(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トラックが、ゴルフクラブヘッド本体の打球フェース側からゴルフクラブヘッド本体のリア側まで下向きに傾斜し、ゴルフクラブヘッド本体のリア側に沿って伸長するトラックの一部が、ゴルフクラブヘッド本体のヒール側およびトウ側に沿って伸長するトラックの部分より高さが低く、ゴルフクラブヘッド本体の打球フェース側に沿って伸長するトラックの一部が、ゴルフクラブヘッド本体のヒール側およびトウ側に沿って伸長するトラックの部分より高さが高い、請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
トラックが、高さ0.5〜6.0 cm、長さ1.25〜30 cm、および深さ1.0〜7.0 cmを有する、請求項1〜4のいずれか一項記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
以下の説明および添付の図面は、本開示の例に従うゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブの形体を開示する。
【0015】
I.本発明に従う実例としてのゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブ、および方法の全般的説明
先に記載したように、あるプレイヤー、意図した所望の方向におよび/または意図した所望の飛行経路でゴルフボールを確実に打つことが難しい。したがって、開示の局面が向けられるゴルフクラブヘッドには、プレイヤーが意図した所望の方向におよび/または意図した所望の飛行経路でボールを確実に打つのを助けるように配置できる可動ウェイトが含まれる。開示の特定の局面が向けられるゴルフクラブヘッド本体において、可動ウェイトは、それが露出しないようにゴルフクラブヘッド本体の内部に含有される。開示のいくつかの局面に従って、ゴルフクラブヘッド本体内部に可動ウェイトを配置すると、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打つ際に、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールに特定の弾道を付与するのを支援する。
【0016】
例えば、本開示の局面に従って、可動ウェイトを、ゴルフクラブヘッド本体のヒールの方に配置することができる。そのような構成は、「スライス」する傾向を有するゴルファーを支援する可能性がある。「スライス」は、ボールが打たれた側面から離れる方向にボールが曲がる誤ったゴルフショットである。例えば、右ききのゴルファーの場合、スライスによって、ゴルフボールは右に曲がるであろう。ゴルフクラブヘッド本体のヒールの方へ可動ウェイトを配置すると、ゴルフクラブヘッドの質量のより多くがヒールの方へ配分され、これによりスイングの際にゴルフクラブヘッドのトウに比べてヒールを遅らせるよう支援することができる。これによって、ゴルファーは、スイングの際にクラブヘッドをよりよくスクエアにすることができ、それによってより少ない「スライス」(すなわち、よりまっすぐな弾道)が得られる可能性がある。本開示の特定の実例としての局面に従って、可動ウェイトは、クラブヘッドのヒール側に配置される(打球フェースに対して直角でかつフロント-リア方向におけるクラブヘッドの幾何学中心を通る中心線に対して)。この配置によって、より多くの質量がゴルフクラブヘッドのヒール側に存在するようにゴルフクラブヘッド本体の質量が再配分されるため、上記の長所が達成される。
【0017】
逆に、本開示の局面に従って、可動ウェイトを、ゴルフクラブヘッド本体のトウの方に配置することができる。そのような構成は、「フック」する傾向を有するゴルファーを支援する可能性がある。「フック」は、ボールが打たれた面に向かう方向にボールが曲がる誤ったゴルフショットである。例えば、右利きのゴルファーの場合、スライスによってゴルフボールは左に曲がるであろう。可動ウェイトをゴルフクラブヘッド本体のトウの方へ配置すると、ゴルフクラブヘッドの質量のより多くがトウの方へ配分され、これによりスイングの際にゴルフクラブヘッドのヒールに比べてトウを遅らせるよう支援することができる。これによって、ゴルファーは、スイングの際にクラブヘッドをよりよくスクエアにすることができ、それによってより少ない「フック」(すなわち、まっすぐな弾道)が得られる可能性がある。本開示の特定の実例としての局面に従って、可動ウェイトは、クラブヘッドのトウ側に配置される(打球フェースに対して直角に走る中心線に対して、およびフロント-リア方向におけるクラブヘッドの幾何学中心を通って)。この配置により、より多くの質量がゴルフクラブヘッドのトウ側に存在するようにゴルフクラブヘッドの質量が再配分され、それによって上記の長所が達成される。
【0018】
本開示の別の局面に従って、可動ウェイトを、ゴルフクラブヘッド本体のリアの方へ(および任意でソールまたは底部の方へ)配置することができる。そのような構成は、ゴルファーがより高い弾道を達成するために役立ちうる。多くのゴルファー、特にプレーを学んでいる最中のゴルファーが経験する共通の問題は、ボールを確実に空中に運ぶことができない、または所望の弾道を達成することができない点である。可動ウェイトをゴルフクラブヘッドのリアの方へおよび/または底部の方へ配置すると、ゴルフクラブヘッドのより多くの質量がリア部分の方へ(および任意でソールまたは底部の方へ)配分され、それによってゴルフクラブヘッド本体の重量の多くがリア方向にしかも低く維持される。これは、クラブヘッドでボールを打った場合にボールが空中に運ばれるようゴルファーを支援し、それによってより高い弾道が得られるであろう。
【0019】
先に記載したように、ゴルフクラブヘッドでボールを打った場合にゴルフボールの弾道を偏向させるために、ゴルフクラブヘッド本体内に可動ウェイトを配置することができる。例えば、ドローもしくはフェードバイアスの弾道またはより高い弾道を達成することができる。「フェード」は、ボールの弾道が、ボールが打たれた側から離れる方向にゆるやかに曲がるゴルフショットである。逆に、「ドロー」は、ボールの弾道が、ボールが打たれた側に向かう方向にゆるやかに曲がるゴルフショットである。
【0020】
本開示の局面は、ウッドタイプゴルフクラブヘッドに関する。本開示の少なくともいくつかの実例としての局面に従うウッドタイプゴルフクラブヘッドには:(a)ウッドタイプゴルフクラブヘッド本体;(b)打球フェース部分(打球フェースプレートが含まれ、これは打球フェース部分と一体形成されるか、またはフェースプレートおよびフレーム部分が共に打球フェース部分全体を構成するようにフレーム部材に結合している);(c)打球フェースとは反対側のリア部分;(d)トウエンド部分;および(e)ヒールエンド部分が含まれうる。ゴルフクラブヘッド本体には、ボールをゴルフクラブヘッドによって打った場合に、ゴルフボールに所望の偏向させた弾道を付与するために1つまたは複数の可動ウェイトが含まれうる。クラブヘッド本体そのものもまた、本開示から逸脱することなく、当技術分野において公知で用いられる慣用の材料および/または慣用の様式が含まれる、任意の適したもしくは所望の様式および/または任意の適したもしくは所望の材料で構築されてもよい。
【0021】
本開示から逸脱することなく、幅広く多様な全体的クラブヘッド構築物が可能である。例えば、必要に応じて、クラブヘッド本体の様々な個々のパーツのいくつかまたは全てを多数のピースから作製して、これらを共に接続してもよい(例えば、接着剤またはセメントによって;溶接、はんだ付け、ろう着、または他の融合技術によって;機械的コネクター等によって)。様々なパーツ(例えば、上部部分、ソール部分、カップフェース、アフトボディ、クラウン部材、本体リボン部材等)は、軽金属材料(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金等、複合材料、ポリマー材料等)を含む金属材料など、当技術分野で慣例的に公知であり用いられる材料を含む、任意の所望の材料および異なる材料の組み合わせによって作製されうる。クラブヘッド本体および/またはその様々なパーツは、鍛造、鋳造、成形、および/または慣用であり当技術分野で公知である技術およびプロセスが含まれる他の技術およびプロセスによって作製されうる。
