【文献】
GIUSEPPE BIANCHI,A PROGRAMMABLE MAC FRAMEWORK FOR UTILITY-BASED ADAPTIVE QUALITY OF SERVICE SUPPORT,IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,米国,IEEE SERVICE CENTER,2000年 2月 1日,V18 N2,P244-255
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションのサービス品質必要条件についての情報と、前記アプリケーションに関連する前記データ・パケットの優先順位情報と、前記アプリケーションの複数の前記データ・パケットのユニティについての情報と、前記アプリケーションの負荷デマンドについての情報と、前記アプリケーション・レイヤでの通信における遅延制約またはエラー・レート制約についての情報と、モバイル・トランシーバのスクリーンのウィンドウ状態についての情報と、メモリ消費についての情報と、前記モバイル・トランシーバ(100)の上で実行される前記アプリケーションのプロセッサ使用量についての情報と、前記モバイル・トランシーバ(100)の現在のロケーションと速度と方向とについての情報、または前記モバイル・トランシーバ(100)から別のモバイル・トランシーバへの距離についての情報とのグループのうちの1つまたは複数の要素を含む、請求項1に記載の装置(10)。
トランザクション・プロトコルの一部分としてトランザクション・データ・パケットを構成するための手段をさらに備え、前記トランザクション・データ・パケットは、前記コンテキスト情報を含み、前記トランザクション・データ・パケットは、エニーキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用して前記基地局トランシーバ(200)に対して通信され、前記トランザクション・データ・パケットは、ユニキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用して前記データ・サーバ(300)に対して通信され、あるいは前記トランザクション・データ・パケットまたは前記コンテキスト情報は、リンク・レイヤでプロトコル制御データ・パケットを使用して前記基地局トランシーバ(200)に対して通信される、請求項1に記載の装置(10)。
取得するための前記手段(24)は、トランザクション・プロトコルの一部分としてトランザクション・データ・パケットから前記コンテキスト情報を取得するように動作可能であり、前記トランザクション・データ・パケットは、エニーキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用して前記モバイル・トランシーバ(100)から受信され、前記トランザクション・データ・パケットは、ユニキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用してデータ・サーバ(300)から受信され、前記トランザクション・データ・パケットまたは前記コンテキスト情報は、リンク・レイヤでプロトコル制御データ・パケットを使用して前記モバイル・トランシーバ(100)から受信され、あるいは前記コンテキスト情報は、前記基地局トランシーバ(200)からの分類情報を提供される前記データ・サーバ(300)から受信され、前記コンテキスト情報は、前記データ・サーバ(300)から受信されるデータ・パケットの中のタグに対応する、請求項4に記載の装置(20)。
スケジュールするための前記手段(26)は、複数のトランザクションについての伝送シーケンスを決定するように動作可能であり、前記複数のトランザクションは、1つまたは複数のモバイル・トランシーバ(100)によって実行されている複数のアプリケーションを指しており、トランザクションは、前記コンテキスト情報が統一性を示す複数のデータ・パケットに対応しており、トランザクションの前記シーケンスの順序は、効用関数に基づいており、前記効用関数は、前記コンテキスト情報に基づいて決定される、トランザクションの完了時間に依存しており、かつ/または
前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションのサービス品質必要条件についての情報と、前記アプリケーションに関連する前記データ・パケットの優先順位情報と、前記アプリケーションの複数の前記データ・パケットのユニティについての情報と、前記アプリケーションの負荷デマンドについての情報と、前記アプリケーション・レイヤでの通信における遅延制約またはエラー・レート制約についての情報と、モバイル・トランシーバのスクリーンのウィンドウ状態についての情報と、メモリ消費についての情報と、前記モバイル・トランシーバ(100)の上で実行される前記アプリケーションのプロセッサ使用量についての情報と、前記モバイル・トランシーバ(100)の現在のロケーションと速度と方向とについての情報、1つまたは複数のデータ・パケットとスケジューリング待ち行列との間のマッピング情報、あるいは前記モバイル・トランシーバ(100)から別のモバイル・トランシーバへの距離についての情報とのグループのうちの1つまたは複数の要素を含む、請求項4に記載の装置(20)。
前記伝送シーケンスは、トランザクションの複数の異なるシーケンスの繰り返しから決定され、ここでは、前記複数の異なるシーケンスは、前記複数のトランザクションの異なる置換に対応しており、スケジュールするための前記手段(26)は、前記複数の異なるシーケンスの各シーケンスについての前記効用関数を決定するように動作可能であり、前記効用関数の最大値に対応する前記複数の異なるシーケンスから前記伝送シーケンスを選択するようにさらに動作可能であり、かつ/またはスケジュールするための前記手段(26)は、トランザクションごとに前記サポート可能なデータ・レートに基づいて前記伝送シーケンスをさらに修正するように動作可能である、請求項6に記載の装置(20)。
データ・サーバのための装置(30)であって、前記データ・サーバ(300)は、モバイル・トランシーバ(100)の上で実行されているアプリケーションに関連するデータ・パケットをモバイル通信システム(500)の基地局トランシーバ(200)を通して前記モバイル・トランシーバ(100)に対して通信する、装置(30)において、
前記基地局トランシーバ(200)から受信される分類情報に基づいて前記データ・パケットについてのコンテキスト情報を導き出すための手段(32)であって、前記分類情報は、基地局トランシーバ(200)におけるスケジューラ待ち行列についての、または基地局トランシーバ(200)のスケジューラにおけるトランザクション・コンテキストについてのQoS設定または必要条件を含む、手段(32)と、
前記コンテキスト情報に基づいた前記モバイルトランシーバ(100)のスケジューリングを可能にするために前記モバイル通信システム(500)の基地局トランシーバ(200)に対して前記データ・パケットと一緒に前記コンテキスト情報を送信するための手段(34)であって、前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションが、現在、前記モバイル・トランシーバ(100)のフォアグラウンドに表示されているか、またはバックグラウンドに表示されているかについての情報を含む、手段(34)と
を備える装置(30)。
前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションのサービス品質必要条件についての情報と、前記アプリケーションに関連する前記データ・パケットの優先順位情報と、前記アプリケーションの複数の前記データ・パケットのユニティについての情報と、前記アプリケーションの負荷デマンドについての情報と、前記アプリケーション・レイヤでの通信における遅延制約またはエラー・レート制約についての情報と、モバイル・トランシーバのスクリーンのウィンドウ状態についての情報と、メモリ消費についての情報と、前記モバイル・トランシーバ(100)の上で実行される前記アプリケーションのプロセッサ使用量についての情報と、前記モバイル・トランシーバ(100)の現在のロケーションと速度と方向とについての情報、1つまたは複数のデータ・パケットとスケジューリング待ち行列との間のマッピング情報、あるいは前記モバイル・トランシーバ(100)から別のモバイル・トランシーバへの距離についての情報とのグループのうちの1つまたは複数の要素を含み、導き出すための前記手段(32)は、前記モバイル・トランシーバ(100)から受信されるユニキャスト・ペイロード・データ・パケットから、または前記基地局トランシーバ(200)からのユニキャスト・ペイロード・データ・パケットから前記コンテキスト情報を抽出するように動作可能である、請求項8に記載の装置(30)。
アプリケーション・データ・パケットと、前記基地局トランシーバ(200)におけるスケジューリング待ち行列に対するデータ・パケットについてのマッピング情報を有するタグとを含む前記データ・パケットを構成するための手段、アプリケーション・データ・パケットと前記コンテキスト情報とを含むトランザクション・データ・パケットを構成するための手段、前記コンテキスト情報を有するデータ・パケット・ヘッダを構成するための手段、または前記アプリケーションのサービス品質必要条件を含むデータ・パケットを構成するための手段をさらに備える、請求項8に記載の装置(30)。
基地局トランシーバ(200)をさらに備えたモバイル通信システム(500)用のモバイル通信システム(500)におけるモバイル・トランシーバ(100)のための方法であって、
前記モバイル・トランシーバ(100)の上で実行されているアプリケーションからの、または前記モバイル・トランシーバ(100)の上で実行されている運用システムからのコンテキスト情報を抽出するステップであって、前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションの状態についての情報を含む、抽出するステップ(712)であって、前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションが、現在、前記モバイル・トランシーバ(100)のフォアグラウンドに表示されているか、またはバックグラウンドに表示されているかについての情報を含む、ステップ(712)と、
前記基地局トランシーバ(200)とデータ・パケットを通信するステップ(714)であって、前記データ・パケットは、ペイロード・データ・パケットと制御データ・パケットとを含む、通信するステップ(714)と、
前記基地局トランシーバ(200)を通してデータ・サーバ(300)と、前記アプリケーションに関連するペイロード・データ・パケットを通信するステップ(715)と、
前記コンテキスト情報に基づいた前記モバイルトランシーバ(100)のスケジューリングを可能にするために前記コンテキスト情報を前記基地局トランシーバ(200)に対して提供するステップ(716)であって、前記コンテキスト情報は、ペイロード・データ・パケットに、または制御データ・パケットに含まれる、提供するステップ(716)と
を含む方法。
モバイル・トランシーバ(100)をさらに備えたモバイル通信システム(500)用のモバイル通信システム(500)における基地局トランシーバ(200)のための方法であって、
制御データ・パケットとペイロード・データ・パケットとを受信するステップ(722)であって、前記ペイロード・データ・パケットは、前記モバイル・トランシーバ(100)の上で実行されているアプリケーションに関連づけられる、受信するステップ(722)と、
制御データ・パケットから、またはペイロード・データ・パケットから前記アプリケーションに関連する前記データ・パケットについてのコンテキスト情報を取得するステップ(724)であって、前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションが、現在、前記モバイル・トランシーバ(100)のフォアグラウンドに表示されているか、またはバックグラウンドに表示されているかについての情報を含む、ステップ(724)と、
前記コンテキスト情報に基づいて前記データ・パケットの伝送のために前記モバイル・トランシーバ(100)をスケジュールするステップ(726)と
を含む方法。
