(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電子計器(20)は、前記超低振動数で振動する流体中の粒子運動に関して粘性率が実質的に無限大であり、前記超高振動数で振動する流体中の粒子運動に関して粘性率が実質的にゼロであるように流体が振る舞うものとして構成されている、請求項1に記載の振動流量計(5)。
前記超低振動数が、異物の大きさや異物の組成とは無関係に、所定の最小音速閾値と所定の最小圧縮率閾値の一方または両方未満である、請求項1に記載の振動流量計(5)。
前記超低振動数振動応答がほぼ3.5を上回る逆ストークス数(δ)に対応しており、前記超高振動数振動応答がほぼ0.1未満である逆ストークス数(δ)に対応している、請求項1に記載の振動流量計(5)。
前記1以上の流体導管(103A,103B)は、流体導管剛性、流体導管長、流体導管アスペクト比、流体導管材料、流体導管肉厚、流体導管形状、流体導管構造および1以上の振動ノード位置のうち1以上の構成により前記超低振動数と前記超高振動数を達成するように構成されている、請求項1に記載の振動流量計(5)。
前記1以上の超低振動数が流体中の粒子運動に関し実質的に無限大の粘性率をもたらすような振動数であり、前記1以上の超高振動数が流体中の粒子運動に関し実質的にゼロの粘性率をもたらすような振動数である、請求項9に記載の方法。
前記1以上の超低振動数振動応答は約3.5を超える逆ストークス数(δ)に対応させ、前記1以上の超高振動数振動応答は約0.1未満の逆ストークス数(δ)に対応させる、請求項9に記載の方法。
前記流量計アセンブリを複数の振動数で動作させて複数の振動応答を生成し、近似的な混相効果の開始を特定すべく前記複数の振動応答を比較する、請求項9に記載の方法。
前記1以上の超低振動数と前記1以上の超高振動数とで前記振動流量計アセンブリを振動させることが、2以上の流量計アセンブリを振動させることを含む、請求項9に記載の方法。
異物の大きさおよび異物の組成とは無関係に、前記少なくとも一つの所定の超低振動数を所定の最小音速閾値と所定の最小圧縮率閾値のいずれか一方または両方未満とした、請求項16に記載の方法。
前記少なくとも一つの所定の超低振動数はほぼ3.5を超える逆ストークス数(δ)に対応し、前記少なくとも一つの所定の超高振動数はほぼ0.1未満の逆ストークス数(δ)に対応する、請求項16に記載の方法。
前記振動流量計は、複数の振動数で動作させて複数の振動応答を生成し、近似的に混相効果の開始を特定すべく前記複数の振動応答を比較するように構成される、請求項16に記載の方法。
前記振動流量計が、1以上の前記超低振動数と1以上の前記超高振動数とで振動する1以上の流体導管を含む振動流量計アセンブリを2以上備えるように構成される、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1〜
図17と下記の説明は、本発明の最良の形態を製作し使用する方法を当業者に教示するための具体例を表わしている。発明原理を教示するために、一部の従来の態様は単純化するかまたは省略されている。当業者は、本発明の範囲内に包含されるこれらの実施例から変形例を理解できるだろう。当業者は、下記に説明する特徴を様々な方法を組み合わせて、本発明の多数の変形例を形成できることが理解できるだろう。その結果、本発明は下記に記載する具体的な実施例に限定されず、請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ限定される。
【0041】
図1は、本発明に係る振動流量計5を示している。振動流量計5は、流動または静止している流
体の計測を含めて、流
体の流体特性を計測するように設計されている。一実施形態に係る振動流量計5は、コリオリ流量計を備えている。別の実施形態では、振動流量計5は振動密度計を備えている。
【0042】
振動流量計5は、流量計アセンブリ10および電子計器20を含んでいる。電子計器20は導線100を介して
流量計アセンブリ10と接続されており、密度、質量流量、体積流量、総質量流量、温度、および他の情報のうちの1以上からなる計測値が通信路26を介して供給されるように構成されている。当業者には、本発明が駆動部の数、検出センサの数、流体導管の数、および振動動作モードに関係なく任意種の振動流量計に使用できることは明らであるだろう。
振動流量計5が、振動密度計および/またはコリオリ質量流量計を備え得ることは、認識されたい。
【0043】
流量計アセンブリ10は、一対のフランジ101,101’、多岐管102,102’、駆動部104、検出センサ105,105’、および流体導管103A,103Bを含んでいる。駆動部104と検出センサ105,105’は、流体導管103A,103Bと接続されている。
【0044】
一実施形態において、図示の如く流体導管103A,103BはほぼU字形の流体導管を備えている。代替的には、他の実施形態において、流体導管はほぼ真っすぐな流体導管を備えている。しかし、他の形状の流体導管も熟慮され、それらも詳細な説明および特許請求の範囲内に含める。
【0045】
フランジ101,101’は、多岐管102,102’に固定されている。多岐管102,102’は、スペーサ106の両端の対向する端部に固定されている。スペーサ106は、流体導管103A,103B内の不要な振動を阻止すべく多岐管102,102’の間の空間を維持している。流量計アセンブリ10を計測対象である流
体を搬送する導管系(図示せず)内に挿入すると、流
体はフランジ101を介して流量計アセンブリ10に流入し、流入多岐管102を通過する。ここで流
体の総量は流体導管103A,103Bに流入するよう導かれる。流
体は、流体導管103A,103Bを通って流れて流出多岐管102’内へ戻る。ここで、流
体はフランジ101’を通って
流量計アセンブリ10から流出する。
【0046】
流体導管103A,103Bは、それぞれ曲げ中心軸
W(図中、W−W
)と
W’(図中、W’−W’
)周りに実質同一な質量分布、慣性モーメントおよび弾性係数が得られるように選択されて、流入多岐管102と流出多岐管102’とに適切に装着されている。流体導管103A,103Bは、ほぼ平行な姿勢で多岐管102,102’から外方へ延在している。
【0047】
流体導管103A,103Bは、駆動部104によって個々の曲げ中心軸W,W
’周りに、流量計5の1次異位相曲げモードと呼ぶモードで反対方向に駆動される。しかし、流体導管103A,103Bは、所望に応じて2次の異位相曲げモード以上で代替的に振動させることができる。これは、較正または試験作業や流体粘性率試験のため、或いは異なる
振動数において計測値を得るために行なうことができる。駆動部104は、流体導管103Aに装着された磁石や、流体導管103Bに装着された対向コイル等の、多数の周知の構成のうちの一つを備えることができる。交流が対向コイルを介して流れると、両導管が振動する。適当な駆動信号が、電子計器20により導線110を介して駆動部104へ印加される。
【0048】
電子計器20は、各導線111,111’
を介してそれぞれセンサ信号を受け取る。電子計器20は、導線110上
に駆動信号を
生じさせ、これが駆動部104に流体導管103A,103Bを発振させる。電子計器20は、質量流量を算出すべく検出センサ105,105’からの左右の速度信号を処理する。通信路26は、電子計器20がオペレータや他の電子系との通信を可能とする入出力手段を提供する。
図1の説明は単に振動流量計の動作の一例として提供したものであり、本発明の教示を限定する意図はないものである。
【0049】
振動流量計5を密度計として動作させるときに、
振動流量計5は単相流または混相流の密度を計測することができる
。振動流量計5が混相流体の密度を計測するときに、混相流体に同伴している異物が気体
か固体
かに拘わらず、密度計測値
は混相流の成分によって影響を受ける
。よって、混相流密度の計測値は問題を含んでいる。全ての
同伴気体または
同伴固体が通常不要な成分を含
んでいるが、流量計5により計測される混合
体密度は、一般的に、1(または複数)の液体成分だけの密度とすることが望まれる。
混相流体に同伴している気泡や固体は
、混合
体密度に変化を引き起こすだけでなく、分離現象や他の混相誤差のメカニズムが
密度計測値を混合
体密度から掛け離れ
させる追加の計測誤差を招く。
【0050】
振動流量計5では、流体導管振動の共振
振動数(すなわち、固有
振動数)を特定することにより
、流体の密度を計測
することができる。流
体の密度が大きくなるほど、流量計アセンブリ10の全体的な質量は大きくなり、流量計アセンブリ10の固有
振動数は低くなる。
振動流量計5の密度計測は、流
体の流量とは無関係
に、流動するまたは流動しない流体を用いて行なうことができる。
【0051】
振動流量計5は、混相流
体に2以上の成分が存在するときに密度を計測可能であり、混相流
体の混合
体密度(ρ
mixture)を生成することができる。分離、非対称性、音速および他の混相効果に起因する誤差が無いと仮定した場合に、振動流量計5が計測する密度は下記の式(1)に示す通り実際の混合
体密度に極めて近いものとなるだろう。流動成分の密度が既知である場合に、個々の成分の質量流量は気泡の滑りが無いと仮定して推定することができる。(φ)項は、成分の体積比を表わす。個々の
成分の体積比の総計
は1とならなければならない。
【0053】
単一の
同伴相が存在する場合、液体密度
(ρfluid)だけの計測に興味があるユーザは、体積比に比例する密度誤差
(ρerror)を被ることになる。混相流
体についての密度誤差は、下式(2)に示す通りに表わすことができる。
【0055】
例えば、ユーザが液体密度を1000kg/m
3と予想しながら、流体が10%体積比の
同伴気体を含む場合、先行技術に係るコリオリ質量流量計(これは先行技術に係る
振動数で動作する)はだいたい900kg/m
3を計測することになり、(−100)kg/m
3の密度誤差をもたらす。たとえ先行技術に係る計器が液体成分と気体成分とを含めて混合
体密度を正確に計測したとしても、ユーザはこれを所望液体密度から−10%と解釈する。体積流量はその後に被計測混相質量流量を被計測混相密度で除すことで求められ、このようにして体積流量は液体流量をほぼ10%上回ることとなる。しかし、ユーザは一般に混相流
