特許第5897918号(P5897918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897918
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/38 20060101AFI20160324BHJP
   H01G 2/04 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   H01G4/38 A
   H01G1/03 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-20830(P2012-20830)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-161864(P2013-161864A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022460
【氏名又は名称】株式会社指月電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100084629
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 正博
(72)【発明者】
【氏名】塩見 裕二
(72)【発明者】
【氏名】石田 真教
(72)【発明者】
【氏名】小山 隆平
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−150039(JP,A)
【文献】 特開2010−258343(JP,A)
【文献】 特開2009−088174(JP,A)
【文献】 特開2011−142266(JP,A)
【文献】 特開2005−012940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/38
H01G 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面に電極(11)を有するコンデンサ素子(10)と、上記コンデンサ素子(10)の一方の電極部(11)に接続される第1のバスバー(30)と、上記コンデンサ素子(10)の他方の電極部(11)に接続されるとともに、上記第1のバスバー(30)と絶縁層を介して重なり合う第2のバスバー(40)とを、上記第1、第2のバスバー(30)(40)がケース側壁(72)に対向するようにしてケース(70)に収納し樹脂を充填するとともに、外部接続用端子(51)(61)をケース(70)の外方に引き出したコンデンサであって、
該コンデンサは、さらに、ケース(70)内において、ケース開口部(73)側でケース開口部(73)と略平行に配設され、絶縁層を介して互いに重なり合うとともに、上記第1、第2のバスバー(30)(40)と接続される第3、第4のバスバー(50)(60)を備えており
記外部接続部用端子(51)(61)は、上記第3、第4のバスバー(50)(60)の端辺部に一体的に設けられ、
上記第1のバスバー(30)は、平面視、端辺部よりも内側に設けられた上記第3のバスバー(50)の接続孔(53)に挿通されることで、上記第3のバスバー(50)と接続され、
上記第2のバスバー(40)は、平面視、端辺部よりも内側に設けられた上記第4のバスバー(60)の接続孔(63)に挿通されることで、上記第4のバスバー(60)と接続されていることを特徴とするコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサ素子の電極に接続されるバスバーを有するコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサにおいて、相反する極性に接続されたバスバー同士を、絶縁層を介して重ね合わせることにより、磁束を打ち消し合い、インダクタンスの低減を図ることは、例えば特許文献1に開示されているように、従来から行われている。
【0003】
なお、上記構成のコンデンサにおいて、バスバーの面積が大とされ、バスバー同士の互いに重なり合う面積が大とされれば、インダクタンスの低減効果も大きくなる。そのため、上記構成のコンデンサで用いられるバスバーにおいては、通常、金属基板を打抜き加工する等して平板状に形成される。また、図5に示すように、コンデンサ素子100を複数並設するとともに、これらコンデンサ素子100をケース110の側壁111に沿うようにしてケース110に収納する場合には、大きな面積を確保し易いことから、バスバー120においても、ケース側壁111に沿うようにしてケース110に収納されることが多い。そして、このような場合、外部接続用端子130は、バスバー120のケース開口部112側の端部121をケース110の外方に向かって延設するようにして、バスバー120と一体的に設けられるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−258343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外部接続用端子130は、コンデンサと接続される装置や部品に応じて、引き出す位置や引き出す方向が変更されることがある。