データ・サーバ(300)のための方法であって、前記データ・サーバ(300)は、モバイル・トランシーバ(100)の上で実行されているアプリケーションに関連するデータ・パケットをモバイル通信システム(500)の基地局トランシーバ(200)を通して前記モバイル・トランシーバ(100)に対して通信する、方法において、
前記基地局トランシーバ(200)から受信される分類情報に基づいて前記データ・パケットについてのコンテキスト情報を導き出すステップ(732)であって、前記分類情報は、基地局トランシーバ(200)におけるスケジューラ待ち行列についての、または基地局トランシーバ(200)のスケジューラにおけるトランザクション・コンテキストについてのQoS設定または必要条件を含む、ステップ(732)と、
前記コンテキスト情報に基づいた前記モバイルトランシーバ(100)のスケジューリングを可能にするために前記モバイル通信システム(500)の基地局トランシーバ(200)に対して前記データ・パケットと一緒に前記コンテキスト情報を送信するステップ(734)であって、前記コンテキスト情報は、前記アプリケーションが、現在、前記モバイル・トランシーバ(100)のフォアグラウンドに表示されているか、またはバックグラウンドに表示されているかについての情報を含む、ステップ(734)と
を含む方法。
請求項1に記載の装置(10)を備えるモバイル・トランシーバ(100)、請求項4に記載の装置(20)を備える基地局トランシーバ(200)、請求項8に記載の装置(30)を備えるデータ・サーバ(300)、ならびに/または前記モバイル・トランシーバ(100)、前記基地局トランシーバ(200)および/もしくは前記データ・サーバ(300)を備えるモバイル通信システム(500)。
コンピュータ・プログラムがコンピュータまたはプロセッサの上で実行されるときに請求項11、12または13に記載の方法のうちの1つを実行するためのプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
CARAの概念およびアルゴリズムが、BSのデータ・リンク制御(DLC:Data Link Control)レイヤにおいて実行される可能性があり、またそれらは、途方もなく大きな利得を提供することができるが、それらは、ハンドヘルドのより高いレイヤからのコンテキスト情報に依存していることは、本発明の1つの知見である。別の知見によれば、CARAアルゴリズムについてのこの本質的な情報は、フィードバック・プロトコルによって提供されることもあり、このフィードバック・プロトコルは、ハンドヘルドから、BSへと、かつ/またはその背後にあるコア・ネットワークへとコンテキスト情報を信号で伝えることができる。さらに、DLCよりも高いレイヤからのハンドヘルド情報は、BSのDLCレイヤへと提供されることもある。さらに、実施形態は、シグナリングの概念と、一般的なタイプのコンテキスト情報とが、いくつかのシグナリングのアーキテクチャおよびプロトコルによって提供される可能性があるという知見に基づいている。
【0008】
実施形態は、モバイル・デバイスが、コンテキスト情報をBSに対して、またはコア・ネットワークに対して信号で伝えることができるという知見に基づいている。さらに、他の情報は、アップリンク中に既に信号で伝えられている。特に、モバイル・デバイスは、チャネル品質情報(CQI:Channel Quality Information)と、再伝送スキームについての肯定応答と、スケジューリング要求とを基地局に対して信号で伝えることができ、そのようなシグナリング概念の詳細は、例えば、3Gパートナーシップ・プロジェクト(3GPP)技術仕様(TS:Technical Specification) 36.300 V11.0.0、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E−UTRAN)、Overall description」、2011年12月の中で見ることもできる。これが専用の制御チャネルの中のDLCにおいて全体的に起こり得ることは、さらなる知見である。さらに、これらのフィードバック・プロシージャは、それより上のレイヤとDLCとの間の情報転送をサポートしない可能性がある。さらに、フィードバック・プロシージャは、ハンドヘルドにおいてそのようなより高いレイヤの情報に対するアクセス権を有していない可能性もある。それゆえに、既存のDLCシグナリングは、より高いレイヤ(例えば、ロケーション、アプリケーションのステータスまたは必要条件)からBSへとコンテキスト情報を提供しない可能性がある。3GPP DLCは、ハンドヘルドからBSへとサービス品質(QoS)必要条件を信号で伝える方法を含んでいるが、そのようなシグナリングは、固定されたテーブルと、限られた空間のヘッダ・フィールドとに基づいている。そのような固定されたシグナリングは、効用関数または任意のさらなるコンテキスト情報をBSに対して信号で伝えるのに十分に柔軟性がない可能性がある。
【0009】
ネットワーク・レイヤにおいて、例えば、インターネット・プロトコル(IP:Internet Protocol)パケットにおいては、QoS−クラスを信号で伝えるヘッダ・フィールドが存在していることは、さらなる知見であり、これについては、K. Nichols、S. Blake、F. Baker、and D.Black、「Definition of the Differentiated Services Field (DS Field) in the IPv4 and IPv6 Headers」、IETF RFC 2474、1998年12月を参照されたい。しかしながら、このフィールドは、6ビットのサイズを有しており、また移動中の(in flight)パケットを分類するために使用される。アプリケーションの必要条件についてのすべての必要な情報と、このヘッダ・フィールドの内部のアプリケーション・トランザクションに対するデータ・パケットの分類とを搬送することは、可能でないこともある。それゆえに、モバイル・デバイスのアプリケーション・レイヤからBSにおけるDLCへと情報を直接に信号で伝えるメカニズムが、望ましい可能性がある。
【0010】
さらに、そのようなクロス・レイヤ・シグナリングを提供する1つのアプローチが、ディープ・パケット検査(DPI:Deep Packet Inspection)であることは、ある知見である。これについては、Nguyen, T.T.T.、Armitage, G.、「A Survey of Techniques for Internet Traffic Classification Using Machine Learning」、Communications Surveys & Tutorials、IEEE、2008年第4クオータを参照されたいが、BS待ち行列の中のユーザのパケットを検査することにより、アクセス・ネットワークは、DLCの上のレイヤから情報を抽出することができる。しかしながら、この方法は、非暗号化されたパケットだけに限定される可能性があり、高い処理とメモリ・コストとを追加する可能性があり、大きな通信遅延を追加する可能性があり、また限られた1組の情報をBSに対して提供するだけである。検査されたパケットを分類することに比べて、ハンドヘルドにおいてユーザのコンテキスト(例えば、そのロケーション、モビリティ経路、実行するアプリケーション、およびそれらのQoS必要条件)を直接に測定することは、より正確であり、効率的である可能性がある。実施形態は、ミドルウェアまたはハンドヘルドにおけるエンティティが、そのような情報にアクセスすることができ、また明示的にそれをBSに対して信号で伝えることができるという知見に基づいている。
【0011】
実施形態は、モバイル・トランシーバのより高いレイヤから基地局トランシーバのDLCへとコンテキスト情報を転送するためのクロス・レイヤ・シグナリングのアーキテクチャおよびプロトコルを提供することができる。それを行うために、実施形態は、アプリケーション・レイヤ・データ・フローのQoS必要条件をDLCに対して信号で伝えるメカニズムを利用することができる。このシグナリング・プロシージャは、例えば、アップリンクにおけるユーザのフィードバック通信へと、またはモバイルのフィードバック通信へと統合される可能性もある。さらに、プロシージャは、ダウンリンクについてのアプリケーション・レイヤ・フローにDLCデータ・フレームをマッピングすることができる。
【0012】
実施形態は、モバイル通信システムのための、またはモバイル通信システムにおけるモバイル・トランシーバについての装置を提供しており、すなわち、実施形態は、モバイル・トランシーバによって動作させられ、またはモバイル・トランシーバに含まれる前記装置を提供することができる。以下においては、装置は、移動局トランシーバ装置と称されることもあるであろう。さらに、モバイル通信ネットワークと、モバイル通信システムという用語は、同義語として使用されるであろう。モバイル通信システムは、例えば、ロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)ネットワーク、LTE−進化型(LTE−A)ネットワーク、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunication System)ネットワーク、すなわちUMTS地上波無線アクセス・ネットワーク(UTRAN:UMTS Terrestrial Radio Access network)、進化型−UTRAN(E−UTRAN)、移動通信用グローバル・システム(GSM:Global System for Mobile Communication)ネットワーク、すなわちGSMエボリューションのための機能強化されたデータ・レート(EDGE:Enhanced Data Rates for GSM Evolution)ネットワーク、GSM/EDGE無線アクセス・ネットワーク(GERAN:GSM/EDGE Radio Access Network)、一般には直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)ネットワークなど、または異なる規格、例えば、マイクロ波アクセスのためのワールドワイド・インターオペラビリティ(WIMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access)を有するモバイル通信ネットワークのような3GPP−標準化モバイル通信ネットワークのうちの1つに対応することができる。
【0013】
移動通信システムは、さらに、基地局トランシーバを備える。基地局トランシーバは、いくつかのモバイル・トランシーバと通信するように動作可能とすることができる。実施形態においては、モバイル通信システムは、モバイル・トランシーバと、基地局トランシーバとを備えることができ、そこでは、基地局トランシーバは、マクロ・セル、または例えばピコ・セル、メトロ・セルもしくはフェムト・セルのような小型セルを確立することができる。モバイル・トランシーバは、スマートフォン、セル電話、ラップトップ、ノートブック、パーソナル・コンピュータ、携帯型個人情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB:Universal Serial Bus)−スティック、自動車などに対応することができる。モバイル・トランシーバはまた、ハンドヘルドまたはモバイルと称されることもある。モバイル・トランシーバはまた、3GPP専門用語に従ってユーザ機器(UE:User Equipment)と称されることもある。
【0014】
基地局トランシーバは、ネットワークまたはシステムの固定された部分、または動かない部分に位置することができる。基地局トランシーバは、リモート無線ヘッド、伝送ポイント、アクセス・ポイント、マクロ・セル、小型セル、マイクロ・セル、フェムト・セル、メトロ・セルなどに対応することができる。基地局トランシーバは、有線ネットワークのワイヤレス・インターフェースとすることができ、このワイヤレス・インターフェースは、UEまたはモバイル・トランシーバに対する無線信号の伝送を可能にする。そのような無線信号は、例えば、3GPPによって標準化されるような、または一般に、1つまたは複数の上記でリストアップされたシステムに従うような無線信号に準拠することができる。したがって、基地局トランシーバは、ノードB(NodeB)、eノードB(eNB:eNodeB)、基地トランシーバ局(BTS:Base Transceiver Station)、アクセス・ポイント、リモート無線ヘッド、伝送ポイントなどに対応することができ、これらは、さらに、リモート・ユニットと中央ユニットとに細分される可能性がある。
