【実施例】
【0031】
<構成>以下、構成について説明する。
【0032】
図1に示すように、上記した仮設トイレ用配管設備21は、地中に埋設された仮設トイレ用マンホール22などの汚水枡(または汚水溜め)と、この仮設トイレ用マンホール22に接続される排水管23(または排水集合管)と、この排水管23の側面から地上へ向けて延びる縦管24(または個別排水管)とを備えている。
【0033】
そして、
図1の全体図、および、
図2〜
図4の三面図に示すように、上記した仮設トイレ用マンホール22は、地中に埋設可能なマンホール本体25と、このマンホール本体25の側面に貫通配置された汚水流入管26と、マンホール本体25に設けられた汚水流出管27とを備えている。そして、上記した汚水流入管26の内側端部には、汚水28を封水可能な封水弁29が取付けられている。
【0034】
ここで、上記について補足説明すると、先ず、上記した仮設トイレ用マンホール22は、非常時などにおいて、排水用の水を容易に確保できるようにするため、プールや貯水池などの水源となる位置の近傍に設けられるのが好ましい。
【0035】
そして、マンホール本体25は、ほぼ上下方向へ延びる筒状のものとされている。マンホール本体25は、コンクリート製のものとすることができるが、この場合には、樹脂製のものとされている。マンホール本体25は、一体のものとすることができるが、2個または3個以上の複数の分割ブロックを組合わせたものとすることができる。
【0036】
この場合には、
図2に示すように、上ブロック25aと、下ブロック25bとを上下方向に2個組合せたものとされる。上ブロック25aと下ブロック25bとは、ボルト、ナットなどの締結部材25cによって上下方向に一体的に締結固定される。この場合、下ブロック25bは、
図4に示すように、平面視ほぼ長円形状のものとされ、上ブロック25aは、特に明確には図示しないが、
図2からも分かるように、下端部が平面視ほぼ長円形状、上端部が平面視ほぼ円形状をして、上方へ行くに従い縮径する側面視縮径形状のものとされている。この場合には、長径方向の一側に縮径部25dが形成されている。下ブロック25bの上端と、上ブロック25aの下端とは、互いに合致する大きさとされている。下ブロック25bの上端と、上ブロック25aの下端との間には、シール部材25eが介在される。
【0037】
マンホール本体25の上端の開口には、蓋部材25f(マンホール蓋)が開閉可能に取付けられる。この蓋部材25fは、例えば、金属製または樹脂製のものなどとされている。この蓋部材25fは、マンホール本体25の上端(に設けられた蓋受部)に嵌合配置可能なほぼ円板状のものとされる。この蓋部材25fは、地表面とほぼ面一に設置される。
【0038】
マンホール本体25の下端の開口には、底板部材25gが取付けられる。この底板部材25gは、例えば、コンクリート製や樹脂製のものなどとされる。この底板部材25gは、マンホール本体25の下端よりも一回り大きい平面視ほぼ長円形状のものとされて、マンホール本体25の下端の開口を塞ぎ得るよう構成されている。底板部材25gはボルト、ナットなどの締結部材25hによってマンホール本体25に上下方向に一体的に締結固定される。
【0039】
そして、マンホール本体25の内底部には、汚水枡の底面を構成するカロート部30が設けられる。このカロート部30は、
図3に示すように、凹溝部30aと、この凹溝部30aの両側部にそれぞれ設けられた傾斜面部30bとを有している。凹溝部30aは、
図2に示すように、マンホール本体25の長径に沿って延びるほぼ半円形状のものとされている。凹溝部30aには、後述するように、汚水流入管26側から汚水流出管27側へ向けて下り傾斜となる排水勾配が設けられている。また、傾斜面部30bは、
図3に示すように、凹溝部30aへ向かう下り勾配を有する傾斜面とされている。カロート部30は、コンクリート製または樹脂製のものとされる。カロート部30は、上記した底板部材25gと一体または別体に設けられる。なお、カロート部30の構成については、これに限るものではない。
【0040】
