(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにシート先端をレジストローラ対の直前に配置したゲートストッパに突き当て、先端揃えした後にストッパを退避させてローラニップ点でシートをくわえ込んで下流側に給送する。このようなレジスト修正機構を用いた場合に次の(1)スキュが完全に修正されない問題と、(2)シートに皺、先端折れが発生する問題が知られている。
【0008】
この問題を
図11に従って説明する。同図(a)に示すように給紙ローラ150とレジストローラ151でシートを下流側に給送する。両ローラの間にシートを湾曲させるレジストエリア152とゲートストッパ153を配置する。そして給紙ローラ150でシートをレジストローラ側に給送しゲートストッパ153に突き当てる。この状態でさらに給紙ローラ150によってシートを送り込むとシートはループ状に湾曲する。
【0009】
同図に示すA−ラインは、シート先端側の湾曲変形量は小さく(δy)シート後端側は湾曲変形量が大きい(δx)。これと反対にB‐ラインはシート先端側の湾曲変形量が大きく(δx)シート後端側の湾曲変形量は小さく(δy)形成されている。またC−ラインはシート先端側の湾曲変形量が大きく(δx)変形している。また、上記A−ラインはシート送りライン(同図一点鎖線)とストッパ面153sの交差点zとほぼ一致する位置に突き当たり、B−ラインは上方にオフセットした位置に、C−ラインは下方にオフセットした位置に突き当るように送られている。
【0010】
上記A−ラインは適度に腰が強くカールを帯びていないシートの場合に、B−ラインは先端側が反り返るようにカールしたシートのとき、C−ラインは腰が弱い薄紙シートが送り込まれた場合に発生する。
【0011】
そこでゲートストッパ153を同図破線の状態に退避させると、A−ラインのシートは先端揃えされた状態でレジストローラのニップ点にくわえ込まれる。しかしB−ラインのシートは先端がスキュした状態(矯正されない状態)でローラニップ点にくわえ込まれる。また、Cラインは先端折りされた状態でニップ点にくわえ込まれる。
【0012】
これは、同図(b)に示すようにストッパに係止されたシート先端部の湾曲変形量が小さく直線的な平坦形状のときには矯正したシート先端のスキュ量はシート後端側の湾曲部に歪み(内部ストレス)が集中する。このことは先端が斜傾しているシートを直線形状のストッパ面に突き当てると最も変形しやすい部分に歪みが伝播され、平坦状のシート面の歪みは少なく湾曲状のシート面の歪みは大きくなる。
【0013】
従って、A−ライン形状のシートループの場合には斜傾した先端を矯正したシート歪みは後端側の湾曲部に残留するためシート先端は比較的正しい姿勢で下流側に送り出される。ところが、B−ライン形状のシートループのときには、先端の矯正で発生したシート歪みは先端の湾曲部に残留するため、ストッパ面が退避すると直ちに元のスキュ姿勢に戻ってしまう(同図(c)参照)。
【0014】
このような状態でゲートストッパ153を退避させるとシート先端の姿勢を矯正したことによって生ずるシートの歪みは先端の湾曲部に残留し、ストッパが規制解除されると直ぐに元に戻ってしまう(原状に復する)のみで、なんらスキュが修正されないこととなる。
【0015】
このように給紙ローラから繰り出したシートをレジスト空間内でスキュ修正するときには、まずシート先端を正しいストッパ面に突き当て規制すること、次いで先端をストッパ規制したシートをシート先端側は平坦で後端側が湾曲するようにループ形成する。このループ形成によって先端の矯正によって発生したシートの歪みをシートの後端側に慣らすように伝播させる。最後にシート後端が給紙ローラのニップから離脱したときにシートの歪みがシート先端側に伝搬しないように工夫する必要がある。
【0016】
そこで本発明者はレジスト空間内に第1、第2角度姿勢に変位する前端側ガイド部材を設け、第1の角度姿勢ではシート先端をストッパ面の正しい位置に案内し、同時にレジストローラのニップ部に案内する。そして第2の角度姿勢ではレジストローラから繰出すシートの後端側に残留するシートの歪みで皺、折れなどシートを棄損しないようにガイドするとの着想に至った。
【0017】
本発明はシートを先端揃えして下流側に給送する際に、シートのスキュを確実に矯正することが可能であると同時に先端折れを招くことのない給紙装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を達成するため本発明は以下の構成を採用する。シート先端を係止するゲートストッパの上流側に固定ガイド部材と前端側ガイド部材をこの順に設け、上記前端側ガイド部材をシート先端をストッパ面に案内する第1角度姿勢と、固定ガイド部材と間隔を隔てて対向する第2角度姿勢との間で変位可能に構成する。
上記ゲートストッパはシート先端と係合する作動位置と、待機位置との間で移動可能にシフト手段に連結する。そして上記前端側ガイド部材を上記ゲートストッパがシート先端から離間した離間位置から待機位置に移動する動作に連動して第1角度姿勢から第2角度姿勢に変位することを特徴としている。
【0019】
更にその構成を詳述すると、距離を隔てた給紙ローラ(40)とレジストローラ(41)でシート姿勢を矯正して下流側の処理位置に給送する装置であって、給紙ローラ(40)とレジストローラ(41)の間には、シート先端を一時的に係止するゲートストッパ(43)と、シートをループ状に湾曲変形させるレジストガイド手段と、ゲートストッパを作動位置と待機位置との間で移動するシフト手段(66)と、給紙ローラとレジストローラとシフト手段を制御する制御手段(95)とを備える。
【0020】
