(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897245
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】IPマルチキャストのための発見情報
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2362 20110101AFI20160317BHJP
H04N 21/6402 20110101ALI20160317BHJP
【FI】
H04N21/2362
H04N21/6402
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-47533(P2010-47533)
(22)【出願日】2010年3月4日
(62)【分割の表示】特願2004-514608(P2004-514608)の分割
【原出願日】2002年8月8日
(65)【公開番号】特開2010-213269(P2010-213269A)
(43)【公開日】2010年9月24日
【審査請求日】2010年4月2日
【審判番号】不服2014-25114(P2014-25114/J1)
【審判請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】02291585.4
(32)【優先日】2002年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100134094
【弁理士】
【氏名又は名称】倉持 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121175
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 たかし
(74)【代理人】
【識別番号】100123629
【弁理士】
【氏名又は名称】吹田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,フィリップ
【合議体】
【審判長】
清水 正一
【審判官】
渡辺 努
【審判官】
渡邊 聡
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPマルチキャスト・ネットワークに接続された装置によって、インターネット・サービスプロバイダにより当該IPマルチキャスト・ネットワーク上にマルチキャストされるトランスポート・ストリームのバンドルの形式で配信されるマルチメディアサービスの複数のオファーのうちの少なくとも一つのオファーのマルチメディアサービスを受信し、デコードし、処理する方法であって、当該装置は、前記トランスポート・ストリームを受信することに適合し、
−前記装置を使用して、前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の所定の既知のオファー・ローカリゼーションでマルチキャストされるオファー情報を取得するステップであって、前記オファー・ローカリゼーションは前記IPマルチキャスト・ネットワーク内のIPマルチキャスト・アドレスおよびポート番号によって構成され、当該オファー情報はサービスプロバイダのオファー記述と前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の決められたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションとを関係付けてなる、前記ステップと、
−前記オファー情報を処理するステップであって、オファーのそれぞれに対して、ストリーム情報が取得される、前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の前記決められたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションを抽出する、前記ステップと、
−前記オファーに対して前記決められたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションでマルチキャストされるストリーム情報を取得するステップであって、当該ストリーム情報は、少なくとも、トランスポート・ストリームと当該トランスポート・ストリームに属性付けられた対応するストリーム・ローカリゼーションとに関するリストを含み、当該ストリーム・ローカリゼーションが前記IPマルチキャスト・ネットワーク内のIPマルチキャスト・アドレスおよびポート番号によって構成され、並びに、当該ストリーム情報は前記ストリーム情報のバージョン番号を示すバージョン番号を含む、前記ステップと、
−前記ストリーム情報を処理するステップであって、トランスポート・ストリームと前記IPマルチキャスト・ネットワーク内で当該トランスポート・ストリームのそれぞれに関係するストリーム・ローカリゼーションとに関するトランスポート・ストリーム・リストを取得する、前記ステップと、
−前記装置に前記トランスポート・ストリーム・リストを記憶するステップと、
−前記装置を使用してトランスポート・ストリームを求める要求を生成し、そして、当該トランスポート・ストリームのための前記トランスポート・ストリーム・リストにおいて識別される前記ストリーム・ローカリゼーションでマルチキャストされるIPパケットを取得するステップと、
