(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
<植物育成用組立ハウスの構成>
【0015】
本実施の形態に係る植物育成用組立ハウスは、大要、1)地面上に設置される壁部材Bと、2)壁部材Bの上に固設される屋根部材Aとより成り、3)壁部材Bは、その正面部に取付けられた出入口部材Cを備える。本植物育成用組立ハウスに於ける屋根部材Aの技術的本質は、後述する、1枚のフィルムと、当該1枚のフィルムがそこに取付けられる少なくとも2本のバーとを、備える点にある。以下、図面を参照しつつ、本植物育成用組立ハウスの各部材A,B,Cの構成について記載する。
【0016】
<屋根部材Aの構成>
図1は、本実施の形態に係る植物育成用組立ハウスの屋根部材Aに於ける1本のバー(開口バー)1の一端部1EA側の構成を拡大化して模式的に示す斜視図である。屋根部材Aに於ける各バー1も
図1の構成と同様の構成を有する。
図1に於いて、バー1の一端部1EAの面は縦断面に対応する面であり、便宜上、ハッチング表示されている。長手方向乃至は縦方向Xに関して対向し合う各バー1の他端部側の構成も、
図1の一端部1EA側の構成と同一である(図示せず。)。
【0017】
図1の1本のバー1は、本植物育成用組立ハウスの屋根の骨組部材の一つを成すものであり、一端部1EAから他端部へ向けて長手方向Xに沿って凸曲状に折り曲げ可能に延在しており、しかも、長手方向Xに沿って一端部1EAから上記他端部まで延在した非貫通の溝部1Rを有する。この溝部1Rは、凹部1CPを介して対向延在する2個の第1溝部1RA及び第2溝部1RBより成る。この2個の溝部1RA,1RBの構成の採用により、一つのバー1の溝部1Rによって、互いに隣接し合う後述の2枚のフィルム(屋根を成す弾性シートである。)の後述する各突起部を遊嵌可能(着脱自在)として、当該2枚のフィルムを互いに隣り合う2個のバー1に1タッチ動作によって取付けることが可能となる。この1枚のフィルの取付け作業については、後述される。
【0018】
更に、各バー1の一端部1EA及び他端部の各々には、長手方向Xに延在した、その各々が非貫通の開孔である溝状の一対のタップ雌(「タップ受け溝部」に該当。)が形成されている。1対のタップ雌は、第1タップ雌1HA及び第2タップ雌1HBより成る。
【0019】
各バー1は、後述される通り、屋根の骨組部材として長手方向Xに沿って凸曲状に折り曲げ可能となる様に、可撓性に富んだ材料より成る。
【0020】
又、長手方向Xに延在する凹部1CPは、後述される屋根の短手方向Y(長手方向Xに直交する方向であり、幅ないしは横方向に該当。)に延在する補強用の横骨組部材と、その各交差部分に於いて、止め金具により互いに固設される。
【0021】
図2は、本実施の形態に係る植物育成用組立ハウスの屋根部材に於ける各フィルム2の構成を模式的に示す縦断面図である。
図2に於けるフィルム2の縦断面2CSSは、フィルム2の長手方向Xに関して対向し合う第3側面SS3及び第4側面SS4に対応している。
図2に示される様に、フィルム2は、裏面2LSの内で、短手方向Yに関して互いに対向し合う第1側面SS1及び第2側面SS2の各々の近傍領域2LSR1,2LSR2の上に、上記の第3側面SS3から第4側面SS4まで長手方向Xに沿って延在しつつ固設された第1突起部2PA及び第2突起部2PBを有する。便宜上、第1突起部2PA及び第2突起部2PBを突起部2Pと総称する。突起部2Pの各々の縦断面形状は、着脱自在となる様に遊嵌可能な形状として、バー1の第1溝部1RA及び第2溝部1RBの縦断面形状に対応している。
【0022】
