特許第5897773号(P5897773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897773
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】電気接続端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   H01R4/48 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-516505(P2015-516505)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公表番号】特表2015-519712(P2015-519712A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013001662
(87)【国際公開番号】WO2013185893
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】102012011794.9
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ホップマン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ゲープハルト
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−243480(JP,A)
【文献】 特開昭60−200474(JP,A)
【文献】 特開昭48−041291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続端子であって、
導体挿入口(2a、2b)を有するハウジング(1)と、
該ハウジング(1)内に配置された導体レール(3)と、
前記ハウジング(1)内に回転可能に取り付けられたバネ要素(4a、4b)であって、開いた位置及び閉じた位置に旋回可能であり、閉じた位置においては前記導体挿入口(2a、2b)に挿入された導体を、前記バネ要素(4a、4b)により前記導体レール(3)に押し付け可能である、バネ要素と、
前記ハウジング(1)内に回転可能に取り付けられた、作動アーム(18a、18b)を有する作動要素(15a、15b)であって、該作動要素により前記バネ要素(4a、4b)を閉じた位置に移行させるために作動可能である、作動要素と、
を有する電気接続端子において、
前記作動要素(15a、15b)に、前記バネ要素(4a、4b)に適合させたクリアランス(19a、19b)が設けられており、前記バネ要素(4a、4b)は、閉じた位置から開いた位置へ旋回運動して前記クリアランス内に入り込むことができ、その際前記作動要素(15a、15b)の回転運動が引き起こされないことを特徴とする、電気接続端子。
【請求項2】
前記バネ要素(4a、4b)が少なくとも一つの復帰バネ部(13a、13b)を有しており、該復帰バネ部により前記バネ要素(4a、4b)が閉じた位置から開いた位置へ自動的に移行可能であることを特徴とする、請求項1に記載の電気接続端子。
【請求項3】
前記バネ要素(4a、4b)が、2つ又はそれより多いバネ(6a、7a、6b、7b)を有するバネ組立体として形成されており、それらバネ(6a、6b、7a、7b)が異なる長さで導体挿入口(2a、2b)内に突き出していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気接続端子。
【請求項4】
前記作動要素(15a、15b)が、前記作動要素(15a、15b)を固定位置に保持するための係止手段(21a)を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気接続端子。
【請求項5】
ツールを用いて前記作動要素(15a、15b)を操作するためのツール挿入口(20a、20b)が前記作動要素(15a、15b)に設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気接続端子。
【請求項6】
前記作動要素(15a、15b)が、前記作動アーム(18a、18b)が形成された本体(17a、17b)を有しており、該本体(17a、17b)は前記作動アーム(18a、18b)より厚いことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気接続端子。
【請求項7】