−前記取得したIPパケットからパケット化されたデータを抽出するステップであって、これにより前記トランスポート・ストリームを取得する、前記ステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記バージョン番号は前記ストリーム情報に変更が生じる度に増加される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記オファー情報は、前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の所定の既知のオファー・ローカリゼーションで周期的にマルチキャストされ、前記ストリーム情報は、前記決められたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションで周期的にマルチキャストされる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
デジタルテレビジョンのトランスポート・ストリームは前記IPマルチキャスト・ネットワーク上にマルチキャストされ、マルチメディアサービス事業者はトランスポート・ストリームを前記インターネット・サービスプロバイダに供給し、前記ストリーム情報は前記トランスポート・ストリームを供給する前記マルチメディアサービス事業者のための識別子をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ストリーム情報から電子番組ガイドを構築するステップをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
マルチメディアサービスを受信し、デコードし、処理する装置であって、当該装置は、IPマルチキャスト・ネットワークに接続され、インターネット・サービスプロバイダにより前記IPマルチキャスト・ネットワーク上に配信されるマルチメディアサービスの複数のオファーのうちの少なくとも一つのオファーを受信し、前記少なくとも一つのオファーのマルチメディアサービスはデジタルテレビジョンのトランスポート・ストリームで配信され、当該デジタルテレビジョンのトランスポート・ストリームは前記IPマルチキャスト・ネットワーク上にマルチキャストされ、
−前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の所定の既知のオファー・ローカリゼーションでマルチキャストされるオファー情報を取得する手段であって、前記オファー・ローカリゼーションは前記IPマルチキャスト・ネットワーク内のIPマルチキャスト・アドレスおよびポート番号によって構成され、当該オファー情報はサービスプロバイダのオファー記述と前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の属性付けされたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションとを関係付けてなる、前記手段と、
−オファーのそれぞれに対してストリーム情報を抽出する手段であって、当該ストリーム情報は前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の前記属性付けされたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションでマルチキャストされ、当該ストリーム情報は、少なくとも、トランスポート・ストリームと前記IPマルチキャスト・ネットワーク上に前記トランスポート・ストリームをマルチキャストするために使用される、当該IPマルチキャスト・ネットワーク内の対応するストリーム・ローカリゼーションに関するリストを含み、当該ストリーム・ローカリゼーションが前記IPマルチキャスト・ネットワーク内のIPマルチキャスト・アドレスおよびポート番号によって構成され、並びに、当該ストリーム情報は当該ストリーム情報のバージョン番号を示すバージョン番号を含む、前記手段と、
−オファーのそれぞれに対してトランスポート・ストリームがマルチキャストされる前記ストリーム・ローカリゼーションのリストであるトランスポート・ストリーム・リストを記憶する手段と、
−当該装置を使用して、トランスポート・ストリームを求める要求を生成し、前記トランスポート・ストリームのための前記トランスポート・ストリーム・リストにおいて識別される前記ストリーム・ローカリゼーションでマルチキャストされるIPパケットを取得し、前記取得したIPパケットからパケット化されたデータを抽出し、前記トランスポート・ストリームを取得する手段と、
を備える、前記装置。
【請求項7】
前記バージョン番号は前記ストリーム情報に変更が生じる度に増加される、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記オファー情報は前記IPマルチキャスト・ネットワーク内の所定の既知のオファー・ローカリゼーションで周期的にマルチキャストされ、前記ストリーム情報は、前記属性付けされたサービスプロバイダのオファー・ローカリゼーションで周期的にマルチキャストされる、請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