【0022】
本開示に従うゴルフクラブ構造に関して、ウッドタイプゴルフクラブ構造全体には、ホーゼル領域、ホーゼル領域の中におよび/またはそこを通して受けられるおよび/または挿入されるシャフト部材、ならびにシャフト部材に結合するグリップまたはハンドル部材が含まれうる。任意で、必要に応じて、外部ホーゼル領域を省いて、シャフト部材をヘッド部材の中に直接挿入してもよくおよび/または他の方法で結合させてもよい(例えば、クラブヘッドの上部に提供される開口部を通して、(例えば、クラブヘッドによって規定される内部チャンバー内に提供される)内部ホーゼル部材を通して等)。ホーゼル部材は、クラブヘッド構造の一部として一体形成されてもよく、またはこれを個別に形成してそれらに係合させてもよい(例えば、接着剤またはセメントによって;溶接、ろう着、はんだ付け、または他の融合技術によって;機械的コネクター等によって)。本開示から逸脱することなく、慣用のホーゼルおよびそれをウッドタイプゴルフクラブヘッド構造に含めたものを用いてもよい。
【0023】
シャフト部材は、本開示から逸脱することなく、当技術分野において公知で用いられる慣用の様式を含む、任意の適したまたは望ましい様式でクラブヘッドに受けられてもよく、係合してもよく、および/または結合してもよい。より具体的な例として、シャフト部材を、ホーゼル部材によってクラブヘッドに係合させてもよく、および/または例えば接着剤、セメント、溶接、はんだ付け、機械的コネクター(ねじ山、保持部材等など)等により;クラブヘッド本体内に伸長するシャフト受容スリーブまたは要素等を通して、クラブヘッド構造に直接係合させてもよい。必要に応じて、1つのシャフトを別のシャフトに容易に交換できるように、機械的コネクターを用いて、シャフトを取り外し可能にヘッドに接続してもよい。
【0024】
シャフト部材はまた、グラファイト素材の材料、複合材料または他の非金属材料、スチール材料(ステンレススチールが含まれる)、アルミニウム材料、他の金属合金材料、ポリマー材料、様々な材料の組み合わせ等といった、当技術分野において公知で用いられる慣用の材料を含む、任意の適したまたは所望の材料から作製されてよい。同様に、グリップまたはハンドル部材を、当技術分野において公知で用いられる慣用の様式、例えば接着剤またはセメントを用いること;溶接、はんだ付け、ろう着等によること;機械的コネクター(ねじ山、保持部材等など)等によることを含む任意の適したまたは所望の様式で、シャフト部材に結合させてもよく、係合させてもよく、および/またはそこから伸長させてもよい。別の例として、必要に応じて、グリップまたはハンドル部材は、シャフト部材との単一の一体構築物として一体形成されてもよい。加えて、本開示から逸脱することなく、例えば、ゴム材料、皮革材料、紐またはその中に埋め込まれる他の織物材料を含むゴムまたは他の材料、ポリマー材料、コルク材料等を含む、任意の所望のグリップまたはハンドル部材材料を用いてもよい。
【0025】
本開示のなお他の追加の局面は、本開示の例に従うウッドタイプゴルフクラブヘッドおよびウッドタイプゴルフクラブ構造を製造するための方法に関する。そのような方法には、例えば以下の段階の1つまたは複数が任意の所望の順序および/または組み合わせで含まれてよい:(a)例えば、ゴルフクラブヘッド本体またはゴルフクラブヘッドを製造または他の方法で構築することによって、それを第三者の供給源から得ることによってなど、上記の様々なタイプのウッドタイプゴルフクラブヘッド本体および/またはゴルフクラブヘッド(先に記載した任意のまたは全ての様々な構造、形体、および/または配置が含まれる)を提供する段階;(b)シャフト部材をゴルフクラブヘッドに係合させる段階;(c)グリップ部材をシャフト部材に係合させる段階;等。
【0026】
上記で提供した開示の様々な実例としての局面に関する全般的説明を考慮して、本開示に従うゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド構造の様々な具体例に関するより詳細な説明を、以下に提供する。
【0027】
II.本発明に従う実例としてのゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブ構造、および方法に関する詳細な説明
以下の考察および添付の図面は、本開示に従う様々な実例としてのゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド構造を記載する。同じ参照番号が複数の図面に現れる場合、その参照番号は、全体を通して同じまたは類似のパーツを参照するために、本明細書および図面において一貫して用いられる。
【0028】
本開示の1つまたは複数の局面に従う実例としての態様を
図1に示す。
図1は、本開示の局面に従うウッドタイプゴルフクラブヘッド102を含む、アドレス位置でのゴルフクラブ100、ならびにウッドタイプゴルフクラブヘッド102に係合したシャフト106およびグリップ107を示す。本開示のいくつかの局面に従って、クラブヘッド本体102の寸法には、体積100〜500立方センチメートル(例えば、460立方センチメートル)および質量75から250グラム(例えば、150グラム)が含まれうる。さらに、本開示の局面に従って、ゴルフクラブヘッド本体102の内部は実質的に中空であってもよい。
【0029】
図2Aは、打球フェース部分108、打球フェースと反対側のリア部分110、クラウン(または上部)部分112、ソール部分114、トウエンド部分116およびヒールエンド部分118が含まれる、例としてのウッドタイプゴルフクラブヘッド本体102の上面図を図解する。
図2Aに見られるように、ゴルフクラブヘッドの幾何学中心を、参照番号101によって記号で示す。この仕様において、本発明の様々な形体および局面は、ゴルフクラブヘッドに対する幾何学的配置および位置に基づいて定義される。本明細書で用いられ、かつ
図2Aに図解されるように、ウッドタイプゴルフクラブヘッド102の「幾何学中心」101の位置は以下の様式で決定され、これは、その規則の全体が参照により本明細書に組み入れられる全米ゴルフ協会(「U.S.G.A.」)によって公布される「The 2008〜2009 Rules of Golf」の別紙IIにおいて様々なクラブヘッドの寸法を決定している様式と一致している。最初に、ゴルフクラブヘッド102がその設計されたライ角(その仕様のライ角、例えば60°)で配置されている状態で、クラブヘッド102のヒール、トウ、フェース、およびリアの最も外側の点Pを決定する。ヒールの最も外側の点が明らかに定義されない場合(例えば、クラブヘッドのホーゼル等により)、ヒールの最も外側の点は、先に言及した「The Rules of Golf」に従ってヒールの位置を決定するのと同じ様式で、クラブヘッドを寝かせて置いた場合の水平線より0.875インチ(22.23 mm)上のヒール上の位置であると考える。フロント、トウ、リア、およびヒールの最も外側の点Pに沿う垂直投影(
図2Aの上面図において「接線」として示される)は、
図2Aに示すように(全ての角度は直角である)長方形または正方形の構造内にクラブヘッド102を内包する。次に、第一の対角線を、長方形または正方形の構造のフロントヒールの角からリアトウの角まで引き(
図2Aにおいて「フロントヒール-リアトウ対角線」と表示される)、かつ長方形または正方形の構造のトウの角のフロントからリアヒールの角まで第二の対角線を引く(
図2Aにおいて「フロントトウ-リアヒール対角線」と表示される)。これら2つの対角線Dの交点が、本明細書で用いるクラブヘッド102の「幾何学中心」101であると考えられる。
【0030】