上記汚水流入管26は、マンホール本体25の内側に位置する内側挿入部分26aと、マンホール本体25の外側に位置する外側突出部分26bとを有するものとされる。汚水流入管26の内側端部とは、内側挿入部分26aの内端部のことである。汚水流入管26の外側端部とは、外側突出部分26bの外端部のことである。この場合、内側挿入部分26aと、外側突出部分26bとは、それぞれ別個の管継手部材などを利用して構成されており、マンホール本体25に対する貫通部分の周辺で互いに接続固定されている。更に、外側突出部分26bを構成する管継手部材は、2個の管継手部材を接続することによって構成されている。但し、内側挿入部分26aや外側突出部分26bは、単一または2個以上の管継手部材によって構成することも可能である。汚水流入管26は、各部(内側挿入部分26aおよび外側突出部分26b)が樹脂製のものとされる。
【0041】
そして、汚水流入管26は、
図2に示すように、マンホール本体25の下ブロック25bの側面に取付けられる。汚水流入管26は、下ブロック25bの長径の一側に設置される。汚水流入管26は、下ブロック25bの上半部に設置される。汚水流入管26は、好ましくは、長径方向へ向けて設置される。汚水流入管26は、上記した凹溝部30aの勾配の上端側に、凹溝部30aと同じ高さか、それよりも高い位置に配置されるよう設けられる。
【0042】
上記汚水流出管27は、マンホール本体25の側面における汚水流入管26または封水弁29よりも低い位置に設けられる。汚水流出管27は、マンホール本体25の側面から外方へ突出するように取付けられる。汚水流出管27は、樹脂製のものとされる。汚水流出管27は、下ブロック25bの長径の他側に設置される。汚水流出管27は、好ましくは、長径方向へ向けて設置される。汚水流出管27は、上記した凹溝部30aの勾配の下端側に、凹溝部30aとほぼ同じ高さに設けられる。
【0043】
上記封水弁29は、
図4に示すように、下ブロック25bの長径方向の中間位置近傍に設置される。封水弁29は、
図3に示すように、汚水流入管26の内側端部に対して、内側端部全体を覆うように取付けられたガイド29aと、このガイド29aに沿って昇降することにより、内側端部を開閉し得るようにしたゲート29bと、このゲート29bを手動によって昇降させる操作ハンドル29cとを備えたゲート弁などとされている。
【0044】
上記ガイド29aは、二枚の枠体を、間にゴムなどのシール部材を挟んでボルト、ナットなどの締結固定具を用いて一体に締結固定したものである。シール部材は、ゲート29bとほぼ等しい厚みを有するものとされる。
【0045】
上記ゲート29bは、上記した二枚の枠体の間に、昇降可能に配置されたものである。ゲート29bの下端部や両側部は、上記したシール部材によってシールされる。
【0046】
上記操作ハンドル29cは、ゲート29bに対して取付けられる。
【0047】
なお、ガイド29aおよびゲート29bは、少なくとも汚水流入管26の内側端部を全開および全閉し得る大きさおよび形状構造を有するものとされる。ゲート29bは、手動に代えて、或いは、手動に加えて、電動によって開閉し得るようにしても良い。
【0048】
そして、再び仮設トイレ用配管設備21の説明に戻ると、
図1に示すように、上記した排水管23は、地中に埋設されると共に、所要の排水勾配を有して横方向に延設されている。この排水管23の下端部は、上記した汚水流入管26の外側端部に接続されている。また、排水管23の上端部は、閉塞板23aなどによって閉塞されている。なお、排水管23の上端部またはその近傍などに対して、水タンクなどを接続し得るようにすることも可能である。なお、排水管23の断面は、円形や角形などとすることもできるし、長円形や楕円形や卵型などの非円形とすることもできる。
【0049】
また、排水管23は、1本の長尺管などの管部材によって構成することもできるし、複数本の短尺管や中尺管などの管部材を接続して構成することもできるし、また、これらの長尺管や短尺管や中尺管を組合わせて構成することもできる。ここで、長尺管は、全ての縦管24を取付けられる長さを有するものである。短尺管は、1本の縦管24のみを取付けられる長さを有するものである。中尺管は、数本の縦管24を同時に取付けられる長さを有するものである。この場合には、排水管23は、数本の縦管24(3本となっているが、これに限るものではない)を取付けられる長さを有する複数本(
図1では2本、また、
図7の変形例では3本となっているが、これに限るものではない)の中尺管によって構成されている。
【0050】