フィルム2は、凸曲状に折り曲げ自在な薄膜の弾性シートであり、例えば、ナイロン、比較的に安価な合成樹脂である塩化ビニール、又は、透明で比較的に強度性に富んだアクリル等の合成樹脂より構成される。フィルム2の素材は、後程、詳述される。又、フィルム2の厚みは、例えば、0.2mm程度である。
【0023】
尚、フィルム2の表面2US上には、何らの物も配設されてはいない。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る1本のバー1の一端部1EAを対応する後述の横バー3の上面3USに取付けるための構成を模式的に拡大化して示す説明図である。1本のバー1の他端部を対応する横バーの上面に取付けるための構成も、
図3に示される構成と同一である。
図3に於いて、隣り合う各バー1の一端部1EAに対応する横バー3の上面3USの部分上には、2個の一対の突出板であるタップ雄(「タップ突出部」に該当。)が配設されている。尚、破線で示される様に、その一部が埋設されていても良い。各一対のタップ雄は、第1タップ雌1HAに対応した第1タップ雄3PA、及び、第2タップ雌1HBに対応した第2タップ雄3PBより成る。そして、1本のバー1の一端部1EA及び他端部は、それぞれに対応する横バー3の上面3USの部分に対して、次の通りで、取付けられる。即ち、長手方向Xに関して対向する2本の横バー3の内の一方の横バー3に於ける、2個の一対のタップ雄の内の一方の一対のタップ雄3PA,3PBは、対応する一方のバー1の一端部1EAの一対のタップ雌1HA,1HBにそれぞれ嵌合される。また、2本の横バーの上記一方の横バーの他方の一対のタップ雄3PA,3PBは、2本のバー1の内の他方のバー1の一端部1EAの一対のタップ雌1HA,1HBに嵌合される。同様に、2本の横バー3の内の他方の横バー3に於ける、2個の一対のタップ雄の内の一方の一対のタップ雄3PA,3PBは、上記一方のバー1の他端部の一対のタップ雌1HA,1HBに嵌合される。更に、他方の横バー3の他方の一対のタップ雄3PA,3PBは、上記他方のバー1の他端部の一対のタップ雌1HA,1HBに嵌合される。
【0025】
図4は、屋根部材Aの製作に於いて、各フィルム2を対応する隣り合う2個のバー1に取付ける作業状態を模式的に示す斜視図である。各バー1の溝部1R(1RA,1RB)の形状は、対応するフィルム2の突起部2P(2PA,2PB)が溝部1Rから着脱自在と成る様に遊びを持って嵌合(遊嵌)されて収容された後に、対応する溝部1Rから飛び出さない様に嵌合出来る様に設定される。フィルム2の突起部2P又は/及びバー1の溝部1Rの素材に弾力性があれば、溝部1Rの入口部の形状が比較的に小さくても、突起部2Pの溝部1Rの内部への挿入は容易となるので、形状の設定は素材との関係を考慮する必要性もある。
【0026】
ここで、フィルム2の素材の一例としては、塩化ビニール樹脂、ポリピレン樹脂、又はポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂材が用いられるが、好ましくは、当該樹脂材にガラス繊維等の強化繊維が含有された樹脂材が用いられる。或いは、合成樹脂材以外の素材として、ゴム材がフィルム2の素材の一例として用いられる。
【0027】
又、フィルム2の突起部2P(2PA,2PB)の形状としては、縦断面形状が略円形となる略球形状が好ましい。突起部2P(2PA,2PB)の素材例としては、合成樹脂材、ゴム材、金属材、又はセラミック材が、用いられる。
【0028】
又、各バー1は可撓性のある素材より成り、その形状は、例えば、円筒又は角筒等の筒状であり、その素材としては、例えば、合成樹脂材、アルミニウム(合金を含んで良い。)等の比較的に柔らかい金属材、竹材、又は木材が、用いられる。
【0029】