【0006】
ところが、バスバー120に一体的に設けられた外部接続用端子130を、バスバー120が設けられた側とは反対側のケース側壁113側から引き出そうとすると、図5において点線で示しているように、外部接続用端子130の長さが長くなり、低インダクタンス化を阻害する虞があった。また、バスバー120が設けられた側のケース側壁111と略直交するケース側壁114側から引き出そうとすれば、外部接続用端子130をバスバー120に対して略直交するように形成する必要があり、外部接続用端子130の形状が複雑なものとなるとともに、その曲げ加工も複雑なものとなっていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、外部接続用端子の引き出す位置や引き出す方向に関らず、低インダクタンス化やバスバーの加工容易性を達成することのできるコンデンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のコンデンサ1は、端面に電極11を有するコンデンサ素子10と、上記コンデンサ素子10の一方の電極部11に接続される第1のバスバー30と、上記コンデンサ素子10の他方の電極部11に接続されるとともに、上記第1のバスバー30と絶縁層を介して重なり合う第2のバスバー40とを、上記第1、第2のバ
スバー30、40がケース側壁72に対向するようにしてケース70に収納し樹脂を充填するとともに、外部接続用端子51、61をケース70の外方に引き出したコンデンサであって、該コンデンサは、さらに、ケース70内において、ケース開口部73側でケース開口部73と略平行に配設され、絶縁層を介して互いに重なり合うとともに、上記第1、第2のバスバー30、40と接続される第3、第4のバスバー50、60を備えており、上記外部接続部用端子51、61は、上記第3、第4のバスバー50、60の端辺部に一体的に設けられ、上記第1のバスバー30は、平面視、端辺部よりも内側に設けられた上記第3のバスバー50の接続孔53に挿通されることで、上記第3のバスバー50と接続され、上記第2のバスバー40は、平面視、端辺部よりも内側に設けられた上記第4のバスバー60の接続孔63に挿通されることで、上記第4のバスバー60と接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明のコンデンサによれば、外部接続用端子が、ケース開口部側でケース開口部と略平行に配設された第3、第4のバスバーに一体的に設けられている、すなわち、どのケース側壁に対しても、いずれかの辺が略平行となる第3、第4のバスバーから外部接続用端子を引き出すようにしているため、外部接続用端子の引き出し位置が変更されても、その引き出し位置と略平行な辺から外部接続用端子を引き出すようにすれば良く、外部接続用端子をバスバーに対して略直交するように形成する必要はない。そのため、外部接続用端子の形状を簡単なものとすることができ、複雑な曲げ加工を行う必要もなくなる。
【0010】
また、第3、第4のバスバーが絶縁層を介して互いに重なり合っているので、磁束を打ち消し合わせることができ、低インダクタンス化を図ることができる。さらに、第3、第4のバスバーのうち、引き出し位置に近い箇所から外部接続用端子を引き出すことができるため、外部接続用端子の長さの短縮を図ることができ、より一層の低インダクタンス化を図ることができる。
【0011】
さらにまた、第1、第2のバスバーと第3、第4のバスバーとが別体とされているため、外部接続用端子の引き出し位置を変更する場合であっても、第3、第4のバスバーを変更するだけでよい。すなわち、第3、第4のバスバー以外の構成部品においては、その形状を変更する必要がなく、第1、第2のバスバーやコンデンサ素子、ケース等を共通して使用することができ、コスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るコンデンサを示す斜視図である。
図2】同じくそのコンデンサの分解斜視図である。
図3】同じくそのコンデンサの組立状態を示す斜視図である。
図4】同じくそのコンデンサの組立状態を示す斜視図である。
図5】従来のコンデンサを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明のコンデンサの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明のコンデンサ1は、図1乃至図4に示すように、複数のコンデンサ素子10・・と、これらコンデンサ素子10・・に接続される第1、第2のバスバー30、40と、第1、第2のバスバー30、40に接続される第3、第4のバスバー50、60とを、第1のバスバー30と第2のバスバー40とを絶縁層を介して互いに重ね合わせるとともに、第3のバスバー50と第4のバスバー60とを絶縁層を介して互いに重ね合わせた状態で、ケース70に収納し樹脂(図示しない)を充填するとともに、外部接続用端子51、61をケース70外方に引き出すことで構成されている。以下、本発明のコンデンサ1の構成部品について個々に説明する。
