特許第5897380号(P5897380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897380
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20160317BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20160317BHJP
   B65D 47/36 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B65D47/06 D
   B65D47/08 F
   B65D47/36 D
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-81923(P2012-81923)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209143(P2013-209143A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−012070(JP,A)
【文献】 特開2009−286465(JP,A)
【文献】 特開2008−285186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 47/08
B65D 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出開口が設けられる隔壁を備え、容器の口部に取り付けられるキャップ本体と、前記隔壁の外周縁から突出する注出筒とを有する注出キャップであって、
前記注出開口と前記注出筒との間に、前記隔壁から突出し、前記注出筒の側に向けて互いの間隔を徐々に狭めるとともに前記注出筒の周方向に並ぶ4枚の流れガイド壁を備えることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
前記注出開口に、隣り合う前記流れガイド壁の間に向けて延びる先細部を設けたことを特徴とする請求項1記載の注出キャップ。
【請求項3】
プルリングを引き起こして前記隔壁に設けた破断予定線を引きちぎることにより、前記隔壁に前記注出開口が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体にヒンジを介して一体に設けられ、前記注出開口を開閉する開閉蓋を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醤油やドレッシングなどの内容液を収容する容器の口部に取り付けられて、容器から内容液を注出する注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
醤油やドレッシングなどの内容液を収容する容器の口部には、内容液を注出するための注出キャップが取り付けられる。注出キャップは、口部に取り付けられるキャップ本体の隔壁に注出開口を備えた構成となっており、容器を傾けることにより、注出開口から内容液を注出することができる。
【0003】
かかる注出キャップには、プルリングの引き起こしにより、隔壁に設けた破断予定線を引きちぎって注出開口を形成するプルリングタイプのものや、予め隔壁に注出開口を設けておき、容器の開封は、口部に貼り付けたフィルムを除去して行うようにしたものなどがある。
【0004】
このような注出キャップでは、内容液を狙ったところに注出し易くするために、キャップ本体には注出開口から注出された内容液を案内する注出筒が設けられる。例えば特許文献1には、キャップ本体に、隔壁の外周縁から突出する注出筒を一体に設け、注出開口から注出された内容液を注出筒の内面で案内して、当該注出筒の先端から幅細に注ぎ出すようにした注出キャップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−286465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される従来の注出キャップでは、注出開口から少量の内容液を注出する場合には、注出筒により内容液の流れの幅を狭く保つことができるが、容器を大きく傾けて注出開口から多量の内容液を注出した場合には、注出筒の内面で内容液の流れの幅を十分に収束させることができず、その流れの幅が広がって、内容液を狙ったところに注ぎ出しにくくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、注出開口から多量の内容液を狙ったところに容易に注ぎ出すことができる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の注出キャップは、注出開口が設けられる隔壁を備え、容器の口部に取り付けられるキャップ本体と、前記隔壁の外周縁から突出する注出筒とを有する注出キャップであって、前記注出開口と前記注出筒との間に、前記隔壁から突出し、前記注出筒の側に向けて互いの間隔を徐々に狭めるとともに前記注出筒の周方向に並ぶ4枚の流れガイド壁を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成においては、前記注出開口に、隣り合う前記流れガイド壁の間に向けて延びる先細部を設けるのが好ましい。