前記デジタルテレビジョン・トランスポート・ストリームは前記IPマルチキャスト・ネットワーク上にマルチキャストされ、マルチメディアサービス事業者はトランスポート・ストリームを前記インターネット・サービスプロバイダに供給し、前記ストリーム情報は前記トランスポート・ストリームを供給する前記マルチメディアサービス事業者のための識別子を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ストリーム情報から電子番組ガイドを構築する手段をさらに備える、請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVBに適合したバンドルのマルチメディアサービスを、IPネットワークに接続された加入者装置に配信する技術に関する。このサービスは、IPマルチキャストにより配信される。
【背景技術】
【0002】
<マルチメディアサービスの放送>
例えばテレビジョン放送のような、デジタルマルチメディアサービスは、ケーブル会社、衛星事業者および当然従来のアンテナを介した地上放送の受信のようなサービスプロバイダを通じて配信される。従来のケーブルサービスでは、加入者の居所に専用ケーブルを導入することが必要である。衛星放送サービスは、ユーザが衛星パラボラアンテナを居所の近くのどこかに配置させる必要がある。アンテナは、一般的にローカルな番組の受信に限定される。
【0003】
図1は加入者へのデジタルマルチメディアサービスの配信に用いられるサービスプロバイダ100および衛星放送/受信装置101を示す概略図を示す。
【0004】
マルチメディアサービスは、放送サービスを受信、デコードおよび処理することができるセットトップボックス(STB)102またはその他の装置を備えた加入者に配信される。そのような装置の他の例は、パーソナルコンピュータまたはテレビジョン受像機に統合されたデコーダが挙げられる。STBは、処理の結果としてSTBの出力に生成される画像および音声を描画するオーディオ・ビジュアル(AV)ディスプレイ103に接続される。STBは、例えばリモコン104またはキーボードのような制御インターフェイスを通じてユーザからの指示を受信する。これにより、STBに指示することで、あるサービスから他のサービスへ切り替えることができる。例えば、あるテレビジョンのチャンネルから他のチャンネルへと切り替えることができる。
【0005】
サービスプロバイダは、例えば、衛星および地上放送に用いられるDVB−SI(ヨーロッパにおいて使用)規格およびATSC−PSIP(米国において使用)規格、またはATSC−PSIP規格に似ているがケーブルネットワークに適用されるSCTE(米国において使用)等の広い範囲の規格に従って、オファーの構成によりマルチメディアサービスを放送する。これら規格のそれぞれは、トランスポート・ストリームにおける番組配列情報の使用を含む類似した機能性を有している。これらの規格は、よく知られており、その技術は記述されている。このオファーは、一般的に複数のサービスを含んでおり、その複数のサービスは、例えば、音声および/または映像番組、データサービスまたはアプリケーションである。それぞれのサービスは、よく知られるMPEG−2規格に従ったデータパケットで送信される。データパケットは、トランスポート・ストリームに多重化される。それゆえ、トランスポート・ストリームは、そのオファーの複数のサービスを配信する。帯域幅の理由から、サービスプロバイダは、サービスを伝送するために一つ以上のトランスポート・ストリームの使用を決定し、トランスポート・ストリームのそれぞれは、予め決められた周波数で放送される。トランスポート・ストリームは、地域規格準拠のバンドルの一部である。さらにトランスポート・ストリームのそれぞれは、番組配列情報(SI)のテーブルを含む。番組配列情報のテーブルは、例えば、どのサービスが決められたトランスポート・ストリームにおいて使用可能であるかということ、または、どの周波数にてトランスポート・ストリームが放送されるのかということを表示する。
【0006】
それらのサービスを受信、復号処理および処理するために、STBはMPEGおよび地域規格に適合している。STBは、番組配列情報を抽出し処理する。この番組配列情報は、例えば、サービスの記述を検索し、続いて、対応するトランスポート・ストリームに同調してデータパケットをフィルタリングすることにより、サービスを選択することが可能である。
【0007】
<IPを利用したマルチキャスト>
IPを利用したマルチキャストは、インフラに依存しており、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は、様々なマルチメディアサービス事業者およびすべての関連した信号送信からの双方向性のあるなしに関わらず、音声/映像コンテンツのマルチキャスティングを行う。
図2を参照すると、音声/映像コンテンツは、例えば衛星パラボラアンテナ200から受信され、ISP201によってIP準拠フォーマットにカプセル化され、そしてインターネット202上にマルチキャストされる。
【0008】
IPを利用したマルチキャストは、様々な形式の配信システム(ケーブルネットワーク、衛星、地上波)において配信する複数のサービスプロバイダのオファーを容易に結合可能である。すべてのオファーは、結合され、インターネットを通じて加入者にもたらされる。したがって、加入者は一つのアクセス、すなわちインターネットへのアクセスをすればよい。このことは、ISPおよび加入者の双方に対して柔軟性を提供する。
【0009】