【0014】
コンデンサ素子10は、例えば絶縁性のフィルム上に金属が蒸着された金属化フィルムを巻回することでなるフィルムコンデンサであって、軸方向両端面には、図2に示すように、金属を溶射してなるメタリコン電極部11、11が形成されている。また、コンデンサ素子10は扁平状とされ、側面両側に平坦部12、12を有している。なお、コンデンサ素子10としては、フィルムコンデンサに限らず、公知の種々のコンデンサ素子が使用可能である。また、その形状も扁平円筒状に限らず、立方体状等でも良い。
【0015】
また、コンデンサ素子10は、図2に示すように、メタリコン電極部11が相対向するようにして軸方向に4個並設されることでコンデンサ素子列が構成され、このコンデンサ素子列が2列並設されることでコンデンサ素子群Cが構成されている。なお、コンデンサ素子10が極性を有する場合は、軸方向で相対向するメタリコン電極部11、11の極性が同一になるように、また軸方向と略直交する方向で相隣接するメタリコン電極部11、11の極性においても同一になるように並設される。
【0016】
また、コンデンサ素子10のメタリコン電極部11、11には、第1、第2のバスバー30、40と接続するために、図2に示すように、より線、CP線、銅箔線等からなるリード端子20が2本ずつスポット溶接等で接続されている。以下、説明のため、コンデンサ素子10の一方のメタリコン電極部11(例えば+極)に接続され、第1のバスバー30との接続に供するものを第1リード端子21、他方のメタリコン電極部11(例えば−極)に接続され、第2のバスバー40との接続に供するものを第2リード端子22と称す。
【0017】
第1のバスバー30は、図2に示すように、コンデンサ素子10の平坦部12と対向する平板状の本体部31と、第3のバスバー50と接続するために本体部31から延設された端子部32とから構成されている。
【0018】
より詳細に説明すると、第1のバスバー30の本体部31には、コンデンサ素子群Cと対向させた状態において、コンデンサ素子10の一方のメタリコン電極部11(具体的には第1リード端子21)と対向する位置に、第1リード端子21を挿入可能なリード端子接続孔33が形成されている。また、このリード端子接続孔33の両側には、リード端子接続孔33付近の熱容量を小さくするとともに、熱放散を抑制するためのスリット34、34が形成されており、第1リード端子21をはんだ付けするにあたって予熱時間を少なくし、接続作業を効率的に行えるようになっている。また、コンデンサ素子10の他方のメタリコン電極部11(具体的には第2リード端子22)と対向する位置には、第2リード端子22や後述する第2のバスバー40の本体部41に設けられたリード端子接続孔43を避けるようにして、リード端子逃がし孔35が穿設されている。
【0019】
端子部32は、図2に示すように、本体部31の上方側の一辺をコンデンサ素子10側に向かって略L字状に折曲するとともに、その先端部から本体部31と略平行となるようにして上方に向かって接続片36を延出することで構成されている。なお、相隣接する接続片36、36間には、はんだの流れ込みを良好にし、接続作業を効率的に行えるよう、図3に示すように隙間37が形成されている。
【0020】
第2のバスバー40は、図2に示すように、第1のバスバー30の本体部31と対向する平板状の本体部41と、第4のバスバー60と接続するために本体部41から延設された端子部42とから構成されている。
【0021】
より詳細に説明すると、第2のバスバー40の本体部41には、第1のバスバー30の本体部31と対向させた状態において、コンデンサ素子10の他方のメタリコン電極部11(具体的には第2リード端子22)と対向する位置に、第2リード端子22を挿入可能なリード端子接続孔43が形成されている。また、このリード端子接続孔43の両側には、第1のバスバー30と同様にスリット44、44が形成されている。また、コンデンサ素子10の一方のメタリコン電極部11(具体的には第1リード端子21)と対向する位置には、第1リード端子21や第1のバスバー30の本体部31に設けられたリード端子接続孔33を避けるようにして、リード端子逃がし孔45が穿設されている。そのため、第1リード端子21は、図3に示すように、第2のバスバー40と接続されることなく、第2のバスバー40のリード端子逃がし孔45から外方に面することとなり、第1のバスバー30と第1リード端子21との接続作業を、第2のバスバー40を重ね合わせた後、第2のバスバー40側から行うことができるようになっている。
【0022】
端子部42は、図2に示すように、本体部41の上方側の一辺をコンデンサ素子10とは反対側に向かって略L字状に折曲するとともに、その先端部から本体部41と略平行となるようにして上方に向かって接続片46を延出することで構成されている。なお、相隣接する接続片46、46間には、第1のバスバー30と同様に隙間47が形成されている。
【0023】
また、第2のバスバー40には、第2のバスバー40と第2リード端子22との接続にあたって、第2リード端子22の第2のバスバー40表面からの外方への突出を抑制する目的で、図4に示すように、リード端子接続孔43付近を第1のバスバー30側に向かって没入させてなる凹部48が形成されている。