排水管23における、短尺管どうしの接続部23b、中尺管どうしの接続部23b、または、長尺管と短尺管と中尺管とのいずれか2つの間の接続部23bには、固定継手を用いることもできるが、好ましくは、地震などの揺れに対して変形することによって影響を吸収することができるようにした可変継手を用いることができる。この可変継手は、例えば、管軸方向の位置ズレや管径方向の位置ズレなどに追随できるようにするために、ゴム製のシールリング(変位許容部材)などが介在されたものなどとされる。
【0051】
また、上記した縦管24は、地上へ向けてほぼ上下方向へ延びるものとされる。この縦管24は、地上に達するように設置された上端部に、仮設トイレの便器を接続可能な接続口部24aを有している。縦管24の下端部は、上記した排水管23の上側面に接続されている。この縦管24は、排水管23の軸線方向に沿い間隔を有して複数本設けられる。
【0052】
縦管24は、上記した排水管23と同様に、1本の長尺管によって構成することもできるし、複数本の短尺管を接続して構成することもできるし、また、長尺管や短尺管などを組合せて構成することもできる。または、排水管23から地上までの距離に応じて長さを変えられるようにした伸縮管によって構成することもできる。この場合には、伸縮管によって構成されている。この伸縮管は、内筒と外筒とを伸縮動自在に嵌合させた二重管構造を有するものなどとされる。
【0053】
縦管24における、短尺管どうしの接続部、または、長尺管と短尺管との間の接続部などには、固定継手を用いることもできるが、好ましくは、地震などの揺れに対して変形することによって影響を吸収することができるようにした可変継手を用いることができる。この可変継手は、例えば、管軸方向の位置ズレや管径方向の位置ズレに追随できるようにするために、ゴム製のシールリング(変位許容部材)などが介在されたものなどとされる。また、伸縮管の伸縮部にも、ゴム製のシール材などが介在される。
【0054】
そして、縦管24の上端部の開口部には、必要に応じて、蓋体や、シール部材や、開閉バルブや仮設トイレの便器に対する接続用のジョイントなどの少なくともいずれか取付けられる。
【0055】
また、縦管24の上端部には、縦管24の上端部周辺を覆うカバー部材24b(または保護カバー)が取付けられる。カバー部材24bは、縦管24の上端部に対して一体のものとすることもできるし、別体のものとすることもできる。
【0056】
このカバー部材24bは、例えば、箱状のカバー本体と、このカバー本体の上面設けられた開口部に対して開閉可能に取付けられた蓋部材とを有するものとされる。カバー本体の側面には、カバー本体を地中に埋設した状態に保持させるための係止用フランジ部が横方向などへ向けて張出形成することができる。係止用フランジ部は、カバー本体の全周または周方向の一部に対して設けられる。蓋部材は、地表面とほぼ面一に設置される。カバー部材24bは、金属製や樹脂製などとすることができる。
【0057】
そして、縦管24の下端部と、排水管23の上側面との間の接続部24cには、地震などの揺れに対して傾動することによって影響を吸収することができるようにした可変継手を用いることができる。この可変継手は、例えば、球面継手などとすることができる。そして、この球面継手は、例えば、円筒面状(または曲面状)のサドル部材を介して排水管23の外表面に取付けられる。このサドル部材は、排水管23(の上側面)に形成された開口を覆うように当接配置され、接着固定される。但し、サドル部材の構成や取付手段などについては、これに限るものではない。
【0058】
また、縦管24の上端部(接続口部24a)に接続される便器には、水を供給するための水タンクなどが接続される。
【0059】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0060】
(構成1)
図2〜
図4に示すように、汚水流入管26の内側挿入部分26aの途中に、汚水28のオーバーフローが可能なオーバーフロー管31が取付けられるようにする。
【0061】
ここで、上記についての補足説明を行なうと、オーバーフロー管31は、マンホール本体25の内部へ、汚水流入管26や排水管23に封水された汚水28をオーバーフローさせるものである。このオーバーフロー管31は、例えば、内側挿入部分26aの上側面から上方へ延びる立上部31aと、この立上部31aの上端から横方向へ延びる上部横延長部31bと、この上部横延長部31bの先端から下方へ延びる立下部31cと、この立下部31cの下端から横方向へ延びる下部横延長部31dとを有するものなどとされる。この場合、立上部31a、上部横延長部31b、立下部31c、下部横延長部31dは、それぞれ樹脂製の管部材によって構成されると共に、これらの管部材の間は、樹脂製のエルボ部材(90度エルボなどの曲げ部材)などによって順に接続されている。
