(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレーキシューは、スイング変位が完了したとき、摩擦部の位置がブレーキシューの軸ピンよりスプールの方向に所定間隔だけ離隔する位置に形成されることを特徴とする、請求項5に記載の精密遠心制動システムを備えた釣り用リール。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
本発明は多様な変更を加えることができ、さまざまな形態を持つことができるもので、その具現例(または実施例)をここに詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものに理解されなければならない。
【0028】
全ての図面において、同一参照符号、特に十の桁及び一の桁、または十の桁、一の桁及びアルファベットの同じな参照符号は同一または類似の機能を持つ部材を示し、特に言及がない場合、図面の各参照符号が指す部材はこのような基準に準ずる部材に把握すれば良い。
【0029】
また、各図面において、構成要素は、理解の便宜などのために、大きさや厚さを誇張して大きく(または厚く)または小さく(または薄く)表現するか単純化して表現しているが、これによって本発明の保護範囲が制限されるものに解釈されてはいけない。
【0030】
本明細書で使用する用語はただ特定の具現例(または実施例)を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上特に明記しない限り、複数の表現を含む。本出願において、・・・含む・・・、または・・・なる・・・などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないことに理解されなければならない。
【0031】
特に他に定義しない限り、技術用語や科学用語を含み、ここで使われるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者によって一般的に理解されるものと同じな意味を持っている。一般的に使われる前もって定義されている用語は関連技術の文脈上で持つ意味と一致する意味を持つものに解釈されなければならなく、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0032】
本発明による精密遠心制動システムを備えた釣り用リールRの説明において、便宜上厳密ではない概略の方向基準を
図1及び
図4を参照して特定すれば、図示のままの状態で、上下、左右、前後を区分し、サイドカバーSc側を特に一側または外側に決め、他の図面に基づいた発明の詳細な説明及び請求範囲においてもこの基準によって方向を特定して記述する。
【0033】
まず、
図1に示したように、本発明による精密遠心制動システムを備えた釣り用リールRは、フレームF、前記フレームに装着されたシャフトA、前記シャフトに軸設され、釣糸が巻き取られるスプールSp、前記スプールの回転のためのハンドルH、及びスプールの組立及び分解のための用途などのサイドカバーScを含んでなる。
【0034】
また、
図1〜
図5に示したように、本発明による精密遠心制動システムを備えた釣り用リールRの第1実施例の核心は、ブレーキシュー20、スプール回転の際にスイング変位するブレーキシューが接触するブレーキディスク30、及び前記ブレーキディスクと前記ブレーキシューの距離を調節して制動力を精密に調節するコントローラー50を含む遠心制動システムにある。
【0035】
前記スプールSpは、軽量性確保のために外周面に多数の通孔を持ち、ドラムタイプのもので、シャフトが挿入される軸孔を備え、このようなスプールの両側で二つのベアリングBによってシャフトAが転がり支持される。
前記シャフトAは、一側に左側ベアリングBに結合される支持端部Aaを持ち、引き続いて結合部Abと係止段部Acが順に備えられている。
【0036】
図1〜
図5に示したように、前記シャフトAに対して放射状に配列されたブレーキシュー20はそれぞれ軸ピン25を中心に重量部21及び軽量部23を持つ偏重構造であり、特に軸ピン25はシャフトAに対して放射状に配列されたものではなく、およそシャフトAを中央に置いてシャフトの外周面に配列され、軸ピンとシャフトが成す延長直線は交差しなくなる。
【0037】
これにより、スプールSpの回転の際、シャフトAが回転することによってブレーキシュー20が外周面に配列された支持部材10が回転すれば、ブレーキシュー20は軸ピン25を中心に重量部21が上げられてシャフトから遠くなり、軽量部23は下げられてシャフト側に近くなる形態にスイング変位する。
【0038】
前記支持部材10はスプールSpの一側に配列され、前記シャフトAの結合部Abに締まりばめ結合(または螺合、接着剤結合などの多様な変形が可能)で係止段部Acによって結合程度が制限される。
【0039】
支持部材10が‘シャフトに結合される’と言うのは象徴的な意味で、図面に基づいた充実な説明であるが、より本質的に、支持部材は本発明の核心である遠心制動システムによってスプールを制動してバックラッシュを防止するようにスプールと連動する形態に組み立てられるというのがより正確な表現である。
【0040】
このような支持部材10は内周面にシャフトAの結合部Abと結合される中空11を持ち、偏重構造のブレーキシュー20の軸ピン25が結合されて遠心性スイング運動を保障する軸設部、特に軸設凹部15が形成されている。また、支持部材は軸設凹部15ごとに放射状に連通した開放部13を持ち、軸ピン25を軸とするブレーキシュー20の遠心性スイング変位空間を保障するようになっている。
【0041】
また、前記各ブレーキシュー20はスイング変位程度を制限するストッパーを持つことが好ましい。このストッパーにより、コントローラー50によるブレーキディスク30の進退調節の際、ブレーキディスクとブレーキシューの距離を最も遠くすれば制動力0(zero)の状態にすることができる。
【0042】
