特許第5897416号(P5897416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897416
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】接触子および電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20160317BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20160317BHJP
   H01R 13/18 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   H01R13/24
   H01R33/76 505A
   H01R13/18 B
【請求項の数】9
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2012-154464(P2012-154464)
(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-17147(P2014-17147A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100120569
【弁理士】
【氏名又は名称】大阿久 敦子
(72)【発明者】
【氏名】木村 靖
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 勝之
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−133932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 13/18
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触片と、前記接触片に接続し且つその接続部分が前記接触片の幅より小さい結合部とからそれぞれなる第1のプランジャと第2のプランジャと第3のプランジャとを有し、
前記第1のプランジャの前記接触片は、前記第2のプランジャの前記接触片と同じ向きに配置され、
前記第3のプランジャの前記接触片は、前記第1のプランジャおよび前記第2のプランジャの各接触片と反対の向きに配置され、
前記第3のプランジャの前記結合部は、前記第1のプランジャおよび前記第2のプランジャの各結合部の間に挟持され、
前記第1のプランジャの前記結合部および前記第2のプランジャの前記結合部の外周を覆うとともに、前記第1のプランジャの前記接触片の前記結合部側の端部と、前記第2のプランジャの前記接触片の前記結合部側の端部とに当接し、前記第1のプランジャおよび前記第2のプランジャが、前記第3のプランジャを挟持した状態で互いに独立してスライド動作するように支持する付勢部材を有して、
前記第1のプランジャおよび前記第2のプランジャの少なくとも一方の前記接触片と、前記第3のプランジャの前記接触片とが協働して、これらに接触する部材同士を電気的に導通させる接触子であって、
前記第1のプランジャおよび前記第2のプランジャに、前記スライド動作を所定の範囲に制限する動作制限機構を設け
前記動作制限機構は、前記スライド動作方向における前記第1のプランジャと前記第2のプランジャの離間距離を制限するものであることを特徴とする接触子。
【請求項2】
前記付勢部材は、圧縮コイルバネであることを特徴とする請求項1に記載の接触子。
【請求項3】
前記第1のプランジャの前記端部および前記第2のプランジャの前記端部にそれぞれ当接する前記圧縮コイルバネの端部の内径は、前記圧縮コイルバネの中間部の内径より小さく、
前記第1のプランジャの前記結合部および前記第2のプランジャの前記結合部はそれぞれ、前記圧縮コイルバネの前記中間部に覆われる位置に前記圧縮コイルバネの側に突設された第1の凸部を有し、
前記第1のプランジャおよび前記第2のプランジャはそれぞれ、前記スライド動作の際に、前記第1の凸部が前記圧縮コイルバネの前記端部によって係止されるように構成され、これら第1の凸部と前記圧縮コイルバネの前記端部とによって前記動作制限機構が構成されることを特徴とする請求項に記載の接触子。
【請求項4】
前記第1のプランジャの前記接触片は、前記第2のプランジャの側に突設する第2の凸部を有し、
前記第2のプランジャの前記接触片は、前記第2の凸部と対向する部分に、前記スライド動作の方向に所定幅を有する第1の切り欠き部を備え、
前記第1のプランジャの前記第2の凸部が、前記第2のプランジャの前記第1の切り欠き部にその先端がおよぶ寸法を有して、該第2の凸部が該第1の切り欠き部の前記スライド動作方向の側部によって係止されるように構成され、該第2の凸部と該第1の切り欠き部とによって前記動作制限機構が構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の接触子。
【請求項5】
前記第2のプランジャの前記接触片は、前記第1のプランジャの側に突設する第3の凸部を有し、
前記第1のプランジャの前記接触片は、前記第3の凸部と対向する部分に、前記スライド動作の方向に所定幅を有する第2の切り欠き部を備え、
前記第2のプランジャの前記第3の凸部が、前記第1のプランジャの前記第2の切り欠き部に先端がおよぶ寸法を有して、該第3の凸部が該第2の切り欠き部の前記スライド動作方向の側部によって係止されるように構成され、該第3の凸部と該第2の切り欠き部とによって前記動作制限機構が構成されることを特徴とする請求項に記載の接触子。
【請求項6】
前記第2の切り欠き部および前記第1の切り欠き部の前記スライド動作の方向の幅は等しいことを特徴とする請求項5に記載の接触子。
【請求項7】
前記第1のプランジャの前記接触片は、その側部に、前記スライド動作の方向に所定幅を有する第3の切り欠き部を備え、
前記第2のプランジャの前記接触片は、その側部に、前記スライド動作の方向に所定幅を有する第4の切り欠き部を備え、
前記第1のプランジャの前記接触片および前記第2のプランジャの前記接触片の、前記第3の切り欠き部および前記第4の切り欠き部の周囲には、前記スライド動作方向の幅が前記第3の切り欠き部および前記第4の切り欠き部の該方向の幅のいずれよりも小さいリング状部材が配置され、該リング状部材が該第3の切り欠き部および該第4の切り欠き部の前記スライド動作方向の側部によって係止されるように構成され、
前記第3の切り欠き部および前記第4の切り欠き部と、前記リング状部材とによって前記動作制限機構が構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の接触子。
【請求項8】
前記第3の切り欠き部および前記第4の切り欠き部の前記スライド動作の方向の幅はそれぞれ等しいことを特徴とする請求項に記載の接触子。
【請求項9】
被検査体の電極に接触して試験を行う電気的接続装置であって、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の接触子を有することを特徴とする電気的接続装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触子および電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、離間して対向配置された配線基板の電気回路等を互いに電気的に接続するため、接触子およびそれを用いた電気的接続装置が用いられてきた。このような従来の接触子および電気的接続装置の例としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
【0003】
図22は、従来の接触子の正面図である。
【0004】
特許文献1に記載の接触子2000は、図22に示すように、プランジャ2001とコイルバネユニット2002とから形成される。また、接触子2000は、図示されない電気的接続装置の絶縁基板の複数の貫通孔内にそれぞれ収納される。
【0005】
プランジャ2001は、板状の形状を有し、被検査体であるICパッケージの半田ボール(図示されない)のように、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として機能する。プランジャ2001は、端子部2004と、幅広部2005と、心棒部2007とを含んで構成される。端子部2004は、ICパッケージの半田ボール等と実際に接触する接触片となる。幅広部2005は、プランジャ2001が電気的接続装置の絶縁基板の貫通孔から飛び出すことを防止するための上段部2005aと、コイルバネユニット2002を係止させるための下段部2005bとを有する。心棒部2007は、コイルバネユニット2002内で上下動自在に配備される。
【0006】
上記した構造を有する接触子2000において、プランジャ2001は、被検査体の外部接点と電気的に接触するよう、図22の垂直方向に上下動可能である。そして、上記の通り、上段部2005aによって絶縁基板からの飛び出しが防止された状態で、電気的接続装置の絶縁基板に形成された貫通孔内に配置される。電気的接続装置では、被検査体となるICパッケージの外部接点と同じ数か、または、それ以上の多数の接触子2000が、外部接点となるマトリクス状の配列パターンに対応して配列されている。
【0007】
特許文献1に記載の接触子2000では、接触片となる端子部2004を備えたプランジャ2001が上下方向に変位可能であり、これによって、狭ピッチに配列可能であるとともに電気的特性に優れるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−152495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の接触子2000において、コイルバネユニット2002の内径は、プランジャ2001の心棒部2007を上下動自在に挿入できる寸法に設定されている。そのため、プランジャ2001とコイルバネユニット2002とが互いに接触をしない等によって、実際には、所望とする電気的接触性が実現されないという問題があった。
【0010】
このため、特許文献1に記載の接触子2000では、プランジャ2001とコイルバネユニット2002とは、主として、プランジャ2001の幅広部2005の下段部2005bと、コイルバネユニット2002の上端部との接点によって、電気的に接続されることになる。それ故に接触面積が小さくなって、摩耗や腐食等で接触不良を起こしやすいという問題や、電気的接触性の耐久性に欠けて信頼性に劣るという問題があった。また、従来の接触子2000を用いた電気的接続装置においても、接触不良や、信頼性に劣るといった問題があった。
【0011】
本発明は、こうした従来の接触子と、それを用いた電気的接続装置とにおける問題に鑑みてなされたものである。
【0012】
すなわち、本発明の目的は、接触不良の抑制に有効な接触子を提供することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、接触不良の抑制に有効な電気的接続装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様は、接触片と、その接触片に接続し且つその接続部分がその接触片の幅より小さい結合部とからそれぞれなる第1のプランジャと第2のプランジャと第3のプランジャとを有し、
第1のプランジャの接触片は、第2のプランジャの接触片と同じ向きに配置され、
第3のプランジャの接触片は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの各接触片と反対の向きに配置され、
第3のプランジャの結合部は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの各結合部の間に挟持され、
第1のプランジャの結合部および第2のプランジャの結合部の外周を覆うとともに、第1のプランジャの接触片の結合部側の端部と、第2のプランジャの接触片の結合部側の端部とに当接し、第1のプランジャおよび第2のプランジャが、第3のプランジャを挟持した状態で互いに独立してスライド動作するように支持する付勢部材を有して、
第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方の接触片と、第3のプランジャの接触片とが協働して、これらに接触する部材同士を電気的に導通させる接触子であって、
第1のプランジャおよび第2のプランジャに、そのスライド動作を所定の範囲に制限する動作制限機構を設けたことを特徴とする接触子に関する。
【0016】
本発明の第1の態様において、動作制限機構は、そのスライド動作方向における第1のプランジャと第2のプランジャの離間距離を制限するものであることが好ましい。
【0017】
本発明の第1の態様において、付勢部材は、圧縮コイルバネであることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様において、第1のプランジャの端部および第2のプランジャの端部にそれぞれ当接する圧縮コイルバネの端部の内径は、圧縮コイルバネの中間部の内径より小さく、
第1のプランジャの結合部および第2のプランジャの結合部はそれぞれ、圧縮コイルバネの中間部に覆われる位置にその圧縮コイルバネの側に突設された第1の凸部を有し、
第1のプランジャおよび第2のプランジャはそれぞれ、スライド動作の際に、第1の凸部が圧縮コイルバネのその端部によって係止されるように構成され、これら第1の凸部と圧縮コイルバネの端部とによって動作制限機構が構成されることが好ましい。
【0019】
本発明の第1の態様において、第1のプランジャの接触片は、第2のプランジャの側に突設する第2の凸部を有し、
第2のプランジャの接触片は、第2の凸部と対向する部分に、そのスライド動作の方向に所定幅を有する第1の切り欠き部を備え、
第1のプランジャの第2の凸部が、第2のプランジャの第1の切り欠き部にその先端がおよぶ寸法を有して、その第2の凸部がその第1の切り欠部のスライド動作方向の側部によって係止されるように構成され、その第2の凸部とその第1の切り欠き部とによって動作制限機構が構成されることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様において、第2のプランジャの接触片は、第のプランジャの側に突設する第3の凸部を有し、
第1のプランジャの接触片は、第3の凸部と対向する部分に、スライド動作の方向に所定幅を有する第2の切り欠部を備え、
第2のプランジャの第3の凸部が、第1のプランジャの第2の切り欠き部に先端がおよぶ寸法を有して、その第3の凸部がその第2の切り欠部のスライド動作方向の側部によって係止されるように構成され、その第3の凸部とその第2の切り欠き部とによって動作制限機構が構成されることが好ましい。
【0021】
本発明の第1の態様において、第2の切り欠き部および第の切り欠き部のスライド動作の方向の幅は等しいことが好ましい。
【0022】
本発明の第1の態様において、第1のプランジャの接触片は、その側部に、スライド動作の方向に所定幅を有する第3の切り欠き部を備え、
第2のプランジャの接触片は、その側部に、スライド動作の方向に所定幅を有する第4の切り欠き部を備え、
第1のプランジャの接触片および第2のプランジャの接触片の、第3の切り欠き部および第4の切り欠き部の周囲には、スライド動作方向の幅が第3の切り欠き部および第4の切り欠き部のその方向の幅のいずれよりも小さいリング状部材が配置され、そのリング状部材が第3の切り欠き部および第4の切り欠き部のスライド動作方向の側部によって係止されるように構成され、
第3の切り欠き部および第4の切り欠き部と、リング状部材とによって動作制限機構が構成されることが好ましい。
【0023】
本発明の第1の態様において、第3の切り欠き部および第4の切り欠き部のスライド動作の方向の幅はそれぞれ等しいことが好ましい。