【0062】
また、汚水流入管26(の内側挿入部分26aの上側面)と、オーバーフロー管31(の立上部31aの下端)との間は、内側挿入部分26aの上側面に沿った円筒面状(または曲面状)を有するサドル部材31fを用いて接続されている。このサドル部材31fは、内側挿入部分26a(の上側面)に形成された開口を覆うように当接配置され、接着固定される。但し、サドル部材31fの構成や取付手段などについては、これに限るものではない。
【0063】
この際、上部横延長部31bは、封水弁29の幅方向へ向けて、封水弁29の側面の位置よりも外側へ突出し得る長さに延設され(
図4参照)、下部横延長部31dは、汚水流入管26の軸線方向の他側へ向けて、封水弁29とほぼ同じか封水弁29を越える長さに延設される。この場合、下部横延長部31dは、汚水流入管26の中心位置よりも若干高い位置に設置されている。但し、下部横延長部31dの高さは、これに限るものではなく、上記したカロート部30(の傾斜面部30b)よりも高く、上部横延長部31bよりも低くなる範囲で最適となるよう任意に設定することができる。また、上部横延長部31bと下部横延長部31dとに対し、排水勾配を設けるようにしても良い。
【0064】
なお、オーバーフロー管31は、上記に代えて、または、上記に加えて、全体または少なくとも一部を可撓管で構成することが可能である。この場合には、マンホール本体25の内部に、可撓管を吊下げ支持や持上げ支持や横持ち支持が可能な吊具や支持具などを設けるようにするのが好ましい。
【0065】
(構成2)
必要に応じて、上記したオーバーフロー管31を、高さ調整可能となるように構成する。
【0066】
ここで、上記についての補足説明を行なうと、オーバーフロー管31は、高さ調整機構32を有するものとされる。この高さ調整機構32は、
図5、
図6に示すような伸縮式のものや、特に図示しないが継足式のものなどとすることができる。
【0067】
伸縮式の高さ調整機構32は、例えば、内筒32aと外筒32bとを伸縮動可能に嵌合してなる二重管構造を備えて、内筒32aと外筒32bとの嵌め合い深さを変更することにより、長さを調整し得るようにしたものである。内筒32aは外筒32bに対して摺動可能に嵌合される。この伸縮式の高さ調整機構32は、内筒32aと外筒32bとの嵌め合い深さを固定するための位置固定機構を有するものとされる。この位置固定機構は、例えば、外筒32bの上端部に形成された雄ネジ部と、内筒32aの外周部に回転自在に嵌合された雌ネジ部と、内筒32aの下端部に形成されて、上記した雌ネジ部を係止保持可能なフランジなどの係止部とを有するものなどとされる。但し、伸縮式の高さ調整機構32の構成は、これに限るのもではない。
【0068】
また、継足式の高さ調整機構32は、例えば、分割された上部管と下部管との間に着脱可能なジョイント部を有して、ジョイント部を利用して上部管と下部管との間に任意の長さの継足管部材を継足し得るようにしたものである。上記したジョイント部は、上部管の下端部と下部管の上端部との一方に雄ネジ部または雌ネジ部を有し、他方に雌ネジ部または雄ネジ部を有するものなどとされる。但し、継足式の高さ調整機構32の構成は、これに限るのもではない。
【0069】
高さ調整機構32には、必要に応じて、気密性や水密性を確保するためのシール部材が設置される。
【0070】
上記した高さ調整機構32は、少なくとも立上部31aに設けられる。これに加え、上記高さ調整機構32は、立下部31cにも設けて、下部横延長部31dの高さを調整し得るようにすることができる。
【0071】
なお、オーバーフロー管31に高さ調整機構32を設けたことに伴い、
図7に示すように、排水管23をより長尺となるように延長したりすることが可能となる。また、マンホール本体25の上ブロック25aと、下ブロック25bとの間などに中間ブロック25iなどを介在させて、マンホール本体25の高さ寸法を増やすことなども可能となる。
【0072】
(構成3)
図1に示すように、仮設トイレ用マンホール22における、汚水流入管26の外側端部には、上記したように排水管23が接続される。そして、この排水管23が、上記した外側端部よりも口径の大きい大径部23cと、この大径部23cと外側端部とを接続可能な口径変更部23dとを有するものとする。
