特許第5897312号(P5897312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897312
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】駐車ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   F16H63/34
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-261340(P2011-261340)
(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公開番号】特開2013-24416(P2013-24416A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0072556
(32)【優先日】2011年7月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 成 旭
(72)【発明者】
【氏名】金 兌 桓
(72)【発明者】
【氏名】金 多 熙
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−322489(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01519086(EP,A2)
【文献】 特開2009−063006(JP,A)
【文献】 特開2010−241256(JP,A)
【文献】 実開平06−083525(JP,U)
【文献】 特開平09−089088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/26−61/36
63/00−63/38
G05G 1/00−13/02
25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッキング機構によってパーキング解除状態を維持する駐車ブレーキシステムにおいて、
変速機の外部に連結して回動が可能なコントロールレバー、
前記コントロールレバーの終端に連結するハードタイプのシフトケーブル、
前記シフトケーブルに連結してパーキング解除状態を維持するロッキング機構、および
前記コントロールレバーと連結し、油圧により前記コントロールレバーとシフトケーブルを移動させることによってパーキング解除状態を維持するピストン部材とシリンダーとを含み、
前記ロッキング機構は、前記シフトケーブルに連結して、前記シフトケーブルの移動によって回転が可能なロッキングレバー、
前記ロッキングレバーの内部に形成され、昇下降が可能なロッキングピン、
前記ロッキングピンを支持するロッキングスプリング、および
前記ロッキングピンの上端に位置し、変速段によって前記ロッキングピンが接する部位が変わるディテント、を含み、
前記ロッキング機構は、前記ロッキングピンと接触し、その内部に形成されているヒンジによって回動可能なロッキング解除リンクをさらに含むことを特徴とする駐車ブレーキシステム。
【請求項2】
前記ロッキング機構は、前記ロッキングレバーの下端に形成されて、ロッキングレバーの回転を可能にする回転軸をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項3】
前記ロッキング解除リンクはソレノイドバルブによって作動することを特徴とする請求項1に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項4】
前記ディテントは、変速段によって段差を有して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項5】
前記シリンダーの一側には、選択的にオイルが供給されるオイル供給ホールが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項6】
前記ロッキング機構は、前記ロッキング解除リンクの上端に位置して、非常時に駐車モードへの進入を可能にする非常ボタンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項7】
前記ロッキング機構は、前記ロッキングレバーの下段に結合されるピニオンギヤ、および前記ピニオンギヤとギヤ結合して前記ピニオンギヤを回転させるラックギヤ、をさらに含んで非常時の駐車モードの解除が可能であることを特徴とする請求項1に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項8】
前記ラックギヤはプッシュロッドに装着されており、前記プッシュロッドの下端にはリターンスプリングが連結されたことを特徴とする請求項7に記載の駐車ブレーキシステム。
