特許第5897086号(P5897086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5897086摂取に適する所定量の飲料を用意するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897086
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】摂取に適する所定量の飲料を用意するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20160317BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20160317BHJP
   A47J 31/34 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/36 320
   A47J31/34
【請求項の数】36
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-181534(P2014-181534)
(22)【出願日】2014年9月5日
(62)【分割の表示】特願2012-516010(P2012-516010)の分割
【原出願日】2009年12月30日
(65)【公開番号】特開2014-240019(P2014-240019A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】09162895.8
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09162914.7
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09162931.1
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09163310.7
(32)【優先日】2009年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09167851.6
(32)【優先日】2009年8月13日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09170590.5
(32)【優先日】2009年9月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ カメルビーク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンリ フラマンド
(72)【発明者】
【氏名】アンジェニタ ドロテア ファン ルーン−ポスト
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク コルネリス コエリング
(72)【発明者】
【氏名】アレンド コルネリス ヤコブス ビースヘウヴェル
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−515601(JP,A)
【文献】 実開平02−138275(JP,U)
【文献】 実開昭63−158856(JP,U)
【文献】 特表2008−517838(JP,A)
【文献】 特表2009−534143(JP,A)
【文献】 米国特許第04775048(US,A)
【文献】 特許第3222137(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J31/00−31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するためのシステムであって、該システムは、
外周壁と、該外周壁を第1の端部で閉じている底と、該底の反対側の第2の端部で該外周壁の外方向に延在しているフランジ様の縁とを備えているカップ、および、
使用中に該フランジ様の縁に結合される蓋
を含むカプセルを
備え、
該壁、底および蓋は、使用中に、抽出可能な製品を容れる内部空間を取り囲み、そして
該カップは、該カップの外方向に延在している複数の実質的に同心的な外周状のリッジをさらに備えており、該リッジは該カップと同じ材料で作られており、
該複数のリッジは、該フランジ様の縁の上に配置されており、
該複数のリッジは、該フランジ様の縁の、該蓋から離れる方向を向いている側に配置されており、
該複数のリッジは、該フランジ様の縁と一体化されており、
該システムはさらに、該カプセルを取り囲むための囲い部材を備えている飲料抽出デバイスを備え、
該カプセルと該囲い部材との間の封止的係合が形成されるように、使用中に、該リッジの少なくとも1つは該囲い部材の少なくとも一部分に当接し、
該囲い部材の先端部の少なくとも一部分が、該リッジの少なくとも1つに当接するように配置され、
該複数のリッジの各々は、該囲い部材の先端部の幅より狭い個別の幅を有し、 該複数のリッジは、該囲い部材の先端部の幅より広い合計幅を有している、上記システム。
【請求項2】
該複数のリッジの各リッジは、実質的に同じ高さを有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
該複数リッジの各リッジは、実質的に同じ幅を有している、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
該複数のリッジの1つのリッジの幅は、そのリッジの高さよりも小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
該複数のリッジの1つのリッジは、該フランジ様の縁の厚さと等しいかまたはそれ未満の幅を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
該複数のリッジの1つのリッジは、該フランジ様の縁の厚さと等しいかまたはそれ未満の高さを有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
該フランジ様の縁の厚さは、該複数のリッジに隣接する位置でよりも該複数のリッジが存在する位置での方がより厚い、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