もちろん、ブレーキシュー20の制動機能を発揮する遠心力による最大スイング変位の際、つまりスプールの回転によってブレーキシュー20の重量部21が上げられてシャフトAから遠くなり、軽量部23が下げられてシャフトに近くなって軽量部端部の摩擦部20fがシャフトに平行を成す状態でもブレーキディスク30のブレーキパッド31とブレーキシュー20の摩擦部20fが接触しない状態にすれば制動力は当然0となるが、このような構造は、ますます多様な機能をする部品が大人の拳より小さな釣り用リールRに集約してコンパクトな組立構造を持つ現実を考慮すれば、釣り用リールの軽薄短小化の傾向に反するものなので適しないことができる。
【0043】
図示の具現例において、前記ブレーキディスク30は本質的に装着ドラム40に結合され、この装着ドラムはサイドカバーScに固定されているが、本発明(特に、請求範囲)においてブレーキディスクを‘フレームに結合される’ものに記述したことは、装着ドラム、サイドカバー、その他の構成要素は究極にフレームに装着されるものなので、本発明の思想に基づく多様な変形例及び代替例の共通点を抽出して包括的に表現するためのものである。
【0044】
ストッパーの機能は前記支持部材10の開放部13の形状によっても具現できる。しかし、ブレーキシューの軸設支持の役目をする支持部材の機能とストッパーの機能は分離されることができ、互いに異なる構成要素に必要な機能を割り当てることにより、生産容易性、耐久性などの品質保障、価格競争力の確保、そしてなによりも精密な制動力、つまり制動力の調節を可能にするために、各ストッパーのスイング変位制限点を異にし、釣りの用途によって多様なブレーキシュースイング変位の組合せの導入に適するように、本発明はブレーキシューのストッピング機能を別の部材、つまりそれぞれのブレーキシューのためのストッパーが統合して配列された連結部材Siに導入した。
【0045】
図6〜8に示したように、前記連結部材Siには、前記ブレーキシュー20がスイング変位の発生するスリットの両端部で遠心力によるブレーキシュー20のスイング変位の反対方向に突設され、各スリットごとに異なる高さを持つ突起型ストッパーStaが備えられる。
【0046】
すなわち、六つのブレーキシュー20は、スプール回転の際、支持部材10の連動回転によって軸ピン25を中心に遠心性スイング変位が発生するにつれて軽量部23がシャフトに向けて下げられ、そのスイング程度は前記ブレーキシュー20が前記突起型ストッパーStaに接触する位置によって決定されるようにした。
【0047】
言い替えれば、突起型ストッパーStaの高さが高ければ、該当のブレーキシュー20の軽量部23が先に合って停止してそれ以上ブレーキの機能をすることができなく、突起型ストッパーStaの高さが低いとか前記連結部材Siに突起型ストッパーStaが備えられなければ、該当のブレーキシュー20の軽量部23がその高さ差の分だけ後に突起型ストッパーSta(または連結部材Siの底面)と合うので、ブレーキの機能を果たすことができる。
【0048】
したがって、コントローラー50により、ブレーキディスク30とブレーキシュー20または支持部材10との距離が小さい場合には、すべてのブレーキシュー20の摩擦部23fがブレーキディスクと接触するが、ブレーキディスク30とブレーキシュー20または支持部材10との距離が相対的に大きな場合には、一部のブレーキシュー20は摩擦部23fがブレーキディスクと接触して摩擦を発生させて制動機能をするが(突起型ストッパーStaの高さが低いとか全然ない場合)、ブレーキシュー20の他の一部は摩擦部23fがブレーキディスクと接触しない(突起型ストッパーStaの高さが相対的に高く形成された場合)ようになる。
【0049】
前記突起型ストッパーStaは、均衡摩擦接触のために、互いに見合う反対側対称位置に配列される突起の高さが同一であるように構成されるとか、あるいは必要によって不均衡摩擦接触が可能であるように、すべての突起型ストッパーStaの高さが互いに異なるように構成することができ、高さの異なる突起型ストッパーStaを高さ変位によって順次に配列して構成することができる。
【0050】
本発明は、前記突起型ストッパーStaによって前記ブレーキシュー20の摩擦位置を制限することにより、製作者は前記突起型ストッパーの高さを調節することだけで制動力の差を数値化して遠心制動システムを製作することができるので、製作が易しい利点がある。
【0051】
すなわち、本発明による遠心制動システムを備えた釣り用リールを製作する場合、前記ブレーキシューの摩擦位置による制動力の差を数値化して製作することによって精密な制動力を提供することができるが、前記ブレーキシューのスイング変位角度を任意に制限して製作する場合、制動力の差を数値化することができる製作基準を提供しにくい問題点があり得る。
【0052】
それで、本発明は、前記突起型ストッパーの高さを測定した後、それによる制動力を測定することだけで摩擦位置による制動力の差を易しく数値化することができるので、製作者は前記支持部材の製作の際、測定結果による製作基準によって前記突起型ストッパーの高さを異に製作することだけでも別の測定なしに販売されるすべての製品に均一な制動力が確保できるから、精密遠心制動システムの製作がとても易しく、使用者に製品の信頼性を高めることができる利点がある。
【0053】
また、設計によって、ブレーキディスク30とブレーキシューまたは支持部材10との距離が最も大きな場合には、すべてのブレーキシュー20の摩擦部20fがブレーキパッド31と全然接触しないようにして(摩擦部20fがシャフトに平行を成す状態ではない場合にも)、遠心制動システムの制動力を0にすることができる。
【0054】
これにより、制動力0(zero)の状態が必須なノイズ検査やリール性能の検査においてもサイドカバーを分離しないで外部でコントローラー50の操作だけで制動力のoffが可能となる。
【0055】
また、ブレーキディスク30とブレーキシュー20または支持部材10との距離を最も近くする場合には、スプールの非回転の際にもブレーキシュー20の摩擦部20fがブレーキパッド31と常時接触するので、スプール回転ロックの機能をすることができる。
【0056】
このように各ストッパーのスイング変位制限点を互いに異なるようにする方式はブレーキシューの重量部及び軽量部を互いに異なるようにする方式に比べ、生産、制御及び設計が易しくて精密制動力の調節に効果的である。
