(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896754
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
H01R13/42 F
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-8833(P2012-8833)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-149469(P2013-149469A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】松村 薫
(72)【発明者】
【氏名】深谷 知由
(72)【発明者】
【氏名】梶川 謙士
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−327503(JP,A)
【文献】
特開昭63−048782(JP,A)
【文献】
実開昭55−093979(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が収容されたハウジングと、前記ハウジングに装着され、前記端子の抜け方向の移動を阻止するリテーナとを備え、前記ハウジングには前記リテーナを挿入するリテーナ挿入孔が設けられていると共に前記リテーナ挿入孔に突出する仮係止突起と本係止突起が設けられ、前記リテーナには、前記仮係止突起と前記本係止突起との各干渉によって撓み変形する撓み変形部が設けられ、前記撓み変形部には被係止部が設けられ、
前記リテーナの前記リテーナ挿入孔への挿入途中位置では、前記被係止部と前記仮係止突起間が係止されて仮係止状態とされ、前記リテーナの前記リテーナ挿入孔への挿入完了位置では、前記被係止部と前記本係止突起間が係止されて本係止状態とされるコネクタであって、
前記被係止部は、前記撓み変形部に開口された係止孔として形成され、かつ、前記係止孔は、前記本係止状態の際に前記仮係止突起と前記本係止突起とが共に収容される大きさの方形状の孔に形成され、
前記撓み変形部は、リテーナ本体に連続して設けられたガイド部であり、
前記ガイド部は、前記係止孔の周囲である梁部の肉厚が他の箇所よりも薄く形成されていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リテーナによって端子の抜けを阻止するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のコネクタとしては、特許文献1に開示されたものがある。このコネクタ50は、
図13〜
図16に示すように、端子70が収容されたハウジング51と、このハウジング51に装着され、端子70の抜け方向の移動を阻止するリテーナ60とを備えている。
【0003】
ハウジング51は、ハウジング本体部52と、このハウジング本体部52の左右外側の撓み空間Sを隔てて一体に設けられた一対の補強梁部53とを備えている。ハウジング本体部52には、相手コネクタが嵌合されるコネクタ嵌合室(図示せず)と、このコネクタ嵌合室(図示せず)の奥位置に開口された2つの端子キャビティ54とを有する。各端子キャビティ54には、コネクタ嵌合室(図示せず)とは反対側より挿入された端子70が収容される。端子キャビティ54に完全に挿入された端子70は、ハウジング本体部52側のランス(図示せず)によって抜け方向の移動が阻止される。端子キャビティ54に収容された端子70は、その相手接触部(図示せず)がコネクタ嵌合室(図示せず)に突出される。
【0004】
ハウジング本体部52には、上方から2つの端子キャビティ54に開口するリテーナ挿入孔55が設けられている。ハウジング本体部52には、リテーナ挿入孔55の左右位置に突出する仮係止突起56と本係止突起57が一対設けられている。
【0005】
リテーナ60は、リテーナ本体61と、このリテーナ本体61の両側より垂下され、撓み変形可能な一対の弾性アーム部62とを備えている。リテーナ本体61には、2つの端子係止部61aが設けられている。各弾性アーム部62には、その先端内面より突出する係止爪62aが設けられている。
【0006】
次に、ハウジング51への端子組み付け手順を説明する。先ず、
図14に示すように、リテーナ60をハウジング51の上方よりリテーナ挿入孔55に挿入する。すると、リテーナ60の一対の係止爪62aがハウジング51の各仮係止突起56に干渉するが、各仮係止突起56からの反力によって各弾性アーム部62が撓み変形してリテーナ60の挿入が許容される。リテーナ60の一対の係止爪62aが各仮係止突起56を乗り越える位置まで挿入されると、各弾性アーム部62が撓み復帰変形する。これにより、
図15に示すように、リテーナ60の各係止爪62aがハウジング51の仮係止突起56に係止する。これで、リテーナ60が仮係止される。この仮係止位置では、リテーナ60の各端子係止部61aは各端子キャビティ54に入り込む手前位置に位置する。
【0007】
次に、各端子70を各端子キャビティ54に挿入する。端子70を完全に挿入すると、ランス(図示せず)によって抜け方向の移動が阻止される。
【0008】