IPを利用したマルチキャスト・サービス・プロバイダの加入者は、IPに適合したSTB203を有し、インターネットへの接続を必要とする。インターネットへの接続の可能な方式には、PSTN電話回線、ADSL接続またはファイバーガラスやケーブルネットワークのような常設のブロードバンド接続が含まれる。
【0010】
インターネットへの接続におけるバンド幅は、使用される接続方式に依存してかなり変わる。許容されるバンド幅の限界は、IPを利用したマルチキャストシステムの発展を促してきた。IPを利用したマルチキャストシステムは、選択的に、限定した数のサービスを一つのローカリゼーション(つまり、IPアドレスおよびポート対)からある範囲の加入者のSTBにマルチキャストが可能である。例えば、予め決められたSTBは加入者が契約したサービスのみを取得する。インターネット接続が許容される典型的なバンド幅は、たいてい従来のケーブルネットワークまたは衛星放送システムにおいて許容されるバンド幅よりも小さく、少なくとも1オーダ小さい。
【0011】
既知のIPマルチキャスト・ネットワークにおいて、STBは、データを受信するために要求をISPに送信する。それによって、そのデータがマルチキャストされるローカリゼーション、すなわちIPマルチキャスト・アドレスおよびポート対が提示される。この要求に応じて、対応するIPデータパケットがSTBに送信される。
【0012】
IPを利用したマルチキャストの例は、国際公開99/63759号公報に記載されている。これに記載されたシステムは、セットトップボックスに伝送するために、例えばADSL接続を使用してIPマルチキャストを利用したコンテンツを放送するために使用される。このシステムは、放送テレビジョン信号を抽出し、これらの信号をネットワーク上で送信するためにIPフォーマットに構成(コンフィギュレーション)する。さらに、このシステムは、加入者のテレビジョン信号へのアクセスを管理するための管理システムを含んでいる。加入者は対話型番組ガイド(IPG)を用いてテレビジョン番組を選択してもよい。加入者はセットトップボックス(STB)を通じてIPGにアクセスする。STBの実行において、いくつかのメモリが特定の情報を記憶するためにSTB内に利用可能とされてもよい。または、その代わりに、すべてのIPGがネットワークにおいて維持されてもよい。さらに、このシステムは、STBとは異なる、デジタル・テレビジョン・マネージャ(DTVM)を有し、端末相互間のサービス管理および集積された放送配信システムのリソースの管理を行う。
【0013】
このDTVMは、IPGと連携して、加入者にTV番組のチャンネル閲覧機能を提供する。IPGに配信されるデータは、顧客プロフィールのような多くのパラメータに基づいてプロバイダによって調整される。
【0014】
IPを利用したマルチキャストシステムの他の例は、国際公開99/31871号公報に見られる。このシステムは、加入者のインターネット接続の限定されたバンド幅が特に考慮されて設計される。一つ以上の中央チャンネルサーバは、多様なコンテンツプロバイダから配信される利用可能な番組サービスについての情報を収集する。その中央チャンネルサーバは、利用可能なコンテンツチャンネルの提供および加入者のデータベースをたどるチャンネルリスト・データベースを維持する。その加入者のデータベースは加入者の識別および加入者ごとの許可チャンネルを含んでいる。加入者が、その中央チャンネルサーバに番組についての要求を送信すると、その中央チャンネルサーバは、その要求をチェックし、コンテンツプロバイダから加入者のSTBにチャンネル番組の供給を許可する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
国際公開99/31871号および国際公開99/63759号の両公報において、加入者は、番組の要求を受信して処理するサーバと通信する。加入者のSTBへの番組の供給は、加入者の要求がサーバによって正当とみなされた場合にのみ可能となる。この機能を提供するために、サーバは、コンテンツプロバイダからのチャンネル情報を処理し、加入者についてのデータベースを維持する必要がある。
【0016】
加入者のインターネット接続のバンド幅は、ファイバーガラスネットワークや他の能力的な技術が発展するのに従って増大している。そのバンド幅は、従来のケーブルネットワークや衛星放送システムにおいて利用可能なバンド幅の値に匹敵する値に届くようになってきた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の側面は、IPマルチキャスト・テレビジョン・ネットワークにおいて発見情報を配信する方法を提供することである。本方法は、サービスプロバイダのオファーの記述およびIPマルチキャスト・ネットワーク内のサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションを関連付けるオファー情報をマルチキャストすることを有する。さらに、本方法は、上記サービスプロバイダのオファーのローカリゼーションにおいて、ストリーム情報をマルチキャストすることを有し、そのストリーム情報は、マルチサービス・トランスポート・ストリームおよび上記IPマルチキャスト・ネットワーク内のストリームのローカリゼーションに関連付けられる。
【0018】