体の液体成分だけの質量流量や体積流量が計測されることを望んでいる。
【0056】
密度の誤差には、さらに、共に混相流
体の振動に起因する分離とSOS/圧縮性効果による誤差とが複合する。単相振動は、分離やSOS/圧縮性効果を呈しない。
【0057】
計測誤差は、
同伴気体を含む混相流
体において悪化する。
混相流体中の同伴気体は、
同伴固体が呈するよりも多くの分離とより多くのSOS/圧縮性効果を呈することになる。これは、気体と液体との間の大きな密度差に基づく相間の相対運動に起因し、かつ不要な非共振振動応答に基づく混合物の圧縮性に起因するものである。
同伴固体は圧縮性効果を受けることはなく、分離および粘性率効果に起因する誤差を呈する。固体に関する分離は、気体に関するよりも深刻さは小さいが、やはり計測値に影響を及ぼす。
【0058】
計測誤差は、ここでは、振動流量計5を特定の
振動数、すなわち既知の分離と圧縮性効果とを生成する
振動数で動作させることで対処する。この
振動数での
振動流量計5の動作により、密度、質量流量および他の変数に関する正しい計測値の特定が可能となることが、判っている。
【0059】
超低
振動数では、
混相流体中の異物が気体または固体であるかによらず異物の分離は実際には存在せず、分離比がほぼ1対1、すなわち
同伴気体や
同伴固体は流
体の液体成分と同じ距離だけ移動することが判っている。同様に、超低
振動数では、流
体の粘性が恰もそれがほぼ無限大であるかの如く振る舞い、このような状況下では
同伴異物は流
体と共に移動する。さらに、超低
振動数では、SOS/圧縮性効果は生じない。その結果、分離比(A
p/A
f)は1であり、圧縮はゼロであり(ここで、音速(c)は流
体のSOSとみなされる)、粘性は無限大の値(すなわち、固体と同様)であるとみなすことができる。
【0060】
最も一般的で最低難度かつ最低経費の手法は、混相流
体を排除することにあることを、理解されたい。しかし、このことが必ずしも実用的または可能であるとは限らない。本願明細書で説明する方法は、混相分離やSOS/圧縮性効果を排除する方法ではなく、既知でかつ実質的に一定な誤差効果を生じさせるような方法で
振動流量計を動作させることである。その結果、流量計測値の算出は単純化され、流量計測値の誤差は取り除くことができる。
【0061】
超高
振動数では、分離が上限に達することがあることが判っている。分離の上限は、これまで知られていない利点をもたらす。分離は、既知であり予測可能である。例えば、
同伴気体について、分離がほぼ3対1の分離比に接近しているときに、気泡は流
体の液体成分が移動する距離のほぼ3倍移動する。
同伴固体について、超高
振動数においては、分離比は3/(1+(2*ρ
p/ρ
f))量にほぼ等しいものとなる。固体粒子の密度が液体よりもずっと大きな場合、
同伴固体粒子が実質的に静止したままであるのに対し、液体成分は流体導管振動に合わせて移動する。超高
振動数では、流
体の粘性はそれがほぼゼロであるかの如く機能するので、
同伴異物は流体粘性により制約を受けることはない。
【0062】
圧縮性は、
同伴固体には当てはまらない。その結果、超高
振動数振動流量計5を分離に関する上限
振動数以上の
振動数で振動させることができる。どのようなSOS/圧縮性効果も、従来の技法の使用に対し補償することができる。
【0063】
液体は気体よりも高い音速を有するが、最低
音速はこれら二相の混合流体に生じる。液体へたとえ少量の気体が追加されても、混合物の音速は劇的に減少していずれの相の音速にも満たない値となる。少量の気体は混合物圧縮率を劇的に増大させるが、混合物密度は液体の密度近くに止まる。
【0064】
単相流体内のように、流体の音速が大きければ、円形導管を横切る横断音波に関する1次音響モードは駆動
振動数をずっと上回る高い
振動数のものとなる。しかし、流体の音速が液体に対する気体の付加に起因して低下すると、音響モードの
振動数もまた低下する。
【0065】
低
振動数計器と一般的な処理圧力に関し、混相流体中に音速効果が存在するが、特定の計器精度についてはこの効果を通常無視することができる。しかし、低圧力下で気泡状流体により動作する超高
振動数振動流量計では、音速は駆動振動モードと流体振動モードとの間の相互作用に起因する相当の計測誤差を招くまでに低くなることがある。
【0066】
振動流量計内の音速効果の更に物理的な説明は、混合物の圧縮率が混合物の動きを許容する十分な大きさであるときに、導管内の流体が発振ごとに導管の外壁に対し圧縮されるというものである。このように、音速効果は、実際の誤差が重心の位置の動きにより引き起こされる点で分離に類似する。音速効果と分離の相違は、音速効果が管の外壁に対しより重量のある流体を押し付けることより生じるのに対し、分離がより重量のある流体を管の内壁に押し付けることにより生じる点である。この理由から、音速誤差は正となり、分離誤差は負となる。
【0067】
結果的に、
振動流量計5は超低
振動数と超高
振動数のいずれかで動作させることができる。得られる計測値は、下記(
図7および付随する説明とを参照)に説明するように採用することができる。上記の仮定や既知の値は、とりわけ、改良された密度および/または質量流量計測値を導き出すために用いられる。
【0068】
振動流量計5は、混相
流体を含む流
体を正確かつ確実に計測するよう設計されている。一部の実施形態においては、混相流
体は
同伴気体を含むことがあり、この
同伴気体が気泡状流を含むことがある。
同伴気体は、様々な大きさの気泡または気泡群を含むことがある。
同伴気体に関し、従来技術に係る振動流量計では計測に問題が含まれる。
同伴気体、特に中型から大型の気泡は、流
体とは無関係に移動し、計測誤差や不確定性を生じさせることがある。加えて、
同伴気体は、流
体の動作圧力と共に変化する気体の圧縮性に起因して、計測値効果の変化を引き起こすことがある。
【0069】
一部の実施形態において、混相流
体は
同伴固体を含むことがあり、この
同伴固体はスラリーを備えることがある。一例は、石油流中に含まれる砂または土壌粒子である。
同伴固体は、流
体とは無関係に移動し、計測誤差および/または不確定性を生ずることがある。
【0070】
一部の実施形態において、混相流には互いに混合させることのできない不混和性液体等の異なる液体を含むことがある。例えば、流
体は水と油の両方を含むことがある。流
体成分が異なる密度を有する場合、流
体成分は流量計の振動期間中に若干分離することがある。異物は、流
体よりも低密度であることがある。異物は、流
体よりも高密度であることがある。
【0071】
動作時に、振動流量計5を超低
振動数および/または超高
振動数で振動させることができる。超低
振動数には、1次曲げモード振動が含まれうる。しかし、他の振動モードも熟慮され、これらも詳細な説明および特許請求の範囲に含まれる。例えば、一部の実施形態において、流量計アセンブリ10は所定の
超低
振動数で非共振駆動することができ、ここで質量流量(および/または他の流動特性)をその後に計測する。所定の
超低
振動数は、それ故に共振
振動数よりも小さくすることができる。得られる質量流量計測値は分離およびSOS効果に実質的に影響を受けることはなく、所定の
超低
振動数での位相計測値を介して算定することができる。所定の
超低
振動数は、混相誤差を実質的に除去するよう選択された閾値を上回る逆ストークス数(δ)に対応させて選択することができる。非共振
振動数での密度計測は、
振動数が計測したものではなく特別に選択されたものであるとの事実が故に不要であるだろう。この種の動作の課題は、導管の応答振幅が非共振振動の故に小さいことである。しかし、この課題は追加の駆動力を入力するか、または相計測値を平均してノイズを除去することで克服することができる。
【0072】
流
体は、前述したように、静止および流動のいずれかである。その結果、超低
振動数での振動時に、
振動流量計5は超低
振動数振動応答を生成する。
【0073】
上記に代えて、
振動流量計5は超高
振動数振動応答を生成することもできる。超高
振動数は、1次曲げモード振動を含みうる。代替的には、超高
振動数は、2次、3次またはより高次の曲げモード振動で構成されうる。しかし、非共振振動等の他の振動も熟慮され、これらも詳細な説明および特許請求の範囲内に含める。その結果、超高
振動数振動流量計5は超高
振動数振動応答をもたらす。超高
振動数振動応答は、例えば、応答
振動数、応答振幅、および検出部間の応答位相遅延を特定すべく処理される。応答
振動数を用いて、質量流量や密度や粘性率等を含む1以上の流
体特性を特定することができる。
【0074】
超低
振動数または超高
振動数の振動応答は、少なくとも応答
振動数を特定すべく処理される。応答
振動数は、質量流量や密度や粘性率等を含む1以上の流
体特性の特定に用いることができる。流量計5の超低
振動数特性および/または超高
振動数特性を、さらに下記に説明する。
【0075】
振動流量計5の優位な点は、一部の実施形態における
振動流量計5を所望に応じてより高い
振動数で動作させることができることである。このことは、混相流が一切予想されない場合に行なうことができる。例えば、
振動流量計5をセパレータ装置の下流に実装した場合、流
体は受容可能に均一化されており、
同伴異物とは無縁である。この状況下では、
振動流量計5は2次、3次、または4次の曲げモード等のより高い
振動数で動作させることができる。このより高次の曲げモードは、例えば、計器の共振
振動数の倍数すなわち高調波で構成される。
【0076】
一部の実施形態において、振動流量計5を複数の
振動数で動作させることができる。この複数の
振動数には、交互
振動数または異なる時刻に異なる
振動数で流量計アセンブリ10を振動させることが含まれうる。代替的には、流量計アセンブリ10を複数の
振動数で同時に振動させることができる。
【0077】
異なる共振
振動数または非共振
振動数のときに得られた複数の質量流量計測値が比較され、混相流が存在するかどうか判定され、混相誤差の大きさが特定される。例えば、10,20,30Hzで得られた質量流量計測値が実質同一であるものの、40Hzで得られた質量流量計測値が先の計測値から著しく逸脱する場合には、混相誤差が30Hzの