基準枠を提供するために必要であれば、フロント垂直投影または接線は、フェース表面の最も外側の点Pでクラブヘッド接線または方向とスクエアになるよう配置され、次にヒールおよびトウの投影または接線は、フロント投影または接線に対して直角に(その最も外側の点で)提供され、およびリア投影または接線は、フロント投影または接線に対して平行に(その最も外側の点で)提供されうる。クラブヘッド102の幾何学中心101を通ってフロント接線およびリア接線に対して直角なフロント-リア方向の第一の座標軸(Y軸)を引くことによって、およびクラブヘッド本体102の幾何学中心101を通って第一の座標軸に対して直角な(およびヒールおよびトウ接線に対して直角な)ヒール-トウ方向に第二の座標軸(X軸)を引くことによって、クラブヘッド102に関するXY「座標軸」を定義してもよい。
【0031】
図2Bに示すように、本明細書で用いるクラブヘッドの「ヒール側」は、フロント-バックY座標軸からヒール118に向かう全てとして定義される。本明細書で用いるクラブヘッドの「トウ側」は、フロント-バックY座標軸からトウ116に向かう全てとして定義される。本明細書で用いるクラブヘッドの「フロント側」は、ヒール-トウX座標軸の前方の全てとして定義される。本明細書で用いるクラブヘッドの「リア側」は、ヒール-トウX座標軸の後方の全てとして定義される。
【0032】
図3Aに示すように、本明細書で用いるクラブヘッドの「リアヒール側」は、フロントヒール-リアトウ対角線からリア側およびヒール側に向かう全てである。本明細書で用いるクラブヘッドの「リアトウ側」は、フロントトウ-リアヒール対角線からリア側およびトウ側に向かう全てである。本明細書で用いるクラブヘッドの「フロントヒール側」は、フロントトウ-リアヒール対角線からフロント側およびヒール側に向かう全てである。本明細書で用いるクラブヘッドの「フロントトウ側」は、フロントヒール-リアトウ対角線からフロント側およびトウ側に向かう全てである。クラブヘッド本体の「ヒールエッジ」は、フロントヒール-リアトウ対角線とフロントトウ-リアヒール対角線との間のヒール側に沿うエッジ表面である。クラブヘッド本体の「トウエッジ」は、フロントヒール-リアトウ対角線とフロントトウ-リアヒール対角線との間のトウ側に沿うエッジ表面である。クラブヘッド本体の「リアエッジ」は、フロントヒール-リアトウ対角線とフロントトウ-リアヒール対角線との間のリア側に沿うエッジ表面である。クラブヘッド本体の「フロントエッジ」は、フロントヒール-リアトウ対角線とフロントトウ-リアヒール対角線との間のフロント側に沿うエッジ表面である。この文脈における本明細書で用いるこれらのエッジの1つに対して「近位に」位置するものは、特に記していなければ、関連するエッジの0.75インチ以内であることを意味する。
【0033】
図3Bに示すように、「リアヒール象限」、「リアトウ象限」、「フロントトウ象限」、および「フロントヒール象限」は、上記の幾何学中心101およびXY座標軸を用いて定義される。
【0034】
図2A〜2Bおよび3A〜3Bでは、比較的正方形の形状のウッドタイプゴルフクラブヘッドについて図解しているが、これらの同じ定義は、より従来の形状のウッドタイプゴルフクラブヘッド(例えば、
図1および4〜11に見られる)にも当てはまる。
【0035】
ゴルフクラブヘッドの「クラウン部分」は、ゴルフクラブヘッド本体102をその設計されるライ角(その仕様のライ角、例えば60°)に向けた場合に、クラブヘッドを真下に見た場合に見えるゴルフクラブヘッド上部表面のその部分として定義される。ゴルフクラブヘッドの「ソール」部分は、ゴルフクラブヘッド本体102をその設計されるライ角(その仕様のライ角、例えば60°)に向けた場合に、クラブヘッドを真上に見た場合に見えるゴルフクラブヘッド底部表面のその部分として定義される。クラブヘッドクラウン部分の最上点およびクラブヘッドソール部分の最下点は、クラブが上記の方向を向いた場合に、クラウン部分およびソール部分に沿ってそれぞれ、水平な投影を置くことによって見いだすことができる。
【0036】
開示の局面に従って、ゴルフクラブヘッドには、1つまたは複数の可動ウェイトが含まれうる。さらに、開示の局面に従って、1つまたは複数の可動ウェイトは、可動ウェイトが露出しないか、またはゴルフクラブヘッド本体102の外部の一部ではないように、ゴルフクラブヘッド本体102の内部に含有されうる。加えて、本開示のいくつかの局面に従って、1つまたは複数の可動ウェイトは、トラックシステムを介してゴルフクラブヘッドの内部周囲を移動してもよく、トラックシステムは、それが露出しないようにゴルフクラブヘッド本体の内部に含有され、かつゴルフクラブヘッド本体102を構成する壁の内部周囲に伸長する。
【0037】
例えば、
図4Aは、ゴルフクラブヘッド本体102の実例となる態様の上面図を示す。
図4Aで架空の線において認められるように、ゴルフクラブヘッド本体102には、可動ウェイト200と、ゴルフクラブヘッド本体のリア側に沿ってゴルフクラブヘッド本体のヒール側からゴルフクラブヘッド本体のトウ側まで伸長するトラックシステム201とが含まれうる。さらに、
図4Aに見られるように、可動ウェイト200は、ゴルフクラブヘッド本体102のヒール、トウ、およびリア側を構成する内壁上または内壁内に位置するトラックシステム201内をスライドしうる。先に述べたように、可動ウェイト200、トラックシステム201等のような本開示の図面における要素は、図解する目的のために示されており、したがって必ずしも縮尺通りに示されていない場合もある。
【0038】
図4B〜Dに図式的に見られるように、可動ウェイト200は、ヒール側の位置(例えば、
図4Bを参照されたい)から、ゴルフクラブヘッド本体102のリア側の位置(例えば、
図4Cを参照されたい)およびトウ側の位置(例えば、
図4Dを参照されたい)までスライドしうる。上記の図は、トラックシステム201に沿った可動ウェイト部材200の3つの可能性のある位置を表しているが、当然、可動ウェイト部材200は、他の位置(例えば、上記の位置の間の位置)にも同様に移動できることに留意されたい。
【0039】
ゴルフクラブヘッド102の内部でウェイト部材200とトラックシステム201を露出しないように配置する1つの長所は、クラブヘッド本体102の空気力学がゴルファーのスイングの際に影響を受けない点である。言い換えれば、可動ウェイト200もトラックシステム201も露出しないように、ゴルフクラブヘッド本体の中空の内部に可動ウェイト200およびトラックシステム201を含めることにより、可動ウェイト200とトラックシステム201のいずれかが、ゴルフスイングの際のゴルフクラブヘッド本体102の空気力学に関連するゴルフクラブヘッド本体102の速度、ドラッグ、または他の特徴を損なう可能性がなくなる。
【0040】
可動ウェイト部材200とトラックシステム201とをゴルフクラブヘッド102の内部に配置する別の長所は、そのような配置によって、可動ウェイト部材200およびトラックシステム201が雨、埃、泥、砂等などの要素に曝露されるのが防止されるという点である。そのような要素に曝露されると、可動ウェイト部材200およびトラックシステム201の機能が妨害されることがあり、または可動ウェイト部材200およびトラックシステム201に損傷を与えることもありうる。例えば、数回のゴルフのラウンドに用いた後、汚れ、泥、砂等などの要素が、トラックシステム201の中に留まるようになり、可動ウェイト部材200がスライドするのをまたは所定の位置でロックするのを防止する。加えて、雨、水分等は、可動ウェイト部材200またはトラックシステム201のさびまたは他の方法で損傷を引き起こすこともありうる。
【0041】
ゴルフクラブヘッド本体201は、ゴルファーが内部ウェイト部材200およびトラックシステム201にアクセスすることができる取り外し可能部分を有しうる。例えば、
図5に見られるように、クラウン112は、クラウン112の中心部分に、可動ウェイト部材200とトラックシステム201とを含むゴルフクラブヘッド本体102の内部にゴルファーがアクセスすることができるように取り外してもよい取り外し可能なセクション112aを有しうる。
【0042】
可動ウェイト部材200は、ゴルフクラブヘッド本体102(例えば、
図4B〜Dに見られるように)を構成する壁の形状に対応するような形状でありうる。
図6は、可動ウェイト部材200の透視図を示す。