【請求項9】
前記ロッキングレバーの上端には非常駐車解除ホールが形成されて、ロッキングピンを駐車モードの位置に移動させられることを特徴とする請求項7に記載の駐車ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車ブレーキシステムに係り、より詳しくは、自動変速機の外部に形成されるロッキング機構を利用して変速段を維持する駐車ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、SBW(Shift By Wire)は、運転者の意思をTCU(Transmission Control Unit)に伝達して、油圧または空圧により機械的にパーキングを解除する方法であって、従来のTGS(Transmission Gear Shift)レバー(P/R/N/D)を動かす作動力と比べ、遥かに小さい力でパーキングを解除することができるので、運転者に利便性を提供する。
SBWでは、パーキングが解除された状態で、走行中にピストン部材の作動油圧が突然低下すれば、変速機が機械的にパーキングに進入することになり、これを防止するために、ロッキング機構を備えなければならない(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
従来のSBWは、変速機の内部の油圧で作動するピストンに連結されたロッキング機構を作動させ、電流が解除された状態でロッキングを維持する構造であった。したがって、N段でエンジン停止時には、バッテリーが放電する問題があった。
即ち、従来のSBWでは、NL(Normal Low)タイプのソレノイドが使用され、このNLタイプのソレノイドバルブは、電流が供給される間にだけロッキングを維持し、電流の供給が遮断された場合にロッキングを解除する。
【0004】
従来のNLタイプのソレノイドバルブを使用したSBWでは、N段でエンジン停止し、N段に維持し続けるためには、TCUでパーキング解除を維持するために電流を流してパーキング解除状態を維持することが可能でるが、この方法ではエンジン停止状態でも電気を継続的に供給するため、バッテリーが放電する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−165312号公報
【特許文献2】特表2008−503695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、変速機の油圧により作動するピストンを利用して、駐車モード(P段)または駐車モード以外のモード(R/N/D段)を能動的に制御でき、エンジン停止時にも変速段別にロッキングを維持して、N段でエンジン停止時、N段を維持することができる駐車ブレーキシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の駐車ブレーキシステムは、ロッキング機構によってパーキング解除状態を維持する駐車ブレーキシステムにおいて、変速機の外部に連結して回動が可能なコントロールレバー、前記コントロールレバーの終端に連結するハードタイプのシフトケーブル、前記シフトケーブルに連結してパーキング解除状態を維持するロッキング機構、および前記コントロールレバーと連結し、油圧により前記コントロールレバーとシフトケーブルを移動させることによってパーキング解除状態を維持するピストン部材とシリンダーとを含み、前記ロッキング機構は、前記シフトケーブルに連結して、前記シフトケーブルの移動によって回転が可能なロッキングレバー、前記ロッキングレバーの内部に形成され、昇下降が可能なロッキングピン、前記ロッキングピンを支持するロッキングスプリング、および前記ロッキングピンの上端に位置し、変速段によって前記ロッキングピンが接する部位が変わるディテント、を含み、前記ロッキング機構は、前記ロッキングピンと接触し、その内部に形成されているヒンジによって回動可能なロッキング解除リンクをさらに含むことを特徴とする。
【0008】
ロッキング機構は、ロッキングレバーの下端に形成されて、ロッキングレバーの回転を可能にする回転軸をさらに含むことが好ましい。
【0009】
ロッキング解除リンクはソレノイドバルブによって作動することが好ましい。
【0010】
本発明の実施例においては、ディテントは変速段によって段差を有して形成されたことが好ましい。
シリンダーの一側には、選択的にオイルが供給されるオイル供給ホールが形成されることが好ましい。
ロッキング機構は、ロッキング解除リンクの上端に位置して、非常時に駐車モードへの進入を可能にする非常ボタンをさらに含むことが好ましい。
【0011】
本発明の実施例においてロッキング機構は、ロッキングレバーの下端に結合されるピニオンギヤ、およびピニオンギヤとギヤ結合してピニオンギヤを回転させるラックギヤ、をさらに含んで非常時に駐車モードの解除が可能であることが好ましい。
