(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(バッテリー交換システムの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるバッテリー交換ロボット5が使用されるバッテリー交換システム1の斜視図である。
図2は、
図1のE部を別の角度から示す斜視図である。以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、Z方向が上下方向(鉛直方向)と一致する。また、以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向とする。
【0018】
本形態のバッテリー交換ロボット5(以下、「ロボット5」とする。)は、車両2に搭載されているバッテリー3を交換するためのロボットであり、バッテリー交換システム1で使用される。本形態の車両2は、電気バスである。したがって、以下では、車両2を「バス2」とする。バス2には、複数のバッテリー3が収容されるバッテリー収容部4が取り付けられている。バッテリー収容部4は、バス2の一方の側面2aに取り付けられるカバー部材(図示省略)を取り外すと、側面2aに露出するように配置されている。また、バッテリー収容部4は、バス2の座席の下側に配置されている。バッテリー3の交換時には、バス2は、その進行方向と左右方向とが略一致するように停止している。
【0019】
ロボット5は、バッテリー収容部4に収容されているバッテリー3の交換が可能となるように、前後方向でバス2の側面2aと向き合っている。このロボット5は、バッテリー収容部4に収容されているバッテリー3を引き抜いて、図示を省略するバッファステーションへ搬入するとともに、バッファステーションに収容された充電済みのバッテリー3をバッファステーションから搬出してバッテリー収容部4に差し込む。
【0020】
(バッテリーおよびバッテリー収容部の構成)
図3は、
図2のF部の拡大図である。
図4は、
図1に示すバッテリー収容部4にバッテリー3が収容された状態を示す正面図である。
図5は、
図4のG部の拡大図である。
【0021】
バッテリー収容部4は、バッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6と、左右の側壁7とを備えており、バッテリー置き台6と側壁7とによって、バッテリー3の収容空間が形成されている。本形態のバッテリー収容部4には、複数のバッテリー3の収容空間が形成されており、複数のバッテリー3が収容可能となっている。また、バッテリー収容部4は、バス2の側面2aよりも奥側へ窪むように配置されており、バッテリー置き台6および側壁7と側面2aとの境界には、
図3に示すように、段差2bが形成されている。
【0022】
バッテリー置き台6の前面には、バッテリー3の位置を間接的に検出するための検出用マーク8が形成されている。検出用マーク8は、バッテリー置き台6の左右方向の両端側のそれぞれに形成されている。また、検出用マーク8は、
図3に示すように、バッテリー置き台6の前面よりも突出する平板状に形成されるとともに、上下方向でその幅が変化する略三角形状に形成されている。なお、本形態では、
図4に示すように、検出用マーク8が平板状部材9に固定され、平板状部材9がバッテリー置き台6の前面に固定されることで、バッテリー置き台6の前面に検出用マーク8が形成されている。
【0023】
バッテリー3の前面には、バッテリー収容部4からバッテリー3を引き抜くための取手部11が形成されている。本形態では、バッテリー3の前面の、左右方向の両端側のそれぞれに取手部11が形成されている。取手部11は、
図3に示すように、取手部11の左右の両端をなす両端部11aと、両端部11aの先端同士を繋ぐ前端部11bとから構成されており、上下方向から見たときの形状が門型状となるように形成されている。バッテリー3の下面には、後述のローラ32に形成されるガイド溝32aに係合する係合突起部としての突起部12が下方向へ突出するように形成されている(
図5参照)。また、バッテリー3は、バッテリー収容部4にバッテリー3を固定するための固定部材13(
図4参照)と、バッテリー収容部4に対するバッテリー3の固定状態を解除するための解除部材14(
図3参照)とを備えている。
【0024】
固定部材13は、バッテリー3の左右の側面のそれぞれから突出するようにバッテリー3に取り付けられている。また、固定部材13は、バッテリー3の前面側に取り付けられている。この固定部材13は、左右方向へ移動可能となるようにバッテリー3に保持されている。また、固定部材13は、図示を省略する付勢部材によって左右方向の外側へ付勢されている。本形態では、この付勢部材の付勢力によって、バッテリー収容部4の側壁7に形成される係合孔に固定部材13の左右の外側端部分が係合することで、バッテリー収容部4にバッテリー3が固定されている。固定部材13は、バッテリー収容部4の中で、前後方向および上下方向におけるバッテリー3の位置決めを行う機能を果たしている。