【0024】
第3のバスバー50は、図2に示すように、第1、第2のバスバー30、40の本体部31、41と略直交して配設される平板状の本体部52と、この本体部52から一体的に延設された外部接続用端子51とから構成されている。
【0025】
具体的には、第3のバスバーの本体部52には、第1、第2のバスバー30、40の端子部32、42と対向させた状態において、第1のバスバー30の接続片36と対向する位置に、第1のバスバー30の接続片36を挿入可能な接続孔53が形成されている。また、この接続孔53の両側には、第1のバスバー30と同様にスリット54、54が形成されている。また、第2のバスバー40の接続片46と対向する位置には、第2のバスバー40の接続片46との接続を避けるための接続片逃がし孔55が穿設されている。外部接続用端子51は、第3のバスバー50の本体部52の両端部から複数(図において3個)延設され、その形状は、上方に向かって引き出された後、下方に向かう逆U字状とされている。
【0026】
第4のバスバー60は、図2に示すように、第3のバスバー50の本体部52と対向する平板状の本体部62と、この本体部62から一体的に延設された外部接続用端子61とから構成されている。
【0027】
具体的には、第4のバスバー60の本体部62には、第3のバスバー50の本体部52と対向させた状態において、第2のバスバー40の接続片46と対向する位置に、第2のバスバー40の接続片46を挿入可能な接続孔63が形成されている。また、この接続孔63の両側には、第1のバスバー30と同様にスリット64、64が形成されている。また、第1のバスバー30の接続片36と対向する位置には、第1のバスバー30の接続片36との接続を避けるための接続片逃がし孔65が穿設されている。そのため、第1のバスバー30の接続片36は、図3に示すように、第4のバスバー60と接続されることなく外方に面することとなり、第1のバスバー30の接続片36と第3のバスバー50との接続作業を、第4のバスバー60を重ね合わせた後、第4のバスバー60側から行うことができるようになっている。外部接続用端子61は、第4のバスバー60の本体部62の両端部から複数(図1においては3個)延設され、その形状は、上方に向かって引き出された後、下方に向かう逆U字状とされている。なお、第3のバスバー50の外部接続用端子51と第4のバスバー60の外部接続用端子61とは、図1に示すように、第3のバスバー50と第4のバスバー60とを重ね合わせた状態において、互いに隣接するようにして延設されており、また、その先端部は、さらに互いに近接する形態とされている。
【0028】
また、第4のバスバー60には、第4のバスバー60と第2のバスバー40の接続片46との接続にあたって、接続片46の第4のバスバー60表面からの外方への突出を抑制する目的で、図3に示すように、接続孔63付近を第3のバスバー50側に向かって没入させてなる凹部66が形成されている。
【0029】
ケース70は、図1に示すように、平面視長方形状のケース底部71と、このケース底部71の4辺からそれぞれ立ち上がるケース側壁72・・とを有しており、ケース底部71と対向する面にケース開口部73が形成されている。また、ケース底部71側にコンデンサ素子群Cと第1、第2のバスバー30、40とを収納可能な内部空間が形成され、ケース開口部73側に第3、第4のバスバー50、60を収納可能な内部空間が形成されている。なお、第3、第4のバスバー50、60は、平面視、コンデンサ素子群Cや第1、第2のバスバー30、40よりも大とされているため、第3、第4のバスバー50、60を収納するために、ケース開口部73側はケース底部71側に比べて拡大されている。なお、ケース70の形状は特に限定されず、円柱形等種々の形状でも良い。ただし、第3、第4のバスバー50、60の平面形状とケース開口部73の形状とが略同一であることが好ましい。
【0030】
絶縁層は、第1、第2のバスバー30、40間や第3、第4のバスバー50、60間に絶縁を確保できる隙間(空間)を形成することで構成されている。なお、絶縁層としては、バスバー間に隙間を設ける他に、絶縁紙や絶縁シート等の絶縁体をバスバー間に介在させるようにしても良い。この場合、第1、第2リード端子21、22と対向する位置や接続片36、46と対向する位置に、リード端子21、22や接続片36、46を挿通可能な孔を形成しておく。
【0031】
次に、本発明のコンデンサ1の組立について詳細に説明する。本発明のコンデンサ1の組立にあたっては、まず、図2に示すように、メタリコン電極部11にリード端子20が接続されたコンデンサ素子10を並設してコンデンサ素子群Cを構成する。次に、第1のバスバー30と第2のバスバー40とを絶縁層を介して重ね合わせるとともに、コンデンサ素子10の平坦部12と対向させるようにして、第1のバスバー30とコンデンサ素子群Cとを重ね合わせる。さらに、図3及び図4に示すように、第1のバスバー30のリード端子接続孔33に第1リード端子21を挿通させるとともに、第2のバスバー40のリード端子接続孔43に第2リード端子22を挿通させ、第1、第2リード端子21、22と第1、第2のバスバー30、40とをはんだによって接続する。