【0015】
モバイル・トランシーバは、基地局トランシーバまたはセルに関連づけられることもある。セルという用語は、基地局トランシーバ、例えば、ノードB、eノードB、リモート無線ヘッド、伝送ポイントなどによって提供される無線サービスのカバレッジ・エリアのことを指す。基地局トランシーバは、1つまたは複数の周波数レイヤの上で複数のセルを動作させることができ、いくつかの実施形態においては、セルは、セクタに対応することができる。例えば、セクタは、セクタ・アンテナを使用して達成されることもあり、このセクタ・アンテナは、リモート・ユニットまたは基地局トランシーバの周囲の角度セクションを対象として含むための特性を提供している。いくつかの実施形態においては、基地局トランシーバは、例えば、それぞれ120°(3つのセルの場合)、60°(6つのセルの場合)のセクタを対象として含む3つのセル、または6つのセルを動作させることができる。基地局トランシーバは、複数のセクタ化されたアンテナを動作させることができる。
【0016】
実施形態においては、モバイル・トランシーバ装置は、モバイル・トランシーバの上で実行されるアプリケーションからのコンテキスト情報、モバイル・トランシーバの上で実行される運用システムからのコンテキスト情報、またはモバイル・トランシーバのハードウェア・ドライバもしくはハードウェアからのコンテキスト情報を抽出するための手段を備えている。コンテキスト情報は、アプリケーションの状態についての情報、および/またはモバイル・トランシーバの状態についての情報を含む。抽出するための手段は、抽出器、プロセッサ、マイクロプロセッサ、制御装置などに対応することができる。モバイル・トランシーバ装置は、基地局トランシーバとデータ・パケットを通信するための手段をさらに備え、そこでは、データ・パケットは、ペイロード・データ・パケットと、制御データ・パケットとを含む。通信するための手段は、例えば、上記でリストアップされた通信システムのうちの1つに従って、コミュニケータ、トランシーバ、トランスミッタ、レシーバなどに対応することができる。通信するための手段は、基地局トランシーバを通してデータ・サーバと、アプリケーションに関連するペイロード・データ・パケットを通信するように動作可能である。データ・サーバは、実際のアプリケーション・データを提供するサーバに対応することができ、それはまた、例えば、公衆データ・ネットワーク・ゲートウェイ(PDN−GW:Public Data Network GateWay)などのインターネット・ゲートウェイのようなモバイル通信システムのゲートウェイに対応することもできる。
【0017】
モバイル・トランシーバ装置は、コンテキスト情報を基地局トランシーバに対して提供するための手段をさらに備えており、そこでは、コンテキスト情報は、ペイロード・データ・パケットに、または制御データ・パケットに含まれる。それゆえに、実施形態は、異なるシグナリングと分類アプローチとを利用することができる。いくつかの実施形態においては、モバイル・デバイスと、基地局との間の専用の制御チャネルが、使用されることもある。すなわち、モバイル・トランシーバは、必要条件と分類規則とをBSに対して送信することができ、またBSは、この情報をダウンリンクDLCフレームにマッピングすることができる。言い換えれば、いくつかの実施形態においては、レイヤ2シグナリング、またはレイヤ3シグナリングを、制御データ・パケットの観点から使用して、モバイル・トランシーバ装置からBSへとコンテキスト情報を提供することができる。3GPPの観点から、例えば、シグナリング無線ベアラ(SRB:Signaling Radio Bearer)を使用して、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)プロトコルの一部分としてコンテキスト情報を搬送することができる。
【0018】
それゆえに、実施形態はまた、モバイル通信システムのための、またはモバイル通信システムにおける基地局トランシーバについての対応する装置を提供しており、このモバイル通信システムは、さらにモバイル・トランシーバを備える。すなわち、実施形態は、基地局トランシーバによって動作させられ、または基地局トランシーバに含まれる前記装置を提供することができ、この基地局トランシーバは、1つまたは複数の上記でリストアップされた通信システムに準拠したものとすることができる。以下では、本装置はまた、基地局トランシーバ装置と呼ばれることもある。基地局トランシーバ装置は、制御データ・パケットと、ペイロード・データ・パケットとを受信するための手段を備えている。受信するための手段は、1つまたは複数の上記でリストアップされたシステムに準拠したレシーバまたはトランシーバに対応することができる。ペイロード・データ・パケットは、モバイル・トランシーバの上で実行されているアプリケーションに関連づけられる。基地局トランシーバ装置は、制御データ・パケットから、またはペイロード・データ・パケットから、アプリケーションに関連するコンテキスト情報を取得するための手段をさらに備える。取得するための手段は、取得器(obtainer)、プロセッサ、マイクロプロセッサ、制御装置などに対応することができる。
【0019】
さらに、基地局トランシーバ装置は、コンテキスト情報に基づいてデータ・パケットの伝送のためにモバイル・トランシーバをスケジュールするための手段を備えることができる。スケジュールするための手段は、スケジューラ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、制御装置などに対応することができる。スケジューリングという用語は、データ・パケットの送信または受信のための時間、周波数、電力、コードまたは空間リソースなどの無線リソースの割当てとして理解されるべきである。それは、アップリンク、ダウンリンク、またはそれらの両方のことを指す可能性がある。
【0020】
以下では、コンテキスト情報は、アプリケーションのサービス品質必要条件についての情報と、アプリケーションに関連するデータ・パケットの優先順位情報と、アプリケーションの複数のデータ・パケットの統一性についての情報と、アプリケーションの負荷需要についての情報と、アプリケーションの遅延またはエラー・レートの制約条件についての情報と、モバイル・トランシーバにおけるウィンドウ状態についての情報と、モバイル・トランシーバのメモリ消費についての情報と、モバイル・トランシーバの上で実行されるアプリケーションのプロセッサ使用量についての情報と、モバイル・トランシーバの現在のロケーション、速度、方向、またはモバイル・トランシーバから別のモバイル・トランシーバへの距離についての情報とのグループのうちの1つまたは複数の要素を含むように仮定される。コンテキスト情報、またはトランザクション・データ・パケットは、1つまたは複数のデータ・パケットと、基地局トランシーバにおけるスケジューリング待ち行列との間のマッピング情報を含むことができる。
【0021】
言い換えれば、コンテキスト情報は、アプリケーションについての情報を含むことができ、例えば、コンテキスト情報は、ユーザに焦点を合わせたものについての、すなわちアプリケーションが、現在、フォアグラウンドに表示されているか、またはバックグラウンドに表示されているかについての情報、アプリケーションのタイプについての、すなわち、ウェブ・ブラウジング、双方向性、ストリーミング、対話形式などについての情報、要求のタイプについての、すなわち、要求されたデータが、単にプリフェッチであるか、または要求されたデータが、直ちに表示されるべきであるかについての情報、ある種の遅延またはQOSの必要条件についての情報などを含むことができる。
【0022】
言い換えれば、コンテキスト情報は、アプリケーションごとに提供される可能性がある。例えば、2つのストリーミング・アプリケーションが、モバイル・トランシーバの上で並列に実行されている。先行技術によれば、両方のアプリケーションのデータは、より低いレイヤにおけるストリーミング・トランスポート・チャネルにマッピングされることになる。それゆえに、先行技術によれば、2つのアプリケーションからのデータは、スケジューラによって区別されないことになる。実施形態によれば、コンテキスト情報は、別々にアプリケーションのために使用可能であることができる。例えば、1つのアプリケーションのコンテキスト情報は、それが、フォアグラウンドに表示されことを示すことができ、他のアプリケーションのコンテキスト情報は、それが、バックグラウンドにあることを示すことができる。それゆえに、実施形態は、これら2つのアプリケーションと、それらのデータとが、スケジューラによって区別される可能性があり、またフォアグラウンドで実行されるアプリケーションが、優先される可能性があるという利点を提供することができる。それゆえに、別個の、または差別化するコンテキスト情報は、同じタイプのアプリケーション、例えば、2つのウェブ・ブラウジング・セッションのためにさえも提供されることもある。アプリケーションが、それが、フォアグラウンドにあるか、またはバックグラウンドにあるかについての情報を有していないこともあるので、コンテキスト情報は、同様に、運用システムから抽出される可能性がある。この情報は、アプリケーションの状態を決定もしており、モバイル・トランシーバの運用システムのウィンドウ・マネージャから抽出されることもある。
【0023】
データ・パケットの統一性は、情報が、いくつかのデータ・パケットが一緒にまとまっており、例えば、アプリケーションが画像を表示するアプリケーションに対応する可能性があり、また画像データが複数のデータ・パケットに含まれることを示すことを指すことができる。そのときには、コンテキスト情報は、どれだけ多くのデータ・パケットが、1つの画像を指すかを示すことができる。この情報は、スケジューラによって考慮に入れられることもある。言い換えれば、コンテキスト情報から、スケジューラは、データ・パケットの間のある種の関係を決定することができ、例えば、ユーザは、その全体の画像が表示される場合に満足させられるだけである可能性があり、それゆえに、画像を指すすべてのパケットは、適切な時間間隔においてモバイル・トランシーバに送信されるべきである。それと共に、スケジューラは、前もって計画することが可能にされ得る。
【0024】
実施形態においては、抽出するための手段は、モバイル・トランシーバの運用システムから、またはモバイル・トランシーバの上で実行されているアプリケーションから、コンテキスト情報を抽出するように適合される可能性がある。言い換えれば、モバイル・トランシーバの運用システムは、例えば、アプリケーションの状態情報(フォアグラウンド/バックグラウンド、アクティブ/一時停止された、スタンバイなど)として、コンテキスト情報を提供することができる。別のオプションは、アプリケーションそれ自体が、コンテキスト情報を提供することである。
【0025】
それゆえに、上記の説明に従って、基地局トランシーバ装置は、レイヤ2またはレイヤ3を、例えば、RRC、制御データ・パケットを経由して、コンテキスト情報を受信することができる。他の実施形態においては、アプリケーション・レイヤにおけるシグナリングが、例えば、IPパケットの観点から、使用されることもある。基地局トランシーバのIPアドレスが、モバイル・トランシーバ装置において知られていないこともあるので、エニーキャスト・メカニズムが、使用される可能性がある。それゆえに、データ・パケットは、エニーキャスト・データ・パケットを使用して基地局に対してアドレス指定される可能性があり、またこのエニーキャスト・データ・パケットは、コンテキスト情報を抽出する基地局トランシーバ装置によって解釈される。次いで、コンテキスト情報は、上記の説明に従って、基地局トランシーバ装置において使用される可能性がある。エニーキャストという用語は、ネットワークにおけるメカニズムとして理解され、ここでは、それに従ったデータ・パケットが、任意の次のノードによって解釈され、この任意の次のノードは、データ・パケットを受信する。データ・パケットの中のエニーキャスト表示は、基地局トランシーバが、前記データ・パケットを受信する第1のノードであるので、パケットが、解釈されるように意味されていることを基地局トランシーバ装置に伝えることができる。エニーキャストは、プロトコル・スタックの中の異なるレイヤの上で使用される可能性がある。例えば、エニーキャスト・データ・パケットは、基地局トランシーバについてのエニーキャスト表示を有するIPデータ・パケットに対応することができる。その表示は、例えば、IPパケットのヘッダの中のタイプ・オブ・サービス(TOS:Type Of Service)フィールドに含まれることもある。他の実施形態においては、ユニバーサル・データグラム・プロトコル(UDP:Universal Datagram Protocol)が、使用される可能性があり、またエニーキャスト表示は、UDPヘッダにおいて与えられるある種のポートに、例えば、ある種の宛先ポートに対応することもある。
