(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897405
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】無線端末がアクセスポイントを探索するタイミングを制御するアクセスポイント発見方法、システム及び無線端末
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20160317BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20160317BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20160317BHJP
H04W 76/02 20090101ALI20160317BHJP
【FI】
H04W48/16 110
H04W84/12
H04W52/02 111
H04W76/02
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-120302(P2012-120302)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-247532(P2013-247532A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】柚木 克夫
【審査官】
東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/147563(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/169011(WO,A1)
【文献】
Simone MERLIN (Qualcomm Inc.) et al.,Short Beacon,IEEE 802.11-12/0129r3,2012年 5月14日,slides 1-21,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/12/11-12-0129-03-00ah-short-beacon.pptx
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04B 7/24− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末が無線LANを介してアクセスポイントを発見するアクセスポイント発見方法であって、
前記無線端末が、アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信する第1のステップと、
前記アクセスポイントが、前記プローブリクエストを受信した後、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを返信する第2のステップと、
前記無線端末が、前記プローブレスポンスを受信した後、前記アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、前記時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行する第3のステップと、
前記無線端末が、前記ビーコン待受時刻の後、無線通信部を省電力モードから復帰させ、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する第4のステップと、
前記アクセスポイントが、ビーコンを同報送信する第5のステップと、
前記無線端末が、前記ビーコンを受信することができ、前記アクセスポイントとの間で接続シーケンスの実行を可能とする第6のステップと
を有することを特徴とするアクセスポイント発見方法。
【請求項2】
第6のステップについて、前記無線端末は、前記アクセスポイントからビーコンを受信した際に、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値以下である場合、アクセスポイントとの間で接続シーケンスの実行を可能とすることなく、
次のビーコンの周期的な送信タイミングとなるビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行させて待機し、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなるまで、第4のステップ及び第6のステップを繰り返す
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセスポイント発見方法。
【請求項3】
第4のステップについて、前記無線端末が、前記ビーコン待受時刻を含む所定時間範囲で、前記ビーコンを待ち受けることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクセスポイント発見方法。
【請求項4】
第2のステップについて、前記アクセスポイントは、ビーコンの送信タイミングが所定時間以内である場合、前記プローブレスポンスを返信することなく、その後、通常のビーコンを送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアクセスポイント発見方法。
【請求項5】
第1のステップについて、無線端末は、前記プローブリクエストに、ネットワーク接続識別子として、接続目的のアクセスポイントのサービス識別子又はワイルドカードのサービス識別子を含めることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアクセスポイント発見方法。
【請求項6】
第2のステップについて、アクセスポイントは、プローブリクエストの送信元の無線端末のMAC(Media Access Control)アドレスを、プローブレスポンスの宛先MACアドレスとして含めることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアクセスポイント発見方法。
【請求項7】