【0057】
しかし、必要によってブレーキシューは重量部及び軽量部の素材を異にするとか、あるいは摩擦部20f(耐磨耗性または摩擦性、あるいはこの両者の特性に優れた材料、たとえば硬質ゴムまたは硬質合成樹脂を使用)と他の部分の素材を異にすることができる。
【0058】
次に、本発明は、前記ブレーキシュー20のスイング変位角度を制限することにより、前記ブレーキシュー20との摩擦による制動力がより安定に具現されるようにすることができる。
【0059】
前記ブレーキシュー20のスイング変位角度を制限するという表現は、前記ブレーキシュー20が非接触状態で前記ブレーキディスク30と接触する角度を制限、つまりスイング変位幅が小さく形成されるようにするというもので、これによってブレーキシュー20の安定したスイングを保障することができる。
【0060】
本発明は、前記突起型ストッパーStaによって複数のブレーキシュー20のすべてのスイング変位角度を相対的に異なるように形成して、スイング変位角度を制限しているが、ひいては本発明は前記ブレーキシュー20のそれぞれが前記突起型ストッパーStaと接触することによって制限されるスイング変位角度が小さく形成されるようにすることにより(つまり、個別的にブレーキシュー20が突起型ストッパーStaに接触した後にはそれ以上スイング変位が発生しないので)、ブレーキシュー20の安定した摩擦による精密制動力を保障するようにした。
【0061】
本発明によるブレーキシュー20のスイング変位角度を制限するという表現を他に表現すれば、
図10〜12に示したように、前記コントローラーによる前記ブレーキディスク30と前記ブレーキシュー20の摩擦位置領域(D1)を制限すると表現することができる。
【0062】
これは、前記ブレーキディスク30と前記ブレーキシュー20または支持部材が相対的に大きな距離でなされる前記ブレーキシュー20との摩擦開始位置から、前記ブレーキディスク30と前記ブレーキシュー20または支持部材が最も小さい距離でなされる前記ブレーキシュー20との最終接触位置(つまり、ブレーキディスク30にすべてのブレーキシュー20が接触した状態で摩擦力が最大に発生する位置、制動力の大きさについての説明は後に行う)までの領域(D1)を制限することにより、前記ブレーキシュー20のスイング変位角度の制限を具現することができる。
【0063】
このために(
図10〜12においては、説明の便宜上、前記突起型ストッパーStaが形成されていない位置のブレーキシュー20の作動を代表的に説明するが、以下に説明するブレーキシュー20のスイング変位角度の制限は前記突起型ストッパーStaによって角度変位幅だけ違うばかりで、それによる機能及び効果は同様である)、本発明による遠心制動システムにおいて、前記コントローラー50による前記ブレーキディスク30と前記ブレーキシュー20の摩擦位置領域(D1)は前記支持部材10の円周方向を基準に支持部材10の外側面と同一線上に形成されていることが好ましい。
【0064】
すなわち、
図10に示したブレーキシュー20の摩擦位置はいずれも
図10を基準に前記支持部材10の位置より下側に形成されているため、ブレーキシュー20のスイング角度が大きくなり、前記軽量部23がスイング変位する距離がその分だけ増加し、これは、支持部材10の遠心力が充分に及ばない場合、重量部21の遠心性スイング変位が充分になされなくて究極に軽量部23がシャフトに向けて充分に下げられないこともあるため、ブレーキディスク30との摩擦による制動力が発生しない危険があり、また、ブレーキシュー20のスイング変位幅が大きいから、前記ブレーキディスク30と摩擦するとき、それに対抗する反発力が増大して、ブレーキシュー20の軽量部23のブレーキディスク30との接触が解除される危険があるため、精密に制動力を調節するための本発明の目的達成を阻害することができる。
【0065】
それで、本発明は、前記ブレーキシュー20と前記ブレーキディスク30の摩擦位置領域(D1)が
図10〜12を基準に前記支持部材10の外側面と水平方向に同一線上に形成されるようにすることで、前記のような問題点を解決することができる。
【0066】
前記支持部材10の外側面と水平方向に同一線上に形成されるという表現の意味は、
図10に示したように、ブレーキシュー20とブレーキディスク30(ブレーキパッド33)の接触位置が支持部材10の底面の位置より下側位置に形成されるものではなく、
図11及び
図12に示したように、支持部材の同一高さ領域(位置)に形成されるということを意味するものである。
【0067】
このために、本発明によるブレーキディスク30は、中央に前記支持部材10の一部が陷沒した形態に結合可能な陷沒部33Aとこの陷沒部33Aの外周面から前記スプールSp(
図1参照)に向けて突設された突出部33Bとからなる補助ディスク33と、前記補助ディスク33の突出部33Bに結合し、前記ブレーキシュー20の摩擦部23fと接触して制動力を提供するブレーキパッド31とを含んでなる。
要するに、前記ブレーキディスクと前記ブレーキシューの摩擦を保障して制動力を確保するために、
前記ブレーキディスクは、中央の陷沒部と、前記陷沒部の外側面から前記スプールに向けて突設された突出部からなる補助ディスクを含み、
前記補助ディスクの陷沒部には前記支持部材の厚さの一部が収容される。
前記コントローラーは、制動力0(zero)の状態でない場合、前記支持部材の厚さの一部が常時的に前記補助ディスクの陷沒部に収容された形態となるように調節することが好ましい。
【0068】
したがって、本発明は、補助ディスク33に陷沒して備えられる支持部材10とこの支持部材10の外周突出部33Bで前記ブレーキシュー20と接触するブレーキパッド31とが備えられているので、前記ブレーキシュー20は最大幅の摩擦位置領域(D1)(つまり、コントローラーによってブレーキディスク30が進退運動する距離)が支持部材10の外側面と同一線上に形成されるしかないので、前述した突起型ストッパーStaにかかわらず、前記ブレーキシュー20は安定した摩擦を保障して精密な制動力を確保することができる。
【0069】
また、本発明は、前記ブレーキシュー20のより安定したスイング変位による精密な制動力調節のために、