上記レジストガイト手段は、装置フレーム(不図示)に固定され、湾曲するシートのループ後端側を位置規制する後端側ガイド部材(60)と、装置フレームに揺動可能に支持され、湾曲するシートのループ前端側を位置規制する前端側ガイド部材(61)と、で構成する。
また上記前端側ガイド部材は、給紙ローラから送られたシート先端をゲートストッパに向けて案内する第1の角度姿勢(
図4の状態)と、ループ状に湾曲するシートの先端部を後端側ガイド部材と略並行する規制面で位置規制する第2の角度姿勢(
図7の状態)と、の間で揺動自在に構成する。
【0021】
上記シフト手段は、ゲートストッパを、シート先端を係止する作動位置、シート先端から離間した離間位置、シート経路から退避した待機位置の順に移動するように構成し、このシフト手段と前端側ガイド部材とは、ゲートストッパが作動位置から離間位置に移動するときには非係合状態で前端側ガイド部材は第1角度姿勢に保持され、ゲートストッパが離間位置から待機位置に移動するときには係合状態で前端側ガイド部材を第1角度姿勢から第2角度姿勢に変化するように連動する。
また上記給紙ローラは、互いに圧接するローラ対の接線方向が第1の角度姿勢の前端側ガイド部材に向くように傾斜配置すると共に、このローラ対の周速度はレジストローラの周速度より高速に設定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、シート先端を係止するゲートストッパの直前に前端側ガイド部材を設け、その角度姿勢を
、第1角度、第2角度の間で揺動させると共に、ゲートストッパの作動位置から
離間位置を経て待機位置への動作でシートから離間した後に前端側ガイド部材を第1角度姿勢から第2角度姿勢に変位するように連動させたものであるから以下の効果を奏する。
【0023】
シート先端は第1角度姿勢の前端側ガイド部材によってストッパ面に案内されるから、先端折れを招く恐れが少ない。つまりシート先端がストッパ面の中心(シートパスと直交する交差点「z」;
図11参照)に案内され、この中心から上下何れにも大きく位置ずれしないからローラニップ時に先端折れを招く恐れがない。
【0024】
これと共に、先端をストッパ面に突き当てられたシート中央部は第1角度姿勢で湾曲変形量が規制され、ゲートストッパ退避後にレジストローラにニップされることとなる。従って、この湾曲変形量の規制でシートは先端側を平坦面に後端側を曲面に形状規制することが可能であるから、ストッパ退避後にシート先端が元のスキュ状態に戻ることなく、正しい姿勢に矯正されレジストローラから搬出される。
【0025】
また、本発明は、給紙ローラをレジストローラより周速度が高速となるように設定してあるから、シート後端が給紙ローラから離脱するまでシートのループ量はレジスト空間内で増大し続けるから、スキュ矯正によって発生したシートの歪みは、このループによって吸収され、シートに皺が発生することがない。
【0026】
更に本発明は、前端側ガイド部材をゲートストッパに連動して角度位置をシフトする際に、第1角度位置ではゲートストッパと非係合状態でガイド部材が独立して遊動する連動機構を採用することによって前端側ガイド部材はシートの腰の強さに応じてストッパ面の正しい位置にシート先端を案内することができる。後述する実施形態においては前端側ガイド部材はゲートストッパと非係合状態で支持軸を中心に独立して揺動可能に構成してある。
【0027】
このように本発明は、レジストローラのニップ点上流にゲートストッパを設けてシート先端をレジスト修正(矯正)させた後にストッパを解除してニップ点にシート先端を案内する。このときシート後端側にはレジストループが確保されていることと、スキュ矯正によるシートの歪み(内部ストレス)は後端側に慣らされて伝播しているからシートがスキュ(斜傾)した元の状態に戻ることがない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図示の実施形態に基づいて本発明を詳述する。
図1は本発明に係わる画像形成システムを示し、シート上に画像を形成する画像形成装置Aと、画像形成されたシートを折り処理するシート折り装置Bと、シートに後処理を施す後処理装置Cとで構成されている。
画像形成装置Aはその構成を後述するが、
図1に示すように給紙部3からのシートを繰り出し、画像形成部7で画像形成した後、排紙口18から搬出するように構成されている。図示20はスキャナユニットでありプラテン21に準備された原稿をスキャニングして画像データを画像形成装置Aに給送する。図示25は原稿給送ユニットであり、プラテン上に原稿シートを給送する。
【0030】
シート折り装置Bは装置ハウジング29に搬入口30から搬入した画像形成済みシートを折り処理する折りロール41b、49を備えている。搬入口30から送られたシートを先端揃えした後にスイッチバック経路34に給送し、シートの折り位置を折りロール41b、49に臨ませる。そしてこの折りロール41b、49で折り処理した後に搬出口31から搬出する。
【0031】
後処理装置Cはシート折り装置Bで折り処理又は折り処理することなく送られたシートを搬入口69で装置内に搬入する。そしてシートにパンチ処理を施して処理トレイ72に集積する。処理トレイ72にはステープル装置77が配置され、処理トレイ上に部揃え集積されたシート束を綴じ処理する。そして処理トレイ72に連結されたスタックトレイ70にシートを搬出する。
【0032】
画像形成装置A、シート折り装置B、後処理装置Cの詳細な構成については後述する。本発明はシート折り装置Bに内蔵してある給紙機構(給紙装置)に特徴を有する。以下シート折り装置、給紙機構、画像形成装置、後処理装置の順に説明する。
【0033】
[シート折り装置]