【0024】
本発明の第2の態様は、被検査体の電極に接触して試験を行う電気的接続装置であって、本発明の第1の態様の接触子を有することを特徴とする電気的接続装置に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の態様によれば、接触不良の抑制に有効な接触子が提供される。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、接触不良の抑制に有効な電気的接続装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の接触子の基本構造を説明する正面図である。
図2】本発明の接触子の基本構造を説明する側面図である。
図3】接触子における接触不良の一例を模式的に説明する図であり、(a)は、第1のプランジャと第2のプランジャとが、被検査体に正常に接触する状態を示し、(b)は、第1のプランジャと第2のプランジャとによる接触不良の一例を示す。
図4】接触子における圧縮コイルバネの状態を模式的に説明する図であり、(a)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャが、被検査体に接触する前の初期状態を示し、(b)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャが、被検査体に正常に接触する場合の状態を示し、(c)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの一方のみが、被検査体に接触し、他方が接触しない場合の状態を示す。
図5】本発明の第1実施形態の接触子の正面図である。
図6】本発明の第1実施形態の接触子の側面図である。
図7】本発明の第1実施形態の接触子の第1のプランジャの正面図である。
図8】本発明の第1実施形態の接触子の第2のプランジャの正面図である。
図9】本発明の第1実施形態の接触子の圧縮コイルバネの小径部と第1および第2のプランジャの結合棒部の凸部の配置構造を説明する断面図である。
図10】本発明の第1実施形態の接触子の第3のプランジャの正面図である。
図11】本発明の第1実施形態の接触子の圧縮コイルバネと第1のプランジャ〜第3のプランジャの各結合棒部の配置構造を説明する断面図である。
図12】本発明の第2実施形態の接触子の正面図である。
図13】本発明の第2実施形態の接触子の側面図である。
図14】本発明の第2実施形態の接触子の第1のプランジャの正面図である。
図15】本発明の第2実施形態の接触子の第2のプランジャの正面図である。
図16】本発明の第2実施形態の接触子の圧縮コイルバネと第1のプランジャ〜第3のプランジャの各結合棒部の配置構造を説明する断面図である。
図17】本発明の第3実施形態の接触子の正面図である。
図18】本発明の第3実施形態の接触子の側面図である。
図19】本発明の第4実施形態の電気的接続装置の接触子装着部分を示す要部拡大断面図であり、被検査体の電極に接触していない状態を示す正面断面図と、側面断面図である。
図20】本発明の第4実施形態の電気的接続装置の平面図である。
図21】本発明の第4実施形態の電気的接続装置のA−A’線に沿った断面図である。
図22】従来の接触子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、離間して対向配置された配線基板の電気回路等、離間する一方の部材と他方の部材との間を互いに電気的に接続するための、接触子およびそれを用いた電気的接続装置に関する。本発明は、電気的接続装置の接触子における接触不良を回避するため、複数のプランジャを用いて接触子を構成するという基本構造を有する。
【0029】
図1は、本発明の接触子の基本構造を説明する正面図である。
【0030】
図2は、本発明の接触子の基本構造を説明する側面図である。
【0031】
図1および図2に例示する、本発明の基本構造を備えた接触子100は、第1のプランジャ101、第2のプランジャ102および第3のプランジャ103の3つのプランジャと、付勢部材である圧縮コイルバネ104とを用いて構成される。
【0032】
第1のプランジャ101、第2のプランジャ102および第3のプランジャ103はそれぞれ、接触片105、106、107と、その接触片105、106、107に接続し、且つ、接触片105,106、107との接続部分が接触片105,106、107の幅より小さい結合部108、109、110とからなり、板状の形状を有している。図1および図2の接触子100では、対向配置される第1のプランジャ101と第2のプランジャ102とが実質的に等しい形状を有する。
【0033】
図1および図2の接触子100は、上述した第1のプランジャ101と第2のプランジャ102とにおいて、互いの接触片105、106が同じ向きとなるよう対向配置される。そして、第3のプランジャ103は、その接触片107が第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の接触片105、106と反対の向きとなるよう、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の各結合部108、109の間に、その結合部110が挟持されて配置される。
【0034】
付勢部材である圧縮コイルバネ104は、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の対向する各結合部108、109の外周を覆うように配置される。そして、圧縮コイルバネ104は、第1のプランジャ101の接触片105の結合部108側の端部を受け部、すなわちバネ受け部111として当接する。同様に、圧縮コイルバネ104は、第2のプランジャ102の接触片106の結合部109側の端部をバネ受け部112として当接する。そして、圧縮コイルバネ104は、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102が、第3のプランジャ103を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するように、第1のプランジャ101、第2のプランジャ102および第3のプランジャ103をそれぞれ支持する。
【0035】
第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の各接触片105、106は、上述の一方の部材、例えば、バンプ電極(図示されない)に接触して電気的に接続する部材である。各接触片105、106の上端部先端は、例えば、図1に示すように、2つの突起状に形成されている。これにより、各接触片105、106は、例えば、バンプ電極に確実に接触して、それらによる4つの接触点でバンプ電極にそれぞれ刺さって、確実な電気的接続を実現する。
【0036】
一方、第3のプランジャ103の接触片107は、上記一方の部材に対向する他方の部材、例えば、配線基板のコンタクトパッド(図示されない)に接触して電気的に接続する部材である。接触片107の先端部は、例えば、湾曲して形成され、例えば、平坦面状の配線基板のコンタクトパッドに安定して接触するようになっている。
【0037】
以上の構造を有する接触子100は、例えば、対向する部材間の一方の部材に第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の少なくとも一方の接触片105、106を、好ましくは両方の接触片105、106を接触させる。そして、他方の部材に第3のプランジャ103の接触片107を接触させる。その結果、接触子100は、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102と、第3のプランジャ103とが協働して、これらに接触する部材同士を電気的に導通させることができる。
【0038】
本発明は、接触子100の第1のプランジャ101および第2のプランジャ102と、第3のプランジャ103とが協働して、例えば、対向する部材の一方の部材と他方の部材との間の電気的接続を確実に実現する構造を有する。すなわち、接触子100は、圧縮コイルバネ104によって第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の周囲を覆い、それらが第3のプランジャ103を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するように構成する。そして、接触子100は、一方の部材と他方の部材との間の電気的接続を確実に実現する構造を有する。
【0039】
本発明の接触子は、図1および図2で例示した接触子100の第1のプランジャ101と第2のプランジャ102と第3のプランジャ103と圧縮コイルバネ104とによって示されるように、3つのプランジャと圧縮コイルバネとからなる構造を基本構造として有する。
さらに、本発明の接触子は、その第1のプランジャ101と第2のプランジャ102のそれぞれ独立したスライド動作に対し、一定の制限を加えるようにして構成される。
【0040】
本発明は、第1のプランジャと第2のプランジャに上述したスライド動作を所定の範囲内に制限する動作制限機構を設ける。そして、本発明の接触子は、その動作制限機構により、第1のプランジャおよび第2のプランジャの各接触片の先端部分において、上述したスライド動作方向の離間距離が所定の値の超えることがないように構成される。
【0041】
すなわち、本発明の接触子は、第1のプランジャと第2のプランジャの接触片同士が上述の所定の距離を超えて離間することがないように、上述のスライド動作によって所定の離間距離となった後は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの一方が、もう一方のスライド動作に追随するようにする。そして、第1のプランジャと第2のプランジャの互いの接触片同士が、所定値の距離を超えて離間しないように構成する。
【0042】
図3は、接触子における接触不良の一例を模式的に説明する図であり、図3(a)は、第1のプランジャと第2のプランジャとが、被検査体に正常に接触する状態を示し、図3(b)は、第1のプランジャと第2のプランジャとによる接触不良の一例を示す。
【0043】
図3(a)および図3(b)では、上述した接触子100を用いて、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の接触片105、106が、被検査体120のバンプ電極121に接触して電気的な接続を実現している。
【0044】
図3(a)は、望ましい正常な接触状態を示す。図3(a)では、接触子100の第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の接触片105、106のそれぞれが、被検査体120のバンプ電極121に接触し、所望とする電気的な接続を実現している。
【0045】
一方、図3(b)は、接触不良を例示する。図3(b)で、接触子100の第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の接触片105、106のそれぞれは、水平方向(図3の左右方向)にずれて被検査体120のバンプ電極121に接触する。その結果、第1のプランジャ101の接触片105のみによって、バンプ電極121との電気的な接続を実現している。
【0046】
このとき、接触子100では、第1のプランジャ101と第2のプランジャ102とが、それぞれ独立してスライド動作する。そのため、バンプ電極121に先端部分を当接させることができない第2のプランジャ102の接触片106は、垂直方向下方側に(図3の下方側)にスライド動作することなく、被検査体120の本体部分に接触してしまうことがある。そうした場合、第2のプランジャ102の接触片106は、被検査体120のバンプ電極121以外の部分に接触してしまうとともに、被検査体120を傷付けることになる。
【0047】
図4は、接触子における圧縮コイルバネの状態を模式的に説明する図であり、図4(a)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャが、被検査体に接触する前の初期状態を示し、図4(b)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャが、被検査体に正常に接触する場合の状態を示し、図4(c)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの一方のみが、被検査体に接触し、他方が接触しない場合の状態を示す。
【0048】
例えば、図3(a)に示されたように、接触子100の第1のプランジャ101および第2のプランジャ102が、被検査体に正常に接触した場合、圧縮コイルバネ104には、図4(b)の矢印で模式的に示されるような力が中心にかかる。そして、圧縮コイルバネ104は、そのまま均等に圧縮される。
【0049】
また、例えば、図3(b)に示されたように、接触子100に接触不良が生じ、第1のプランジャ101の接触片105のみがバンプ電極121に接触した場合、第1のプランジャ101が配置された側で、圧縮コイルバネの圧縮が生じ、第2のプランジャ102が配置された側の圧縮コイルバネの部分では、元の状態が維持される。すなわち、圧縮コイルバネ104に、図4(c)の矢印で模式的に示されたような片寄った力が加えられた場合、圧縮コイルばね104に、不均等な圧縮が生じることになる。
【0050】
圧縮コイルバネ104が、こうした不均等な圧縮を生じさせた状態で、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102を支持する場合、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の接触片105、106では、その設定位置に差異が生じる。その結果、図3(b)に示したような、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102の接触片105、106の一方が、被検査体120の電極バンプ121以外の本体部分に接触するような接触不良を生じさせてしまう。
【0051】
こうした接触不良を回避するため、本発明の接触子は、上述したように、圧縮コイルバネに不均等な圧縮が生じることがあっても、第1のプランジャと第2のプランジャの各接触片の先端部分が所定距離を超えて離間しないように、接触子のプランジャに動作制限機構が設けられる。
【0052】
そして、一定のスライド動作の範囲内では、第1のプランジャと第2のプランジャとを、それぞれ独立にスライド動作させる。その結果、例えば、図3(a)に示すような正常な接触状態では、第1のプランジャ101および第2のプランジャ102と被検査体120のバンプ電極121との間で、望ましい接触状態を実現するようにする。
【0053】
一方、図3(b)に示したように、第1のプランジャ101と第2のプランジャ102とが、バンプ電極121から水平方向にずれて配置されることが生じた場合には、一方のスライド動作に他方が追随するようにし、被検査体120に接触することを回避するようにする。すなわち、第1のプランジャ101と第2のプランジャ102のうちの一方のみが、垂直方向にスライド動作する状態となり、接触片105、106同士が所定の間隔以上に離間することになった場合、もう一方もそれに追随するスライド動作を行うようにし、被検査体120に接触することが回避されるようにする。
【0054】
その結果、図3(b)に例示されたような接触不良は回避される。すなわち、本発明の接触子は、動作制限機構により、その接触子において生じる多様な接触不良を回避することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0055】
実施の形態1.