該フランジ様の縁の厚さは、該複数のリッジに隣接する位置でよりも該複数のリッジが存在する位置での方がより薄い、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
該複数のリッジの各リッジは、実質的に同じ断面形状を有している、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
該複数のリッジの1つのリッジは、徐々に減少する断面を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
2つの隣接するリッジの間の径方向距離は、該リッジの最大幅未満である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
複数のリッジは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つのリッジを備えている、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
該複数のリッジの1つのリッジは、0.4mm未満の高さを有している、請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
該複数のリッジの1つのリッジは、0.3mm未満の最大幅を有している、請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
該リッジはプラスチック材料から作られている、請求項1〜14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
該リッジは、可塑的に変形可能である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
該カプセルは、該複数のリッジと実質的に同心的であるところの別のリッジを備えており、該別のリッジの高さは、該複数のリッジの高さとは異なっている、請求項1〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
該別のリッジの高さは、該複数のリッジの高さよりも大きい、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
該別のリッジは、その内側外周状表面の上に円錐形部分を有している、請求項17または18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
該蓋は、該フランジ様の縁に結合され、かつ該内部空間は抽出可能な製品で少なくとも部分的に充填されている、請求項1〜19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
該カプセルは密閉的に閉じられている、請求項1〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
該蓋及び/又は該底は多孔質であり、及び/又は液体が該内部空間へ入り及び/又は出るのを許容するための開口部を備えている、請求項1〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
該カプセルは使い捨て及び/又は生分解可能である、請求項1〜22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
該複数のリッジの1つのリッジは、該囲い部材の先端部の幅と等しいかまたはそれ未満の高さを有している、請求項1〜23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
該別のリッジは、該囲い部材の外側外周状表面に当接するよう配置されている、請求項17または18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
該カプセルと該囲い部材との間の封止的係合が形成されるように、少なくとも1つの該リッジは該囲い部材の少なくとも一部分に当接するように、該カプセルは該囲い部材内に閉じられている、請求項20〜22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
該少なくとも1つのリッジは、該囲い部材によって塑性的に変形される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するための方法であって、以下の工程: 請求項1〜27のいずれか1項に記載のシステムを用意すること、 該カプセルと該囲い部材との間の封止的係合が形成されるように、少なくとも1つの該リッジは該囲い部材の少なくとも一部分に当接するように、該囲い部材内に該カプセルを挿入すること、 飲料を用意するために、流体を該カプセルの内部空間に備えること、 該カプセルから該飲料を流し出すこと、を含む、上記方法。
【請求項29】
該カプセルと該囲い部材との間の封止的係合が形成されるように、該少なくとも1つのリッジと囲い部材の少なくとも一部分とを一緒に圧迫することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該囲い部材の先端部の少なくとも一部分を該リッジの少なくとも1つに当接させることを含む、請求項2829のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
該複数のリッジの各々は、該囲い部材の先端部の幅より狭い個別の幅を有している、請求項2830のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該複数のリッジは、該囲い部材の先端部の幅より広い合計幅を有している、請求項2831のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
該複数のリッジの1つのリッジは、該囲い部材の先端部の幅と等しいかまたはそれ未満の高さを有している、請求項2832のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
該システムは請求項17または18に記載されたシステムであって、さらに、該別のリッジを該囲い部材の外側外周状表面に当接させることを含む、請求項2833のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