【0025】
解除部材14は、取手部11の前端部11bの奥側に配置されている。解除部材14は、前後方向へ移動可能となるようにバッテリー3に保持されている。また、解除部材14は、図示を省略する付勢部材によってバッテリー3の前面側へ付勢されている。本形態では、解除部材14が奥側へ押されると、固定部材13が左右方向の内側へ移動して、バッテリー収容部4の側壁7に形成される係合孔と固定部材13との係合状態が解除され、バッテリー収容部4からのバッテリー3の引抜きが可能となる。
【0026】
なお、バッテリー3の背面には、バッテリー収容部4の奥に配置されるコネクタに連結されるコネクタが取り付けられている。また、バッテリー3の背面には、バッテリー収容部4の中で、上下左右方向におけるバッテリー3の位置決めを行うための位置決めピンが取り付けられている。
【0027】
(バッテリー交換ロボットの概略構成)
図2に示すように、ロボット5は、バス2からのバッテリー3の引抜きおよびバス2へのバッテリー3の差込みを行うバッテリー抜差機構17と、バッテリー抜差機構17を昇降させる昇降機構18と、上下方向を軸方向としてバッテリー抜差機構17および昇降機構18を回動させる回動機構19と、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19を左右方向へ移動させる水平移動機構20とを備えている。また、ロボット5は、検出用マーク8を検出するための検出機構21を備えている(
図10参照)。
【0028】
バッテリー抜差機構17は、バッテリー3の引抜き時および差込み時にバッテリー3が搭載されるバッテリー搭載部22を有するバッテリー搭載機構23と、バッテリー3の引抜き時および差込み時にバッテリー3に係合してバッテリー搭載部22上でバッテリー3を移動させるバッテリー係合部24(
図6参照)を有するバッテリー移動機構25とを備えている。バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24は、バス2に近づく方向およびバス2から離れる方向へ移動可能となっている。
【0029】
また、バッテリー抜差機構17は、略四角筒状に形成された保持部材26に保持されている。保持部材26は、その下端側を構成する第1保持部材27と、その上端側を構成する第2保持部材28とを備えている。第1保持部材27は、上側が開口する角溝状に形成され、第2保持部材28は、下側が開口する角溝状に形成されている。保持部材26は、第1保持部材27と第2保持部材28とが上下方向で組み合わされて固定されることで、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向の両端が開口する略四角筒状に形成されている。
【0030】
(バッテリー搭載機構の構成)
図6は、
図2に示すバッテリー抜差機構17および昇降機構18を正面から示す図である。
図7は、
図6のH−H方向からバッテリー抜差機構17および昇降機構18を示す図である。
図8は、
図6に示すバッテリー搭載機構23を正面から説明するための図である。
図9は、
図6に示すバッテリー搭載機構23を側面から説明するための図である。
図10は、
図6に示すバッテリー搭載機構23を上面から説明するための図である。
図11は、
図8に示すローラ32の拡大断面図である。
【0031】
バッテリー搭載機構23は、上述のバッテリー搭載部22に加え、バス2に近づく方向およびバス2から離れる方向へバッテリー搭載部22を移動させる搭載部移動機構30を備えている。
【0032】
バッテリー搭載部22は、上下方向に扁平した扁平なブロック状に形成されている。バッテリー搭載部22の上面には、バッテリー3の下面に当接する複数のローラ31、32が回転可能に取り付けられている。
図10に示すように、複数のローラ31は、バッテリー搭載部22の移動方向に所定の間隔で配置され、複数のローラ32も、ローラ31と同様に、バッテリー搭載部22の移動方向に所定の間隔で配置されている。また、ローラ31とローラ32とは、バッテリー搭載部22の移動方向に直交する方向において、所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0033】
ローラ31は、フラットローラである。一方、ローラ32には、
図11に示すように、バッテリー3の移動方向へバッテリー3を案内するためのガイド溝32aが形成されている。すなわち、ローラ32は、内周側に向かって窪むガイド溝32aが外周面に形成された溝付きローラである。ガイド溝32aは、バッテリー3の下面に形成される突起部12が係合可能となるように形成されており、バッテリー搭載部22の所定の位置にバッテリー3が搭載されると、ガイド溝32aに突起部12が係合する。ガイド溝32aに突起部12が係合することで、バッテリー搭載部22の移動方向に直交する方向で、バッテリー搭載部22に対してバッテリー3が位置決めされる。また、バッテリー3の移動時には、ガイド溝32aと突起部12とによって、バッテリー搭載部22の移動方向に直交する方向におけるバッテリー3のふらつきが抑制される。