図4に於いて、一枚の弾性フィルム2を隣り合う2個の可撓性バー1に取付ける方法は、次の通りである。先ず、フィルム2の裏面右サイド上に設けられた可撓性のある第1突起部2PAを隣り合う2個のバー1の図面の正面視に於いて右サイドに位置する一方のバー1の第2溝部1RB内に遊嵌し、続いて、フィルム2の裏面左サイド上に設けられた可撓性のある第2突起部2PBを図面の正面視に於いて左サイドに位置する他方のバー1の第2溝部1RA内に遊嵌する。斯かる遊嵌作業の順序は逆でも良い。この様に、単に一枚のフィルム2の裏面両端側の2個の突起部2Pを隣り合うバーの対応する溝部1Rに嵌め込むワンタッチ作業だけで、簡単且つ短時間で、スムースに、フィルム2を隣り合う2個のバー1に取付けることが出来る。しかも、着脱自在に、2個の突起部2Pは溝部1Rに嵌め込まれている。各溝部1R内には、互いに接近して突出した部分が挿入側に設けられているので、嵌め込まれた各突起部2Pは溝部1Rの内部に密着しており、簡単には自然落下はしない。或いは、隣り合う2枚の弾性フィルム2のそれぞれの突起部2PB,2PAを対応する1個の可撓性バー1の溝部1RA,1RBに取付ける方法として、
図4に示される抑えローラユニット2RUを用いても良い。この場合、抑えローラユニット2RUの一方のローラ部分2RUBは、第2突起部2PBを第1溝部1RAに遊嵌させるために用いられ、他方のローラ部分2RUAは、第1突起部2PAを第2溝部1RBに遊嵌させるために用いられる。即ち、各突起部2PB,2PAの上方から対応する各ローラ部分2RUB,2RUAで各突起部2PB,2PAを抑えながら、ローラユニット2RUを手前側に引いていくことで、各突起部を対応する溝部内へ遊嵌させる。
【0030】
尚、屋根の両端の各々側に位置するフィルム2を隣り合う2個のバー1に取付けるには、
図4の正面視に於いて左サイドに描かれている通り、当該フィルム2の第1突起部2PAを対応するバー1の第1溝部1RA内に遊嵌することになる。この場合、左端のバー1の第2溝部1RB及び右端のバー1の第1溝部1RAの各々には、フィルム2の突起部2Pは遊嵌されないこととなる。
【0031】
図5は、フィルム1を有さない状態での屋根部材Aの骨組部材を模式的に示す斜視図である。但し、図示の便宜上、各骨組部材の交差部分は実線で表示されている。
図5に示される様に、屋根部材Aの両端には、凸曲状のアーチバー5が離間して配設されている。既述の各バー1は可撓性のある素材より成るので、各バー1は、両アーチバー5間に於いて、アーチバー5と同様に凸曲状の形状に折り曲げられた上で、その一端部1EAが一方の横バー3の上面3US上に固設され且つその他端部が長手方向Xに関して対向する他方の横バー3の上面3US上に固設されることで、アーチバー5に並設されたアーチ形状の骨組部材を構成する。そして、
図4に示した様に、各隣り合う2個のバー1の溝部1R内に一枚の対応するフィルム2の突起部2Pを順次に嵌め込むことにより、各々の一枚のフィルム2は一対の隣り合う骨組としてのバー1に着脱自在に取付けられ、これらの連続配設された複数枚のフィルム2を介して、
図6に示される壁部材Bの上方が閉塞される。その際、各フィルム2は、それが取付けられている隣り合うバー1のアーチ型の凸曲状に応じて、同様にアーチ型の凸曲状の形状を成しているので、風により屋根が吹き上げられる風荷重を低減化することが出来る。屋根部材Aは、その様な屋根形状を備えるのである。
【0032】
ここで、
図6は、本実施の形態に係る植物育成用組立ハウスの屋根部材A及び壁部材Bの構成を模式的に示す斜視図である。
【0033】
図5及び