該システムは請求項21に記載のシステムであって、該カプセルは、使用前には密閉的に閉じられている、請求項2834のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
該囲い部材によって、該少なくとも1つのリッジを塑性的に変形することを含む、請求項2835のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出可能な製品を使用して、摂取に適する所定量の飲料を用意するためのカプセル、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1回分の飲料成分を備えているカプセルへ、圧力下で液体、例えば水を供給するための抽出器具を使って、飲料、例えばコーヒーを用意するためのシステムは、知られている。一般には、抽出器具は、カプセルを取り囲むための囲い部材を備えている。使用中に、液体、例えば水または飲料の漏洩を防ぐために、封止的係合がカプセルと囲い部材との間に提供される。通常は、この封止的係合は、円周状の接触線に沿ってカプセルと囲い部材とを相互に圧迫することによって得られる。
【0003】
封止的係合の位置での囲い部材の材料、例えばエラストマー材料は、封止的係合の位置でのカプセルの材料、例えばアルミニウムよりもより柔らかいことが可能である。そのようなシステムは、例えば欧州特許第1203554号から知られる。そのようなケースでは、封止的係合の位置での囲い部材の材料は圧縮されうる。そのようなシステムは、封止的係合の位置での囲い部材の材料が、摩耗、劣化及び/又は汚染に曝され、抽出器具の使用年数が増加すると、封止的係合の質が劣化しうるという不利な点を有しうる。
【0004】
この欠点は、他の既知のシステムにおいて、封止的係合の位置での囲い部材の材料、例えば金属が、封止的係合の位置でのカプセルの材料、例えばプラスチック材料より固いことによって、少なくとも部分的には克服されているように思われる。例えば、そのようなシステムは、仏国特許第2617389号によって公知である。このケースにおいては、封止的係合の位置でのカプセルの材料は圧縮されうる。このようなシステムは、封止的係合の位置での囲い部材の材料が、摩耗、劣化及び/又は汚染に曝されにくいという利点を有しており、その上、良好な封止的係合が得られうる。特に、封止的係合の位置でカプセルの材料が円周壁の材料と同一であるときは、カプセルは大変容易に製作されうる。しかし、このことは、もし封止的係合の位置で囲い部材が不規則性、例えば掻き傷、裂け目、こびり付いた汚染、突出などを有していると、そのような封止的係合が駄目にされる可能性があるという不利な点をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の欠点の少なくとも1つに、少なくとも部分的に対処することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明に従えば、抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するためにカプセルが提供され、該カプセルは1のカップを備え、該カップは、外周壁と、該外周壁を第1の端部で閉じている底と、該底の反対側の第2の端部で外周壁の外方向に延在しているフランジ様の縁と、および使用中にフランジ様の縁に接続される蓋とを備えている。ここで、壁、底、および蓋は、使用中に、抽出可能な製品を備えている内部空間を取り囲み、そしてカップは、カップの外側へ延在している複数の実質的に同心的な外周状のリッジをさらに備えており、リッジはカップと同じ材料で作られている。
【0007】
使用中に、外周状リッジの少なくとも1つは、囲い部材の少なくとも一部分に当接することができ、それにより、例えばリッジの少なくとも1つの頂上と囲い部材の少なくとも一部分との間に、封止的係合が形成される。複数のリッジが備えられるので、封止的係合がなおも得られながら、カプセルと囲い部材との間の位置合わせのずれは許容されうる。
【0008】
好ましくは、複数のリッジが、フランジ様の縁上に、例えば、フランジ様の縁の、蓋とは反対に向いている側の上に配置される。したがって、複数のリッジは、囲い部材の先端部に当接しうる。このようにして、封止的係合はフランジ様の縁の位置で形成されうる。
【0009】
複数のリッジは、フランジ様の縁と一体化されることが可能である。こうして、カップの製作は、カップと複数のリッジの一体射出成形によって、複数のリッジの製作を包含しうる。これによって、カプセルのカップの簡易な製作が得られうる。
【0010】
1実施態様においては、複数のリッジの各々のリッジは、使用前には実質的に同じ高さを有している。したがって、複数のリッジの各々のリッジは、カプセルと囲い部材との間の封止的係合に貢献しうる。任意的に、複数のリッジの各々のリッジは実質的に同じ幅を有している。しかし、複数のリッジが相互に異なる高さ及び/又は幅を有することは排除されていない。
【0011】
複数のリッジの内の1つのリッジの幅は、このリッジの高さよりも小さいことが可能である。好ましくは、このことは複数のリッジの各々のリッジに適用できる。したがって、リッジはほっそりした形状を有し、例えば、リッジの上端のリッジ基底部方向への圧縮によって、リッジの容易な変形を許容する。したがって、リッジは、封止的係合の位置での囲い部材の不規則性、例えば、囲い部材の先端部でのへこみ及び/又は突起に容易に追随することができる。
【0012】
好ましくは、複数のリッジ中の1つのリッジは、フランジ様の縁の厚さと同じかそれ以下の幅を有している。好ましくは、複数のリッジ中の1つのリッジは、フランジ様の縁の厚さと同じかそれ未満の高さを有している。好ましくは、複数のリッジの中の1つのリッジは、複数のリッジが存在する位置でフランジ様の縁の最小厚さと同じかそれ未満の高さを有している。好ましくは、このことは、複数のリッジの各々のリッジに適用される。したがって、リッジの圧縮に対する抵抗は、該縁の圧縮に対する抵抗よりも小さくなりうる。このようにして、該縁はリッジに比べて固くてもよく、一方、リッジは、その形状及び/又は寸法に起因する十分な圧縮性を有しえて、例え囲い部材が封止的係合の位置で不規則性を備えていても、囲い部材との封止的係合を提供する。