振動数を上回る何処かで生じていると判断でき、混相指示を生成することができる。
【0078】
駆動
振動数は、流
体の流動特性を計測すべく1以上の流体導管103A,103Bを振動させる
振動数である。駆動
振動数は、例えば、流
体共振
振動数となるように選択できる。あるいは、1以上の共振高調波
振動数、より高い曲げモード
振動数、または共振
振動数の上下の非共振
振動数で構成することができる。それ故、駆動
振動数は振動応答
振動数とは異なることがあり、流
体の構成に従って変えることができる。加えて、駆動
振動数は流量計の剛性特性に影響を受ける。
流体導管の剛性特性が増すにつれ、駆動
振動数は増大する。その結果、流体導管の剛性を低下させれば、流体導管共振
振動数はより低くなる。後述するように、流体導管剛性は様々な方法で変えることができる。
【0079】
振動流量計5の超低
振動数または超高
振動数の能力は、適切な設計パラメータによって達成することができる。振動流量計5の製造における基本的な考慮事項は、計器の実効曲げモード剛性が、動作
振動数および/または共振(すなわち固有)
振動数を修正すべく可変であることである。計器剛性は任意の方法で変更可能であり、計器剛性の変更を如何に行うかは重要でない。しかし、幾つかのとり得る方法を下記に説明する。
【0080】
計器剛性の一つの因子は、流体導管の長さである。流量計の
流体導管の長さは本質的に計器剛性に相関する。計器の
流体導管の長さ
が増加すれば、計器剛性と動作
振動数は幾らかの減少に転化する。このように、流量計の
流体導管の長さは多少の計器剛性を変化させるべく選択されうる。
【0081】
計器剛性の一つの因子は、流体導管のアスペクト比である。この説明の目的に合わせて、流量計のアスペクト比は流量計の長さ(L)で除した流量計の高さ(H)として定義され、アスペクト比=(H/L)である(
図2参照)。高さ(H)が長さ(L)に満たない場合、高さ対長さのアスペクト比(H/L)は1未満である。流量計が真っすぐな流量計である場合、高さ対長さのアスペクト比(H/L)は実質的にゼロである。高さ(H)が長さ(L)を上回る場合、高さ対長さのアスペクト比(H/L)は1を上回る。例えば、
図2に示す流量計5では、高さ対長さのアスペクト比(H/L)は1を相当に上回り、比較的大きな数値に達することがある。このように、高さ対長さのアスペクト比(H/L)を、計器剛性を低減すべく増大したり、計器剛性を増大させるべく低減したりできる。
【0082】
一部の流量計製造業者は、長さ対高さ(L/H)アスペクト比からなる逆の慣用表現を用いている。この種の慣用表現下での真管流量計は、無限大に近づくような長さ対高さアスペクト比を有し、アスペクト比の慣用表現をやや不親切とするかもしれない。
【0083】
計器剛性の一つの因子は、流体導管材料である。流体導管材料は、計器剛性を増減すべく選択できる。
【0084】
計器剛性の一つの因子は、流体導管の肉厚である。流体導管の肉厚は、計器剛性を修正すべく変えることができる。しかし、実際問題として、流体導管の肉厚の著しき減少は、耐圧性の低減、不適切な耐性、または不適切な堅牢さを生じさせることがある。
【0085】
計器剛性の一つの因子は、流体導管の形状である。流体導管の形状は、実質的に円形、楕円形、矩形、不均整な形、または他の適当な形状の導管を使用することを含む任意の方法で修正できる。
【0086】
計器剛性の一つの因子は、流体導管の構造である。流体導管
の構造は、例えば適当な直線部や湾曲部の使用を含む任意の方法で
計器剛性に影響を及ぼすことができる。例えば、U字型の流体導管は同じ長さの真管流量計よりも小さな剛性を有する。
【0087】
計器剛性の一つの因子は、流体導管の質量である。流量計アセンブリ10の共振
振動数は、他の全ての因子を変化せずとも、流体導管の質量が増大するに伴って低くなる。流体導管質量は、任意の方法で増減できる。例えば、流体導管の質量は平衡錘または他の質量の付加を通じて増大できる。離散点または場所への質量の付加は、流体導管の剛性を増大させることなく、動作
振動数を減少させる。
【0088】
計器剛性の一つの因子は、流体導管のノード制限体と振動ノードの位置である。流量計アセンブリ10には、振動ノードの位置と曲げ軸とを制御し、これにより振動応答に影響を及ぼす1以上のノード制限体を含むことができる。図示の実施形態の一般的なノード制限体は、多岐管102,102’と組み合わさったスペーサ106を備えている。代替的には、他の実施形態におけるノード制限体は、フランジ101,101’(実質的には流量計5の両端部)に極めて近い規定箇所の2本の流体導管の間において堅固に延びる1以上の補強棒である。他のノード位置は、
図6に示されている。湾曲する流体導管103A,103Bの振動ノードを固定して、所望の曲げ中心軸を作り出すべく、1以上のノード制限体が設けられている。1以上のノード制限体は、流体導管の振動する部分の長さを増大させるべく配置(または撤去)することができる。または、1以上のノード制限体は、流体導管103A,103Bの振動する部分の長さを低減すべく配置することができる。
図6中、部分102,102’の捩れは、曲げモード剛性を低減し、
振動数を低減している。
【0089】
図2は、本発明の一実施形態に係る超低
振動数振動流量計5を示している。流体導管103A,103Bは、図示の如くケーシング203内に収められている。ケーシング203は流体導管103A,103Bを保護し、さらに流体導管の障害または故障時の漏洩を収容するように機能しうる。振動流量計5は、高さHと長さLとを有する。図面からは、この実施形態における高さHが計器の長さLを相当に上回ることを見てとることができる。高さ対長さのアスペクト比(H/L)は、これらの2個の計器特性の比である。高さ対長さのアスペクト比(H/L)は、
振動数を低減すべく増大させることができ、または
振動数を増大させるべく低減することができる。高さ対長さのアスペクト比(H/L)は、例えば1を大きく上回るかまたはずっと小さい数値を含めて、任意の数値へ変更できる。
【0090】
一実施形態において、計器の全長Lが実質的に流量計5のフランジ101、101’の間の距離であるのに対し、計器全高Hは実質的に流入/流出多岐管102、102’の中心線と最も遠く離れた中心線(すなわち、水平屈曲部分の頂部中心)との間の距離である。このため、アスペクト比は流量計5の全体的な形状と大きさを近似的に数量化したものとなる。この定義に従う大きなアスペクト比(H/L)は、流量計がその長さLに比べて大きな高さHを有することを言外に含んでいる。
【0091】
このアスペクト比が代替的に長さ対高さ(L/H)として定義できることを、理解されたい。この代替的な定義によれば、この図面の流量計は極めて低いアスペクト比を有することになる。
【0092】
図3は、或る動作
振動数範囲についての
振動数に対する分離のグラフであって、グラフに示した例では動作
振動数範囲は最大100Hzまでである。このグラフは、一定範囲の振動振幅についての
振動数に対する分離
比を示すものである。
このグラフによれば、振動数が約5〜10Hz未満で動作する流量計は正確に機能することになる。これは、分離比がほぼ1対1の分離比に止まる、すなわち殆ど分離が発生しないからである。
振動数が5Hz以下の超低
振動数
のときは、グラフの左側の軸に沿う最も黒ずんだ領域において、応答分離比の大きさ(A
p/A
f)がグラフ右側に沿う比率バーを参照して1対1台の分離比に止まっていることがわかる。振動振幅
が大きくなれば、分離
比が減少することもグラフからわかる。つまり、
振動数が上記の超低振動数であるときは、同伴気泡は流
体と共に移動し、質量流量や混合物密度の計測値に分離による誤差が生ずることは全くない。
振動数がこの種の
超低
振動数であるときは、音速効果は同様に無視可能となり、何故ならSOS/圧縮性効果は一般に
振動数がほぼ200Hzを上回るまでは識別できないからである。
【0093】
図4は、或る超低動作
振動数について
振動数に対する分離位相角(φ)の対応を示すグラフであり、グラフに示した例において
動作振動数は100Hzまでである。このグラフから、
振動数が5Hzを越えないときは、分離位相角(φ)が低いままであることがわかる。
【0094】
流体の発振振幅、粒子の大きさ、流体密度、粒子密度、および流体粘性率に関係なく、超低
振動数では粒子と流体との間の相対的な動きは存在しない。振動数
が超低振動数のときは振幅比(すなわち、分離比(A
p/A
f)は1対1の比に近づき、分離位相角(φ)はゼロに近づく。それ故、分離比(A
p/A
f)や分離位相角(φ)を求める必要はない。さらに、この結果はプロセス流体や配管構成とは無関係である。混相成分どうしの相対的な動きが無いために、計器は正確で確実な計測値を生成することができる。このことは、スラリー、気泡状流体、エマルジョンおよび他の任意の複数密度成分流体に当てはまる。
【0095】
上記の如き振動流量計は、制限なしでその2次、3次または4次の曲げモードで駆動することもできる。前述の通り、
振動数の増大に伴って分離は減少する。それ故、動作
振動数が増加するにつれて、多くの負の誤差が密度計測値に現れる。このような事情から、振動流量計は非共振動作されうる。
【0096】
この事実は、診断に有用
である。計器は、計測値がSOS効果や分離により影響を受けているかどうか、またその効果がどの
振動数で無視可能となるか判断できるように構成できる。例えば、流量計は、10,20,30,40,50,60,70,80,90,100Hzの
振動数で同時に共振駆動または非共振駆動される。所与の流
体では、10,20,30Hzでの計測値は全て等価であって、ほぼ40Hz未満ではSOS/分離が計測値に影響を及ぼさないことが示されている。より多量の気体が
同伴したり気泡の大きさが増大した場合に、10Hzと20Hzでの計測値しか等価とならないことがあり、これは上記の実施例におけるよりも分離が減少し、より低い
振動数での計測が要求されることを意味する。この診断能力は、混相の存在の判定に用いたり、各
振動数の計測精度の指標をユーザに示すために用いたりできる。
【0097】
超低