図5は、本発明の第1実施形態の接触子の正面図である。
【0056】
図6は、本発明の第1実施形態の接触子の側面図である。
【0057】
本発明の第1実施形態の接触子200は、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の各結合部208、209に後述する動作制限機構を設けた以外は、上述した本発明の基本構造を有する接触子100と同様の構造を有する。したがって、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
図5および図6に示す、本発明の第1実施形態の接触子200は、第1のプランジャ201、第2のプランジャ202および第3のプランジャ203の3つのプランジャと、付勢部材である圧縮コイルバネ104とを用いて構成される。
【0059】
図5および図6の接触子200は、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とにおいて、互いの接触片205、206が同じ向きとなるよう対向配置される。そして、第3のプランジャ203は、その接触片207が第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の接触片205、206と反対の向きとなるよう、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の各結合部208、209の間に、その結合部210が挟持されて配置される。
【0060】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、互いの間で第3のプランジャ203を挟持し、その第3のプランジャ203と協働して、離間して対向する一方の部材(例えば、バンプ電極)と他方の部材(例えば、配線基板のコンタクトパッド)等、それらに接触する部材同士を電気的に導通させるための板状のプランジャである。第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、同様の形状を有し、導電性の材料により切削加工、プレス加工等により、またはフォトリソ技術を用いたメッキ等により製作される。
【0061】
図7は、本発明の第1実施形態の接触子の第1のプランジャの正面図である。
【0062】
図7に示すように、第1のプランジャ201は、結合部208と、バネ受け部211と、接触片205とから構成されている。結合部208には、後述する結合棒部280の両側部に、その部分が幅広となるように凸部220が形成されている。
第2のプランジャ202も、第1のプランジャ201と同様の構造を有する。
【0063】
図8は、本発明の第1実施形態の接触子の第2のプランジャの正面図である。
【0064】
第2のプランジャ202は、第1のプランジャ201と同様、結合部209と、バネ受け部212と、接触片206とから構成され、結合部209には、後述する結合棒部280の両側部に、その部分が幅広となるように凸部221が形成されている。
【0065】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202のバネ受け部211、212は、圧縮コイルバネ104を受けるための受け部である。バネ受け部211、212は、結合部208、209と接触片205、206との接合部分に設けられた段差である。結合部208、209の幅に比べて接触片205、206は幅を広く形成され、接触片205、206の結合部208、209側の端部が段差部分となって、これがバネ受け部211、212になっている。このバネ受け部211、212に、図5および図6に示すように、付勢部材である圧縮コイルバネ104の端部の小径部284が当接する。その結果、圧縮コイルバネ104によって、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202が、接触子200において弾性的に支持されるようになっている。
【0066】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、図5および図6に示すように、第3のプランジャ203を挟んで圧縮コイルバネ104により組み付けられている。第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の各結合部208、209が対向する状態で、第3のプランジャ203の結合部210を挟み込んでいる。これにより、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の2つのプランジャと、1つの第3のプランジャ203とが電気的に接続して導通された状態となる。そして、各プランジャ201、202、203が、例えば、対向配置されるバンプ電極とコンタクトパッドとにそれぞれ接触して、これらの間を電気的に導通させる。
【0067】
第1のプランジャ201と第2のプランジャ202は、同様の形状で構成されている。接触子200は、同様の形状のプランジャを対向させ構成することにより、接触する部材(例えば、バンプ電極)への良好な接触を行える。第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、第3のプランジャ203を挟んだ状態で互いに独立してスライド動作するようになっている。その結果、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202は、例えば、バンプ電極等、接触する部材の形状が平坦ではない不均一な場合や、ボール形状のように突起状の場合に、その形状に追従して電気的接触を確実に行うことができる。
【0068】
第1のプランジャ201の結合部208および第2のプランジャ202の結合部209は、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202と、第3のプランジャ203とが互いに結合される際に、第3のプランジャ203の結合部210と重ね合わされて電気的に接触するための部分である。すなわち、図6に示すように、第3のプランジャ203の結合部210を、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合部208、209が両側から挟むように重ね合わる。そして、これら第1のプランジャ201および第2のプランジャ202と、第3のプランジャ203とを電気的に接触させる。
【0069】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合部208、209は、図7および図8に示すように、それぞれ同様の結合棒部280と、先端挿入部281と、抜け止部282とから構成されている。そして、第1のプランジャ201の結合部208の結合棒部280の両側の側部の所定の位置に、その部分が幅広となるように凸部220が形成されている。同様に、第2のプランジャ202においても、その結合部208の結合棒部280の両側の側部の同様の位置に、その部分が、図の左右(水平)方向に幅広となるように凸部221が形成されている。
【0070】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合部208、209は、長い短冊状の板状に形成され、第3のプランジャ203の結合部210と広い面積で接触させることができる。
【0071】
結合部208、209の結合棒部280は、第3のプランジャ203の結合部210の結合棒部269と重なり合わされて圧縮コイルバネ104に支持されるための部分であり、圧縮コイルバネ104よりも少し長い寸法に設定されている。
【0072】
第1のプランジャ201の結合部208の結合棒部280には、上述したように、凸部220が形成されている。この凸部220は、結合棒部280の側部を、所定の位置で両側に突起させて形成されている。この両側に突設された凸部220の幅は、図5および図6に示すように、結合部208、209の結合棒部280が第3のプランジャ203の結合部210の結合棒部269と重なり合わされて圧縮コイルバネ104に支持されたときの、その圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。そして、その状態で、圧縮コイルバネ104の、小径部284より大径である中間部の内径より小さくなるように設定されている。したがって、この結合棒部280の凸部220は、その状態では、圧縮コイルバネ104の小径部284により係止され、それを通り抜けることはできない。
【0073】
そして、結合棒部280の凸部220は、その状態で圧縮コイルバネ104の、小径部284より大径である中間部の内径より小さくなるように設定されている。
【0074】
同様に、第2のプランジャ202の結合部209の結合棒部280には凸部221が形成されている。この凸部221は結合棒部280の側部を、所定の位置で両側に突起させて形成されている。この両側に突起した凸部221の幅は、結合部208、209の結合棒部280が第3のプランジャ203の結合部210の結合棒部269と重なり合わされて圧縮コイルバネ104に支持されたときの、その圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。結合棒部280の凸部221は、その状態では、圧縮コイルバネ104の小径部284により係止され、それを通り抜けることはできない。
【0075】
そして、結合棒部280の凸部221は、その状態で圧縮コイルバネ104の、小径部284より大径である中間部の内径より小さくなるように設定されている。
【0076】
図9は、本発明の第1実施形態の接触子の圧縮コイルバネの小径部と第1および第2のプランジャの結合棒部の凸部の配置構造を説明する断面図である。
【0077】
図9は、第3のプランジャ203の結合棒部269の両側に、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の2つの結合棒部280が重ねられた状態を示し、この状態で圧縮コイルバネ104による組み付けが行われている。そして、図9に示す、各部が重ねられた状態で、結合棒部269の両側に重ね合わされる結合棒部280の凸部220、221の外側に位置する4つの隅部が、圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。
【0078】
第1のプランジャ201において、凸部220の形成位置は、図5に示すように、組み付けられたときに、圧縮コイルバネ104の、端部の小径部284より大径の中間部によって外周を覆われる領域となる。すなわち、凸部220は結合棒部280の側部であって、後述する両端に小径部284を有する圧縮コイルバネ104の大径の中間部によって外周が包囲された領域に形成される。結合棒部280の凸部220は、圧縮コイルバネ104の圧縮動作を妨げないように形成されている。
【0079】
同様に、第2のプランジャ202において、凸部221の形成位置は、組み付けられたときに、圧縮コイルバネ104の大径の中間部によって外周を覆われる領域とされる。すなわち、凸部221は、結合棒部280の側部であって、後述する両端に小径部284を有する圧縮コイルバネ104の大径の中間部によって外周が包囲された領域に形成される。結合棒部280の凸部221は、圧縮コイルバネ104の圧縮動作を妨げないように形成されている。そして、凸部221は、第1のプランジャ201の凸部220と同様の位置で、結合棒部280の側部に設けられることが好ましい。
【0080】
上述したように、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、第3のプランジャ203を挟んだ状態で互いに独立してスライド動作するように構成されている。このとき、図9で示したように、結合棒部280の凸部220、221の外側に位置する4つの隅部が、圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。
【0081】
したがって、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とが、上述した互いに独立したスライド動作をして、第1のプランジャ201が、第2のプランジャ202と離れて、それより上方側に位置しようとしたときに、結合棒部280の凸部220が圧縮コイルバネ104の端部の小径部284に引っ掛かり、係止されて、図6のそれ以上の上方側には配置されないように構成されている。
【0082】
同様に、上述した独立したスライド動作をして、第2のプランジャ202が、第1のプランジャ201と離れて、より上方側に位置しようとしたときに、結合棒部280の凸部221が圧縮コイルバネ104の端部の小径部284に引っ掛かり、係止されて、図6のそれ以上の上方側には配置されないように構成されている。
【0083】
したがって、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202のそれぞれが、例えば、図6の上方側である、被検査体側に位置しようとする場合、いずれもその凸部220、221が圧縮コイルバネ104の小径部284に引っ掛かって、係止され、所定の範囲以上にはスライド動作できないようにされる。当然に、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、互いに所定の範囲以上に離間されて配置されることはできない。すなわち、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202は、凸部220、221と圧縮コイルバネ104とによって、ある所定の範囲を超えるように離間して配置されるような、独立したスライド動作が制限されることになる。
【0084】
また、例えば、上述した図3(b)の場合のように、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とが、被検査体のバンプ電極から水平方向にずれて配置され、第1のプランジャ201のみバンプ電極に接触し、第2のプランジャ202がそれに接触しないことが生じ得る。
【0085】
その場合、第1のプランジャ201が、下方側(例えば、図6の下方側となる。)にスライド動作し、バネ受け部211によって圧縮コイルバネ104を押圧し、圧縮コイルバネ104を圧縮する。すると、その圧縮された圧縮コイルバネ104は、位置ずれによってバンプ電極に接触しない第2のプランジャ202の凸部221を、その小径部284によって、図の下方側に押圧することになる。その結果、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とにおいては、一方のスライド動作に他方が追随してスライド動作し、被検査体の本体部分に第2のプランジャ202が接触することは抑制される。
【0086】
したがって、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202では、組み付けた後に被検査体との接触がまだ無い、初期状態の結合棒部280の凸部220、221の形成位置と、その初期状態の圧縮コイルバネ104の小径部284(図6に示す、上部側の小径部284)の配置位置との間の距離が、上部側への最大の動作距離となる。すなわち、第1のプランジャ201の接触片205と第2のプランジャ202の接触片206とが離間して配置された場合の最大の離間距離となる。そして、その距離の範囲内では、互いに離間するような、それぞれの独立したスライド動作が可能となる。
【0087】
圧縮コイルバネ104の小径部284は、結合棒部280の凸部220、221との間で、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の離間するスライド動作範囲を規定するように機能する。
【0088】
ここで、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202はそれぞれ、圧縮コイルバネ104の上部側の小径部284に当接するバネ受け部211、212を有している。したがって、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202を支持する圧縮コイルバネ104は、その小径部284によってバネ受け部211、212の位置を決めることができる。
【0089】
逆に言えば、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202のバネ受け部211、212が、圧縮コイルバネ104の上部側の小径部284の位置を決めることがある。したがって、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202はそれぞれ、圧縮コイルバネ104の小径部284の係止を受けて、図7および図8に示すそれぞれの凸部220、221とバネ受け部211、212との間の距離の分だけ、スライド動作ができることになる。
【0090】
そして、本実施形態の第1のプランジャ201および第2のプランジャ202はそれぞれ、同様の構造を有している。その結果、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202のそれぞれの凸部220、221とバネ受け部211、212との間の距離であって、圧縮コイルバネ104の小径部284の幅を差し引いた距離が、第1のプランジャ201の接触片205と第2のプランジャ202の接触片206とが離間して配置された場合の最大の離間距離となる。そして、その距離の範囲内では、それぞれ離間する独立したスライド動作が可能となる。
【0091】
以上から、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合棒部280の凸部220、221の形成位置が、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の独立したスライド動作の範囲を決める上で重要になる。
【0092】
より詳細には、組み付けた時の上記初期状態の圧縮コイルバネ104の小径部284(図6に示す、上部側の小径部284である。)の配置位置に対して、所定の距離を定め、その所定距離にしたがって結合棒部280の凸部220、221の形成位置を定めることにより、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の上述の独立したスライド動作の範囲を決めることができる。
【0093】
結合棒部280の凸部220、221の形成位置の決め方は、被検査体の形状、例えば、バンプ電極の高さを考慮して決めることができる。すなわち、圧縮コイルバネ104の小径部284の上記初期状態の配置位置に対する凸部220、221の距離の決め方としては、被検査体の形状、例えば、バンプ電極の高さを考慮して決めることができる。