前記プローブリクエストを送信した無線端末以外の非要求元無線端末が、更に、アクセスポイントの電波が受信可能な範囲に在圏しており、
第2のステップについて、アクセスポイントは、プローブレスポンスの宛先MACアドレスにブロードキャストアドレスを含め、
第3のステップについて、非要求元無線端末が、プローブリクエストを送信しようとする直前に当該ブロードキャスト宛ての前記プローブレスポンスを受信することによって、前記時間差情報に基づく前記ビーコン待受時刻まで待機し、
第4のステップについて、非要求元無線端末が、前記ビーコン待受時刻に達した時に、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受け、
第6のステップについて、非要求元無線端末が、前記ビーコンを受信した際に、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行する
を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアクセスポイント発見方法。
【請求項8】
無線端末が無線LANを介してアクセスポイントを発見するシステムであって、
前記アクセスポイントは、
前記無線端末からプローブリクエストを受信した後、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを返信するプローブレスポンス返信手段と、
ビーコンを同報送信するビーコン送信手段と
を有し、
前記無線端末は、
アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信するプローブリクエスト送信手段と、
前記プローブレスポンスを受信した後、前記アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、前記時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する待機制御手段と、
前記ビーコン待受時刻の後、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受けるビーコン待受手段と、
前記ビーコンを受信した後、前記アクセスポイントとの間で接続シーケンスの実行を可能とする接続シーケンス確立手段と
を有し、
前記無線端末の前記待機制御手段は、
前記プローブレスポンスを受信した後、前記ビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行し、
前記ビーコン待受時刻の後、無線通信部を省電力モードから復帰させ、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記無線端末は、前記アクセスポイントからビーコンを受信した際に、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値以下である場合、前記接続シーケンス確立手段の処理を実行することなく、次のビーコンの周期的な送信タイミングとなるビーコン待受時刻まで待機し、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなるまで、前記待機制御手段及びビーコン待受手段の処理を繰り返すように制御するビーコン受信レベル判定手段を更に有することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
無線LANを介してアクセスポイントを発見する無線端末であって、
アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信するプローブリクエスト送信手段と、
前記アクセスポイントから、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを受信した後、前記アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、前記時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する待機制御手段と、
前記ビーコン待受時刻の後、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受けるビーコン待受手段と、
前記ビーコンを受信した後、前記アクセスポイントとの間で接続シーケンスの実行を可能とする接続シーケンス確立手段と
を有し、
前記待機制御手段は、
前記プローブレスポンスを受信した後、前記ビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行し、
前記ビーコン待受時刻の後、無線通信部を省電力モードから復帰させ、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する
ことを特徴とする無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)について、無線端末がアクセスポイントを発見する通信シーケンスの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、無線端末及びアクセスポイントを含むシステム構成図である。
【0003】
図1によれば、アクセスポイント2は、一方をアクセスネットワークを介してインターネットに接続し、他方をエアを介して無線端末1と通信する。アクセスポイント周辺の無線LANのエリアに在圏する無線端末1は、そのアクセスポイント2を経由してインターネット(上位ネットワーク)に接続することができる。
図1によれば、無線端末1は、3つのアクセスポイント2と通信可能な場所に位置している。例えば、無線端末1は、接続目的のアクセスポイントAP2を発見し、その後、アクセスポイントAP2を経由して、インターネットに接続しようとしている。
【0004】
無線LANには、無線端末とアクセスポイントとの間でパケット送信を制御するためのMAC(Media Access Control:媒体アクセス制御)レイヤ技術が採用されている。MACレイヤによって無線局間で交換されるMACフレームは、例えばIEEE802.11の標準規格によって規定されている。
