特許第5896998号(P5896998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5896998フリーホイール外輪およびフリーホイール外輪を備えたクランクフリーホイール伝動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896998
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】フリーホイール外輪およびフリーホイール外輪を備えたクランクフリーホイール伝動装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/07 20060101AFI20160317BHJP
   F16H 29/04 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   F16D41/07 Z
   F16H29/04
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-517008(P2013-517008)
(86)(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公表番号】特表2013-529763(P2013-529763A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】DE2011001216
(87)【国際公開番号】WO2012010115
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】102010036168.2
(32)【優先日】2010年9月2日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010025420.7
(32)【優先日】2010年6月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ラース シューマン
(72)【発明者】
【氏名】オスヴァルト フリートマン
(72)【発明者】
【氏名】ラシュロ マン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター グレープ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ショイフラー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ドレーアー
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭55−43318(JP,Y2)
【文献】 特開2000−253622(JP,A)
【文献】 特開2002−38908(JP,A)
【文献】 特開2009−41518(JP,A)
【文献】 特開2003−322138(JP,A)
【文献】 特開2007−239955(JP,A)
【文献】 特表2005−502543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/07
F16H 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーホイール外輪(1)において、該フリーホイール外輪(1)が、該フリーホイール外輪(1)に力作用するクランク(4)に結合可能であるコネクティングロッド小端部(2)と、フリーホイール孔(3)とを有しており、
該フリーホイール孔(3)が、クランク(4)の引張り方向と反対の側(5)に、クランク(4)の引張り方向に面した側(6)よりも平均的に大きな材料厚さ(a)を有しており、
コネクティングロッド大端部(3)の外側輪郭(9)が、コネクティングロッド大端部(3)の内径(d)に対して偏心しており、
コネクティングロッド大端部(3)の外周(c)の中点(7)が、コネクティングロッド大端部(3)の内径(d)の中点(8)に対して側方にずらされていることを特徴とする、フリーホイール外輪。
【請求項2】
クランクフリーホイール伝動装置において、該クランクフリーホイール伝動装置が、入力側と出力側とを有しており、該出力側に軸方向で請求項1記載の複数のフリーホイール外輪(1)が配置されていることを特徴とする、クランクフリーホイール伝動装置。
【請求項3】
クランクフリーホイール伝動装置が、クランクCVT伝動装置として形成されている、請求項記載のクランクフリーホイール伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーホイール外輪ならびにフリーホイール外輪を備えたクランクフリーホイール伝動装置に関する。
【0002】
公知先行技術に基づき公知のフリーホイール外輪において、単にモーメントが周方向に加えられた場合には、負荷が均質に分配される。たとえばクランクフリーホイール伝動装置において典型的であるような横方向力の導入時には、引張り方向と反対の側に、引張り方向に面した側よりも強い負荷がかけられる。つまり、この場合には、モーメントが、コネクティングロッド(クランク)にコネクティングロッド端部を介して結合された突出部によってフリーホイール外輪に供給される。
【0003】
クランクフリーホイール伝動装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第10243533号明細書に基づき公知である。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009031791号明細書には、フリーホイールクランク伝動装置に用いられるコネクティングロッドが開示されている。このコネクティングロッドは、偏心体駆動装置に嵌合するための第1のコネクティングロッド端部と、フリーホイールユニットに結合するための第2のコネクティングロッド端部とを有している。
【0005】
この背景を前にして、本発明の課題は、請求項1の上位概念部に記載のフリーホイール外輪を改良して、均等に負荷がかけられるフリーホイール外輪を提供することである。
【0006】
この課題の解決手段は、独立請求項の特徴から明らかである。一方、本発明の有利な構成および改良態様は、従属請求項に認めることができる。
【0007】
前述した課題は、フリーホイール外輪において、このフリーホイール外輪が、このフリーホイール外輪に力作用するクランクに結合可能であるコネクティングロッド小端部を有していることによって解決されている。さらに、フリーホイール外輪はフリーホイール孔を有している。このフリーホイール孔は、クランクの引張り方向と反対の側に、平均的により大きな材料厚さを有している。
【0008】
コネクティングロッド小端部に結合可能なクランクを介して、フリーホイール外輪を固有の軸線を中心として揺動運動させる引き力もしくは押し力が交互に加えられる。フリーホイール外輪のコネクティングロッド大端部内に配置されたフリーホイールを介して、入力するクランクの揺動によって、1つの軸を回転運動させることができる。有利には、1つの軸を駆動するためには、軸方向で互いに隣り合った複数のフリーホイール外輪が使用される。これらのフリーホイール外輪は、時間的に互いに間隔を置いて軸を駆動する。したがって、多数の駆動されるフリーホイール外輪によって、駆動される軸の、有利には均等な回転運動を達成することができる。