振動数振動流量計の主な用途は、上流の(前置セパレータ)石油および天然ガスの計測でありうる。この種の混相計器は、セパレータ、すなわち極端に高価な装置の必要性を低下させるであろう。上記のような困難な用途において、+/−5%の精度で動作する振動流量計は、各油井の大まかな産出量を計測しようとする石油ガス業界にとって非常に魅力的であるだろう。超低
振動数振動流量計の別の用途は、セメントの混合および/または計量である。セメントは岩石粒子や
同伴気体を含んでおり、三相混合物となっている。
超低
振動数における各相の相対的な動きがない状態では、成分や相の数に拘わらず計器は恰も一つの均質な相が存在していたかの如く動作し、正しい混合
体質量流量および密度計測値をもたらすであろう。
【0098】
計器を
超低
振動数で非共振駆動することはできる。しかし、共振駆動する超低
振動数振動流量計の実現可能性は、所望の
超低
振動数に到達するために導管をどれ位の長さとすべきかについて、或る程度依存するようである。一例として、水を計測するために通常70Hzの
振動数で振動するマイクロモーション(Micro Motion)社製E200型コリオリ流量計では、流体導管は補強棒を越えてほぼ18インチ延在している。一つの目安として、固定端−自由端型片持ち梁の
振動数の式を考察する。
【0100】
式(3)において、Eは弾性係数であり、Iは断面の慣性モーメントであり、mは単位長さ当りの質量であり、lは長さである。70Hzの
振動数(f)と18インチの長さ(L)について、(EI/m)成分の比例定数を求めることができる。一例として、マイクロモーション(Micro Motion)社製E200型コリオリ流量計においては、EやIやmの各項を変化させることなく5Hzの
振動数を得るために、流体導管の長さは約67インチでなければならない。
【0101】
別の方法は、前述した因子の組み合わせである。例えば、一つの対応策は
流体導管を幾分か伸長させ、壁厚を幾分か減らし、駆動部または検出部の近傍に小さな質量を付加し、かつ/または共振未満で動作させることである。
振動数を下げる別の有効な方法は、流体導管を屈曲して補強棒前の配管と同一線上に整列させるか、または補強棒を取り除けるようにすることである。これは、追加の捩れ成分によって駆動モードにおける剛性を相当に減少させる(
図5参照)。
【0102】
超低
振動数振動流量計5は、特定の用途向けに設計できる。
振動流量計5には、それ故に所定の超低
振動数と超低振動応答
振動数および超高振動応答振幅とを達成する超低動作
振動数を持たせることができる。
【0103】
振動数は、多くの方法で特定できる。
振動数は、
振動数閾値すなわち限界値として特定できる。
振動数は、所定の分離閾値すなわち限界未満として特定できる。
振動数は、所定のSOS/圧縮率閾値すなわち限界未満として特定できる。
振動数は、所定の逆ストークス数閾値または限界値に対応させて特定できる(これについては後述する)。例えば、所定の逆ストークス数閾値は、混相流誤差を実質的に除去するように選択されうる。
【0104】
コリオリ流量計や振動密度計は、計器の固有
振動数で振動する間に、流体導管と共に流
体が動くことが必須である。流
体に異物が取り込まれると、2以上の相間に相対運動すなわち分離が存在するので、この仮定はもはや有効ではなくなる。所与の具体的な計器動作条件下で良好な混合物密度計測に必要とされる条件を予測すべく、一つのモデルが開発されてきた。実験的に検証済みの流体モデルでは、分離を予測することができる。分離比(A
p/A
f)と分離位相角(φ)を見いだす算式は、次式(4)である。
【0106】
分離比(A
p/A
f)は、粒子(すなわち、異物)振幅(A
p)対流体導管振幅(A
f)の比からなる。粒子は、気泡や固体粒子、これに加え流
体中に
同伴した異流体の一部を含む任意の異物を含むことがある。式(4)の各項は、下記の如く定義される。
【0108】
流
体の運動は、流体導管の動きに適合するものと仮定する。気泡または粒子の動きは、下記の如く算出される。
【0110】
上記の式は、大半の状況において、振動振幅および位相差についてほぼ±10%の精度内で振動流量計の発振環境内における粒子の動きを求めるために用いられうる。
【0111】
気泡の動きに関する上記の式を解くために必要な6個の入力値は、振動応答
振動数(f)、振動応答振幅(A
f)、流体密度(ρ
f)、流
体中に
同伴した異物粒子の粒子密度(ρ
p)、流
体の絶対粘度(μ
f)、および流
体中に
同伴した異物の粒子寸法分布(a)である。振動応答
振動数(f)と振動応答振幅(A
f)は、検出部(105,105’)が生成する振動応答信号のような、1以上の流体導管(103A,103B)の振動応答から特定することができる。流体密度(ρ
f)は、既知の流
体の場合は顧客が特定可能であり、さもなくば計測値から得ることができる。粒子密度(ρ
p)は、既知の流
体の場合は顧客が特定可能である。代替的には、
同伴気体の場合は、流
体の所与の計測温度および圧力を与えることによって理想気体の法則から特定できる。絶対粘度(μ
f)は、既知の流
体の場合は顧客が特定可能であり、さもなくば計測値から入手することができる。粒子寸法分布(a)は、既知の流
体の場合は顧客が特定可能であり、さもなくば流
体中の異物粒子、気泡の音響計測値および放射線計測値を含む計測値より入手することができる。
【0112】
図5は、本発明に係る超低または超高
振動数振動流量計5の、密度比に対する分離比のグラフである。グラフはさらに、様々な逆ストークス数(δ)に関する結果を含んでいる。逆ストークス数(δ)は、
振動数関連分離およびSOS/圧縮性効果を回避する条件をより簡潔に特徴付けるために用いうる。
【0113】
上記グラフは、5個の逆ストークス数(δ)と生成分離比とを示している。
同伴気体が大半の流体よりも大きな動きを呈し、固体粒子がより少ない動きを呈することから、
同伴気体と
同伴固体とが分離の観点から逆に反応することが、グラフから読み取れる。それでも、理想的な状況は、流体導管内部の全ての相が厳密に同じ振幅と位相で移動するとき(すなわち、A
p/A
f=1の場合)である。気泡の大きさが増すにつれて分離量が増大することもまた、グラフから読み取れる。固体粒子の分離もまた、固体粒子の大きさの増大により1対1の動きの理想的な場合から逸脱する。
【0114】
逆ストークス数(δ)は、下式(11)で構成される。
【0116】
ここで、逆ストークス数(δ){翻訳外:ここで「逆ストークス数」は英文では「inverse Stokes number」と示されている。ストークス数はS=ωa
2/2ηで示されることから、式(2)で示される逆ストークス数δは、ストークス数の平方根の逆数であることに注意されたい。}は、異物計測時に流
体の動粘性率(η)、ラジアン単位の
振動数(ω)、および粒子または気泡の半径(a)を斟酌している。動粘性率(η)は流体の密度(ρ)で除した絶対粘度(μ)、すなわちη=μ/ρである。異物には、前述の通り、
同伴気体や
同伴固体が含まれうる。逆ストークス数(δ)は、それ故に単なる
振動数仕様を通じて可能であるものを上回る
振動数の上限をより完全かつ正確に特定するために用いることができる。
【0117】
逆ストークス数(δ)を増大させると、分離比(A
p/A
f)は1近くになり、相対運動の減退を示す。密度比がほぼ50を超えて増大するにつれて、分離比は主に逆ストークス数(δ)に依存する。このことは格別に重要であり、何故なら全気体/液体混合物は通常100を上回る高密度比を有するからである。かくして、振動流量計における最も一般的な混相流については、計測誤差範囲は主に逆ストークス数(δ)に依存する。逆ストークス数(δ)が非常に小さい場合、分離比3対1の無粘性状態に近づく。一方で、パラメータが大きい場合は相対運動が制限され、分離比は1対1に近づく。逆ストークス数(δ)は、流体運動学的粘性率、粒子の大きさおよび
振動数の間の釣り合いが重要であり、これら変数のいずれも単独では重要でないことを示している。しかし、
振動数が計器設計の特徴によって制御されるのに対し、粘性率や粒子または気泡大きさは複雑かつしばしば制御不能の処理条件に依存する。
【0118】
一部の実施形態において、超低
振動数の逆ストークス数(δ)は、ほぼ3.5を超える数値からなる。一部の実施形態において、超低
振動数の逆ストークス数(δ)は、ほぼ1.0を超える数値からなる。一部の実施形態において、超低
振動数の逆ストークス数(δ)は、ほぼ0.5を超える数値からなる。
【0119】
分離に関し高
振動数で振動流量計を動作させる目的に合わせて、逆ストークス数(δ)を用い、超高
振動数が十分に高いかどうか判定できる。一部の実施形態に係る超高
振動数において、逆ストークス数(δ)は、ほぼ0.1よりも低い数値からなる。一部の実施形態に係る超高
振動数において、逆ストークス数(δ)は、ほぼ0.01未満の数値からなる。
【0120】
一部の実施形態において、振動流量計5は、最大ほぼ5Hzの超低振動応答
振動数で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5は、最大ほぼ10Hzの超低振動応答
振動数で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5は、最大ほぼ20Hzの超低振動応答
振動数で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5は、最大ほぼ30Hzの超低振動応答
振動数で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5は、最大ほぼ40Hzの超低振動応答
振動数で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5は、最大ほぼ49Hzの超低振動応答
振動数で動作するよう設計されうる。所望の曲げモード
振動数には、計器設計上の考察を通じ、或いはこれに代えて特定のより低いまたは高い
振動数での非共振振動を通じて達成することができる。
【0121】