【0094】
具体的には、バンプ電極の高さより小さくなるよう、その距離を設定できる。このような距離設定を行うことで、第1のプランジャ201の接触片205と第2のプランジャ202の接触片206とが離間することがあっても、一方がバンプ電極上にあれば、他方が被検査体の本体部分に接することはない。そして、例えば、図3(b)に示した、接触不良の発生防止に有効となる。併せて、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の独立したスライド動作が十分に確保されることを考慮し、その距離は、バンプ電極の高さの1/2以上とすることが好ましい。
【0095】
以上より、本実施形態の接触子200は、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202が、第3のプランジャ203を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するようにされ、例えば、バンプ電極等、被検査体との接触を確実なものとすることができる。一方で、接触子200は、第1のプランジャ201の結合部208の凸部220が、第1のプランジャおよび第2のプランジャの上述のスライド動作を所定の範囲内に制限する動作制限機構を構成する。すなわち、その凸部220が、圧縮コイルバネ104の小径部284と協働して、第1のプランジャ201のスライド動作の範囲を制限するように機能する。
【0096】
同様に、本実施形態の接触子200は、第2のプランジャ202の結合部209の凸部221が、上述のスライド動作を所定の範囲内に制限する動作制限機構を構成する。すなわち、その凸部221が、圧縮コイルバネ104の小径部284と協働して、第2のプランジャ202のスライド動作の範囲を制限するように機能する。
【0097】
その結果、本実施形態の接触子200は、例えば、図3(b)に示された例を含む、多様な接触不良の懸念に対し、それらを有効に防止することができる。
【0098】
次に、図7および図8に示す、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の先端挿入部281は、結合棒部280の圧縮コイルバネ104内への挿入を案内するための部分である。先端挿入部281は、結合棒部280の先端部に形成されている。先端挿入部281は、差し入れる方向に対して、障害にならないように、なだらかな傾斜面を有し、圧縮コイルバネ104内にスムーズに挿入できるようになっている。これにより、図6に示すように、第3のプランジャ203の結合棒部269の両側に2つの結合棒部280が重ねられた状態で、各結合棒部280の先端挿入部281が圧縮コイルバネ104内にスムーズに挿入できるようになっている。
【0099】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の抜け止部282は、先端挿入部281が圧縮コイルバネ104内に挿入されたとき、この先端挿入部281が圧縮コイルバネ104から抜けないようにするための部分である。
【0100】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の抜け止部282は、先端挿入部281の端部(結合棒部280と先端挿入部281の境界部分)に設けられている。抜け止部282は、先端挿入部281の端部を両側に突起させて形成されている。この両側に突起した抜け止部282の幅寸法は、図5および図6に示す、組み付けを行ったときに、圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。すなわち、第3のプランジャ203の結合棒部269の両側に、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の2つの結合棒部280が重ねられた状態で、結合棒部269の両側に重ね合わされる2つの抜け止部282の外側に位置する4つの隅部が、圧縮コイルバネ264の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。
【0101】
尚、本実施形態の接触子200では、上述したように、結合部208、209の結合棒部280に凸部220、221が設けられており、抜け止部282の形成を省略することも可能である。
【0102】
次に、第1のプランジャ201の接触片205および第2のプランジャ202の接触片206は、例えば、対向する部材間の一方の部材(例えば、バンプ電極)に接触して電気的に接続するための部材である。図7および図8に示すように、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の接触片205、206は、結合部208、209の端部側(図7および図8では、上側となる。)に続いて一体的に設けられている。結合部208、209と接触片205、206との接合部分に設けられた段差は、上述したように、圧縮コイルバネ104の上部側の小径部284が当接するバネ受け部211、212となる。
【0103】
接触片205、206は、ほぼ長方形状を基本形状とする板状部225、226と、それより幅寸法が小さい上端部227、228により形成されている。板状部225、226の幅寸法は、後述する図19の、接触子200を収納するための電気的接続装置11の上側ハウジング17の第2支持穴17Aの内径よりも少し小さい寸法である。上端部227、228の幅寸法は、上側ハウジング17の上側受け部17Bを貫通する寸法である。
【0104】
接触片205、206には、図7および図8に示すように、板状部225、226と上端部227、228の境に上側支持肩部229、230が形成されている。この上側支持肩部229、230は、後述する図19の上側ハウジング17の上側受け部17Bに引っかかって、接触片205、206が第2支持穴17Aから抜け出ないようになっている。上側支持肩部229、230が上側ハウジング17の上側受け部17Bに引っかかった状態で、接触片205、206の上端部が第2支持穴17Aから上方へ突出するようになっている。
【0105】
第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の各接触片205、206の上端部先端は、2つの突起状に形成されている。すなわち、接触片205、206の先端の中央がU字状に窪んで凹部に形成され、その両側に2つの突起231、232が形成されている。さらに、図6に示すように、突起231、232には、テーパ面233、234が形成されている。これにより、2つの突起231、232は、2つの切っ先状に形成されている。
【0106】
上述した凹部と対向する2つのテーパ面233、234が作る空間は、例えば、被検査体のバンプ電極の頂部を受け入れる空間として働く。これにより、例えば、球状のバンプ電極と、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202との接触時に、バンプ電極の頂部は、上述した空間に受け入れられ、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の先端面に接触して押しつぶされることが防止される。このテーパ面233、234は、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202の2つのプランジャが第3のプランジャ203を挟んで向き合ったときに、上方へ向けて互いに開く方向に配設される。これにより、上方へ向けて互いに開く方向に配設された2つずつの突起231、232が、上述した図3(a)の接触子100において示したように、バンプ電極13に確実に接触して、4つの接触点で刺さって、電気的に確実に接触するようになっている。
【0107】
次に、本実施形態の接触子200の第3のプランジャ203は、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とにより挟持され、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202と協働して一方の部材(例えば、バンプ電極)と他方の部材(例えば、配線基板のコンタクトパッド)との間を電気的に導通させるための板状のプランジャである。その場合、第3のプランジャ203は、他方の部材としての電極等(例えば、配線基板のコンタクトパッド)に接触するように構成される。
【0108】
第3のプランジャ203は、導電性の材料により切削加工、プレス加工等により、または、フォトリソ技術を用いたメッキ等により製作される。
【0109】
図10は、本発明の第1実施形態の接触子の第3のプランジャの正面図である。
【0110】
図10に示すように、第3のプランジャ203は、結合部210と、バネ受け部267と、接触片207とから構成されている。第3のプランジャ203の長さは、後述する、電気的接続装置11に組み付けられた時に、配線基板15のコンタクトパッド22から上側ハウジング17の上面の高さ寸法とほぼ等しくされている。
【0111】
第3のプランジャ203の結合部210は、第3のプランジャ203と、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202とが互いに結合される際に直接重ね合わされて、第3のプランジャ203と他の第1および第2のプランジャ201、202とを電気的に接触するための部分である。結合部210は、結合棒部269と、先端挿入部270と、抜け止部271とから構成されている。
【0112】
第3のプランジャ203の結合部210は、長い板状に形成され、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202となるべく広い面積で安定して接触させることができる。結合棒部269は、後述する圧縮コイルバネ104に支持されるための部分であり、圧縮コイルバネ104よりも少し長い寸法に設定されている。
【0113】
結合棒部269の幅寸法は、圧縮コイルバネ104の小径部284の内径とほぼ同じ寸法に設定されている。
【0114】
第3のプランジャ203の先端挿入部270は、組み付けの時に結合棒部269の圧縮コイルバネ104内への挿入を案内するための部分である。先端挿入部270は、結合棒部269の先端部(図10中の上端部)に形成されている。先端挿入部270は、差し入れる方向に対して、障害になららないように、なだらかで湾曲した傾斜面を有し、圧縮コイルバネ104内に容易に挿入できるようになっている。さらに、先端挿入部270の厚さ寸法は、組み付けられた時に先端挿入部270が、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の接触片205、206の間に位置して、接触片205、206の上端部の突起231、232の間隔を安定させるように設定されている。
【0115】
第3のプランジャ203の抜け止部271は、先端挿入部270が圧縮コイルバネ104内に挿入されたとき、この先端挿入部270が圧縮コイルバネ104から抜けないようにするための部分である。抜け止部271は、先端挿入部270の端部(結合棒部269と先端挿入部270の境界部分)に設けられている。すなわち、抜け止部271は、バネ受け部267と反対の端部に形成されている。抜け止部271は、先端挿入部270の端部を両側に突起させて形成されている。この両側に突起した抜け止部271の幅は、図5および図6に示す、圧縮コイルバネ104端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている
【0116】
第3のプランジャ203のバネ受け部267は、圧縮コイルバネ104を受けるための受け部である。バネ受け部267は、結合部210と接触片207との境界部分に設けられている段差である。結合部210の幅に比べて接触片207は幅を広く形成され、これらの境界の段差部分がバネ受け部267になっている。このバネ受け部267に圧縮コイルバネ104の端部の小径部284が当接することで、接触子200においては、第3のプランジャ203が圧縮コイルバネ104によって弾性的に支持されるようになっている。
【0117】
第3のプランジャ203の接触片207は、配線基板のコンタクトパッド等、上述した他方の部材に接触して電気的に接続するための部材である。接触片207は、結合部210の端部側(図10の下側となる。)に続いて一体的に設けられている。接触片207は、その幅寸法が、後述する図19の、接触子200を収納するための電気的接続装置11の下側ハウジング16の第1支持穴16Aおよび上側ハウジング17の第2支持穴17Aの内径よりも少し小さい寸法の、ほぼ長方形状の板状部240と、下側ハウジング16の下側受け部16Bを貫通するよう、板状部240より幅の小さい寸法の先端部241とから形成されている。
【0118】
第3のプランジャ203の接触片207の先端部241は湾曲して形成され、例えば、平坦面状の配線基板のコンタクトパッドに安定して接触するようになっている。接触片207には、長方形状の板状部240と先端部241の境に下側支持肩部273が形成されている。この下側支持肩部273は、後述する図19の下側ハウジング16の下側受け部16Bに引っかかって、接触片207が第1支持穴16Aから抜け落ちないようになっている。下側支持肩部273が下側ハウジング16の下側受け部16Bに引っかかった状態で、接触片207の端部が第1支持穴16Aから下方へ突出するようになっている。
【0119】
次に、本実施形態の接触子200の圧縮コイルバネ104は、図5および図6に示すように、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202、並びにそれらによって挟持された第3のプランジャ203の結合部208、209、210の外周を覆うように設けられる。そして、各バネ受け部211、212、267にそれぞれ当接して、第1〜第3の各プランジャ201、202、203を弾性的に支持し、第1〜第3の各プランジャ201、202、203の間を電気的に導通させるように機能する。
【0120】
圧縮コイルバネ104の両端部には、第1のプランジャ201、第2のプランジャ202および第3のプランジャ203の各結合部208、209、210が積み重なって支持される。
【0121】
圧縮コイルバネ104は、両端の小径部284に比べ、中間部が大径となるように構成されている。すなわち、圧縮コイルバネ104は、第3のプランジャ203の結合棒部269と、それを挟み込む第1のプランジャ201と第2のプランジャ202の結合棒部280の作る断面形状が当接しない大きさに形成され、圧縮コイルバネ104が構成されている。
【0122】
圧縮コイルバネ104の中間部の外径は、第1のプランジャ201、第2のプランジャ202および第3のプランジャ203の最大幅寸法より少し大きく設定されている。
【0123】
圧縮コイルバネ104の両端部には、上述したように、その中間部を挟むように、小径の小径部284が形成されている。小径部284の内径は、第3のプランジャ203の結合棒部269と、それを挟み込む第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合棒部280の作る断面形状に外接する外接円の径よりも僅かに小さく設定されている。
【0124】
図11は、本発明の第1実施形態の接触子の圧縮コイルバネと第1のプランジャ〜第3のプランジャの各結合棒部の配置構造を説明する断面図である。
【0125】
図11に示すように、上述した第1のプランジャ201と第2のプランジャ202の結合棒部280は、端部に抜け防止部271を有する第3のプランジャ203の結合棒部269を両側から挟んだ状態で配置される。そして、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合棒部280の断面寸法(幅、厚さ寸法)は、結合棒部269を両側から挟んだ状態で、その8つの隅部分が、圧縮コイルバネ104の中間部より小径の小径部284の内径部に接する状態の寸法とされている。すなわち、圧縮コイルバネ104の小径部284の内径が、結合棒部280、269が結合された断面形状の外接円となる寸法に設定され僅かに締め付ける状態に組み付けられている。
【0126】
尚、図11に示す構造とするため、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の2つの結合棒部280の幅寸法は、第3のプランジャ203の結合棒部269の幅寸法よりも狭い寸法とされている。
【0127】
こうした構造を有することにより、接触子200は、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202と、それらに挟持される第3のプランジャ203とを、接触片205、206と接触片207とが反対の向きとなる状態で、結合部208、209、210を重ね合わせて配置し、圧縮コイルバネ104により一体とすることができる。そして、各バネ受け部211、212の位置で圧縮コイルバネ104を係止して互いの間に隙間ができないように支持し、第1のプランジャ201、第2のプランジャ202および第3のプランジャ203が、互いに独立してスライド動作できるように組み立てることができる。
【0128】
以上の構造の本発明の第1実施形態の接触子200は、圧縮コイルバネ104を用いて、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202が、第3のプランジャ203を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するように構成され、一方の部材と他方の部材との間の電気的接続を確実に実現することができる。一方、接触子200は、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202の各接触片205、206の上端部227、228の突起231、232同士が、所定距離を超えて互いに離間しないよう、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202に動作制限機構を設けて構成される。本実施形態の動作制限機構は、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202の結合部208、209の凸部220、221とすることができる。そして、接触子200は、発生が懸念される多様な接触不良を有効に防止することができる。
【0129】
実施の形態2.