図2にシート折り装置Bの全体構成を示す。装置ハウジング29に搬入口30と搬出口31が形成され、搬入口30からの搬出口31にシートを給送する。搬入口30は画像形成装置Aに、搬出口31は後処理装置Cに連結される。搬入口30と搬出部31との間にはシート搬入経路32が形成されている。
このシート搬入経路32は略直線経路で装置ハウジング29を横断する経路構成に配置されている。このシート搬入経路32には搬入口30から搬出口31に給紙ローラ対40(40a、40b)、レジストローラ対41(41a、41b)、搬出ローラ対62(62a、62b)が上流側からの下流側にこの順に配置されている。
【0034】
上記シート搬入経路32の経路中央には折りロール機構が配置され、図示のものは互いに圧接された第1折りロール49と第2折りロール41bと第3折りロール50で構成されている。
なお第2ロール41bはレジストローラと共通のロールで構成してあるが、これはそれぞれ個別のローラで構成しても良い。このように折りロール機構を備えたシート搬入経路32の上方には第1スイッチバック経路34が、下方には第2スイッチバック経路35が配置されている。
【0035】
そしてシート搬入経路32から送られたシート先端を第1スイッチバック経路34に送り、シートの折り目位置を第1第2折りロール対49、41bのニップ点Np1に案内して一次折り処理する。これによってシートの1/2、1/3、1/4位置を折り処理することが出来る。
【0036】
一次折りしたシートは、第1折りロール49の周面に沿って搬出口31に送るか、第2スイッチバック経路35に送る。前者はシートを1/2又は1/4位置で1回折り処理して排紙口31から後処理装置Cに送る。後者は第2スイッチバック経路35に案内して2次折り処理する。
【0037】
第2スイッチバック経路35に案内されたシートは第1第3折りロール49、50のニップ点Np2で二次折りされ、排紙経路37から折りシート用のスタッカ65に収納される。このようにシートを1/3レータ折り(内3ツ折り、Z折り)した折りシートはスタッカ65に収納し、シートを1/2折り、1/4Z折りなどファイリング仕様の折りシートは搬出口31から後続する後処理装置Cに送られる。
【0038】
[給紙機構]
上述のシート折り装置Bに内蔵されている給紙機構について説明する。
図3はその要部機構を示し、
図4は
図3の機構におけるレジスト動作状態を示す。
シートの搬入口30には給紙ローラ対40(40a、40b)が配置され、このローラ対の下流側に距離L1を隔ててレジストローラ対41(41a、41b)が配置されている(
図4参照)。給紙ローラ対40とレジストローラ対41との間にはレジストエリアArを形成するレジストガイド手段(後述する後端側ガイド60と前端側ガイド61)が設けられている。その構成については後述する。
【0039】
また、レジストローラ対41のニップ点の直前(上流側)にはゲートストッパ43が配置されている。このゲートストッパ43には後述するシフト手段66が連結されている。
【0040】
前記レジストローラ対41の下流側には搬出ローラ対62(62a、62b)が配置され、給紙ローラ対40から送られたシートをレジストローラ対41でスキュ修正した後に折りロール機構(41b、49、50)で折り処理を施す。このシートは搬出ローラ対62から下流側の後処理装置Cに搬出されるか、若しくは折り処理しスタッカ65に送られる。
【0041】
給紙ローラ対40は、互いに圧接した従動ローラ40aと駆動ローラ40bとで構成されている。そして互いの圧接点が
図4に示すようにレジスト空間Arの中心方向に傾くように傾斜した方向(図示角度θ)に圧接されている。
つまりローラ40aとローラ40bは圧接点の接線方向が下流側のレジストローラ対41の圧接点に向かう方向に対して角度θだけレジスト空間Arの中心側に傾いている。
このように両ローラの圧接点を(下流側の)レジストローラ対の圧接点方向に対してレジスト空間Ar側に傾斜させた理由は、給紙ローラ対40から可動ガイド部材(後述する)にシート先端を案内し、このガイド部材のガイド面に沿ってレジストローラ対41の圧接点にシート先端を案内するためである。
【0042】
更に、駆動ローラ40bは従動ローラ40aより大径(図示のものは約2倍)で、大小異なる径に形成されている。これと共に駆動ローラ40bはゴムなどの軟質素材で、従動ローラ40aはデルリンなどの硬質素材で構成されている。これによってローラ間に搬入されたシートは
図4矢印方向に反り返るように送られる。
つまり互いに圧接するローラ間でシートはレジスト空間側に位置する従動ローラ40aに沿って反り返るように搬入されシート先端はレジスト空間Ar中心部に送られる。
【0043】
また、給紙ローラ対40をレジスト空間Ar側(上方)に位置する従動ローラ40aを小径に、下方に位置する駆動ローラ40bを大径(
図4におけるdb>da)に形成したのは、ローラニップ点を離脱したシート後端は大径の駆動ローラ周面を滑りながらその位置に保持される。
【0044】
上記給紙ローラ対40と距離L1を隔てて下流側にレジストローラ対41が配置され、互いに圧接する駆動ローラ41bとピンチローラ41aで構成されている。このレジストローラ対41はゲートストッパ43と協働して給紙ローラ対40から送られたシートを一時的に待機させて、処理タイミング(図示のものは折り処理動作)に応じて下流側の処理位置にシートを移送する。
【0045】
図示の駆動側レジストローラ41bは第2折りロールを兼用している。このため搬入口30からシートを搬入するとき、レジストローラ41bが先行するシートの折り処理のために回転しているタイミングが存在する。このため、給紙ローラ対40で搬入したシートをレジストローラ41bの手前側で停止させてシート先端を突き当てて係止するゲートストッパ43が設けてある。
【0046】
ゲートストッパ43は、
図4(
図5乃至