次に、リテーナ60をリテーナ挿入孔55の奥に挿入する。すると、リテーナ60の一対の係止爪62aがハウジング51の各本係止突起57に干渉するが、各本係止突起57からの反力によって各弾性アーム部62が撓み変形してリテーナ60の挿入が許容される。リテーナ60の一対の係止爪62aが各本係止突起57を乗り越える位置まで挿入されると、各弾性アーム部62が撓み復帰変形する。これにより、
図16に示すように、リテーナ60の各係止爪62aがハウジング51の本係止突起57に係止する。これで、リテーナ60が本係止される。この本係止位置では、リテーナ60の各端子係止部61aは各端子キャビティ54に入り込み、端子70の抜け方向の移動を阻止する。
【0009】
この従来例では、端子70がランス(図示せず)とリテーナ60によって二重に係止されるため、端子70の抜けを確実に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−327503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来例のコネクタ50では、リテーナ60側の係止構造が弾性アーム部62と係止爪62aによって構成されているため、リテーナ60側の係止構造の幅寸法W2が大きい。そして、弾性アーム部62と係止爪62aの幅寸法W2分だけ、仮係止突起56及び本係止突起57の先端位置より撓み変形する。そのため、弾性アーム部62と係止爪62aには、大きな撓み変形領域Z2(
図15及び
図16に示す)を確保する必要があるため、その分コネクタ50が大型化する。
【0012】
ここで、コネクタ50の小型化を図るため、仮係止突起56及び本係止突起57の突出寸法や、弾性アーム部62の係止爪62aの突出寸法を小さくすることが考えられる。しかし、このような構造にすると、リテーナ60のハウジング51への係止保持力が低下し、コネクタ輸送時等の振動等でリテーナ60の位置が移動したり、脱落したりする事態が発生する恐れがあるため、採用できない。
【0013】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、リテーナの撓み変形領域を小さくして小型化できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、端子が収容されたハウジングと、前記ハウジングに装着され、前記端子の抜け方向の移動を阻止するリテーナとを備え、前記ハウジングには前記リテーナを挿入するリテーナ挿入孔が設けられていると共に前記リテーナ挿入孔に仮係止突起と本係止突起が配置され、前記リテーナには、前記仮係止突起と前記本係止突起との各干渉によって撓み変形する撓み変形部が設けられ、前記撓み変形部には被係止部が設けられ、前記リテーナの前記リテーナ挿入孔への挿入途中位置では、前記被係止部が前記仮係止突起に係止されて仮係止状態とされ、前記リテーナの前記リテーナ挿入孔への挿入完了位置では、前記被係止部が前記本係止突起に係止されて本係止状態とされるコネクタであって、前記被係止部は、前記撓み変形部に開口された係止孔であり、かつ、前記係止孔は、前記本係止状態の際に前記仮係止突起と前記本係止突起とが共に収容される大きさの方形状の孔であ
り、前記撓み変形部は、リテーナ本体に連続して設けられたガイド部であり、前記ガイド部は、前記係止孔の周囲である梁部の肉厚が他の箇所よりも薄く形成されていることを特徴す
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撓み変形部に設けられた係止孔に仮係止突起や本係止突起が係止するため、仮係止突起や本係止突起の突出寸法と撓み変形部の肉厚寸法分の合計寸法を最小限の撓み変形領域として確保すれば良いため、従来例に較べて係止爪の分だけ幅狭にできる。以上より、リテーナの撓み変形領域を小さくでき、コネクタを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態を示し、ハウジングの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示し、ハウジングの平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示し、
図2のA−A線断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態を示し、リテーナの斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態を示し、リテーナの側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態を示し、
図5のB−B線断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態を示し、リテーナを仮係止位置にセットしたコネクタの斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態を示し、リテーナを仮係止位置にセットしたコネクタの平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態を示し、リテーナを本係止位置にセットしたコネクタの斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態を示し、リテーナを本係止位置にセットしたコネクタの平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態を示し、(a)は