本発明の第2の側面は、バンドルのトランスポート・ストリームのバンドルの形式で受信したマルチメディアサービスについての少なくとも一つのオファーをIPマルチキャスト・ネットワークにより放送する方法を提供することである。オファーのそれぞれについてIPマルチキャスト・ネットワーク内で決められたサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションが属性付けられる。オファーのそれぞれについて属性付けられたサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションとの関係を記述するオファー情報のファイルが生成される。オファーのそれぞれについて、トランスポート・ストリーム情報は、トランスポート・ストリームごとのトランスポート・ストリーム識別を有するバンドルから抽出される。さらに、本方法は、トランスポート・ストリーム識別のそれぞれに対し、IPマルチキャスト・ネットワーク内で決められたストリームのローカリゼーションを属性付けること、および、それぞれのオファーについて、トランスポート・ストリームごとに属性付けられたストリームのローカリゼーションとの関係を記述するストリーム情報のファイルを生成することを含む。
【0019】
好ましくは、本方法は、それぞれのオファーについて、上記オファー情報のファイルにサービスプロバイダのオファーの記述を加えることを含む。
【0020】
さらに好ましくは、トランスポート・ストリームごとに、対応するパケット化されたデータのストリームが受信され、そのパケット化されたデータがIPパケットに挿入される。そのIPパケットは、トランスポート・ストリームに以前属性付けられたストリームのローカリゼーションにおいてマルチキャストされ、オファー情報のファイルは、所定のオファーのローカリゼーションにおいてマルチキャストされる。それぞれのオファーについて、対応するストリーム情報のファイルは、そのオファーに属性付けられたサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションにおいてマルチキャストされる。
【0021】
本発明の第3の側面は、トランスポート・ストリームのバンドルを受信することに適合し、IPマルチキャスト・ネットワークに接続されたセットトップボックス受信機によってバンドルからのトランスポート・ストリームを受信する方法を提供する。本方法は、サービスプロバイダのオファーのローカリゼーションからマルチキャスト・ストリーム情報を取得すること、ストリーム情報を処理して、トランスポート・ストリームに以前属性付けられたストリームのローカリゼーションを特定すること、そのストリームのローカリゼーションからマルチキャストされるIPパケットを取得すること、および取得したIPパケットからパケット化されたデータを抽出することによって、トランスポート・ストリームを取得することを含む。
【0022】
本発明の第4の側面は、トランスポート・ストリームのバンドルを受信することに適合し、IPマルチキャスト・ネットワークに接続されたセットトップボックス受信機によって、バンドルの形式のすくなくとも一つのオファーのうちのオファーからトランスポート・ストリームを受信する方法を提供する。マルチキャストされるオファー情報は、所定のオファーのローカリゼーションから取得され、そのオファーに以前属性付けられた決められたサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションを取得するために処理される。マルチキャストされるストリーム情報は、決められたサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションから取得され、トランスポート・ストリームに以前属性付けられたストリームのローカリゼーションを特定するために処理される。マルチキャストされるIPパケットは、ストリームのローカリゼーションから取得され、取得されたIPパケットから抽出したパケット化されたデータによってトランスポート・ストリームを取得する。
【0023】
本発明の第5の側面は、トランスポート・ストリームのバンドルを受信することに適合し、IPマルチキャスト・ネットワークに接続されたセットトップボックス受信機によって、バンドルの形式のすくなくとも一つのオファーのうちのオファーからトランスポート・ストリームを受信する方法を提供する。マルチキャストされるオファー情報は、所定のオファーのローカリゼーションから取得され、項目のリストを取得するために処理される。項目のそれぞれは、サービスプロバイダのオファーのローカリゼーションおよびオファーに関連する。項目のそれぞれについて、マルチキャストされるストリーム情報は、その項目に対応するサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションから取得され、トランスポート・ストリームおよびそれぞれに関連するストリームのローカリゼーションについてのトランスポート・ストリームのリストを取得するために処理される。そのトランスポート・ストリームのリストは、セットトップボックスに記憶される。
【0024】
その他の好適な実施形態において、決められたトランスポート・ストリームが要求され、その決められたトランスポート・ストリームに対応するストリームのローカリゼーションがトランスポート・ストリームのリストの中から見つけられるように構成される。マルチキャストされるIPパケットは、ストリームのローカリゼーションから取得され、その取得したIPパケットから抽出したパケット化されたデータが取得され、それによって上記決められたトランスポート・ストリームが取得される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来におけるDVBに適合するバンドルを放送するためのネットワークシステムを示す図である。