図8はその動作状態)に示すように装置フレーム(不図示)に支軸43xで揺動可能に軸支持されている。このゲートストッパ43はアーム形状(レバー形状)の部材で構成され、その基端部を装置フレーム43に支軸43xで揺動可能に支持され、先端部にシート先端を係止するストッパ面43Sが設けてある。
【0047】
このストッパ面43Sは給紙ローラ対40からレジストローラ対41に至るシートの経路に進入した作動位置と、この経路から退避した待機位置との間で揺動可能に支持されている。
図4及び
図5はストッパ面43Sが作動位置に位置する状態を示し、
図7及び
図8はストッパ面43Sが待機位置に位置する状態を示している。
そして作動位置の時には給紙ローラ対40からレジストローラ対41に至るシート先端をストッパ面43Sで係止し、待機位置の時にはシート先端を係止解除してレジストローラ対41に送る。また
図6の状態は作動位置から待機位置に移動する動作途中でストッパ面43Sがシート先端から離れた離間状態を示している。
【0048】
図4においてArはレジスト空間(レジストエリア)を示す。レジスト空間Arは給紙ローラ対40とレジストローラ対41の間に配置され、給紙ローラ対40から繰り出したシートをゲートストッパ43で先端を停止させてループ形状に湾曲させる。
このシートの湾曲変形はシート先端に生じているスキュ(傾斜)を修正するためである。給紙ローラ対40とレジストローラ対41との間にシートをループ状に湾曲させるレジスト空間Arは、ループ後端部(給紙方向後端側)を位置規制する後端側ガイド部材60と、ループ先端部を位置規制する前端側ガイド部材61でエリア形成されている。
【0049】
給紙ローラ対40から繰り出しシートをゲートストッパ43でスキュ修正した後にレジストローラ対41で下流側の処理位置(折りロール機構)に給送する動作を
図4乃至
図8に示す。
なお
図4は給紙スタート状態を、
図5はシート先端係止状態を、
図6はレジストローラ係合状態を、
図7はレジストローラ下流側への給送状態を
図8はシート後端が給紙ローラ対40から離脱した状態を示している。
【0050】
そこで、後端側ガイド部材60はガイド面(規制面)60gを有する板状部材で装置フレームに固定されている。ガイド面60gはシートの搬送方向シート搬送方向と略直交する方向に配置されている(
図4参照)。
一方、前端側ガイド部材61はガイド面(規制面)61gを有する板状部材で、装置フレームに揺動可能に軸支持されている。
図4においてガイド部材61は支軸64xで揺動可能に(装置フレームに)軸支持され、この支軸にはガイドコロ64が設けられている。
このガイドコロ64はシートがレジストローラ対41から下流側に搬送されるときループ状に湾曲したシートの背面(上面)と係合してシートの部分的変形(歪曲、皺)をシート後端側に慣らせる作用を果たす。
【0051】
そして前端側ガイド部材61は
図4、
図5、
図6の第1角度姿勢と、
図7及び
図8の第2角度姿勢の間で揺動可能に構成されている。
第1角度姿勢では
図4に示すように前端側ガイド部材61は給紙ローラ40から送られたシート先端をガイド面61gに沿ってストッパ面43Sに向けて案内する。
また第2角度姿勢では、
図7及び
図8に示すように前端側ガイド部材61は、後端側ガイド部材60との間のレジストエリアAr内にシートループを形成させ、このループ状シートをレジストローラ対41と給紙ローラ対40で下流側に給送する。
【0052】
このため後端側ガイド部材60の規制面60gと前端側ガイド部材61の規制面61gは間隔L2を隔てて略並行する状態で対向する壁面を形成している。
なお、
図4における後端側ガイド部材60に形成されている係止部60sは揺動可能な前端側ガイド部材61を第1角度姿勢に位置決めするストッパである。
【0053】
次に前述のゲートストッパ43の駆動機構について説明する。前述したようにゲートストッパ43は作動位置(
図4)、離間位置(
図6)、待機位置(
図7)の間で移動可能に支軸43xに軸支持されている。そしてこのゲートストッパ43には作動位置と待機位置の間で往復動するシフト手段66が設けてある。
【0054】
シフト手段66は
図4に示すように電磁ソレノイドSL(モータその他のアクチュエータ)と、付勢スプリング66sと、図示しないストッパとで構成されている。付勢スプリング66sは
図7乃至
図8の状態の待機位置側にゲートストッパ43を付勢し、この位置に設けられている図示しないストッパに係止されている。
従って装置電源OFFの状態ではゲートストッパ43は待機位置に保持されている。そしてゲートストッパ43は電磁ソレノイドSLに通電されると付勢スプリング66sに抗してストッパ面43Sがシート経路に進入して
図4乃至
図5の状態にシート先端を係止する。
【0055】
[ゲートストッパと前端側ガイド部材の連動機構]
前述したように前端側ガイド部材61は第1角度姿勢(
図4、5)と第2角度姿勢(
図7、8)との間で揺動可能に支軸64xに支持されている。そしてこのガイド部材はゲートストッパ43と連動して各角度姿勢に変位するようになっている。以下その連動機構について説明する。
【0056】
ゲートストッパ43には係合ピン43pが植設され、この係合ピン43pと、ガイド部材61に植設された連結ピン61pとの間は圧縮スプリング67で連結されている。この係合ピン43pと、連結ピン61pと、圧縮スプリング67の位置関係は、ゲートストッパ43のストッパ面43sがシートから離間した離間位置(
図6の状態)で圧縮スプリング67の作用でゲートストッパの待機方向移動動作にガイド部材61が連動するようになっている。
【0057】
図4に示すように圧縮スプリング67のいずれか一方の連結フック67hとピン(図示のものはに係合ピン43p)との間に非係合域Δxが設けられている。
従って