一部の実施形態において、振動流量計5はほぼ1mmを超える振動応答振幅で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5はほぼ2mmを超える振動応答振幅で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5はほぼ5mmを超える振動応答振幅で動作するように設計されうる。一部の実施形態において、振動流量計5はほぼ10mmを超える振動応答振幅で動作するように設計されうる。
【0122】
図6は、本発明に係る超低
振動数振動流量計5の一部を示している。この図は、本発明の一部の実施形態に係る大きな高さ対長さのアスペクト比(H/L)を用いた
振動流量計5を示している。大きな高さ対長さのアスペクト比(H/L)は、流量計の剛性と流量計の動作
振動数とを低下させる。
【0123】
加えて、上図は振動ノードの位置の変化を示している。図の点線は、一般的な補強棒120,120’を示している。補強棒は一般に、曲げノードを固定し、曲げ中心軸を確定するために用いられる。補強棒は流体導管を互いに固定し、ここでは2つの流体導管を用いて振動曲げノードを形成している。補強棒120,120’は曲げ中心軸W−Wを確定し、ここでは曲げ中心軸W−W上方の流体導管部分だけの振動が許容されている。曲げ中心軸W−Wは
振動数を制限し、一般に
振動数を高く維持する。
【0124】
動作
振動数を修正するために、曲げ中心軸の位置を移動させることができる。つまり、振動ノード位置を適切に配置すること等により適切に曲げ中心軸を配置し、動作
振動数を低減することができる。一部の実施形態において、図中の補強棒122,122’により図示されるように、補強棒を動かすことにより動作
振動数を修正することができる。補強棒122,122’が、曲げ中心軸W”−W”を確定する。他の実施形態において、補強棒を除去することで動作
振動数を修正することができる。この種の実施形態では、曲げ中心軸はフランジ101,101’により定められる、または多岐管102,102’により定められる。上記は、流体導管の形状の修正を通じて
振動数を低減する2通りの可能な方法に過ぎないことに、留意されたい。他の方法も熟慮され、これらも詳細な説明および特許請求の範囲内に含めるものとする。
【0125】
混相流
体がもたらす一つの影響は、この種の混相期間中に正確な流体計測が影響を受け妨害されることである。たとえ穏当ないし中程度の混相流条件下であっても、混相効果が存在することがある。混相流
体の特性は、圧縮率/音速(SOS)効果および混相流
体の成分間の分離に明示されうる。これら2つの効果は、
振動数と振幅を適切に選択することにより制御しまたは取り除くことができる。
【0126】
混相流
体は、
同伴気体、特に気泡状気体流を含むことがある。混相流には、
同伴固体や
同伴固体粒子、コンクリートやスラリー等の混合物が含まれることがある。さらに、混相流は例えば異なる密度(例えば水および石油成分)の液体を含むことがある。相群は、異なる密度または粘性率を有することがある。
【0127】
混相流では、流体導管の振動が必ずしも
同伴気体/固体を流
体と完全に同位相で移動させるとは限らない。この振動変則性は、分離または滑りと呼ばれる。例えば、気泡は、流
体から分離され、振動応答とその後の流動特性とに影響を及ぼすことがある。流量計が振動する際に、小さな気泡は概して流
体と共に移動する。しかし、流体導管の振動期間中に、より大きな気泡は流
体と共には移動しない。その代わりに、各振動運動期間中に
同伴気泡が流
体よりも遠くへかつより高速で移動して、気泡は流
体から分離したり、独立して移動したりすることがある。これが、流量計の振動応答に悪影響を及ぼす。このことは、流
体内に
同伴した固体粒子にも当てはまる。固体粒子は、
振動数の増大に伴い流
体の動きからますます分離する。分離は、混相流が密度および/または粘性率が異なる液体を含む場合でさえ生じることがある。分離現象は、例えば、流
体の粘性率や流
体と異物との間の密度差等の様々な要因により影響されることが判っている。
【0128】
気泡の大きさは、存在する気体量、流
体の圧力および温度、流
体内への気体の混合度、ならびに他の流動特性に応じて変わることがある。性能における減退の程度は、流
体中に存在する気体の総量だけでなく、流れの中の個々の気泡の大きさにも関連する。気泡の大きさは、計測精度に影響を及ぼす。より大型の気泡ほどより大きな体積を占め、流
体の密度と被計測密度の変動をもたらす。気体が圧縮性を有することから、必ずしも気泡の大きさは変化しないが、質量において変化することがある。その逆に、圧力が変化した場合に、気泡の大きさはしかるべく変化し、圧力降下とともに膨張し、圧力上昇とともに収縮する。これが、流量計の固有
振動数または共振
振動数の変動を引き起こすことがある。
【0129】
振動管中では、振動管の加速が気泡を移動させる。導管の加速度は、
振動数および振動振幅により決まる。
同伴気体の場合、気泡は導管加速と同じ方向に加速される。気泡は、流体導管よりも高速かつ遠方へ移動する。より高速の気泡の動き(および生起する流体変位)が一部の流体を流体導管よりも低速で動かし、結果的に流体混合物の重心を振動管の中心から後方へ変位させる。これが、分離問題の基本である。その結果、流量と密度特性は
同伴空気が存在するときに過小報告(負の流量と密度誤差)される。
【0130】
スラリーは、同様の問題を呈する。しかし、スラリーの場合、固体粒子はしばしば液体成分よりも重量がある。振動管の加速の下で、より重い粒子は液体よりも少なく移動する。このように重い粒子は液体より少なく移動するため、流体混合物の重心は依然として導管の中心からは若干後方へ移動する。このことが、負の流量誤差と密度誤差に帰結する。
【0131】
気体−液体、固体−液体、液体−液体の場合、
同伴相の差動的な動きは
同伴相と液体成分との間の密度差により駆り立てられる。気体の圧縮率を無視した場合、上記三つ全ての挙動のシナリオを記述するために同じ式を用いることができる。
【0132】
流体に対し気泡がどの程度移動するかを決定する幾つもの要因が存在するため、流体の分離の補償は困難であった。流体の粘性率は、一つの自明な要因である。非常に粘性のある流体において、気泡(または粒子)は流体中の所定場所で実質的に静止するので、流量誤差を殆ど生じさせない。超低
振動数では、流
体は非常に粘性の高い流体として、すなわち恰も粘性率が無限大であるかの如く振る舞うことになる。超高
振動数では、流
体はあたかも粘性率がほぼゼロであるかの如く、非粘性流体として挙動することになる。
【0133】
粘性率は、剪断応力および伸長応力のいずれかにより変形する流体の抵抗の測度である。一般に、粘性率は液体の流動抵抗、すなわち流体の層厚を定量化したものである。粘性率は、流体摩擦の測度と考えることができる。実際の全ての流体は応力に対し若干の抵抗を有するが、剪断応力に対し全く抵抗を持たない流体は理想流体または無粘性流体として知られている。
【0134】
気泡の移動性への別の影響は、気泡の大きさである。気泡に対する抗力が表面積に比例するのに対し、浮力は体積に比例する。それ故、極めて小さな気泡は大きな抗力対浮力比を有し、流体と共に移動しがちとなる。小さな気泡は、その後の計測値に小さな誤差を生ずる。逆に、大きな気泡は流体と共に移動する傾向はなく、計測値に大きな誤差を生じさせる。固体粒子についても同じことが当てはまる。つまり、小さな粒子は流体とともに移動する傾向があり、計測値に小さな誤差を生じさせる。
【0135】
振動が引き起こす別の問題は、音速(SOS)効果または圧縮性効果である。これらの効果は、
振動数が増大するにつれて、気体状の流れに関する質量流量計測値と密度計測値をますます不正確とする。
【0136】
密度差は、別の要因である。浮力は、流体と気体との間の密度差に比例する。高圧の気体は、浮力に影響を与えかつ分離を低減するために十分な高密度を有することがある。加えて、大きな気泡はより大きな体積を占め、流
体の密度における本来の変動に通ずる。気体が圧縮性を有するために、気泡は気体量を変化させることがあるが、それでも必ずしも大きさを変えるとは限らない。逆に、圧力が変化した場合、気泡の大きさはしかるべく変化し、圧力降下とともに膨張し、圧力上昇とともに収縮する。これによって、流量計の固有
振動数すなわち共振
振動数の変化と現実の二相密度の変化もまた生ずることがある。
【0137】
二次的要因もまた、気泡と粒子の移動性への影響を有することがある。大流量流体内の乱流が大きな気泡を小さなものへ破裂させ、かくして分離誤差を減らすことがある。界面活性剤は気泡の表面張力を低減し、それらの融合性向を減少させる。弁は増大する乱流を介して気泡の大きさを減少させることができるのに対し、配管のL字型屈曲部は遠心力を介して気泡を強制的に集めることで気泡の大きさを増大させることができる。
【0138】
入念な計器設計によって、振動流量計5は超低
振動数または超高
振動数で動作させることができる。超低
振動数で動作させれば、結果的に気体の分離または固体の分離がほぼ1対1の分離比に維持されることになり、混相流体中の異物は実質的に流
体と共に移動する。加えて、超低
振動数で動作させれば、粘性率が非常に高い流れに類似した流動特性に帰結する。
【0139】
このことは、異物が気体、液体および固体のいずれの成分で構成されようが当てはまる。このことは、異物が流
体とはやや異なる密度であろうが、または異物が大幅に異なる密度であろうが、当てはまる。その結果、
同伴異物は
振動流量計5が行なう計測に実質的に影響を及ぼさないようになり、振動流量計5は十分に正確かつ信頼に足る計測値を生成することができる。さらに、振動流量計5は、気体空隙比(GVF)および/または固体比に関係なく、首尾一貫しかつ予測通りに動作することになり、その間たとえ混相流
体の組成が変化しようと、流
体を存分に計測することができる。さらに、流量計5を超低
振動数で動作させることで、横断方向の音響モードはずっと高い
振動数で現れることから、圧縮性効果を受けない。
【0140】
超高
振動数の動作では、結果的に気体分離比がほぼ3対1の分離比に維持されることになる。超高
振動数の動作では、結果的に固体分離比がほぼ3/(1+(2*ρ
p/ρ
f))なる分離比に維持されることになる。加えて、超高
振動数の動作では、粘性率が実質的にゼロである流れと類似の流れ特性に帰結する。
【0141】