【0034】
搭載部移動機構30は、バッテリー搭載部22を移動させるための構成として、モータ33と、ボールネジ等のネジ部材34と、ネジ部材34に螺合するナット部材35とを備えている。また、搭載部移動機構30は、バッテリー搭載部22を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール36と、ガイドレール36に係合するとともにガイドレール36に沿って相対移動可能なガイドブロック37とを備えている。
【0035】
モータ33は、バッテリー搭載部22の後端部の上面側に固定されている。ネジ部材34は、バッテリー搭載部22の下面側に回転可能に保持されている。モータ33とネジ部材34とは、プーリやベルト等を介して連結されている。ナット部材35は、第1保持部材27に固定されている。また、ガイドレール36は、バッテリー搭載部22の下面側に固定され、ガイドブロック37は、第1保持部材27に固定されている。そのため、本形態では、モータ33が回転すると、バッテリー搭載部22は、ガイドレール36およびガイドブロック37に案内されて、第1保持部材27に対して直線状に移動する。
【0036】
(バッテリー移動機構の構成)
図12は、
図6に示すバッテリー移動機構25を正面から説明するための図である。
図13は、
図6に示すバッテリー移動機構25を側面から説明するための図である。
図14は、
図13に示すバッテリー係合部24がバス2から離れる方向へ移動したときの状態を側面から説明するための図である。
図15は、
図13のJ部の拡大図である。
図16は、
図15に示す係合爪部41の構成を説明するため図である。
図17は、
図13のK部の拡大図である。
図18は、
図13のL部の拡大図である。
図19は、
図6に示すバッテリー移動機構25を上面から説明するための図である。
図20(A)は、
図19のM部の拡大図であり、
図20(B)は、
図19のN部の拡大図である。
図21は、
図20(A)のO−O方向からバッテリー係合部24の一部、保持部材115およびクランプ機構116を示す図である。
図22(A)は、
図21のS−S断面の断面図であり、
図22(B)は、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときの
図22(A)のT部の拡大図である。
【0037】
バッテリー移動機構25は、上述のバッテリー係合部24に加え、上下方向を回動の軸方向とするバッテリー係合部24の回動が可能となるようにバッテリー係合部24を保持する保持部材115と、バス2に近づく方向およびバス2から離れる方向へバッテリー係合部24および保持部材115を移動させる係合部移動機構39と、バッテリー係合部24および保持部材115を移動可能に保持するとともに第2保持部材28に移動可能に保持される移動保持部材40とを備えている。また、バッテリー移動機構25は、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動を留めるクランプ機構116を備えている。
【0038】
バッテリー係合部24は、バッテリー3の取手部11に係合する鉤型の係合爪部41と、係合爪部41を上下動させるエアシリンダ42と、エアシリンダ42が取り付けられる基部43とを備えている。基部43は、バッテリー係合部24の移動方向と上下方向とに略直交する方向に細長くなっている。係合爪部41は、エアシリンダ42の可動側に固定され、エアシリンダ42の固定側は、基部43の先端面に固定されている。本形態では、バッテリー3に形成される2個の取手部11のそれぞれに係合爪部41が係合するように、2個の係合爪部41および2個のエアシリンダ42が基部43の先端面に所定の間隔をあけた状態で配置されている。すなわち、2個の係合爪部41および2個のエアシリンダ42が取手部11に対応するように配置されている。
【0039】
係合爪部41は、エアシリンダ42に固定される固定部41aと、取手部11に係合する爪部41bとを備えている。爪部41bの前面41cは、上下方向に平行な垂直面41dと、垂直面41dの下端に繋がるとともに下側に向かうにしたがって後面側へ傾斜する傾斜面41eとを備えている。また、爪部41bの後面41fは、上下方向に平行な垂直面41gと、垂直面41gの下端に繋がるとともに下側に向かうにしたがって前面側へ傾斜する傾斜面41hと、傾斜面41hの下端に繋がるとともに上下方向に平行な垂直面41jとを備えている。垂直面41dと垂直面41gと垂直面41jとは互いに略平行になっている。傾斜面41eの下端と垂直面41jの下端とは繋がっている。また、傾斜面41eの上端と垂直面41jの上端とは、上下方向において、略同じ位置に形成されている。
【0040】