【0005】
IEEE802.11のインフラストラクチャモードによれば、無線端末が無線LANを介してアクセスポイントを発見するために、「アクティブスキャン方式」及び「パッシブスキャン方式」の2つがある。
「アクティブスキャン方式」とは、無線端末が、プローブリクエストをアクセスポイントへ向けて同報的に送信し、アクセスポイントからプローブレスポンスを受信することによって、アクセスポイントを発見する。
「パッシブスキャン方式」とは、アクセスポイントが、ビーコンを周期的に同報的に送信し、無線端末がそのビーコンを受信することによって、アクセスポイントを発見する。
尚、ビーコン、プローブリクエスト及びプローブレスポンスは、アクセスポイントと無線端末との間でやりとりされる管理用制御信号の一種である。
【0006】
無線端末は、一般に、アクティブスキャン方式及びパッシブスキャン方式の両方式の機能を搭載している。これら2つの方式のいずれかによって、アクセスポイントを発見した無線端末は、接続目的のアクセスポイントに対して接続シーケンスを実行する。
【0007】
図2は、アクティブスキャン方式に基づくシーケンス図である。
【0008】
図2によれば、最初に、無線端末1が、プローブリクエストを同報的に送信する。このようなフレームの送信時には、無線端末1の消費電力が大きくなる。無線端末1によって送信されたプローブリクエストは、その電波が到達可能な範囲に存在し、且つ同一チャネルで運用する全てのアクセスポイント2(AP1,AP2,AP3)によって受信される。
【0009】
これに対し、各アクセスポイント2は、プローブレスポンスを無線端末1へ返信する。このとき、無線LANのMACレイヤの技術によれば、各アクセスポイント2は、互いに送信するプローブレスポンスが衝突しないように、送信タイミングが制御される。例えば、無線LANによれば、同一チャネルを時間的に譲り合って複数端末間の通信を成立させるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式が採用されている。
【0010】
一方で、無線端末1は、比較的小さい消費電力で且つ比較的短い時間、プローブレスポンスを待ち受ける。無線端末1は、その待受時間の範囲で、接続目的のアクセスポイントAP2からのプローブレスポンスを受信した際、そのアクセスポイントAP2に対して接続シーケンスを実行する。
【0011】
図3は、パッシブスキャン方式に基づくシーケンス図である。
【0012】
図3によれば、各アクセスポイント2は、ビーコンを周期的且つ同報的に送信する。このとき、無線端末1は、比較的小さい消費電力で、且つ、少なくともビーコンの周期時間以上の比較的長い時間、ビーコンを待ち受ける。無線端末1は、その待受時間の範囲で、接続目的のアクセスポイントAP2からのビーコンを受信した際、そのアクセスポイントAP2に対して接続シーケンスを実行する。
【0013】
アクセスポイントは、例えば2.4GHz帯で、ビーコンを常時(例えば100ms程度間隔)報知している。無線端末は、その2.4GHz帯について例えば各10チャネルを、接続する相手であるアクセスポイントからのビーコンの報知があるかどうかをセンス(探索)する必要がある。この場合、無線端末は、各チャネルで少なくとも100ms以上、ビーコンを待ち受ける必要がある。そうすると、全チャネルをセンスするのに、以下のように少なくとも約1秒の待受時間を要する。
100msec×10チャネル=1sec
無線端末1が、電池で動作する携帯電話機やスマートフォンである場合、このような待受時間をできる限り短くすることは、消費電力を抑制する観点から有効である。
【0014】
アクティブスキャン方式は、プローブリクエストを送信するために消費電力が一時的に大きくなるものの、プローブレスポンスの待受時間が比較的短い。一方で、パッシブスキャン方式は、消費電力が比較的小さいものの、ビーコンの待受時間が比較的長い。結果的に、比較的短い時間でアクセスポイントを発見することができるアクティブスキャン方式は、パッシブスキャン方式よりも、全体的な消費電力が小さくなる。そのために、無線端末では、通常、消費電力が比較的小さく且つ比較的短い時間でアクセスポイントを発見することができる「アクティブスキャン方式」が多用される。無線端末は、接続目的のアクセスポイントのエリアに入った場合、アクティブスキャン方式におけるプローブリクエストを送信し、これに対するプローブレスポンスを受信することによって、アクセスポイントを発見する。
【0015】
尚、従来技術として、アクセスポイントを発見するために、無線端末が、圏内か又は圏外かに基づいて、アクティブスキャン方式又はパッシブスキャン方式のいずれかに切り替える技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−12539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、アクティブスキャン方式によれば、無線端末は、プローブリクエストをブロードキャストで送信するために、その周囲に在圏する複数のアクセスポイントによって検出され、それらアクセスポイントからプローブレスポンスが応答される。これに対し、無線端末は、接続目的であるアクセスポイントのサービス識別子を含むプローブレスポンスを返信したアクセスポイントとしか接続しない。即ち、接続目的以外のアクセスポイントが送信したプローブレスポンスに対しては無視するだけで、無線リソースを無駄に消費したに過ぎない。
【0018】
一方で、パッシブスキャン方式によれば、無線端末からプローブリクエストを送信する必要がないために、接続目的以外のアクセスポイントからプローブレスポンスを受信する必要もなく、無線リソースを無駄に消費することはない。
【0019】
また、無線端末は、一般に、アクセスポイント配下に在圏していることを認識した時(又はユーザによって操作された時、若しくは、データ送受信アプリケーションが要求した時)には、アクティブスキャン方式が実行され、プローブリクエストを送信する。逆に、アクセスポイント配下に在圏していないことを認識した時には、パッシブスキャンが実行され、ビーコンの待受状態となる。