図6に示すように、可動ウェイト部材200は、湾曲していてもよく、または第一の端部200a、第二の端部200b、および第一の端部200aと第二の端部200bの間に伸長する中央セクション200cが含まれる「U」型もしくは「C」型形状を示してもよい。
図6に見られるように、本開示のいくつかの態様に従って、可動ウェイト部材200には、可動ウェイト部材200のリアに沿って伸長して、トラックシステム201に係合するように構成されるリア部分200dが含まれうる。当然、他の態様に従うと、可動ウェイト部材200にリア部分200dを含める必要はなく、そのかわりにウェイト部材200がトラックシステム201内に実質的にまたは完全に嵌合する異なる形状を有してもよい。例えば、可動ウェイト部材200は、一般的に長方形の形状を示し得る。
【0043】
本開示のいくつかの局面に従って、可動ウェイト部材200は、高さ0.5〜5.5 cm、1.0〜4.0 cm、および2.0〜2.5 cmを有しうる。さらに、可動ウェイト部材200は、長さ1.25〜15 cm、5.0〜13.0 cm、および7.5〜10.0 cmを有しうる。さらに、可動ウェイト部材200は、深さ1.25〜6.5 cm、2.0〜5.0 cm、および2.5〜4.0 cmを有しうる。当然のことながら、可動ウェイト部材200の形状により、第一の端部200aおよび第二の端部200bは中央セクション200cより大きい深さを有しうる。例えば、第一の端部200aおよび第二の端部200bは深さ5.0 cmを有しうるが、中央セクション200cは深さ2.0 cmを有する。さらに、可動ウェイト部材200は、質量5.0〜70グラム、20〜60グラム、30〜55グラム、または50グラムを有しうる。本開示のいくつかの局面に従って、可動ウェイト部材200は、大きい比重、密度、および重量を有する。例えば、可動ウェイト部材200は、ゴルフクラブヘッド102の他のパーツより大きい比重、より大きい密度、およびより大きい重量を有してもよい。例えば、可動ウェイト部材200は、様々な金属(例えば、鉛、タングステン)、合金等などの高密度の重金属から実質的にまたは完全に作製されてもよい。
【0044】
可動ウェイト部材200は、ゴルフクラブヘッド本体102から取り外し可能であってよい。そのため、可動ウェイト部材200を、異なる重量配分特徴を有する他の可動ウェイト部材と交換することができる。例えば、ゴルフレッスン、練習等を通してスライスまたはフックを修正する場合、スイングの修正の説明となるように異なる可動ウェイト部材と交換することができる。言い換えれば、スライスまたはフックが時間と共に減少する場合には、より軽いウェイトを用いることができるであろう。
【0045】
本開示の局面に従って、トラックシステム201には、トラック201aが含まれうる。
図4に見られるように、トラック201aは、ゴルフクラブヘッド本体102を構成する壁の内部周囲に伸長する。本開示のいくつかの局面に従って、トラック201aには、ゴルフクラブヘッド本体102を構成する壁の内部からゴルフクラブヘッドの中心に向かって内向きに突出する部材が含まれうる。そのような態様において、トラック201aは、可動ウェイト部材200がトラック201aに沿ってスライドする場合に、ごく少量の摩擦を引き起こす軽量材料を含みうる。例えば、トラックは、プラスチック、ポリマー、セラミック、金属、合金等であってよい。または、トラック201は、ゴルフクラブヘッド本体102を構成する壁の内部に形成される溝であってよい。
【0046】
トラック201aがどのように形成されるかによらず、トラック201aは、可動ウェイト部材200の形状に対応するように形成されてよい。例えば、
図7Aおよび7Bは、ゴルフクラブヘッド本体102の異なる態様の断面図を示す。
図7Aに示すように、トラック201aは、可動ウェイト部材200のリア部分200dを受けてそれを部分的に取り巻くように形成されうる。または、
図7Bに示すように、トラック201aは、可動ウェイト部材200そのものを受けてそれを部分的に取り巻くように形成されうる。
【0047】
本開示のいくつかの局面に従って、トラック201aは、高さ0.5〜6.0 cm、1.0〜4.5 cm、および2.0〜3.0 cmを有しうる。さらに、可動ウェイト部材200は、長さ1.25〜30 cm、5.0〜20.0 cm、および7.5〜15.0 cm、および10 cmを有しうる。さらに、トラック201aは、深さ1.0〜7.0 cm、2.0〜6.0 cm、および2.5〜5.0 cmを有しうる。
【0048】
先に考察した態様などのいくつかの態様に従って、トラック201aは、実質的に水平にゴルフクラブヘッド本体102の内部周囲に伸長する。言い換えれば、トラック201aの各部分は、同じ(または実質的に同じ)高さである。しかし、本開示の他の局面に従うと、トラック201aは、トラック201aの各部分が相対的に異なる高さに配置される様式で、ゴルフクラブヘッド本体102の内部周囲に伸長する。
【0049】
例えば、
図7Cは、ゴルフクラブヘッド本体102のリア側に沿って伸長するトラック201aの部分が、ゴルフクラブヘッド本体102のヒール側およびトウ側に沿って伸長するトラック201aの部分より高さが低い、ゴルフクラブヘッド本体102の実例となる態様の断面図を示す。言い換えれば、トラック201aは、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェースからゴルフクラブヘッド本体102のリア側まで伸長する際に下方向に傾斜する。当然、この勾配は均一である必要はなく、そのかわりにゴルフクラブヘッド本体102の異なる部分で異なる勾配を有してもよい。トラック201aをそのように形成することによって、可動ウェイト部材200を、ゴルフクラブヘッド本体102のリアおよび底部の方へ配置し、ゴルフクラブヘッドのより多くの質量をゴルフクラブヘッドのリア部分の方へおよびソールまたは底部の方へ配分してもよく、これによってゴルフクラブヘッド本体102の重量の多くが後方に低く維持される。これは、クラブヘッドがボールを打つ際にゴルファーがボールを空中に運ぶ助けとなるであろう(すなわち、これはより高い弾道を提供する)。いくつかの態様において、トラック201aは、ゴルフクラブヘッド本体102のリア側に沿って伸長するトラック201aの部分が、ゴルフクラブヘッド本体102のヒール側およびトウ側に沿って伸長するトラック201aの部分より1.25 cmから6.25 cm低いように傾斜されてもよい。
【0050】
全米ゴルフ協会(USGA)またはロイヤルアンドエンシェントゴルフクラブオブセントアンドリュース(R&A)などのゴルフの大会における主催者は、ゴルフのラウンドの際にゴルフクラブの一部を調整することを認めていない。例えば、USGA Rules of Golf、規則4-2aを参照されたい。したがって、ゴルフクラブがそのような規則に確実に違反しないようにするために、可動ウェイト部材200は、ゴルフのラウンドの際に特定の位置にロックすることによって静止状態で保持すべきである。
【0051】
このため、本開示の局面に従って、可動ウェイト部材200には、トラック201a内の位置(例えば、
図4B〜Dに示される位置の1つ)で可動ウェイトをロックするための機構が含まれてもよい。例えば、可動ウェイト部材200は、伸縮可能で引込み可能な突出部を有してもよい。
図8A〜Bは、突出部200eが可動ウェイト部材200の上部および底部から伸長する、そのような可動ウェイト部材200の実例となる例を示す。突出部は、ばね荷重式であってもよく、さらに可動ウェイト部材200にはアクチュエータ200fが含まれてよく、これは、押し下げるとばね荷重式の突出部200eを引込ませて、逆に解放すると、ばね荷重式突出部200eを拡張させる。トラックシステム200のトラック201aには、
図8Cに図解する態様で示すように、可動ウェイト部材200からの突出部200eを受ける凹部または穴201bが含まれうる。このようにして、アクチュエータ200fを押し下げると、可動ウェイト部材200は、トラック201aの周囲を特定の位置までスライドすることができる。可動ウェイト部材200が適切な位置にある場合、アクチュエータ200fを解放し、可動ウェイト部材200がその場でロックされるように、ばね荷重式突出部200eをトラック201aにおける凹部または穴201bの中に拡張させることができる。