図12は、本発明の第2実施形態の接触子の正面図である。
【0130】
図13は、本発明の第2実施形態の接触子の側面図である。
【0131】
本発明の第2実施形態の接触子1200は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の接触片1205、1206に後述する動作制限機構を設けた以外は、上述した本発明の基本構造を有する接触子100と同様の構造を有する。したがって、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0132】
またさらに、本発明の第2実施形態の接触子1200は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の構造が異なる以外は、上述した本発明の第1実施形態の接触子200と同様の構造を有する。したがって、接触子200と共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0133】
図12および図13に示す、本発明の第2実施形態の接触子1200は、第1のプランジャ1201、第2のプランジャ1202および第3のプランジャ203の3つのプランジャと、付勢部材である圧縮コイルバネ104とを用いて構成される。このとき、第3のプランジャ203と、付勢部材である圧縮コイルバネ104は、上述した第1実施形態の接触子200と同様の構造である。
【0134】
図12および図13の接触子1200は、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202とにおいて、互いの接触片1205、1206が同じ向きとなるよう対向配置される。そして、第3のプランジャ203は、その接触片207が第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の接触片1205、1206と反対の向きとなるよう、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の各結合部1208、1209の間に、その結合部210が挟持されて配置される。
【0135】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202はそれぞれ、板状のプランジャである。第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202は、互いの間に第3のプランジャ203を挟持し、その第3のプランジャ203と協働して、離間して対向配置される一方の部材(例えば、バンプ電極)と他方の部材(例えば、配線基板のコンタクトパッド)等、それらに接触する部材同士の間を電気的に導通させる。第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202は、同様の形状を有し、導電性の材料により切削加工、プレス加工等により、またはフォトリソ技術を用いたメッキ等により製作される。
【0136】
図14は、本発明の第2実施形態の接触子の第1のプランジャの正面図である。
【0137】
図14に示すように、第1のプランジャ1201は、結合部1208と、バネ受け部1211と、接触片1205とから構成されている。
【0138】
図15は、本発明の第2実施形態の接触子の第2のプランジャの正面図である。
【0139】
第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201と同様、結合部1209と、バネ受け部1212と、接触片1206とから構成される。
【0140】
第1のプランジャ1201の接触片1205は、その側部に、組み付けられた状態で第2のプランジャ1202側となる方向に突設された凸部1220を有する。そして、接触片1205は、その側部であって、凸部1220が形成されていない側の側部に、切り欠き部1222が形成されている。
【0141】
尚、第2のプランジャ1202も、上述したように、第1のプランジャ1201と同様の構造を有する。
第2のプランジャ1202の接触片1206は、組み付けられた状態で第1のプランジャ1201側となる方向に突設された凸部1221と、切り欠き部1223とを有する。
【0142】
後述するように、本実施形態の接触子1200は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の接触片1205、1206にそれぞれ設けられた凸部1220、1221および切り欠き部1222、1223が、本実施形態の動作制限機構を構成する。
【0143】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202のバネ受け部1211、1212は、圧縮コイルバネ104を受けるための受け部である。バネ受け部1211、1212は、結合部1208、1209と接触片1205、1206との接合部分に設けられた段差である。結合部1208、1209の幅に比べて接触片1205、1206は幅を広く形成され、接触片1205、1206の結合部1208、1209側の端部が段差部分となって、これがバネ受け部1211、1212になっている。このバネ受け部1211、1212には、図12および図13に示すように、付勢部材である圧縮コイルバネ104の端部の小径部284が当接する。そして、接触子1200において、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202が、圧縮コイルバネ104によって弾性的に支持されるようになっている。
【0144】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202は、図12および図13に示すように、第3のプランジャ203を挟んで圧縮コイルバネ104により組み付けられている。第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の各結合部1208、1209が対向する状態で、第3のプランジャ203の結合部210を挟み込んでいる。これにより、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の2つのプランジャと、1つの第3のプランジャ203とが電気的に接続して導通された状態となる。そして、各プランジャ1201、1202、203が、例えば、バンプ電極とコンタクトパッドとにそれぞれ接触して、これらの間を電気的に導通させる。
【0145】
第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202は、同様の形状で構成されている。同様の形状のプランジャを対向させ構成することにより接触する部材(例えば、バンプ電極)への良好な接触を行える。第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202は、第3のプランジャ203を挟んだ状態で互いに独立してスライド動作するようになっている。その結果、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202は、例えば、バンプ電極等、接触する部材の形状が平坦ではなく不均一な場合や、ボール形状の要に突起状の場合に、その形状に追従して電気的接触を確実に行うことができる。
【0146】
第1のプランジャ1201の接触片1205および第2のプランジャ1202の接触片1206は、例えば、対向する部材間の一方の部材(例えば、バンプ電極)に接触して電気的に接続するための部材である。図14および図15に示すように、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の接触片1205、1206は、結合部1208、1209の端部側(図14および図15では、上側となる。)に続いて一体的に設けられている。
【0147】
接触片1205、1206は、ほぼ長方形状を基本形状とする板状部1225、1226と、それより幅寸法が小さい上端部1227、1228により形成されている。板状部1225、1226の幅寸法は、後述する図19の、接触子200や接触子1200を収納するための電気的接続装置11の上側ハウジング17の第2支持穴17Aの内径よりも少し小さい寸法である。上端部1227、1228の幅寸法は、上側ハウジング17の上側受け部17Bを貫通する寸法である。
【0148】
図14および図15に示すように、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の接触片1205、1206には、板状部1225、1226と上端部1227、1228の境に上側支持肩部1229、1230が形成されている。この上側支持肩部1229、1230は、後述する図19の上側ハウジング17の上側受け部17Bに引っかかって、接触片1205、1206が第2支持穴17Aから抜け出ないようになっている。上側支持肩部1229、1230が上側ハウジング17の上側受け部17Bに引っかかった状態で、接触片1205、1206の上端部が第2支持穴17Aから上方へ突出するようになっている。
【0149】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の各接触片1205、1206の上端部先端は、図12図15に示すように、2つの突起状に形成されている。すなわち、接触片1205、1206の先端の中央がU字状に窪んで凹部に形成され、その両側に2つの突起1231、1232が形成されている。さらに、突起1231、1232には、図13に示すように、テーパ面1233、1234が形成されている。これにより、2つの突起1231、1232は、2つの切っ先状に形成されている。
【0150】
上述した凹部と対向する2つのテーパ面1233、1234が作る空間は、例えば、被検査体のバンプ電極の頂部を受け入れる空間として働く。これにより、例えば、球状のバンプ電極と、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202との接触時に、バンプ電極の頂部は、上述した空間に受け入れられ、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の先端面に接触して押しつぶされることが防止される。このテーパ面1233、1234は、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202の2つのプランジャが第3のプランジャ203を挟んで向き合ったときに、上方へ向けて互いに開く方向に配設される。これにより、上方へ向けて互いに開く方向に配設された2つずつの突起1231、1232が、上述した図3(a)の接触子100について示したように、バンプ電極に確実に接触して、4つの接触点で刺さって、電気的に確実に接触するようになっている。
【0151】
第1のプランジャ1201は、図12および図13に示すように、その接触片1205の板状部1225の一方の側部に凸部1220を有する。この凸部1220は、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202とが組み付けられたときに、第2のプランジャ1202の側となる方向に突設される。そして、第1のプランジャ1201は、図14に示すように、接触片1205の板状部1225の凸部1220の設けられていないもう一方の側部に、切り欠き部1222を有している。
【0152】
第2のプランジャ1202においても、図15に示すように、その接触片1206の板状部1226の一方の側部に、第1のプランジャ1201の凸部1220と同様の、凸部1221を有する。この凸部1221は、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202とが組み付けられたときに、第1のプランジャ1201の側となる方向に突設される。そして、第2のプランジャ1202は、接触片1206の板状部1226の凸部1221の設けられていないもう一方の側部に、切り欠き部1223を有している。
【0153】
そして、図12および図13に示すように、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202は、第3のプランジャ203を挟んで圧縮コイルバネ104により組み付けられて用いられる。
【0154】
したがって、第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201との組み付けがなされたときに、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1222と対向する側の、接触片1206の板状部1226の側部に凸部1221を設ける。そして、第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の凸部1220と対向する側の、もう一方の板状部1226の側部に切り欠き部1223が設けられる。
【0155】
したがって、上述した組み付けがなされた時には、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の凸部1220には、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の切り欠き部1223が対向することになる。同様に、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の凸部1221には、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1220が対向することになる。
【0156】
第1のプランジャ1201の凸部1220の長さは、上述した組み付けがなされた時に、対向する第2のプランジャ1202の接触片1206にまで延び、その先端部分が接触片1206の切り欠き部1223に達する寸法とされる。すなわち、図13に示すように、接触片1205の凸部1220は、上記組み付けがなされたときに、対向する第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の表面より奥側にその先端部分が配置される寸法を有する。
【0157】
したがって、第1のプランジャ1201は、上述したスライド動作をして、第2のプランジャ1202より上方側に移動しようとしたときに、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の切り欠き部1223の、スライド動作方向の側部(図13では、上部側の側部となる。)に引っ掛かる。そして、第1のプランジャ1201の凸部1220は、切り欠き部1223の側部に、係止され、それ以上の上方側にはスライド動作ができないようにされている。
【0158】
すなわち、第1のプランジャ1201は、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の切り欠き部1223の形成範囲内であって、その接触片1205の凸部1220が動作できる範囲内で、スライド動作できることになる。その範囲を超えるスライド動作は、第2のプランジャ1202により止められ、第2のプランジャ1202を伴ったスライド動作が必要となる。すなわち、所定の動作範囲を超えるスライド動作には、第1および第2の2つのプランジャ1201、1202の互いに追随した動作が必要となる。
【0159】
また、第2のプランジャ1202が、図13の下方側にスライド動作した場合、第1のプランジャ1201の接触片1205の凸部1220は、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の切り欠き部1223の、スライド動作方向の側部(図13では、上部側の側部となる。)に引っ掛かる。そして、凸部1220を有する第1のプランジャ1201は、切り欠き部1223の形成された第2のプランジャ1202に追随して、下方側にはスライド動作するようにされている。
【0160】
以上の構造の第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202では、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の切り欠き部1223の、上述したスライド動作方向(図13および図15の上下方向となる。)の幅が、第1のプランジャ1201の独立したスライド動作の動作範囲を決めることになる。すなわち、その切り欠き部1223の幅が、第1のプランジャ1201の接触片1205と第2のプランジャ1202の接触片1206の最大離間距離を決めることになる。
【0161】
より詳細には、上記組み付けがなされたときに、第1のプランジャ1201の接触片1205の凸部1220と、対向する第2のプランジャ1202の接触片1206の切り欠き部1223の側部との間にある隙間の長さ分だけ、第1のプランジャ1201は、第2のプランジャ1202より上方側にスライド動作して離間配置されることができる。そして、第2のプランジャ1202の接触片1206の切り欠き部1223が、第1のプランジャ1201のスライド動作の範囲、すなわち上述の離間距離を制限することになる。
【0162】
また、第2のプランジャ1202の凸部1221の長さは、上述した組み付けがなされた時に、対向する第1のプランジャ1201の接触片1205にまで延び、その先端部分が接触片1205の切り欠き部1222に達する長さとされる。すなわち、第1のプランジャ1201と同様に、接触片1206の凸部1221は、上記組み付けがなされたときに、対向する第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の表面より奥側にその先端部分が配置される寸法を有する。
【0163】
したがって、第2のプランジャ1202は、上述したスライド動作をして、第1のプランジャ1201より上方側に移動しようとしたときに、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1222の、スライド動作方向の側部(図14の上部側の側部となる。)に引っ掛かる。そして、凸部1221を有する第2のプランジャ1202は、その側部に係止され、それ以上の上方側にはスライド動作ができないようにされている。
【0164】