図12に示したように、前記コントローラー50による前記ブレーキディスク30と前記ブレーキシュー20の摩擦開始位置は前記支持部材10の円周方向を基準に前記軸ピン25の中心位置から(中心と同一線上の位置)前記スプールSp(
図1参照)の方向に所定間隔だけ離隔して(D2)形成されるようにした。
【0070】
すなわち、本発明は前記コントローラー50によって前記ブレーキディスク30が進退する。この際、前述したように、設計によってブレーキディスク30とブレーキシュー20または支持部材10との距離が最も大きな場合にはすべてのブレーキシュー20の摩擦部23fがブレーキパッド31と全然接触しないようにして(摩擦部23fがシャフトに平行な状態ではない場合にも)遠心制動システムの制動力を0にすることができるので、前記ブレーキシュー20が支持部材10の回転によって前記軽量部23が前記シャフトに向けてずっと下げられるように形成されれば、究極には前記ブレーキディスク30との摩擦が発生することができ、あるいは前記のような問題を防止するためには前記ブレーキディスク30の進退距離がその分だけ増加するしかないため、前述した釣り用リールの軽薄短小化の傾向に合わないのみならず、それによる部品価格の上昇などが発生して製造コストが増加する問題点が発生することができる。
【0071】
したがって、本発明は、前記ブレーキシュー20の軽量部23、より詳しくは摩擦部23fが最大にスイング変位したとき、ブレーキディスクとの摩擦(接触)位置がブレーキシュー20の軸ピン25よりスプールSp(
図1参照)の方向に所定間隔だけ離隔する(D2)位置で停止するように構成されることにより、前記のような問題点を防止するとともに前述したブレーキシュー20のスイング変位角度を制限して安定した摩擦を保障するようにした。
【0072】
前記摩擦部23fの最大スイング変位位置を制限するための多様な方法を用いることができ、代表的に前記ブレーキシュー20の前記摩擦部23fが前記重量部21の末端部より前記スプールSp(
図1参照)に向けて隣接して形成されるようにし、前記突起型ストッパーStaによってスイング変位角度を制限して具現することができる。
【0073】
前記摩擦部23fが前記重量部21の末端部より前記スプールSp(
図1参照)に向けて隣接して形成されるという表現は、
図10〜12を基準に摩擦部23fが重量部21の下側末端部より上側位置に形成されることを意味する。
【0074】
また、摩擦部23fの最大スイング変位位置を制限するための他の方法としては、後述する制限手段(
図23及びこれに基づいた説明を参照)によって前記摩擦部23fが前記軸ピン25の下側位置までスイング変位しないように形成されることができる。
【0075】
次に、前記ブレーキシューの多様な変形例を
図17、18に基づいて説明する。まず、
図17(a)に示したように、前記ブレーキシュー20は単一本体からなることができ、ブレーキシュー20の本体は、重量部、軽量部及び摩擦部のいずれも同一幅に形成された基本形、軽量部形成のために重量部の間が一部切開された切開型、または重量部から摩擦部に行くほど幅が小さくなる楔型などの多様な形態に変形可能である。
【0076】
そして、
図17(b)に示したように、前記ブレーキシュー20が本体20Aと摩擦部分体20Bとからなるツーピース形態の場合、前記本体20Aは、軽量部23の末端に軸設部を持ち、摩擦部分体20Bは前記軸設部に回転可能に結合される軸ピンを含んでなることができる。より詳細に、前記軸設部はC字形に形成され、前記摩擦部分体20Bは前記C字形軸設部に回転可能に結合される軸ピンとこの軸ピンの両端に形成される摩擦部とからなることができる。
【0077】
また、ブレーキシュー20の軽量部23の末端に内向軸設部を持ち、摩擦部分体20Bは前記内向軸設部に結合する軸ピンを持つようになることができ、その反対の構成も可能である。
【0078】
また、ブレーキシュー20の軽量部23の末端に逆‘∩’字形軸設部と結合凹部を備え、前記逆‘U’字形軸設部に縦方向に結合される軸ピンを持つ摩擦部分体20Bからなることができる。
【0079】
また、前記逆‘U’字形軸設部は下側が開放していない孔型軸設部に変形可能である。
【0080】
ついで、本発明のブレーキシュー20は、
図18(a)に示したように、スリーピース形態に変形可能であり、ブレーキシュー20の本体20Aの軽量部23の末端に軸ピンが一体に形成され、二つの摩擦部分体20Bが結合する形態、ブレーキシュー20の本体20Aの軽量部23の末端に貫通孔が形成され、摩擦部分体20Bが軸ピンを持つ摩擦部とそうではない摩擦部とからなって前記貫通孔に結合される形態、またはブレーキシュー20の本体20Aの軽量部23の末端に貫通軸設部が形成され、摩擦部分体20Bと軸ピン23aがそれぞれ前記貫通軸設部で結合される形態に変形可能である。
【0081】
また、
図18(b)に示したように、本発明によるブレーキシュー20がフォーピース形態に形成される場合には、ブレーキシュー20の軽量部23の末端にC字形軸設部が形成され、摩擦部分体20Bが二つの摩擦部20fと一つの軸ピン23aが結合される形態に形成され、C字形軸設部を介して互いに結合することができる。
【0082】
したがって、本発明は前述したように多様な形態に具現可能なブレーキシューを導入して製造容易性及び価格競争力を確保することができる。
【0083】
また、前述したような多様な形態のブレーキシューにより、本発明は回転可能に形成された分体20Bによって制動力増加の効果をさらに高めることができる。すなわち、スプールSpの回転によって一方向に回転する前記ブレーキシュー20に対応して前記ブレーキパッド31と摩擦部20fを持つ分体20Bが前記一方向回転とは違う回転、つまりブレーキシュー20の回転方向と直交する回転が可能になるので、前記摩擦部20fとブレーキパッド31の接触(摩擦)によってブレーキシュー20の回転方向とは違う分体20Bの回転が発生することにより、ブレーキシュー20の接触による制動力が増加して制動システムとしての機能を極大化することができる。
【0084】