【0020】
しかしながら、本来、アクセスポイント配下のエリアでは、無線リソースをできる限り節約しなければならないにも拘わらず、逆に、無線リソースを更に消費するようなアクティブスキャン方式が実行されている。一方で、無線リソースの浪費が比較的問題とならないような、アクセスポイント配下に在圏しないような場所では、比較的長い待受時間によって消費電力が高くなるパッシブスキャン方式が実行されている。そもそもアクセスポイントからの電波はユーザの目に見えないため、アクセスポイント配下に在圏しているかどうか知り得ない。
【0021】
そこで、本発明は、比較的小さい消費電力で、且つ、比較的短い待受時間となるように、無線端末がアクセスポイントを探索するタイミングを制御することができるアクセスポイント発見方法
、システム
及び無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、無線端末が無線LANを介してアクセスポイントを発見するアクセスポイント発見方法であって、
無線端末が、アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信する第1のステップと、
アクセスポイントが、プローブリクエストを受信した後、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを返信する第2のステップと、
無線端末が、プローブレスポンスを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで、
無線通信部を省電力モードへ移行する第3のステップと、
無線端末が、ビーコン待受時刻の後、
無線通信部を省電力モードから復帰させ、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する第4のステップと、
アクセスポイントが、ビーコンを同報送信する第5のステップと、
無線端末が、ビーコンを受信
することができ、アクセスポイントとの間で接続シーケンス
の実行
を可能とする第6のステップと
を有することを特徴とする。
【0024】
本発明のアクセスポイント発見方法における他の実施形態によれば、
第6のステップについて、無線端末は、アクセスポイントからビーコンを受信した際に、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値以下である場合、アクセスポイントとの間で接続シーケンス
の実行
を可能とすることなく、
次のビーコンの周期的な送信タイミングとなるビーコン待受時刻まで、
無線通信部を省電力モードへ移行させて待機し、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなるまで、第4のステップ及び第6のステップを繰り返すことも好ましい。
【0025】
本発明のアクセスポイント発見方法における他の実施形態によれば、
第4のステップについて、無線端末が、ビーコン待受時刻を含む所定時間範囲で、ビーコンを待ち受けることも好ましい。
【0026】
本発明のアクセスポイント発見方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、アクセスポイントは、ビーコンの送信タイミングが所定時間以内である場合、プローブレスポンスを返信することなく、その後、通常のビーコンを送信することも好ましい。
【0027】
本発明のアクセスポイント発見方法における他の実施形態によれば、
第1のステップについて、無線端末は、プローブリクエストに、ネットワーク接続識別子として、接続目的のアクセスポイントのサービス識別子又はワイルドカードのサービス識別子を含めることも好ましい。
【0028】
本発明のアクセスポイント発見方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、アクセスポイントは、プローブリクエストの送信元の無線端末のMAC(Media Access Control)アドレスを、プローブレスポンスの宛先MACアドレスとして含めることも好ましい。
【0029】
本発明のアクセスポイント発見方法における他の実施形態によれば、
プローブリクエストを送信した無線端末以外の非要求元無線端末が、更に、アクセスポイントの電波が受信可能な範囲に在圏しており、
第2のステップについて、アクセスポイントは、プローブレスポンスの宛先MACアドレスにブロードキャストアドレスを含め、
第3のステップについて、非要求元無線端末が、プローブリクエストを送信しようとする直前に当該ブロードキャスト宛てのプローブレスポンスを受信することによって、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機し、
第4のステップについて、非要求元無線端末が、ビーコン待受時刻に達した時に、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受け、
第6のステップについて、非要求元無線端末が、ビーコンを受信した際に、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行する第6のステップと
を有することも好ましい。
【0030】
本発明によれば、無線端末が無線LANを介してアクセスポイントを発見するシステムであって、
アクセスポイントは、
無線端末からプローブリクエストを受信した後、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを返信するプローブレスポンス返信手段と、
ビーコンを同報送信するビーコン送信手段と
を有し、
無線端末は、
アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信するプローブリクエスト送信手段と、
プローブレスポンスを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する待機制御手段と、
ビーコン待受時刻の後、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受けるビーコン待受手段と、
