(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897350
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】加熱蒸気を利用した温風器
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20060101AFI20160317BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20160317BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20160317BHJP
F24F 6/12 20060101ALI20160317BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20160317BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
F24H3/04 302
F24H3/04 305J
F26B3/04
F26B21/00 P
F24F6/12 101A
F24F6/02 B
F24F6/00 B
F24F6/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-39025(P2012-39025)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-174387(P2013-174387A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】512047380
【氏名又は名称】カン、ヒョン、ウン
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シェン、グ
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−052847(JP,A)
【文献】
特開2000−161726(JP,A)
【文献】
特開平09−243120(JP,A)
【文献】
特開2010−078249(JP,A)
【文献】
特開2003−056873(JP,A)
【文献】
実開平05−066437(JP,U)
【文献】
国際公開第2009/025200(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3003284(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00− 3/12
F24F 6/00
F24F 6/02
F24F 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯蔵するための貯水槽;
上記貯水槽の水を移送させ、供給する為の水供給手段;
上記水供給手段の端に設置され、水から蒸気を生成する為の蒸気発生手段であって、微細粒子形態の水を噴射する高圧スプレーを有する蒸気発生手段;
上記高圧スプレーの噴射方向に設置され、当該高圧スプレーにより噴射される霧状態の水を加熱して加熱蒸気を生成する第1ヒーター;
上記第1ヒーターの加熱によって生成される加熱蒸気を空気と混合わせて、熱風を生成する為の外部空気吸込口を備え、上記熱風を外部に吐き出す為の吐出口を具備した熱風移送ダクト;
上記熱風移送ダクトに設置され、熱風を強行吐出する為の送風機;
上記送風機の下流に設けられ、上記加熱蒸気と空気との混合物を加熱する第2ヒーター;
上記水供給手段に設置され流量を調節する為の水供給調節手段;
上記熱風移送ダクトに設置され熱風の温度を検出する為の温度感知センサー;
上記温度感知センサー、上記第1ヒーター、上記第2ヒーター、上記高圧スプレー、または、上記送風機、を制御する為の制御部;
を具備したことを特徴とする加熱蒸気を利用した熱風発生装置。
【請求項2】
水を貯蔵するための貯水槽;
上記貯水槽の水を移送させ、供給する為の水供給手段;
上記水供給手段の端に設置され、水から蒸気を生成する為の蒸気発生手段であって、微細粒子形態の水を噴射する高圧スプレーを有する蒸気発生手段;
