(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897722
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】二酸化炭素メタン化触媒の調製方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/755 20060101AFI20160317BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20160317BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20160317BHJP
C07C 1/12 20060101ALN20160317BHJP
C07C 9/04 20060101ALN20160317BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20160317BHJP
【FI】
B01J23/755 Z
B01J37/02 101A
B01J37/08
B01J37/02 101C
!C07C1/12
!C07C9/04
!C07B61/00 300
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-536103(P2014-536103)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公表番号】特表2014-534901(P2014-534901A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】CN2012083095
(87)【国際公開番号】WO2013056649
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】201110317947.1
(32)【優先日】2011年10月19日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512244657
【氏名又は名称】武▲漢凱▼迪工程技▲術▼研究▲総▼院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】王志▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼岩▲豊▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳義龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲シュエ▼永▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】陶▲レイ▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼志相
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭興▼才
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−263494(JP,A)
【文献】
特開平04−202289(JP,A)
【文献】
Feg-Wen Chang, Tyng-Jer Hsiao, Shih-Wu Chung and Jen-Jon Lo,Nickel supprted on rice husk ash - activity and selectivity in CO2 methanation,Applied Catalysis A: General,米国,Elsevier,1997年 4月24日,vol. 164,225-236
【文献】
Feg-Wen CHANG et al.,Hydrogenation of CO2 over a Rice Husk Ash Supported Nickel Catalyst Prepared by Deposition-Precipitation,Industrial & Engineering Chemistry Research,1998年,Vol. 37,pp. 3838-3845
【文献】
Liao Cui-PING et al.,Distribution and enrichment of trace elements in ashes from biomass gasification power plant,Journal of Fuel Chemistry and Technology,2005年,Vol. 33 No. 4,pp. 456-459
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス発電所からの灰をニッケル化合物と混合し、得られた混合物を焼成することにより形成され、前記焼成によって形成される触媒は2〜20重量%のニッケルを含む、二酸化炭素のメタン化触媒の調整方法であって、
1) 5〜30重量%のニッケル化合物を含む水溶液を調製する工程と、
2) バイオマス発電所からの灰から可燃性不純物を除去するために、バイオマス発電所からの灰を300〜400℃の温度で20〜40分間焼成する工程と、