ビーコンを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンス
の実行
を可能とする接続シーケンス確立手段と
を有
し、
無線端末の待機制御手段は、
プローブレスポンスを受信した後、ビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行し、
ビーコン待受時刻の後、無線通信部を省電力モードから復帰させ、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する
ことを特徴とする。
【0032】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
無線端末は、アクセスポイントからビーコンを受信した際に、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値以下である場合、接続シーケンス確立手段の処理を実行することなく、次のビーコンの周期的な送信タイミングとなるビーコン待受時刻まで待機し、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなるまで、待機制御手段及びビーコン待受手段の処理を繰り返すように制御するビーコン受信レベル判定手段を更に有することも好ましい。
【0033】
本発明によれば、無線LANを介してアクセスポイントを発見する無線端末であって、
アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信するプローブリクエスト送信手段と、
アクセスポイントから、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する待機制御手段と、
ビーコン待受時刻の後、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受けるビーコン待受手段と、
ビーコンを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンスの実行を可能とする接続シーケンス確立手段と
を有し、
待機制御手段は、
プローブレスポンスを受信した後、ビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行し、
ビーコン待受時刻の後、無線通信部を省電力モードから復帰させ、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明のアクセスポイント発見方法
、システム
及び無線端末によれば、比較的小さい消費電力で、且つ、比較的短い待受時間となるように、無線端末がアクセスポイントを探索するタイミングを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】無線端末及びアクセスポイントを含むシステム構成図である。
【
図2】アクティブスキャン方式に基づくシーケンス図である。
【
図3】パッシブスキャン方式に基づくシーケンス図である。
【
図4】本発明におけるMACフレームフォーマットである。
【
図6】非要求元無線端末が、アクセスポイントからのプローブレスポンスを受信することによって接続シーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス図である。
【
図7】無線端末が、アクセスポイントから受信するビーコンの受信レベルに応じて、接続シーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス図である。
【
図8】本発明における無線端末の機能構成図である。
【
図9】本発明におけるアクセスポイントの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0041】
最初に、本発明で用いられる制御フレームMACフレームフォーマットについて説明する。具体的には、IEEE802.11標準に基づくビーコン、プローブリクエスト及びプローブレスポンスに関する。
【0042】
図4は、本発明におけるMACフレームフォーマットである。
図4によれば、以下の情報項目から、MACフレームフォーマットが構成されている。
「フレーム制御」
「DurationID」
「宛先MACアドレス」
「送信元MACアドレス」
「BSSID(Basic Service Set IDentifier)」
「シーケンス制御」
「フレームボディ」
「FCS(Frame Check Sequence)」
【0043】
図5は、本発明におけるシーケンス図である。
【0044】
(S0)この時点では、無線端末1は、各アクセスポイント2と通信可能な位置に在圏していない。このとき、各アクセスポイント2は、ビーコン(制御フレーム)を周期的(例えば100ms程度毎)且つ同報的に送信している。「ビーコン」は、周辺の無線端末に対して、当該アクセスポイントの存在を広告するものであって、フレームボディにサービス識別子SSID(Service Set IDentifier、0〜32個の文字列)を含む。無線端末1は、ビーコンを受信することによって、アクセスポイントを発見することができる。
【0045】
(S1)無線端末1は、接続目的のアクセスポイントAP2の配下に在圏したとする。また、当初、無線端末1は、無線通信部に電力を供給することなしに省電力モードで動作している。そして、無線端末1は、ユーザ操作又はデータ通信アプリケーションの要求によって無線LANへの接続操作が実行された際、無線通信部に電力を供給することによって省電力モードから復帰する。
【0046】
次に、無線端末1は、アクセスポイント2を発見するために、アクティブスキャン方式によって、宛先アドレスにブロードキャストアドレスを含む「プローブリクエスト」を送信する。
【0047】
図4(a)は、「プローブリクエスト」のMACフレームフォーマットを表す。
「フレーム制御」 :先頭8ビットが00000100=プローブリクエスト
「宛先MACアドレス」 :ブロードキャストアドレス(FF:FF:FF:FF:FF:FF)