上記高圧スプレーの噴射方向に設置され、当該高圧スプレーにより噴射される霧状態の水を加熱して加熱蒸気を生成するヒーター;
上記ヒーターの加熱によって生成される加熱蒸気を空気と混合わせて、熱風を生成する為の外部空気吸込口を備え、上記熱風を外部に吐き出す為の吐出口を具備した熱風移送ダクト;
上記熱風移送ダクトに設置され、熱風を強行吐出する為の送風機;
上記送風機の上流に設けられ、上記加熱蒸気に混合される空気を加熱する空気用ヒーター;
上記水供給手段に設置され流量を調節する為の水供給調節手段;
上記熱風移送ダクトに設置され熱風の温度を検出する為の温度感知センサー;
上記温度感知センサー、上記ヒーター、上記空気用ヒーター、上記高圧スプレー、または、上記送風機、を制御する為の制御部;
を具備したことを特徴とする加熱蒸気を利用した熱風発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を過熱することにより生成される加熱蒸気を利用した温風器、並びに乾燥機に関するものである。
【0002】
一般的に、温風器や乾燥機は、ヒーターなどの加熱手段を通して空気を加熱し高温化させた後、その熱風を利用して室内温度を高くしたり、又は対象物を乾燥させている。
【0003】
しかし、このような熱風を利用した温風器は、温度を高くしようとする場所の一隅の温度を高くするのに時間が多くかかることにより暖房の効率が下がるという短所があり、また熱風を利用した乾燥機は、熱風が対象物に均等に加えられない為に局部的な乾燥に終わり対象物全般に懸けての乾燥効率は下がるという短所がある。
【0004】
このような結果が生じる理由は、熱風、即ち加熱した空気を利用して暖房、又は乾燥をしている為であり、これに対する代替方案が要求されてきた。
【0005】
これに応じて最近、加熱蒸気を熱源として利用する事に対する関心が高まっているが、加熱蒸気は一般的に飽和蒸気を飽和圧力より更に加熱し飽和温度以上に加熱した熱量が高い蒸気を意味する。
【0006】
従来、加熱蒸気発生器はボイラー等から供給される飽和蒸気を加熱し、短い時間に大容量の加熱蒸気を生成し、この発生器によって生成される加熱蒸気は飽和蒸気より高温、微粒子であるため、飲食物、調理器具又は乾燥器具の熱源などとして使われている。
【0007】
加熱蒸気を利用した調理器具は飲食物を均一に加熱する特徴があり、飲食物が局部的に焦げないようにするのは勿論のこと、加熱蒸気の温度、並びに供給量調節が容易で調理特性を簡単に調節することが出来るだけでなく蒸気による酸化現象も生じることなく味も変わらないという長所がある。
【0008】
ところが、従来の加熱蒸気発生器は、加熱蒸気を発生させて処理するのに要求される通過断面積を確保するためにスクリュー状態の電熱管(fin heater)を含めた複雑な構成部品を内蔵する構造であるために各種費用が増大され、これによる維持、並びに補修による費用が増大されるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたものとして、加熱蒸気を利用することにより暖房効率、並びに乾燥効率が秀でるようにする加熱蒸気を利用した温風器、並びに乾燥機を提供することに目的がある。
【0010】
本発明の他の目的は、構造が簡単で製造、並びに維持補修の費用が減少される加熱蒸気を利用した温風器、並びに乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上段に吐出口が形成されたハウジングと、前記ハウジングの内部に装着され、水供給手段から供給される水に超音波を加えることが出来るように超音波振動子を有する蒸気発生手段と、下段が前記蒸気発生手段の上方に位置し、上段が前記吐出口と連結されるように設置されたダクトと、前記蒸気発生手段により生成される蒸気を前記ダクトに移動させる第1ファンと、前記ダクトに装着され、前記ダクトを通過する蒸気を加熱させることにより、加熱蒸気が生成されるようにする第1ヒーターと、前記加熱蒸気を外部に流出させる空気と混合し前記ハウジングの吐出口から吐出されるようにする第2ファンと、を備えた加熱蒸気を利用した温風器である。
【0012】
このような構成により、暖房効率に優れ、構造が簡単で製造並びに維持補修の費用が減少される、加熱蒸気を利用した温風器を達成することができる。