【
図2】従来におけるIPマルチキャスティングサービスのためのネットワークシステムを示す図である。
【
図3】本発明に用いられるネットワークシステムの例を示す図である。
【
図4A】エンティティの関係についての構文図である。
【
図4B】エンティティの関係についての構文図である。
【
図4C】エンティティの関係についての構文図である。
【
図6】本発明に係るトランスポート・ストリームをマルチキャストするための例を示すための概念図である。
【
図7】本発明に係るオファー情報およびストリーム情報の例を示すための概念図である。
【
図8】本発明に係るSTBにおける発見情報の処理の例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明に係るSTBにおいてトランスポート・ストリームを取得する例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本発明に係るストリーム発見情報の例を説明するための表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明は、添付図面を参照しつつ、より詳細に説明される。
【0027】
<全般的な概要>
図3を参照すると、マルチメディアサービス事業者(MSO)300は、衛星、地上波およびケーブルによって放送されるマルチメディアサービスを選択する。
図3における選択は、一例を示しており、示唆される組み合わせまたはその他の知られている放送手段との組み合わせにより変更されてもよい。マルチメディアサービスは、デジタルテレビジョン・トランスポート・ストリーム放送により、例えば、DVB放送規格のような地域規格に従って、配信される。この段階において、トランスポート・ストリームは、MPEG−2規格フォーマットである。MSOは、例えば、インターネットサービスプロバイダ(ISP)301のようなIP配信ネットワーク事業者にMPEG−2トランスポート・ストリームを提供する。トランスポート・ストリームは、ISP301によりIPカプセル化され、IPブロードバンドネットワーク302上でマルチキャストされる。ネットワーク302は、例えば、インターネットまたは専用のIPネットワークである。加入者は、IPブロードバンドネットワークに接続されるSTB303をそれぞれ有し、ISP302からIPデータパケットを受信する。
【0028】
例えば、MSO304のような、ISP302にトランスポート・ストリームを提供する追加されたMSOがあってもよい。
【0029】
あるいは、ISPの代わりにMSOのレベルでトランスポート・ストリームをIPカプセル化することも可能であり、マルチキャスト前のISPにIPカプセル化されたトランスポート・ストリームを配信する。
【0030】
MSOは、受信者側つまりSTB303側において異なるトランスポート・ストリームを見つけることを可能とするために必要となる発見情報を生成する。より正確には、その発見情報は、IPマルチキャストされるトランスポート・ストリームを見つけるため、すなわち、どのIPアドレスおよびポートから対応するIPパケットが受信されるのかを知るために、STBに必要とされる。発見情報は、一つ以上のテキストファイル、例えば、よく知られているXMLテキストファイルフォーマットに挿入され、IPブロードバンドネットワーク302上でSTB303へIPマルチキャストされる。典型的には、発見情報は、周期的にマルチキャストされる。
【0031】
STB303は、XMLテキストファイルを受信し、発見情報を抽出し、発見情報を使用してトランスポート・ストリームを選択し、そして、そのトランスポート・ストリームがIPマルチキャストされるローカリゼーションを特定する。そのローカリゼーションからIPパケットを受信した後、MPEG−2トランスポート・ストリームは、IPパケットから逆カプセル化される。受信したトランスポート・ストリームさらに他のトランスポート・ストリームにより利用可能な実際のサービスを発見するために必要なさらなる情報は、例えば、よく知られているDVB−SI規格のようなトランスポート・ストリームを放送するために用いられる地域規格において定義されるような番組配列情報に関する従来の使用によってトランスポート・ストリーム自体からその後に取得される。
【0032】
<発見情報のためのデータモデル>
図4A,4B,4Cはそれぞれ発見情報のためのデータモデルを記述するのに用いられる構成要素の関係を図表構文で表している。
【0033】
図4Aは、エンティティE1およびエンティティE2を表し、一つのエンティティE1は、一つ以上のエンティティE2に関係付けられる。
【0034】
図4Bは、一つのエンティティE1が、0(零)または一つ以上のエンティティE2に関係付けられる場合を表している。
【0035】
図4Cは、一つのエンティティE1が一つのエンティティE2から受け継いでいる場合を表している。
【0036】
図5を参照すると、MSOによって生成された発見情報、すなわち、MSO発見情報500についてのデータモデルが示されている。ボックス500の情報は、0(零)または一つまたは複数のMSOオファー501についての情報を含む。例えば、
図3の例による場合、2つのMSO300および304は、MSO発見情報へのMSOオファーに関する情報をもたらす。