図8Dは、突出部がリア位置200dに存在する可動ウェイト部材200の代替の態様を示す。
【0052】
トラックシステム201は、トラック201a全体に配置される複数の穴201bを有することができる。
図4B〜Dに示す位置の1つなど特定の位置にその場で、可動ウェイト部材200をロックすることができるように、穴201bをトラック201a全体に配置してもよい。可動ウェイト部材200が
図4B〜Dに示す他の位置でロックされるように、追加の穴201bをトラック201a全体に配置してもよい。したがって、可動ウェイト部材200を、多数の異なる位置に配置することができる。
【0053】
可動ウェイト部材200がトラックシステム201内でスライド可能である上記の態様の1つの長所は、可動ウェイト部材200を、1つの位置から別の位置へと迅速、容易に、および確実に移動させることができる点である。加えて、上記のシステムにより、ツールを用いることなく可動ウェイト部材200が再配置されることは有利である。言い換えれば、ゴルファーは手で所望の位置に可動ウェイト部材200を単に移動させるだけでよく、ゴルフのラウンド前のレンジの調整がそれほど面倒ではないプロセスとなる。
【0054】
しかし、たとえ複数の穴をトラック201aに提供しても、可動ウェイト部材200を配置することは、穴201bの数および配置によってなおも限定されることに留意されたい。それゆえに、可動ウェイト部材200をその場に緊締する他の方法を用いてもよい。例えば、トラック201a上の任意の位置に可動ウェイト部材200をロックさせるねじ部品を用いてもよい。そのようなねじ部品は、可動ウェイト部材200をその場にロックするために(例えば、押しねじ)締結時にトラック201aに係合してもよい。さらに、そのようなねじ部品をゆるめて可動ウェイト部材200をトラック201aの周囲にスライドさせてもよい。
【0055】
当然、ねじ、保持要素、スナップ嵌め機能などといった他の機械的コネクターを用いてもよい。いくつかの態様において、クラブヘッド本体102のトラック201aから可動ウェイト部材200を結合および/または解放するためのツールを用いてもよい。例えば、可動ウェイト部材200の中にねじを挿入して、トラック201a上の対応する受け穴に係合させてもよい。そのような構成は、可動ウェイト部材200を確実に所定の位置にロックするために、トラック201aにおける穴にねじを締めるためのねじ回しを必要とするであろう。さらに、いくつかの機械的コネクターを先に記載してきたが、これは機械的コネクターを用いなければならないことを意味しているわけではないことに留意されたい。これに対し、可動ウェイト部材200およびゴルフクラブヘッド102が互いにしっかり係合して、しかも互いに容易に取り外し可能でありうる限り、そのような手段は本開示の真意内であると考えられる。
【0056】
可動ウェイト部材200と、可動ウェイト部材をゴルフクラブヘッド本体102内の異なる位置にスライドさせるトラックシステム201の構造の特定の局面をこれまで記載してきたが、それらの異なる位置のいくつかの局面を以下に考察する。
図4Bは、ゴルフクラブヘッド本体103のヒール側にある可動ウェイト部材200を示す。可動ウェイト部材200をこのように配置することにより、より多くの質量がゴルフクラブヘッド本体103のヒール側の方へ配分される。先に記載したように、そのような構成は、スイングの際にゴルフクラブヘッドのトウと比較してヒールを遅くするのを支援し、それによってゴルファーがスイングの際にクラブヘッドをよりよくスクエアにすることができ、その結果「スライス」がより少なくなる(すなわち、弾道がよりまっすぐになる)可能性がある。それゆえに、「スライス」する傾向があるゴルファーは、スライスの作用を補償して軽減するために、可動ウェイト200をそのような位置に調整してもよい。
【0057】
例えば、本開示に従って、可動ウェイト部材200がゴルフクラブヘッド本体103のヒール側の方に配置される場合、クラブヘッドの重心は、フロントからバックまで走る幾何学中心線から少なくとも0.5 cm、およびいくつかの例において、少なくとも1.25 cm、少なくとも2.0 cm、または少なくとも2.5 cmまでも、ゴルフクラブヘッド本体103のヒール側の方にシフトする可能性がある。重心がシフトした結果、ゴルフクラブヘッド本体102のこの構成は、ゴルフクラブヘッドが打ったゴルフボールに対してドローバイアスの弾道を提供することができる。
【0058】
図4Dは、ゴルフクラブヘッド本体105のトウ側の可動ウェイト部材を示す。可動ウェイト部材200をこのように配置することにより、ゴルフクラブヘッド本体105のトウ側の方により多くの質量が配分される。先に記載したように、そのような構成は、スイングの際にゴルフクラブヘッド102のヒールと比べてトウを遅らせるのを支援することができ、それによってゴルファーはスイングの際にゴルフクラブヘッドをよりよくスクエアにすることができ、その結果「フック」がより少なくなる(すなわち、弾道がよりまっすぐになる)可能性がある。したがって、「フック」する傾向があるゴルファーは、フックの作用を補償して軽減するために、可動ウェイト200をそのような位置に調整してもよい。
【0059】
例えば、本開示に従って、可動ウェイト部材200をゴルフクラブヘッド本体105のトウ側の方へ配置すると、クラブヘッド102の重心は、フロントからバックまで走る幾何学中心線から少なくとも0.5 cm、およびいくつかの例において、少なくとも1.25 cm、少なくとも2.0 cm、または少なくとも2.5 cmまでも、ゴルフクラブヘッド本体105のトウ側の方へシフトする可能性がある。重心がシフトした結果、ゴルフクラブヘッド本体102のこの構成は、ゴルフクラブヘッドによってボールを打った場合に、ゴルフボールにフェードバイアスの弾道を提供することができる。
【0060】
図4Cは、ゴルフクラブヘッド本体102のリア側における可動ウェイト部材を示す。さらに、
図8Cに示すような本開示の局面に従って、可動ウェイト部材をゴルフクラブヘッド109のリア側に配置する場合、これはゴルフクラブヘッドのソール114付近にも配置されうる。可動ウェイト部材200をこのように配置することによって、ゴルフクラブヘッド本体109のリア側の方へ、および同様にゴルフクラブヘッド本体の底部の方へより多くの質量が配分され、それによってゴルフクラブヘッド本体の重量をよりリア方向に低く維持する。先に記載したように、そのような構成は、ゴルファーがより高い弾道を得る、またはボールを空中に運ぶのを助けることができる。したがって、「ダフ」の傾向がある(すなわち、ボールが空中を上昇したロフトで飛行するよりむしろ地面に沿ってすれすれに飛んでゆくようにボールを打つ)ゴルファーは、ボールが空中に飛ばないことを補償して「ダフ」の作用を軽減するために、そのような位置に可動ウェイト200を調整してもよい。
【0061】
例えば、本開示に従って、可動ウェイトがゴルフクラブヘッド本体109のリア側の方へおよびゴルフクラブヘッド102のソールの方へ配置される場合、クラブヘッドの重心は、トウからヒールまで走る幾何学中心線から少なくとも0.5 cm、およびいくつかの例において、少なくとも1.25 cm、少なくとも2.0 cm、または少なくとも2.5 cmまでも、ゴルフクラブヘッド本体のリア側の方へシフトする可能性がある。さらに、クラブヘッド本体102の重心は、少なくとも0.5 cm、およびいくつかの例において、少なくとも1.25 cm、少なくとも2.0 cm、または少なくとも2.5 cmまでも、ゴルフクラブヘッド本体のソールの方へシフトする可能性がある。重心がシフトした結果、ゴルフクラブヘッド本体102のこの構成は、ゴルフクラブヘッドによって打ったゴルフボールに、より高い弾道を提供することができる。
【0062】
本開示のいくつかの態様には、ゴルフクラブヘッド本体102の内部周囲に実質的に水平に伸長するトラック201aが含まれる(すなわち、トラック201aの部分は、同じ(または実質的に同じ)高さである)。したがって、可動ウェイト部材200は、ゴルフクラブヘッド本体102のソール114のより近くに移動することなく、ゴルフクラブヘッド本体109のリア側に配置されうる。