【0013】
また、前記ハウジングの吐出口に隣接するように前記ダクトに装着された第2ヒーターを更に備えることが好ましい。
【0014】
また、前記ダクト上に装着された温度センサーを更に備えることが好ましい。
【0015】
また、前記水供給手段の下方に設けられ、前記水供給手段から前記蒸気発生手段に供給される水の量を調節する水供給調節手段を更に備えることが好ましい。
【0016】
あるいは、本発明は、上面に吐出口が形成されたハウジングと、前記ハウジングの内部に位置する第2ファンと、前記第2ファンの上部に設けられ、上段は前記ハウジングの吐出口に連結され、前記第2ファンにより流入されて移動する空気を加熱するための空気用ヒーターが装着された第2ダクトと、前記ハウジングの内部に位置し、水供給手段から供給される水に超音波を加えることが出来るように超音波振動子を有する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段の一側に設けられ、前記蒸気発生手段により生成される蒸気を当該蒸気発生手段の他側に移動するように促す第1ファンと、一端は前記蒸気発生手段の他側に設けられ、他端は前記第2ダクトの上段一側を貫通し、前記第1ファンにより移動される蒸気が過熱され加熱蒸気が生成されるように第1ヒーターが装着された第1ダクトと、を備え、前記第1ダクトを通った加熱蒸気と前記第2ダクトを通った空気が混合し前記ハウジングの吐出口から吐出されることを特徴とした加熱蒸気を利用した温風器である。
【0017】
このような構成により、暖房効率に優れ、構造が簡単で製造並びに維持補修の費用が減少される、加熱蒸気を利用した温風器を達成することができる。
【0018】
前記各温風器は、乾燥器として利用することもできる。
【0019】
また、本発明は、供給された水に超音波振動を加え蒸気を生成する蒸気生成部と、前記蒸気生成部で生成され移動する蒸気に熱を加えることにより加熱蒸気が生成されるようにする加熱蒸気生成部と、前記加熱蒸気生成部で生成される加熱蒸気を外部に吐出することが出来るように設けられた吐出部と、を備えたことを特徴とする加熱蒸気を利用した乾燥システムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明による加熱蒸気を利用した温風器、並びに乾燥機に因れば、加熱蒸気を利用することにより暖房効率、並びに乾燥効率が優れているという効果がある。
【0021】
又、加熱蒸気を乾燥媒体として使用するために被乾燥物の品質が向上され環境汚染物質も排出されず、特に農水産物の乾燥時に自然状態で乾燥したのと同じ様に褐変現象が少ないという効果がある。
【0022】
また、一般の熱風乾燥方式に比べて乾燥速度が速く時間を短縮することが出来る効果がある。
【0023】
更に熱蒸気を利用した暖房を行うと持続的に水分が供給され大量の遠赤外線ヒーターによる各種バクテリア、カビなどの増殖が抑制され人体や植物の細胞組織が活性化されるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による加熱蒸気を利用した温風器の内部を示した断面図。
【
図2】
図2は、
図1に図示された加熱蒸気を利用した温風器の一側面の図。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施例による加熱蒸気を利用した温風器の内部を示した断面図。
【
図4】
図4は、
図3に図示された加熱蒸気を利用した温風器の一要部の平面を示した図。
【
図5】
図5は、本発明による加熱蒸気を利用した乾燥システムの概略図である。
【0025】
以下では、本発明の望ましい実施例に関して添付図面を参照し詳しく説明することにする。
【0026】
只し以下で説明する実施例は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持ったものが発明を簡単に実施することが出来る程度に詳しく説明したものに過ぎず、これにより本発明の保護範囲が限定されることを意味するものではない。そして本発明の様々な実施例を説明するのにおいて同一の技術的特徴を備える構成要素に対しては同一な図面符号を付することとする。
【0027】
図1並びに