電子計器20は、駆動部104に対し駆動信号を生成し、かくして流量計アセンブリ10を超低
振動数または超高
振動数で駆動/振動させるように構成されうる。振動流量計5では常習的ではあるが、これには電子計器20が所定の
振動数と振幅の駆動信号を生成することが伴う。この所定の
振動数と振幅の駆動信号は、検出信号に基づくフィードバックによって影響を受け、修正されている。例えば、駆動信号は、検出センサ105,105’で計測された振動応答において共振
振動数(すなわち、固有
振動数)が達成できるようにフィードバックによって制御される。
【0142】
電子計器20は、様々な方法で超低
振動数または超高
振動数を生成するように設定されうる。電子計器20は、該電子計器20のメモリを適当にプログラミングする等して製造時に設定される。代替的には、電子計器20は、例えば、較正作業期間中の
振動数を用いて設定されることができる。一部の実施形態において、
振動数プログラミングは、計測や較正作業で特定された特定済み計器剛性に基づくことができる。別の代替例では、
振動数は、計器の始動作業期間中に導出または決定することができる。例えば、
振動数は、予め記憶されるか若しくはユーザが入力した値に基づくことができる。これには、例えば、予め記憶させるか若しくはユーザが入力した混相流流体の性質に関する情報に基づく
振動数を含めることができる。
【0143】
気体の分離に関し、最大でほぼ3対1の分離比まで
振動数の増加と共に低減する。最悪の場合のシナリオでは、気体は振動期間中に液体成分が横断する距離のほぼ3倍移動する。液体成分は、主に流体導管に沿って移動する。固体粒子の分離に関し、最悪の場合の分離比はほぼ0対1であり、この場合、導管発振期間中の固体粒子は実質的に静止している。これは、
振動数が高く且つ粒子密度が大きいときに生じる。
【0144】
分離は、一般に多数の入力パラメータの複雑な関数であり、そのことが流量計計測値の補償を極めて困難にしている。しかし、分離は小さな気泡について無視可能であることが判っている。同様に、流
体に大きな粘性率がある場合、分離は生じないか、または超高
振動数でのみ発生することがある。さらに、
同伴気体のシナリオでは、異物が流
体と十分に混合されれば、気泡の大きさは減少しかつ/または気体が均一に分散する。幾つかの場合では、分離を低減または実質的に除去することができる。また、流
体の大きな粘性率は、分離を低減または除去し、計測精度を増大させる。しかし、流
体の特性は実質的に固定されており、気泡の大きさと粘性率は在るがままを受容しなければならないようである。
【0145】
超低
振動数振動流量計は、SOS/圧縮性効果や分離を含めた、混相効果の影響を受けないように設計されうる。無論、
同伴異物の体積が十分に大きい場合、超低
振動数振動流量計は幾らかの影響を受けることがあるが、超低
振動数流量計は穏当な
振動数または高
振動数の先行技術に係る振動流量計よりもずっと大きな精度と確実性とを依然として呈する。
【0146】
図7は、振動流量計の混相流における誤差源を示す簡略自由体線図を示す。図の左側に示された流体導管の発振中に、乱流に誘発された流体混合により場所を替える、密度及び大きさが等しい二つの流体の束について考察する。
【0147】
左側の流体導管の単相のシナリオでは流体粒子の密度が等しいため、重心(CG)の位置は変化せず、系の固有
振動数は影響を受けない。しかし、図の右側の流体導管に示されたような混相混合物では、発振期間中に場所を替える2つの流体束すなわち粒子は密度が異なり、管のCG位置の変化を引き起こす。例えば、気泡が各発振に導管よりも遠くへ移動する場合に、一部の流体は気泡が残す空隙を充たすべく反対方向に移動しなければならない。このことは、一定の気泡の寸法と質量と非圧縮性液体相を想定しているため事実に相違しない。
【0148】
粒子密度が流体密度と異なるときは、付加質量や抗力等の付加的な力によって発振ごとに流体に対する粒子運動が生ずる。これらの力はどの粒子にも同一方向に作用し、各発振サイクルにより調整される非偶発的な変位を引き起こす。その結果、導管のCGの位置の変化は駆動
振動数に従って生じる。
【0149】
図8は、より高密度の流
体を充填された振動流量計の管内の半径aの比較的軽量の粒子の動きを表わす。正中線から最先端までの導管の各1/4発振とともに、粒子は静止した慣性フレームに対し全距離A
pを移動する。導管は各1/4発振期間中にA
fだけ前進移動し、この相対運動はA
p−A
fと規定される。
【0150】
発振期間中に気泡が流体中で前方へ極端に遠くまで移動すると、一部の流体量が空になった空間を埋め戻さねばならない。これは、CGの位置の変化を引き起こす。CG位置の変化は、計器と流体のパラメータに置き換えて算出され、例えば、混相流を伴う振動流量計について予想される密度計測誤差を特定することができる。或る質量流に対し同じ試行が行われるが、流体導管に沿う長さの関数である分離を考慮しなければならない。下記の分離に起因する密度誤差の導出には、幾つかの仮定がなされる。発振する流体媒体内の粒子の動きは振幅比と位相角とによって十分に規定されるが、CG手法を用いて流量計内の分離に起因する密度誤差についての分析的表現を導出することは、粒子と流体との間の位相角がゼロと見なせるときにのみ可能である。ゼロ位相角の前提は、無限大の粘性の流体または無粘性流体の場合に、例えば、流体導管がそれぞれ超低
振動数または超高
振動数で振動するときに完全に満たされる。他のシナリオでは、位相角は通常20度未満であり、このため計測範囲について密度誤差の良好な1次近似と振動流量計について得られる流体パラメータとが予想される。発振期間中の一定の管体積や粒子寸法や粒子質量もまた、推定される。これらの推定は、含有密度に関係なく、あらゆる異物含有種について十分に適うものである。
【0151】
図9は、CGの位置における変化を含め、流体
導管の1回の1/4発振時の粒子と流体との間の全体の相対運動を示す。発振する流体
導管内の粒子の分離運動に起因するCGの動きを、算定することができる。CGの動きにより、成分密度および粒子の分離の程度に依存する計測誤差が生じる。流体に対する粒子の移動路により、両端に半径aの半球を有する三次元筒状体の輪郭が描かれる。
【0152】
1/4発振時に流体に対する粒子の動きにより影響を受ける粒子と流体の全体積を、下記の如く定義する。
【0154】
上記の式(12)(13)は、変位した各成分の質量を求めるべく個々の密度が乗算される。質量に置き換える作業により、任意の流体密度と粒子密度とが見込めるようになる。
【0156】
図9を用い、粒子成分と液体成分のそれぞれのCGの位置が発振前と発振後とに算出される。
【0157】
図10は、
図9の点線から(1)〜(4)と名付けた各成分のCGまでの粒子と液体成分のCGの位置をもたらすものである。第1の質量m
1(1)の算出に負号が含まれることに、留意されたい。これが必要な理由は、そうでなければ、流体で満杯になる流体筒(2)からこの質量を減算しなければならないからである。
【0158】
移動する成分の総質量は、下式(16)により規定される。
【0160】
粒子がゼロから最大まで移動する前の被変位流体のCGは、下式(17)の如く定義される。
【0162】
粒子がゼロから最大まで移動した後の被変位流体のCGは、下式(18)の如く定義される。
【0164】
CGが相対的な基準フレーム内を移動する全距離は、式(18)から式(17)を差し引くことで見いだすことができる。
【0166】
この数式は、重要なパラメータをより明確に露呈させるべく簡単化することができる。
【0168】
単相流体に関し、密度比が厳密に1である(ρ
f/ρ
p=1)場合に、CGの変位は全くない。気泡が殆ど無いくらいに小さい場合に、A
p=A
fであり、CGの変位は全くない。無視可能な密度の流体中の重量固体粒子の場合については、小さな密度比の限界(ρ
f/ρ
p≪1)においてCGの位置変化は−A
fまで減ることがある。何故ならモデルが要求するように、A
pはゼロに近づくからである。この場合、粒子は流体がその周囲を移動する間、慣性基準フレーム内で静止したままでいるほど重量がある。最後に、液体中の無質量粒子の場合については、密度比は無限大に近づき(ρ
f/ρ
p→∞)、CGの位置変化は粒子寸法ΔQ=−4a/3にのみ依存する。
【0169】
式(16)で規定される合成質量Mは、発振ごとに式(19)が規定するCGの変位(ΔQ)を受ける。CGの動きの情報は、密度計測誤差に関する数式を直ちにはもたらさない。その代わりに、CGの同じ全体的な動きを生成すべく、流体
導管の各発振期間中に慣性フレーム内に静止する偽質量を特定する。そこでは、流体のこの静止質量が、その動きが管の動きから全体的に分離されているが故に、密度計測値には不在であるものと仮定することができる。その結果、系の固有
振動数は増大し、振動密度計の場合、負の密度誤差に帰結する。
【0170】
慣性フレーム内の静止する監査者の視野からは、振動流量計の管内の質量(m
f)の単相流体は三角関数の管速度を乗じた(p=m
fA
fωcos(ωt))を与える流体質量により規定される運動量(p)を有する。管と共に移動する観察者の視野からは、単相流体は流体のCGの速度が厳密にゼロである(ΔQ=0)が故に運動量を一切持たない。しかし、混相流が存在するときは、混合物のCGの動きは管と共に動く相対的な基準フレームに対し非ゼロである(ΔQ≠0)ことが見てとれる。このことは、相対フレームの非ゼロ運動量に帰結する。分離により生ずるこの運動量が密度計測誤差に帰結することを、立証できる。
【0171】
CGの既知の質量と動き(M,ΔQ)が生み出す運動量を、先ず既知の粒子運動から算定する。発振ごとに同じ正味の運動量を生成する偽静止質量が、そこで見いだされる。合成質量に関する運動量は、単純に全質量に対し組成のCG速度を乗算したものである。分離された流体や粒子の場合、質量MのCGは各1/4発振時に振幅ΔQだけ変位する。その動きは角
振動数(ω)とゼロ位相を有する三角関数として推定しているため、運動量(p)はCGの調和変位に置き換えて規定することができる。
【0173】