ラックギヤは、プッシュロッドに装着されており、プッシュロッドの下端にはリターンスプリングが連結されたことが好ましい。
ロッキングレバーの上端には、非常駐車解除ホールが形成されていて、ロッキングピンを駐車モードの位置に移動させられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、駐車モードが解除された状態で、走行中に突然ピストン部材の作動油圧が低下しても、変速機の機械的パーキング進入を防止することができる。
また、電流が解除された状態でロッキングを維持するNHタイプのソレノイドバルブを使用することによって、N段でエンジン停止時にも継続的にN段を維持することができ、バッテリーが放電する問題を解決することができる。
また、変速機の内部でNHタイプを使用する時に発生する非常駐車モード進入のためのケーブルおよびリンク装置を減らすことができる。
さらに、NLタイプのソレノイドバルブを使用する時に必要なSBWモータを削除することができ、非常時にレバーを利用して容易に非常パーキングを解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例による駐車モード以外のモードにおけるロッキング機構の概略図である。
図2】本発明の実施例による駐車モードにおけるロッキング機構の概略図である。
図3】本発明の実施例によるパーキング機構の断面図である。(a)は油圧がピストン部材に加えられる時の作動図、(b)はピストン部材に加えられた油圧を解除した時の作動図である。
図4】本発明の実施例によるロッキングレバーとロッキングピンの側断面図である。(a)は駐車モード以外のモードであり、(b)は駐車モードである。
図5】本発明の実施例による非常時の駐車モードへの進入を説明するためのロッキング機構の概略図である。
図6】本発明の実施例による非常時の駐車モードを解除する方法を説明するためのロッキング機構の断面図である。(a)は正常時のロッキング機構の構成図であり、(b)は非常に駐車モードを解除したときの作動図である。
図7】本発明の他の実施例による非常時の駐車モードを解除する方法を説明するためのロッキング機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の実施例による駐車モード以外のモードにおけるロッキング機構の概略図であり、図2は本発明の実施例による駐車モードにおけるロッキング機構の概略図である。
以下、図1および図2を参照して、本発明の実施例による駐車ブレーキシステムについて説明する。
本発明の駐車ブレーキシステムは、自動変速機10の外部に形成され、回転運動が可能なコントロールレバー20、コントロールレバー20の終端に連結するハードタイプのシフトケーブル30、シフトケーブル30に連結して、パーキング解除状態を維持するロッキング機構50、およびコントロールレバー20と連結し、その移動によって変速段を決定するピストン部材42と、ピストン部材42が挿入されて、移動可能な空間を提供するシリンダー44とを有するパーキング機構40を含む。
【0015】
ロッキング機構50は、シフトケーブル30に連結されて、下端に形成された回転軸53を中心に回動可能であり、外部に突出したロッキングピン54がロッキングスプリング56によって支持されるロッキングレバー52と、ロッキングピン54と接触し、駐車モードと駐車モード以外のモードの接触位置に段差を有して形成されていて、モードによってロッキングピン54が接する部位が変わるディテント57とを含む。
また、ロッキング機構50は、ロッキングレバー52の一側に形成されて、ヒンジ59を中心に回転し、その回転によって終端がロッキングピン54を加圧できるロッキング解除リンク58をさらに含むことができる。この時、ロッキング解除リンク58は、ロッキング解除リンク58と連結されるソレノイドバルブ55によって作動する。
【0016】
図1および図2に示したとおり、ロッキングピン54が駐車モードの位置(P)にあるか、駐車モード以外のモードの位置(NOT P)にあるかによって、変速段が決定される。
また、本発明の実施例によるロッキング機構では、ソレノイドバルブ55または制御器が作動しないか、またはバッテリーが放電する場合のような非常時に、ロッキングピン54が駐車モードまたは駐車モード以外のモードに進入することができる。
【0017】
図5は、本発明の実施例による非常時の駐車モードへの進入を説明するためのロッキング機構50の概略図である。図5によると、ディテント57の上部に非常ボタン60を設置して、非常ボタン60を押すとロッキングピン54が下降し、ロッキング解除リンク58によってロッキングピン54が駐車モードの位置(P)に移動して、駐車モードに進入する。