「送信元MACアドレス」:無線端末のMACアドレス
「BSSID」 :ブロードキャストアドレス(FF:FF:FF:FF:FF:FF)
「フレームボディ」
・SSID :接続目的のアクセスポイントのSSID/ワイルドカード
を少なくとも含む。
【0048】
無線端末1は、接続目的のアクセスポイントが予め指定されている場合、SSIDには、そのアクセスポイントのSSIDを含める。そうでない場合、SSIDには、ワイルドカードSSID(任意文字列)を含める。ワイルドカードSSIDは、SSIDの情報長を0にすることよって指定される。これによって、無線端末1からの電波の到達する範囲に在圏するアクセスポイント2の全てが、そのプローブリクエストに対してプローブレスポンスを返信するよう要求することができる。
【0049】
(S2)アクセスポイントが、プローブリクエストを受信した後、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含む「プローブレスポンス」を返信する。
図5によれば、アクセスポイント2の全てが、プローブレスポンスを無線端末1へ返信している。
【0050】
図4(b)は、「プローブレスポンス」のMACフレームフォーマットを表す。
「フレーム制御」 :先頭8ビットが00000101=プローブレスポンス
「宛先MACアドレス」 :無線端末のMACアドレス/※ブロードキャストアドレス
「送信元MACアドレス」:アクセスポイントのMACアドレス
「BSSID」 :アクセスポイントのMACアドレス
「フレームボディ」
・Timestamp:送信時刻のタイムスタンプ(μs単位)
・Beacon Interval:ビーコン周期(インターバル)(1024μs単位)
・SSID :アクセスポイントのSSID
・「次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報」
情報長:4バイト(μs単位)
宛先MACアドレスには、プローブリクエストの送信元の無線端末のMACアドレスを含める。これによって、プローブレスポンスが、プローブリクエストを送信した無線端末によって受信される。尚、宛先MACアドレスを、「ブロードキャストアドレス」とすることについては、
図6を用いて後述する。
【0051】
ここで、本発明の特徴として、アクセスポイント2が返信するプローブレスポンスには、「次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報」が含まれる。無線端末1は、以下の式によって、次のビーコンの送信タイミング(ビーコン待受時刻)を知ることができる。
ビーコン待受時刻=無線端末内部で保持しているタイムスタンプ+時間差情報
ここでN個先のビーコンを待ち受ける場合は、以下のように算出することも好ましい。
ビーコン待受時刻=無線端末内部で保持しているタイムスタンプ+時間差情報
+ビーコン周期×N
【0052】
(S3)無線端末1が、プローブレスポンスを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する。ここで、無線端末1は、ビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行し、待機する。これによって、無線端末の消費電力を、できる限り低減させることができる。
【0053】
(S4)無線端末1は、時間経過に応じてビーコン待受時刻に達した時に、パッシブスキャン方式におけるビーコンの待ち受けを開始する。ここで、無線通信部が省電力モードである場合、無線通信部へ電力を供給し、省電力モードから復帰させる。これによって、無線端末1は、アクセスポイント2から送信されるビーコンの受信が可能となる。
【0054】
ここで、無線端末は、ビーコン待受時刻を含む所定時間範囲で、ビーコンを待ち受けることが好ましい。ある程度の時間幅を持つことによって、できる限り確実に、アクセスポイント2からのビーコンを受信するためである。具体的には、ビーコンは、CSMA/CA方式によって若干その送信タイミングが前後するため、数ミリ秒の時間幅を前後に持って受信される。
【0055】
(S5)アクセスポイント2は、パッシブスキャン方式によって、ビーコンを同報送信する。
【0056】
図4(c)は、「ビーコン」のMACフレームフォーマットを表す。
「フレーム制御」 :先頭8ビットが00001000=ビーコン
「宛先MACアドレス」 :ブロードキャストアドレス(FF:FF:FF:FF:FF:FF)
「送信元MACアドレス」:アクセスポイントのMACアドレス
「BSSID」 :アクセスポイントのMACアドレス
「フレームボディ」:
・Timestamp:送信時刻のタイムスタンプ(μs単位)
・Beacon Interval:ビーコン周期(インターバル)(1024μs単位)
・SSID :アクセスポイントのサービス識別子
【0057】
尚、他の実施形態として、アクセスポイントは、ビーコンの送信タイミングが所定時間以内である場合、プローブレスポンスを返信することなく、その後、通常のビーコンを送信することも好ましい。その所定時間以内であれば、無線端末1は、プローブレスポンスの待受時間の範囲にあるために、アクセスポイント2から送信したビーコンを受信することができる。
【0058】
即ち、プローブレスポンスを返信すべきタイミングと、次のビーコンを送信するタイミングとが時間的近い場合、プローブレスポンスをあえて送信をしない。これにより、無線リソースの浪費が若干抑えられる。タイミングが近いとは、プローブリクエストを受信してから次のビーコンを送信するまでの時間差が15ミリ秒以下であってもよいし、更に短い時間を設定してもよい。
【0059】
(S6)無線端末1は、ビーコンを受信した際に、アクセスポイント2との間で接続シーケンスを実行する。
【0060】
図6は、非要求元無線端末が、アクセスポイントからのプローブレスポンスを受信することによって接続シーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス図である。
【0061】
図5のS2(