図6に示される様に、屋根部材Aの土台部分乃至は基礎部分を成す骨組部材として、全体形状として角形状の枠を成す、2本の横バー3及び2本の横バー3の各々にそれぞれが直交結合された2本の縦バー4が、設けられている。そして、上記角形状の枠の内で長手方向(縦方向)Xに沿って延在する短手方向(横方向)Y側の両端を成す2本の縦バー4の各々の側面には、互いに離間された凸曲状のアーチ型のアーチバー5が結合・配設されている。そして、2本のアーチバー5間に、
図1及び
図3に関して既述した、各々がアーチバー5に並設して凸曲状のアーチ型に撓まれた少なくとも2本のバー1が配設されている。更に、
図2及び
図4で既述した少なくとも1枚のフィルム2の第1突起部2PA及び第2突起部2PBが、それぞれ、隣り合う2本のバー1の各々の第2溝部1RB及び第1溝部1RAに着脱自在に嵌め込まれている。このフィルム2の配設により、隣り合う2本のバー1間の上方は当該フィルム2により被覆される。この場合、各アーチバー5の上面上に、バー1と同様な構成を有するバー(図示せず。)を設けて、
図4に示した様に、当該バーの第1溝部に両端部分に於ける各フィルム2の第1突起部2PAを着脱自在に嵌め込んで、各端部分のフィルム2を、対応するアーチバー5と隣り合うバー1との間に配設することとしても良い。又は、各アーチバー5に隣接したバー1を設けて、
図4に示す様に、各端部分のフィルム2を対応する各端のバー1に配設することとしても良い。何れの構成によっても、
図6に例示される様に、対向するアーチバー5間の空間部分は、複数のフィルム2と2本以上の複数のバー1とで被覆されることとなる。
【0034】
尚、
図5の構成に於いては、離間したアーチバー5間に、2本のバー1が、それぞれ、横バー3の上面3US上に取り付けられているが、アーチバー5間に位置するバー1の本数は、3本でも良いし、又は、4本以上であっても良い。又、変形例として、複数のアーチバー5を短手方向(横方向)Yに沿って並設させた状態にて横バー3に固設した上で、各アーチバー5の上面上にバー1を固設して、バー1を補強することとしても良い(図示せず。)。
【0035】
又、各アーチバー5は、対応する縦バー4の上面上に立設されている2本の支持棒7の頂部及び各支持棒7の柱面に固設されている支持板6の上縁部に、当該縦バー4の上方位置に於いて、固着されて支持されている。ここで、支持板6は、アーチバー5を閉蓋することが出来る板であって、例えば、合成樹脂材、金属材又は木材等より成る。本例では、支持板6はアーチバー5と別体とされているが、その変形例として、支持板6をアーチバー5と同一部材で以って一体化して、当該一体化物の上縁部の形状を凸曲状にするならば、縦バー4をアーチバー5及び支持板6と兼用することが出来る。
【0036】
更に、短手方向(横方向)Yに延在する複数本の中間バー3Aが、横バー3と並設された状態で、離間されたアーチバー5に固設されている。これらの中間バー3Aは、各バー1と交差する部分に於いて各バー1を支持して、各バー1のアーチ型の凸曲形状を保持させている。この場合、各中間バー3Aの両端は対応するアーチバー5の側面に固着されるが、その構成に代えて、支持板6とアーチバー5との境界位置に中間バー3Aを取り付けるための複数の開孔を形成しておき、当該各開孔に対応する中間バー3Aを挿入して当該中間バー3Aをアーチバー5と支持板6との境界部に取り付けることとしても良い。
【0037】
又、縦バー4の長さ及び短手方向(横方向)Yに関して離間したアーチバー5の間隔は、本植物育成用組立ハウスのスペースを形成するものである。
【0038】
この様にして形成される屋根部材Aの下方部には、
図7に例示される様に、結合具100を介して、後述する壁部材Bが固設される。
【0039】
<壁部材Bの構成>
次に、
図6、
図7及び
図8を参照しつつ、壁部材Bの構成について記載する。ここで、