上記の方法以外にも、SBC(Shift By Cable)車両のシフトロックリリース(Shift Lock Release)位置に設けられるE−SHIFTERの駐車ボタンを二重構造にして、1段階に押した場合には正常に作動するが、さらに深く2段階に押した場合には非常時の作動となるよう、非常ボタン60を構成することも可能である。
【0018】
図6に、本発明の実施例による非常時の駐車モードを解除する方法を説明するためのロッキング機構の断面図を示した。
発明の実施例によると、図6に示したとおり、制御器の故障、バッテリー放電等の非常時に、ロッキングピン54を駐車モードから駐車モード以外のモードに変更することができる。本発明のロッキング機構は、SBW車両のE−SHIFTER近くのボード65に溝62を形成し、溝62にラックギヤ80が装着されたプッシュロッド82を設置し、ラックギヤ80とギヤ結合が可能なピニオンギヤ70をロッキングレバー52の下端に一体に結合して、ピニオンギヤ70とラックギヤ80がギヤ結合するときに、ロッキングレバー52を回転可能にする。ロッキングレバー52が回転すると、駐車モードを駐車モード以外のモードに変更する。ラックギヤ80とピニオンギヤ70を結合させるためにはプッシュロッド82を下降させる必要があるが、これはE−SHIFTER近くの溝62にドライバーなどの工具86を用いてプッシュロッド82を押せばよい。
正常な作動時にはラックギヤ80とピニオンギヤ70が結合しないように、プッシュロッド82の下端にはリターンスプリング84が装着される。
【0019】
図7は本発明の他の実施例による非常時の駐車モードを解除する方法を説明するためのロッキング機構の断面図である。
本発明の実施例によれば、非常時に駐車モードを解除するために、ロッキングレバー52に非常駐車解除スロット(図示せず)および非常駐車解除ホール(図示せず)を形成して、非常駐車解除ホールに工具86を装着して引くことによって、パーキングを解除することができる。
【0020】
以下、本発明の実施例によるロッキング機構の作動過程について説明する。
最初に、図1を参照して、駐車モードから駐車モード以外のモードに変速する場合のロッキング過程について説明する。
TCU(図示せず)が運転者からの駐車モード以外の変速段への進入信号を受信したとき、TCUは変速機10内部の圧力を制御してパーキング油圧をピストン部材42に加える。即ち、オイル供給ホール46を通じてオイルがシリンダー44に流入して油圧が形成され、図3(a)に示したとおり、ピストン部材42を図中右側に移動させる。ピストン部材42は変速機10の外部に形成されるコントロールレバー20と連結されていて、ハードタイプのシフトケーブル30を図1に示したとおり矢印方向に押し出す。シフトケーブル30の移動によって、シフトケーブル30と連結されているロッキングレバー52が回転軸53を中心に回転する。ロッキングレバー52が時計方向に回転することによって、ロッキングピン54を支持していたロッキングスプリング56の弾性力によりロッキングピン54が上昇して、ロッキングレバー52が駐車モード以外のモードの位置(NOT P)に位置する。この作動により、駐車モード以外のモードのロッキングが維持される。
この状態ではパーキング油圧が解除されても、ロッキングピン54は段差を有するディテント57に係止されているので、シフトケーブル30およびピストン部材42が駐車モードに進入することを防止できる。この時、ロッキングピン54の上端に置かれているロッキング解除リンク58は、ロッキングピン54が上昇することによってロッキングレバー52と共に時計方向に回転する。
【0021】
以下、図2を参照して、本発明の実施例による駐車モードから駐車モード以外のモードに変速する場合のロッキング過程について説明する。
TCUが運転者からの駐車モード信号を受信すれば、ロッキング解除のためのソレノイドバルブ55に電流を印加する。ソレノイドバルブ55に電流が印加されると、ロッキング解除リンク58がヒンジ59を中心に反時計方向に回転しながらロッキングピン54を下降させる。ロッキングピン54が下降してロッキングが解除される位置に位置するようになる。即ち、ロッキングピン54がディテント57に係止されない位置まで下降し、シフトケーブル30がロッキングレバー52を引けばロッキングレバー52の回転が可能な状態になる。
この時、TCUは変速機10の内部の圧力を制御して、ピストン部材42に加えられた油圧を解除する。即ち、オイル供給ホール46を通じてオイルを外部に排出させる。これによって、ピストン部材42は図3(b)に示したとおり、図中左側に移動する。
【0022】
このとき、ピストン部材42と連結されるコントロールレバー20が、図2に示したとおり時計方向に回転しながらシフトケーブル30を矢印方向のように図中左側に引く。次いで、シフトケーブル30に連結されたロッキングレバー52が引かれて反時計方向に回転すると、ロッキングピン54が駐車モードの位置(P)に位置し、エンジン停止時にも駐車モードが維持されるようにロッキングされる。