3) 触媒生成物中のニッケルの所望の重量パーセントに従い原料の用量を計算し、前記ニッケル化合物を含む水溶液を工程2における焼成後のバイオマス発電所からの灰と混合し、且つ、得られた混合物を5〜10時間攪拌し混合物を均一に含浸させる工程と、
4) 含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を110〜150℃の温度で0.5〜1.5時間乾燥させる工程と、
5) 乾燥処理後のバイオマス発電所からの灰を400〜500℃の温度で3〜6時間焼成し、二酸化炭素のメタン化触媒を得る工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記工程2の焼成時間は25〜30分に制御され、
前記工程3の攪拌時間は6〜8時間に制御され、
前記工程4の乾燥時間は0.5〜1.0時間に制御され、
前記工程5の焼成時間は4〜5時間に制御される、
ことを特徴とする請求項1の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒合成技術に関し、特に、二酸化炭素のメタン化触媒、二酸化炭素メタン化触媒の調製方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、エネルギや環境の問題は、世界中が注目するところである。第1の問題としては、化石燃料からの多量の温室効果ガスの排出により生じる温室効果や、それに伴い生じる地球温暖化が、生態、経済、また社会に広範囲に悪影響をもたらしていることである。地球規模での気候変動に伴い、地球上の温室効果は世界中で益々注目を集めている。化石燃料の燃焼による多量の二酸化炭素の排出が、地球上での気候変動をもたらす主な原因であり、地球温暖化の寄与率の60%を占める。第2の問題としては、核エネルギなどのクリーンなエネルギの不安定要素が、人類の産出および生存に前例のない課題をもたらしている。
【0003】
いかにして効果的に二酸化炭素の工業排出を減少させ、また二酸化炭素を価値のある資源に変換させるかということが、特に重要である。CO
2のCH
4への水素化、および触媒による高速メタン化により、二酸化炭素の資源活用、並びに新しいエネルギの合成化を実現可能にする。従って、二酸化炭素の触媒水素化のメタン化反応が、炭素化学研究における中心の一つである。二酸化炭素触媒水素化のメタン化反応の研究において、触媒が持つ優れた性質、即ち安価で、活性度が高く、また信頼性が高いものを選択することが重要である。
【0004】
従来の二酸化炭素メタン化触媒では、殆どがアルミニウムを担体として含むと共に、ニッケルを単独で、または単一の希土類元素が添加されたニッケルを活性成分として含む。この種の触媒は相対的に触媒活性度が低く、また、例えば相対的に圧力が高く、速度が遅く、過量の水素などの厳しい反応条件を要求することから、投資が大きく生産が低いという結果になる。特許文献1は、二酸化炭素の水素化触媒を開示しており、触媒は天然のセピオライトを担体として使用するが、天然のセピオライトは極めて限られた資源であり、生産コストが高いので、工業に適用されない。特許文献2は、二酸化炭素の水素化触媒と、同触媒の調製方法を開示しており、その触媒は、特別なジルコニウム糊を担体として使用するニッケルまたはルテニウムベースの触媒である。特許文献3は、二酸化炭素水素化触媒と、同触媒の調製方法を開示しており、その触媒は、酸素エーロゲルを担体として使用するニッケルベースの触媒である。上記の2つの触媒は、担体として機能する特別なジルコニウム糊または酸素エーロゲルが高価なナノ材料から作られるので、適用が困難になるという欠点がある。
【0005】
別の態様において、バイオマス発電所は、主に農林業廃棄物を直接燃焼して発電する。2003年以降、中国はバイオマス発電技術の開発を推し進める速度を加速しており、公開された「長期の再生可能エネルギ開発計画」の中で、2020年にバイオマス発電で3000万キロワットの設備容量を実現する開発目標を挙げた。有望な再生可能エネルギとして、バイオマス発電は、農林業固体廃棄物や多くのエネルギ構造の処理で非常に重要な役割を果たしている。バイオマス発電産業の継続的な発展に伴い、バイオマス発電所における固体廃棄物の燃焼が困難であり、とりわけバイオマス発電所の灰(植物灰や籾殻灰)の資源利用が困難であるなど、厄介な問題が持ち上がっている。バイオマス発電所からの灰では、一次組成物はSiO
2であり、補助組成物はAl
2O
3、CaO、Fe
2O
3、TiO
2、MgO、K
2Oを含み、複数の金属酸化物は活性化能力を有する。バイオマス発電所からの灰の大部分がこれまで、効果的に利用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許公開公報第1107078号
【特許文献2】中国特許公開公報第1114955号
【特許文献3】中国特許公開公報第101773833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の目的の一つは、二酸化炭素のメタン化触媒、その調製方法、およびその使用方法を提供することである。触媒は、バイオマスの燃焼から廃棄される灰を担体として用いるとともに、ニッケルを活性成分として用いて調製される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、二酸化炭素のメタン化触媒が提供される。触媒は、