図8のC−C線断面図、(b)は
図10のD−D線断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態であって、変形例のリテーナの斜視図である。
【
図13】従来例を示し、ハウジングの平面図である。
【
図14】従来例を示し、リテーナのハウジングへの装着過程を示す後面図である。
【
図15】従来例を示し、リテーナのハウジングへの装着過程を示す断面図である。
【
図16】従来例を示し、リテーナのハウジングへの装着過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(一実施形態)
図1〜
図11は本発明の一実施形態を示す。コネクタ1は、端子(図示せず)が収容されたハウジング2と、このハウジング2に装着され、端子(図示せず)の抜け方向の移動を阻止するリテーナ20とを備えている。
【0021】
ハウジング2は、
図1〜
図3に示すように、相手コネクタが嵌合されるコネクタ嵌合室(図示せず)と、このコネクタ嵌合室(図示せず)の奥位置に開口された上下2段の複数の端子キャビティ3とを有する。コネクタ嵌合室(図示せず)は、ハウジング2の前面に開口している。各端子キャビティ3には、ハウジング2に一体形成されたランス(図示せず)がそれぞれ突出している。各端子キャビティ3には、コネクタ嵌合室(図示せず)とは反対側より挿入された端子(図示せず)が収容される。端子キャビティ3に完全に挿入された端子(図示せず)は、ランス(図示せず)によって抜け方向の移動が阻止される。端子キャビティ3に収容された各端子(図示せず)は、その相手接触部がコネクタ嵌合室(図示せず)に突出される。
【0022】
ハウジング2には、上面に開口するリテーナ挿入孔4が設けられている。リテーナ挿入孔4は、リテーナ本体挿入孔4aと、これに連続して設けられた一対の撓み変形部挿入孔である一対のガイド部挿入孔4bとから構成されている。リテーナ本体挿入孔4aに対応する大部分の位置では、上段側の端子キャビティ3と下段側の端子キャビティ3の天壁が切り欠かれている。これにより、リテーナ本体挿入孔4aは、上段の全ての端子キャビティ3を貫通し、且つ、下段の全ての端子キャビティ3の天壁を貫通している。リテーナ本体挿入孔4a内で、且つ、一対のガイド部挿入孔4bに挟まれた領域に対応する位置では、上下2段の端子キャビティ3が配置されている。上下2段の端子キャビティ3を構成する天面は、リテーナ挿入規制面3aとして形成されている。上下2段の端子キャビティ3を構成する左右の側面は、一対のガイド面3bとして形成されている。
【0023】
仮係止突起5と本係止突起6は、一対のガイド面3bの上下方向に連続してそれぞれ設けられている。これにより、仮係止突起5と本係止突起6は、一対のガイド部挿入孔4bの左右対称位置に突出されている。仮係止突起5は、本係止突起6より上方位置に配置されている。仮係止突起5と本係止突起6は、上方から下方に向かって外側に突出するテーパ面状であり、下面が垂直面としてそれぞれ形成されている。
【0024】
リテーナ20は、
図4〜
図6に示すように、リテーナ本体21と、このリテーナ本体21の上壁に連続して設けられた上面規制壁22と、上面規制壁22の側下端とリテーナ本体21の側壁の双方に共に連続して設けられた一対の撓み変形部であるガイド部23とを備えている。
【0025】
リテーナ本体21は、上段の端子キャビティ3に対応する補助端子キャビティ21a等を有すると共に、上下2段の各端子キャビティ3に対応する位置に複数の端子係止部21bを有する。補助端子キャビティ21aは、リテーナ20のハウジング装着位置では、切り欠かれた端子キャビティ3を補完する。各端子係止部21bは、リテーナ20のハウジング装着位置では、上下2段の各端子キャビティ3内に位置し、各端子(図示せず)の抜け方向の移動を阻止する。
【0026】
上面規制壁22は、リテーナ20の装着状態では、リテーナ挿入規制面3aに当接する。これにより、リテーナ20がリテーナ挿入孔4に適正な挿入深さで装着される。
【0027】
一対のガイド部23は、その間隔が一対のガイド面3bの間隔に設定されている。これにより、リテーナ20は、その一対のガイド部23が一対のガイド面3bにガイドされつつリテーナ挿入孔4に挿入される。一対のガイド部23は、リテーナ本体21の側壁の肉厚よりも薄く設けられている。これにより、一対のガイド部23は、仮係止突起5や本係止突起6を乗り越えるような撓み変形ができるよう設定されている。
【0028】
各ガイド部23には、被係止部である係止孔24がそれぞれ設けられている。各係止孔24は、ガイド部23の撓み変形方向に開口する方形状の孔である。
かつ、図11(b)に示すように、各係止孔24は、各係止孔24にハウジング2の本係止突起6が係止された際に仮係止突起5と本係止突起6とが共に収容される大きさの方形状の孔である。さらに、各係止孔24は、ガイド部23の端面に開放せず、閉ループの孔周面に囲まれている。これにより、各ガイド部23は、係止孔24が開口されているにも係わらず、両持ち支持の梁部23b,23cによって高い剛性が維持されている。一方の梁部23bは、ガイド部23によって形成されているが、他方の梁部23cは、ガイド部23に連続するリテーナ本体21の箇所によって形成されている。