【0063】
当然、先に記載したように、可動ウェイト部材200は、
図4B〜Dに示される位置以外の位置に配置されてもよい。例えば、わずかにスライスするゴルファーは、
図4Cに示されるリア側の位置と
図4Bに示されるヒール側の位置の間の中央に配置される可動ウェイト部材を必要とするだけであろう。逆に、わずかにフックするゴルファーは、
図4Cに示されるリア側の位置と、
図4Dに示されるヒール側の位置の間の中央に配置される可動ウェイト部材を必要とするだけであろう。したがって、可動ウェイト部材200を用いて、ゴルファーの特定の傾向に基づいてゴルフクラブヘッド本体102の質量および重量配分特徴を微細調整することができることが理解される。
【0064】
本開示のいくつかの局面に従って、1つの可動ウェイト部材の代わりに複数の可動ウェイトを用いてもよい。
図9Aは、そのような態様の上面図を示す。
図9Aに示すように、複数の可動ウェイト300aおよび300b(架空の線で示される)を、上記の可動ウェイト部材200と同じ様式で用いてもよい。言い換えれば、複数の可動ウェイト300aおよび300bは、ゴルフクラブヘッド本体102を構成する壁の内部周囲に伸長するトラックシステム201によってゴルフクラブヘッド102の内部周囲を移動することができる。
【0065】
図9Aに見られるように、複数の可動ウェイト300aおよび300bを、ゴルフクラブヘッド本体102の側面上(例えば、ヒール側、トウ側、リア側等)に共に配置してもよい。または、複数の可動ウェイト300を、ゴルフクラブヘッド本体102の異なる側面に配置してもよい。例えば、
図9Bに見られるように、可動ウェイト300aをヒール側103に配置してもよく、一方で可動ウェイト300bをトウ側105に配置してもよい。上記の図面は、トラック201aに沿った複数の可動ウェイト300aおよび300bに関する可能性がある2つの配置を表しているが、当然、複数の可動ウェイト300aおよび300bは、他の位置にも同様に移動できることに留意されたい。同様に、本開示の他の局面に従って、ゴルフクラブヘッド本体102には、2つより多くの複数のウェイトが含まれてよい。例えば、3つまたはそれより多くの複数の可動ウェイト300を用いてもよい。互いに独立して移動可能である複数の可動ウェイトを有することによって、ゴルフクラブヘッド本体102の質量および重量配分特徴を、ゴルファーの特定の傾向に基づいて微細調整することができる。
【0066】
複数の可動ウェイト300は、上記の可動ウェイト部材200と類似していてよい。例えば、ゴルフクラブヘッド本体102を構成する壁の形状に対応するように(例えば、複数の可動ウェイトは湾曲してもよく、または「U」型もしくは「C」型を示してもよい);複数の可動ウェイトのリアに沿って伸長しかつトラックシステムに係合することができるリア部分が含まれるように;大きい比重、密度、および重量等を有するように、複数の可動ウェイト300は形成されてよい。したがって、簡略にするために、複数の可動ウェイトのさらに特殊な特徴をこれ以上詳細に記載しない。
【0067】
本開示のいくつかの局面に従って、トラック201aには、可動ウェイト300の移動を特定の範囲に制限するように設計したトラック201aの異なるセクションの間の仕切りが含まれてよい。例えば、
図9Cは、トラック201aが、2つの仕切り、すなわち壁304および305によって、3つのセクション(ヒール側103のセクション301、トウ側105のセクション303、およびリア側109のセクション302)に分割されるそのような態様を示す。さらに、3つのセクション301〜303の各々には、単一の可動ウェイト300a〜cが含まれうる。可動ウェイト300a〜cの各々は、そのそれぞれのセクション内で移動可能である。
【0068】
本開示のいくつかの局面に従って、トラック201aは、ゴルフクラブヘッド本体102の内部周囲に360°伸長してもよい。そのような態様では、可動ウェイト部材200を、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース部分108付近に配置することができる。
図10は、そのような態様の上面図を示す。
図10に見られるように、そのような態様は、打球フェース部分108付近に内壁部分113(架空の線で示す)を含むことができ、それに沿ってトラック201aが配置される。そのような態様において、トラック201a(架空の線で示される)は、長さ30〜60 cmを有しうる。
図10は、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース側111における可動ウェイト部材200を示す。さらに、本開示の局面に従って、可動ウェイト部材200がゴルフクラブヘッドの打球フェース側111に配置される場合、これはゴルフクラブヘッドのクラウン112付近にも配置されうる。例えば、
図7Cに示されるトラックと類似の勾配を有するトラックを用いてもよい。可動ウェイト部材200をこのように配置することによって、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース側111の方へおよび同様にゴルフクラブヘッド102本体の上部の方へ、より多くの質量が配分され、これによってゴルフクラブヘッド本体の重量が前方およびより高い位置で維持する。そのような構成によって、ゴルファーは、ロフトのある弾道とは対照的に、より穿孔性の弾道をもたらすことができる。それゆえ、そのような構成は、「走る」または転がるようなショットを提供することができる。「ポップアップ」ショットの傾向を有するゴルファーは、「ポップアップ」の作用を補償して軽減するために、可動ウェイト200をそのような位置に調整してもよい。さらに、そのような構成は、高く上がるショットがあまり望ましくない風の強い条件下では有利でありうる。
【0069】
例えば、本開示に従って、可動ウェイトを、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース側111の方へ、およびゴルフクラブヘッド本体のクラウン112の方へ配置すると、クラブヘッドの重心は、トウからヒールまで走る幾何学中心線から少なくとも0.5 cm、およびいくつかの例において少なくとも1.25 cm、少なくとも2.0 cm、または少なくとも2.5 cmさえ、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース側111の方にシフトしうる。さらに、クラブヘッド本体102の重心は、少なくとも0.5 cm、およびいくつかの例において少なくとも1.25 cm、少なくとも2.0 cm、または少なくとも2.5 cmまでも、ゴルフクラブヘッド本体のクラウン112の方にシフトしうる。重心がシフトした結果、ゴルフクラブヘッド本体のこの構成は、ゴルフクラブヘッドによってボールを打った場合にゴルフボールにより穿孔性の弾道を提供することができる。
【0070】
打球フェース部分108付近のトラック201aの部分がクラウン112の付近に配置される必要はない。その代わりに、本開示のいくつかの態様に従って、トラック201aは、ゴルフクラブヘッド本体102の内部周囲に実質的に水平に伸長する(すなわち、トラック201aの部分は同じ(または実質的に同じ)高さである)。したがって、可動ウェイト部材200は、ゴルフクラブヘッド本体102のクラウン112のより近くに移動することなく、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース側111に配置されうる。
【0071】
本開示の他の局面に従って、ゴルフクラブヘッド本体は、ゴルフクラブヘッド本体のリア側109周囲のゴルフクラブヘッド本体のヒール側103からゴルフクラブヘッド本体のトウ側105まで伸長するループを含んでもよい。本開示のいくつかの局面に従って、1つまたは複数の可動ウェイトは、ループによってゴルフクラブヘッド本体周囲を移動しうる。
【0072】
図11Aは、ゴルフクラブヘッド本体102の実例となる態様の上面図を示す。