【0032】
次に、第3のバスバー50と第4のバスバー60とを絶縁層を介して重ね合わせるとともに、第1、第2のバスバー30、40と略直交するようにして、第3のバスバー50と第1、第2のバスバー30、40の端子部32、42とを重ね合わせる。この際、図3及び図4に示すように、第3のバスバー50の接続孔53に第1のバスバー30から延設された接続片36を挿通させるとともに、第4のバスバー60の接続孔63に第2のバスバー40から延設された接続片46を挿通させる。
【0033】
そして、この状態において、第1のバスバー30の接続片36と第3のバスバー50の接続孔53とをはんだ付けするとともに、第2のバスバー40の接続片46と第4のバスバー60の接続孔63とをはんだ付けすることによって、第1のバスバー30と第3のバスバー50、第2のバスバー40と第4のバスバー60とを接続する。
【0034】
そして、一体とされたコンデンサ素子10、第1、第2、第3、第4のバスバー30、40、50、60を、第3、第4のバスバー50、60がケース開口部73側でケース開口部73と略平行となるように、また、外部接続用端子51、61がケース開口部73からケース70外方に引き出されるようにしてケース70内に収納し、ケース70にエポキシ樹脂等の樹脂を充填し、外部接続用端子51、61以外のコンデンサ素子10や第1、第2、第3、第4のバスバー30、40、50、60を樹脂によって覆うことでコンデンサ1の製造を完了する。
【0035】
このようにして製造されたコンデンサ1においては、外部接続用端子51、61が、ケース開口部73側でケース開口部70と略平行に配設された第3、第4のバスバー50、60に一体的に設けられている、すなわち、どのケース側壁72に対しても、いずれかの辺が略平行となる第3、第4のバスバー50、60から外部接続用端子51、61を引き出すようにしているため、外部接続用端子51、61の引き出し位置が変更されても、その引き出し位置と略平行な辺から外部接続用端子51、61を引き出すようにすれば良く、外部接続用端子51、61を第1、第2のバスバー30、40に対して略直交するように形成する必要はない。そのため、外部接続用端子51、61の形状を簡単なものとすることができ、複雑な曲げ加工を行う必要もなくなる。
【0036】
また、第3、第4のバスバー50、60が絶縁層を介して互いに重なり合っているので、磁束を打ち消し合わせることができ、低インダクタンス化を図ることができる。さらに、第3、第4のバスバー50、60のうち、引き出し位置に近い箇所(本体部52、62の端辺部)から外部接続用端子51、61を引き出すことができるため、外部接続用端子51、61の長さの短縮を図ることができ、より一層の低インダクタンス化を図ることができる。
【0037】
さらにまた、第1、第2のバスバー30、40と第3、第4のバスバー50、60とが別体とされているため、外部接続用端子51、61の引き出し位置を変更する場合であっても、第3、第4のバスバー50、60を変更するだけでよい。すなわち、第3、第4のバスバー50、60以外の構成部品においては、その形状を変更する必要がなく、第1、第2のバスバー30、40やコンデンサ素子10、ケース70等を共通して使用することができ、コスト削減を図ることができる。
【0038】
以上に、この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、コンデンサ素子10が8個とされていたが、これに限らず1個でも複数個であっても良い。また、コンデンサ素子群Cが1個とされていたが複数設けても良い。この場合、コンデンサ素子群Cに対応して第1、第2のバスバー30、40を複数枚設けるとともに、第3、第4のバスバー50、60の接続孔53、63を、第1、第2のバスバー30、40に合わせて増加させれば良い。また、第1、第2、第3、第4のバスバー30、40、50、60は、銅板等の金属基板を打抜き加工(プレス加工)することで、本体部31、41、52、62と端子部32、42や外部接続用端子51、61とが一体的に設けられるようにして形成されることがコスト上望ましいが、端子部32、42や外部接続用端子51、61を本体部31、41、52、62とは別体で設け、はんだや溶接等によって一体化するようにしても良い。また、リード端子20と第1、第2のバスバー30、40との接続や、第1、第2のバスバー30、40と第3、第4のバスバー50、60との接続を、はんだ付けで行っていたが、これに限らず、溶接等種々の接続方法を採っても良い。また、樹脂においても、エポキシ樹脂に限らず、ウレタン樹脂等種々の樹脂を用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
1・・コンデンサ、10・・コンデンサ素子、11・・電極部(メタリコン電極部)、30・・第1のバスバー、40・・第2のバスバー、50・・第3のバスバー、51・・外部接続用端子、60・・第4のバスバー、61・・外部接続用端子、70・・ケース、72・・ケース側壁、73・・ケース開口部
図1
図2
図3
図4
図5