと、軸心には芯補充孔44が位置しており(
図2(A)、(B))、ここから芯が補充可能となっている。
シャープペンシルノック機構40の後端の正面側からは、前記ガイド突起48が突出し、軸筒10後端付近のガイドスリット18の中に位置している(
図2(A)、(D))。
シャープペンシルノック機構40の先端側であって、シャープペンシルリフィル30より正面寄りの位置からはスプリング押し棒47が突出している(
図2(A))。このスプリング押し棒47と、先述のガイドスペーサ20のシャープペンシルスプリング受け25との間には、スプリング41が介装され、これによりシャープペンシルノック機構40は常に後方へ付勢されている(
図2(A))。すなわち、シャープペンシルノック機構40を後方へ付勢するスプリング41には、シャープペンシルリフィル30自体は挿通されていない。これにより、圧縮されたスプリング41がシャープペンシルリフィル30と干渉することが回避できている。
【0023】
さらに、シャープペンシルノック機構40の背面側(
図2(A)中における下方。以下同)には、背面側に突出するシャープペンシル解除カム43が設けられている。シャープペンシル解除カム43は、前後方向に延びる突条として形成されており、後述の
図6(E)に示すように、その先端及び後端が各々斜めに削がれた形状となってそれぞれ先端解除斜面43a及び後端解除斜面43bとして形成されており、さらにこれらの間は真っ直ぐな稜線43cとして形成されている。このシャープペンシル解除カム43の機能については後述する。
ボールペンリフィル50,50の後端はそれぞれ、軸筒10内後方に位置するボールペンノック棒60,60に連結されている(
図2(B))。各ボールペンノック棒60,60の先端と、ガイドスペーサ20の後端面との間には、ボールペンリフィル50,50が挿入されているスプリング61,61が介装されている(
図2(B))。このスプリング61,61によりボールペンノック棒60,60は常に後方へ付勢されている。
【0024】
また、各ボールペンノック棒60,60の後端からは先述のスライド突起62,62が突出している(
図2(D))。さらに、
図2(A)に示すように、各ボールペンノック棒60,60の互いに向かい合う辺縁には、ボールペン解除カム63,63が設けられている(なお、同図中では片方のみ視認される。)。ボールペン解除カム63,63は、前後方向に延びる突条として形成されており、後述の
図6(E)に示すように、その先端及び後端が各々斜めに削がれた形状となってそれぞれ先端解除斜面63a,63a及び後端解除斜面63b,63bとして形成されており、さらにこれらの間は真っ直ぐな稜線63c,63cとして形成されている(なお、同図中では各々片方のみ視認される。)。このボールペン解除カム63,63の機能については後述する。
【0025】
また、
図2(D)に示すように、軸筒10後端内周面において、シャープペンシルノック機構を挟んで対向する2箇所が前後方向に肉厚となっており、この部分がガイドレール14,14となっている。これについては後述する。
(3)ガイドスペーサ20
ガイドスペーサ20は、
図3に示すように、略円筒状の外観を呈し、先述の誘導孔21,21,21として、ほぼ軸心に位置するシャープペンシル挿通孔24と、2個のボールペン挿通孔28,28(ただし、図中では1個だけ視認できる)とが設けられている。
そして、シャープペンシル挿通孔24の両側から後端へ、柱状のリフィルガイド22,22が後方へ突出している。このリフィルガイド22,22の後端の、ボールペンリフィル50,50に面した側(すなわち背面側)は斜めに削ぎ落とされた形状の傾斜面を形成している。この傾斜面を、固定カム23と称する。この固定カム23は,シャープペンシルノック機構40の移動を誘導するための構成であるが、詳しくは後述する。
【0026】
一方、各ボールペン挿通孔28,28の軸心寄りの位置には、ボールペンスプリング受け26,26(ただし、図中では片方のみ視認される。)が立設している。このボールペンスプリング受け26は、辺縁側が削ぎ落とされた円筒の内面のような形状を呈している。そして、このボールペンスプリング受け26の、前方部分と後方部分とは、段差を介して曲率半径が異なることとなっている。すなわち後方部分の曲率半径は前方部分の曲率半径より大きい。この前方部分を前方内壁26aと称し、スプリング61先端の座巻き部分を保持する部分である。一方、この後方部分を後方内壁26bと称し、ボールペンノック棒60に押圧されたボールペンリフィル50がその周囲にあるスプリング61とともに軸心寄りに逃げることが可能となっている。そして、これらの間の段差はスプリング受け段差27と称する。換言すると、ボールペンスプリング受け26は、スプリング受け段差27によって、曲率半径が比較的小さい前方内壁26aと、比較的大きい後方内壁26bとに截然と分かたれている。