【0026】
さらなる実施形態においては、モバイル・トランシーバ装置は、トランザクション・データ・パケットをトランザクション・プロトコルの一部分として構成するための手段を備えることができる。トランザクション・データ・パケットは、コンテキスト情報を含む。いくつかの実施形態においては、トランザクション・データ・パケットは、上記の説明に従って、エニーキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用して基地局トランシーバに伝えられる。トランザクション・データ・パケット、またはコンテキスト情報は、リンク・レイヤ・プロトコル制御データ・パケットを使用して基地局トランシーバに伝えられる可能性がある。次いで、トランザクション・プロトコルは、レイヤ1または物理レイヤ(PHY)、レイヤ2、例えば、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)、無線リンク制御など、低位のプロトコル・レイヤ・サービスを使用することができる。さらに、トランザクション・プロトコルは、ペイロード・データ・パケット伝送のためにいわゆるユーザ・プレーン・プロトコルを使用することができる。それゆえに、トランザクション・プロトコルはまた、UDP、IP、パケット・データ・コンバージェンシィ・プロトコル(PDCP:packet Data Convergency Protocol)を使用することもできる。トランザクション・プロトコルは、制御プレーンを使用することができ、またそれは、例えば、RRCの一部分とすることができる。
【0027】
さらなる実施形態においては、トランザクション・データ・パケットは、例えば、IPを使用して、ユニキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用して、データ・サーバに伝えられる。言い換えれば、次いで、トランザクション・データ・パケットは、例えば、IPを経由して、ユニキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用してデータ・サーバから基地局において受信されることもある。それゆえに、コンテキスト情報は、基地局トランシーバに対して直接に伝えられないが、データ・サーバを通して間接的に伝えられることもある。別の実施形態においては、制御データ・パケットを使用して、モバイル・トランシーバ装置から基地局トランシーバ装置へとコンテキスト情報を信号で伝えることができる。それゆえに、トランザクション・データ・パケット、またはコンテキスト情報は、リンク・レイヤ・プロトコル制御データ・パケットを使用して、モバイル・トランシーバから受信されることもある。次いで、基地局トランシーバ装置は、データ・サーバに対して、例えば、インターネット・ゲートウェイに対して分類情報を転送することができる。次いで、コンテキスト情報は、データ・サーバから受信される可能性があり、このデータ・サーバには、基地局トランシーバからの分類情報が提供される。次いで、コンテキスト情報は、データ・サーバから受信されるデータ・パケットの中のタグに対応することができる。分類情報は、それぞれ基地局トランシーバにおけるスケジューラ待ち行列についての、基地局トランシーバのスケジューラにおけるトランザクション・コンテキストについてのQoS設定または必要条件を含むことができる。
【0028】
それゆえに、ゲートウェイまたはデータ・サーバは、それに応じてダウンリンク・パケットを分類し、またそれらにタグ付けして、基地局トランシーバに対してマッピング情報を提供することができる。さらに別の実施形態においては、モバイル・トランシーバ装置は、データ・サーバに対して直接にコンテキスト情報のIPシグナリングを実行する。次いで、分類が、データ・サーバにおいて実行される可能性があるが、タグに追加して、データ・サーバは、アプリケーション・フローのQoS必要条件を基地局トランシーバに対して信号で伝えることができる。コンテキスト情報、またはトランザクション・データ・パケットは、1つまたは複数のデータ・パケットと、基地局トランシーバにおけるスケジューリング待ち行列との間のマッピング情報を含むことができる。
【0029】
基地局トランシーバ装置の実施形態において、スケジュールするための手段は、複数のトランザクションについての伝送シーケンスを決定するように動作可能である可能性がある。複数のトランザクションは、1つまたは複数のモバイル・トランシーバによって実行されている複数のアプリケーションを指すことができる。トランザクションは、コンテキスト情報が統一性を示す複数のデータ・パケットに対応することができる。トランザクションのシーケンスの順序は、効用関数に基づいたものとすることができ、この効用関数は、トランザクションの完了時間に依存する可能性があり、このトランザクションの完了時間は、コンテキスト情報に基づいて決定される。
【0030】
言い換えれば、コンテキスト情報は、効用関数を使用して評価されることもある。効用関数は、ユーザ満足度についての尺度であり、またそれゆえにトランザクションの完了時間に依存する可能性がある。例えば、ウェブ・ページのデータ・パケットを含むトランザクションでは、ウェブ・ブラウジング・アプリケーションは、完了時間が、例えば、2秒とすることができることを要求している。言い換えれば、完全なユーザ満足度は、ウェブ・ページの完全な内容が、2秒未満に送信されるときに、達成される可能性がある。そうでなければ、ユーザ満足度と、それに伴う効用関数は、低下することになる。トランザクションのシーケンスは、実施形態においては、異なるやり方で決定される可能性がある。いくつかの実施形態においては、伝送シーケンスは、トランザクションの複数の異なるシーケンスの繰り返しから決定される。複数の異なるシーケンスは、複数のトランザクションの異なる置換に対応する可能性がある。スケジュールするための手段は、複数の異なるシーケンスの各シーケンスについて効用関数を決定するように適合される可能性があり、またそれは、さらに、最大合計の効用関数に対応する複数の異なるシーケンスから伝送シーケンスを選択するように適合される可能性がある。言い換えれば、実施形態においては、スケジューリングの決定は、最適化されたユーザ満足度または効用関数に基づいて決定されることもあり、ここでは最適化は、限られた1組のシーケンスに基づいたものとすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、実際の伝送シーケンス、またはスケジューリングの決定は、さらに、特定のユーザの無線状態に基づいたものとすることができ、例えば、スケジュールするための手段は、トランザクションごとにサポート可能なデータ・レートに基づいて伝送シーケンスをさらに修正するように適合される可能性がある。他の実施形態においては、他の公正判断基準、あるいはレートまたはスループットの判断基準が、考慮されることもある。
【0032】
したがって、実施形態は、データ・サーバのための、またはデータ・サーバにおける装置を提供し、すなわち、実施形態は、データ・サーバによって動作させられ、またはデータ・サーバに含まれる前記装置を提供することができる。以下では、装置は、データ・サーバ装置と呼ばれることもある。データ・サーバは、上記の説明に従って、モバイル通信システムを通してモバイル・トランシーバに対して、モバイル・トランシーバの上で実行されているアプリケーションに関連するデータ・パケットを伝える。データ・サーバ装置は、基地局トランシーバから受信される分類情報に基づいてデータ・パケットについてのコンテキスト情報を導き出すための手段を備える。導き出すための手段は、導出器(deriver)、プロセッサ、マイクロプロセッサ、制御装置などに対応する可能性がある。データ・サーバ装置は、モバイル通信システムに対してデータ・パケットと一緒にコンテキスト情報を送信するための手段をさらに備える。送信するための手段は、トランスミッタに、例えば、基地局トランシーバと通信するためのインターフェース、例えば、イーサネット・インターフェースに対応することができる。いくつかの実施形態においては、データ・サーバと、基地局との間のワイヤレス・インターフェースは、例えば、データ・サーバが、別のモバイル・トランシーバに対応するときに、考えることができる。
【0033】
それが、上記で説明されているように、データ・サーバ装置は、データ・パケットを構成するための手段をさらに備えることができる。構成するための手段は、構成器(composer)、プロセッサ、マイクロプロセッサ、制御装置などに対応することができる。データ・パケットは、上記で説明されるものに従って、アプリケーション・データ・パケットと、基地局トランシーバにおけるスケジューリング待ち行列に対するデータ・パケットについてのマッピング情報を有するタグとを含むことができる。構成するための手段は、アプリケーション・データ・パケットと、コンテキスト情報とを含むトランザクション・データ・パケットを構成し、コンテキスト情報を用いてデータ・パケット・ヘッダを構成し、またはアプリケーションのサービス品質必要条件を含むデータ・パケットを構成するように動作可能とすることができる。
【0034】
実施形態は、それに従った方法をさらに提供することができる。すなわち、実施形態は、モバイル通信システムにおけるモバイル・トランシーバについての方法を提供することができる。モバイル通信システムは、基地局トランシーバを備える。本方法は、モバイル・トランシーバの上で実行されているアプリケーションからのコンテキスト情報、モバイル・トランシーバの上で実行されている運用システムからのコンテキスト情報、またはモバイル・トランシーバのハードウェア・ドライバ、またはハードウェアからのコンテキスト情報を抽出するステップを含む。コンテキスト情報は、アプリケーションの状態についての情報、および/またはモバイル・トランシーバの状態についての情報を含む。本方法は、基地局トランシーバとデータ・パケットを通信するステップをさらに含み、そこでは、データ・パケットは、ペイロード・データ・パケットと、制御データ・パケットとを含む。本方法は、基地局トランシーバを通してデータ・サーバと、アプリケーションに関連するペイロード・データ・パケットを通信するステップをさらに含む。本方法は、基地局トランシーバに対してコンテキスト情報を提供するステップをさらに含み、そこではコンテキスト情報は、ペイロード・データ・パケットに、または制御データ・パケットに含まれる。
【0035】
実施形態は、モバイル通信システムにおいて基地局トランシーバのための方法をさらに提供している。モバイル通信システムは、モバイル・トランシーバをさらに備える。本方法は、制御データ・パケットと、ペイロード・データ・パケットとを受信するステップを含み、そこでは、ペイロード・データ・パケットは、モバイル・トランシーバの上で実行されているアプリケーションに関連づけられる。本方法は、制御データ・パケットから、またはペイロード・データ・パケットからアプリケーションに関連するデータ・パケットについてのコンテキスト情報を取得するステップをさらに含む。本方法は、コンテキスト情報に基づいてデータ・パケットの伝送のためにモバイル・トランシーバをスケジュールするステップをさらに含む。
【0036】
実施形態は、さらに、データ・サーバのための方法を提供している。データ・サーバは、モバイル通信システムを通してモバイル・トランシーバに対して、モバイル・トランシーバの上で実行されているアプリケーションに関連するデータ・パケットを通信する。本方法は、基地局トランシーバから受信される分類情報に基づいてデータ・パケットについてのコンテキスト情報を導き出すステップと、モバイル通信システムに対してデータ・パケットと一緒にコンテキスト情報を送信するステップとを含む。
【0037】
実施形態は、さらに、上記で説明されたモバイル・トランシーバ装置を備えるモバイル・トランシーバ、上記で説明された基地局トランシーバ装置を備える基地局トランシーバ、上記で説明されたデータ・サーバ装置を備えるデータ・サーバ、および/またはモバイル・トランシーバ、基地局トランシーバおよび/またはデータ・サーバを備えるモバイル通信システムを提供することができる。