図8は、本植物育成用組立ハウスの壁部材Bの正面側に配設されるレールRA上を開閉自在にX方向に移動可能な扉の構成を模式的に示す斜視図である。
図8に於いて、参照符号WHは、レールRA上に載置された扉用の車輪である。
【0040】
壁部材Bは、屋根部材Aの2本の横バー3及び2本の縦バー4の各々の長さ寸法に対応した大きさの開口部が上方に形成されて成る箱形状を有している。壁部材Bの高さは、本植物育成用組立ハウスの利用者が出入り可能な高さである。そして、壁部材Bの正面側の出入り口部材Cには、人が出入り可能となる様に開閉自在にレールに沿ってX方向に移動可能な扉が、配設されている。この扉は、それぞれ2個の車輪WHを介してレールRAに沿ってX方向へ移動可能な2枚の戸板12を有する。尚、2個の車輪WHを設けずに、各戸板12の底部をX方向へレールRA上を摺動させることで、2枚の戸板12を開閉自在な扉として構成しても良い。
【0041】
図6に於いて、壁部材Bの要部の一つとして、その正面側の出入り口部材Cには、2枚の壁板11及び上記の扉を成す2枚の戸板12が配設されており、壁部材Bの底部自体は、地面留め具200によって、地面GRに直接に固設されている。この壁部材Bは、既述の構造を有する屋根部材Aの直下に位置する部材であり、横バー3の長さに対応する長さを有する横枠8と、縦バー4の対応する長さを有すると共に横枠8と直交結合した縦枠9とが、平面視に於いて矩形状の枠を成す上記底部を構成している。そして、当該底部の枠が地面GRに設置された上で、その後、上記の留め具200によって地面GRに固定される。この底部が地面GRに固設された状態に於いて、横枠8及び縦枠9の各々の上面上に、複数本の柱10が、所定の間隔を置いて、離間されつつ立設されている。この柱10の立設により、上方向が開口された箱形状の壁部材Bの骨組部材が得られる。
【0042】
次に、複数本の柱10間に壁板11及び戸板12が挿入され、これにより、壁板11及び戸板12が横枠8と縦枠9とから成る枠に立設されて成る、壁部材Bが得られる。この場合に、変形例として、柱10の側壁に凹溝を設け、壁板11の側壁にガイド突起を設けて、壁板11の上記ガイド突起を柱10の凹溝内に嵌合することで、各壁板11を枠に固設することとしても良い(図示せず。)。尚、柱10の数は任意であり、その本数は、植物育成として利用する状況に応じて自由に設定されれば良い。又、変形例として、上方向が開口された箱状態の壁部材Bに壁板11及び戸板12を取り付けた後に、その上端面に横枠8及び縦枠9を取り付けることとしても良い(図示せず。)。
【0043】
又、壁板11の一部又は全部に、金網状の網板を用いていても良い。この場合には、壁部材Bの壁板11を介した通風により、本植物育成用組立ハウス内の換気を行うことが出来る。この場合に、網板の壁板に対しては、その前方に着脱自在な雨戸を設けることとしても良い。
【0044】
図9は、
図3に示される横バー3及び中間バー3Aの全て又は任意の物の内部に配設・収納される筒状のパイプ部139Bの構成を、一部を縦断面構造として示す斜視図である。尚、必ずしもパイプ部13を設ける必要性は無く、本植物育成用組立ハウスの任意の構成要素である。この場合、パイプ部13の一端側の入り口部は、本植物育成用組立ハウスの外部の施設(電気配線部、給水用ホース或いは供給ガス用配管等。)に接続されており(図示せず。)。パイプ部13の他端側の出口部は、本植物育成用組立ハウス内の施設(LED照明器具、給水シャワー或いはガス排出管等。)に接続されている(図示せず。)。