また、前記分体20Bの摩擦部20fは鈍角をなすように形成された多面体の形状に形成されることが好ましい。すなわち、前記スプールSpの回転力と、前記回転力に伴う遠心力による前記軽量部23のスイング力とが相互に相反する場合、特に前記回転力が最高点に到逹して遠心力によるスイング力を上回る場合、前記軽量部23は、前記ブレーキパッド31と接触する瞬間、反発力によって遠心力に逆行するスイング運動が微細に瞬間的に発生する。この際、前記軽量部23は回転しながら再び遠心力によってスイングしながら前記ブレーキパッド31と接触する。
【0085】
このような接触が繰り返されると、前記軽量部23と前記ブレーキパッド31の接触はまるで自動車などの制動装置などに用いられるABS(anti−lock brake system)のような効果を伴うようになり、連続した接触(摩擦)による制動に比べ、断絶されて繰り返される接触による制動が摩擦による熱増加によって摩擦力が減少する現象を防止することができるので、バックラッシュ現象を防止するための制動システムとしてその機能及び効果が一層極大化することができる。
【0086】
前記ブレーキシューは、
図18(c)に変形ブレーキシューを示すように、重量部または軽量部、またはこの両者に多様な大きさ、形状、素材のバランスウェイトb2を導入することができるように孔または溝b1を加工することができ、ひいては必要によってブレーキシューの重量中心位置と、重量部または軽量部、またはこれら両者の重さがそれぞれのブレーキシューごとに違うようにした変形例を導入することができる。
【0087】
すなわち、
図22に示したように、本発明によるブレーキシューは、重量部及び軽量部の位置を前述した構成の反対方向に形成し、ブレーキシューの重量部の末端に摩擦部を持たせるようになることにより、重量部の重さによる制動力変化及び摩擦部とブレーキディスクの接触位置の変化による制動力の調節が可能である。
【0088】
また、
図21に示したように、前記ブレーキシューが支持部材に結合された放射状位置はシャフト中心軸線を基準に互いに異なってそれぞれのブレーキシューの摩擦部がブレーキディスクのブレーキパッドに接触して制動力を発揮する作用点が互いに異なるように変形することができる。
【0089】
この場合、それぞれのブレーキシューの支持部材の結合位置を固定的に違うように構成するとか、個別ブレーキシューの軸ピンが結合される支持部材のそれぞれの軸設凹部を多段状に形成し、必要によって結合位置を調整するとか、あるいはブレーキシューの軸ピンをスライド移動した後、ブレーキシューの位置調節完了地点に固定する(接着、締まりばめなどの多様な方式)方式で具現することもできる。
【0090】
また、
図21(b)のように、支持部材10とブレーキシュー20の結合部が相異なる高さに形成されるようにし、支持部材10と連結部材Siの回転によって多様な高さのブレーキシュー20とストッパーStの組合せで制動力を調節することができる。すなわち、本明細書及び請求範囲において、‘前記ブレーキシュー20が支持部材10に結合された放射状位置はシャフト中心軸線を基準に互いに異なる’と言う意味は、
図21に示したように、個別ブレーキシュー20とシャフトの中心軸線の距離がそれぞれ互いに異なるように形成されるとか、ブレーキシュー20が結合される軸ピンの位置が支持部材にそれぞれ相異なる位置(高さ)に形成されるとか、またはブレーキシュー20のそれぞれの位置がシャフトの中心軸線を基準に距離が異なって支持部材との高さが互いに異なるように組み合わせられることができるということを包括する意味する。
【0091】
この際、前記ブレーキパッド31は中央から外側に行くにつれて高さが変わるように傾斜型または階段型ブレーキパッド31’に変形する場合、前述した制動力調節手段によって制動力の微細な調節が可能である。
【0092】
熟練した使用者であれば、目標ポイント、対象魚種や環境などの多くの要素を考慮して制動力を微細に調節して使い、ひいては未熟練使用者であると言っても制動力を微細に調節することによって熟練度を高めて行くことが好ましいので、本発明は全ての使用者のそれぞれのスタイル及び熟練度に合う精密遠心制動システムを備えた釣り用リールを提供してその効用性が非常に高い。
【0093】
ついで、本発明は、前記ストッパーStによってスイング変位量を調節するだけでなく、ブレーキシュー20と連結された制限手段を備えることで、使用者が制動力を調節することができる。このために、
図23(a)に示したように、本発明の制限手段は、前記ブレーキシュー20と前記支持部材10を螺合させるネジに備えられた係止突起St2と、ブレーキシューがヒンジ結合される軸設部に備えられた係止段部St1とからなり、複数ブレーキシュー20のそれぞれのスイング変位量を異にして使用者が制動力を多様に具現することが好ましい。前記制限手段は、
図23(b)に示したように、前記ブレーキシューの重量部の末端に備えられた前記係止突起St2と、スプールに備えられた前記係止突部St1とからなることができる。
【0094】
また、
図23(c)に示したように、前記スプールSpのプレート部の外側端部から下向きに突出する係止突部St1と前記ブレーキシュー20の重量部または軽量部またはこれらの両方に備えられることができる係止突起St2とを含むように変形可能である。
【0095】
また、本発明は、前記ブレーキシューに復帰手段を備えることで、ブレーキシュー20とブレーキパッド31の過度な接触を防止することができる。すなわち、前記ブレーキシュー20は原位置復帰手段を備えることで、スプールの回転速度が増加して遠心力が増加する場合、前記ブレーキシュー20は制動を行い、制動によって遠心力が減少する場合、再び原位置に復帰して制動を解除することにより、スプールの一定した回転速度を保障することが好ましい。
【0096】
このために、本発明によるブレーキシュー20の復帰手段は、
図22(c)に示したように、ブレーキシュー20の非接触部(図面では重量部末端)に通孔(図示せず)を持つ支持部27、前記スプールのプレート部から突出して前記通孔に挿入される拘束柱29、及び前記支持部27と前記拘束柱29との間に挟支されるコイルスプリング28からなる。
【0097】