図11Aに見られるように、ゴルフクラブヘッド本体102には、ゴルフクラブヘッド本体のリア側周囲のゴルフクラブヘッド本体のヒール側からゴルフクラブヘッド本体のトウ側まで伸長するループ401(架空の線で示す)が含まれてよい。さらに、1つまたは複数の可動ウェイトが、ループ401に沿ってスライドしうる。例えば、
図11Aに見られるように、可動ウェイト403および404はその中心を通る穴を有し、ループ401がその中を伸長する。このようにして、可動ウェイト403および404は、ゴルフクラブヘッド本体102のヒール側の位置からリア側の位置およびトウ側の位置までスライドすることができる。可動ウェイト400は、他の位置にも同様に移動することができる(例えば、上記の位置の間の位置に)。この態様の構造の多くは、上記の態様と類似しており、したがって簡略にするために具体的な考察が省略される場合があることに留意されたい。
【0073】
本開示の局面に従って、可動ウェイト部材403、404には、ループ401上の位置でロックするための機構が含まれてよい。例えば、可動ウェイト403、404は、これまでの態様に関して先に記載したもののように、押しねじまたは他の機械的コネクターを有してもよい。
【0074】
開示のいくつかの局面に従って、ループ401は、ゴルフクラブヘッド本体102の溝405に収容されうる。例えば、
図11Bは、ループ401が溝405に収容されるゴルフクラブヘッド本体102の透視図を示す。開示のいくつかの局面に従って、溝405は、高さ0.5〜6.0 cm、1.0〜4.5 cm、および2.0〜3.0 cmを有しうる。さらに、溝405は、長さ1.25〜30 cm、5.0〜20.0 cm、および7.5〜15.0 cm、および10 cmを有しうる。さらに、溝405は、深さ1.0〜7.0 cm、2.0〜6.0 cm、および2.5〜5.0 cmを有しうる。可動ウェイト部材403、404は、高さ0.5〜5.5 cm、1.0〜4.0 cm、および2.0〜2.5 cmを有しうる。さらに、可動ウェイト部材403、404は、長さ1.25〜15 cm、5.0〜13.0 cm、および7.5〜10.0 cmを有しうる。さらに、可動ウェイト部材403、404は、深さ1.25〜6.5 cm、2.0〜5.0 cm、および2.5〜4.0 cmを有しうる。さらに、可動ウェイト部材403、404は、質量5.0〜70グラム、20〜60グラム、30〜55グラム、または50グラムを有しうる。ループ401は、直径0.1〜1.0 cmを有しうる。
【0075】
上記の態様などのいくつかの態様に従って、ループ401は、ゴルフクラブヘッド本体102の周囲を実質的に水平に伸長する。しかし、開示の他の局面に従って、ループ401は、トラック201aの部分が相対的に異なる高さで配置されるようにゴルフクラブヘッド本体102周囲に伸長してもよい。この構造の多くは上記の態様と類似であることから、簡略にするためにこれ以上の具体的な考察を省略する。
【0076】
本発明の特定の局面に従って、ループ401は、ゴルフクラブヘッドと一体形成されてもよく、または取り外し可能に結合してもよい(例えば、ねじ部品によって)。さらに、描写される態様ではループ401は露出して示されているが、本開示のいくつかの局面に従って、ループは、それが露出しないようにゴルフクラブヘッド本体102の内部に含有されることに留意されたい。そのような態様に従って、ループ401ならびに可動ウェイト部材403および404は、ループ401も可動ウェイト部材403または404のいずれも露出しないように、ゴルフクラブヘッド本体内に含有されうる(上記の態様と類似に)。
【0077】
開示のいくつかの局面に従って、ループ401は、ゴルフクラブヘッド本体102の内部周囲に360°伸長しうる。そのような態様において、可動ウェイト部材403、404を、ゴルフクラブヘッド本体102の打球フェース部分付近に配置することができる。そのような態様において、ループ401は、長さ30〜60 cmを有しうる。この構造の多くは先に記載した態様と類似であることから、簡略にするために、さらに具体的な考察を省略する。
【0078】
可動ウェイト部材403、404およびループ401の構造が、ゴルフクラブヘッド本体の質量および重量特徴に対して有する特定の局面は、上記の態様と類似であり、したがって、簡略にするためにさらなる具体的な考察を省略する。
【0079】
ゴルフの専門家は、ゴルファーと共に作業して、ゴルファーの傾向を分析すること、そのスイングの改変に関する教示および推奨を提供することによる、そのスイングおよび関連するプレーを含むそのゴルフゲームの改善において、ならびに同様にクラブの選択を含む様々な道具の推奨において、ゴルファーを補助することが知られている。さらに、あるゴルフ製造元のゴルフの専門家は、それに対してゴルファーが1人でまたはゴルフの専門家の補助の元で選択しうる精選された機能を提供しうる。ゴルフクラブによって異なる機能には、ゴルフクラブヘッドの様々な重量配分特徴がある。各ゴルファーは、他のゴルファーとは異なるスイング傾向を有しうる。したがって、ゴルファーは、ゴルファーのスイング特徴およびスイング傾向が配慮され説明がなされるように、個人に合わせたゴルフクラブのフィッティングを希望してその恩恵を受けてもよい。フィッティングプロセスにおいて、ゴルファーは、専門家の目で見て、または当技術分野において公知である様々な測定および分析装置を用いることによって、自身のスイングを分析してもらってもよい。
【0080】
図12A〜12Cは、ゴルフクラブヘッド102の重量配分特徴を含むゴルフクラブ100のフィッティングの1つの様式を実例によって描写する。公知であるように、ゴルファー10は、1人または複数のゴルフの専門家またはゴルフクラブフィッターの前で何度もスイングを行う場合がある。ゴルフスイングを含む動きを、観察して記録し、および/またはデジタルビデオカメラなどのビデオ撮影装置を含む測定装置によって測定してもよい。
図12Aおよび12Bは、実例となるフィッティングステーション1000においてゴルフクラブをスイングしてゴルフボールを打つゴルファーの上面図および後方図をそれぞれ図解する。
図12A〜12Cに示されるフィッティングステーション1000は、室内のフィッティングステーションである。しかし、フィッティングステーション1000は、屋内または屋外であってもよく、公知であるように、ゴルフ練習場または他の練習施設に、プロショップの中またはその近くが含まれるゴルフコースで、ならびに様々な他の立地に位置してもよい。特に、フィッティングステーションが室内のステーションである場合、またはステーションがゴルフ練習場の一部である場合には、フィッティングステーション1000には、打撃用マット1010が含まれうる。しかし、フィッティングステーションは、草のティーボックスまたは他の戸外の天然のゴルフ環境で行われてもよい。本明細書において、屋内のフィッティングステーション1000にはまた、ゴルファー10がゴルフの専門家またはゴルフクラブフィッターの前でショットを行う、スイングを練習する、およびスイングするためにボールを打ってもよいネット1030が含まれる。ネット1030があれば、利用できる土地が限られている屋内、プロショップまたはゴルフ練習場など、より限られた空間でフィッティングを行うことができる。ネット1030の後方は、ゴルファーがゴルフコースに出ているように感じさせる背景1040または他の構造であってよい。同様に、具体的に描写しないが、背景は、速度または力のセンサー、ビデオ撮影装置、およびゴルファーのフィッティングに利用されうる他の装置を含むさらなる測定装置を収容または保護しうる。
【0081】
ゴルファーのショットのボールの飛行は、それが自然な停止点/ライに達するまでボールが飛行するために十分な空間を保有するゴルフ練習場のフィッティングステーションで、完全なボールの飛行を観察することによってモニターされうる。同様に、ゴルファーはまた、速度、弾道、スピン等が含まれるショットの最初の特徴に基づいて飛行路を決定することができるデジタルビデオカメラまたは他のコンピューター装置によってモニターされる限定された空間で打ってもよい。ゴルファーのスイング軌道および関連する傾向をさらに理解するために、さらなる測定装置を用いてもよい。1つの実例としての構成において、ゴルファーのスイングを、デジタルビデオカメラ装置1060を用いて撮影してもよい。特に、ゴルファーのスイングを、ゴルファーがカメラに対しておよびカメラに向かってスクエアスタンスを有するように上面図から撮影してもよい。別の構成では、代替としてまたはそれに加えて、ゴルファーのスイングを、測定装置1061が図に示されるような位置に配置された測定装置によって撮影してもよい。ゴルファーのスイングをリアおよびトウエンドなどのスクエア方向から撮影することにより、そのビデオを、