【0073】
ここで、上記についての補足説明を行なうと、要するに、排水管23の少なくとも一部を、汚水流入管26よりも大径化し得るようにする。ここで、排水管23には、上記した長尺管や短尺管や中尺管などの管部材、および、接続部23bなどの継手部材も含まれるものとする。
【0074】
大径部23cは、従来の排水管3(
図8参照)よりも口径が小さくなるようにすることが好ましい。但し、必要な場合には、従来の排水管3と口径が同じかそれよりも大きくなるようにすることもできる。
【0075】
口径変更部23dは、汚水流入管26にとっては上流側を拡径する拡径部となり、排水管23にとっては下流側を縮径する縮径部となるものである。口径変更部23dは、下半部が、排水管23および汚水流入管26とそれぞれ同じ断面形状を有して、これらに面一状態で連なるものとされる。そして、口径変更部23dは、上半部が、排水管23と汚水流入管26との間を滑らかに結ぶ形状変化部分などとされる。
【0076】
口径変更部23dの設置位置は任意であるが、構造上、排水管23と汚水流入管26との接続部23bおよびその周辺や、排水管23を構成する管部材どうしの接続部23bまたはその近傍に設けるのが好ましい。この場合には、排水管23と汚水流入管26との接続部23b近傍に口径変更部材として介在されるものとなっているが、中尺管どうしの接続部23bまたはその周辺に設けることもできる。
【0077】
また、排水管23は、複数の口径変更部23dを用いて口径を多段に変更(拡径)し得るようにすることも可能である。
【0078】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0079】
予め仮設トイレ用マンホール22を含む仮設トイレ用配管設備21を地中に埋設しておくことにより、非常時などに、地上に達するように設置された複数本の縦管24の上端部の接続口部24aにそれぞれ便器を接続し、これらの便器を覆うように適宜、仕切りや囲いや建屋などを設けることによって、短期間のうちに本格的で衛生的な仮設トイレを簡単に構築することができる。
【0080】
そして、仮設トイレで生じた汚水28は、縦管24、排水管23、汚水流入管26を順番に通って、マンホール本体25へ送られ、更に、マンホール本体25から汚水流出管27を介して外部の汚水処理施設へと送られる。
【0081】
この際、汚水流入管26の内側端部に取付けられた封水弁29を閉じておくことにより、汚水流入管26の内部に所定量の汚水28を貯留することが可能となる。これにより、汚水流入管26よりも上流側の部分を汚水溜めとして使用することができるようになるので、その分、マンホール本体25を小型化することが可能となる。
【0082】
そして、汚水流入管26の内側挿入部分26aの途中にオーバーフロー管31を取付けることにより、汚水流入管26の内部に溜まった汚水28が所定のレベルを越えた時に、越えた分の汚水28(の液状分)をマンホール本体25内へオーバーフローさせ、汚水流出管27から排出させることができる。これにより、汚水流入管26の上流側に汚水28があふれ出るのを防止することができる。
【0083】
そして、汚水流入管26の内部が満杯になった頃合いを見計らうか、或いは、一定期間ごと(例えば1日1回から2回程度)などに封水弁29を開くことにより、汚水流入管26の内部に貯留された汚水28(固形分と液状分とを含む)を、汚水28の水圧を利用して一気にマンホール本体25へ流し、マンホール本体25から汚水流出管27を介して外部の汚水処理施設へと送ることができる。これにより、必要な汚水28の貯留量を確保しつつマンホール本体25を小型化して構造の簡略化を図ることが可能となる。また、マンホール本体25から外部の汚水処理施設へ汚水28を送るために、汚水28とは別に流す水の量を減らすことができる。
【0084】
なお、汚水流入管26の内部やその上流側の排水管23に貯留する汚水28の量は、封水弁29を開くまでに汚水28が過度にオーバーフローしない量で、しかも、封水弁29を開く際に汚水28の排水に必要な最低限の水圧が確保される量となるような設定とするのが好ましい。
【0085】
しかも、上記した封水弁29を、汚水流入管26の内側端部に取付けたことにより、封水弁29をマンホール本体25の内部に容易に設置することができる。
【0086】