すなわち、第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1222の形成範囲内であって、その接触片1206の凸部1221が動作できる範囲内で、スライド動作できることになる。その範囲を超えるスライド動作は、第1のプランジャ1201により止められ、第1のプランジャ1201を伴ったスライド動作が必要となる。すなわち、所定の動作範囲を超えるスライド動作には、第1のプランジャ1201の場合と同様、第1および第2の2つのプランジャ1201、1202の互いに追随した動作が必要となる。
【0165】
また、第1のプランジャ1201が、図13の下方側にスライド動作した場合、第2のプランジャ1202の接触片1206の凸部1221は、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1222を構成するその側部(図14では、上部側の側部となる。)に引っ掛かる。そして、第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201に追随して、下方側にはスライド動作するようにされている。
【0166】
以上の構造の第2のプランジャ1202と第1のプランジャ1201では、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1222の、上述したスライド動作方向(図14の上下方向となる。)の幅が、第2のプランジャ1202の独立したスライド動作の動作範囲を決めることになる。すなわち、その切り欠き部1222の幅が、第2のプランジャ1202の接触片1206と第1のプランジャ1201の接触片1205の最大離間距離を決めることになる。
【0167】
より詳細には、上記組み付けがなされたときに、第2のプランジャ1202の接触片1206の凸部1221と、対向する第1のプランジャ1201の接触片1205の切り欠き部1222の側部との間にある隙間の長さ分だけ、第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201より上方側に離れたスライド動作ができる。そして、第1のプランジャ1201の接触片1205の切り欠き部1222が、第2のプランジャ1202のスライド動作の範囲、すなわち上述の離間距離を制限することになる。
【0168】
そして、第1のプランジャ1201の接触片1205の切り欠き部1222が、第2のプランジャ1202のスライド動作の範囲を制限することになる。
【0169】
このとき、第1のプランジャ1201の接触片1205の板状部1225の切り欠き部1222の、上述したスライド動作方向(図14の上下方向)の幅は、被検査体の形状、例えば、バンプ電極の高さを考慮して決めることができる。具体的には、バンプ電極の高さより小さく設定できる。併せて、第1のプランジャ1201の切り欠き部1222の上記幅は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の独立したスライド動作が十分に確保されることを考慮し、バンプ電極の高さの1/2以上とすることが好ましい。
【0170】
同様に、第2のプランジャ1202の接触片1206の板状部1226の切り欠き部1223の、上述したスライド動作方向(図15の上下方向)の幅は、被検査体の形状、例えば、バンプ電極の高さを考慮して決めることができる。具体的には、バンプ電極の高さより小さく設定できる。併せて、第2のプランジャ1202の切り欠き部1223の上記幅は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の独立したスライド動作が十分に確保されることを考慮し、バンプ電極の高さの1/2以上とすることが好ましい。
【0171】
切り欠き部1222、1223の上述したスライド動作方向(図14図15の上下方向)の幅を、そのように設定することで、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202の接触片1205、1206同士が離れて配置される場合の最大の離間距離を定めることができる。そして、その最大離間距離を、例えば、バンプ電極の高さより小さく設定すれば、上述した図3(b)に示す接触不良の発生防止に有効となる。
【0172】
以上より、本実施形態の接触子1200は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202が、第3のプランジャ203を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するようにされ、例えば、バンプ電極等、被検査体との接触を確実なものとすることができる。一方で、接触子1200は、第1のプランジャ1201の接触片1205の凸部1222と第2のプランジャ1202の接触片1206対向する切り欠き部1223とが協働して、各接触片1205、1206の間の動作範囲を制限する動作制限機構を構成する。
【0173】
同様に、本実施形態の接触子1200は、第2のプランジャ1202の接触片1206の凸部1221と第1のプランジャ1201の接触片1205の対向する切り欠き部1222とが協働して、各接触片1205、1206の間の動作範囲を制限する動作制限機構を構成する。
【0174】
その結果、本実施形態の接触子1200は、上述した、多様な接触不良の発生を、より有効に防止することができる。
【0175】
次に、図14および図15に示す、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の結合部1208、1209は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202と、第3のプランジャ203とが互いに結合される際に、第3のプランジャ203の結合部210と重ね合わされて電気的に接触するための部分である。すなわち、図13に示すように、第3のプランジャ203の結合部210を、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の結合部1208、1209が両側から挟むように重ね合わされて、これら第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202と、第3のプランジャ203とを電気的に接触させるようになっている。
【0176】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の結合部1208、1209は、図14および図15に示すように、それぞれ同様の結合棒部1280と、先端挿入部1281と、抜け止部1282とから構成されている。
【0177】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の結合部1208は、長い短冊状の板状に形成され、第3のプランジャ203の結合部210と広い面積で接触させることができる。
【0178】
結合棒部1280は、第3のプランジャ203の結合部210と重なり合わさって圧縮コイルバネ104に支持されるための部分であり、圧縮コイルバネ104よりも少し長い寸法に設定されている。
【0179】
図16は、本発明の第2実施形態の接触子の圧縮コイルバネと第1のプランジャ〜第3のプランジャの各結合棒部の配置構造を説明する断面図である。
【0180】
図16に示すように、上述した第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202の結合棒部1280は、端部に抜け防止部271を有する第3のプランジャ203の結合棒部269を両側から挟んだ状態で配置される。そして、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の結合棒部1280の断面寸法(幅、厚さ寸法)は、結合棒部269を両側から挟んだ状態で、その8つの隅部分が、圧縮コイルバネ104の中間部より小径の小径部284の内径部に接する状態の寸法とされている。すなわち、圧縮コイルバネ104の小径部284の内径が、結合棒部1280、269が結合された断面形状の外接円となる寸法に設定され僅かに締め付ける状態に組み付けられている。
【0181】
その結果、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の2つの結合棒部1280の幅寸法は、第3のプランジャ203の結合棒部269の幅寸法よりも狭い寸法とされる。
【0182】
図14および図15に示す、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の先端挿入部1281は、結合棒部1280の圧縮コイルバネ104内への挿入を案内するための部分である。先端挿入部1281は、結合棒部1280の先端部に形成されている。先端挿入部1281は、差し入れる方向に対して、障害にならないように、なだらかな傾斜面を有し、圧縮コイルバネ104内にスムーズに挿入できるようになっている。これにより、第3のプランジャ203の結合棒部269の両側に2つの結合棒部1280が重ねられた状態で、各結合棒部1280の先端挿入部1281が圧縮コイルバネ104内にスムーズに挿入できるようになっている。
【0183】
第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の抜け止部1282は、先端挿入部1281が圧縮コイルバネ104内に挿入されたとき、この先端挿入部1281が圧縮コイルバネ104から抜けないようにするための部分である。抜け止部1282は、先端挿入部1281の端部(結合棒部1280と先端挿入部1281の境界部分)に設けられている。抜け止部1282は、先端挿入部1281の端部を両側に突起させて形成されている。この両側に突起した抜け止部1282の幅寸法は、組み付けを行ったときに、圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。すなわち、第3のプランジャ203の結合棒部269の両側に、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202の2つの結合棒部1280が重ねられた状態で、結合棒部269の両側に重ね合わされる2つの抜け止部1282の外側に位置する4つの隅部が、圧縮コイルバネ104の端部の小径部284の内径よりも僅かにはみ出すように設定されている。
【0184】
こうした構造を有することにより、接触子1200は、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202と、それらに挟持される第3のプランジャ203とを、接触片1205、1206と接触片207とが反対の向きとなる状態で、結合部1208、1209、210を重ね合わせて配置し、圧縮コイルバネ104により一体とすることができる。そして、各バネ受け部1211、1212の位置で圧縮コイルバネ104を係止して互いの間に隙間ができないように支持し、第1のプランジャ1201、第2のプランジャ1202および第3のプランジャ203が、互いに独立してスライド動作できるように組み立てることができる。
【0185】
以上の構造の本発明の第2実施形態の接触子1200は、圧縮コイルバネ104を用いて、第1のプランジャ1201および第2のプランジャ1202が、第3のプランジャ203を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するように構成され、一方の部材と他方の部材との間の電気的接続を確実に実現することができる。一方、接触子1200は、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202の各接触片1205、1206の上端部1227、1228の突起1231、1232同士が、所定距離を超えて互いに離間しないよう、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202に動作制限機構を設けて構成される。本実施形態の接触子1201の動作制限機構は、第1のプランジャ1201と第2のプランジャ1202の接触片1205、1206にそれぞれ設けられた凸部1220、1221および切り欠き部1222、1223とすることができる。そして、発生が懸念される多様な接触不良を有効に防止することができる。
【0186】
実施の形態3.
図17は、本発明の第3実施形態の接触子の正面図である。
【0187】
図18は、本発明の第3実施形態の接触子の側面図である。
【0188】
本発明の第3実施形態の接触子1400は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406に後述する動作制限機構を設けた以外は、上述した本発明の基本構造を有する接触子100と同様の構造を有する。したがって、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0189】
またさらに、本発明の第3実施形態の接触子1400は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の構造が異なる以外は、上述した本発明の第1実施形態の接触子200と同様の構造を有する。したがって、接触子200と共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0190】
図17および図18に示す、本発明の第3実施形態の接触子1400は、第1のプランジャ1401、第2のプランジャ1402および第3のプランジャ203の3つのプランジャと、付勢部材である圧縮コイルバネ104とを用いて構成される。このとき、第3のプランジャ203と、付勢部材である圧縮コイルバネ104は、上述した第1実施形態の接触子200と同様の構造である。
【0191】
図17および図18の接触子1400は、第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402とにおいて、互いの接触片1405、1406が同じ向きとなるよう対向配置される。そして、第3のプランジャ203は、その接触片207が第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406と反対の向きとなるよう、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の各結合部1408、1409の間に、その結合部210が挟持されて配置される。
【0192】
第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402はそれぞれ、板状のプランジャである。第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402は、互いの間で第3のプランジャ203を挟持し、その第3のプランジャ203と協働して、離間して対向配置される一方の部材(例えば、バンプ電極)と他方の部材(例えば、配線基板のコンタクトパッド)等、それらに接触する部材同士の間を電気的に導通させる。第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402は、同様の形状を有し、導電性の材料により切削加工、プレス加工等により、またはフォトリソ技術を用いたメッキ等により製作される。
【0193】
図17に示すように、第1のプランジャ1401は、結合部1408と、バネ受け部1411と、接触片1405とから構成されている。第2のプランジャ1402は、第1のプランジャ1401と同様の構造を有し、図18に示すように、結合部1409と、バネ受け部1412と、接触片1406とから構成される。
【0194】
第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402のバネ受け部1411、1412は、圧縮コイルバネ104を受けるための受け部である。バネ受け部1411、1412は、結合部1408、1409と接触片1405、1406との接合部分に設けられた段差である。接触片1405、1406は板状部1425、1426を有し、結合部1408、1409の幅に比べて幅を広く形成される。したがって、接触片1405、1406の結合部1408、1209側の端部が段差部分となって、これがバネ受け部1411、1412になっている。このバネ受け部1411、1412に、付勢部材である圧縮コイルバネ104の端部の小径部284が当接する。その小径部284の当接により、圧縮コイルバネ104によって、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402が、接触子1400において弾性的に支持されるようになっている。
【0195】
こうした構造を有することにより、接触子1400は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402と、それらに挟持される第3のプランジャ203とを、接触片1405、1406と接触片207とが反対の向きとなる状態で、結合部1408、1409、210を重ね合わせて配置し、圧縮コイルバネ104により一体とすることができる。そして、各バネ受け部1411、1412の位置で圧縮コイルバネ104を係止して互いの間に隙間ができないように支持し、第1のプランジャ1401、第2のプランジャ1402および第3のプランジャ203が、互いに独立してスライド動作できるように組み立てることができる。
【0196】
第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402は、図17および図18に示すように、第3のプランジャ203を挟んで圧縮コイルバネ104により組み付けられている。第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の各結合部1408、1409が対向する状態で、第3のプランジャ203の結合部210を挟み込んでいる。これにより、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の2つのプランジャと、1つの第3のプランジャ203とが電気的に接続して導通された状態となる。そして、各プランジャ1401、1402、203が、例えば、バンプ電極とコンタクトパッドとにそれぞれ接触して、これらの間を電気的に導通させる。
【0197】