図9は、式(21)に規定された運動量を生成する距離に亙る移動質量の一つの可能な構成を表わす。しかし、相対的なフレーム内で同じ正味の運動量を生成し得るしかるべき距離を移動するしかるべき質量の無限の他の可能な構成が存在する。等価運動量を生成しかつ慣性基準フレーム内に静止したままの質量からなる構成が、望ましい。この質量は振動流量計では計測されず、何故ならそれは管の動きから完全に分離するからである。
【0174】
式(22)は流体(M’)の総実効質量を見いだすが、これは式(21)が生成するのと等価な運動量を生成すべく慣性フレーム内で静止していなければならない筈である。(−A
f)項が出現するが、それは実効静止質量が慣性座標系について必要とされるからである。上記のCG算出は、座標(q)を有する相対的なフレームに関連させてある。しかし、座標(q)の値は、質量のCGが慣性フレーム内で静止している場合に必要とされる。(x=q+A
f)であるため、静止質量については(x=0)でかつ(q=−A
f)であることが判っている。これは、(q)座標系内で距離(−A
f)を移動している質量が慣性フレームに対し実際に静止しているとの事実を説明するものである。等価な運動量の前提には、静止質量(M’)を下式の如く定義する必要がある。
【0176】
式(24)は、関連する分離比と密度とを用い、特定の半径の単一の粒子の運動に起因する実効静止質量を与えるものである。質量は、粒子の体積、密度差および分離運動の程度に依存する。粒子寸法と粒子密度の範囲のより一般的な場合では、静止質量に関する数式は流体導管内の各粒子に対する総和を必要とする。各粒子の変位振幅は、粒子寸法と粒子密度に応じて異なることがあることを仮定している。しかし、流体密度と流体変位振幅は粒子ごとに一定であると見なされる。かくして、ρ
fとA
fは下記の総和には下付き添え字は必要ないが、粒子に関するあらゆる量が必要である。振幅A
fで発振中の水充填管内の気泡と懸濁固体粒子からなる混合物について考察する。分離比(A
p/A
f)は、気泡については1を上回り、固体粒子については1よりも小さく、かくしてM’は各粒子の個々の分離運動からの質量の実効損失を表わす2つの個別項で構成される筈である。N個の粒子が存在し、そのそれぞれが関連する密度、半径および振幅応答を有すると仮定すると、分離流体の全実効質量M’は下式(25)により与えられる。
【0178】
一定の粒子密度と寸法を仮定した場合、粒子ごとに等価な動きが予想され、aやρ
pやA
pについては下付き添え字はもはや不要となる。これにより、式(25)の総和の除外が可能となり、下式(26)が得られる。
【0180】
各粒子の体積のN倍が単に流体
導管内の全粒子体積となることを、認識されたい。ここで式(26)を粒子と流体の体積総計である総管体積で除し、下式(27)を得る。
【0182】
既知の体積による除算は、以前は質量の大きさであったものから密度量を明らかにする。粒子体積比aの定義は、単純に粒子体積を総体積で除したものである。かくして、密度の実効的な非貢献部分は粒子体積比aに置き換えて規定され、下式(28)の如くなる。
【0184】
実際の混合物密度と分離密度は、分散相aの体積比として定義され、下式が得られる。
【0186】
式(29)により与えられる振動流量計内の混相流体の実際の密度が、混合物密度であって液体密度でないことを、想起されたい。式(30)は、粒子の分離運動に起因して振動流量計により計測されるであろう密度を表わす。分離に起因する真の混合物密度からの誤差は、式(30)から式(29)を差し引くことで見いだされ、下式(31)が得られる。
【0188】
代替的には、密度誤差は百分率形式で表現することができ、この形式は多種多様な流体密度間のより良い比較を可能にする。
【0190】
式(32)で、(ρ
f)項は流
体の密度であり、(ρ
p)項は
同伴粒子の密度であり、(A
p/A
f)項は分離比であり、(a)項は粒子体積比(すなわち、粒子寸法または粒子寸法分布)である。これらの結果を確認するものとして、分離比が明示的に既知の無粘性流体または無限粘性流体中の気泡の極端な場合を考察する。ここでゼロ密度の粒子を想定するが、粘性率が無限大の場合はこれは不要であり、何故ならあらゆる密度の粒子について分離が完全に除外されるためである。無粘性の流体および質量ゼロの粒子については、分離比は正確に3(すなわち、3対1)であり、粘性率無限大の流体については、分離比は正確に1である。これらの各状況では、式(30)は下式に簡略化される。
【0192】
これらの結果は、HempとYeung(2003年)等の以前の研究に見いだされるものと等価である。流体密度に空隙比を乗じたものの2倍の最大の無視密度が無粘性流体中の気泡の場合に見いだされるのに対し、無限粘性流体中の気泡については無視密度が全く予想されていない。それ故、1%の気体空隙比を有する混合物が存在する場合、粘性率と気泡の大きさと計器
振動数と他のパラメータに従い、密度誤差は0〜−2%の間にあると予想される。この経験則は無視可能な質量を有する粒子についてのみ有効であることを、理解されたい。例えば、粒子の質量が液体を上回る場合、密度誤差の大きさは実際に粒子体積率の2倍を上回ることがある。
【0193】
式(31)によれば、気泡状流体の被計測密度は分離比が1を上回るが故に間違って低くなることになる。このことは直観的である。何故なら、気泡は各発振時に流体を通って遠くまで移動し、流体を後方へ移動させて空になった空間を充たすからである。この結果は、正確な混合密度より少ない見かけ上の密度である。より大きな気泡については誤差は予想される如くますます負となることも判っている。何故なら、大きな気泡はさらに分離し、非関与質量を増大させるからである。液体中の高密度固体粒子の場合、分離比は1未満であり、密度差ρ
f−ρ
pは負であり、式(30)中の最後の項は気泡の場合と同様に負とされる。このことが予想されるのは、固体粒子が流体ほど遠くへは移動せず、かくしてここでも管のCG内に後方への変位が存在し、ここで重量組成は管自体よりも平均して少なく移動するからである。
【0194】
図11は、粒子密度に対する分離密度誤差のグラフである。流体は、1cPの粘性率と998kg/m
3の密度と100Hzで0.37mm(0.015インチ)の発振
振動数および振幅をそれぞれ有する水である。グラフに見てとれるように、分離に起因する密度誤差は粒子密度に拘わらず常に負である(密度誤差がゼロである分離が皆無の場合は除く)。分離皆無のシナリオは、粒子が流体と同じ密度であるとき、または粘性力が相対運動が発生しないほど大きいときに生じる。
図11は、粒子と流体との間の位相角が皆無であると仮定し、百分率形式で表現した密度誤差についての式(32)に基づくものである。密度誤差は質量のより少ない気泡について理論的な最大値である−2αに接近するが、それは粘性効果によって若干制限される。粘性率がゼロに近づくようなことがあれば、0kg/m
3の粒子密度における密度誤差は予想される値である−2%に接近する筈である。混相流期間中の密度誤差に対する他の計器設計パラメータおよび流体特性の影響もまた、調査してある。粒子と流体の間に位相差が全く存在しないものと仮定する。式(32)によって与えられる密度誤差近似値を用いる。
【0195】
図12は、粒子寸法に対する流体粘性率に関する密度誤差の面プロットである。密度誤差は、図に示すように、位相角よりむしろ分離比により主に制御される。予想される如く、密度誤差は、高粘性率流体の小さい気泡について最小化され、増大する気泡の大きさおよび/または減少する粘性率と共に成長する。粒子密度が無視しうるため、結果は気泡寸法や粘性率等のパラメータに応じて密度誤差が空隙比の2倍でゼロとマイナスとの間で変化するという経験則に従う。低粘性流体内の大きな粒子については、1%の気体体積比について−2%の密度誤差のあるほぼ無粘性の場合に行き着くことがある。
【0196】
図13は、粒子密度に対する流体粘性率に関する密度誤差の面プロットである。予想されるように、流体対粒子の密度比が1対1の単相比から逸脱するにつれ誤差は増加する。最も深刻な密度誤差は、比較的無粘性の流体中の気泡または高密度粒子から生ずる。高密度粒子の場合、密度誤差の大きさが粒子容積比の2倍を上回ることがある点に留意されたい。粒子密度が増加するにつれ、振幅比(A
p/A
f)は小さくなり、粒子が実験室の観察者の視野からは各発振と共に殆ど移動しないことを意味する。かくして、ますます重量を増す粒子はますます静止し、流体
導管のCGの大きな後方への動きと相応する大きな負の密度誤差とを招来する。
【0197】
図14は、
振動数に対する導管の振幅に関する密度誤差の面プロットである。図は、計器設計パラメータの関数として密度誤差を与える。密度誤差は、超低
振動数振動流量計を用いて最小化することができる。加えて、流量計は超低
振動数と同時並行的に非常に小さな振幅で振動させることができる。例えば、約0.5mmの一定の管振幅では、密度誤差は100Hzで振動している振動流量計よりも400Hzで振動している振動流量計の方が0.35%大きく、1000Hzの計器よりは0.5%大きい。同一振幅では、10Hzで振動中の流量計では密度誤差はたった−0.4%であり、1Hz未満の
振動数では誤差は実質的に除去される。
【0198】
超低
振動数は、流量計アセンブリ10を1次曲げモードで振動させることにより達成することができる。1次曲げモードは流量計アセンブリ10の共振
振動数を含み、ここでは流体導管の長さは単一方向に移動する。高い
振動数は、2次またはより高次の曲げモードで流量計アセンブリ10の振動で構成することができる。より高次の曲げモードでは、追加振動ノードは流体導管上に存在する。この振動のノードの両側の導管部は、反対方向に移動する。
【0199】
一部の実施形態では、超高
振動数振動流量計5は流量計設計の一つの結果として超高
振動数で動作させることができる。一部の実施形態では、超高
振動数振動流量計5は駆動信号の構成の一つの結果として超高
振動数で動作させることができる。
【0200】
図15は、コリオリ流量計の超低
振動数モードと中
振動数モードと超高
振動数モードからの総密度誤差のシミュレーション結果を示す図である。極めて小さな粒子寸法では、分離比(A
p/A
f)がほぼ1で密度誤差が相応して重要でない場合等のように、あらゆる分離が無視可能であることを見てとることができる。この小さな粒子のシナリオでは、音速(SOS)/圧縮性効果に支配される。その結果、媒体および高