また、汚水流出管27をマンホール本体25の側面における封水弁29よりも低い位置に取付けることが可能となる。これにより、例えば、マンホール本体25の底面に汚水28の排出口を設けるようにした場合には、マンホール本体25の下側に汚水28の排出経路を設置しなければならないのに対し、マンホール本体25とほぼ同じ深さに汚水28の排出経路を設置することが可能となるので、その分、汚水28の排出経路を地中に埋設するための地面の掘削深度を浅くすることが可能となり、その分、施工の容易化を図ることができる。
【0087】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
(効果1)
上記した構成1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0089】
即ち、オーバーフロー管31を、汚水流入管26の内側挿入部分26aの途中に取付けたことにより、封水弁29にオーバーフロー機能を持たせる必要がなくなるので、その分だけ封水弁29を小さくすることができる。以って、マンホール本体25を更に小型化することが可能となる。これにより、仮設トイレ用マンホール22や仮設トイレ用配管設備21の設備コストを下げると共に設置スペースを小さくし、以って、地中に埋設するなどの施工を容易化し、工期を短くして、仮設トイレ用配管設備21の普及を図ることなどが可能となる。
【0090】
しかも、封水弁29からオーバーフロー機能をなくすことにより、汚水流入管26の内部に満管状態で汚水28を貯留することが可能となるので、汚水流入管26の内部やその上流側の排水管23に貯留できる汚水28の量を増やすことが可能となる。よって、その分、汚水流入管26の上流側の管径を小径化したり、排水勾配を小さくしたりすることができ、以って、汚水流入管26の上流側の管長を長くして、便器の設置個数を増加することなどが可能となる。
【0091】
更に、構造的にも、マンホール本体25(この場合には、下ブロック25b)に対して、汚水流入管26と封水弁29とオーバーフロー管31とを予め取付けて一体のアセンブリ部品化しておくことができるので、現場でマンホール本体25に個別部品状の汚水流入管26と封水弁29とオーバーフロー管31とを搬入して組付けるなどの煩雑な作業をなくすことができ、施工性を格段に向上することができる。
【0092】
(効果2)
上記した構成2によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0093】
即ち、オーバーフロー管31を高さ調整可能とすることにより、汚水流入管26の上流側に貯留できる汚水28の量を調整することが可能となる。
【0094】
例えば、貯留できる汚水28の量を多くしたり、貯留した汚水28の水圧を高くしたりしたい場合には、オーバーフロー管31を高めに設定することができる。反対に、貯留できる汚水28の量を減らしたり、貯留した汚水28の水圧を弱めたりしたい場合には、オーバーフロー管31を低めに設定することができる。
【0095】
また、汚水流入管26の上流側の構成に応じて、オーバーフロー管31の高さを設定し調整することが可能となる。
【0096】
例えば、汚水流入管26の上流側の構成が大きい(例えば、排水管23を長くする)場合には、オーバーフロー管31の高さを高く設定することができる。反対に、汚水流入管26の上流側の構成が小さい(例えば、排水管23を短くする)場合にはオーバーフロー管31の高さを低く設定することができる。
【0097】
(効果3)
上記した構成3によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0098】
即ち、マンホール本体25の汚水流入管26に接続される排水管23が、汚水流入管26の外側端部よりも口径の大きい大径部23cを有することにより、汚水流入管26および排水管23の内部に貯留できる汚水28の量を増量することが可能となる。よって、その分だけ、マンホール本体25を更に小型化することが可能となる。
【0099】
また、大径部23cと汚水流入管26の外側端部との間に口径変更部23dを設けることにより、口径の異なる大径部23cと汚水流入管26とを支障なく接続することが可能となる。特に、複数種類の口径変更部23dを用意しておくことにより、設置時に、現場の状況に応じて、各種の口径の大径部23cの中から最適なものを選択して取付けるようにすることなども可能となる。
【0100】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。