前記ハウジング(1)が2つの導体挿入口(2a、2b)を有しており、また、前記ハウジング(1)内に2つのバネ要素(4a、4b)及び2つの作動要素(15a、15b)が配置されており、両方の作動要素(15a、15b)は互いに逆向きに回転可能であり、また互いに向かい合って位置しており、その際前記作動要素(15a、15b)の前記作動アーム(18a、18b)は分割方向において相前後して配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気接続端子に関するものであり、該電気接続端子は、導体挿入口を有するハウジング、該ハウジング内に配置された導体レール、ハウジング内に回転可能に取り付けられ、開いた位置及び閉じた位置に旋回可能であるバネ要素であって、閉じた位置においては導体挿入口に挿入された導体をバネ要素により導体レールに押し付け可能であるバネ要素、ハウジング内に回転可能に取り付けられた、作動アームを有する作動要素であって、この作動要素によりバネ要素を開いた位置及び閉じた位置に移行させるために作動可能である作動要素、を有している。
【背景技術】
【0002】
そのような電気接続端子は例えば特許文献1より知られており、そこでは、ハウジング内に挿入された導体を作動要素により締め付けるために、脚バネとして構成されたバネ要素が開いた位置及び閉じた位置に旋回可能である。バネ要素を開き、それにより、バネ要素が閉じた位置から開いた位置に旋回しやすくするために、作動要素には、作動壁及びこの作動壁の横に形成された2つのロック解除部が設けられている。バネ要素が閉じた位置から開いた位置へと旋回する際、作動壁は、バネ要素に設けられたスロット内に入ることができる。バネ要素を閉じた位置から開いた位置へ完全に旋回させるには、作動要素は上に向かって動き、そのため自身が旋回もしくは回転する必要がある。このとき作動要素の作動壁はバネ要素のスロットをスライドして作動壁の端が内側からバネ要素の脚部に当り、それにより作動要素がさらに旋回するとバネ要素も開いた位置まで旋回する。
【0003】
とりわけバネ力が大きい場合、作動要素に作用する力が大きく、そのため作動要素は制御されずに高速で回転するため、ここでは、バネ要素が閉じた位置から開いた位置へと移行する際に、作動要素の旋回もしくは回転運動によりユーザがけがをする危険が大きいという短所がある。ツールを用いて作動要素を操作する場合、ツールが制御されずに高速で一緒に旋回することによりユーザがけがをする危険はさらに高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008039868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、バネ要素が閉じた位置から開いた位置へ移行する際にユーザがけがをする危険を大幅に低下させ得る電気接続端子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
先述した態様の電気接続端子においてこの課題は、本発明により、バネ要素に適合させたクリアランスが作動要素に設けられ、バネ要素は閉じた位置から開いた位置への旋回運動においてこのクリアランスに入り込むことができ、その際作動要素の回転運動が引き起こされないことにより解決される。
【0007】
目的に合った本発明の実施形態及び好適な発展形は従属請求項に記載されている。
【0008】
このように本発明の特徴は、バネ要素が開く動きにおいて、つまり、バネ要素の旋回運動によりバネ要素が閉じた位置から開いた位置へ移行する際に、作動要素が動かないこと、とりわけ回転運動が起こらないことである。そのため作動要素は、バネ要素の開く動きの際、ほぼその位置にとどまっている。ここでバネ要素の開いた位置とは、バネ要素が完全に開いた位置であり、バネ要素はそこで最終位置にある。それによりバネ要素が閉じた位置から開いた位置へ移行する際にバネ要素の動きが作動要素の動きから切り離され、それにより通常はバネ要素の動きにより引き起こされる、制御されない作動要素の動きが回避され、それにより作動要素の不意の回転運動によりユーザがけがをする危険を最小に抑えることができる。これを行うために、ハウジング内で望ましくはバネ要素より上に配置された作業要素には、リセス又はカットアウトとも呼ばれる、バネ要素に適合させたクリアランスが設けられており、このクリアランスは、バネ要素が作動要素の動きを引き起こさずに最終位置において完全に開いた位置にくるよう、このクリアランス内でバネ要素が旋回できるような大きさで構成されている。