図4の第1角度姿勢では前端側ガイド部材61はΔx内ではゲートストッパ43と非係合状態となり独立して揺動運動することとなる。
そしてゲートストッパ43が離間位置(
図6)から待機位置(
図7)に移動するときには前端側ガイド部材61は第1角度姿勢から第2角度姿勢に移動する。
なお、本発明にあって、ゲートストッパ43と前端側ガイド部材61とは係合ピン43pと圧縮スプリング67の連結フック67hで連結する構成を示したが、これはゲートストッパ43に前端側ガイド部材61とピンスリット結合、カム係合機構で連結してもよい。
【0058】
次に上述したレジスト機構における給紙動作を説明する。
図4は給紙初期状態を示し、給紙ローラ40でシートはレジスト空間Arに送られる。このとき前端側ガイド部材61は第1角度姿勢(シート先端をストッパ面に案内する角度姿勢)に位置付けられ、同時にゲートストッパ43はシート経路内の作動位置に位置している。
給紙ローラ40の搬送動作でシート先端はガイド面61gに沿ってゲートストッパ43のストッパ面43sに案内される。このとき給紙ローラからシートは同図に示す矢印方向に搬送力を受け、腰が弱いシートであっても確実にシート先端はガイド面61gに突き当たる。
【0059】
次に
図5に示すように給紙ローラの送り動作でシート先端がゲートストッパ43のストッパ面43sに突き当たると、同図のようにシートはガイド面61gに規制された状態でループ状に湾曲する。このループは送り方向先端側は直線に近い状態で、後端側は湾曲した状態となる。
従ってスキュしたシートの先端をストッパ面で矯正することによって発生したシートの歪みは後端側の湾曲部に伝播される(このことは
図11に基づいて前述した通りである)。
【0060】
なお、ゲートストッパ43のストッパ面が退避するタイミングは先行するシートの処理タイミングによって異なる。その関係で前端側ガイド部材61のガイド面61gに規制されるシートのループも
図5(b)に示すようにループ量が大小異なる。このときループ量が大きいのと同時にシートの腰が強いとシート面に皺が発生することがある。
そこでガイド面61gはゲートストッパ43と非係合(前記非係合域Δx)状態であるため、シートの湾曲量に応じてガイド面は図示角度βの範囲内で角度変化する。これによってシートの皺を軽減することが出来る。
【0061】
次に
図6に、ゲートストッパ43がシート経路から待機位置方向に退避する初期状態を示す。電磁ソレノイドSLをOFFすると付勢スプリング66sの作用でゲートストッパは作動位置から待機位置方向に揺動する。このときストッパ面43sは
図5の状態から
図6の状態に退避位置に移動する。するとシート先端はレジストローラのニップ点に進入する。
【0062】
このとき、スキュしたシート先端はストッパ面で矯正され、その矯正によって生じたシートの歪みは後端側の湾曲部に伝搬されているから、ストッパ面の退避によってシート先端がフリー状態になっても元のスキュ状態に戻ることがない。
なお、この
図6の状態(ゲートストッパ43がシート経路から離間した状態)のガイド面61gは上方に揺動可能(図示角度β)となっている。
従って給紙ローラ40が高速でシートを繰り込んでもシート先端はレジストローラ間に確実に案内される。
【0063】
次に
図7の状態は、先端がレジストローラ対41にニップされたシートは下流側の折り処理位置に搬送される。このとき前端側ガイド部材61は、ゲートストッパ43と係合状態であるため、ゲートストッパ43と連動して第1角度姿勢から第2角度姿勢へ姿勢変更している。
そして給紙ローラ40はレジストローラ41の周速度より高速(Va>Vb)に設定されているからシート先端はレジストローラから下流側に送られるのと同時にシート後端はレジスト空間Ar内に徐々にループが増大する。
【0064】
この状態を同図に示すようにループLp1からループLp2、ループLp3に湾曲量が徐々に増大する。このループ量変化でシート先端をスキュ修正した矯正歪み図示のようにシート後端方向に慣らされるように移動する。従って皺の発生し易い特殊シートであっても皺が発生することがない。
【0065】
更に、
図8はシート後端が給紙ローラ40から離れた状態を示す。このときシートは同図に示すループLp3からLp2、Lp1の順に徐々に湾曲量が減少してシート先端はレジストローラ41から下流側に送られる。
このときシートに残留しているスキュ修正の矯正歪みはシート後端が給紙ローラ40から開放されたとき歪み解消される。その後はループが減少しながらスムーズにレジストローラ41から搬出され、搬出過程でシートに新たな皺、折れなどが発生することがない。
【0066】
以上、給紙機構が搬入口30からシートを折り処理位置に給送する給紙動作(折り処理モード)について説明した。この他、
図2の装置は搬入口30から折り処理することなく搬出口31にシートを給送する給紙動作(ストレート排紙モード)が可能に構成されている。このストレート排紙モードについて
図9に従って説明する。
【0067】
給紙ローラ40は先のモードと同様に搬入口30から装置内にシートを送り込む。レジストローラ対41は給紙ローラ40から送られたシートを経路から退避した状態に保持される。
このため、ストレート排紙モードが選択されたときには、レジストローラ対41とゲートストッパ43は経路から退避した状態に保持される。
そして給紙ローラ40から送られたシートは離間したレジストローラの間を通過して搬出ローラ62に案内される。
【0068】
このときレジスト空間内でカールしたシートが紙詰まりを起こさないように配慮する必要があり、図示のものは前端側ガイド部材61を前述の第1ガイド姿勢に位置決めしている。
このため、支軸64xを中心に揺動自在に構成され、ゲートストッパ43に連動して第1角度姿勢から第2角度姿勢に連動する前端側ガイド部材61は、ゲートストッパ43が待機位置に移動しても第1ガイド姿勢に維持される。