この方法によって、駐車モードにおける駐車ブレーキのロッキングが維持される。
【0023】
図4は、本発明の実施例によるロッキングレバーとロッキングピンの側断面図である。図4(a)は駐車モード以外のモードであり、図4(b)は駐車モードであり、それぞれのモードにおけるロッキングピン54の位置を示した。駐車モードにおけるロッキングピン54の位置が駐車モード以外のモードより低く位置されるが、これはディテント57で駐車モードの位置(P)が駐車モード以外のモードの位置(NOT P)よりもさらに低く、段差を有して形成されているためである。
【0024】
以下、図5を参照して、本発明の実施例による非常時に駐車モード以外のモードから駐車モードへの進入するための作動について説明する。
ロッキング解除のためのソレノイドバルブ55または制御器の故障、バッテリー放電等の非常時にロッキングピンを駐車モードに進入させるために、本発明の実施例においては、ロッキング解除リンク58の上部に非常ボタン60を設けて、非常ボタン60を押してロッキング解除リンク58を強制的に反時計方向に回転させる。即ち、非常ボタン60を押してロッキング解除リンク58を押し下げると、ロッキング解除リンク58はヒンジ59を中心に反時計方向に回転し、ロッキングピン54の係止が解除されて、ロッキングレバー52が反時計方向に回転する。。
【0025】
発明の実施例においては、非常時に駐車モードへの進入を可能にするために、E−SHIFTER駐車ボタンを二重にすることを提案する。即ち、ボタンを一回だけ軽く押した場合には正常に作動して、電子式で駐車モードに進入するようになるが、さらに深く押した場合に機械式で作動して、非常ボタン60がロッキング解除リンク58を押して、非常時の駐車モードへの進入を可能にする。
上記の構成により、ソレノイドバルブ55の故障によって車両が停車した時、電気式で駐車モードへの進入ができない場合に、運転者が非常ボタン60またはE−SHIFTER駐車ボタン(図示せず)を深く押せば、機械的に駐車モードへの進入が可能になる。
【0026】
以下、図6および図7を参照して、制御器の故障またはバッテリー放電時のような非常時に駐車モードを解除する方策について説明する。
本発明の実施例によれば、非常時に駐車モードを解除するための方策として、ロッキングレバー52を回転させるためにピニオンギヤ70とラックギヤ80のギヤ結合を利用する。即ち、ロッキングレバー52の下端に形成されたピニオンギヤ70がロッキングレバー52と一体に結合される。SBW E−SHIFTER近くのボード65に溝62が形成され、ラックギヤ80が装着されたプッシュロッド82が溝62の下に形成されている。正常な作動時にはリターンスプリング84によってピニオンギヤ70とラックギヤ80が結合しない位置までプッシュロッド82を押し上げて、騒音を最小限にする。非常時には、溝62にドライバーなどの工具86でプッシュロッド82を押すと、図6(b)に示したとおり、ラックギヤ80が下降しながらピニオンギヤ70と結合して、ピニオンギヤ70が時計方向に回転する。これによって、ロッキングレバー52も共に時計方向に回転し、ロッキングピン54が駐車モードの位置(P)から駐車モード以外のモードの位置(NOT P)に移動する。
【0027】
また、本発明の他の実施例によれば、非常時に駐車モードを解除する方策として、図7に示した方法を提示する。即ち、ロッキングレバー52の上端に非常駐車解除スロットを形成し、この非常駐車解除スロット内に非常駐車解除ホールを形成して、非常駐車解除ホールに工具86を装着して引くことによって、パーキングを解除することができる。
駐車モード解除後には、ロッキングピン54が駐車モード以外のモードのロッキング位置にあって、駐車モード解除状態が維持される。
【0028】
以上、本発明に関する好ましい実施例について説明したが、本発明は実施例に限定されず、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を習得した者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
10 変速機
20 コントロールレバー
30 シフトケーブル
40 パーキング機構
42 ピストン部材
44 シリンダー
46 オイル供給ホール
50 ロッキング機構
52 ロッキングレバー
53 回転軸
54 ロッキングピン
55 ソレノイドバルブ
56 ロッキングスプリング
57 ディテント
58 ロッキング解除リンク
59 ヒンジ
60 非常ボタン
62 溝
65 ボード
70 ピニオンギヤ
80 ラックギヤ
82 プッシュロッド
84 リターンスプリング
86 工具
NOT P 駐車モード以外のモードの位置
P 駐車モードの位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7