図4(b))で前述したように、基本的に、アクセスポイント2は、プローブレスポンスの宛先MACアドレスに、プローブリクエストの送信元となる無線端末1のMACアドレスを含める。これに対し、
図6によれば、アクセスポイント2は、プローブレスポンスの宛先MACアドレスに、ブロードキャストアドレスを含めている。これによって、当該プローブリクエストを送信した無線端末以外の非要求元無線端末も、受信状態にあるときには当該プローブレスポンスを受信することができる。
【0062】
図6によれば、非要求元無線端末も、
図5と同様のシーケンスで動作する。
(S3)非要求元無線端末が、プローブレスポンスを受信した後、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する。
(S4)次に、非要求元無線端末が、ビーコン待受時刻に達した時に、パッシブスキャン方式におけるビーコン待ち受けを開始する。
(S6)そして、非要求元無線端末が、アクセスポイント2からビーコンを受信した際に、アクセスポイント2との間で接続シーケンスを実行する。
これによって、非要求元無線端末であっても、プローブリクエストを送信するための消費電力を要することなく、比較的短い待受時間で、アクセスポイント2から送信されるビーコンを受信することができる。
【0063】
図7は、無線端末が、アクセスポイントから受信するビーコンの受信レベルに応じて、接続シーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス図である。
【0064】
図7によれば、無線端末1が、接続目的のアクセスポイントAP2へ、距離的に少しずつ近づいていることを表す。最初に、無線端末1は、プローブリクエストを送信し(S1)、アクセスポイント2からプローブレスポンスを受信する(S2)。無線端末1は、接続目的のアクセスポイントAP2が近くに存在することを知ると共に、そのプローブレスポンスに含まれる時間差情報から算出されたビーコン待受時刻まで、待機する(S3)。ビーコン待機時刻に達した時、無線端末1は、ビーコン待ち受けを開始する(S4)。
【0065】
ここで、無線端末1は、アクセスポイントからビーコンを受信した際に、当該ビーコンの受信レベルを判定する。当該ビーコンの受信レベルが所定閾値以下である場合、直ぐに、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行しない(S51)。そして、次のビーコンの周期的な送信タイミングとなるビーコン待受時刻まで待機する(S52)。その後、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなるまで(S53)、S3〜S5を繰り返す。そして、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなった時(S53)、無線端末1は、アクセスポイント2に対して、接続シーケンスを実行する。これによって、無線端末1とアクセスポイント2との間の受信レベルが所定閾値よりも高い場合にしか、接続シーケンスを実行しないようにすることができる。
【0066】
無線端末1が、アクセスポイント2へ近づいたことを知るには、一般に、信号の受信レベルを確認するが、アクティブスキャンを用いて、プローブレスポンスの受信レベルを測定する場合、アクセスポイント配下の範囲で無線リソースを浪費してしまう。そこで、無線端末1は、ビーコンの受信レベルのみを測定しながら、アクセスポイント2へ近づいたか否かを判定することができる。
【0067】
図8は、本発明における無線端末の機能構成図である。
【0068】
図8によれば、無線端末1は、ハードウェアとして、アクセスポイントと無線通信するアンテナ10と、無線信号を送信/受信で分配するサーキュレータ11と、復調部及び変調部を含む無線通信部12とを有する。無線通信部12は、CSMA/CA方式によって、他の無線端末又はアクセスポイントから送信される電波と衝突しないタイミングで、アンテナ10から送信信号を放射する。
【0069】
サーキュレータ(Circulator)とは、3端子以上のポート数を有する受動的回路素子であって、第1のポートに入力された高周波信号が第2のポートのみに出力される特性を有する。例えば3ポートのサーキュレータ(Y接合型)に整合の取れた負荷を接続することによって、残りの2ポート間では信号は一方向にしか伝送されない。具体的には、ポートAからの入力信号をポートBへ出力し、ポートBからの入力信号をポートCへ出力する。
【0070】
また、無線端末1は、受信フレーム解析部131と、待機制御部132と、ビーコン待受部133と、ビーコン受信レベル判定部134と、送信フレーム生成部141と、プローブリクエスト送信部142と、接続シーケンス確立部15と、データ送受信アプリケーション16とを有する。これら機能構成部は、無線端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。尚、接続シーケンス確立部15は、受信フレーム解析部131及び送信フレーム生成部141を介してアクセスポイント2との間で、接続シーケンスを実行する。データ送受信アプリケーション16は、受信フレーム解析部131及び送信フレーム生成部141を介してアクセスポイント2との間で、ユーザデータを送受信する。
【0071】
プローブリクエスト送信部142は、ユーザ操作又はデータ送受信アプリケーションの要求に応じて、アクティブスキャン方式によって、宛先MACアドレスにブロードキャストアドレスを含むプローブリクエストを送信するべく、送信フレーム生成部141へ出力する(前述した
図5のS1参照)。送信フレーム生成部141は、プローブリクエストのMACフレームフォーマットを生成し、無線通信部12へ出力する。尚、プローブリクエスト送信部142は、プローブリクエストに、SSIDとして、接続目的のアクセスポイントのサービス識別子又はワイルドカードのサービス識別子を含める。
【0072】