振動数モードは正の誤差を有し、低
振動数モードは大きな誤差を全く持たない。
【0201】
しかし、気泡の直径が1ミリメートルの十分の一の数倍の長さを上回って大きくなると、分離がSOS/圧縮性効果を支配し始め、誤差は負となる。粒子寸法が増加するにつれて、観察される誤差が無粘性モデル結果、すなわちほぼ3対1の分離比(A
p/A
f)に漸近的に収束する点に留意されたい。この漸近は、発振
振動数が高いときは気泡の大きさについてより早期に発生する。それ故、計器を十分に高
振動数で振動させた場合に、式(32)を用いることができる。式(32)は、気泡の寸法と流
体の粘性とは無関係である。
【0202】
図16は、本発明の一実施形態による超高
振動数振動流量計5を示す。超高
振動数は、前記した如く、1以上の流体導管103A,103Bの実効長と流量計5の構造とに依拠させることができる。一部の実施形態における実効長は、流体導管構造により制御することができる。加えて、駆動
振動数には、必要に応じて1以上の流体導管103A,103Bに随意選択的に固定することのできる1以上の釣合い質量によりさらに影響を及ぼすことができる。
【0203】
図中、流量計5は比較的小さな高さHの割には大きな長さLを有する。超高
振動数振動流量計5には、それ故に小さな高さ対長さのアスペクト比(H/L)を持たせることができる。例えば、高さ対長さのアスペクト比(H/L)は1未満またはそれよりもずっと低くすることができる。それ故、本発明に係る超高
振動数振動流量計5は比較的小型であり、それ故に大半の計測用途に用立てるのが簡単である。
【0204】
一部の実施形態では、超高
振動数は1,500Hzを上回る
振動数からなる。一部の実施形態では、超高
振動数は2,000Hzを上回る
振動数からなる。一部の実施形態では、超高
振動数は3,000Hzを上回りさらにそれを超える
振動数からなる。しかし、理解されたいのは
振動数がこれら閾値を上回る任意の
振動数とすることができることであり、何故なら所要の超高
振動数は結果的には例えば流
体組成や
同伴異物の特性を含む様々な要因に依存することになるからである。
【0205】
代替的には超低
振動数振動流量計と超高
振動数振動流量計の両方を本願明細書に記載した結果を達成すべく合わせ使用できることは、理解されたい。例えば、二基の流量計は異なる
振動数で流
体を計測することができ、得られる計測信号は本発明の様々な実施形態に従って処理することができる。処理はいずれの流量計の電子計器においても行なうことができ、または個別装置内で行なうことができる。
【0206】
振動流量計5は、超低
振動数振動流量計にまたは超高
振動数振動流量計に構成しようとも、複数の
振動数で動作させることができることを理解されたい。例えば、振動流量計は複数の
振動数で動作させて複数の振動応答を生成することができ、ここでは近似的な混相効果の開始を特定すべく複数の振動応答を比較する。
【0207】
図17は、本発明に係る混相流
体の1以上の流
体特性を特定する方法のフローチャート1700である。ステップ1701において、振動流量計は1以上の超低動作
振動数と1以上の超高動作
振動数とで動作させる。振動流量計は、一部実施形態では複数の
振動数で実質的に順次振動させるよう動作させることができる。代替的には、振動流量計は1以上の超低
振動数と1以上の超高
振動数で実質的に同時振動するよう動作させることができる。
【0208】
1以上の超低
振動数と1以上の超高
振動数は、例えば予想される流
体に基づき特定することができる。代替的には、1以上の超低
振動数と1以上の超高
振動数は、例えば流体圧力や計器用に利用可能な物理的空間等の少なくともある程度は他の制約に依存させることができる。他の制約を熟慮し、これらも詳細な説明の範囲内と特許請求の範囲内とに含めるものとする。
【0209】
例えば、予想される流
体中の
同伴気体により計測値中に誤差を生ずることがある。気泡の大きさと流
体粘性率しだいで、所与の振動レベルにある気体状または気泡状の流
体が等価な
同伴固体混相流よりも多くの計測誤差を呈することもある。
同伴固体は一般に圧縮性効果を呈さず、気泡よりも小さな範囲で分離しがちである。その結果、
同伴気体混相流
体は状況に応じて
同伴固体混相流
体よりも極端な1または複数の
振動数を必要とすることもある。
【0210】
予想される流
体は、流れの中の予想される粒子または気泡の大きさ、または予想される大きさの範囲に基づく
振動数設計を可能にできる。例えば、振動流量計は、一部の実施形態において、小型から中型の気泡/粒子を含む二相流期間中に確実に流量計測が行なえるように設計することができる。振動流量計は、一部の実施形態ではスラグ流ではなく気泡状流の
同伴気体を確実に計測するように設計することができる。代替的には、念入りに設計することで、振動流量計はスラグ流でさえ正確かつ確実に計測できるように設計することができる。さらに、振動流量計は、例えば、コンクリートや他のセメント混合物等の気泡と固体の両方を含む混相流
体を正確かつ確実に計測するように設計することができる。
【0211】
この決定にはさらに、振動流量計の動作制約を考慮することができる。動作制約には、流
体圧を含めることができる。動作制約は、流
体の粘性率とは無関係とするか、またはこれを含めることができる。動作制約には、予想される異物の種別や種別群を含めることができる。動作制約には、予想される異物の大きさや大きさ群を含めることができる。動作制約には、振動流量計に利用可能な物理的空間を含めることができる。
【0212】
ステップ1702において、1以上の超低
振動数振動
応答と1以上の超高
振動数振動応答とを受け取る。振動応答は、流量計アセンブリ10を振動させるために用いる超低駆動
振動数と超高駆動
振動数とに応答して受け取ることになる。
【0213】
ステップ1703において、1以上の流
体特性を1以上の超低
振動数振動応答と1以上の超高
振動数振動応答とから特定する。1以上の流
体特性には、高精度であって混相流効果により実質影響されない混合
体質量流量(m
mixドット)と混合
体密度(ρ
mix)とを含めることができる。1以上の流
体特性にはさらに、高精度であって混相流効果により実質的に影響されない流体質量流量(m
fドット)と
同伴粒子/気体質量流量(m
pドット)とを含めることができる。1以上の流
体特性にはさらに、高精度であって混相流効果により実質影響されない成分流体密度(ρ
f)を含めることができる。1以上の流
体特性にはさらに、流体比(φ
f)と粒子比(φ
p)と混合
体音速(c
mix)とを含めることができる。他の付加的な流
体特性を熟慮し、これらも詳細な説明の範囲内と特許請求の範囲内に含めるものとする。
【0214】
その判断には、分離比(A
p/A
f)について既知の値または推定値の使用を含めることができる。超低
振動数では、
同伴気体または
同伴固体によらず分離比(A
p/A
f)はほぼ1対1と見なすことができる。超高
振動数では、
同伴気体についての分離比は約3:1であるとみなせるのに対し、
同伴固体についての分離比はほぼ3/(1+(2*ρ
p/ρ
f))に等しいと見なすことができる。
【0215】
超低
振動数では、流
体粘性率はほぼ無限大であると見なすことができる。超高
振動数では、流
体粘性率はほぼゼロと見なすことができる。
【0216】
一例として、幾つかの式を生成された超低
振動数ならびに超高
振動数の振動応答の処理に用いることができる。下記の式(35)は、高低によらず任意の
振動数に適用することができる。しかし、超低
振動数では、前述の如く分離比(A
p/A
f)は1となることになる。その結果、式(35)の最右辺の項は実質的にゼロとなり、かくして振動流流量計により計測された密度は現実の混合物密度(ρ
mix)となる。超低
振動数の結果、この計測された混合物密度(ρ
mix)が正確で信頼に足ることは判っている。また、超低
振動数では、計測された混合物質量流(m
mixドット)もまた前述の如く正確かつ信頼に足ることが判っている。
【0217】
式(35)は、下記の式(45)〜(46)に示す例の如く1以上の超高
振動数においても適用することができる。いずれの場合においても、分離比は1以上の超低
振動数について実質一定に止まることになり、例えば気泡の大きさとは無関係である(ただし、SOS項は増大する
振動数(ω)に合わせて増大することになる)。
【0219】
一実施例では、振動流量計は油井からの油の1以上の流
体特性を特定するのに用いるが、ここでは油中に気体が
同伴している。最悪の場合のシナリオでは、油と気体の密度と比は未知であったり推定であったりするが、流
体の圧力と温度は一般に計測され、すなわち既知である。振動流量計は、少なくとも一つの超低
振動数と少なくとも一つの超高
振動数を用いて振動させる。所望の流
体特性は、一般に少なくとも混合物質量流量(m
mixドット)と混合物密度(ρ
mix)とを含む。加えて、(流体)油成分質量流量(m
fドット)と密度(ρ
f)とが所望対象とされるようである。これには、混相流の油/液体比の特定が要求され、または必要とされるようである。気体成分(ここでは、気泡は
同伴粒子(p)である)の質量流量(m
pドット)と密度(ρ
p)が所望され、または所望されないこともある。(粒子/気泡)気体密度(ρ
p)は、理想気体の法則P=ρ
pRTから算出することができる。しかし、流体密度(ρ
f)は依然として必要である。超高
振動数で行なわれる追加の振動は、等価な数の未知数の解を可能にする追加の式をもたらすことになる。それ故、(φ
f),(φ
p),(c
mix)項が所望される場合、二つの追加の超高
振動数振動が必要であり、それらが式(45),(46)に示す結果をもたらすことになる。二つの超高
振動数(ω
1)と(ω
2)は、任意の適当な
振動数で構成することができる。
【0221】
式(35)の二以上のバージョンの使用、すなわち式(45),(46)に示す結果の生成が共通のSOS項(c
mix)の除去を可能にする。得られる2つの式は、未知数(φ
f)と(φ
p)を特定すべく解くことができる。次に、式(41)〜(44)を用いて追加の流
体特性を導出することができる。他の式を熟慮し、これらも詳細な説明の範囲内と特許請求の範囲内とに含めるものとする。