前記コイルスプリング28の弾性力によって前記ブレーキシュー20は常時制動作動をしなくなり、回転によって遠心力が一定圧力以上に増加する場合にだけコイルスプリングの弾性方向の反対方向にブレーキシュー20がスイングしながら回転して摩擦による制動を行い、このような復帰及び摩擦がコイルスプリングの弾性力及びスプール回転の遠心力によって繰り返し行われることにより(すなわち、ブレーキシュー20の摩擦が不連続的になされることにより)、本発明はバックラッシュ現象を防止するとともに過度な制動力によって飛距離が低下することを防止することができる。
【0098】
前記支持部材10とストッパーStが形成された連結部材Siは、ボルトBが支持部材の締結孔17bと連結部材の締結孔a2に貫通して螺合され、組立容易性及び結合力または支持力補強のために連結部材の右側面には締結突起a1が形成され、支持部材にはこの締結突起が結合される締結孔17aが形成されている。このような連結部材Siは支持部材の軸設凹部15に配列されたブレーキシュー20の離脱を防止するためのカバーの役目を兼ねる。そして、前記支持部材10は、前記連結部材Siと一緒に部分的に回転可能となるように構成されてブレーキシューの動作をOn/Offするロック装置に変形可能である。
【0099】
図19に示したように、連結部材Siは、円周方向に沿って陷沒した形態のストッパーStが多数備えられているので、ストッパーStとの間に形成される平坦部SiAによってブレーキシュー20をスイング不可能な状態に固定させ、ブレーキシュー20の摩擦部とブレーキパッド31の非接触を強制してロック装置として機能することができる。
【0100】
すなわち、前記支持部材10がOn状態にあるとき、前記ブレーキシューは前記支持部材10のストッパーSt上に位置し、遠心力によってスイング運動しながらストッパーStの内側に回転して前記ブレーキパッド31と接触して制動力を確保し、前記支持部材10がOff状態にあるとき、前記支持部材10を一方向に回転させて前記ブレーキシューを前記支持部材10の平坦部SiA上に位置させることにより、ブレーキシュー20がブレーキパッド31に向けてスイング運動することができないように強制することができる。
【0101】
次に、ブレーキディスク30は、他の構成要素に連結される補助ディスク33(軽量性、成形容易性などの保障)と、ブレーキシューの摩擦部20fと接触するブレーキパッド31(耐磨耗性の保障)とに分離し、機能が互いに異なる物性を持つ素材から具現して、価格競争力、品質、生産性を保障するようにしている。
【0102】
ブレーキパッドと補助ディスクは、締まりばめ方式、接着剤締結方式、ボルト締結方式、熔接方式などの多様な方式によって結合できる。
【0103】
また、補助ディスク33の左側には、端部に係止突起35aを持つ連動アーム35が形成され、ガイド手段Gの一部を構成するガイドピン37が備えられている。
【0104】
一方、
図5に示すように、前記ブレーキディスク、特にブレーキパッド31は磁気力を用いたマグネチック方式のバックラッシュ防止用制動システムの概念まで導入してハイブリッドタイプ制動システムを具現するために、ブレーキパッド31そのものを永久磁石m1から構成するとか、あるいは本発明の出願人による大韓民国実用新案登録第20−0345064号(2004年03月04日)[釣り用ベイトリールのスプールバックラッシュ防止装置用制動板作動構造]のように、ブレーキパッド31に対称状の配列形態に小型永久磁石m2を結合させた構造にし(
図5及び
図9参照)、前記支持部材10または連結部材Siはアルミニウムまたはアルミニウム合金のような非磁性伝導体から構成し、ブレーキディスク30と支持部材10または連結部材Siの距離が変化することによって、永久磁石m1、m2の磁力線の影響を受ける支持部材10または連結部材Siが制動パネルの役目をするように構成することができる。
【0105】
代案として、支持部材10または連結部材Siに永久磁石を導入し、ブレーキディスク、特にブレーキパッド31を非磁性伝導体から構成することによってマグネチック方式のバックラッシュ防止用制動システムを具現することができる。このような構成を包括して表現すれば、相互間の距離調節が可能な前記支持部材と前記ブレーキディスクのいずれか一方には永久磁石を備え、他方は非磁性伝導体から構成することによってマグネチック方式のバックラッシュ防止用制動システムを導入するというものである。
【0106】
次に、装着ドラム40はシャフトAの軸設組立を助け、コントローラー50とブレーキディスク30の連動を円滑にする。
【0107】
サイドカバーScの右側面の三つのナット突起SnにボルトBによって結合されるように、それぞれ通孔を持つ三つの締結突起40aを持つ装着ドラム40は、まずシャフトAに関連して右側中央に収容凹部41を持つ。ここに先に耐磨耗性及び潤滑性に優れた保護パッドApを挿合し、左側ベアリングBを結合した状態で内周面環状溝41aにスナップリングBrを結合してベアリングを固定し、シャフトAの支持端部AaをベアリングBの中空に結合することによって転がり支持を可能にすることができる。
【0108】
次に、ブレーキディスク30に関連し、ブレーキパッド31が確固に結合された補助ディスク33のガイドピン37は収容凹部41の外部のガイドホール47に結合され、このガイドピン37とガイドホール47はコントローラーによるブレーキディスク30の進退の際に安定した動きを保障するガイド手段Gをなす。また、ブレーキディスク30の中で補助ディスク33の左側に備えられた連動アーム35は通孔43を貫いて装着ドラムの左側に突出する。ついで、コントローラー50に関連しては、装着ドラム40の左側中央に小外径の第2軸突起45Bがコントローラーを構成するダイアル51の軸孔51Aと結合され、第2軸突起より大きな外径の第1軸突起45Aが中継体53の収容部53aと結合される。
【0109】
一方、コントローラー50は、前述したように、前記ブレーキディスク30を動かして前記ブレーキシュー20とブレーキパッド31の距離を調節して制動力を精密に調節することを核心とし、なによりもサイドカバーScの外側でブレーキディスクを動かすように構成されていることが便利性向上の側面で本発明の必須解決事項である。
【0110】