図9に於いては、パイプ部13は、空洞の縦断面形状が円形の円筒形状を有しているが、形状は任意である。例えば、パイプ部13の形状は、その空洞の縦断面形状が4角形の角筒形状であっても良い。このパイプ部13は、照明等の電気配線系統、給水路、排水路又は炭酸ガス或いはエチレンガスの流路として利用される。特に、エチレンガスは、リンゴ、バナナ等の果物又はキュウリ等の野菜に甘味を出させる促進作用を有するガスである。又、炭酸ガスは、植物の育成に際して熟成を促進させる作用を呈するので、植物の茎が熟成する前の段階で炭酸ガスをエチレンガスに含ませてパイプ部13内を流すという利用方法がある。例えば、パイプ部13を介して炭酸ガスを組立ハウス内に導入することで、菜種の成長を遅らせることが出来る。この様に、給水による組立ハウス内の温度・湿度の管理・制御又は供給ガスによる植物の成長時期の管理・制御により、高品質の植物をそれぞれの出荷時期に応じて育成することが可能となる。
【0045】
<本植物育成用組立ハウスの形成方法>
【0046】
屋根部材Aと壁部材Bとの組立手順としては、先ず、壁部材Bの横枠8と縦枠9とから成る枠を地面GR上に設置して当該枠を留め具200で地面GRに固定し、柱10、壁板11及び戸板12を順次に当該枠に取り付けて、上方が開口された箱型の壁部材Bを組み立てる。
【0047】
次に、予め組み立てられた屋根部材Aの骨組部材(フィルム2が配設されていない状態での屋根部材Aに該当。)を壁部材Bの上面上に重ねて、結合具100により屋根部材Aと壁部材Bとを固設する。その後、
図4で既述した方法に基づいて、各フィルム2の突起部2Pを屋根部材Aのバー1の溝部1Rに着脱自在に遊嵌して、各フィルム2及び隣り合うフィルム2間に位置する各バー1の凹部1CPにより、屋根部材Aの骨組部材を被覆する。これにより、例えば、
図10に示される植物育成用組立ハウスが完成される。
【0048】
或いは、予めフィルム2が配設された、それ自体完成された構造の屋根部材Aを別途に準備しておいて、組み立てられた壁部材Bに対して当該屋根部材Aを結合具100により固設することとしても良い。
【0049】
<本植物育成用組立ハウスの利点>
1)屋根部材Aの各フィルム2は着脱自在に隣り合うバー1に取り付けられているので、台風等の嵐による強風によりフィルム2が破損し又は飛ばされてしまった場合でも、その部分のフィルム2を簡単且つ短時間で新たなフィルム2に交換・配設することが出来る。その点で、作業の効率化の増大を図って、植物育成用組立ハウスの維持・管理費用の低減化を図ることが出来る。
【0050】
2)屋根部材Aの各フィルム2は着脱自在に隣り合うバー1に取り付けられているので、一部のフィルム2を簡単且つ短時間で取り外して、当該屋根部分より通風により植物育成用組立ハウス内の換気を行うことが出来、換気終了後には、簡単且つ短時間で、取り外したフィルム2を元の場所に配設し直すことが出来る。又、壁部材の壁板の一部又は全部を金網の網板とすることで、壁部材の側面側より植物育成用組立ハウス内の換気を行うことが出来る。
【0051】
3)レールに沿って開閉自在に移動し得る扉を設けているので、植物育成用組立ハウス内への出入りが容易である。
【0052】
4)既述の横バー3及び/又は中間バー3Aの内部に配設された筒状のパイプ13を、組立ハウス内で高品質な植物を育成するための種々の手段を適用する部分として利用することが可能である。例えば、組立ハウス内のLED等の照明施設を電気的に制御するための電気配線を当該パイプ13内に設けて、当該電気配線を組立ハウスの外部の電気配線と結線させるという適用がある。或いは、組立ハウス内の温度及び/又は湿度を制御するために霧状等の水を当該組立ハウス内に散水するための当該組立ハウス内に配設された散水施設(シャワー)に外部から供給すべき水の流路として、当該パイプ13を利用することが出来る。或いは、植物の生長を促進又は送らせ得るガスを外部から組立ハウス内に供給する際の当該ガスの流路として、当該パイプ13を利用することが出来る。