【0013】
複数のリッジ中の1つのリッジは、0.4mm未満、好ましくは0.3
mm未満、一層好ましくは0.21mm未満、さらに一層好ましくは0.15mm未満の高さを有することが可能である。また、複数のリッジ中の1つのリッジは、0.3mm未満、好ましくは0.21mm未満、一層好ましくは0.15mm未満の最大幅を有することが可能である。好ましくは、このことは複数のリッジの各リッジに適用される。これらの寸法は、リッジと囲い部材との間の良好な封止的係合を提供することが今見出されている。
【0014】
1実施態様においては、複数のリッジ中の1つのリッジは、くさび形の、例えば、実質的に三角形の断面を有している。好ましくは、このことは複数のリッジ中の各リッジに適用される。このことは、リッジの圧縮は徐々に増大する力を必要とするという利点を提供する。したがって、リッジは囲い部材の不規則性の輪郭に容易に追随できる。なぜならば、これは囲い部材が局部的に増加させられた力をリッジに働かせるからである。それ以外の断面、例えば半円形断面または梁形の断面(丸められた角を有することも可能である)も考えられる。
【0015】
好ましくは、複数のリッジの全リッジが同一の断面形状を有している。
【0016】
1実施態様においては、2つの隣接しているリッジの間の(相互の)径方向距離は、リッジの最大幅未満、好ましくは最大幅の50%、より好ましくは最大幅の25%未満である。このようにして、複数のリッジは、相互に近接して間隔を空けられて、少なくとも1つのリッジが囲い部材に適切に当接するという良い機会を許容し、かつリッジが圧縮により広がるために十分な空間を許容する。また、この近接して空間配置されたリッジは、囲い部材に対するカプセル(2)の位置合せずれに対する許容範囲の増大を可能にする。なぜなら、たとえ、1つのリッジさえもが囲い部材に十分に当接していなくとも、リッジ間の狭い間隔は、カプセルと囲い部材との間に十分な封止的係合を与えるように、流体の流れに対する十分な抵抗を提供する迷路を形成しうるからである。
【0017】
好ましくは、蓋は、フランジ様の縁に結合され、かつ内部空間は抽出可能な製品で少なくとも部分的に満たされる。したがって、使用準備のなされたカプセルが提供される。密閉的に閉じられたカプセルは、その中で抽出可能な製品が環境と接触しているオープンなカプセルとは反対に、カプセルの環境と接触しないように抽出可能な製品を保持する。
【0018】
代替的には、蓋及び/又は底は多孔質であり、及び/又は液体が内部空間へ入り及び/又は出るのを許容するための開口部を備えている。
【0019】
1実施態様においては、カプセルは使い捨てである。使い捨てカプセルは、1回の使用後は処分されるようにデザインおよび意図される。このようにして、衛生、例えば微生物増殖に関連した問題は最小化されうる。また、カプセルは、
環境負荷を最小化するために生分解可能でありうる。
【0020】
好ましくは、カプセルは、飲料の一杯分を用意するために設計されている。
【0021】
本発明はまた、抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するためのシステムに関しており、該システムは、i)カプセルを備えており、該カプセルは、外周壁を備えているカップ、外周壁と該外周壁を第1の端部で閉じている底と、該底の反対側の第2の端部で外周壁の外方向に延在しているフランジ様の縁と、および使用中にフランジ様の縁に接続される蓋とを備えている。ここで、壁、底、および蓋は、使用中に、抽出可能な製品を備えている内部空間を取り囲み、そしてカップは、該カップの外側へ延在している複数の実質的に同心的な外周状のリッジをさらに備えており、リッジはカップと同じ材料で作られている。さらに、該システムは、ii)飲料抽出デバイスを備えており、該飲料抽出デバイスは、カプセルを取り囲むための囲い部材を備え、使用中に少なくとも1つのリッジが、該囲い部材の少なくとも一部分に当接し、カプセルと囲い部材との間の封止的係合が形成される。
【0022】
1実施態様においては、囲い部材の先端部の少なくとも一部分が、少なくとも1つのリッジに当接するように配置される。ここで複数のリッジは、カプセルのフランジ様の縁上に配置されうる。
【0023】
好ましくは、各リッジは、囲い部材の先端部の幅より小さい個々の幅を有する。このことは、複数のリッジは囲い部材の先端部に比べて狭いという利点を提供する。このようにして、複数のリッジは、囲い部材の先端部上の例えば小さな不規則性、例えばへこみ、掻き傷、割れ目及び/又は突起に容易に適合しうる。
【0024】
好ましくは、複数のリッジは、囲い部材の先端部の幅を超えるところの合計幅を有する。したがって、囲い部材の先端部に対するカプセルの位置合わせのずれに対するかなりの許容性が提供される。
【0025】
複数のリッジ中の1つのリッジが、囲い部材の先端部の幅未満の高さを有することが可能である。好ましくは、このことは、複数のリッジ中の各々のリッジに適用される。したがって、リッジは囲い部材の先端部の幅に比べて低い高さを有する。このことは、囲い部材の先端部とリッジとの間の良好な封止的係合が得られうるように、リッジの座屈を防ぐことができる。
【0026】
本発明はまた、本発明に従うシステムを使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するための方法に関する。
【0027】
本発明は、以下の図面を参照しつつ限定的でない実施例によってさらに説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に従うシステムの第1の実施例の概略図である。
図2】本発明に従うシステムの第2に実施例の概略図である。
図3a】本発明に従うシステムの一部分の拡大された詳細図である。
図3b】本発明に従うシステムの一部分の拡大された詳細図である。
図4】本発明に従うシステムの一部分の拡大された詳細図である。
図5a】本発明に従うシステムの別の実施例の概略図である。
図5b】本発明に従うシステムの別の実施例の概略図である。
図6a】本発明に従うシステムの別の実施例の概略図である。
図6b】本発明に従うシステムの更に別の実施例の概略図である。
【0029】