【0038】
実施形態により、無線アクセス・ネットワークは、より高位のレイヤからのコンテキスト情報を活用することができるようになることもある。ユーザと、ハンドヘルドと、その環境とについてのこの情報を使用して、ユーザの必要条件に従ってワイヤレス・チャネル・リソースを効率的に割り当てることができる。QoS差別化のための既存のシグナリングとは違って、提供されたコンテキスト情報は、QoSクラスの小型の組を超えることができる。データ・レートと遅延との中のアプリケーション・レイヤ・フローの固有の効用関数を信号で伝えることにより、実施形態は、現代のスマートフォン・アプリケーションの異機種のQoS必要条件をBSに対して搬送することができる。同じアプリケーションの異なる必要条件でさえも、取り込まれることもある。ユーザのロケーション、その以前の、または計画されたモビリティ経路、スクリーンのフォアグラウンドの中のアプリケーション、デバイスの仕様(例えば、スクリーン・サイズ)についてのさらなる情報は、実施形態が無線アクセス・ネットワークに対して提供することができる事態を補完することができる。
【0039】
実施形態においては、コンテキストについて認識していることは、ユーザのQoSを犠牲にすることなくワイヤレス・ネットワークのトラフィック負荷を低減させ、複数のセルの上でシームレスなQoSをモバイル・ユーザに対してさえも提供し、またモバイル・ユーザのためにデータ・レートと公正さとを増大させることができるリソース割付概念を可能にすることができる。
【0040】
長期リソース割当ての利点についてのいくつかの詳細は、H. Abou−zeid、S. Valentin、and H. Hassanein、「Context−Aware Resource Allocation for Media Streaming: Exploiting Mobility and Application−Layer Predictions」、Proc. Capacity Sharing Workshop、2011年10月と、EP 11306323.4との中で、見ることもできる。言い換えれば、コンテキスト・シグナリングを可能にする実施形態は、モバイル・ユーザのためのサービスを実質的に改善し、また等しいQoSで、より多くのユーザにサービスする強力な新しいリソース割付アプローチを適用する前提条件である可能性がある。LTEのDLCにおける現在のQoSシグナリングに比べて、実施形態は、大きな情報を無線アクセス・ネットワークに対して提供することができる。QoSクラスに加えて、効用関数と、さらなるコンテキスト情報が、提供される可能性がある。
【0041】
パケット検査(PI:Packet Inspection)に比べると、実施形態は、暗号化されたデータ・ストリームのためにさえも、コンテキスト情報を提供することができる。PIは、メモリと処理電力とに対する高い努力を追加する可能性があるので、実施形態は、一部のハードウェア・コストを節約することができる。さらに、実施形態は、低い、一定の遅延を保証することができるが、この低い、一定の遅延は、PIに伴う場合ではない可能性もある。いくつかの実施形態は、DLC−ベースのシグナリング・アプローチを使用することができるが、他の実施形態は、ユーザ・プレーン・シグナリングを使用することができ、このユーザ・プレーン・シグナリングは、標準化を必要としないこともある。それゆえに、実施形態は、全体的に、ハンドヘルド・ミドルウェアとして、また無線アクセス・ネットワークにおいて実行されるソフトウェアとして実施されることもある。これにより、実施形態を、既存のウェブ・インフラストラクチャ(例えば、アンドロイド・マーケット、または他のアプリケーション・ストア)を経由して簡単に展開し、またアップデートすることができるようになる可能性もある。
【0042】
いくつかの実施形態は、本方法を実行するための装置の内部にインストールされたデジタル制御回路を備える。そのようなデジタル制御回路は、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)は、それに応じてプログラムされる必要がある。それゆえに、コンピュータ・プログラムが、コンピュータまたはデジタル・プロセッサの上で実行されるときに、さらなる実施形態はまた、本方法の実施形態を実行するためのプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラムを提供してもいる。
【0043】
装置および/または方法のいくつかの実施形態は、例だけとして、また添付図面を参照して、以下で説明されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0045】
様々な例示の実施形態が、次に、いくつかの例示の実施形態が示されている添付の図面を参照して、もっと十分に説明されることになる。図面においては、線、レイヤ、および/または領域の厚みは、明確にするために誇張されていることもある。
【0046】
それに応じて、例示の実施形態は、様々な修正形態および代替的な形態とすることができるが、その実施形態は、図面においては例として示されており、また本明細書において、詳細に説明されることになる。しかしながら、例示の実施形態を開示された特定の形態だけに限定する意図は、存在していないが、反対に、例示の実施形態は、本発明の範囲内に含まれるすべての修正形態、等化形態、および代替形態を対象として含むべきであることを理解すべきである。同様な番号は、図面の説明の全体を通して同様な、または類似した要素のことを指す。
【0047】
ある要素が、別の要素に対して「接続され」ている、または「結合され」ていると称されるときに、それは、他の要素に対して直接に接続され、または結合される可能性もあり、あるいは介在する要素が、存在していてもよいことが、理解されるであろう。対照的に、ある要素が、別の要素に対して「直接に接続され」ている、または「直接に結合され」ていると称されるときに、介在する要素は、存在していない。要素の間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様なやり方(例えば、「その間で」に対する「直接にその間で」、「隣接して」に対する「直接に隣接して」など)で解釈されるべきである。
【0048】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためであり、例示の実施形態について限定することを意図してはいない。本明細書において使用される場合、単数形の形式「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が、明らかにそうでない場合を示していない限り、同様に複数形の形式を含むことを意図している。用語「備える/含む(comprises)」、「備えている/含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」は、本明細書において使用されるときに、述べられた特徴、整数、ステップ、オペレーション、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、オペレーション、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0049】
その他の方法で規定されていない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示の実施形態が属する当技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。用語は、例えば、一般的に使用される辞書において規定されるこれらの用語は、関連する技術の文脈でそれらの意味と整合している意味を有するものと解釈されるべきであり、また本明細書においてそのように明示的に規定されていない限り、理想化された、または過度に形式的な意味では解釈されないことになることが、さらに理解されるであろう。
【0050】
図1は、モバイル・トランシーバ100のための装置10と、基地局トランシーバ200のための装置20と、データ・サーバ300のための装置30とについての一実施形態を示すものである。
図1は、モバイル通信システム500についてのモバイル・トランシーバ100のための装置10を最上部に示している。実施形態においては、モバイル通信システム500のシステムは、基地局トランシーバ200を備えており、この基地局トランシーバは、
図1の中央に示されている。基地局トランシーバ200は、データ・サーバ300に結合され、このデータ・サーバは、
図1の最下部に示されており、これらのすべては、後で詳細に説明されるであろう。
【0051】
モバイル・トランシーバ装置10は、モバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションからのコンテキスト情報、モバイル・トランシーバ100の上で実行されている運用システムからのコンテキスト情報、またはモバイル・トランシーバ100のハードウェア・ドライバもしくはハードウェアからのコンテキスト情報を抽出するための手段12を備えており、コンテキスト情報は、アプリケーションの状態についての情報、および/またはモバイル・トランシーバ100の状態についての情報を含む。モバイル・トランシーバ装置10は、基地局トランシーバ200とデータ・パケットを通信するための手段14をさらに備えており、そこでは、データ・パケットは、ペイロード・データ・パケットと、制御データ・パケットとを含む。通信するための手段14は、基地局トランシーバ200を通してデータ・サーバ300とアプリケーションに関連するペイロード・データ・パケットを通信するように動作可能である。モバイル・トランシーバ装置は、基地局トランシーバ200に対してコンテキスト情報を提供するための手段16をさらに備える。コンテキスト情報は、ペイロード・データ・パケットに、または制御データ・パケットに含まれる。
図1から分かる可能性があるように、抽出するための手段12と、通信するための手段14と、提供するための手段16とは、互いに結合される。
【0052】
本実施形態における通信ネットワークは、進化型パケット・コア(EPC:Evolved Packet Core)を有する第3世代パートナーシップ・プロジェクト・ロング・ターム・エボリューション(3GPP LTE:3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution)に対応する。
【0053】
図1は、さらに、基地局トランシーバ200のための装置20の一実施形態を示すものである。基地局トランシーバ装置20は、制御データ・パケットと、ペイロード・データ・パケットとを受信するための手段22を備える。ペイロード・データ・パケットは、モバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションに関連づけられる。基地局トランシーバ装置は、制御データ・パケットからの、またはペイロード・データ・パケットからのアプリケーションに関連するコンテキスト情報を取得するための手段24と、コンテキスト情報に基づいてデータ・パケットの伝送のためにモバイル・トランシーバ100をスケジュールするための手段26とをさらに備える。
図1に示されるように、受信するための手段22と、取得するための手段24と、スケジュールするための手段26とは、互いに結合される。
【0054】
さらに、
図1は、データ・サーバ300のための装置30の一実施形態を示すものであり、このデータ・サーバは、モバイル通信システム500を通してモバイル・トランシーバ100に対してモバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションに関連するデータ・パケットを通信する。データ・サーバ装置30は、基地局トランシーバ200から受信される分類情報に基づいてデータ・パケットについてのコンテキスト情報を導き出すための手段32と、モバイル通信システム500に対してデータ・パケットと一緒にコンテキスト情報を送信するための手段34とを備える。導き出すための手段32と、送信するための手段34とは、互いに結合される。
【0055】
以下では、3GPP LTEセルラー方式無線アクセス・ネットワーク500の例のためのコンテキスト情報のクロス・レイヤ・シグナリングのための一実施形態が、説明されることになる。
図2は、モバイル・デバイス100の実施形態と、基地局200の実施形態とを有する通信ネットワーク500を示すものである。