このために、コントローラー50はダイアル51を持つ。このダイアルはサイドカバーScの中央結合孔Shに配列され、安定した定位置回転が可能となる。ダイアルがサイドカバーに結合されて回転する方式は螺合方式によってダイアルそのものが進退する形態のものが選択できる。
【0111】
しかし、耐久性の保障と異物の流入防止、そして高級な感じと高価の特性及びハイエンド製品の特性を保障するために、ダイアル51は定位置回転、つまり空回りすることが好ましい。
【0112】
また、操作感を向上させて制動力調節程度を確認することができるようにし、精密制動力の調節が可能となるようにしながらも、ダイアルの無断回転状況を防止するように構成されることが好ましい。このために、サイドカバーScの結合孔Shの周辺、特に組立状態で外部から見えないように右側(内部)に形成された内接ギアタイプの多段停止部Ssが形成されており、ダイアル51の右側エッジ内には断面‘U’字形の弾支部の端部に突起部が形成されてなる‘クリック音発生スプリング’が結合され、‘弾支部’がエッジの内周面と接してスプリングが装着固定され、ダイアル51の回転制限、つまり回転の終始を決定する二つの突起51a、51bの間には‘クリック音発生スプリング’の‘突起部’が露出され、この突起部が多段停止部Ssに弾力的に当接してクリック音を発生させ、段階的なダイアルの回転を具現するようになっていることが好ましい。
【0113】
必要によって、ギアタイプ多段停止部はダイアル51の外周面に形成され、多くの形態の‘クリック音発生スプリング’はサイドカバーScに装着された形態に変形できる。サイドカバーScの結合孔Shへの組立ての際、ダイアル51はサイドカバーの右側から左側に結合され、ダイアル51の外周面は、
図1及び
図4から確認できるように、段差部を持つ構造なので、右側段差部がサイドカバー結合孔Shの周囲にかかって結合孔の右側への脱落が防止される構造である。また、ダイアルは、軸孔51Aが装着ドラム40の第2軸突起45Bと結合され、軸孔をなす円筒状スリーブの外側に連動突起51Bが形成され、外側には把持部51kを持つ。ダイアルの始終突起51a、51bはサイドカバーScの終始突起pに接触してダイアルの回転角度を制限するようになる。
【0114】
一方、前記コントローラー50は、サイドカバーに結合されたダイアル51の回転によって動いて前記ブレーキディスク30を進退させる中継体53をさらに含むことが機能の分離、製造容易性、組立性などの面で好ましい。この中継体は外周面に螺旋突条53aを持つ。この螺旋突条にブレーキディスク30を成す補助ディスク33の連動アーム35が係止突起35aを介して拘束結合されている。
【0115】
また、中継体53の中空を装着ドラム40の第2軸突起45Bが通過してダイアルの軸孔51Aに結合され、この中空の外側には装着ドラムの第1軸突起45Aが結合される収容部53aが形成されている。中継体はさらに左側に連動凹部53Bが形成され、これにダイアルの連動突起51Bが結合し、ダイアルの回転の際、連動突起及び連動凹部を介して回転力が中継体に伝達される。
【0116】
また、前記連動凹部53Bをなす突出部とともに三角形の頂点をなす残りの二つの頂点にあたる位置に形成された均衡突起53bが形成されて、ダイアル51の右側面と中継体53の左側面間の距離がいつも一定に維持されるように補助、保障する役目をする。
【0117】
このようなコントローラー50においてダイアル51を回転させれば、‘クリック音発生スプリング’の‘突起部’がサイドカバーScの多段停止部Ssに結合して段階的な制御回転が可能であり、軽快な音を発生させ、これにより定位置で回転するダイアルの連動突起51Bと連動凹部53Bの結合により、中継体53が装着ドラムの第1軸突起45Aに軸設された状態で定位置で運動する。
【0118】
中継体の回転によって螺旋突条53aの左側面と接触する連動アーム35の係止突起35aと接触するので、ダイアルと中継体の円運動は、連動アームの直線運動、つまり補助ディスク33及びブレーキパッド31の直線運動に変換される。この際、補助ディスクのガイドピン37は装着ドラム40のガイド手段Gを成すガイドホール47に拘束されることによって安定したブレーキディスク30の進退を保障する。
【0119】
ブレーキディスク30の進退によってブレーキパッド31とブレーキシュー20間の距離が調節され、ダイアル51の始突起51a及び終突起51bがそれぞれサイドカバーScの終始突起pの始終面p1、p2と接触する場合、ダイアル51の左回転または右回転が制限され、これによりブレーキディスク30の進退程度も制限される。
【0120】
ブレーキディスク30が後退して最も左側に配列される場合、つまりブレーキパッド31とブレーキシューの摩擦部20f間の距離が一番遠い場合には、精密遠心制動システムの制動力が0となることが好ましい。
【0121】
図2(a)に示したように、ブレーキパッド31とブレーキシュー20、つまり摩擦部20f間の距離が相対的に近い場合には、ブレーキパッド31の中心部から相対的に遠い外側にブレーキシュー20の摩擦部20fとの接触地点(P1)が形成されるので、制動力(BP)が高い(強い)。
【0122】
これに比べ、
図2(b)に示したように、ブレーキパッド31とブレーキシュー20、つまり摩擦部20f間の距離が相対的に遠い場合には、ブレーキパッド31の中心部から相対的に近い外側にブレーキシュー20の摩擦部20fとの接触地点(P2)が形成されるので、制動力(BP)が低くなる(弱い)。
【0123】
必要によって、前記ブレーキディスクと前記ブレーキシュー間の距離を調節して制動力を精密に調節するコントローラーは、ブレーキディスクを動かすものではなく、ブレーキシューが配列された支持部材を動かす形態に変形できる。
【0124】
次に、本発明による精密遠心制動システムは、
図13〜
図16から確認できるように、ブレーキシューが制動機能をロックするロック手段をさらに含むことが好ましい。このようなロック手段は、特にブレーキシューがスイング変位することができないように多様な形態に具現できる。
【0125】
具体的に、
図13に示したように、ブレーキシュー20の重量部と支持部材10に雄雌結合形態のロック手段L1a、L1b;L2a、L2bを導入し、ロック手段が結合される場合、ブレーキシュー20は直立状態を維持し、スプール回転の際にもブレーキパッド31と接触しなくなる。