爪部41bは、取手部11の前端部11bとバッテリー3の前面との間に上側から入って取手部11に係合する。爪部41bが取手部11に係合する際には、
図16(A)に示すように、爪部41bの傾斜面41eが解除部材14を押して、バッテリー収容部4の側壁7に形成される係合孔と固定部材13との係合状態を解除する。そのため、爪部41bが取手部11に係合すると、バッテリー抜差機構17によるバッテリー3の引抜きや差込みが可能になる。
【0041】
本形態では、取手部11への爪部41bの係合が完了したときに、
図16(B)に示すように、垂直面41dが解除部材14に当接し、かつ、垂直面41gが前端部11bに当接するように、爪部41bが形成されている。また、本形態では、取手部11への爪部41bの係合が完了したときに、解除部材14と前端部11bとの間で爪部41bのがたつきが発生しないように、垂直面41dと垂直面41gとの距離t(すなわち、バッテリー係合部24の移動方向における爪部41bの上端側の厚さt)が設定されている。
【0042】
また、本形態では、爪部41bが取手部11に係合する際に、
図16(A)に示すように、前端部11bと垂直面41jとの間に隙間が形成されるように、傾斜面41eおよび垂直面41jが形成されている。爪部41bが取手部11に係合する際には、傾斜面41eが解除部材14に当接するため、解除部材14の前面側への付勢力によって傾斜面41eが前面側に押されるが、このように傾斜面41eおよび垂直面41jを形成することで、傾斜面41eが前面側へ押されても、垂直面41jが前端部11bと大きな接触圧で接触するのを防止することが可能になり、その結果、爪部41bが取手部11に係合する際の係合爪部41の下方向への移動が妨げられるのを防止することが可能になる。なお、傾斜面41hは、解除部材14と前端部11bとの間における爪部41bのがたつきを徐々に小さくしていく機能を果たしている。
【0043】
移動保持部材40は、バッテリー係合部24の移動方向に細長い長尺状に形成されている。また、移動保持部材40は、バッテリー係合部24の移動方向から見たときの形状が略H形状となるように形成されている。
【0044】
保持部材115は、略直方体のブロック状に形成されている。この保持部材115は、バッテリー係合部24の移動方向における移動保持部材40の一端に固定されている。保持部材115には、
図15に示すように、バッテリー係合部24の回動中心となる軸部材117が上下方向を軸方向として固定されている。また、保持部材115には、クランプ機構116を構成する後述の係合部材123を保持する保持部115aが形成されている。保持部115aは、
図21に示すように、バッテリー係合部24の移動方向と上下方向とに略直交する方向の一方へ突出するように形成されている。また、保持部115aは、基部43の上側に配置されている。
【0045】
軸部材117は、基部43に取り付けられる軸受118の内周側に配置されている。本形態の軸受118は、テーパコロ軸受であり、軸受118の内輪が軸部材117の外周面に固定され、軸受118の外輪が基部43に形成される取付孔に固定されている。また、軸受118は、バッテリー係合部24の移動方向と上下方向とに略直交する方向における基部43の中心位置に取り付けられている。
【0046】
クランプ機構116は、基部43に取り付けられる駆動源としてのエアシリンダ119と、エアシリンダ119のロッドにフローティングジョイント120を介して連結される軸部材121と、軸部材121の下端側を移動可能に支持する支持部材122と、軸部材121の先端側が係合する係合孔123aが形成される係合部材123とを備えている。
【0047】
エアシリンダ119は、そのロッドが上方向へ突出するように、基部43に固定されている。また、エアシリンダ119は、バッテリー係合部24の移動方向と上下方向とに略直交する方向における基部43の中心からずれた位置に取り付けられている。軸部材121は、略円柱状の大径軸部121aと、大径軸部121aよりも外径の小さい略円柱状の小径軸部121bとから構成されており、大径軸部121aが下側に配置され、小径軸部121bが上側に配置されるように、フローティングジョイント120の上端側に取り付けられている。
【0048】
支持部材122は、鍔付きの略円筒状に形成された摺動軸受であり、基部43に固定されている。また、支持部材122は、エアシリンダ119の上側に配置されている。支持部材122の内径は、軸部材121の大径軸部121aの外径と略等しくなっている。大径軸部121aは、支持部材122の内周側に配置されており、支持部材122の内周面に沿って上下方向へ移動可能となっている。
【0049】