図2は、コンテキスト認識リソース割付(CARA:Context−Aware Resource Allocation)フレームワークのそれぞれのコンポーネントを有するコンテンツ認識リソース割付システム・アーキテクチャを示すものであり、より多くの詳細は、EP 11305685において見ることができる。
図2は、シグナリングのための関連のあるコンポーネントを示すものである。
【0056】
実施形態についての以下の説明においては、コンテキスト情報は、アプリケーションのサービス品質必要条件についての情報、アプリケーションに関連するデータ・パケットの優先順位情報、アプリケーションの複数のデータ・パケットの統一性についての情報、アプリケーションの負荷需要についての情報、アプリケーションの遅延またはエラー・レートの制約条件についての情報、ウィンドウ状態についての情報、メモリ消費についての情報、モバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションのプロセッサ使用量についての情報、モバイル・トランシーバ100の現在のロケーション、速度、方向、1つまたは複数のデータ・パケットとスケジューリング待ち行列との間のマッピング情報、あるいは別のモバイル・トランシーバに対するモバイル・トランシーバ100の距離についての情報のグループのうちの1つまたは複数の要素を含むことが、仮定される。
【0057】
モバイル・トランシーバ100の側において、
図2は、いくつかのアプリケーション(Apps:applications)102を示しており、これらのアプリケーションは、モバイル端末の上で実行される。アプリケーション102は、プラットフォーム・ライブラリ104と相互作用し、このプラットフォーム・ライブラリは、モバイル・トランシーバ100のオペレーティング・システム106と相互作用する。アプリケーション102、プラットフォーム・ライブラリ104、および/またはオペレーティング・システム106は、コンテキスト情報をモバイル・トランシーバ装置10に対して提供することができ、このモバイル・トランシーバ装置は、コンテキスト・シグナリングを用いてCARAトランザクション・マネージャ10として実施される。オペレーティング・システム106、ならびにトランザクション・マネージャ10は、ワイヤレス・ネットワーク108、そのより低位のレイヤとそれぞれ相互作用する。本実施形態においては、ワイヤレス・ネットワーク108は、LTEレイヤ2またはIP−サービスの観点からトランスポート・レイヤ・サービスを提供することができる。
【0058】
基地局200は、基地局トランシーバ装置20を備えており、この基地局トランシーバ装置は、コンテキスト使用量および/またはシグナリングを有するCARAトランザクション・スケジューラ20として実施される。さらに、トランザクション・スケジューラ20は、スケジューリング待ち行列202と相互作用し、このスケジューリング待ち行列の中に異なるトランザクションのためのデータ・バッファが、位置している。トランザクション・スケジューラ20、ならびにスケジューリング待ち行列202は、ワイヤレス・ネットワーク204、そのより低位のレイヤとそれぞれ相互作用する。モバイル・トランシーバ100と同様に、ワイヤレス・ネットワーク204は、トランザクション・スケジューラ20と、スケジューリング待ち行列202とに対してLTEレイヤ2またはIPの観点からトランスポート・レイヤ・サービスを提供することができる。スケジューリング待ち行列202は、インターネット300と通信し、または相互作用し、このインターネットは、本実施形態において、データ・サーバ300も備える。
図2から分かるように、2つのワイヤレス・ネットワーク・エンティティ108および204は、ユーザ・データ、すなわち、ペイロード・データ・パケットと、信号データ、すなわち、制御データ・パケットとを交換する。モバイル・トランシーバ側100の上のトランザクション・マネージャ10と、基地局トランシーバ200側の上のトランザクション・スケジューラ20との間で、コンテキスト・プロトコルが、例えば、トランザクション・プロトコルが、確立される。
【0059】
本実施形態においては、トランザクションは、DLCにおいてアプリケーション・レイヤ・データ・フローを表すデータ・ユニットまたはデータ・パケットと考えることができる。トランザクションは、結果が、ユーザ(すなわち、そのウェブ・ページに含まれるすべての要素)に配信されるまで、アプリケーション・レイヤにおけるユーザの第1の要求からのすべてのDLCフレーム(例えば、ウェブ・ページの負荷)を含むことができる。トランザクションは、アプリケーションのQoS必要条件についての情報と、そのトランザクションに対するリンク・レイヤ・フレームのマッピングとを含むことができる。この情報は、ハンドヘルド・エージェントの中で、すなわち、
図2の中のCARAトランザクション・マネージャ10の中で収集される。多くの場合には、トランザクション・マネージャ10は、アプリケーション、プラットフォーム・ライブラリ(例えば、アンドロイド・アプリケーション・プログラミング・インターフェース、API)またはオペレーティング・システム(例えば、リナックス・カーネル(Linux Kernel))から必要条件についてのコンテキスト情報を抽出することができる。トランザクションに属するダウンリンク・データ・パケットの識別情報は、多くの場合に、IPヘッダの中の5−タプルと、「開始」と「終了」とを示すトランスポート・レイヤのストリーム位置とを用いて達成される可能性がある。
【0060】
基地局トランシーバ200側の上では、スケジュールするための手段26は、複数のトランザクションについての伝送シーケンスを決定するように動作可能である。複数のトランザクションは、1つまたは複数のモバイル・トランシーバ100によって実行されている複数のアプリケーションを指す。それゆえに、トランザクションは、コンテキスト情報が統一性を示す複数のデータ・パケットに対応する。これはまた、複数のスケジューリング待ち行列202によって
図2の中で示されてもおり、スケジューリング待ち行列のおのおのは、1つの伝送のためのペイロード・データ・パケットを保持し、またはバッファすることができる。
【0061】
トランザクション・マネージャ10は、その見なされたアプリケーションによって使用中のネットワーク・ソケットからこの情報を抽出することができる。アプリケーション・データをフローに対してマッピングするトランザクションを使用するための一例が、
図3に与えられる。
図3は、一実施形態における2つのトランザクション、「トランザクション1」と「トランザクション2」とを示すものである。さらに、
図3は、異なるUDPと伝送制御プロトコル(TCP:Transmission Control Protocol)接続「UDP 1」、「TCP 1」、「TCP 2」、「TCP 3」を示している。アプリケーションに応じて、複数のトランスポート・レイヤ接続(例えば、TCPを使用は、同じトランザクション(例えば、トランザクション1)に属することもあり、あるいは1つの接続は、複数のトランザクション(例えば、TCP1)を含むことができる。各トランスポート・レイヤ・セッションは、BS 200においてスケジュールされるIPパケットとDLCフレームとを含む。
【0062】
トランザクションのQoS必要条件は、効用関数によって表されることもある。例えば、ウェブ・ブラウザの内部のウェブ・サーフィン・セッションに属するトランザクションでは、ユーザは、ウェブ・ページが、それを要求した後にすぐに示されるときに満足する。これは、
図4に示されるような遅延に依存した効用関数として表現されることもあり、この
図4は、その完了時間、すなわち、ユーザがその結果を知ることができる時間の観点からトランザクションのユーティリティについて述べている。CARAトランザクション・スケジューラは、そのようなコンテキスト情報を活用して、セル当たりのすべてのユーザについてのQoSを実質的に増大させることができ、これについては、M. Proebster等を参照されたい。
図4は、効用関数U(t)対時間tを示すものである。効用関数は、変化する通信遅延tについてのユーザの満足度を表す。開始時刻t
startにおいて、効用関数は、その最大値にあり、この最大値は、
図4においては、1に正規化されている。ユーザが、トランザクションを待つことを期待することができる期待時間、すなわち、ある時間の後に、U(t)は、少しだけ減少しているが、たいしたことはない。期待時間の後に、U(t)は、それが、変曲時間t
inflの後に、その最大減少レートに達するまでより高速な減少を開始する。スケジュールされるべきトランザクションのシーケンスの順序は、そのときには、それらのそれぞれの効用関数に基づいたものとすることができる。
【0063】
伝送シーケンスは、例えば、トランザクションの複数の異なるシーケンスの繰り返しから決定される可能性がある。複数の異なるシーケンスは、複数のトランザクションの異なる置換に対応する。基地局トランシーバ装置20においては、スケジュールするための手段26は、複数の異なるシーケンスのおのおのについて、合計の効用関数を決定するように動作可能であり、効用関数の最大合計に対応する複数の異なるシーケンスから伝送シーケンスを選択するようにさらに動作可能である。スケジュールするための手段26は、さらに、トランザクションごとにサポート可能なデータ・レートに基づいて伝送シーケンスを修正するように動作可能であることもあり、このサポート可能なデータ・レートは、例えば、CQIの観点から、測定を通して、またモバイル・トランシーバ100から受信される報告に従って決定される可能性がある。
【0064】
トランザクション情報を信号で伝えるための3GPP EPCのコンポーネント、ならびに信号経路が、
図5に示される。
図5は、モバイル・トランシーバまたはUE 100と、基地局トランシーバまたはeノードB 200と、ホーム加入者サーバ(HSS:Home Subscriber Server)210と、モビリティ管理エンティティ(MME:Mobility Management Entity)212と、サービング・ゲートウェイ(S−GW)400と、PDN−GW 300とを示すものであり、このPDN−GWは、インターネット310に接続される。
図5が、さらに示しているように、eノードB 200は、S1−ユーザ・プレーン(S1−U)プロトコルを使用してS−GW 400と通信する。eノードB 200は、さらに、S1−MMEプロトコルを使用して、MME 212と通信する。さらに、PDN−GW 300は、S5/S8プロトコルを使用してS−GW 400と通信する。HSS 210は、S6aプロトコルを使用してMME 212と通信し、またMME 212は、S11プロトコルを使用して、S−GW 400と通信する。これらのコンポーネントとプロトコルとについてのさらなる詳細は、3GPP仕様において見ることができる。以下では、HSS 210と、MME 212とは、それらが、信号で伝えるために必要とされないので、無視される。
【0065】
図5の最下部における矢印は、実施形態の信号経路を示しており、この信号経路については、後で詳細に説明されるであろう。上側の円で囲まれた1および2を有する短い矢印は、
図6および7において説明される実施形態の信号経路を表しており、これらの実施形態は、UE 100とeNB 200との間の直接通信を使用している。下側の円で囲まれた3および4を有するUE 100からPDN−GW 300へと進み、またeNB 200へと戻る長い矢印は、
図8および9において説明される実施形態の信号経路を表し、これらの実施形態は、UE 100からeNB 200へのPDN−GW 300を経由した間接通信を使用している。
【0066】
以下では、第1の実施形態が、説明されることになり、この実施形態は、直接の制御プレーン・シグナリングを使用している。
図6は、この実施形態におけるプロトコル・スタックを示すものである。UE 100側の上で、
図6は、レイヤ1またはPHYと、MACおよびRLCとしてのレイヤ2と、RLCの上部にあるトランザクション・プロトコル「Tr−プロトコル」とを示している。
【0067】
それゆえに、この実施形態においては、モバイル・トランシーバ装置10は、トランザクション・プロトコル「Tr−プロトコル」の一部分としてトランザクション・データ・パケットを構成するための手段をさらに備える。トランザクション・データ・パケットは、コンテキスト情報を含む。本実施形態においては、UE 100は、UE 100と、eNB 200との間の専用の制御チャネルを使用する。