バネ要素は望ましくは締付脚部及び作動脚部を有する脚バネとして構成されており、作動脚部は、締付脚部から遠い端部において締付脚部の方向に曲げられた保持部分を有しており、この保持部分によりバネ要素は閉じた位置において、導体レール又はハウジングに形成された保持要素に係止される。バネ要素が閉じた位置から開いた位置へと旋回する運動において、とりわけバネ要素の保持部分及び部分的には作動脚部が作動要素のクリアランス内に入り込む。バネ要素が開く際は、作動要素の作動アームによりまずバネ要素の保持部分がその係止から解放されるが、その際、バネ要素の旋回運動はまだ起こっていない。作動要素によりバネ要素の保持部分が係止から解放された後、作動要素は、バネ要素の旋回運動にもかかわらず、バネ要素が完全に開いた位置に来るまで、もはや動かず、とりわけ回転しない。とりわけ、大きな導体断面を持つ導体の締付けの際に大きな締付け力が作用する場合、好適であるのは、バネ要素の旋回運動により導体を開放する際、それによりバネ要素が閉じた位置から開いた位置へと移行する際、もはや作動要素や作動要素内にあるツールに力が伝達されるのではなく、本発明の解決法により、バネ要素の保持部分は、作動要素もしくは作動要素の作動アームにより係止から解放されるだけであり、次に作動要素自体は動かずに、バネ要素が作動要素のクリアランス内に入り込むことにより、バネ要素が「はねて」緩んだ、開いた位置に来ること、つまり旋回することができることである。ここでは、既知の接続端子とは異なり、バネ要素を開くためのバネ要素の旋回運動において、作動要素とバネ要素との間に運動の連結は起こらない。そのため、もはやバネ要素の高い復帰力が作動要素や、作動要素を操作するツールに作用せず、それによりユーザがけがをする危険が低減できるため、電気接続端子を使用する際のユーザの高い操作快適性が得られる。また、作動要素にクリアランスを形成することにより、作動要素とバネ要素との間の不連結を実現するための追加部品は必要ない。
【0009】
本発明の好適な形態において、バネ要素は少なくとも一つの復帰バネ部を有しており、この復帰バネ部によりバネ要素は自動的に閉じた位置から開いた位置へ移行可能である。復帰バネ部の作用により、閉じた位置にあるバネ要素の保持部分が係止から解放されるとすぐに、バネ要素は追加的な助力もしくは補助手段なしに開いた位置に旋回する。そのために復帰バネ部は、復帰バネ部が、ある要素、望ましくは例えば導体レールの部分であるプレートに対して、押し付けられることにより、バネ要素の閉じた位置において張られている。バネ要素が閉じた位置へ及び開いた位置へ移行する際、復帰バネ部はプレート上で動く、とりわけスライドする。そのためにハウジングには、復帰バネ部に噛み合ってこれをプレート上で案内する案内要素を形成することができる。復帰バネ部により、接続されたもしくは締め付けられた導体がなくてもバネ要素を閉じた位置から開いた位置へ移行することが可能である。復帰バネ部は望ましくは、作動脚部と締付脚部との間に延在する、望ましくは作動脚部に結合されたバネアームの形で形成されている。バネ要素は一つの復帰バネ部又は、2つの又はそれ以上の、望ましくは互いに決められた間隔を空けて平行に配置された復帰バネ部を有することができる。
【0010】
本発明のさらなる好適な形態においては、バネ要素は、2つの又はそれ以上のバネを有するバネ組立体として形成されており、バネは異なる長さで導体挿入口内に突き出している。バネ組立体のバネは互いに直接的に隣接しており、2つの又はそれ以上のバネから成るバネ組立体を使用することにより、締め付けるべき導体にかけられるバネ力もしくは接触力を高めることができ、それにより、導体断面が大きくても確実に締め付けるための十分に大きな接触力をかけることができる。さらに、導体断面の小さい導体を直接的にはめられるようにするため、バネ組立体のバネは異なる長さで導体挿入口内に突き出しており、そのためにバネ組立体の個々のバネの締付脚部の長さは異なっている。バネが2つより多い場合、バネは望ましくは段階的な長さで導体挿入口内に突き出ている。その場合、導体断面の小さい導体は例えばバネ組立体の一つのバネもしくは一つのバネの締付脚部のみで導体レールに押し付けられて、導体が直接的にはめられる。これに対して、導体断面の大きな導体においては、導体は、バネ組立体の複数の又はすべてのバネにより、及びそれにより複数の又はすべての締付脚部により、導体レールに押し付けられる。そのため、この電気接続端子は異なる導体断面を持つ導体に適している。しかしながら、電気接続端子が、決められた導体断面を持つ導体にのみ用いられる場合は、締め付ける導体に特に高い接触力をかけられるよう、バネ組立体のバネを同じ長さで導体挿入口内に突き出させるとも可能である。
【0011】