【0009】
フリーホイール外輪の有利な態様は、フリーホイール孔が、クランクの引張り方向に面した側に、平均的により少ない材料厚さを有していることによって特徴づけられている。有利には、平均的により大きな材料厚さは、フリーホイール外輪の外輪が、引張り方向と反対の側で意図的に肉厚にされていることによって達成される。引張り方向に面した側における平均的により小さな材料厚さは、有利には、横断面減少によって達成される。
【0010】
フリーホイール外輪の有利な態様は、コネクティングロッド大端部の外周の中点が、コネクティングロッド大端部の内径の中点に対して側方にずらされていることによって特徴づけられている。
【0011】
フリーホイール外輪の別の有利な態様は、コネクティングロッド大端部の外側輪郭が、コネクティングロッド大端部の内径に対して偏心していることによって特徴づけられている。
【0012】
さらに、前述した課題は、クランクフリーホイール伝動装置において、このクランクフリーホイール伝動装置が、入力側と出力側とを備えており、この出力側に軸方向で、前述した複数のフリーホイール外輪が配置されていることによって解決されている。入力側は、たとえば車両の原動機に結合されている。これに対して、出力側は、たとえば車両の駆動される軸に結合されている。
【0013】
クランクフリーホイール伝動装置の有利な態様は、クランクフリーホイール伝動装置が、クランクCVT伝動装置として形成されていることによって特徴づけられている。この伝動装置では、この伝動装置に対して駆動する軸を成す、原動機により駆動可能な入力軸に、偏心体構成部材を備えた調節可能な偏心体駆動アッセンブリが設けられている。この偏心体駆動アッセンブリは、コネクティングロッドに類似の結合エレメントを介して、伝動装置に対して出力軸を成す駆動される軸に結合されている。この駆動される軸は、結合エレメントのストロークを軸に、この軸と結合エレメントとの間に設けられたフリーホイール装置により伝達することによって駆動される。
【0014】
前述したフリーホイール外輪とクランクフリーホイール伝動装置とによって、フリーホイール外輪の外輪のフリーホイールにおける可能な限り均質の応力分配が達成される。
【0015】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、図面に関連して種々異なる実施の形態を詳細に説明した以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】フリーホイール外輪の第1の実施の形態の構造を概略的に示す図である。
図2】コネクティングロッド大端部内に締付け体を備えた本発明に係るフリーホイール外輪を示す図である。
図3】クランクが作用するフリーホイール外輪の別の実施の形態の構造を概略的に示す図である。
図4】コネクティングロッド大端部内にローラフリーホイールを備えた本発明に係るフリーホイール外輪を示す図である。
図5a】本発明に係るフリーホイール外輪の断面図である。
図5b図5aに示した本発明に係るフリーホイール外輪のフリーホイール孔の横断面図である。
【0017】
図1には、本発明に係るフリーホイール外輪1の第1の実施の形態が概略的に示してある。このフリーホイール外輪1はコネクティングロッド小端部2とフリーホイール切欠きもしくはフリーホイール孔3とを有している。コネクティングロッド小端部2には、図3および図4に示したように、別のクランクが作用している。このクランクはコネクティングロッド小端部2に、図3および図4に示したように、有利にはピンを介して結合されている。フリーホイール孔3は、コネクティングロッド大端部3の外周cの中点7に対して側方にずらされた中点8を有する内径dを備えた開口を有している。外周cの中点7は、コネクティングロッド大端部3の内径dの中点8に対してオフセット量xだけずらされている。
【0018】
フリーホイール外輪1の図示の実施の形態では、内径dの中点8が外周cの中点7に対して、作用力の、コネクティングロッド小端部2に面した側6の方向にずらされている。外周cの中点7は内径dの中点8に対して、作用力と反対の側5の方向にずらされている。フリーホイール外輪1の図示の実施の形態では、コネクティングロッド大端部3の外周cがコネクティングロッド大端部3の内径dに対して完全に偏心している。
【0019】
図2には、本発明に係るフリーホイール外輪1が示してある。このフリーホイール外輪1は、そのコネクティングロッド大端部3内に締付け体10を備えている。
【0020】
図3には、本発明に係るフリーホイール外輪1の別の実施の形態が示してある。この実施の形態では、コネクティングロッド大端部3の外側輪郭の一部だけが、コネクティングロッド大端部3の内径に対して偏心している。図示の実施の形態では、コネクティングロッド小端部2が、フリーホイール外輪1に力を加えるクランク4にピン12を介して結合されている。コネクティングロッド大端部3の外側輪郭の一部は、クランク4の作用力に面した側6でコネクティングロッド大端部3の内径に対して偏心している。これに対して、クランク4の作用力と反対の側5では、コネクティングロッド大端部3の外側輪郭が、コネクティングロッド大端部3の内径に対して完全に偏心している。コネクティングロッド大端部3の外側輪郭は、図5bに詳細に示してある。
【0021】
図4には、本発明に係るフリーホイール外輪1が示してある。このフリーホイール外輪1は、そのコネクティングロッド大端部3内にローラフリーホイール11を備えている。フリーホイール外輪1のコネクティングロッド小端部2には、このコネクティングロッド小端部2にピン12を介して結合されたクランク4が作用している。有利には、ピン12は、たとえば軸受けを介して可動にガイドされており、これによって、クランク4をフリーホイール外輪1のコネクティングロッド小端部2に対してピン12を中心として部分的に回転させることができる。
【0022】
図5aには、図3に示したフリーホイール外輪1の構造に対応する本発明に係るフリーホイール外輪1が示してある。ただし、図5aに示したフリーホイール外輪1は、図示の実施の形態では、コネクティングロッド小端部2でクランクに結合されていない。
【0023】
図5bには、図5aに示したフリーホイール外輪1の切断軸線A−A’に沿ったフリーホイール孔3の横断面図が示してある。力作用に面した側6における外側輪郭9は、力作用と反対の側5における外側輪郭9よりも少ない材料厚さbを中間範囲に有している。図示の実施の形態では、フリーホイール孔3が、力作用に面した側6にほぼU字形の断面形状を有している。これに対して、力作用と反対の側5におけるコネクティングロッド大端部3の断面形状は、ほぼ等しい材料厚さaを有している。
【符号の説明】
【0024】
1 フリーホイール外輪
2 コネクティングロッド小端部
3 フリーホイール孔
4 クランク
5 反対の側
6 面した側
7 外周の中点
8 内径の中点
9,9’ 外側輪郭
10 締付け体
11 ローラフリーホイール
12 ピン
a 材料厚さ
b 材料厚さ
c 外周
d 内径
x オフセット量
A−A’ 切断線
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b