【0027】
(4)非筆記状態における解除カムの状態
図2に示す非筆記状態においては、シャープペンシル解除カム43及びボールペン解除カム63,63はいずれも、軸筒10内部の最後方に位置している。この状態では、
図4の断面図に示すように、シャープペンシル解除カム43の稜線43cと、2つのボールペン解除カム63,63の各稜線63c,63cとは互いに近接した位置を保持している。この状態において、シャープペンシルリフィル30は軸心よりやや正面寄り(同図中における上方寄り)に偏心した位置にある。
(5)シャープペンシルリフィル30の繰り出し
以下、本実施形態に係る多機能ペンPにおけるシャープペンシルリフィル30の繰り出しについて、
図5の一部側面断面図、
図6及び
図7を適宜参照しつつ説明する。
【0028】
図5(A)に示すように、シャープペンシルノック機構40の両側面からは移動カム46,46が突出している(ただし、図中では手前側のみ視認される。)。この移動カム46,46の先端の背面側は斜めに削ぎ落とされた形状の傾斜面となっている。この傾斜面は、リフィルガイド22の先端の固定カム23の傾斜角度と一致する角度で傾斜している。さらに、シャープペンシルノック機構40の後端の両側には、後方に突出する突起としてのノック機構側係止部45が設けられている。
また、軸筒10内側に一対設けられているガイドレール14,14(
図2(D)、
図4参照)は、
図5(A)に示すように、軸筒10後端縁から所定距離を隔てたところで背面側にずれている。この所定距離とは、シャープペンシルリフィル30の繰り出しに要する距離である。このずれた部分により形成された段差が、軸筒側係止部15,15としての係合段差15,15である(ただし、図中では手前側のみを表している。)。
【0029】
図5(A)に示す繰り出し前の状態、すなわち非筆記状態においては、ノック機構側係止部45,45は軸筒10後端においてガイドレール14,14と接している。この状態からノック部42を手指で押圧すると、シャープペンシルノック機構40が、そのスプリング押し棒47でスプリング41を圧縮しつつ、前方へ移動し始める。このとき、ノック機構側係止部45,45はガイドレール14,14に沿って前方へ移動する。
そして、前記所定距離だけ移動したところで、
図5(B)に示すように、移動カム46と固定カム23とが互いの傾斜面を接するようにして当接することとなる。それと同時に、ノック機構側係止部45,45は、係合段差15,15のところでガイドレール14,14からは一旦外れることとなる。この状態からさらに押圧を続けると、移動カム46は固定カム23の傾斜面に沿って背面側へ滑り、それによりシャープペンシルノック機構40がシャープペンシルリフィル30とともに軸心側へ移動し始める。
【0030】
そして、ノック機構側係止部45,45が再びガイドレール14,14と接したところで、それ以上の押圧は不可能となる。この状態で手指をノック部42から外して押圧を解除すると、圧縮されたスプリング41の付勢力により、シャープペンシルノック機構40が後方へ押し戻される。このとき、
図5(C)に示すように、ノック機構側係止部45,45は係合段差15,15と係合することになる。そしてこれ以上シャープペンシルノック機構40は後方へ移動できなくなる。そして、軸筒10先端の開口部11からは、シャープペンシルリフィル30の筆記先端31が突出し(
図6(A)〜(C)、(E))、多機能ペンPはシャープペンシルとして筆記可能となる。
【0031】
この状態においては、
図6(D)及び(E)に示すように、シャープペンシルリフィル30は多機能ペンPの軸心と一致した位置にある。この状態でノック部42をノックすることで、筆記先端31からは芯が繰り出されることとなっている。そして、
図6(E)に示すように、シャープペンシルノック機構40のシャープペンシル解除カム43はボールペン解除カム63,63の前方に位置している。すなわち、
図7に示すように、シャープペンシル解除カム43はボールペン解除カム63,63の前方で、
図4の状態と比較して背面側に移動している。
(6)ボールペンリフィル50の繰り出し
図6に示すシャープペンシルリフィル30の筆記状態から、ボールペンノック棒60,60のスライド突起62,62のいずれかを操作すると、スライド突起62は軸筒10のスライドスリット13に沿って、スプリング61を圧縮しつつ、前方へ移動する。