図面および以下の記載のおいては、類似の参照符号は類似の要素を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を準備するためのシステム(1)の第1の実施例の断面での概略図を示す。本システム(1)は、交換可能なカプセル(2)および飲料抽出デバイス(4)を備える。本デバイス(4)は、交換可能なカプセル(2)を保持するために、囲い部材(6)を備えている。本実施例においては、さらにデバイス(4)はカプセル(2)を支持するための支持部材(8)を備えている。
【0031】
図1においては、カプセル(2)、囲い部材(6)および支持部材(8)の間に、明瞭のため隙間が描かれている。使用中に、カプセル(2)は、囲い部材(6)と支持部材(8)とに接触して置かれうることが理解されよう。一般に、囲い部材(6)はカプセル(2)の形状に相補的な形状を有している。さらにデバイス(4)は、ある量の流体、例えば水を(例えば9バールの圧力下で)交換可能なカプセル(2)へ供給するための流体供給器具(10)を備えている。
【0032】
図1に示された実施例においては、交換可能なカプセル(2)はカップ(12)および蓋(14)を備えている。本実施例においては、カップ(12)は、外周壁(16)、外周壁(16)を第1の端部で閉じている底(18)、および底(18)の壁の反対側の第2の端部で外周壁(16)に外向きに延在しているフランジ様の縁(20)を備えている。外周壁(16)、底(18)および蓋(14)は、抽出可能な製品を容れる内部空間(22)を取り囲んでいる。本実施例においては、カプセルは最初に封止され、すなわち、使用前に密閉されるように閉じられている。
【0033】
図1のシステム(1)は、カプセル(2)の底(18)に少なくとも1つの入口開口部(25)を作り出して、この入口開口部(25)を介して流体を抽出可能な製品へ供給するために、この底(18)を刺し貫くための底貫通手段(24)を備えている。
【0034】
図1のシステム(1)は、さらに、カプセル(2)の蓋(14)を刺し貫くための蓋貫通手段(26)(これは支持部材(8)の突起として実施されている)を備えている。内部空間(22)の(流体)圧が閾値圧を超えて、蓋(14)を蓋貫通手段(26)に対して十分な力で押し付けると、蓋貫通手段(26)は、蓋(14)を切り裂くように配置されることが可能である。蓋(14)は、例えば切り裂きうる箔(例えばアルミニウムで作られた)を備えてよい。
【0035】
本実施例においては、さらにカップ(12)は、実質的に同心外周状リッジ(28.i)(i=1,2,3)を備えている。本実施例においては、リッジ(28.i)は、フランジ様の縁(20)の上に配置されている。ここで、リッジ(28.i)は、蓋(14)から離れる方向を向くフランジ様の縁(20)の側に配置されている。より一般的には、リッジ(28.i)はカップ(12)の外側方向へ延在する。本実施例においては、リッジ(28.i)はカップ(12)と同じ材料で作られている。本実施例においては、リッジ(28.i)はカップ(12)と一体化されている。本実施例においては、外周状リッジは、カプセル(2)の内部空間(22)を少なくとも部分的に取り囲むことが理解されよう。
【0036】
図1から分かるように、使用中に、リッジ(28.i)は囲い部材(6)の先端部(30)に当接しうる。本実施例において、少なくとも1つのリッジ(28.i)が囲い部材(6)の先端部(30)の少なくとも一部分に当接するとき、少なくとも1つのリッジ(28.i)が囲い部材(6)の先端部(30)の少なくとも一部分に当接する位置で、封止的係合が囲い部材(6)とカプセル(2)との間で得られる。
【0037】
図1に示されるシステム(1)は、一杯のコーヒー(この場合は、抽出可能な製品は焙煎され、挽かれたコーヒーである)を用意するために、以下のように操作される。
【0038】
カプセル(2)は囲い部材(6)の中に置かれる。支持部材(8)はカプセル(2)と接触するようにされる。底貫通手段(24)は、入口開口部(25)を作るためにカプセル(2)の底(18)を刺し貫く。流体(ここでは圧力下の湯)は、この入口開口部(25)を介して、内部空間(22)内の抽出可能な製品に供給される。この湯は、コーヒー飲料を作るために、挽かれたコーヒーを濡らし且つ所望の物質を抽出するであろう。
【0039】
圧力下の湯を内部空間(22)へ供給する間に、カプセル(2)内部の圧力は、上昇しうる。この圧力の上昇は、蓋(14)を変形し、そして蓋貫通手段(26)に対して押し付けるであろう。一度圧力が一定の水準に達すると、蓋(14)の引裂強度を上回り、そして蓋は蓋貫通手段(26)によって破裂し、出口開口部を作るであろう。用意されたコーヒーは、この出口開口部および支持部材(8)の出口(32)を介して、カプセル(2)から流れ出るであろう。そして、容器、例えばカップ(図示されない)に供給されうる。
【0040】
図2は、抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するためのシステム(1)の第2の実施例の断面での概略図である。本システム(1)は、交換可能なカプセル(2)および飲料抽出デバイス(4)を備えている。該デバイス(4)は、交換可能なカプセル(2)を保持するための囲い部材(6)を備えている。本実施例においては、さらに該デバイス(4)は、カプセル(2)を支持するための支持部材(8)を備えている。
【0041】
図2においては、明瞭のために、カプセル(2)、囲い部材(6)および支持部材(8)間に、隙間が描かれている。使用中に、カプセル(2)は囲い部材(6)と支持部材(8)とに接触して置かれてよいことが理解されるであろう。一般的に、囲い部材(6)はカプセル(2)の形状に相補的な形状を有している。さらに、該デバイス(4)は、ある量の流体、例えば水を、例えば9バールの圧力下で交換可能なカプセル(2)に供給するための液体供給器具を備える。
【0042】
図2に示された実施例においては、交換可能なカプセル(2)は、カップ(12)および蓋(14)を備えている。本実施例においては、カップ(12)は、外周壁(16)、この外周壁(16)を第1の端部で閉じている底(18)および外周壁(16)の底(18)壁の反対側の第2の端部で外向きに延在しているフランジ様の縁(20)を備えている。外周壁(16)、底(18)および蓋(14)は、抽出可能な製品を容れる内部空間(22)を取り囲んでいる。本実施例においては、カプセルは、最初は開いている。したがって、カプセル(2)は、予め作られた入口開口部(25)を備えている。入口開口部(25)は、底(18)の貫通孔でありうる。さらに、カプセル(2)は、予め作られた出口開口部(27)を備えている。この出口孔(27)は、例えば、可塑性物質から製作された箔様の蓋(14)の貫通孔であってもよく、または、例えば、フィルタ紙のような不織材料から製作された多孔質の蓋の細孔であってもよい。