図2を参照し、本発明の一実施例による加熱蒸気を利用した温風器に関して説明する。加熱蒸気を利用した乾燥機は、
図1並びに
図2に図示された加熱蒸気を利用した温風器とその構成が実質的に同一である。以下の説明は、加熱蒸気を利用した乾燥機に対しても当然に適用される。
【0028】
図1並びに
図2に図示したように、本実施例による加熱蒸気を利用した乾燥機は、ハウジング(10)、水タンク(20)、蒸気発生手段(30)、ダクト(40)、第1ファン(50)、第1ヒーター(60)、第二ファン(70)、第2ヒーター(80)、温度センサー(90)、水供給調節手段(22)を含む。
【0029】
ハウジング(10)は、水タンク(20)などの構成が内蔵されるように中空である。
【0030】
ハウジング(10)の上段一側には吐出口(図面符号に表示されない)が形成されるが、吐出口は後述するように混合された加熱蒸気、並びに空気が外部に吐出されるように形成されている。
【0031】
水タンク(20)は、ハウジング(10)の内部一側に装着され、水タンク(20)に貯蔵された水は蒸気発生手段(30)に供給されるようになっている。この場合、蒸気発生手段(30)に供給される水の量が調節されるように水タンク(20)の下方には水供給調節手段(22)が設けられている。水供給調節手段(22)は、水供給用ピン(22a)とコック(cock)(22b)とによって構成されている。
【0032】
蒸気発生手段(30)は、ハウジング(10)の内部の他側に装着され、水タンク(20)から供給を受けた水に超音波を加え蒸気を発生させる役割をするものである。このような蒸気発生手段(30)は、水に超音波を加えるための超音波振動子(32)を有しており、超音波振動子(32)の振動により蒸気が発生するようになっている。
【0033】
一方、図示されていないが、蒸気発生手段(30)において、超音波振動子(32)の代わりに高圧で微細粒子形態の水を噴射する高圧スプレーが適応されることもある。
【0034】
ダクト(40)は、下段が蒸気発生手段(30)の上方に位置し上段がハウジング(10)の吐出口と連結される様にハウジング(10)内部に設置されている。これにより、蒸気発生手段(30)により生成される蒸気は、ダクト(40)を通して上方に移動するようになっている。ダクト(40)はステンレス材質で構成されており、汚染が防止されるという利点がある。
【0035】
第1ファン(50)は、蒸気発生手段(30)により生成された蒸気がダクト(40)内を円滑に移動することを補助するような役割を担うものとして、蒸気発生手段(30)の上方の一側に位置するようハウジング(10)に内蔵されている。
【0036】
第1ヒーター(60)は、ダクト(40)に装着されているが、蒸気発生手段(30)により生成された蒸気がダクト(40)を通過する過程で加熱されるようにする役割を担っている。この場合、第1ヒーター(60)により蒸気の温度が100〜600℃程度になるように加熱するのが望ましく、これにより加熱蒸気が生成される。第1ヒーター(60)は遠赤外線ヒーターで構成されることが望ましい。遠赤外線は、バクテリア、カビなどの増殖を抑制し、人体や植物の細胞組織を活性化する効能がある。
【0037】
第2ファン(70)は、ダクト(40)の上側に装着されているが、第1ヒーター(60)により生成される加熱蒸気が空気と混合されてハウジング(10)の吐出口に吐出されるようにする役割を担っている。この場合、ダクト(40)には、第1ヒーター(60)が装着された部分の外側に別途の空気吸入口(42)が設けられている。第1ファン(50)により蒸気は第1ヒーター(60)が装着された部分を通過するが、第2ファン(70)は第1ヒーター(60)を通過する蒸気を上方に移動させるだけでなく空気吸入器(42)を通して外部から空気を流入させ、第1ヒーター(60)を通過した加熱蒸気と空気とを混合してダクト(40)の上側に送る。これにより、ハウジング(10)の吐出口から、混合された加熱蒸気並びに空気が吐出される。加熱蒸気を外部流入空気と混合させる理由は、ハウジング(10)から吐出された後、拡散効率が高くなるようにするためである。
【0038】
前述したように、本発明の一実施例による加熱蒸気を利用した温風器は、第2ヒーター(80)、温度センサー(90)、水供給調節手段(22)を更に含むことが出来る。
【0039】