【0011】
上記構成においては、プルリングを引き起こして前記隔壁に設けた破断予定線を引きちぎることにより、前記隔壁に前記注出開口が形成される構成とすることが好ましい。
【0012】
上記構成においては、前記キャップ本体にヒンジを介して一体に設けられ、前記注出開口を開閉する開閉蓋を備える構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、注出開口から注出された多量の内容液を、少なくとも2枚の流れガイド壁の間に案内して、その流れの幅を収束させることができるので、注出筒の先端から注出される内容液の流れの幅を狭めることができる。これにより、多量の内容液を狙ったところに注出することを可能として、その注ぎ出しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態である注出キャップの斜視図である。
図2図1に示す注出キャップの平面図である。
図3図2におけるA−A線に沿う断面図である。
図4】開閉蓋が閉じられた注出キャップを容器の口部に取り付けた状態を示す断面図である。
図5】隔壁に注出開口が形成された注出キャップの平面図である。
図6】(a)は注出開口から少量の内容液を注出した様子を示す説明図、(b)は注出開口から大量の内容液を注出した様子を示す説明図である。
図7】注出開口から横向きに内容液を注出した様子を示す説明図である。
図8図1に示す注出キャップの変形例であって、隣り合う流れガイド壁の間隔を相違させた場合を示す平面図である。
図9参考例の注出キャップであって、2枚の流れガイド壁のみを設けた場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1図3に示すように、本発明の一実施の形態である注出キャップ1は、キャップ本体2と開閉蓋3およびヒンジ4を有しており、開閉蓋3はヒンジ4によりキャップ本体2に連結されている。この注出キャップ1は樹脂製となっており、キャップ本体2、開閉蓋3及びヒンジ4は、例えば樹脂材料の射出成形等により、一体に形成されている。
【0017】
キャップ本体2は、互いに同心に配置される円筒形状の外筒2aおよび内筒2bを備えている。外筒2aと内筒2bは軸方向の一端側において天壁2cにより連結され、軸方向の他端側に開口する取付け溝2dが外筒2aと内筒2bとの間に設けられている。外筒2aは内筒2bよりも軸方向長さが長く形成されており、その内筒2bよりも軸方向の他端側に突出する部分の内周面には、径方向内側に向けて突出する環状の係止凸部2eが一体に設けられている。
【0018】
図4に示すように、キャップ本体2は、その取付け溝2dに容器5の口部5aの先端が挿入(打栓)され、係止凸部2eが口部5aにアンダーカット係合することにより、容器5の口部5aに取り付けられる。キャップ本体2が取り付けられる容器5は、例えば、ガラス製や樹脂製のビンであり、その内部には、例えば醤油やドレッシング等の内容液6が収容される。
【0019】
なお、キャップ本体2は、上記したアンダーカット係合に限らず、ねじ込みや圧入等の他の手段によって口部5aに取り付けるようにしてもよい。
【0020】
図3に示すように、キャップ本体2の内筒2bの径方向内側には、連結部2fを介して隔壁2gが一体に設けられている。図2に示すように、隔壁2gの外形は円形となっており、この隔壁2gには、略菱形の形状をなす破断予定線2hが設けられている。図3に示すように、破断予定線2hは隔壁2gを薄肉化して形成されており、隔壁2gの破断予定線2hに囲われた部分は除去予定部2iとなっている。除去予定部2iのヒンジ4の側の先端部分には、これと一体に支柱2jが設けられ、この支柱2jの先端には円環状のプルリング2kが一体に設けられている。
【0021】
プルリング2kが引き起こされると、破断予定線2hが引きちぎられて、除去予定部2iが隔壁2gから除去され、図5に示すように、隔壁2gに略菱形の形状をなす注出開口7が形成される。つまり、この注出キャップ1は、プルリング2kの引き起こしにより容器5が開封(開栓)されるプルリングタイプとなっている。