【0043】
図2のシステム(1)は、底貫通手段も蓋貫通手段(26)も備えていない。
【0044】
本実施例においては、さらにカップ(12)は、複数の実質的に同心外周状のリッジ(28.i)(i=1,2,3)を備えている。本実施例においては、該リッジ(28.i)は、フランジ様の縁(20)上に配置されている。ここで、該リッジ(28.i)は、蓋(14)から離れる方向を向いているフランジ様の縁(20)の側に配置されている。より一般的には、リッジ(28.i)は、カップ(12)の外方向へ延在している。本実施例においては、リッジ(28.i)は、カップ(12)と同じ材料で作られている。本実施例においては、リッジ(28.i)は、カップ(12)と一体化されている。
【0045】
図2から分かるように、使用中に、リッジ(28.i)は囲い部材(6)の先端部(30)に境界を接しうる。本実施例においては、少なくとも1つのリッジ(28.i)が囲い部材(6)の先端部(30)の少なくとも一部分に境界を接するときに、少なくとも1つのリッジ(28.i)が囲い部材(6)の先端部(30)の少なくとも一部分に境界を接する位置で、封止的係合が囲い部材(6)とカプセル(2)との間に得られる。
【0046】
図2に示されたシステム(1)は、一杯のコーヒーを用意するために(この場合は、抽出可能な製品は焙煎され且つ挽かれたコーヒーである)、以下のように操作される。
【0047】
カプセル(2)は囲い部材(6)の中に置かれる。支持部材(8)は、カプセル(2)と接触させられる。流体(ここでは圧力下の湯)は、この入口開口部(25)を介して、内部空間(22)内の抽出可能な製品に供給される。この湯は、コーヒー飲料を作るために、挽かれたコーヒーを濡らし且つ所望の物質を抽出するであろう。
【0048】
圧力下の湯を内部空間(22)へ供給する間に、カプセル(2)内部の圧力は上昇しうる。用意されたコーヒーは、出口開口部(27)および支持部材(8)の出口(32)を介して、カプセル(2)から流れ出るであろう。そして、容器、例えばカップ(図示されない)に供給されうる。
【0049】
図3aおよび図3bは、本発明に従うシステム(1)の部分の拡大された詳細図を示している。本実施例においては、4つの外周状リッジ(28.i)が、フランジ様の縁(20)の上に配置されている。ここで、リッジ(28.i)は、縁(20)と一体化されている。本実施例においては、リッジ(28.i)は、互に対して同心的に配置されている。本実施例においては、リッジ(28.i)はまた、カップ(12)の軸と同心的に配置されている。使用中に、外周状リッジの少なくとも1つは、囲い部材の少なくとも一部分に当接し、それにより、リッジの少なくとも1つの例えば頂上と囲い部材の少なくとも一部分との間に、封止的係合が形成される限り、リッジ(28.i)は、正確に同心的である必要はないことが理解されよう。複数のリッジが備えられるので、封止的係合がなおも得られている間は、カプセルと囲い部材との間の位置合わせのずれは許容されうる。
【0050】
図3aにおいては、囲い部材(6)の先端部(30)は、突起(34)の形状をした不規則性、例えば、隆起、バリまたは塊(例えば、こびりついた破片)を備えている。本実施例においては、リッジ(28.i)の中の1つの特定のリッジ(28.3)が、突起(34)に当接し、そして局所的により一層圧迫されていることが分かる。したがって、リッジ(28.i)および囲い部材(6)は、突起(34)の存在に関わらずに封止的係合の状態にある。
【0051】
図3bにおいては、囲い部材(6)の先端部(30)は、凹所(35)または窪みの形状の不規則性、例えば、へこみ、掻き傷または割れ目を備えている。本実施例においては、リッジ(28.i)の内の1つの特定のリッジ(28.2)が、窪み(35)に面していることが分かる。したがって、隣接しているリッジ(28.3)は、局所的により一層圧縮され、そして囲い部材(6)の先端部(30)に接するであろう。このようして、リッジ(28.i)および囲い部材(6)は、凹所(35)の存在に関わらずに封止的係合の状態にある。
【0052】
図3aおよび図3bの実施例においては、各々のリッジ(28.i)は、実質的に三角形状の断面を有している。このことは、リッジ(28.i)の圧縮には、徐々に増大する力を必要とするという利点をもたらす。したがって、各リッジ(28.i)は、囲い部材(6)の不規則性の輪郭に容易に従うことが出来る。
【0053】
図3aおよび図3bの実施例においては、全てのリッジが、使用前と、例えば、圧縮される前と実質的に同じ高さ(H)を有している。したがって、全てのリッジ(28.i)は、カプセル(2)と囲い部材(6)との間の封止的係合に同等に貢献しうる。したがって、先端部(30)がいずれかのリッジ(28.i)に接することに失敗することなく、カプセル(2)と囲い部材(6)との間の位置合わせのずれが許容されうる。
【0054】
図3aおよび図3bの実施例においては、リッジ(28.i)の各々は、囲い部材(6)の先端部(30)の幅(WLE)未満である個々の最大幅(W)を有している。かくして、各リッジ(28.i)は、先端部(30)に比べて狭く、その結果、各リッジ(28.i)は先端部(30)によって容易に圧縮されうる。さらにここで、複数のリッジ(28.i)は、囲い部材(6)の先端部(30)の幅(WLE)を超える合計幅(W)を有している。したがって、先端部(30)がいずれかのリッジ(28.i)に接することに失敗することなく、カプセル(2)と囲い部材(6)との間の位置合わせのずれは許容されうる。
【0055】
これらの実施例においては、各リッジ(28.i)の最大幅(W)は、使用前のリッジの高さ(H)よりも小さい。したがって、リッジ(28.i)は細長い形をしており、例えば、リッジ(28.i)の基底(38)方向への、リッジの頂上エッジ(36)の圧縮によって、リッジ(28.i)の容易な変形を許容する。したがって、リッジ(28.i)は、封止的係合の場所での囲い部材(6)の不規則性に容易に追随しうる。ここで、リッジの最大幅(W)は、リッジがその上に配置されているところの平面に平行に測られており、かつリッジの使用前の高さ(H)はその幅に直角に測られていることを記しておく。