とりわけ、導体がバネ要素により導体レールに押し付けられていてバネ要素が閉じた位置にあるときに作動要素が自由に運動可能となることを回避するために、望ましくは作動要素には、作動要素を固定位置に保持しておくための係止手段が設けられている。係止手段は例えば作動要素に形成されたピン又はウェブの形で形成することができ、このピン又はウェブは作動要素の横から突き出して、例えばハウジングの内側面に例えばウェブ又はリブの形で形成された保持要素に後方フックの形で係止することができる。
【0012】
また、望ましくは、大きな力を伝達できるように作動要素にはツールを用いて作動要素を操作するためのツール挿入口が設けられている。そのため作動要素の回転運動は例えばねじ回しといったツールを用いて行うことができる。
【0013】
作動要素は望ましくは、作動アームが形成された本体を有するように形成されており、本体は作動アームより厚い。本体の厚みの方が大きいことにより、本体は特に大きな安定性を有することができ、そのため、作動要素の本体を介して大きな力を受け止めることができる。本体には望ましくは貫通開口部が形成されており、この貫通開口部を介して作動要素がハウジングのベアリングジャーナルに回転可能に取り付けられている。
【0014】
また、望ましくは、ハウジングは2つの導体挿入口を有しており、ハウジング内には2つのバネ要素及び2つの作動要素が配置されており、両方の作動要素は互いに逆向きに回転可能であり、互いに向かい合って位置しており、このとき作動要素の作動アームは分割方向において相前後して配置されている。接続端子のハウジング内に複数の作動要素がある場合のこの特別な配置により、2つの導体接続を設ける際に必要な取り付け空間をできるだけ場所を節約して分割することができ、それにより、電気接続端子全体を特にコンパクトに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の電気接続端子の図式的な断面図である。
図2】本発明の電気接続端子のさらなる図式的な断面図である。
図3】本発明の電気接続端子のさらなる図式的な断面図である。
図4】本発明の電気接続端子の図式的な図である。
図5】本発明の電気接続端子のバネ要素の図式的な図である。
図6】導体が押し付けられている本発明の電気接続端子の図式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を付属の図面を参照しながら、好適な実施形態を用いて詳しく説明する。
【0017】
図1は、本発明の電気接続端子の断面図であり、これは、第1導体挿入口2a及び第2導体挿入口2bを有するハウジング1を備えている。ハウジング1内には導体レール3が配置されており、これに、図6に示すように導体挿入口2a、2bに挿入された導体23a、23bを押し付けて、接触させながら締付けることができる。図示された実施形態によると導体レール3は第1導体挿入口2aから第2導体挿入口2bへと延在しており、そのため第1導体挿入口2aに挿入された導体23aは、第2導体挿入口2bに挿入された導体23bと同じ導体レール3に接触しながら締付けられる。図示された実施形態においてはとりわけ図3からよく分かるように、導体レール3はほぼU字型に曲げて形成されている。
【0018】
さらにハウジング1内には第1バネ要素4a及び第2バネ要素4bが配置されており、第1バネ要素4aは第2バネ要素4bの向かい側に配置されている。2つのバネ要素4a、4bはそれぞれベアリングジャーナル5a、5bに回転可能に取り付けられており、それによりバネ要素4a、4bは互いに別々に閉じた位置及び開いた位置に移行可能である。図1では2つのバネ要素4a、4bは閉じた位置に配置されている。
【0019】
バネ要素4a、4bはここではそれぞれ、第1バネ6a、6b及び第2バネ7a、7bを有するバネ組立体として形成されている。第2バネ7a、7bはこのとき第1バネ6a、6bの内側面に接している。両方のバネ6a、6b、7a、7bは脚バネとして形成されており、これは締付脚部8a、8b、9a、9b及び作動脚部10a、10b、11a、11bを有している。締付脚部8a、8b、9a、9bにより、導体挿入口2a、2bに挿入された導体23a、23bを、導体レール3に押し付けることができる。このとき、内側に位置する第2バネ7a、7bの締付脚部9a、9bの長さは、外側に位置する第1バネ6a、6bの締付脚部8a、8bより長いため、導体断面の小さい導体23a、23bを締付ける場合、導体は第2バネ7a、7bの締付脚部9a、9bのみにより導体レール3に押し付けられ、導体断面の大きな導体23a、23bを締付ける場合は、導体は第1バネ6a、6bの締付脚部8a、8b及び第2バネ7a、7bの締付脚部9a、9bにより導体レール3に押し付けられる。