図6は、各デバイスの上の階層化されたスタックを示すものである。ピア・エンティティの間の線は、これらのエンティティの間の直接の通信を示しており、より高位のレイヤ・エンティティは、より低位のレイヤ・エンティティのサービスを使用する。トランザクション情報は、アドレス指定またはルーティングが必要とされないので、RLCレイヤの上のシグナリング・プロトコルを用いて直接に移送される。トランザクション・プロトコルは、トランザクションのQoS必要条件と分類規則とを含む。eNB 200は、すべてのプロトコル情報を受信し、また処理する。コンテキスト情報は、リンク・レイヤ・プロトコル制御データ・パケットを使用して基地局トランシーバ200に対して伝えられる。
【0068】
それゆえに、eノードB 200において取得するための手段24は、トランザクション・プロトコルの一部分としてトランザクション・データ・パケットからコンテキスト情報を取得するように動作可能である。トランザクション・データ・パケットまたはコンテキスト情報は、リンク・レイヤ・プロトコル制御データ・パケットを使用してモバイル・トランシーバ100から受信される。本実施形態においては、eNB 200は、ダウンリンク・データ・パケットを分類し、すなわち、それは、ヘッダ検査を実行し、また異なるトランザクションのパケットを別々に待ち行列に入れることができ、それについては、
図2の表示202を参照されたい。QoS必要条件は、eNB 200の内部でMACレイヤ・スケジューラ20に直接に転送されることもある。
【0069】
以下では、直接のユーザ・プレーン・シグナリングを利用する別の実施形態が、説明されるであろう。
図7は、UE 100と、eNB 200との間のユーザ・プレーンまたはデータ・プレーンにおいてシグナリングを利用する一実施形態におけるプロトコル・スタックを示すものである。
図6に示される上記の実施形態と比べると、トランザクション・プロトコルは、基礎となるIPを伴って、UDPと、PDCPと、上記で説明されるようなより低位のレイヤとを使用する。シグナリング情報は、アプリケーション・レイヤにおいてUE 100からeNB 200へと移送される。UE 100は、基地局200がUE 100の観点からネットワークに対するゲートウェイであるので、IPエニーキャストを経由して基地局200をアドレス指定することができる。シグナリング情報は、通常、複数のIPパケットの上に拡がることはなく、またRLCメカニズムは、パケット損失を禁止することができるので、UE 100と、eNB 200との間の肯定応答モードにおいて使用されるときに、シグナリングについての接続のないユーザ・データグラム・プロトコル(UDP:User Datagram Protocol)ストリームを使用することが、十分である。オプションとして、eNBからの簡単な肯定応答メカニズムが、工夫される可能性がある。それゆえに、本実施形態においては、トランザクション・データ・パケットは、エニーキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用して、基地局トランシーバ200に伝えられる。エニーキャスト・ペイロード・データ・パケットは、TOS表示を有するIP−パケット、または宛先ポート表示を有するUDP−パケットに対応することができる。分類については、eNB 200は、上記の実施形態におけるものと同じ能力を有する。
【0070】
間接的な制御プレーン・シグナリングを使用した別の実施形態が、後で説明されるであろう。
図8は、データ・サーバ300において専用の制御チャネルと、ダウンリンク・パケット分類とを利用した一実施形態におけるプロトコル・スタックを示すものであり、このデータ・サーバは、PDN−GW 300として実施される。この実施形態においては、トランザクションシグナリング・プロトコルは、
図6を用いて説明される実施形態におけるように、eNB 200へと移送される。次いで、eNB 200は、トランザクションのQoS必要条件をMACスケジューラ20に対して転送し、また別個のプロトコルを使用して分類情報をUDPを経由してPDN−GW 300に対して転送する。S−GW 400は、この実施形態においては、まさにリレーとしての役割を果たす。S−GW 400に向かって、またS−GW 400と、PDN−GW 300との間で、より低位のレイヤは、レイヤ1(L1)とレイヤ2(L2)としてラベル付けされる。
図8において、「*」によって示されるように、修正されたトランザクション・プロトコル「Tr−P*」を使用して、eNB 200からPDN−GW 300へとS−GW 400を経由して、分類情報としてコンテキスト情報を通信する。分類情報は、基地局トランシーバ200のスケジューラ20においてスケジューラ待ち行列またはトランザクション・コンテキストについてのQoSの設定または必要条件に対応することができる。基地局トランシーバ200においては、コンテキスト情報は、それゆえにデータ・サーバ300から受信され、このデータ・サーバには、基地局トランシーバ200からの分類情報が提供される。
【0071】
PDN−GW 300は、DPIを実行することができる規格において、予見される。それゆえに、それは、信号で伝えられた情報に従ってダウンリンク・データ・パケットを分類することができる。PDN−GW 300が、データ・パケットを分類した後に、それは、その分類についてeNB 200に通知する。EPCは、フラットなIPアーキテクチャを使用するので、IPヘッダの中の差別化サービス・フィールド・コードポイント(DSCP:Differentiated Services Field Codepoints)を使用して、トランザクションの間で差別化を行うことができる。このようにして、64個のトランザクションは、IPv4における時に単一のUEについて差別化されることもある。IPv6を用いて、より多くのトランザクション(220−1)でさえも、フロー・ラベルによって差別化される可能性がある。コンテキスト情報は、それゆえに、データ・サーバ300から受信されるデータ・パケットの中のタグに対応することができる。
【0072】
別の実施形態は、間接的なユーザ・プレーン・シグナリングを使用している。
図9は、コンテキスト情報の間接的な提供を伴うデータ・プレーンにおいてシグナリングを利用した一実施形態におけるプロトコル・スタックを示すものである。
図9は、UE 100と、PDN−GW 300との間の、データ・プレーンを経由したシグナリングを示している。eNB 200は、ユーザ・プレーン(GTP−U)において汎用パケット無線サービス・トンネリング・プロトコルを使用して、それぞれのデータ・パケットをS−GW 400に対して転送し、このS−GWはまた、GTP−Uを使用して、同じデータ・パケットをPDN−GW 300に対して転送する。それがまた、
図9において示されるように、eNB 200と、S−GW 400とは、リレーとして考えられる。それぞれのコンポーネントにおけるプロトコル・スタックは、上記で説明されるこれらのプロトコル・スタックに類似している。
【0073】
パケットの分類は、PDN−GW 300において実行され、このPDN−GWはまた、トランザクション必要条件をeNB 200に対して転送する。
図9に示される実施形態は、UE 100からPDN−GW 300へと信号で伝えるためのアプリケーション・レイヤ・トランスポートを使用する。これは、上記の説明に従って、IPのエニーキャストまたはユニキャスト(PDN−GW 300のIP−アドレスが知られている場合)によって達成される可能性がある。トランザクション・データ・パケットは、エニーキャストまたはユニキャストのペイロード・データ・パケットを使用してモバイル・トランシーバ100からPDN−GW 300において受信される。PDN−GW 300は、別個のプロトコルを介してトランザクションのQoS必要条件をeNB 200に対して逆に信号で伝える。いくつかの実施形態においては、複数のPDN−GWは、モバイル・トランシーバ100にサービスすることができる。この場合には、エニーキャスト・ペイロード・データ・パケットが、1つのPDN−GWによって受信されることもあり、このPDN−GWは、次いで他に通知することができ、あるいは、これが、次いで、もっと正確に言えばマルチキャスト・ペイロード・データ・パケットのことを指すことができるが、複数のPDN−GWは、すべてマルチキャスト(エニーキャスト)データ・パケットを受信することができる。この実施形態においては、分類は、PDN−GW 300の中で、
図8を用いて説明される実施形態におけるように、実行される。実施形態においては、トランザクション・データ・パケットは、ユニキャスト・ペイロード・データ・パケットを使用してデータ・サーバ300に伝えられることもあり、例えば、UE 100は、IP−パケットをPDN−GW 300に対して直接にアドレス指定する。
【0074】
それゆえに、データ・サーバ装置30は、例えば、Tr−P*に従って、データ・パケットを構成するための手段を備える。データ・パケットは、アプリケーション・データ・パケットと、基地局トランシーバ200におけるスケジューリング待ち行列に対するデータ・パケットについてのマッピング情報を有するタグとを含む。トランザクション・データ・パケットが、構成される可能性があり、このトランザクション・データ・パケットは、アプリケーション・データ・パケットと、コンテキスト情報とを含む。いくつかの実施形態においては、コンテキスト情報を有するデータ・パケット・ヘッダ、またはアプリケーションのサービス品質の必要条件を含むデータ・パケットが、構成されることもある。
【0075】
図6および7を用いて説明される実施形態は、eNB 200が、ダウンリンク・データ・パケットを分類するための少なくともIPプロトコル・ヘッダと、トランスポート・プロトコル・ヘッダとを検査することができることを仮定している。しかしながら、LTEシステムにおいては、これは、データが、トンネルされ(例えば、トンネリング・プロトコルGTP−Uを経由して)かつ/またはPDN−GW 300と、UE 100との間で暗号化され得るような場合ではない可能性がある。それゆえに、
図8および
図9を用いて説明される実施形態は、それらが、eNB 200において、より低い処理能力を可能にすることになるという利点を有することができる。
【0076】
モバイル・デバイス100は、
図7の実施形態と、
図9の実施形態との間でも、また
図6の実施形態と、
図8の実施形態との間でもそのどちらでも差別化しない可能性がある。モバイル・デバイス100では、シグナリングのタイプだけが、知られている。
【0077】
以下では、トランザクションシグナリング・プロトコルの例示の実施形態が、説明される。以下のプロトコル記述は、CARAについてのシグナリングの簡略化されたテキスト・ベースの実現である。シグナリングは、上記で説明されるように、UE 100により、eNB 200(またはPDN−GW 300)に対して送信される(単方向性)。プロトコルは、テキスト・ベースであり、符号化は、ANSI\_X3.4−1968(7ビットASCII)である。ライン(Lines)は、「\n](ASCIIコード0x0A)によって区切られ、フィールドは、単一の空白によって区切られる。各トランザクションは、一連のラインによって定式化される。
【0078】
最初のラインは、キーワード「トランザクション(Transaction)」を用いて開始される。おのおのの以下のラインは、1つのトラフィック・チャンク、通常、トランスポート・レイヤ接続のセクションを定式化する。各トランザクションについてのシグナリングは、単一のUDPデータグラムとして送信される。これらのデータグラムについての宛先アドレスは、手作業で構成される。宛先ポートは、1024であり、ソースIPアドレスは、各UE100のIPアドレスであり、またソース・ポートは、重要ではない。クライアントは、必要条件、チャンク、またはサイズの予測が、変化しているときはいつでも、トランザクション仕様を再送信することができる。これらの再送信は、徐々に増加するものではない可能性がある。これは、再送信するときに、すべてのチャンクが反復され得ることを意味する。アップリンク・チャンクと、ダウンリンク・チャンクとは、ルーティング・テーブルを使用して識別される可能性があり、それゆえに、それを明示的に指定する必要性は存在していない。アプリケーション・メディアに依存して、トランザクションは、以下のタイプとすることができる。