【0022】
キャップ本体2には、内容液6を案内するための注出筒8が一体に設けられている。この注出筒8は、キャップ本体2と同心の円筒状に形成されており、その基端部において隔壁2gの外周縁に連ねられ、当該外周縁から上方に突出している。なお、注出筒8のヒンジ4の側を向く所定範囲の部分は、その突出高さが他の部分よりも低くされ、また、注出筒8の先端部分は径方向外側に広げられたリップ形状となっている。
【0023】
図2に示すように、破断予定線2hと注出筒8との間には、4枚の流れガイド壁9a〜9dが、注出筒8の周方向に対して所定の間隔を空けて等間隔に並べて設けられている。これらの流れガイド壁9a〜9dは、それぞれ破断予定線2hの側に凸となる断面円弧形状に形成されており、その幅方向(弦方向)を注出筒8の径方向に直交させて配置されている。また、それぞれの流れガイド壁9a〜9dは隔壁2gと一体に形成されており、隔壁2gから注出筒8と同一方向に突出している。
【0024】
隣り合う流れガイド壁9a〜9dの間隔は、何れも、破断予定線2hの側から注出筒8の側に向けて徐々に狭くなっている。また、流れガイド壁9a〜9dの隔壁2gからの突出高さは、注出筒8の隔壁2gからの突出高さよりも低くされており、開閉蓋3が閉じられたときには、図4に示すように、開閉蓋3と各流れガイド壁9a〜9dの間にプルリング2kが収容されるようになっている。
【0025】
プルリング2kが引き起こされて隔壁2gに注出開口7が形成されると、図5に示すように、4枚の流れガイド壁9a〜9dは、注出開口7と注出筒8との間に配置されることになる。注出開口7に対してヒンジ4とは反対側に配置される一対の流れガイド壁9a,9bの間は縦向き案内流路10aとなっており、ヒンジ4に対して注出開口7の側方にある一対の流れガイド壁9a,9dの間と、一対の流れガイド壁9b,9cの間は、それぞれ横向き案内流路10b,10cとなっている。それぞれの横向き案内流路10b,10cは、縦向き案内流路10aに対して、その流れ方向が注出筒8の周方向に90度ずれている。
【0026】
略菱形の形状に形成された注出開口7の、ヒンジ4とは反対側を向く先端は縦向き先細部7aとなっている。この縦向き先細部7aは、縦向き案内流路10aを構成する一対の流れガイド壁9a,9bの間に向けて延びており、その先端は縦向き案内流路10aの出口にまで達している。また、注出開口7の、縦向き先細部7aに対して、注出筒8の周方向に90度ずれた一対の先端は、それぞれ縦向き先細部7aよりも鈍角に形成された横向き先細部7b,7cとなっている。一方の横向き先細部7bは、横向き案内流路10bを構成する一対の流れガイド壁9a,9dの間に向けて横向き案内流路10bの出口よりも手前にまで延びており、他方の横向き先細部7cは、横向き案内流路10cを構成する一対の流れガイド壁9b,9cの間に向けて横向き案内流路10cの出口よりも手前にまで延びている。
【0027】
開閉蓋3は、キャップ本体2と略同径の底付き円筒状に形成されており、その内部には円筒状のシール筒3aが一体に設けられている。キャップ本体2には天壁2cから突出するとともに先端が径方向外側に突出する係止筒2lが一体に設けられ、この係止筒2lの先端に係合する環状の係合溝3bが開閉蓋3の内周面に設けられている。
【0028】
図4に示すように、開閉蓋3が閉じられると、開閉蓋3の係合溝3bにキャップ本体2の係止筒2lの先端部の係合部が係合し、開閉蓋3は閉じた状態に保持される。そして、開閉蓋3が閉じた状態では、開閉蓋3の開口端がキャップ本体2の天壁2cに当接するとともに、シール筒3aの外周面が注出筒8の内周面に嵌合して、注出筒8つまり注出開口7が閉塞される。一方、係合溝3bから係止筒2lを離脱させ、開閉蓋3を開くことにより、注出筒8つまり注出開口7を開放することができる。このように、注出キャップ1を用いることにより、プルリング2kの引き起こしにより開封された容器5を、開閉蓋3によって容易に開閉することができる。
【0029】
次に、容器5から内容液6を注出する際の注出キャップ1の作用について説明する。
【0030】
図6(a)に示すように、開閉蓋3を開いた状態で、容器5を(ヒンジ4と反対側に)傾けることにより、注出開口7の縦向き先細部7aから少量の内容液6を注出することができる。注出開口7の縦向き先細部7aから少量の内容液6が注出されると、その内容液6は、隣り合う流れガイド壁9a,9bの間つまり縦向き案内流路10aを通って注出筒8の内面に達し、注出筒8の内面に沿って流れて、注出筒8の先端から注ぎ出される。このように、注出開口7から注出される内容液6が少量のときには、内容液6は流れガイド壁9a,9bに案内されることなく、注出筒8の内面に案内されて、当該注出筒8の先端から細幅に注出される。