係合部材123は、鍔付きの略円筒状に形成された摺動軸受である。この係合部材123は、保持部材115の保持部115aに固定されており、バッテリー係合部24の回動中心となる軸部材117からずれた位置に配置されている。係合部材123の内周側に形成される係合孔123aは、小径部123bと、小径部123bよりも内径の大きな中径部123cと、中径部123cよりも内径の大きな大径部123dとによって構成されている。係合部材123は、小径部123b、中径部123cおよび大径部123dが下側からこの順番で配置されるように、保持部115aに固定されている。また、係合部材123は、その軸中心と支持部材122の軸中心とが略一致するように、支持部材122の上側に配置されている。
【0050】
小径部123bの内径は、軸部材121の大径軸部121aの外径と略等しくなっている。大径部123dには、ゴムやスポンジ等の弾性材料によって形成される弾性部材124が取り付けられている。本形態の弾性部材124は、ウレタンゴムによって形成されている。また、弾性部材124は、扁平な円筒状に形成されている。弾性部材124の内径は、軸部材121の小径軸部121bの外径と略等しくなっている。
【0051】
本形態では、エアシリンダ119のロッドが突出すると、
図22(A)に示すように、小径部123bの内周側に大径軸部121aの上端側が配置される。このときには、小径部123bの内周面と大径軸部121aの外周面との間に隙間がないため、保持部材115に対してバッテリー係合部24は回動しない。すなわち、本形態では、エアシリンダ119のロッドが突出して、小径部123bの内周側に大径軸部121aが配置されているときには、クランプ機構116は、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動を留めるクランプ状態となっている。このときには、小径部121bの上端側は、弾性部材124よりも上側に突出しており、小径軸部121bの下端側は、中径部123cの内周側および弾性部材124の内周側に配置されている。
【0052】
一方、エアシリンダ119のロッドが引っ込むと、
図22(B)に示すように、小径部123bの内周側から大径軸部121aが外れるとともに、小径軸部121bは、小径部123bの内周側、中径部123cの内周側および弾性部材124の内周側に配置される。このときには、小径部123bの内周面と小径軸部121bの外周面との間に隙間が形成されているため、また、弾性部材124が弾性材料で形成されているため、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能になる。すなわち、本形態では、エアシリンダ119のロッドが引っ込んで、小径部123bの内周側から大径軸部121aが外れるとともに、小径部123bの内周側、中径部123cの内周側および弾性部材124の内周側に小径軸部121bが配置されているときに、クランプ機構116は、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能なアンクランプ状態となっている。上述のように、弾性部材124の内径は、小径軸部121bの外径と略等しくなっており、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときには、弾性部材124の弾性変形の範囲内において、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能となっている。
【0053】
また、本形態では、クランプ機構116は、通常、クランプ状態となっている。一方、後述のように、係合爪部41が下降してバッテリー3の取手部11に係合する際、および、バッテリー搭載部22上でバッテリー係合部24がバッテリー3を移動させる際に、クランプ機構116は、アンクランプ状態となっている。
【0054】
係合部移動機構39は、バッテリー係合部24、移動保持部材40および保持部材115を移動させるための構成として、モータ44と、ボールネジ等のネジ部材45と、ネジ部材45に螺合するナット部材46と、プーリ47、48と、プーリ47、48に架け渡されるベルト49とを備えている。また、係合部移動機構39は、バッテリー係合部24、移動保持部材40および保持部材115を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール50と、ガイドレール50に係合するとともにガイドレール50に沿って相対移動可能なガイドブロック51とを備え、バッテリー係合部24および保持部材115を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール52と、ガイドレール52に係合するとともにガイドレール52に沿って相対移動可能なガイドブロック53とを備えている。
【0055】
モータ44は、第2保持部材28の後端部の上面に固定されている。ネジ部材45は、第2保持部材28の上面部に回転可能に保持されている。モータ44とネジ部材45とは、プーリやベルト等を介して連結されている。ナット部材46は、移動保持部材40の後端部に固定されている。プーリ47は、移動保持部材40の後端部に回転可能に保持され、プーリ48は、移動保持部材40の前端部に回転可能に保持されている。