・フィニッシュ(FINISH):伝送の完了の時間が、重要である(早期であればあるほど、よい);例えば、ウェブ・サーフィン
・リアルタイム(REALTIME):各パケットは、個別の締め切りを有する;例えば、音声コール/ライブ−TV
・ストリーミング(STREAMING):内容のバッファリングが、可能であるが、しかしながら、伝送は、プレイ・アウト(play−out)曲線を下回るべきではない;例えば、ユーチューブ(YouTube)におけるバッファされたビデオ・ストリーミング
【0079】
例示のトランザクション定義は、以下のように見える。
Transaction web42 FINISH 2300
TCP 10.0.0.10 1025 2.3.4.5 80 0 1200
TCP 2.3.4.5 80 10 0.0 10 1025 0 17000
TCP 2.3.4.5 80 10 0.0 10 1026 0 17000
【0080】
このプロトコルについての拡張されたバッカス−ナウア−形式(EBNF:Extended Backus−Naur−Form)は、以下のようである。
メッセージ トランザクション
トランザクション 「トランザクション」 名前の必要条件 「\n」 {チャンク}
必要条件 「フィニッシュ」 完了時間 | 「リアルタイム」 締め切り | 「ストリーミング」 帯域幅
チャンク フィルタ開始停止 「\n」
フィルタ 「TCP」 SrcIP SrcPort DstIP DstPort|「UDP」 SrcIP SrcPort DstIP DstPort
名前 トランザクションについての任意の名前(ID−番号であることもできる)
SrcIP、DstIP IPv4/IPv6アドレスのテキスト表現
SrcPort、DstPort 10進数
開始、停止 これらのパラメータは、このトランスポート・レイヤ接続のどのバイトが、トランザクションに属するかを指定することを可能にする。万一長さが知られていない場合には、予測は、クライアントによって指定される必要がある。
完了時間 シグナリング・メッセージが受信される時間に対するmsを単位とするもの
締め切り パケット当たりのmsを単位とするもの
帯域幅 ビット/sを単位とするもの
【0081】
これは、簡単な例である。スカラーの必要条件(完了時間、締め切り、帯域幅)の代わりに、上記で説明されるような完全なユーティリティ曲線もまた、実施形態、例えば、関数タイプおよび関連するパラメータを用いて、または(x、y)−値のテーブルとして信号で伝えられる可能性がある。
【0082】
以下では、一実施形態の例示の使用の場合が、説明されるであろう。あるユーザが、ウェブ・ブラウザの中のリンクの上でクリックする。モバイル・デバイス100は、ウェブ・サーバ300とのTCP接続を開始し、また使用中であるべき必要条件とIPの5−タプルとを含む新しいトランザクションを基地局200に対して信号で伝える。第1のダウンリンクDLCフレームが、BS 200に到着するときに、それは、信号で伝えられた分類を使用して、そのフレームをトランザクションと、その必要条件とにマッピングすることができる。接続セットアップの後に、モバイル・デバイス100は、HTTP要求をサーバ300に対して送信する。HTTP応答ヘッダが、モバイル・デバイス100に到着するとすぐに、それは、予測された内容サイズを含むトランザクション・アップデートをBS 200に対して送信することができる。研究は、典型的なインターネット・トラフィック混在の場合には、このシグナリング・プロトコルのシグナリング・オーバーヘッドが、ダウンリンク・データ・トラフィックの0.2%にすぎないことを示している。
【0083】
図10は、モバイル通信システム500におけるモバイル・トランシーバ100のための方法の一実施形態についてのフロー・チャートのブロック図を示すものである。モバイル通信500システムは、基地局トランシーバ200をさらに備える。本方法は、モバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションからのコンテキスト情報、モバイル・トランシーバ100の上で実行されている運用システムからのコンテキスト情報、またはモバイル・トランシーバ100のハードウェア・ドライバもしくはハードウェアからのコンテキスト情報を抽出するステップ712を含んでおり、コンテキスト情報は、アプリケーションの状態についての情報、および/またはモバイル・トランシーバ100の状態についての情報を含んでいる。本方法は、基地局トランシーバ200とデータ・パケットを通信するステップ714をさらに含んでおり、そこでは、データ・パケットは、ペイロード・データ・パケットと、制御データ・パケットとを含む。本方法は、基地局トランシーバ200を通してデータ・サーバ300とアプリケーションに関連するペイロード・データ・パケットを通信するステップ715と、基地局トランシーバ200に対してコンテキスト情報を提供するステップ716とをさらに含み、そこでは、コンテキスト情報は、ペイロード・データ・パケットに、または制御データ・パケットに含まれる。
【0084】
図11は、モバイル通信システム500において基地局トランシーバ200のための方法の一実施形態についてのフロー・チャートのブロック図を示すものである。モバイル通信システム500は、モバイル・トランシーバ100をさらに備える。本方法は、制御データ・パケットと、ペイロード・データ・パケットとを受信するステップ722を含んでおり、そこでは、ペイロード・データ・パケットは、モバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションに関連づけられる。本方法は、制御データ・パケットから、またはペイロード・データ・パケットから、アプリケーションに関連するデータ・パケットについてのコンテキスト情報を取得するさらなるステップ724を含んでいる。本方法は、コンテキスト情報に基づいてデータ・パケットの伝送のためにモバイル・トランシーバ100をスケジュールするさらなるステップ726を含んでいる。
【0085】
図12は、データ・サーバ300のための方法の一実施形態についてのフロー・チャートのブロック図を示すものであり、このデータ・サーバは、モバイル通信システム500を通してモバイル・トランシーバ100に対して、モバイル・トランシーバ100の上で実行されているアプリケーションに関連するデータ・パケットを通信する。本方法は、基地局トランシーバ200から受信される分類情報に基づいてデータ・パケットについてのコンテキスト情報を導き出すステップ732と、モバイル通信システム500に対してデータ・パケットと一緒にコンテキスト情報を送信するステップ734とを含む。
【0086】
説明および図面は、ただ、本発明の原理を示すものにすぎない。したがって、当業者なら、本明細書において明示的に説明され、または示されてはいないが、本発明の原理を具現化し、またその趣旨および範囲の内部に含まれる様々な構成を工夫することができるようになることが、理解されるであろう。さらに、本明細書において列挙されるすべての例は、主として、本発明者(単数または複数)によって当技術を推進するために寄与される本発明の原理と概念とを理解する際に読者を助ける教育上の目的のためだけにすぎないことを明示的に意図しており、またそのような具体的に列挙された例および状態だけに限定することのないように解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を列挙している本明細書におけるすべての叙述、ならびにそれらの特定の例は、その同等形態を包含するように意図される。
【0087】
「...するための手段」(ある種の機能を実行する)として示される機能ブロックは、それぞれ、ある種の機能を実行するように動作可能である回路を備える機能ブロックとして理解されるべきである。それゆえに、「第sのための手段」は、「第sのために動作可能であり、または適している手段」として同様に理解されることもある。ある種の機能を実行するように動作可能である手段は、それゆえに、そのような手段が、必ずしも前記機能を(ある与えられた瞬間に)実行していることを暗示しない。
【0088】
「手段」、「抽出するための手段」、「通信するための手段」、「提供するための手段」、「受信するための手段」、「取得するための手段」、スケジュールするための手段」、「導き出すための手段」、「送信するための手段」などとしてラベル付けされる任意の機能ブロックを含めて、図面の中で示される様々な要素の機能は、例えば、プロセッサ、「抽出器」、「コミュニケータ」、「プロバイダ」、「レシーバ」、「取得器」、「スケジューラ」、「導出器」、「トランスミッタ」などしての専用のハードウェア、ならびに適切なソフトウェアと共同してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通して提供されてもよい。プロセッサによって提供されるときに、それらの機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共用プロセッサによって、または複数の個別プロセッサによって提供されてもよく、これらの個別プロセッサのうちのいくつかは、共用されることもある。さらに、用語「プロセッサ」または「制御装置」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアだけを排他的に指すように解釈されるべきではなく、また限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェアと、ネットワーク・プロセッサと、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)と、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)と、ソフトウェアを記憶するためのリード・オンリー・メモリ(ROM:read only memory)と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)と、不揮発性ストレージとを暗黙のうちに含むことができる。他のハードウェアが、従来のものおよび/またはカスタムも、含まれることもある。
【0089】
本明細書における任意のブロック図は、本発明の原理を具現化する実例となる回路の概念図を表すことが、当業者によって理解されるべきである。同様に、任意のフロー・チャートと、流れ図と、状態遷移図と、擬似コードなどとは、そのようなコンピュータまたはプロセッサが、明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ読取り可能媒体の中で実質的に表され、またそのようにしてコンピュータまたはプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが、理解されるであろう。
【0090】
さらに、添付の特許請求の範囲は、これにより詳細な説明の中に組み込まれており、ここでは、各請求項は、別個の実施形態として自立することができる。各請求項は、別個の実施形態として自立することができるが、従属請求項が、それらの請求項において、1つまたは複数の他の請求項との特定の組合せのことを指すことができるが、他の実施形態はまた、おのおのの他の従属請求項の主題とのその従属請求項の組合せを含むこともできることに注意すべきである。特定の組合せが意図されていないことが述べられていない限り、そのような組合せは、本明細書において提案される。さらに、たとえこの請求項が、直接に独立請求項に依存するようにされていないとしても、他の任意の独立請求項にある請求項の特徴も含めることを、意図している。
【0091】
明細書の中に、または特許請求の範囲の中に開示された方法は、これらの方法のそれぞれのステップのうちのおのおのを実行するための手段を有するデバイスによって実施され得ることに、さらに注意すべきである。
【0092】
さらに、明細書または特許請求の範囲の中で開示された複数のステップまたは機能の開示は、特定の順序内にあるように解釈されなくてもよいことを理解すべきである。それゆえに、複数のステップまたは機能の開示は、そのようなステップまたは機能が、技術的な理由のために互換性がないということがない限り、これらを特定の順序だけに限定することはないであろう。さらに、いくつかの実施形態においては、単一のステップは、複数の副次的ステップを含んでいてもよく、または複数の副次的ステップへと分解されてもよい。そのような副次的ステップは、明示的に除外されない限り、含まれていてもよく、またこの単一ステップの開示の一部分とすることができる。