【0069】
ゲートストッパ43は、ピンチローラ41bを作動位置(
図9(a);圧接位置)から退避位置(
図9(b);離間位置)移動するレバー機構に連動して作動位置(ストップ位置)から待機位置(ストップ解除位置)に移動する。
これと共にゲートストッパ43が作動位置から退避位置に移動する動作で、先端側ガイド部材61は第1角度姿勢に保持されるようになっている。その機構について説明する
【0070】
図9(a)は、先の折り処理モードにおける給紙動作状態を示す。レジストローラ対41を構成するピンチローラ41aはブラケット100で図示上下方向に移動可能に装置フレームに支持されている。このブラケット100には折曲げ係合片100aが設けられ、この係合片に駆動軸102xに設けたカムレバー101が互いに係合する位置に設けられている。
【0071】
そこで
図9(b)に示すようには駆動軸102xが時計方向に揺動するとブラケット100は上方に移動し、これに取り付けられたピンチローラ41aは対向するレジストローラ41bから離間する。また、上記駆動軸102xには伝動レバー102が連結され、この伝動レバー102は作動レバー103とカムピン103pで連結されている。作動レバー103は揺動軸103xでフレームに揺動可能に支持されている。
【0072】
そして同図(b)に示すように駆動レバー102が時計方向に所定角度揺動すると、作動レバー103は軸103xを中心に反時計方向に揺動回転する。このレバーの回転でレバー先端は前端側ガイド部材61を第1角度姿勢に保持する。このとき前端側ガイド部材61はゲートストッパ43に圧縮スプリング67で連結されているが、このスプリング伸張によってゲートストッパの退避動作にかかわらず前端側ガイド部材61は第1角度姿勢に維持されている。なお、図示104はマイラカバーであり、ピンチローラ(折りローラ)41bの周面にシート先端が引っ掛かるのを防止する。このためマイラカバー104には図示しない揺動機構が設けてある。
【0073】
[シート折り装置]
シート折り装置Bの詳細な構成について、
図2に従って説明する。シート折り装置Bは画像形成装置A或いは後処理装置Cに内蔵されるか、これらとは別に独立した装置(スタンドアロン構成)として構成する。図示のものは画像形成装置Aと後処理装置Cの間に配置され画像形成システムを構成している。そしてシート折り装置Bを後処理装置Cにオプションユニットとして付設するようになっている(
図1参照)。
【0074】
そこでシート折り装置Bは、
図2にその全体構成を示すが装置ハウジング29に搬入口30と搬出口31を設け、搬入口30は上流側の画像形成装置Aの本体排紙口18に連なる位置に、搬出口31は下流側の後処理装置Cのシート受入口69に連なる位置に配置している。
図2に示すように搬入口30と搬出口31は装置ハウジング29を横断するように対向配置されている。
【0075】
そしてこの搬入口30と搬出口31との間には搬入口30からのシートを折り処理することなく搬出口31に搬出する第1搬送経路32と、搬入口30からのシートを折り処理して搬出口31に搬出する第2搬送経路33が配置されている。この経路には、シートを所定方向に移送する「搬送機構」と、シートを折り処理する「折り処理機構」が配置されている。
【0076】
[経路構成]
図2に示すように装置ハウジング29には第1搬送経路(以下「第1経路」という)32が搬入口30と搬出口31との間に配置されている。この経路は図示のように直線経路で水平方向に配置しても、或いは曲線経路で構成しても、垂直方向に配置することもいずれも可能である。この第1経路32は上述したように搬入口30からのシートを折り処理することなく搬出口31に案内する。
【0077】
また上記第2搬送経路(以下「第2経路」という)33は搬入口30からのシートを折り処理する経路として構成する。この第2経路33には折り位置Np1(Np2)に後述する折り処理手段48が配置され、その折り位置(後述の第1ニップ部)Np1に一次折りするためのシート先端を案内する第1スイッチバック経路34と、折り処理したシートを二次折りするための折りシート先端を折り位置(後述の第2ニップ部)Np2に案内する第2スイッチバック経路35とから構成される。そしてこの第2経路33には、第2ニップ部Np2からの折シートを搬出口31に向けて搬出する第3搬送経路(以下「第3経路」という)36が連設されている。
【0078】
上記第2経路33は、上記第1経路32と交差して、第1経路32の上方にシートを案内する経路端部と、第1経路32の下方にシートを案内する経路端部で構成する。
図2の実施形態では、折り処理する第1ニップ部Np1にシート先端を案内する第1スイッチバック経路34が第1経路32の上方に、折り処理したシートを下流側に案内する第2スイッチバック経路35が第1経路32の下方に配置されている。
【0079】
このように第1経路32と第2経路33とは、交差するように配置するが、シートを折り位置(後述の第1ニップ部)Np1に案内する第1スイッチバック経路34を第1経路32の下方に、折り処理したシートを下流側に案内する第2スイッチバック経路35を経路32の上方に配置しても良い。
【0080】
また、第1経路32を鉛直方向に配置する場合には第1スイッチバック経路34を鉛直方向の第1経路32の右側(又は左側)に、第2スイッチバック経路35を経路の左側(又は右側)に配置する構成となる。なお、上記第2スイッチバック経路35は
図2の実施形態ではシートを二次折りする為に第2ニップ部Np2に折シートを案内する関係でシートの送り方向を反転するように構成しているが、シートを二次折りしない場合には、直進する経路とすることも可能である。
【0081】