【0126】
また、
図14に示したように、本発明のロック手段は、ブレーキシュー20の重量部と支持部材10に備えられた突起及び係止孔の形態のロック手段L3a、L3b;L4a、L4bに変形可能である。
【0127】
また、
図15に示したように、本発明のロック手段は、ブレーキシュー20の重量部と連結部材Siに雄雌結合形態のロック手段L5a、L5b;L6a、L6bを導入してブレーキシュー20の直立状態を維持することができる。
【0128】
また、
図16(a)に示したように、本発明は、ブレーキシュー20の重量部と軽量部の間に外向きに突出した突起とスプールから内向きに突出した係止突起の形態のロック手段L7a、L7bに変形可能であり、
図16(b)に示したように、ブレーキシュー20の重量部と軽量部の間に外向きに突出する突起とスプールのカバーの役目をするスプールフレートから内向きに突出した係止突起の形態のロック手段L8a、L8bにも変形可能である。
【0129】
このような多様な形態のロック手段の作用のためには、サイドカバーを開け、ブレーキシューの摩擦部20fを上側に押し上げて所望数のブレーキシューをロック手段で結合させるとよい。
【0130】
前述したように、本発明の制動システムはキャスティング時のバックラッシュ現象を防止するためのもので、本質的な目的はバックラッシュ現象によるキャスティング距離の減少または釣糸の縺れなどによるキャスティング失敗を防止することである。
【0131】
したがって、所要制動力より高い制動力が形成される場合、スプールSpの回転減少によるキャスティング距離の減少が問題となることができるが、本発明は前記ブレーキシュー20と前記ブレーキパッド31の距離を異に設定して制動力を精密に調整することができるので、制動力の増加によるキャスティング距離減少の問題は前記コントローラー50で制御して最小化することができるだけではなく、前記ロック手段によってブレーキシュー20の制動機能をそれぞれ選択してロックすることができるので、制動力の増加によるキャスティング距離減少の問題点を補うことができ、前述したようにブレーキシュー20の制動力を増加させた多様な変形例は使用者に制動力変化の幅を広げて多様な制動力を選択することができるようにすることで、使用者は多様なキャスティング距離の設定をより容易に行うことができる。
【0132】
次に、
図24及び
図25に示したように、本発明による第2実施例は、前記コントローラー50による前記ブレーキディスク30の進退手段、つまり中継体53の変形を図ることにより、進退運動の安定化、製造容易性、組立性などを向上させることができる。このために、前記中継体53はダイアルと結合してコントローラーを形成し、右側に螺旋状に突設されて高さを異にする螺旋形側壁53A’を含んでなり、前記装着ドラム40には前記螺旋形側壁53A’に対応する螺旋形溝43’を備えた変位ドラム40’が貫いてスライド結合し、前記変位ドラムと前記ブレーキディスク30の補助ディスク33が結合されていることが好ましい。そして、安定した進退運動のために前記変位ドラム40’の中央には前記螺旋形溝43’が取り囲みながら形成する開口部40’cを含む。
【0133】
前述したように、前記ダイアル51を含んで前記中継体53は定位置で回転するようになり、螺旋形側壁53A’が回転するにつれて、前記螺旋形溝43’との接触部の位置が変位しながら前記変位ドラムと前記ブレーキディスク30の進退運動がなされる。すなわち、前記開口部40’cに前記中継体53が挿入された後、前記螺旋形側壁53A’と螺旋形溝43’の接触によって前記変位ドラム40’の進退運動がなされるものである。
【0134】
このために、前記補助ディスク33はボルトなどが結合することができる挿入孔を備えたガイドピン37を含んでなり、前記装着ドラム40には前記ガイドピン37が貫通するガイドホール47が備えられ、前記変位ドラム40’には前記ガイドピン37との結合のためにボルトなどの結合部材が貫くことができる貫通孔40’aが備えられ、前記補助ディスク33と前記変位ドラム40’はボルトで結合され、前記中継体の回転によって前記ブレーキディスク及び前記変位ドラムの結合体が進退運動するように形成されることが好ましい。これにより、前記ガイドホールとガイドピンは前記ブレーキディスク及び前記変位ドラムの結合体の直線進退運動を案内するガイド手段として機能するようになる。
【0135】
そして、前記装着ドラム40のガイドホール47の内側、つまり前記変位ドラム40’の貫通孔40’aと前記補助ディスク33のガイドピン37との間には、前記補助ディスクを含むブレーキディスクの進退の際、一側への復帰のためのコイルスプリングをさらに備えることができる。
【0136】
より詳細に、前記コイルスプリングは前記装着ドラムに前記変位ドラムを弾支するように形成され、前記中継体の一側への回転によって前記変位ドラム及び前記ブレーキディスクが最内側、つまり右側に前進するとき、コイルスプリングの弾性力はその反対方向に発揮されるようにし(コイルスプリングを収縮させながら前進し)、その後、中継体が他側に回転するとき、前記コイルスプリングの弾性力によって前記変位ドラム及び前記ブレーキディスクは最外側、つまり左側に後進するようになることが好ましい。
【0137】
以上、本発明による第2実施例の説明において、前記コントローラー50、前記サイドカバーSc、‘クリック音発生スプリング’、連結部材Si、永久磁石及び支持部材10などのそれぞれの連結関係及び詳細な構成は本発明の第1実施例と大同小異であって当業者であれば充分に予測して再現することができるのでその詳細な説明は省略する。
【0138】
以上の説明において、多様な釣り用リールの具体的な構造などに係わる通常の公知技術は省略されているが、当業者であれば容易にこれを推測及び推論して再現することができる。
【0139】
また、以上の本発明の説明においては、添付図面に基づいて特定の形状及び構造を持つ釣り用リール及び精密制動システムを主として説明したが、本発明は当業者によって多様な修正、変更及び置換が可能であり、このような修正、変更及び置換は本発明の保護範囲に属するものに解釈されなければならない。