第2ヒーター(80)は、混合された加熱蒸気並びに空気が第2ファン(70)により送出されるハウジング(10)の吐出口に隣接するようにダクト(40)に装着されている。ダクト(40)に装着された第1ヒーター(60)により加熱蒸気が生成されるが、当該加熱蒸気が空気と混合される場合、その温度が低くなるために、外部に吐出される前に必要な温度に調節するために再び加熱することが出来る第2ヒーター(80)が設けられることが望ましいのである。
【0040】
この場合、ダクト(40)上には、混合された加熱蒸気並びに空気の温度を測定するための温度センサー(90)が装着されることが望ましい。温度センサー(90)は、コントローラー(c)に温度情報を送信し、コントローラー(c)は当該温度情報に基づいて第2ヒーター(80)の作動を制御することが望ましい。
【0041】
図面符号92は、過熱防止センサーを示すものである。過熱防止センサー(92)は、ハウジング(10)の吐出口で吐出される混合された加熱蒸気並びに空気の温度を感知し、コントローラー(c)に送信する。度を過ぎた加熱による火災が生じないように、コントローラー(c)は、第2ヒーター(80)を停止または作動させる制御を担っている。 以上のような本発明の一実施例による加熱蒸気を利用した温風器の作動過程を説明すれば、次のようになる。
【0042】
まず水タンク(20)から水が供給されると、蒸気発生手段(30)の超音波振動子(32)により超音波が加えられ蒸気が発生し、第1ファン(50)により当該蒸気は上方のダクト(40)に移動する。そして当該蒸気がダクト(40)を通過する過程で第1ヒーター(60)により加熱されて加熱蒸気が生成され、この加熱蒸気は外部から流入される空気と混合される。そして混合された加熱蒸気並びに空気は、第2ファン(70)によりダクト(40)の上側に移動した後、ハウジング(10)の吐出口を通じて外部に吐出される。この場合、温度センサー(90)が感知した混合された加熱蒸気並びに空気の温度が低い場合には、ハウジング(10)の吐出口から吐出される前に、第2ヒーター(80)で2次的な加熱がなされて、必要な温度に調整される。
【0043】
ハウジング(10)の吐出口で吐出される加熱蒸気は、飽和蒸気に比べ高温でありながらも微粒子であるために、温風器として適用する場合、拡散性が優れ暖房効率が秀でている。乾燥機として適用する場合は、対象物に満遍なく行き渡るため、対象物全般にかけて乾燥効率が秀でるようになる。
【0044】
図3は、本発明の他の実施例による加熱蒸気を利用した温風器の内部を示した図であり、
図4は、
図3に図示した加熱蒸気を利用した温風器の一要部、即ち第1ダクトの内部、を示した平面図である。
【0045】
図3並びに
図4に図示したように、本実施例による加熱蒸気を利用した温風器は、ハウジング(10)、第1ファン(50)、第1ダクト(41)、蒸気発生手段(30)、第2ファン(70)、第2ダクト(42)を含む。
【0046】
ハウジング(10)は中空に構成され、上面に吐出口(図面符号に表示されない)を有している。吐出口は後述するように加熱蒸気並びに空気が外部に吐出されるように形成されている。
【0047】
第2ファン(70)は、ハウジング(10)の内部下側に位置するように設置されているが、その上部に結合される第2ダクト(42)に空気を流入させるためのものである。
【0048】
第2ダクト(42)は第2ファン(70)の上部に結合され、その上段はハウジング(10)の吐出口に連結されている。そして第2ダクト(42)には第2ファン(70)により流入し移動する空気を加熱させるための第1ヒーター(85)が装着されている。ここでは、第1ヒーター(85)は、
図4に示すように、第2ダクト(42)に貫通固定されている。したがって第2ファン(70)により第2ダクト(42)に流入される空気は、空気用ヒーター(85)により加熱された後、第2ダクト(42)の上側に移動してハウジング(100)の吐出口に向かうようになっている。
【0049】