【0056】
これらの実施例においては、リッジ(28.i)の各最大幅(W)は、フランジ様の縁(20)の厚さ(H)よりも小さい。これらの実施例においては、リッジ(28.i)の各最大幅(W)は、リッジが存在する位置で、フランジ様の縁(20)の厚さ(H)よりも小さい。また、これらの実施例においては、使用前の各リッジ(28.i)の高さ(H)は、フランジ様の縁(20)の厚さ(H)よりも小さい。したがって、リッジ(28.i)の圧縮に対する抵抗は、該縁(20)の圧縮に対する抵抗よりも小さいであろう。これらの実施例においては、該縁(20)はリッジ(28.i)に比べて硬く、一方、たとえ囲い部材が封止的係合の場所で不規則性を備えていようとも、囲い部材との封止的係合を提供するように、リッジは、それらの形状と寸法とに起因する十分な圧縮性を保持するであろう。リッジ(28.i)の圧縮に対する抵抗と、該縁(20)の圧縮に対する抵抗の比は、リッジ(28.i)の位置で少なくとも局所的に該縁(20)の厚さを増大させることによって、さらに改善されうることが理解されるであろう。
【0057】
たとえカップ(12)の残り部分が実質的に硬いことを許容するところのある物質が選択されようとも、リッジ(28.i)の幾何的形状は、リッジが囲い部材(6)の不規則性に適合するのを可能にする。そのような実質的に硬いカップ(12)は、カプセル(2)の取り扱いの容易さを増加させうる。例えば、リッジ(28.i)は、フランジ様の縁(20)、外周壁(16)および、任意的に例えば可塑性材料の底(18)と一体化されることも可能である。そのような場合には、カップ(12)は実質的に硬いことが分かっており、一方、たとえ選択された可塑性材料が70以上のショアD硬さを有していても、リッジ(28.i)は封止的係合を提供するために囲い部材(6)と協働しうる。
【0058】
これらの実施例においては、該縁(20)の厚さは近似的に0.2mmである。これらの実施例においては、囲い部材(6)の先端部(30)の幅は、近似的に0.7mmである。これらの実施例においては、各リッジ(28.i)の使用前の高さ(H)は、近似的に0.2mmである。好ましくは、使用前のリッジの高さ(H)は0.3mm未満、一層好ましくは、0.21mm未満、また、該高さ(H)は、使用前は0.15mm未満であることも可能である。これらの実施例においては、各リッジ(28.i)の最大幅(W)は近似的に0.14mmである。好ましくは、この幅(W)は0.3mm未満、一層好ましくは、0.21mm未満、最も好ましくは、0.15mm未満である。これらの寸法は、リッジ(28.i)と囲い部材(6)との間の良好な封止的係合を提供すると見出された。
【0059】
図3aおよび図3bの実施例においては、リッジ(28.i)は、2つの隣り合うリッジが実質的に径方向に隣接するように径方向に間隔を空けられている。より一般的には、2つの隣り合うリッジ(28.i)間の径方向距離は、好ましくはリッジ(28.i)の最大幅(W)未満、より好ましくは最大幅(W)の50%未満、より好ましくは、最大幅(W)の25%未満である。かくして、リッジ(28.i)は、相互に近接して間隔を空けられ、少なくとも1つのリッジ(28.i)が囲い部材(6)の先端部(30)に適切に接するという良い機会を許容する。また、この近接して空間配置されたリッジ(28.i)は、囲い部材(6)に対するカプセル(2)の位置合せずれに対する許容範囲の増大を可能にする。なぜなら、たとえ1つのリッジ(28.i)も囲い部材(6)に十分に当接していなくても、十分な封止的係合を与えるように、リッジ(28.i)間の狭い間隔が、流体の流れに対する十分な抵抗を提供する迷路を形成しうるからである。
【0060】
図3aおよび図3bに従う好ましい実施態様においては、リッジ(28.i)はカップ(12)と一体的に形成されている。カップ(12)とリッジ(28.i)との組合せは、例えば、1つのピースに射出成形されうる。この組合せは、可塑性材料、例えばポリプロピレンから形成されうる。
【0061】
好ましい実施態様においては、リッジ(28.i)の材料は可塑的に変形可能であるように選択される。好ましくは、リッジ(28.i)、少なくともリッジの頂上部(36)は、囲い部材(6)と接触すると可塑的に変形しうる。可塑的に変形しているリッジ(28.i)は、封止的係合の位置での囲い部材(6)の不規則性に対して容易に適合しうる。
【0062】
図3aおよび図3bの詳細は、図7の図面に記載されたシステムと同様に、図1の図面で記載されたシステムにも適用されうることが理解されるであろう。
【0063】
図4は、本発明に従う精巧なシステム(1)の部分を拡大した詳細図である。本実施例においては、複数のリッジ(28.i)に加えて、カプセル(2)は別のリッジ(40)を備えている。
【0064】
図4においては、別のリッジ(40)が、蓋(14)から離れる方向を向いている側のフランジ様の縁(20)上に配置される。ここでは、別のリッジ(40)はフランジ様の縁(20)と一体化されている。本実施例においては、別のリッジ(40)は、リッジ(28.i)と実質的に同心的である。ここでは、別のリッジ(40)はリッジ(28.i)の周りに境界を引くように配置されている。この別のリッジ(40)の高さ(HFR)は、リッジ(28.i)の高さ(H)とは異なっていることが述べられる。本実施例においては、この別のリッジ(40)の高さ(HFR)は、リッジ(28.i)の高さ(H)よりも高い。
【0065】
本実施例においては、この別のリッジ(40)は、囲い部材(6)の外側外周表面(42)に接するように配置されている。外側外周表面(42)は、別のリッジ(40)の内側外周表面(44)に対して割り込まされている。囲い部材(6)の別のリッジ(40)の周囲への挿入を容易にするために、別のリッジ(40)は、内側外周表面(44)上に円錐部分(46)を備えうる。
【0066】
このようにして本実施例においては、少なくとも1つのリッジ(28.i)が、囲い部材(6)に接しており、さらに加えて、この別のリッジ(40)が囲い部材(6)に接している。したがって、カプセル(2)と囲い部材(6)との間の改善された封止的係合が得られうる。