【0029】
各ガイド部23の係止孔24より先端側は、挿入先端部23aである。この挿入先端部23aの内面は、テーパ状に形成されている。
【0030】
次に、ハウジング2の端子組み付け手順を説明する。先ず、リテーナ20をハウジング2の上方よりリテーナ挿入孔4に挿入する。リテーナ20のリテーナ本体21及び上面規制壁22はリテーナ本体挿入孔4aに、リテーナ20の一対のガイド部23は、一対のガイド部挿入孔4bにそれぞれ挿入される。この挿入過程で、先ず、リテーナ20の一対のガイド部23の挿入先端部23aがハウジング2の各仮係止突起5に干渉するが、各仮係止突起5からの反力によって各ガイド部23が撓み変形してリテーナ20の挿入が許容される。リテーナ20の一対のガイド部23の挿入先端部23aが各仮係止突起5を乗り越える位置まで挿入されると、各ガイド部23が撓み復帰変形する。これにより、リテーナ20の挿入途中位置にあって、
図7、
図8及び
図11(a)に示すように、リテーナ20の各ガイド部23の係止孔24にハウジング2の仮係止突起5が係止する。これで、リテーナ20が仮係止される。この仮係止位置では、リテーナ20の各端子係止部21bは各端子キャビティ3に入り込む手前位置に位置する。
【0031】
次に、各端子(図示せず)を各端子キャビティ3に挿入する。端子(図示せず)を完全に挿入すると、ランス(図示せず)によって抜け方向の移動が阻止される。
【0032】
次に、リテーナ20を更にリテーナ挿入孔4の奥に挿入する。すると、リテーナ20の一対のガイド部23の挿入先端部23aがハウジング2の各本係止突起6に干渉するが、各本係止突起6からの反力によって各ガイド部23が撓み変形してリテーナ20の挿入が許容される。リテーナ20の一対のガイド部23の挿入先端部23aが各本係止突起6を乗り越える位置まで挿入されると、各ガイド部23が撓み復帰変形する。これにより、リテーナ20の挿入完了位置にあって、
図9、
図10及び
図11(b)に示すように、リテーナ20の一対のガイド部23の各係止孔24にハウジング2の本係止突起6が係止する。これで、リテーナ20が本係止される。この本係止位置では、リテーナ20の各端子係止部21bは各端子キャビティ3に入り込み、端子(図示せず)の抜け方向の移動を阻止する。これで、端子(図示せず)の組み付けが完了する。
【0033】
ハウジング2に収容された端子(図示せず)は、ランス(図示せず)とリテーナ20によって二重に係止されるため、端子(図示せず)の抜けが確実に防止される。
【0034】
以上説明したように、リテーナ20の被係止部は、撓み変形可能なガイド部23に開口された係止孔24によって形成されている。従って、仮係止突起5や本係止突起6の先端位置に対してガイド部23の肉厚寸法W1(
図6に示す)分だけ撓み変形領域として最小限確保すれば良いため、従来例に較べて係止爪の分だけ幅狭にできる。つまり、ガイド部23の撓み変形領域の幅寸法、つまり、ガイド部挿入孔4bの幅寸法Z(
図11に示す)としては、仮係止突起5や本係止突起6の突出寸法とガイド部23の肉厚寸法の合計寸法分だけ最小限確保すれば良いため、従来比べて狭く設定できる。これにより、コネクタ1を小型化できる。
【0035】
又、ガイド部23は、係止孔24が開口されているにも係わらず、両持ち支持の梁部構造によって高い剛性が維持される。従って、リテーナ20のハウジング2への係止保持力が低下せず、コネクタ輸送時等の振動等でリテーナ20の位置が移動したり、脱落したりする事態を防止できる。
【0036】
一対の撓み変形部は、リテーナ本体21に連続して設けられた一対のガイド部23である。従って、一対のガイド部23は、リテーナ挿入孔4へのガイドと係止構造を兼用するため、構成の簡略化になる。ガイド部23は、リテーナ本体21に連続して設けられていることにより、剛性が強い構造となるため、これによってもリテーナ20のハウジング2への係止保持力が向上する。
【0037】
(リテーナの変形例)
図12は、リテーナ20Aの変形例を示す。リテーナ20Aは、前記実施形態のものと比較して、係止孔24の周囲の一方の梁部23bが他の箇所よりも肉厚が薄く形成されている。これにより、ガイド部23の剛性が所望の範囲に調整されている。つまり、梁部23bの肉厚を可変すればガイド部23の剛性を調整できるため、容易に剛性調整できる。梁部23bの肉厚は、金型の削りだけで調整できる。
【0038】
他の構成は、前記実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
図12にあって、前記実施形態の同一構成箇所には、同一符号を比して明確化を図る。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ
2 ハウジング
4 リテーナ挿入孔
4a リテーナ本体挿入孔
4b ガイド部挿入孔
5 仮係止突起
6 本係止突起
20,20A リテーナ
21 リテーナ本体
23 ガイド部(撓み変形部)
23b,23c 梁部
24 係止孔(被係止部)