蒸気発生手段(30)は、ハウジング(10)の内部上側に位置するように設置されているが、第2ダクト(42)と離隔した所に位置し、蒸気発生手段(30)と第2ダクト(42)とは後述する第1ダクト(41)により連結されている。そして蒸気発生手段(30)は、水供給手段(図示されない)から水を供給されるが、供給を受けた水に超音波を加え蒸気を生成することが出来るように超音波振動子(32)を有している。水供給手段は、ハウジング(10)の外部に設けられるか、又は、ハウジング(10)の内部に設けられる。ハウジング(10)の外部に設けられる場合は、蒸気発生手段(30)と管で連結される。
【0050】
第1ファン(50)は、蒸気発生手段(30)の上方の一側に配置されていて、蒸気発生手段(30)により生成される蒸気を移動させる役割を担っている。
【0051】
第1ファン(50)は、蒸気を第1ダクト(41)内に移動させるようになっている。
【0052】
第1ダクト(41)の一端は、蒸気発生手段(30)の他側に結合されている。一方、第1ダクト(41)の他端は、第2ダクト(42)の上段一側を貫通した後で上方に曲がり、ハウジング(10)の吐出口の下方に位置している。
【0053】
そして、第1ダクト(41)には第1ヒーター(60)が装着されているが、第1ヒーター(60)は、蒸気発生手段(30)により生成された蒸気が第1ファン(50)により第1ダクト(41)を通過するとき加熱されて、加熱蒸気が生成されるようにする役割を担っている。
【0054】
結局、ハウジング(10)の吐出口から吐出されるものは、加熱蒸気と加熱空気が混ざったものである。即ち、第2ダクト(42)からハウジング(10)の吐出口に向かって加熱された空気が移動し、加えて、第1ダクト(41)からハウジング(10)の吐出口に向かって加熱蒸気が移動して、両者はハウジング(10)の吐出口の下方で混合された後に吐出されるのである。加熱蒸気に空気を混合させる理由は、前述した通り、拡散効率が高くなるようにするためであり、第2ダクト(42)で空気用ヒーター(85)に空気を加熱させる理由は、熱量を補充するためである。
【0055】
以上のような本発明の他の実施例による加熱蒸気を利用した温風器の作動過程を説明すれば、次のようになる。
【0056】
先ず、蒸気発生手段(30)において、供給される水に超音波が加えられて蒸気が生成される。そして第1ファン(50)が作動され、蒸気が第1ダクト(41)に移動し、このとき第1ヒーター(60)により加熱され、加熱蒸気が生成される。加熱蒸気は第1ダクト(41)に沿ってハウジング(10)の吐出口に向かって移動する。
【0057】
一方、第2ファン(70)により第2ダクト(42)に流入される空気は、空気用ヒーター(85)により加熱され、第2ダクト(42)の上側に移動する。
【0058】
そして、ハウジング(10)の吐出口の下方で、第1ダクト(41)を通った加熱蒸気と第2ダクト(42)を通った加熱蒸気が混合され、吐出口から吐出される。
【0059】
次に、以下では、
図5を参照し、本発明による加熱蒸気を利用した乾燥システムに関して説明する。
【0060】
図5に図示したように、加熱蒸気を利用した乾燥システムは、蒸気生成部、加熱蒸気生成部、吐出部、水供給部、送風部を含む。
【0061】
水供給部から蒸気生成部に水が供給されると、蒸気生成部では供給された水に超音波振動を加え蒸気を生成する。生成された蒸気は加熱蒸気生成部側に移動するが、この場合、送風部がファンによって蒸気の移動が円滑になされるように補助する。加熱蒸気生成部は蒸気生成部で生成され移動する蒸気に熱を加え加熱蒸気が生成されるようにする役割をなし、例えばヒーターなどの加熱手段で熱を加えるが、約200〜600℃程度に加熱されるようにし、これにより加熱蒸気が生成される。このように生成された加熱蒸気は吐出部を通して外部に吐出され、吐出された加熱蒸気は該当場所の暖房、並びに乾燥に利用される。必要によって、吐出部を通じて加熱蒸気が吐出される前に、2次加熱がなされるようにすることもできる。
【0062】
なお、以上の説明において、各ヒーターは、例えば遠赤外線加熱ヒーターによって構成され得る。その場合、各ダクトの内部は、遠赤外線塗料でコーティングされていることが好ましい。
【符号の説明】
【0063】
10 ハウジング
20 水タンク
22 水供給調節手段
30 蒸気発生手段
32 超音波振動子
40 ダクト
41 第1ダクト
42 第2ダクト
50 第1ファン
60 第1ヒーター
70 第2ファン
80 第2ヒーター
85 空気用ヒーター
90 温度センサー