図12Cに示されるように好ましい技術を有するゴルファーによって行われ記録された画像およびスイング軌道と比較してもよい。
【0082】
ゴルファーのスイングのスイング軌道、接触の向き関連特徴をモニターするために用いられうる装置および試験には、ビデオ記録、ドップラーレーダー技術を含むレーダー追尾、運動検出装置、速度レーダー装置、ボール飛行追尾装置およびモニタリングシステム、ならびに当技術分野で公知である類似のゴルフスイング分析装置がある。これらの測定装置は、実例となる測定装置1060、1061が配置された状態で示されるように配置されてよい。これらの装置はまた、ゴルファーが測定装置で打っているようにゴルファー10の前に、またはゴルファーの背部の後方でゴルファーのヒールエンド側に配置されうる。なおさらに、測定装置が、ゴルファーの動きのビデオ画像などのデータを記録することができるように、または速度、方向、向き、および公知である他の特徴などのゴルフクラブもしくはボールの動きの一部に関連するデータもしくは特徴を追跡して記録することができるように、測定装置を頭上または実質的に任意の場所に置いてもよい。スイングの際のゴルフクラブの向き、および特に、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打つ際の打撃ゾーンを通るゴルフクラブの向きの測定に重点を置く他の装置を利用してもよい。これらの装置は、ビデオ撮影、レーダーもしくは他の動き追尾装置と同じもしくは類似の装置であってもよく、または装置は、ゴルフクラブの底部表面が地面に接する場所、打撃ゾーンを通る動きの方向およびクラブの向きを描写するライボード装置と同程度に単純であってよい。同様に、ゴルフクラブヘッドの打撃表面1020の上に置かれる基本的なテープ装置を用いて、ゴルフボールが打たれる打撃表面1020の部分に関するデータを提供してもよく、そこでボールがクラブフェース上の望ましいスポット(中心)で打たれているか、または結果を最適にするためにスイングもしくはクラブを調整する必要があるほど中心からずれて打たれているかを判定する。
【0083】
所望のショットのサンプリングを提供して信頼できるフィッティングを提供するために、十分な数のスイングおよび「練習」または「サンプル」ショットを行った後、ゴルフおよび/またはフィッティングの専門家は、収集されたデータを用いて、意図した所望の方向におよび/または意図した所望の飛行経路でゴルファーがゴルフボールを打つのを支援するゴルフクラブヘッド102の特定の質量および重量配分特徴(ゴルフクラブヘッド本体に伴う1つまたは複数の可動ウェイト部材の配置が含まれる)を推奨することができる。収集または測定される特徴には、例を挙げれば、スイング軌道データ、弾道、ゴルフクラブの衝撃時の向き、ボールスピン、ボール飛行、ならびにゴルファーの体格および人間工学特徴が含まれうる。スイングパターンを含むスイングの分析を用いて、必要とされる特定の変化がより視覚的に顕著であるように、ゴルファーのスイングの所望のスイング軌道、傾向、およびゴルファーの現在のスイング軌道に対する変化を決定することができる。分析(例えば、コンピューター分析)を行って、クラブヘッド内の1つまたは複数の可動ウェイト部材の配置が、特定のスイング傾向を有するゴルファーの成績を最大限にするために適切であるか否かを決定できるように、質量および重量配分特徴が決定されて示されてよい。
【0084】
図12Cは、デジタルビデオなどのビデオ撮影の状況で、ゴルファーの2つのスイングを実例によって描写する2つのそれぞれのスイング特徴出力1051、1052を描写するディスプレイ1050を図示する。1つの配置において、表示されるスイング1051は、好ましいスイング技術を有する「仮想上のゴルファー」を含むプロのゴルファーまたは他のゴルファーの好ましいスイングのビデオ撮影画像であってもよい。右のゴルフのスイング1052は、フィッティングステーション1000において現在分析中のゴルファー10の実際のスイングであってもよい。ディスプレイ1050における分割されたスクリーンの比較を通して、好ましい成績を達成するための好ましい様式でのゴルファーのスイングを容易にするために、視覚的なスイングの指標、シャフト特徴、およびアライメント補助、および他の機能などの特定のゴルフクラブ機能に関して、ゴルファーは分析およびフィッティングされうる。例えば、ゴルファーのバックスイング軌道1055A、1055Bをスイング1051、1052の際に比較してもよい。同様に、ゴルフクラブヘッド1056A、1056Bの向き、ゴルファーの腕および手の位置1057A、1057B、ならびに頭部の位置1058A、1058Bを目で見て比較してもよい。公知であるように他の比較および分析を行ってもよい。ディスプレイ1050は、ここではゴルファーのスイングに関連するビデオ撮影情報を図示するが、ディスプレイ1050を、ゴルファー10のフィッティングにおいて利用される様々な他の特徴の出力を含む分析の他の局面の際に利用してもよい。さらに、
図13Bに示すように、ディスプレイ1050はまた、フィッティング経験を向上させるために用いられてもよく、かつフィッティングプロセスの際にゴルファーに見えてもよい。しかし、スイングの分析を行うために出力の様々な構成を用いることができ、かつゴルファーのスイングに関連する出力データをゴルファーまたはゴルフの専門家に提供することができる。
【0085】
したがって、上記のフィッティングプロセスを用いて、1つまたは複数の可動ウェイト部材を配置することを特に利用して、ゴルフクラブヘッド本体102の質量および重量配分特徴を調整および制御し、特定のスイングタイプまたはゴルファーの傾向にフィットするようゴルフクラブヘッド本体102をカスタマイズすることができる。例えば、上記のフィッティングプロセスを、ゴルフボールの意図した所望の弾道を提供するために、ゴルフクラブヘッド本体内に可動ウェイト部材を配置する方法と共に用いることができるであろう。この方法には、測定装置を用いてゴルフクラブのスイングに基づいてゴルファーのスイングの特徴を決定する段階が含まれる。この方法にはさらに、所望のボール弾道を決定する段階が含まれる。この方法にはさらに、決定されたスイング特徴および所望のボール弾道に基づいてゴルフクラブヘッド本体内部に含有される可動ウェイト部材のためのゴルフクラブヘッド本体内の特定の位置を選択する段階が含まれる。この法にはさらに、所望のボール弾道を提供する位置でゴルフクラブヘッド本体内部に可動ウェイト部材を配置する段階が含まれる。
【0086】
III.結論
本発明の局面を、実例としての多様な構造、機能、要素、ならびに構造、機能、および要素の組み合わせを参照して、上記および添付の図面において説明する。しかし、本開示が果たす目的は、本発明に関連する様々な機能および概念の例を提供することであり、本発明の範囲を制限することではない。関連する技術分野の当業者は、上記の態様に多数の変化および改変を行ってもよく、それらも添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱しないことを認識するであろう。
【0087】
例えば、本開示から逸脱することなく、本開示の例に従うゴルフクラブヘッド構造の寸法および/または他の特徴が、有意に変化してもよい。例えばウッドタイプハイブリッドクラブ、フェアウェイウッド、ドライバー等が含まれる任意のウッドタイプクラブヘッドが例として提供されてもよい。
【0088】
加えて、本開示から逸脱することなく、
図1から12と共に先に記載した様々な機能および概念が、個々に、および/または任意の組み合わせまたは部分的組み合わせで用いられてもよい。