【0031】
一方、図6(b)に示すように、容器5を(ヒンジ4と反対側に)大きく傾けることにより、注出開口7の縦向き先細部7aから多量の内容液6を注出することができる。注出開口7の縦向き先細部7aから多量の内容液6が注出されると、その内容液6は、隣り合う流れガイド壁9a,9bにより縦向き案内流路10aに沿って流れるように案内される。隣り合う流れガイド壁9a,9bに案内されると、内容液6の流れの幅が、隣り合う流れガイド壁9a,9bの間隔に合わせて徐々に狭められる。そして、内容液6は、縦向き案内流路10aの出口幅にまで狭められ、隣り合う流れガイド壁9a,9bの間から注出筒8の内面に向けて流出し、そこから注出筒8の内面に沿って流れて、注出筒8の先端から注ぎ出される。
【0032】
流れガイド壁9a,9bが設けられない構成では、注出開口7の縦向き先細部7aから多量の内容液6が注出されると、図中に一点鎖線で示されるように、注出筒8から注出される内容液6の流れの幅が広がり、狙ったところに内容液6を注出することは困難となる。
【0033】
これに対して、流れガイド壁9a,9bを設けた本願発明の注出キャップ1では、注出開口7から多量の内容液6が注出されても、一対の流れガイド壁9a,9bにより内容液6を案内し、その流れを縦向き案内流路10aの出口幅にまで収束させることができる。つまり、この注出キャップ1では、注出開口7から多量の内容液6が注出されても、注出筒8の先端から注出される内容液6の流れの幅が広がることを抑制して、その流れ幅を狭めることができる。これにより、多量の内容液6を狙ったところに容易に注ぎ出すことができる。
【0034】
ところで、上記のように、注出開口7の横向き先細部7b,7cは、縦向き先細部7aよりも鈍角に形成されているので、容器5の傾き角度を同じにしても、容器5をヒンジ4と反対方向に傾けた場合よりも横方向に傾けた方が、注出開口7からの内容液6の注出量が多くなる。しかしながら、この注出キャップ1では、4枚の流れガイド壁9a〜9dを設けるようにしているので、図7に示すように、容器5を横方向に傾けた場合でも、流れガイド壁9a,9dまたは流れガイド壁9b,9cにより、内容液6の流れの幅を狭めて、横方向からの内容液6の注ぎ出しをも容易にすることができる。つまり、容器5が横方向に傾けられて、横向き先細部7bから多量の内容液6が注出されても、その内容液6を、横向き案内流路7bを構成する一対の流れガイド壁9a,9dにより案内して、その流れの幅を横向き案内流路10bの出口幅に狭めて、注出筒8の先端から細幅に注出させることができる。同様に、容器5を横方向の逆向きに傾けて、横向き先細部7cから多量の内容液6を注出する場合も、内容液6を、横向き案内流路7cを構成する一対の流れガイド壁9b,9cにより案内して、その流れの幅を横向き案内流路10cの出口幅に狭めて、注出筒8の先端から細幅に注出させることができる。このように、容器5を横向きに傾けて、注出キャップ1から内容液6を横倒し吐出させた場合であっても、内容液6の流れを一対の流れガイド壁9a〜9dにより収束させて、注出筒8からの内容液6の注ぎ出しを容易にすることができる。
【0035】
上記のように、この注出キャップ1では、各流れガイド壁9a〜9dを円弧形状に形成するようにしているので、隣り合う流れガイド壁9a〜9dが互いになす角度は注出筒8の側ほど小さくなっている。これにより、多量の内容液6を隣り合う流れガイド壁9a〜9dの間に効率的に案内することができるとともに、各案内流路10a〜10cを流れる内容液6を効率よく注出筒8に向けて流出させることができる。
【0036】
図8図1に示す注出キャップ1の変形例であって、隣り合う流れガイド壁9a〜9dの間隔を相違させた場合を示す平面図である。図8においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0037】
図8に示す注出キャップ1では、4枚の流れガイド壁9a〜9dが設けられる構成において、隣り合う流れガイド壁9a〜9dの間隔を、それぞれの対について互いに相違させるようにしている。より具体的には、隣り合う流れガイド壁9a,9bの間隔を、他の隣り合う流れガイド壁9a,9dや流れガイド壁9b,9cの間隔よりも狭く設定するようにしている。
【0038】