【0037】
図5を再び参照すると、MSOオファー501は、一つ以上の発見情報502のソースに対応する。発見情報502の内容は、ストリーム発見情報(ストリーム・ディスカバリー・インフォメーション)503における特殊化された事項として記述され、ストリーム発見情報503は、IPマルチキャストを通じて利用可能なトランスポート・ストリームについての情報に対応している。ストリーム発見情報503は、一つ以上のストリームのローカリゼーション504に対応している。
【0038】
発見情報502は、ストリーム発見情報503以外の他の形式の情報にも対応してもよいことが分かる。これは、トランスポート・ストリーム以外の他のデータがSTBで利用できる場合である。他のデータの一例は、マルチキャストされているサービスについての発見情報であり、つまりその発見情報は、そのサービスのための、名前、所有者IPアドレスおよびポート番号を有している。その他の例は、ビデオ・オン・デマンド・サービスに関する発見情報である。
【0039】
<DVBトランスポート・ストリームのためのIPマルチキャストシステム>
図6を参照すると、IP放送ネットワークを用いて、DVBトランスポート・ストリームを加入者のSTBにもたらすためのシステムが概略的に示されている。
【0040】
この例において、2つのオファー(オファー1およびオファー2)が提供される。これらのオファーは、一つ以上のMSO(図示せず)を通じて提供される。
【0041】
オファー1およびオファー2は、それぞれ、MPEG−2フォーマットで利用可能なトランスポート・ストリームTS
1,1−TS
1,4およびTS
2,1−TS
2,3を含んでいる。ボックス600におけるIPカプセル化は、トランスポート・ストリームをカプセル化するのに用いられ、その後、ISP601によりLN
1,1−LN
1,4およびLN
2,1−LN
2,3によってそれぞれ参照されるストリームのローカリゼーションにおいてトランスポート・ストリームがIPマルチキャストされる。
【0042】
<発見情報の例>
図7を参照すると、
図6に示すシステムに関して、発見情報が取得されさらに、マルチキャストされる例が概略的に与えられている。
【0043】
オファー情報に関する第1テーブル701が生成される。第1テーブル701は、オファー1およびオファー2のそれぞれについて、ストリーム情報をマルチキャストする予定のサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションLN
0,1およびLN
0,2を示している。
【0044】
ストリーム情報に関する第2テーブル702および第3テーブル703は、オファー1および2のそれぞれについて生成される。それぞれのテーブルは、トランスポート・ストリームおよびそれに対応するストリームのローカリゼーションのリストを含んでいる。
【0045】
ストリーム情報テーブル702は、オファー1からのトランスポート・ストリームTS
1,1−TS
1,4およびそれに対応するストリームのローカリゼーションLN
1,1−LN
1,4のリストを含んでいる。
【0046】
ストリーム情報テーブル703は、オファー2からのトランスポート・ストリームTS
2,1−TS
2,3およびそれに対応するストリームのローカリゼーションLN
2,1−LN
2,3のリストを含んでいる。
【0047】
テーブル701〜703は、IPブロードバンドネットワーク(図示せず)を通じて順に送信されるように、XMLテキストファイルに書き込まれる。テーブル701は、STBによって知られている所定のオファーのローカリゼーションLN
0,0から周期的にマルチキャストされる。これにより、STBは、トランスポート・ストリームを取得するために必要となるオファー情報をどこから取得すべきかを知ることになる。
【0048】
テーブル702および703は、オファー情報に関するテーブル701に示されるサービスプロバイダのオファーのローカリゼーション、すなわち、サービスプロバイダのオファーのローカリゼーションLN
0,1およびLN
0,2から、それぞれ周期的にマルチキャストされる。
【0049】
<ストリーム発見情報>
図10における表は、ストリーム発見情報に含まれることが可能な領域についてのさらなる例を示すものである。本領域についての以下の記述は、
図10が参照される。
【0050】
ストリーム発見情報は、一つまたは複数のトランスポート・ストリーム(TS)についての情報を含んでもよい。
【0051】
TSのそれぞれについて、以下の領域が示される。すなわち、
・もとのネットワーク識別(Id)と、
・TSId(TS識別)と、
・ローカリゼーション。
【0052】
もとのネットワークIdは、TSが、IPマルチキャスト配信ネットワークを通じての配信のために変換される前に、TSを初めに提供するために使用されたネットワークを識別するパラメータである。
【0053】
TSのIdは、トランスポート・ストリームを識別するためのパラメータである。
【0054】
もとのネットワークIdおよびTSIdの双方は、例えば、DVB番組配列情報の一部として局地的DVB規格において用いられるパラメータである。
【0055】
本例で表されたもとのネットワークIdおよびTSIdの組み合わせにより、TSのそれぞれをIPマルチキャスト・ネットワークにおいて一意的に区別できる。それゆえ、サービスは、TSにより伝送されると共にサービスIdを有し、「もとのネットワークId/TSId/サービスId」の経路を通じて一意的に参照される。