1) 5〜30重量%のニッケル化合物を含む水溶液を調製する工程と、2) バイオマス発電所からの灰から可燃性不純物を除去するために、バイオマス発電所からの灰を300〜400℃の温度で20〜40分間焼成する工程と、3) 触媒生成物中のニッケルの所望の重量パーセントに従い原料の用量を計算し、前記ニッケル化合物を含む水溶液を工程2における焼成後のバイオマス発電所からの灰と混合し、且つ、得られた混合物を5〜10時間攪拌し混合物を均一に含浸させる工程と、4) 含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を110〜150℃の温度で0.5〜1.5時間乾燥させる工程と、5) 乾燥処理後のバイオマス発電所からの灰を400〜500℃の温度で3〜6時間焼成し、二酸化炭素のメタン化触媒を得る工程と、を含む方法によって形成される。焼成により形成された触媒は、2〜20重量%のニッケルを含む。
【0009】
上記の技術的解決法では、ニッケル化合物は、硝酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、クエン酸ニッケル、酒石酸ニッケル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。易分解性ニッケル化合物は、バイオマス発電所からの灰の担体として十分な活性成分を提供することが可能である。
【0010】
好適には、焼成で形成された触媒は、5〜15重量%のニッケルを含む。
【0011】
好適には、焼成で形成された触媒は、10〜20重量%のニッケルを含む。
【0012】
好適には、バイオマス発電所からの灰は袋集塵機に回収された灰から選択される。バイオマス発電所からの灰の平均粒径は10〜15μmであることから、ニッケルの活性成分及びバイオマス発電所からの灰の担体は、焼成工程で良好に結合される。
【0013】
二酸化炭素のメタン化触媒を調製するための方法であって、この方法は以下の工程を含む。
【0014】
1)5〜30重量%のニッケル化合物を含む水溶液を調製する工程。
【0015】
2)バイオマス発電所からの灰から可燃性不純物を除去するために、バイオマス発電所からの灰を300〜400℃の温度で20〜40分間焼成する工程。
【0016】
3)触媒生成物中のニッケルの所望の重量パーセントに応じて原料の用量を算出し、ニッケル化合物を含む水溶液を工程2の焼成後のバイオマス発電所からの灰と混合し、得られた混合物を5〜10時間攪拌して混合物を均一に含浸させる工程。
【0017】
4)含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を110〜150℃の温度で0.5〜1.5時間乾燥させる工程。
【0018】
5)乾燥処理後のバイオマス発電所からの灰を400〜500℃の温度で3〜6時間焼成して、二酸化炭素のメタン化触媒を得る工程。
【0019】
好適には、工程2での焼成時間は25〜30分に制御され、工程3での攪拌時間は6〜8時間に制御され、工程4での乾燥時間は0.5〜1.0時間に制御され、工程5での焼成時間は4〜5時間に制御される。
【0020】
二酸化炭素のメタン化触媒の使用方法は、固定床反応器中での二酸化炭素の水素化反応において使用される。具体的には、
水素化反応における触媒の粒径および反応条件は以下のとおりである。触媒の粒径は40〜60メッシュであり、反応圧力は常圧であり、供給組成物のモル比はH
2/CO
2=4/1であり、体積空間速度は5500〜9000h
-1であり、反応温度は250〜450℃であり、反応時間は1〜2時間である。
【0021】
好適には、
水素化反応における触媒の粒径および反応条件は以下のとおりである。触媒の粒径は40〜60メッシュであり、反応圧力は常圧であり、供給組成物のモル比はH
2/CO
2=4/1であり、体積空間速度は6000〜8000h
-1であり、反応温度は350〜400℃であり、反応時間は1時間である。
【0022】
本発明の利点は以下のとおりである。第一に、本発明の触媒担体は、バイオマス発電所からの灰から直接選択され、供給源が多種であり低コストであるばかりか、廃棄物を有価物に変化させて、廃棄物の再利用を達成することにより、バイオマス発電所での燃焼からの廃棄物は処理が困難であるという問題が解決される。第二に、バイオマス発電所からの灰は、複数の金属またはSiO
2の一次組成物とAl
2O
3、CaO、Fe
2O
3、TiO
2、MgO、K
2Oを含む補助組成物を含んだ金属酸化物と天然混合されることにより、触媒担体として、バイオマス発電所からの灰は、他の添加剤を追加する必要がない。担体中のニッケルの活性成分の含有量は20重量%内、好適には10〜20重量%の間に制御されることにより、製造コストが大幅に低下する。第三に、バイオマス発電所からの灰の平均粒径は10〜15μmに制御され、比表面積が大きく、ニッケルまたはその化合物は機械的粉砕処理することなく投入されるので、製造コストがより一層節約される。第四に、バイオマス発電所からの灰の複合金属酸化物は、ニッケルを担持し、SiO
2担体でのニッケルの活性を増強するだけでなく、担体の表面積、孔容積および平均孔半径の性能を調節することができる。加えて、バイオマス発電所からの灰の複合金属酸化物は容易に還元され、低温且つ低製造コストで優れた活性を有することが可能となる。
【0023】