この構成により、容器5から少量の内容液6を注出する場合には、容器5を縦方向に傾けて、隣り合う流れガイド壁9a,9bの間から内容液6を注出し、少量の内容液6をより容易に注出させることができる。また、容器5から多量の内容液6を注出する場合には、容器5を横方向に傾けて、隣り合う流れガイド壁9a,9dないし流れガイド壁9b,9cの間から内容液6を注出することにより、多量の内容液6をより容易に注出させることができる。このように、隣り合う流れガイド壁9a〜9dの間隔を、それぞれの対について互いに相違させることにより、容器5の傾ける方向を選択して、内容液6の注出量に応じた最適な注出作業を行うことができる。
【0039】
図9参考例の注出キャップであって、2枚の流れガイド壁9a,9bのみを設けた場合を示す平面図である。図9においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0040】
図9に示す注出キャップ1では、注出開口7と注出筒8との間に2枚の流れガイド壁9a,9bのみが設けられる。図示する場合では、注出開口7は、縦向き先細部7aが注出開口7の中心よりもヒンジ4の側にまで延びる鋭角形状に形成され、一対の流れガイド壁9a,9bは注出開口7の縦向き先細部7aの側辺と同程度の長さに設定されて、縦向き先細部7aの側部に沿って配置されている。この構成では、一対の流れガイド壁9a,9bは、注出開口7の縦向き先細部7aの側辺に沿って、注出開口7の中心位置よりもヒンジ4の側にまで延びて形成されるので、注出開口7からより多量の内容液6が注出されても、当該内容液6を一対の流れガイド壁9a,9bの間に確実に案内して、注出筒8の先端から細幅に注出させることができる。
【0041】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、断面円弧形状に形成した流れガイド壁9a〜9dを、その幅方向を注出筒8の径方向に直交させて隔壁2g上に配置するようにしているが、これに限らず、注出筒8に向けて互いの間隔を狭める形状、配置であれば、流れガイド壁9a〜9dの形状や配置方向は種々変更することができる。例えば、流れガイド壁9a〜9dを、平板状に形成したり、注出開口7の側に向けて凸となる断面くの字形状や断面三角形状等に形成してもよい。また、流れガイド壁9a〜9dを、注出筒8の径方向に対する角度を互いに相違させて配置したり、注出筒8からの距離を互いに相違させて配置したりすることもできる。さらに、流れガイド壁9a〜9dを、周方向に等間隔で設けるようにしても、周方向に異なる間隔で設けるようにしてもよい。
【0042】
さらに、隣り合う流れガイド壁の、注出筒8側の端部間の距離(幅)は、自由に設定することができ、これにより、各端部間からの注出量を容易に相違させることができる。例えば、4枚の流れガイド壁を設けた場合には、内容液6を注出可能な3つの方向について、端部間距離をそれぞれ相違させることにより、大中小の3種類の注出を容易に行うことができる。
【0043】
また、前記実施の形態においては、注出キャップ1は、プルリング2kを引き起こすことにより注出開口7が形成されるプルリングタイプとされているが、これに限らず、隔壁2gに予め注出開口7を設けた構成としてもよい。この場合、容器5の口部5aを、当該口部5aに貼り付けたフィルム等により閉塞するようにしてもよい。
【0045】
さらに、前記実施の形態においては、注出キャップ1は、ヒンジ4を介して開閉蓋3をキャップ本体2と一体に設けたヒンジキャップタイプとされているが、これに限らず、開閉蓋3をキャップ本体2と別体に設けた構成であってもよい。この場合、開閉蓋3をキャップ本体2や容器5の口部5aに、ねじ込み等により取り付ける構成とすることができる。
【0046】
さらに、注出開口7の形状は、図5図9に示される形状に限らず、円形、楕円形、菱形、ひょうたん形など、どのような形状であってもよい。注出開口7がどのような形状に形成されても、流れガイド壁を設けることにより、内容液6の流れの幅を容易に狭めることができる。また、様々な形状の流れガイド壁と注出開口7とを組み合わせることにより、この注出キャップ1からの内容液6の注出幅を自由に設定することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 注出キャップ
2 キャップ本体
2a 外筒
2b 内筒
2c 天壁
2d 取付け溝
2e 係止凸部
2f 連結部
2g 隔壁
2h 破断予定線
2i 除去予定部
2j 支柱
2k プルリング
2l 係止筒
3 開閉蓋
3a シール筒
3b 係合溝
4 ヒンジ
5 容器
5a 口部
6 内容液
7 注出開口
7a 縦向き先細部
7b,7c 横向き先細部
8 注出筒
9a〜9d 流れガイド壁
10a 縦向き案内流路
10b,10c 横向き案内流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9