【0056】
ローカリゼーションは、IPマルチキャスト・ネットワークにおいてTSの位置を特定するための情報を有する。ローカリゼーションは、そのTSについてのIPマルチキャスト・アドレスおよびポート番号を有する。
【0057】
本例のより好ましい態様において、ストリーム発見情報は、トランスポート・ストリーム、およびストリーム発見情報のバージョン番号を示すバージョン番号を提供するMSOのための識別子を含むこととしてもよい。そのバージョン番号は、ストリーム発見情報に変更が生じる度に増加される。
【0058】
<STBにおける発見情報の使用>
STBは地域規格に基本的に適合していることが分かる。STBは、例えば、MPEG−2トランスポート・ストリームの処理についてDVBに適合しており、DVBトランスポート・ストリームおよびそれに対応するDVBの番組配列情報(SI)を処理する。このことは従来からよく知られており、ここではより詳細には述べない。
【0059】
本発明に係るSTBが標準的なDVB準拠のSTBと比較した際の相違点の一つは、IPブロードバンドネットワーク内の、トランスポート・ストリームがマルチキャストされるストリームのローカリゼーションからトランスポート・ストリームを取得できることである。
【0060】
それゆえ、決められたトランスポート・ストリームにあるサービスにアクセスすることを目的とするSTBからのいかなる要求も、関連するDVB番組配列情報を通じて決められるように、マルチキャストされるオファー情報およびストリーム情報から集められた発見情報を利用することになる。
【0061】
トランスポート・ストリームを要求する際、受信機は、DVB−SIにおけるトランスポート・ストリーム識別と同じトランスポート・ストリーム識別を用いる。しかし、テーブルから読み込まれた周波数に同調し、トランスポート・ストリームが受信されるときの周波数に一致させる代わりに、DVBバンドルの場合では、チューナは、マルチキャストのローカリゼーションのテーブルを調べて、トランスポート・ストリームの取得元のIPアドレスおよびポート対(ストリームのローカリゼーション)を読み込む。
【0062】
このテーブルは、マルチキャストされるオファー情報およびストリーム情報から編集され、STBに記憶される。
【0063】
トランスポート・ストリームそれ自体およびDVB番組配列情報のこれ以降の処理のすべては、従来技術に記載されたよく知られている方法に従って行われる。トランスポート・ストリームに含まれるDVB番組配列情報は、例えば、電子番組ガイドを構築するのに用いられる。
【0064】
ここで、オファー情報およびストリーム情報についての処理の例を、
図8とともに説明する。本例は、
図6および7に関して記載されたオファー1および2に基づいている。
【0065】
ボックス800において、STBは、所定のオファーのローカリゼーションLN
0,0からオファー情報のテーブル701を得る。STBは、オファー情報を処理し、それぞれのオファー、つまり、オファー1および2について、取得されるストリーム情報が存在するサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションLN
0,1およびLN
0,2を抽出する。
【0066】
ストリーム情報は、ボックス801においてサービスプロバイダのオファーのローカリゼーションから得られ、それぞれのオファーについて、ISPによってマルチキャストされるトランスポート・ストリームが存在するストリームのローカリゼーションを記述するテーブル802が編集され、STBに記憶される。
【0067】
テーブル802は、どのストリームのローカリゼーションにおいてストリームが得られるかを識別するためにSTBによって使用される。これは、
図9に例示される。トランスポート・ストリームTS
X,Yのための要求900、例えば、STBにおいて実行されるアプリケーションにより生成される要求の結果として、テーブル802(
図8により知られる)は、ボックス901において調べられ、ストリームのローカリゼーションLN
X,Yが検索される。次のステップ902において、マルチキャストされるトランスポート・ストリームTS
X,Yは、IPパケット903の形式でストリームのローカリゼーションLN
X,Yから取得される。904において、トランスポート・ストリームのMPEG−2パケットは、逆IPカプセル化により抽出される。906において、MPEG−2トランスポート・ストリームは、STBのMPEG−2部によるさらなる処理により取得される。
【0068】
本発明に係るより好ましい実施形態について図を参照しつつ説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲で定義される趣旨および範囲を逸脱しない範囲で様々な変更や改良が当業者によってなされることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
701 オファー情報
702,703 ストリーム情報
LN
0,1,LN
0,2 サービスプロバイダのオファーのローカリゼーション
TS
1,1−TS
1,4,TS
2,1−TS
2,3 マルチサービス・トランスポート・ストリーム
LN
1,1−LN
1,4,LN
2,1−LN
2,3 ストリームのローカリゼーション
LN
0,0 オファーのローカリゼーション