上記第2経路33には、折り処理されたシートを搬出口31に案内する第3経路36が連設されている。図示の第3経路36はシートを二次折りする第2ニップ部Np2と搬出口31との間に設けられている。この第3経路36には折シートを搬出口31とは異なる排紙口51から収納スタッカ65に案内する排紙経路37が配置されている。
【0082】
上述のように構成される第1スイッチバック経路34は、
図2に示すように曲率R1を有する円弧状に湾曲した経路で構成され、上記第2スイッチバック経路35は
図2に示す曲率R2を有する円弧状に湾曲した経路で構成されている。また上記第3経路36に連なる排紙経路37も曲率R3を有する円弧状に湾曲した経路で構成されている。
【0083】
そして第1経路32からのシートを一次折り位置(第1ニップ部)Np1に案内するための第1スイッチバック経路34の経路長m1と、一次折りされた折シートを二次折り位置(第2ニップ部)Np2に案内するための第2スイッチバック経路35の経路長m2とは、経路長m1>経路長m2となるように構成されている。
【0084】
更に折り処理されたシートを第2ニップ部Np2から収納スタッカ65に案内する排紙経路37の経路長m3は、m3<m2<m1となるように構成されている。これは、一次折り位置(第1ニップ部)Np1を第1経路32の近傍に配置すると、その結果として各経路長をm3<m2<m1とすることが経路構成のコンパクト化をもたらす。
【0085】
そして、第1スイッチバック経路34は曲率R1、第2スイッチバック経路35は曲率R2、排紙経路37は曲率R3の円弧状経路で構成されている。その曲率は第1スイッチバック経路34の方が第2スイッチバック経路35より大きくなるように(曲率R1>曲率R2)設定されている。
【0086】
従って曲率の大きい第1スイッチバック経路34を通過するシートの摩擦抵抗は、曲率の小さい第2スイッチバック経路35を通過するシートの摩擦抵抗より小さいこととなる。更に折り処理されたシートを収納スタッカ65に案内する排紙経路37の曲率R3は、曲率R3<曲率R2<曲率R1に設定されている。従って、シートが各経路を通過するための摩擦抵抗は、第1スイッチバック経路34<第2スイッチバック経路35<排紙経路37となる。
【0087】
一方、シートの腰の強さは第1スイッチバック経路34を通過する1枚シートが最も低く、第2スイッチバック経路35を通過する一次折りシートが中間で、排紙経路37を通過する二次折りシートが最も高くなる。従って各経路の曲率を搬送するシートの腰の強さに応じて上記の条件に設定することがシートジャムを招くことなく経路の占めるスペースを最小化することとなる。
【0088】
上記第2経路33を構成する第1スイッチバック経路34と第2スイッチバック経路35とは、
図2に示すようにS字カーブに形成されている。また第2スイッチバック経路35から収納スタッカ65に至る排紙経路37は逆S字カーブに形成されている。この第2スイッチバック経路35の下方に収納スタッカ65が配置され、排紙経路37で連結されている。
【0089】
従って経路長が最も長い第1スイッチバック経路34が第1経路32の上方に、経路長が短い第2スイッチバック経路35と排紙経路37が第1経路32の下方に配置され、更にその下方に収納スタッカ65が配置されている。このようなレイアウト構成によって装置ハウジング29の内部スペースの集密化が図られる。
【0090】
[折り処理手段]
上述の第2経路33にはシートを折り処理する折り処理手段48が配置される。この折り処理手段48は、シートを二つ折り、又は三つ折りする折りロール対41b、49、50と、そのニップ部Np1(Np2)にシートの折り目を案内する折り偏向手段53、54で構成する。そしてシートを二つ折りする折仕様のときには2つのロール対と1つの折り偏向手段で構成し、シートを三つ折りする折仕様のときには3つ又は4つのロール対と2つの折り偏向手段で構成する。
【0091】
図2の装置ではシートを一次折りした後に二次折りする三つ折り仕様の関係で、折ロール対は、第1ニップ部Np1と、第2ニップ部Np2を形成する第1ロール41bと第2ロール49と第3ロール50で構成されている。そして折り偏向手段は一次折り偏向部材53と二次折り偏向部材54で構成されている。
【0092】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは
図1に示すように次の構成を備えている。この装置は、給紙部3からシートを画像形成部7に送り、画像形成部7でシートに印刷した後、本体排紙口18らシートを搬出する。給紙部3は複数サイズのシートが給紙カセット4a、4bに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部7に給送する。
画像形成部7は例えば静電ドラム8と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)9と現像器10と、転写チャージャ11と定着器12が配置され、静電ドラム8上にレーザ発光器9で静電潜像を形成し、これに現像器10でトナーを付着し、転写チャージャ11でシート上に画像を転写し、定着器12で加熱定着する。
【0093】
このように画像形成されたシートは本体排紙口18から順次搬出される。図示13は循環経路であり、定着器12から表面側に印刷したシートを、本体スイッチバック経路14を介して表裏反転した後、再び画像形成部7に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートは本体スイッチバック経路14で表裏反転された後本体排紙口18から搬出される。
【0094】