受信フレーム解析部131は、MACフレーム単位で受信データをバッファし、MACフレームフォーマットを解析する。ここで、受信フレーム解析部131は、受信フレームの宛先MACアドレスが、当該無線端末のMACアドレス又はブロードキャストアドレスでない場合、その受信フレームは破棄する。受信フレーム解析部131は、プローブレスポンスの受信を検出した場合、そのフレームを待機制御部132へ出力する。尚、受信フレーム解析部131は、ビーコンの受信を検出した場合、そのフレームをビーコン受信レベル判定部134へ出力する。
【0073】
待機制御部132は、受信フレーム解析部131からプローブレスポンスを受信した後、アクセスポイントとの間で接続シーケンスを実行することなく、時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する時間差情報に基づくビーコン待受時刻まで待機する(前述した
図5のS3参照)。ここで、待機制御部132は、ビーコン待受時刻まで、無線通信部を省電力モードへ移行させ、ビーコン待受時刻の後、無線通信部を省電力モードから復帰させる。
【0074】
ビーコン待受部133は、ビーコン待受時刻に達した時に、パッシブスキャン方式におけるビーコンを待ち受ける(前述した
図5のS4参照)べく、受信フレーム解析部131へ指示する。尚、ビーコン待受部133は、ビーコン待受時刻を含む所定時間範囲で、ビーコンを待ち受けるべく指示する。
【0075】
ビーコン受信レベル判定部134は、受信フレーム解析部131からビーコンを受信した際に、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値以下である場合、接続シーケンス確立部15への処理を実行することなく、次のビーコンの周期的な送信タイミングとなるビーコン待受時刻まで待機し、当該ビーコンの受信レベルが所定閾値よりも高くなるまで、待機制御部132及びビーコン待受部133の処理を繰り返すように制御する。
【0076】
尚、ビーコン待受時刻は、N個先のビーコンを待ち受けるように指定することも好ましい(例えば約5秒後のビーコン)。
【0077】
また、接続シーケンス確立部15は、ビーコンに含まれるSSIDが、接続目的のアクセスポイントのSSIDでない場合、そのビーコンを破棄する。
【0078】
図9は、本発明におけるアクセスポイントの機能構成図である。
【0079】
アクセスポイント2は、ハードウェアとして、無線端末と無線通信するアンテナ20と、無線信号を送信/受信で分配するサーキュレータ21と、復調部及び変調部を含む無線通信部22と、アクセスネットワーク側通信インタフェース26とを有する。
【0080】
また、アクセスポイント2は、受信フレーム解析部231と、プローブレスポンス返信部232と、送信フレーム生成部241と、ビーコン送信部242と、接続シーケンス確立部25とを有する。これら機能構成部は、アクセスポイントに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0081】
プローブレスポンス返信部232は、プローブリクエストを受信した後、次のビーコンの送信タイミングまでの時間差情報を含むプローブレスポンスを返信する(前述した
図5のS2参照)べく、送信フレーム生成部241へ指示する。また、プローブレスポンス返信部232は、ビーコンの送信タイミングが所定時間以内である場合、プローブレスポンスを返信することなく、その後、ビーコン送信部242によって通常のビーコンを送信するように制御する。更に、プローブレスポンス返信部232は、プローブリクエストの送信元の無線端末のMACアドレスを、プローブレスポンスの宛先MACアドレスとして含める。プローブレスポンスの宛先MACアドレスをブロードキャストとすることも好ましい。
【0082】
ビーコン送信部242は、ビーコンを同報送信する(前述した
図5のS5参照)。
【0083】
以上、詳細に説明したように、本発明のアクセスポイント発見方法
、システム
及び無線端末によれば、比較的小さい消費電力で、且つ、比較的短い待受時間となるように、無線端末がアクセスポイントを探索するタイミングを制御することができる。
【0084】
また、本発明によれば、接続目的のアクセスポイント配下の範囲外では、間欠的にアクティブスキャンすることによってアクセスポイントを発見するべく動作し、それ以外の時間は、省電力モードへ移行することによって、無線端末の消費電力の低減を実現する。
【0085】
更に、接続目的のアクセスポイント配下の範囲では、アクティブスキャンを実行する頻度が減少し、無線リソースの浪費を抑制することができる。また、短い時間範囲でパッシブスキャンを実行することによって、無線端末の消費電力の低減を実現する。
【0086】
通常、ビーコンの待ち受けは、ビーコンの送信タイミングが分からないために、送信間隔以上の長い時間で待ち受けることなる。これに対し、本発明によれば、プローブレスポンスによって、ビーコンの送信タイミングが分かっているので、それまでの時間間隔は、無線通信部を省電力モードへ移行させ、できる限り消費電力を低減させることができる。また、プローブリクエスト及びプローブレスポンスの交換は、1回しか実行しないために、当該アクセスポイント配下の無線リソースの浪費を抑えることができる。
【0087】
また、プローブリクエストに対するプローブレスポンスについて、宛先MACアドレスをブロードキャストアドレスとすることによって、非要求元無線端末であっても受信状態にある時には当該プローブレスポンスを受信し、アクセスポイントの次のビーコン信号を待ち受けるタイミングを知ることができる。
【0088】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0089】
1 無線端末
10 アンテナ
11 サーキュレータ
12 無線通信部
131 受信フレーム解析部
132 待機制御部
133 ビーコン待受部
134 ビーコン受信レベル判定部
141 送信フレーム生成部
142 プローブリクエスト送信部
15 接続シーケンス確立部
16 データ送受信アプリケーション
2 アクセスポイント
20 アンテナ
21 サーキュレータ
22 無線通信部
231 受信フレーム解析部
232 プローブレスポンス返信部
241 送信フレーム生成部
242 ビーコン送信部
25 接続シーケンス確立部
26 アクセスネットワーク側通信インタフェース