【0020】
第1バネ6a、6bの作動脚部10a、10bの長さは、第2バネ7a、7bの作動脚部11a、11bより長く、第1バネ6a、6bの作動脚部10a、10bの、締付脚部8a、8bから遠い端には、締付脚部8a、8bの方向に曲げられた保持部分12a、12bが形成されており、この保持部分12a、12bにより第1バネ6a、6bを、及びそれにより、バネ組立体として形成されたバネ要素4a、4bを、閉じた位置において、導体レール3又はハウジング1に形成された、ここでは図示されていない保持要素に係止できる。
【0021】
図5には、バネ組立体として形成されたバネ要素4a、4bの第2バネ7a、7bが別個に図示されており、この図から、第2バネ7a、7bは、バネアームの形の復帰バネ部13a、13bを有しており、これが作動脚部11a、11bと締付脚部9a、9bとの間に延在していて、作動脚部11a、11bに結合していることがわかる。復帰バネ部13a、13bの幅は、作動脚部11a、11bの幅より大幅に狭い。
【0022】
図1に図示された、バネ要素4a、4bの閉じた位置においては、復帰バネ部13a、13bは「張られている」、つまり、復帰バネ部13a、13bは作動脚部11a、11bの方に向かって曲げられており、それにより復帰バネ部13a、13bは作動脚部11a、11bにほぼ平行に配置されている。このとき復帰バネ部13a、13bは、ここでは導体レール3の一部であるプレート14a、14bに押し付けられている。
【0023】
図5では「張られていない」状態の復帰バネ部13a、13bが図示されており、図2にも図示されているように、その状態ではバネ要素4a、4bは開いた位置に配置されている。復帰バネ部13a、13bはここではバネ7a、7bの側面に配置されている。しかしながら、復帰バネ部はバネ7a、7bの幅に沿って例えば中央に配置することもできる。また、2つ又はそれより多い復帰バネ部13、13bをバネ7a、7bに設けることも可能であり、その場合望ましくは互いに間隔を空けて平行に配置され、ここに図示されてはいないが、例えば第1復帰バネ部をバネの第1側面に、第2復帰バネ部を第1側面の向かいに位置するバネの第2側面に配置することが可能である。
【0024】
バネ要素4a、4b及びそれによりバネ組立体を作動させるためにハウジング1内にはさらにエキセンとして形成された2つの作動要素15a、15bが配置されている。作動要素15a、15bはベアリングジャーナル16a、16bを介して回転可能にハウジング1内に取り付けられている。作動要素15a、15bは本体17a、17b及び、本体17a、17bに形成された作動アーム18a、18bを有しており、とりわけ図3からわかるように、作動アーム18a、18bは本体17a、17bより薄い。作動アーム18a、18bはバネ要素4a、4bの方向に曲げられて形成されており、図1の接続端子の右側で図示されているように、保持部分12a、12bが作動アーム18a、18bにより作動脚部10a、10b、11a、11bの方向に曲げられることにより、バネ要素4a、4bが閉じた位置から開いた位置へと移行すべきときに、バネ要素4a、4bの保持部分12a、12bを係止から解放する。図2に図示されているように、保持部分12a、12bが係止から解放されると、バネ要素4a、4bの保持部分12a、12及び少なくとも作動脚部10a、10b、11a、11bの一部が、作動要素15a、15bに形成されたクリアランス19a、19b内に入り込むことにより、バネ要素4a、4bは上に向かって作動要素15a、15bの方向に旋回することができ、その際作動要素15a、15bの回転運動は引き起こされない。
【0025】
バネ要素4a、4bを、開いた位置から閉じた位置へと再び移行させるには、作動要素15a、15bを回転させて、望ましくはその本体17a、17bをバネ要素4a、4bの作動脚部10a、10b、11a、11bに押し付けてこれを下に押し下げる。
【0026】
作動要素15a、15bの回転運動は、作動要素15a、15bに形成されたツール挿入口20a、20bにツール、とりわけねじ回しを挿入して行うことができ、ツール挿入口20a、20bは、作動要素15a、15bの本体17a、17bに形成されている。
【0027】