【0053】
(変形例)
1)実施の形態1では、各植物育成用組立ハウスを、平面視に於いて横一列に並設させる場合が記載されたが、本発明に係る屋根部材を用いるならば、平面視に於いて各植物育成用組立ハウスをL字型となる様に並設させることも可能である。このL字型並設の場合に於いても、各フィルム2を対応するバー1より容易に着脱して交換し又は通気することが出来る。
【0054】
2)又、各バー1の横バー3への配設としては、実施の形態1で既述したタップ雄(タップ受け溝部)とタップ雌(タップ突出部)との結合による取付け方法の他に、固着剤乃至は接着剤で以ってバー1の一端部1ES及び他端部の各々を横バー3の上面3USに固着することでバー1を横バー3に固設することとしても良い。或いは、タップ受け溝部及びタップ突出部の変形例として、
図11(a)に示される様に、各バー1の一端部1EAの内で、表面1USに対向する裏面乃至は下面1LS寄り側部分に、タップ受け溝部1RC,1RDを設けて、横バー3の上面3USに設けられたタップ突起部(図示せず。)を対応するタップ受け溝部1RC,1RDに嵌合させることとしても良い。その場合に、更なる変形例として、
図11(b)に示される様な構造の両端側のバーを採用しても良い。即ち、各バー1の内で両端各側に配設されるバー1の側面部に、その長手方向に沿って補足部1Sを固設し、当該バー1の一端部1EAと同一面を成す補足部1Sの一端部の面の内で、壁部材Bの柱10の頂部に面することとなる部分に、柱10の頂部より突出したタップ突起部分(図示せず。)を嵌合させるためのタップ受け溝部1RE,1RFが設けられる。
【0055】
3)
図12に示す様に、植物育成用組立ハウス内の中央部に、底部が地面に接し且つその頂部30TBが屋根部材を支える主柱30を配設しても良い。この様な主柱30は、屋根部材上に雪が積もっても、当該積雪によって重力が加わる屋根部材の耐久性を補強することが出来る。しかも、主柱30の回転による上下方向の長さ調整により、積雪を考慮して、屋根部材の張り具合・高さ調整を行うことが出来る。更に、
図12に示す様に、植物育成用組立ハウスの中央部に、排水U字溝20を設けることも可能である。
【0056】
又、屋根部材の各バーの凸曲状はアーチ型形状である必要性はなく、非対称の凸状の曲形状でも良い。例えば、
図12に示される様な形状より成る凸曲状を、各バーは有していてもよい。この場合のバー乃至はフィルムの凸曲状は、その一端側部分が偏在的に突出しており、当該一端側突出部分から他端側へ向けて滑らかに下降傾斜する形状である。この様な形状であるため、屋根部材に吹き付けられる風は、フィルム表面上を、その相対的に高い一端側突出部分から、相対的に低くなった他端部側へ向けて、即ち、植物育成用組立ハウス内の中央部側へ向けて、流れることとなる。その様な風の流れにより、屋根部材のフィルムがフィルムに吹き付けられる強風によって引っ張り上げられる状態(吹上状態)が、効果的に防止され得る。
【0057】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【解決手段】短手方向Yに並設された各バー1の一端部1EA及び他端部は、屋根部材の対向する各横バーの上面上に固設されて、可撓性の各バー1はアーチ型の凸曲状を成す。各バー1は対向しつつ長手方向Xに延在する溝部1Rを有している。屋根部材の骨組部材の空間を被覆する各フィルム2は、その裏面2LSの両端近傍部上に、長手方向Xに延在する一対の突起部2Pを有する。突起部2Pの形状は溝部1Rの内面構造に対応している。各フィルム2の突起部2Pが隣り合うバー1の対応する溝部1R内に着脱自在に嵌め込まれることで、各フィルム2は隣り合うバー1に固設されて上方を被覆する。