図示20は画像読取部であり、プラテン21上にセットした原稿シートをスキャンユニット22で走査し、図示しない光電変換素子で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ記憶部16に転送され、前記レーザ発光器9に画像信号を送る。また、図示25はフィーダ装置であり、スタッカ26に収容した原稿シートをプラテン21に給送する。
【0095】
上記構成の画像形成装置Aには図示しない制御部(コントローラ)が設けられ、コントロールパネル15から画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などのプリントアウト条件が設定される。
【0096】
一方、画像形成装置Aには上記スキャンユニット22で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ記憶部16に蓄積され、このデータ記憶部16から画像データはバッファメモリ17に転送され、このバッファメモリ17から順次印字ヘッド9にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0097】
上記コントロールパネル15からは画像形成条件と同時に後処理条件も入力指定される。この後処理条件は例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「シート束折りモード」などが選定される。この後処理条件には前述したシート折り装置Bにおける折仕様が設定される。
【0098】
[後処理装置]
後処理装置Cは
図2に示すように次の構成を備えている。この装置は装置ハウジング68にシート受入口69と、排紙スタッカ70と、後処理経路71を備えている。シート受入口69は前述のシート折り装置Bの搬出口31に連結され、第1搬送経路32又は第3搬送経路36からのシートを受け入れるように構成されている。
【0099】
後処理経路71はシート受入口69からのシートを排紙スタッカ70に案内するように構成され、この経路中に処理トレイ72が設けられている。図示73は排紙口であり、後処理経路71からのシートを下流側に配置された処理トレイ72に集積する。図示74はパンチユニットであり、後処理経路71に配置されている。排紙口73には排紙ローラ75が配置され、シート受入口69からのシートを処理トレイ72に集積する。
【0100】
処理トレイ72は、後処理経路71からのシートをスイッチバック(搬送方向反転)搬送させてトレイ上に設けられた後端規制部材(不図示)に部揃え集積する。このためトレイ上方には排紙口73からのシートをスイッチバックさせる正逆転ローラ75が設けられている。また上記処理トレイ72は排紙スタッカ70に連なり、排紙口73からのシートを先端側は排紙スタッカ70で、後端側は処理トレイ72で支持する(ブリッジ支持)ようになっている。
【0101】
上記処理トレイ72には後端規制部材に位置決めされたシート束を綴じ合わせるステップラユニット77が配置されている。図示78は整合手段であり、処理トレイ上に搬出されたシートを搬送直交方向に幅寄せ整合する。図示79はパドル回転体であり、排紙ローラ75からのシートを後端規制部材に向けて移送するように排紙ローラ75の回転軸に駆動連結されている。
【0102】
図示80はシート束搬出手段であり、ステップラユニット77で綴じ合わされたシート束を下流側の排紙スタッカ70に移送する。このため図示のシート束搬出手段80は基端部を揺動自在に軸支持されたレバー部材81と、シート端係合部材82とで構成されている。
【0103】
[制御手段]
図9に示す制御ブロック図に従って
図2のシート折り処理の為の制御手段について説明する。前述のシート折り装置Bに制御CPUを搭載するか、或いは画像形成装置Aの制御部に折り処理制御部を設ける。そしてこの制御部を次の動作が可能なように構成する。
【0104】
まず第2経路33の第1スイッチバック経路34及び第2スイッチバック経路35にシート先端を位置規制するストッパ手段(不図示)か、或いはシート先端を位置検出するセンサ手段(図示のS1、S2)を設ける。図示の装置は、第1スイッチバック経路34にシートセンサS1が、第2スイッチバック経路35にシートセンサS2が配置してある。そして制御手段95は画像形成装置Aから送られたシートサイズ情報と、センサS1(S2)からの検出信号でシートの折り目位置が所定位置に到達したタイミングを算出するように構成されている。
【0105】
そこで
図9に示す制御ブロック図に従って説明する。画像形成装置Aには、制御CPU91にコントロールパネル15と、モード設定手段92を設ける。この制御CPU91はコントロールパネル15で設定された画像形成条件に応じて給紙部3、画像形成部7を制御する。そして制御CPU91は後処理装置Cの制御部95に「後処理モード」「ジョブ終了信号」「シートサイズ情報」など後処理に必要とするデータとコマンドを転送する。
【0106】
後処理装置Cの制御部95は、制御CPUで、「折り処理制御部95a」と「後仕上げ処理制御部95b」とを備える。折り処理制御部95aは、折目位置算出手段97と搬送モータMfのドライバ回路と、シフトモータMsのドライバ回路とで構成される。そしてこの制御CPU95には第1センサS1、第2センサS2の検知信号が伝達されている。また、制御CPU95はゲートストッパ手段42に備えられたストッパ駆動手段44と、経路切換手段63に「ON」「OFF」制御信号を伝達する。
【0107】
そして制御CPU95には、前述した折仕様を実行するように搬送モータMfとシフトモータMsとストッパ駆動手段44と経路切換手段63を制御する折り処理実行プログラムがROM96に記憶されている。また、RAM98には、折目位置算出手段97でシートの折り目を算出するためのデータと、シフトモータMsの作動タイミング時間がデータとして記憶されている。