【0067】
また、別のリッジ(40)が、図1、2、3aおよび3bに関して記載された状況においても適用されうることが理解されるであろう。
【0068】
図5aは、本発明に従うシステム(1)の別の実施例の概略図を示している。図5aに示されたシステム(1)は、図1に示されたシステムに実質的に同一である。しかし、図5aにおいては、カップ(12)上のリッジ(28.i)の位置は異なっている。本実施例においては、リッジ(28.i)は、カップ(12)の外周側壁(16)上に置かれている。ここでは、リッジ(28.i)は、囲い部材(6)の内側外周表面(48)に接している。図5aにおいては、リッジ(28.i)と内側外周表面(48)は、封止的係合の状態にある。また、図2に示されたシステムにおいても、リッジ(28.i)は、カップ(12)の外周側壁(16)上に置かれうることが理解されるであろう。
【0069】
図5bは、本発明に従うシステム(1)の別の実施例の概略図を示している。図5bに示されたシステム(1)は、図2に示されたシステムと実質的に同一である。しかし、図5bにおいては、カップ(12)上のリッジ(28.i)の位置は異なっている。本実施例においては、リッジ(28.i)は、カップ(12)の底(18)の外側表面上に置かれている。ここでは、リッジ(28.i)は、囲い部材(6)の内側背表面(50)に接している。図5bにおいては、リッジ(28.i)と内側背表面(50)とは、封止的係合の状態にある。また、図1に示されたシステムにおいても、リッジ(28.i)は、カップ(12)の底(18)の外側表面上に置かれうることが理解されよう。
【0070】
図6aは、本発明に従うシステム(1)の別の実施例の概略図を示している。図6aに示されたシステム(1)は、図3aおよび図3bに示されたシステムと実質的に同一である。しかし図6aにおいては、フランジ様の縁は、リッジ(28.i)が存在する位置で、厚くされた部分を備えている。すなわち、フランジ様の縁の厚さ(H)は、複数のリッジが存在している位置で、その隣接する位置でのフランジ様の縁の厚さ(HFa)よりも厚い。複数のリッジの1の高さ(H)が大きくなり、複数のリッジが不安定になるとき、本実施態様は有用であることを証明しうる。
【0071】
図6bは、本発明に従うシステム(1)の別の実施例の概略図を示している。図6bに示されたシステム(1)は、図3aおよび図3bに示されたシステムと実質的に同一である。しかし図6bにおいては、フランジ様の縁は、リッジ(28.i)が存在する位置で、薄くされた部分を備えている。すなわち、フランジ様の縁の厚さ(H)は、複数のリッジが存在している位置で、その隣接する位置でのフランジ様の縁の厚さ(HFa)よりも薄い。本実施態様は、複数のリッジの1の高さ(H)が小さくなり適切に変形されるようになるとき、有用であることを証明しうる。
【0072】
上述した仕様においては、本発明は、本発明の実施態様の特定の実施例を参照して記載されてきた。しかし、添付された請求項で述べられている本発明の広い精神と範囲から離れることなく、様々な別の実施態様や変更が作られうることは明らかであろう。
【0073】
例えば、図7に示されたカプセルは、図1のシステムに使用されることは可能である。そのような例として、カプセルは、底が底貫通手段によって貫通されないように設計されることが可能である。また、蓋と蓋貫通手段は、蓋がカプセルの内部空間内の流体圧力の効果の下で切り裂かれないように設計されることも可能である。
【0074】
もし囲い部材がカプセルのフランジ様の縁に接するための先端部を有するときは、この先端部はまた、複数の径方向に延在している溝の形の不規則性を備えうることが理解されるであろう。またそのような場合においては、封止的係合が、本発明に従う囲い部材の先端部とカプセルのリッジとの間に得られうる。
【0075】
カプセルは、それぞれユーザーによって、満たされまたは補充されることができるところの充填可能なまたは補充可能なカプセルとして提供されることが可能である。そのようなカプセルは、分離したカップと、該カプセルを飲料成分で充填した後にユーザーによってカップに結合されうる蓋として提供されうる。代替的には、蓋は、部分的に例えばヒンジによってカップに結合されることが可能であり、したがって、カプセルを飲料成分で充填した後に、ユーザーは蓋をフランジ様の縁の実質的に全周辺に結合することができる。
【0076】
これらの実施例においては、複数のリッジは、3または4のリッジを備えている。また、それ以外の数のリッジ、例えば、2つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10のリッジが使用されうることが理解されよう。
【0077】
これらの実施例においては、カプセルは、中心軸に対して実質的に回転対称である。カプセルはまた、様々な形状を有しうることが理解されよう。これらの実施例においては、リッジは、中心軸に対して実質的に円形である。リッジはまた、別の形状を有しうることが理解されよう。
【0078】
しかし、別の実施態様や変更も可能である。したがって、明細書、図面および実施例は、限定するという意味よりは、例えのためであると見なされるべきである。
【0079】
請求項においては、括弧の間に入れられた如何なる参照符号も、請求項を制限するものとして解釈されるべきではない。用語「備える」は、請求項に列挙された以外の特徴または工程の存在を除外するものではない。さらに、用語「1つの」は「ただ1つ」に制限して解釈されるべきではなく、むしろ「少なくとも1つ」の意味に使われ、かつ複数を除外していない。特定の手段が相互に異なる請求項の中で引用されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが利益をもたらすように使えないということを意味しない。
【符号の説明】
【0080】
1 システム
2 カプセル
4 飲料抽出デバイス
6 囲い部材
8 支持部材
10 流体供給器具
12 カップ
14 蓋
16 外周壁
18 底
20 フランジ様の縁
22 内部空間
24 底貫通手段
25 入口開口部
26 蓋貫通手段
28 リッジ
30 先端部
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b