要約すると、本発明の触媒は、比較的高い触媒活性と選択性を有するだけでなく、はるかに高い安定性を有している。触媒は、常圧で二酸化炭素の水素化反応を効果的に触媒することが可能であり、二酸化炭素のメタンへの形質転換を容易にする。本発明の調製方法は、廃棄物を有価物に変えることができ、またその操作は簡単である。原料供給源から生産製品への調製方法のコストは非常に低いことから、バイオマス発電所からの灰の資源利用に特に適している。
【0024】
本発明を更に説明するために、二酸化炭素メタン化触媒、その調製方法および使用方法を詳述する実験を以下に記載するが、本発明の内容は、下記実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0025】
5重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の調製方式(ニッケル含有量は触媒の総重量の約5重量%を占め、残りがバイオマス発電所からの灰と不可避的不純物を構成する)。
【0026】
1) 硝酸ニッケル六水和物1.441グラムをブンゼンビーカーに加え、脱イオン水を加えて硝酸ニッケル六水和物を溶解し、得られた溶液を45mLのメスフラスコに移し、測定して、硝酸ニッケル溶液を得た。
【0027】
2) バイオマス発電所からの灰を300℃の温度で40分間焼成して、H
2O、C、およびSO
3を含む可燃性不純物を灰から除去した。
【0028】
3) 焼成後のバイオマス発電所からの灰10gを蒸発皿に加え、バイオマス発電所の混合物を含浸させるために、硝酸ニッケル溶液45mLがメスフラスコから蒸発皿に移され、得られた混合物を5時間撹拌した。
【0029】
4)含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を、120℃の温度で1.0時間乾燥させた。
【0030】
5)乾燥後のバイオマス発電所からの灰は、マッフル炉に入れられ、次いでその中の塩分を分解するために450℃の温度で5時間焼成され、その後、温度を室温まで低下させて、5重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒を得た。
【0031】
5重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の適用および分析検出は、以下のとおりであった。
【0032】
5重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒はスクリーニングされ、40〜60メッシュの粒径を有する粒子が得られた。スクリーニング処理から得られた5重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒1gは、固定床反応器に入れられた。次に固定床反応器を400℃の温度に加熱し、100mL/分の流量を有するH
2を1時間導入し還元した。その後、H
2/CO
2のモル比が4/1である混合反応ガスが導入され、生成物を以下の条件でガスクロマトグラフィーによりオンラインで分析、検出した。反応温度250〜450℃、反応圧力0.1MPa、体積空間速度5500〜9000h
-1、循環反応時間2時間。反応温度が400℃であり、体積空間速度が6000h
-1であったときには、CO
2の転換率は91.36重量%であった。
【実施例2】
【0033】
10重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の調製方法(ニッケルの含有量は、触媒の総重量の10重量%を占め、残りはバイオマス発電所からの灰と不可避的不純物を含む)
【0034】
1) 硝酸ニッケル六水和物3.367グラムをブンゼンビーカーに加え、硝酸ニッケル六水和物を溶解するために脱イオン水を加え、得られた溶液を45mLのメスフラスコに移し、測定して、硝酸ニッケル溶液を得た。
【0035】
2) バイオマス発電所からの灰を350℃の温度で30分間焼成し、H
2O、C、およびSO
3を含む可燃性不純物を灰から除去した。
【0036】
3) 焼成後のバイオマス発電所からの灰10グラムを蒸発皿に加え、バイオマス発電所の混合物を含浸させるために、硝酸ニッケル溶液45mLをメスフラスコから蒸発皿に移し、得られた混合物を6時間撹拌した。
【0037】
4) 含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を、150℃の温度で1.5時間乾燥させた。
【0038】
5) 乾燥後のバイオマス発電所からの灰をマッフル炉に入れ、次いでその中に塩分を分解するために450℃の温度で6時間焼成し、その後、温度を室温まで低下させ、10重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒を得た。
【0039】
10重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の適用と分析検出は以下のとおりであった。
【0040】
10重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒にスクリーニングを行い、40〜60メッシュの粒径を有する粒子を得た。スクリーニング処理から得られた10重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒1gを、固定床反応器に入れた。次に固定床反応器を400℃の温度に加熱し、100mL/分の流量を有するH
2を1時間導入し還元した。その後、H
2/CO