第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402は、同様の形状で構成されている。同様の形状のプランジャを対向させ構成することにより接触する部材(例えば、バンプ電極)への良好な接触を行える。第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402は、第3のプランジャ203を挟んだ状態で互いに独立してスライド動作するようになっている。その結果、第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402は、例えば、バンプ電極等、接触する部材の形状が平坦ではなく不均一な場合や、ボール形状の要に突起状の場合に、その形状に追従して電気的接触を確実に行うことができる。
【0198】
第1のプランジャ1401の接触片1405および第2のプランジャ1402の接触片1406は、例えば、対向する部材間の一方の部材(例えば、バンプ電極)に接触して電気的に接続するための部材である。図17および図18に示すように、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406は、結合部1408、1409の端部側(図17および図18では、上側となる。)に続いて一体的に設けられている。
【0199】
接触片1405、1406は、ほぼ長方形状を基本形状とする板状部1425、1426と、それより幅寸法が小さい上端部1427、1428により形成されている。板状部1425、1426の幅寸法は、後述する図19の、接触子200、1200、1400を収納するための電気的接続装置11の上側ハウジング17の第2支持穴17Aの内径よりも少し小さい寸法である。上端部1427、1428の幅寸法は、上側ハウジング17の上側受け部17Bを貫通する寸法である。
【0200】
図17および図18に示すように、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406には、板状部1425、1426と上端部1427、1428の境に、図7および図8の第1実施形態の接触子200の上側支持肩229、230と同様の、上側支持肩部が形成されている。
【0201】
図17および図18に示すように、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の各接触片1405、1406の上端部1427、1428の先端は、図7および図8の第1実施形態の接触片205、206と同様に、2つの突起状に形成されている。すなわち、接触片1405、1406の先端の中央がU字状に窪んで凹部に形成され、その両側に2つの突起1431、1432が形成されている。さらに、突起1431、1432には、図18に示すように、テーパ面1433、1434が形成されている。これにより、2つの突起1431、1432は、2つの切っ先状に形成されている。
【0202】
第1のプランジャ1401は、図17および図18に示すように、その接触片1405の板状部1425の側部に切り欠き部1420を有する。
【0203】
第2のプランジャ1402においても、図18に示すように、その接触片1406の板状部1426の側部に、第1のプランジャ1401の切り欠き部1420と同様の配置と大きさで、切り欠き部1421を有する。すなわち、第2のプランジャ1402の切り欠き部1421の、図18の上下方向である、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402がスライド動作する方向の幅は実質的に等しい。
【0204】
そして、第1のプランジャ1401の接触片1405の板状部1425および第2のプランジャ1402の接触片1406の板状部1426の、切り欠き部1420および切り欠き部1421の周囲には、それらを囲むようにリング状部材1422が設けられている。
【0205】
このリング状部材1422は、板状体1425、1426等、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の他の部分と同様の導電性の材料によって形成することができる。そして、このリング状部材1422は、図17の上下方向である、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402がスライド動作する方向の幅が、切り欠き部1420より小さく、また、切り欠き部1421よりも小さい。リング部材1422は、接触片1405、1406の板状体1425、1426の切り欠き部1420、1421に周囲に配置された状態で、その切り欠き部1420、1421を構成する、図17の上下方向の両方の側部の少なくとも一方との間には、隙間が形成されている。
【0206】
リング状部材1422の寸法については、外径部の幅が接触片1405、1406の板状体1425、1426の幅より小さいことが好ましい。そして、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402が第3のプランジャ203を両側から挟んだ状態で、切り欠き部1420、1421の4つの隅部分が、そのリング状部材1422の内径部に接する状態の寸法であるか、または、若干大きくなる寸法とすることが好ましい。
【0207】
接触子1400では、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406の板状体1425、1426にそれぞれ設けられた切り欠き部1420、1421およびリング状部材1422が、本実施形態の動作制限機構を構成する。
【0208】
したがって、第1のプランジャ1401は、上述したスライド動作をして、第2のプランジャ1402より、例えば、上方側に移動しようとしたときに、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406の周囲に配設されたリング状部材1422に引っ掛かり、係止され、所定の範囲以上にはスライド動作ができないようにされている。
【0209】
すなわち、第1のプランジャ1401は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406の板状部1425、1426の周囲に設けられたリング状部材1422によって妨げられない範囲で、スライド動作できることになる。
【0210】
第1のプランジャ1401は、リング状部材1422に対し、その切り欠き部1420の上述したスライド動作方向の幅の分だけ自由にスライド動作することができる。リング状部材1422は、第2のプランジャ1402に対し、第2のプランジャ1402の切り欠き部1421の上述したスライド動作方向の幅の分だけ自由に動作することができる。したがって、第1のプランジャ1401は、第2のプランジャ1402に対し、その上方に配置される場合、その切り欠き部1420の上記幅の分だけ、第2のプランジャ1402と離間して配置されることができる。
【0211】
同様に、第2のプランジャ1402は、リング状部材1422に対し、その切り欠き部1421の上述したスライド動作方向の幅の分だけ自由にスライド動作することができる。リング状部材1422は、第1のプランジャ1401に対し、第1のプランジャ1401の切り欠き部1420の上述したスライド動作方向の幅の分だけ自由に動作することができる。したがって、第2のプランジャ1402は、第1のプランジャ1401に対し、その上方に配置される場合、その切り欠き部1421の上記幅の分だけ、第1のプランジャ1401と離間して配置されることができる。
【0212】
したがって、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の上述のスライド動作の動作範囲はそれぞれ、接触片1405、1406の板状部1425、1426の切り欠き部1420、1421の上述したスライド動作方向の幅によって決まることになる。
【0213】
より具体的には、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402は、リング状部材1422と接触片1405、1406の側部との間の、上述したスライド動作方向の隙間の長さの分だけ、互いに離間された配置が可能となる。その離間範囲を超えるスライド動作は、リング状部材1422に、ひいてはもう一方のプランジャにより止められ、もう一方のプランジャを伴ったスライド動作が必要となる。すなわち、所定の動作範囲を超えるスライド動作には、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の2つの互いに追随した動作が必要となる。
【0214】
また、例えば、第2のプランジャ1402が、図18の下方側にスライド動作した場合、その第2のプランジャ1402の接触片1406の板状体1426の切り欠き部1421の上部側の側部は、リング状部材1422に引っ掛かり、係止される。それ以上、第2のプランジャ1402が、図18の下方側にスライド動作した場合、第2のプランジャ1402は、リング状部材1422とともに下方側にスライド動作する。そうすると、そのリング状部材1422は、第1のプランジャ1401の接触片1405の板状体1425の切り欠き部1420の下方側の側部に引っ掛かり、係止される。さらに、第2のプランジャ1402が、リング状部材1422を伴って、図18の下方側にスライド動作した場合、第1のプランジャ1201は、リング状部材1422および第2のプランジャ1402に追随して、下方側にスライド動作するようになる。第1のプランジャ1401のみが、下方側にスライド動作した場合も、同様に、第2のプランジャ1402が追随して、下方側にスライド動作するようになる。
【0215】
以上の構造の第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402では、上述したように、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406の板状部1425、1426の切り欠き部1420、1421の、上述したスライド動作方向(図17および図18の上下方向となる。)の幅およびリング状部材1422の幅が、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の独立したスライド動作の動作範囲を決めることになる。すなわち、その切り欠き部1420、1421の幅およびリング状部材1422の幅が、第1のプランジャ1401の接触片1405と第2のプランジャ1402の接触片1406との間の最大離間距離を決めることになる。
【0216】
より詳細には、上記組み付けがなされたときに、第1のプランジャ1401の接触片1405の切り欠き部1420の上下の側部と、リング状部材1422との間にある隙間の長さ分だけ、第1のプランジャ1401は、第2のプランジャ1402と離間するように、スライド動作ができる。同様に、第2のプランジャ1402の接触片1406の切り欠き部1421の上下の側部と、リング状部材1422との間にある隙間の長さ分だけ、第2のプランジャ1202は、第1のプランジャ1201と離間するように、スライド動作ができる。そして、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の接触片1405、1406の切り欠き部1420、1421が、第1および第2のプランジャ1401、1402のスライド動作の範囲、すなわち上述の離間距離を制限することになる。
【0217】
そして、第1のプランジャ1401の接触片1405および第2のプランジャ1402の接触片1406の周囲に配置されたリング状部材1422が、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402のスライド動作の範囲を制限することになる。
【0218】
このとき、第1のプランジャ1401の接触片1405の板状部1425の切り欠き部1420の、上述したスライド動作方向(図18の上下方向)の幅は、被検査体の形状、例えば、バンプ電極の高さを考慮して決めることができる。具体的には、バンプ電極の高さより小さく設定できる。併せて、第1のプランジャ1401の切り欠き部1420の上記幅は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の独立したスライド動作が十分に確保されることを考慮し、バンプ電極の高さの1/2以上とすることが好ましい。
【0219】
同様に、第2のプランジャ1402の接触片1406の板状部1426の切り欠き部1421の、上述したスライド動作方向(図18の上下方向)の幅は、被検査体の形状、例えば、バンプ電極の高さを考慮して決めることができる。具体的には、バンプ電極の高さより小さく設定できる。併せて、第2のプランジャ1402の切り欠き部1421の上記幅は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の独立したスライド動作が十分に確保されることを考慮し、バンプ電極の高さの1/2以上とすることが好ましい。
【0220】
切り欠き部1420、1421の上述したスライド動作方向(図18の上下方向)の幅を、そのように設定することで、第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402の接触片1405、1406同士が離れて配置される場合の最大の離間距離を定めることができる。そして、その最大離間距離を、例えば、バンプ電極の高さより小さく設定すれば、上述した図3(b)に示す接触不良の発生防止に有効となる。
【0221】
以上より、本実施形態の接触子1400は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402が、第3のプランジャ203を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するようにされ、例えば、バンプ電極等、被検査体との接触を確実なものとすることができる。一方で、接触子1400は、第1のプランジャ1401の接触片1405の切り欠き部1420と第2のプランジャ1402の接触片1406対向する切り欠き部1421とそれら周囲のリング状部材1422とが協働して、各接触片1405、1406の間の動作範囲を制限する動作制限機構を構成する。
【0222】
その結果、本実施形態の接触子1400は、上述した、多様な接触不良の発生を、より有効に防止することができる。
【0223】
次に、図17および図18に示す、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の結合部1408、1409は、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402と、第3のプランジャ203とが互いに結合される際に、第3のプランジャ203の結合部210と重ね合わされて電気的に接触するための部分である。すなわち、図18に示すように、第3のプランジャ203の結合部210を、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の結合部1408、1409が両側から挟むように重ね合わされて、これら第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402と、第3のプランジャ203とを電気的に接触させるようになっている。
【0224】
第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402の結合部1408、1409は、上述した第2実施形態の接触子1200の結合部1208、1209と、それぞれ同様の構造を有している。第2の実施形態の接触子1200の結合部1208、1209の結合棒部1280と先端挿入部1281と抜け止部1282と同様の結合棒部と先端挿入部と抜け止部とを有することができる。
【0225】
以上の構造の本発明の第3実施形態の接触子1400は、圧縮コイルバネ104を用いて、第1のプランジャ1401および第2のプランジャ1402が、第3のプランジャ203を挟持した状態で、互いに独立してスライド動作するように構成され、一方の部材と他方の部材との間の電気的接続を確実に実現することができる。一方、接触子1400は、第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402の各接触片1405、1406の上端部1427、1428の突起1431、1432同士が、所定距離を超えて互いに離間しないよう、第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402に動作制限機構を設けて構成される。本実施形態の接触子1400の動作制限機構は、第1のプランジャ1401と第2のプランジャ1402の接触片1405、1406にそれぞれ設けられた切り欠き部1420、1421およびその周囲に設けられたリング状部材1422とすることができる。そして、発生が懸念される多様な接触不良を有効に防止することができる。
【0226】
実施の形態4.
本発明の第4実施形態は、上述した本実施形態の接触子を用いて構成された電気的接続装置である。本実施形態の電気的接続装置は、上述した第1〜第3の実施形態の接触子200、1200、1400のいずれの接触子を組込むことも可能であり、例えば、対向する部材の一方の部材と他方の部材との間の電気的接続を実現する構造を有する。
以下、第1実施形態の接触子200を用いた電気的接続装置を例として、本発明の第4実施形態の電気的接続装置の構造について説明する。
【0227】
図19は、本発明の第4実施形態の電気的接続装置の接触子装着部分を示す要部拡大断面図であり、被検査体の電極に接触していない状態を示す正面断面図と、側面断面図である。
【0228】
尚、図19においては、図7および図8において示された、接触子200の第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の結合部208、209の結合棒部280の凸部220、221は、便宜上、省略して示してある。
【0229】
電気的接続装置11は、被検査体12の通電試験等に用いる装置である。被検査体12は、図19中では本体部分が図示されないが、集積回路等の半導体デバイスである。被検査体12は、その下側面に複数のバンプ電極13が設けられている。このバンプ電極13は、被検査体12の下側面に設けられた電極である。各バンプ電極13は、被検査体12の下側面に、一列、複数列、マトリクス状または他の配列で備えられている。
【0230】