【0032】
この間、該ボールペンノック棒60のボールペン解除カム63も前方へ移動する。そしてその先端にある先端解除斜面63aが、その前方に位置しているシャープペンシル解除カム43の後端にある後端解除斜面43bに接近し、やがて当接することとなる(
図6(E)参照)。そしてシャープペンシル解除カム43はボールペン解除カム63により軸心方向へ弾かれることで、ノック機構側係止部45,45と係合段差15,15との係合状態(
図5(C)参照)は
図5(B)に示す状態のように解除されることとなる。そうすると、スプリング41の付勢力によりシャープペンシルノック機構40は後方へ
図5(A)に示す位置まで押し戻されることになり、ノック棒42も正面側へ偏心した位置へ復帰する(
図8(D)参照)。
【0033】
そして
図8(B)に示すように、スライド突起62はスライドスリット13先端の係合切欠13aのところでもう一方の係合切欠13aの方へ移動する。これによって、スライド突起62は係合切欠13aとの係合状態となる。この状態に至ると、軸筒10先端の開口部11からは、ボールペンリフィル50の筆記先端51が突出し(
図8(A)〜(C)、(E))、多機能ペンPはシャープペンシルとして筆記可能となる。
この状態においては、
図9に示すように、繰り出されたボールペンリフィル50側のボールペン解除カム63は、もう一方のボールペン解除カム63及びシャープペンシル解除カム43の前方へ位置することとなっている。
【0034】
なお、上記のボールペンリフィル50の繰り出しは、
図1に示す非筆記状態から実行された場合、ノック機構側係止部45,45と係合段差15,15との係合状態(
図5(C)参照)の解除が伴わないのみで、ほぼ同様に進行するものである。
そして、この状態では、
図8(E)に示すように、ボールペンリフィル30はガイドスペーサ20の位置で屈曲した状態を取りつつ筆記先端31は軸心に位置している。このとき、ガイドスペーサ20の後方におけるボールペンスプリング受け26の後方内壁26b(
図3参照)が、屈曲したボールペンリフィル30により軸心方向に押しつけられたスプリング61が逃げるためのスペースとして確保されており、この状態におけるスプリング61の損傷が回避できることとなっている。
【0035】
この
図8に示すようなボールペンリフィル50の筆記状態から、もう一方のボールペンリフィル50のボールペンノック棒60のスライド突起62を操作すると、該ボールペンノック棒60のボールペン解除カム63の先端解除斜面63aが、
図9に示す状態から、筆記状態にある方のボールペン解除カム63の後端解除斜面63bと当接することで、そのスライド突起62と係合切欠13aと係合状態(
図8(B)参照)は解除される。そして、圧縮されていたスプリング61(
図8(E)参照)の付勢力によって、筆記状態にあったボールペンリフィル50は後方へ押し戻され、
図1に示す状態へと復帰することになる。なお、もう一方のボールペンノック棒60のスライド突起62の操作の代わりにノック部42を操作すると、
図9に示す状態から、シャープペンシル解除カム43の先端解除斜面43aが、筆記状態にある方のボールペン解除カム63の後端解除斜面63bと当接することで、そのスライド突起62と係合切欠13aと係合状態(
図8(B)参照)は解除される点を除けば、同様にして
図1に示す状態への復帰が行われる。
【符号の説明】
【0037】
P 多機能ペン
10 軸筒 11 先端の開口部 12 後端の開口部
13 スライドスリット 13a 係合切欠 14 ガイドレール
15 軸筒側係止部(係合段差) 16 先軸
17 後軸 18 ガイドスリット
20 ガイドスペーサ 21 誘導孔 22 リフィルガイド
23 固定カム 24 シャープペンシル挿通孔
25 シャープペンシルスプリング受け 26 ボールペンスプリング受け
26a 前方内壁 26b 後方内壁 27 スプリング受け段差
28 ボールペン挿通孔
30 シャープペンシルリフィル 31 筆記先端
40 シャープペンシルノック機構 41 スプリング
42 ノック部 42a ノックキャップ 43 シャープペンシル解除カム
43a 先端解除斜面 43b 後端解除斜面 43c 稜線
44 芯補充孔 45 ノック機構側係止部 46 移動カム
47 スプリング押し棒 48 ガイド突起
50 ボールペンリフィル 51 筆記先端
60 ボールペンノック棒 61 スプリング 62 スライド突起
63 ボールペン解除カム 63a 先端解除斜面 63b 後端解除斜面
63c 稜線