2のモル比が4/1である混合反応ガスを導入し、生成物を以下の条件でガスクロマトグラフィーによりオンラインで分析、検出した。反応温度250〜450℃、反応圧力0.1MPa、体積空間速度5500〜9000h
-1、循環反応時間2時間。反応温度が300℃であり、体積空間速度が7000h
-1であったときは、CO
2の転換率は95.21重量%であった。
【実施例3】
【0041】
15重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の調製方法(ニッケルの含有量は触媒の総重量の15重量%を占め、残りはバイオマス発電所からの灰と不可避的不純物を含む。)
【0042】
1)硝酸ニッケル六水和物6.073グラムをブンゼンビーカーに加え、硝酸ニッケル六水和物を溶解するために脱イオン水を加え、得られた溶液を45mLのメスフラスコに移し、測定して、硝酸ニッケル溶液を得た。
【0043】
2) バイオマス発電所からの灰を350℃の温度で30分間焼成して、H
2O、C、SO
3を含む可燃性不純物を灰から取り除いた。
【0044】
3) 焼成後のバイオマス発電所からの灰10グラムを蒸発皿に加え、バイオマス発電所の混合物を含浸させるために、硝酸ニッケル溶液45mLをメスフラスコから蒸発皿に移し、得られた混合物を7時間撹拌した。
【0045】
4) 含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を、150℃の温度で0.5時間乾燥させた。
【0046】
5) 乾燥後のバイオマス発電所からの灰をマッフル炉に入れ、次いでその中の塩分を分解するために450℃の温度で4時間焼成し、その後、温度を室温まで低下させ、15重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒を得た。
【0047】
15重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の適用と分析検出は、以下のとおりであった。
【0048】
15重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒を、40〜60メッシュの粒径を有する粒子を得るためにスクリーニングした。スクリーニング処理から得られた15重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒1gを、固定床反応器に入れた。次に固定床反応器を400℃の温度に加熱し、100mL/分の流量を有するH
2を1時間導入し還元した。その後、H
2/CO
2のモル比が4/1である混合反応ガスを導入し、生成物を以下の条件で、ガスクロマトグラフィーによりオンラインで分析し、検出した。反応温度250〜450℃、反応圧力0.1MPa、体積空間速度5500〜9000h
-1、循環反応時間2時間。反応温度が400℃であり、体積空間速度が7000h
-1であったときには、CO
2の転換率は97.87重量%であった。
【実施例4】
【0049】
20重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の調製方法(ニッケルの含有量は、触媒の総重量の20重量%を占め、残りはバイオマス発電所からの灰と不可避的不純物を含む)。
【0050】
1)硝酸ニッケル六水和物10.152グラムをブンゼンビーカーに加え、硝酸ニッケル六水和物を溶解するために脱イオン水を加え、得られた溶液を45mLのメスフラスコに移し、測定して、硝酸ニッケル溶液を得た。
【0051】
2) バイオマス発電所からの灰を400℃の温度で20分間焼成し、H
2O、C、SO
3を含む可燃性不純物を灰から取り除いた。
【0052】
3) 焼成後のバイオマス発電所からの灰10グラムを蒸発皿に加え、バイオマス発電所の混合物を含浸させるために、硝酸ニッケル溶液45mLをメスフラスコから蒸発皿に移し、得られた混合物を8時間撹拌した。
【0053】
4) 含浸処理後のバイオマス発電所からの灰を、150℃の温度で1.0時間乾燥させた。
【0054】
5) 乾燥後のバイオマス発電所からの灰をマッフル炉に入れ、次いでその中の塩分を分解するために450℃の温度で3時間焼成し、その後、温度を室温まで低下させて、20重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒を得た。
【0055】
20重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒の適用と分析検出は以下のとおりであった。
【0056】
20重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒を、40〜60メッシュの粒径を有する粒子を得るためにスクリーニングした。スクリーニング処理から得られた20重量%のニッケルを含む二酸化炭素のメタン化触媒1gを、固定床反応器に入れた。次に、固定床反応器を400℃の温度に加熱し、100mL/分の流量を有するH
2を1時間導入し還元した。その後、H
2/CO
2のモル比が4/1である混合反応ガスを導入し、生成物を以下の条件でガスクロマトグラフィーによりオンラインで分析、検出した。反応温度250〜450℃、反応圧力0.1MPa、体積空間速度5500〜9000h
-1、循環反応時間2時間。反応温度が400℃であり、体積空間速度が6000h
-1であったときには、CO
2の転換率は96.91重量%であった。