とりわけバネ要素4a、4bが閉じた位置にあるときに、作動要素15a、15bを固定位置に保持するために、作動要素15a、15bには図3に図示されたような係止手段21aが設けられており、図3においては左の作動要素15aの係止手段21aのみが図示されており、これにより作動要素15a、15bは、互いに独立的に、ハウジング1に関して固定することができる。係止手段21aはここではピンの形で形成されており、これは、作動要素15aの側面から垂直に突き出すことにより作動要素15aの本体17aに形成されている。作動要素15aを固定位置に保持するために、係止手段21aは、図示されてはいないが例えばウェブ又はリブの形に形成された、例えばハウジング1の内側面に形成された保持要素に後方フックの形で係止することができる。この後方フックは望ましくはツールを用いて解除することができ、すると作動要素15aは再び自由に運動できるようになり、それにより例えば、バネ要素4aの保持部分12aを作動させて、閉じた位置の係止からバネ要素4aを開放できる。
【0028】
図1から図4及び図6に図示された実施形態において電気接続端子のハウジングには、互いに向かい合って位置する2つの導体挿入口2a、2b、互いに向かい合って位置する2つのバネ要素4a、4b、及び、互いに向かい合って位置する2つの作動要素15a、15b、が設けられている。導体挿入口2a、2bを介してそれぞれ一つの導体23a、23bを挿入することができるため、一つの接続端子を用いて同時に2つの導体23a、23bを導体レール3に押し付けることができる。両方の作動要素15a、15b、及び両方のバネ要素4a、4bも、互いに別個に作動可能もしくは運動可能である。両方の作動要素15a、15bはこのとき互いに逆向きに回転可能であり、互いに向かい合って位置しており、その際作動要素15a、15bの作動アーム18a、18bは分割方向において相前後して配置されている。
【0029】
図1の左側には、閉じた位置にあるバネ要素4aが図示されており、左側に配置された作動要素15aの作動アーム18aは回転してバネ要素4aから離れているため、作動アーム18aは右側に配置された作動要素15bの後ろに位置しており、そのため図1では見えていない。左側の作動要素15aはここでは係止手段21aにより固定位置に保持されている。右側のバネ要素4bも閉じた位置に配置されているが、こちらは、右側に配置された作動要素15bの作動アーム18bがバネ要素4bの保持部分12bに押し付けられており、それにより保持部分が作動脚部10b、11bの方向に曲げられてバネ要素4bは閉じた位置における係止から解放される。
【0030】
図2では両方のバネ要素4a、4bが開いた位置にあるところが図示されており、そこでは旋回したバネアーム4a、4bの作動脚部10a、10b、11a、11b及び保持部分12a、12bが、作動要素15a、15bに形成されたクリアランス19a、19b内に入り込んでいる。
【0031】
図3では両方のバネ要素4a、4bは閉じた位置に配置されており、作動要素15a、15bの作動アーム18a、18bは旋回してバネ要素4a、4bから離れ、作動要素15a、15bは係止手段21aにより固定位置に保持される。
【0032】
図6では、バネ要素4a、4b及び作動要素15a、15bは図3の場合と同じ位置にあるが、図6には追加的に、2つの導体23a、23bが導体挿入口2a、2bに挿入され、そこでバネ要素4a、4bにより導体レール3に押し付けられているところが図示されている。
【0033】
図4には断面図ではない接続端子が図示されている。ハウジング1の下側には基部22が形成されており、この基部により接続端子は図示されない支持レール又はトップハットレールに係止することができる。
【0034】
接続端子の構造は、本書で示された、2つの導体挿入口2a、2b、2つのバネ要素4a4b、及び2つの作動要素15a、15bを有する実施形態に限定されるわけではない。導体挿入口2a、2b、バネ要素4a、4b、作動要素15a、15bを一つ又は2つより多く有する接続端子を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ハウジング
2a、2b 導体挿入口
3 導体レール
4a、4b バネ要素
5a、5b ベアリングジャーナル
6a、6b 第1バネ
7a、7b 第2バネ
8a、8b、9a、9b 締付脚部
10a、10b、11a、11b 作動脚部
12a、12b 保持部分
13a、13b 復帰バネ部
14a、14b プレート
15a、15b 作動要素
16a、16b ベアリングジャーナル
17a、17b 本体
18a、18b 作動アーム
19a、19b クリアランス
20a、20b ツール挿入口
21a 係止手段
22 基部
23a、23b 導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6