電気的接続装置11は主に、配線基板15と、下側ハウジング16と、上側ハウジング17と、フレーム18(後述する図20を参照のこと。)と、ガイド板19と、接触子200とを備えて構成されている。
【0231】
配線基板15は、下側ハウジング16、上側ハウジング17等を支持する板状の配線基板である。この配線基板15の配線は被検査体12を試験するテスタ本体(図示されない)の配線に接続されている。配線基板15は、テスタ本体側の電極を構成する部材であって、接触子200の下端部が配線基板15の上面に設けられたコンタクトパット22に接触して電気的に導通される。
【0232】
下側ハウジング16は、上側ハウジング17と合わされた状態で接触子200を支持するための部材である。下側ハウジング16には、接触子200の下端部が挿入される第1支持穴16Aが接触子200の外径よりも少し大きい径で設けられている。この第1支持穴16Aは、被検査体12の下面の各バンプ電極13に対応した位置にそれぞれ設けられている。第1支持穴16A内には、接触子200を受けて支持する下側受け部16Bが形成されている。下側受け部16Bは、第1支持穴16Aの下端部の内径を小さくして形成されている。この下側受け部16Bに接触子200の上述した図10の第3のプランジャ203の下側支持肩部273が引っ掛かり、接触子200の下端部が貫通するように下側受け部16Bの内径が設定されている。この下側受け部16Bに接触子200の下側支持肩部273が引っ掛かることで、接触子200が下側受け部16Bで支持されるようになっている。
【0233】
下側ハウジング16は、配線基板15の上側に重ねられている。配線基板15の上側面には、第1支持穴16Aに対応する位置にテスタ本体に配線で接続されたコンタクトパッド22が設けられている。各コンタクトパッド22には、第1支持穴16Aに挿入された接触子200の第3のプランジャの接触片207の先端部241が押圧され電気的に接触される。
【0234】
上側ハウジング17は、下側ハウジング16と協働して、接触子200の全体を支持するための部材である。上側ハウジング17は、下側ハウジング16に重ねられて、この下側ハウジング16と上側ハウジング17とで、接触子200を自由に伸縮できる状態で支持するようになっている。上側ハウジング17には、下側ハウジング16の第1支持穴16Aに対応する位置に、第2支持穴17Aが設けられている。この第2支持穴17Aは、第1支持穴16Aの上側開口と同じ内径(接触子200の外径よりも少し大きい径)に形成されて、内部に接触子200をスライド動作可能に収納して支持する。第2支持穴17Aは、被検査体12の下側面に備えられた各バンプ電極13に対応する位置にそれぞれ設けられて、各接触子200の上端部が各バンプ電極13に電気に接触させるようになっている。
【0235】
第2支持穴17A内には、接触子200を上側から支持する上側受け部17Bが形成されている。この上側受け部17Bは、第2支持穴17Aの上端部の内径を小さくして形成されている。この上側受け部17Bに、上述した図7図8の接触子200の上側支持肩部229、230がひっかかり、接触子200の上端部が貫通することで、接触子200が上側受け部17Bで支持されるように、上側受け部17Bの内径が設定されている。
【0236】
そして、第1支持穴16Aと第2支持穴17Aとで、接触子200全体を受け入れて支持する接触子支持穴27が構成されている。接触子200が、接触子支持穴27に受け入れられた状態で、接触子200は予圧が掛かった状態(縮んだ状態)にあり、接触子200の第3のプランジャの接触片207の先端部241は配線基板15の上面に設けられたコンタクトパット22を押圧した状態になる。
【0237】
図20は、本発明の第4実施形態の電気的接続装置の平面図である。
【0238】
フレーム18は、図19の配線基板15、下側ハウジング16および上側ハウジング17を一体的に固定して支持すると共に、ガイド板19を上下動可能に支持するための部材である。フレーム18は、外枠部31と、固定用フランジ部32と、上下動支持用フランジ部33とから構成されている。
【0239】
外枠部31は、図19の下側ハウジング16、上側ハウジング17およびガイド板19の周縁部を囲うように、四角形の枠体状に形成されている。外枠部31の下側面には、位置決め用ピンまたは位置決め用穴(いずれも図示されない)が設けられ、配線基板15の上側面には、外枠部31側の位置決め用ピンまたは位置決め用穴に対応して、位置決め用穴または位置決め用ピン(いずれも図示されない)が設けられている。これにより、外枠部31の下側面の位置決め用ピンまたは位置決め用穴が、配線基板15の上側面の位置決め用穴または位置決め用ピンに嵌り合って、外枠部31と配線基板15とが正確に位置決めされて支持されるようになっている。外枠部31の四隅には、固定ネジ35が取り付けられている。この固定ネジ35は、外枠部31の四隅の貫通穴(図示されない)を介して配線基板15のネジ穴(図示されない)にねじ込まれて、これら外枠部31と配線基板15とを固定している。
【0240】
固定用フランジ部32は、四角形の外枠部31の開口部の対向する辺(枠)の内側面に、互いに対向して2つ設けられている。各固定用フランジ部32は、互いに内側へ水平に伸びた、ほぼ半円板状に形成されている。各固定用フランジ部32の下面の高さ(配線基板15からの高さ)は、図19の下側ハウジング16および上側ハウジング17を重ねた高さとほぼ同じ値に設定されている。これにより、配線基板15上に重ねられた下側ハウジング16および上側ハウジング17を、各固定用フランジ部32と配線基板15とで挟んで支持するようになっている。具体的には、固定用フランジ部32の下に上側ハウジング17と下側ハウジング16を入れた時に、下側ハウジングの下面が外枠部31の下面と同じになる。
【0241】
図21は、本発明の第4実施形態の電気的接続装置のA−A’線に沿った断面図である。
【0242】
上下動支持用フランジ部33は、ガイド板19を上下動可能にフレーム18の開口内に支持するための部分である。上下動支持用フランジ部33は、四角形の枠体状のフレーム18の開口部の四隅にそれぞれ形成されている。各上下動支持用フランジ部33は、板部42と、ガイドネジ穴43と、スプリング穴44とから構成されている。
【0243】
板部42は、フレーム18の外枠部31の四隅に斜めに架け渡された板材である。板部42の下側面の高さは、固定用フランジ部32の下側面と同じ高さになるように設定されている。板部42の上側面の高さは、この板部42の上側面とガイド板19のフランジ部54の下側面とが互いに当接することで、被検査体12のバンプ電極13と接触子200の上端部とが最適に接触するように設定されている。具体的には、被検査体12のバンプ電極13と接触子200の上端部とが接触して、接触子200が押し縮められる状態になるように、板部42の上側面の高さが設定されている。
【0244】
板部42には、ガイドネジ穴43とスプリング穴44とが設けられている。ガイドネジ穴43は、ガイドネジ46をねじ込むためのネジ穴である。このガイドネジ穴43は、各板部42の中央に1つ設けられている。スプリング穴44は、スプリング47を支持するための穴である。このスプリング穴44は、各ガイドネジ穴43の両側に2つずつ設けられている。
【0245】
ガイドネジ46は、ガイド板19のフレーム18の開口内における位置決めをして、かつガイド板19の上下動を許容するためのネジである。ガイドネジ46は、頭部48と、ガイド部49と、ネジ棒部50とから構成されている。頭部48は、ガイド板19を抑えて抜け落ちを防止する部分である。頭部48の上側面には、マイナスドライバーが嵌合するマイナス溝51が形成されている。
【0246】
ガイド部49は、ガイド板19の上下動を案内する部分である。ガイド部49は、頭部48とネジ棒部50との間に設けられ、ガイド板19のガイド穴59に嵌合して、ガイド板19の上下動を案内する。ガイド部49の長さ(高さ)は、その頭部48の下面がガイド板19と接触して支持された状態(ガイド板19が、スプリング47で押し上げられた状態)で、接触子200の上端部が、ガイド板19の縮小部57に受け入れられるように(図19に示す状態になるように)、設定されている。
【0247】
スプリング47は、ガイド板19を弾性的に支持するための部材である。スプリング47は、板部42のスプリング穴44に装着されて、ガイド板19のフランジ部54の裏面に当接されている。これにより、合計8本のスプリング47が、4本のガイドネジ46のガイド部49に上下動可能に支持されたガイド板19を下側から付勢している。これにより、ガイド板19のフランジ部54がガイドネジ46の頭部48の下面に接触するまで上方へ押し上げられて、コンタクト前の待機状態になっている。
【0248】
ガイド板19は、被検査体12を電気的接続装置11に装着する際に、この被検査体12を位置決めして支持すると共に、被検査体12の各バンプ電極13と各接触子200とを整合させるための部材である。ガイド板19は、受入凹部53と、フランジ部54とから構成されている。
【0249】
受入凹部53は、被検査体12を受け入れて支持する部分である。受入凹部53は、ほぼ四角形の皿状に形成されている。受入凹部53の内側底部は、四角形に形成され、その寸法は被検査体12よりも僅かに大きく設定されている。尚、ここでは、被検査体12が四角形のために、受入凹部53の内側底部も四角形に形成されているが、被検査体12が他の形状の場合は、受入凹部53の内側底部も被検査体12に合わせた形状になる。
【0250】
これにより、被検査体12が受入凹部53の内側底部に装着された状態で、被検査体12の位置決めがなされるようになっている。受入凹部53の底板部55には、図19に示した、多数のガイド穴56が設けられている。このガイド穴56は、被検査体12の各バンプ電極13を案内して受け入れるための開口部である。各ガイド穴56は、バンプ電極13よりも僅かに大きく形成され、バンプ電極13を容易に受け入れられるようになっている。すなわち、被検査体12が受入凹部53に受け入れられることで、被検査体12の各バンプ電極13が、各ガイド穴56にその上側から容易に嵌り込むことができるようになっている。
【0251】
ガイド穴56の下端部には、図19に示すように、バンプ電極13を通さず、接触子200の第1のプランジャの接触片205の上端部および第2のプランジャの接触片206の上端部を受け入れる縮小部57が形成されている。この縮小部57は、接触子200の第1のプランジャおよび第2のプランジャの接触片205、206の上端部を受け入れると共に貫通させるようにし、接触子200がバンプ電極13と接触することを可能にする。
【0252】
図20および図21に示すように、受入凹部53の上側開口53Aの下側には、傾斜面53Bが形成されている。この傾斜面53Bは、被検査体12を案内して受入凹部53の底部に導くための面である。
【0253】
図21に示すフランジ部54は、受入凹部53の4角の、フレーム18の上下動支持用フランジ部33に対応する位置に形成されている。各フランジ部54には、ガイドネジ46の頭部48が当接するザグリ部58が設けられている。このザグリ部58には、ガイドネジ46のガイド部49に上下動可能に嵌合するガイド穴59が設けられている。これにより、受入凹部53のガイド穴59がガイドネジ46のガイド部49に嵌合して上下動可能にされ、スプリング47でガイド板19が上方へ付勢されている。この状態で、被検査体12を受入凹部53に装着して下方へ押すことで、ガイド板19が押し下げられ、被検査体12のバンプ電極13と、接触子200の上端部が接触して検査が行われるようになっている。
【0254】
以上の構造の電気的接続装置11であるが、以下のようにして使用することができる。
【0255】
まず、電気的接続装置11に被検査体12が装着される。このとき、被検査体12は、ガイド板19の受入凹部53に装着される。すなわち、被検査体12は、上側開口53Aの傾斜面53Bに沿って位置決めされながら底板部55に装着される。これにより、図19に示すように、被検査体12のバンプ電極13が底板部55のガイド穴56に受け入れられる。また、接触子200の接触片205、206の上端部は、縮小部57に受け入れられている。
【0256】
この状態で、被検査体12が押し下げられると、各バンプ電極13が接触子200の第1のプランジャおよび第2のプランジャの接触片205、206の各突起に接触して、各接触子200が押し縮められる。
【0257】
接触子200の第1のプランジャおよび第2のプランジャの接触片205、206の上端部の各突起がバンプ電極13に接触しようとする時、図5および図6に示される突起231、232はバンプ電極13の球面上を円周方向に滑ろうとして、互いに相離れる方向へ移動する力が働く。各結合棒部269、280が圧縮コイルバネ104の小径部284に支持されていることとあいまって、その力は、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の突起231、232とは反対側に位置する結合部208、209、特に先端挿入部281を、第3のプランジャ203に押しつける力として作用する。これにより、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202と、第3のプランジャ203との間が、相対的に押し付けられながら擦れて滑り、電気的に確実に接触される。さらにこのとき、圧縮コイルスバネ104はその両端の小径部284が、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202のバネ受け部211、212と、第3のプランジャ203のバネ受け部267とにそれぞれ圧接して、これらの間も電気的に確実に接触される。
【0258】
また、第1のプランジャ201、第2のプランジャ202および第3のプランジャ203は、それぞれ独立してスライド動作するようになっているため、バンプ電極13が変形している場合等、第1のプランジャ201および第2のプランジャ202の突起231、232の接触部分の高さが違う場合でも、2つのプランジャがその形状に追随してずれながら接触し、電気的に確実に接触する。
【0259】
さらに、例えば、上述した図3(b)の場合のように、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とが、被検査体12のバンプ電極13から水平方向にずれて配置され、第1のプランジャ201のみがバンプ電極13に接触し、第2のプランジャ202がそれに接触しないことも発生し得る。
【0260】
その場合、第1のプランジャ201が、下方側(例えば、図6および図19の下方側となる。)にスライド動作し、そのバネ受け部211を用いて圧縮コイルバネ104を押圧し、圧縮コイルバネ104を圧縮する。すると、圧縮された圧縮コイルバネ104は、その小径部284が、第2のプランジャ202の結合棒部280の凸部221を下方側に向けて押圧することになる。すなわち、圧縮コイルバネ104はその小径部284によって、バンプ電極13に接触しない第2のプランジャ202を、図6および図19の下方側に押圧することになる。その結果、第2のプランジャ202の独立したスライド動作は第1のプランジャ201によって制限される。そして、第1のプランジャ201と第2のプランジャ202とにおいては、一方のスライド動作に他方が追随し、被検査体12の本体部分に第2のプランジャ202が接触することは抑制される。すなわち、図3(b)に示した、接触不良の発生を有効に防止することができる。
【0261】
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0262】
本発明の接触子は、被検査体に対して正確な電気的な接触を行うことができ、例えば、配線基板や半導体集積回路に備えられた電極に接触される装置全般に用いることができる。
【0263】
また、本発明の電気的接続装置によれば、接触子が被検査体の電極以外に接触することを防止できるので、長寿命化を実現することができる。したがって、本発明の電気的接続装置は、検査工程の効率向上、ひいては生産性の向上が強く求められる民生用の電子機器に用いられる半導体装置の検査に特に有効である。
【符号の説明】
【0264】
11 電気的接続装置
12 被検査体
13 バンプ電極
15 配線基板
16 下側ハウジング
16A 第1支持穴
16B 下側受け部
17 上側ハウジング
17A 第2支持穴
17B 上側受け部
18 フレーム
19 ガイド板
22 コンタクトパッド
27 接触子支持穴
31 外枠部
32 固定用フランジ部
33 上下動指示用フランジ部
35 固定ネジ
42 板部
43 ガイドネジ穴
44 スプリング穴
46 ガイドネジ
47 スプリング
48 頭部
49 ガイド部
50 ネジ棒部
51 マイナス溝
53 受入凹部
53A 上側開口
53B 傾斜面
54 フランジ部
55 底板部
56、59 ガイド穴
57 縮小部
58 ザグリ部
100、200、1200、1400、2000 接触子
101、201、1201、1401 第1のプランジャ
102、202、1202、1402 第2のプランジャ
103、203 第3のプランジャ
104 圧縮コイルバネ
105、106、107、205、206、207、1205、1206、1405、1406 接触片
108、109、110、208、209、210、1208、1209、1408、1409 結合部
111、112、211、212、267、1211、1212、1411、1412 バネ受け部
120 被検査体
121 バンプ電極
220、221、1220、1221 凸部
225、226、240、1225、1226、1425、1426 板状部
227、228、1227、1228、1427、1428 上端部
229、230、1229、1230 上側支持肩部
231、232、1231、1232、1431、1432 突起
233、234、1233、1234、1433、1434 テーパ面
241 先端部
269、280、1280 結合棒部
270、281、1281 先端挿入部
271、282、1282 抜け止部
273 下側支持肩部
284 小径部
1222、1223、1420、1421 切り欠き部
1422 リング状部材
2001 プランジャ
2002 コイルバネユニット
2004 端子部
2005 幅広部
2005a 上段部
2005b 下段部
2007 心棒部
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