【0056】
ベルト49は、ベルト固定部材54等を介して保持部材115に固定されるとともに、ベルト固定部材55を介して第2保持部材28の上面部に固定されている。具体的には、第2保持部材28から移動保持部材40が突出して、
図17に示すように、プーリ47の近傍にベルト固定部材55が配置されるときに、
図15に示すように、プーリ48の近傍にベルト固定部材54が配置され、かつ、第2保持部材28の中に移動保持部材40が収まって、
図14に示すように、プーリ48の近傍にベルト固定部材55が配置されるときに、プーリ47の近傍にベルト固定部材54が配置されるように、ベルト49は、ベルト固定部材54、55を介して保持部材115および第2保持部材28に固定されている。
【0057】
ガイドレール50は、第2保持部材28の上面部に固定され、ガイドブロック51は、移動保持部材40の上面に固定されている。ガイドレール52は、移動保持部材40の下面に固定され、ガイドブロック53は、保持部材115の上端側に固定されている。
【0058】
本形態では、モータ44が回転すると、ネジ部材45とナット部材46とによって、バッテリー係合部24および保持部材115とともに移動保持部材40がガイドレール50およびガイドブロック51に案内されて、第2保持部材28に対して直線状に移動する。また、モータ44が回転すると、プーリ47、48とベルト49とによって、バッテリー係合部24および保持部材115がガイドレール52およびガイドブロック53に案内されて、移動保持部材40に対して直線状に相対移動する。
【0059】
(バッテリー抜差機構の概略動作)
バス2からのバッテリー3の引抜きを行う際には、まず、バッテリー搭載部22がバス2に近づく方向へ移動する。その後、バッテリー係合部24がバス2に近づく方向へ移動する。その後、バッテリー係合部24がバッテリー3に係合する。すなわち、係合爪部41が下降してバッテリー3の取手部11に係合する。また、係合爪部41が下降を始めると同時に、クランプ機構116は、クランプ状態からアンクランプ状態に切り替わり、係合爪部41が取手部11に係合する際には、アンクランプ状態となっている。
【0060】
その後、バッテリー係合部24がバス2から離れる方向へ移動して、バッテリー搭載部22上でバッテリー3を移動させる。このときには、クランプ機構116は、アンクランプ状態となっている。バッテリー係合部24が所定量移動して、バッテリー3がバッテリー搭載部22に搭載されると、その後、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が同期しながら、バス2から離れる方向へ移動する。その後、係合爪部41が上昇して取手部11から外れると、バス2からのバッテリー3の引抜きが完了する。なお、バッテリー3がバッテリー搭載部22に搭載されると、クランプ機構116は、クランプ状態となる。
【0061】
また、バス2へのバッテリー3の差込みを行う際には、まず、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が同期しながら、バス2に近づく方向へ移動する。その後、バッテリー搭載部22が停止するとともにバッテリー係合部24がバス2に近づく方向へ移動して、バス2へのバッテリー3の差込みを行う。バッテリー搭載部22が停止するとともにバッテリー係合部24がバス2に近づく方向へ移動を開始すると、クランプ機構116は、クランプ状態からアンクランプ状態に切り替わり、バス2へのバッテリー3の差込みが終わって、バッテリー係合部24が停止すると、クランプ機構116は、アンクランプ状態からクランプ状態に切り替わる。すなわち、バッテリー係合部24がバッテリー搭載部22上でバッテリー3を移動させる際に、クランプ機構116は、アンクランプ状態となっている。その後、係合爪部41が上昇し、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24がバス2から離れる方向へ移動して、バス2へのバッテリー3の差込みが完了する。
【0062】
なお、バス2からのバッテリー3の引抜き時には、後述のように、検出機構21によって、バッテリー3の位置等が検出される。また、
図8、
図10に示すように、第1保持部材27には、バス2から引き抜かれたバッテリー3を位置決めして固定するための位置決め部材56が固定されている。
図10に示すように、位置決め部材56には、固定部材13が係合する係合凹部56aが形成されている。
【0063】
(昇降機構、第1連結機構および第2連結機構の構成)
図23は、
図6に示す昇降機構18を上面から説明するための図である。
図24は、
図6に示す第1連結機構61の構成を説明するための図であり、(A)は第1連結機構61を正面から説明するための図、(B)は(A)のP−P方向から第1連結機構61を説明するための図である。
図25は、
図6に示す第2連結機構62の構成を説明するための図であり、(A)は第2連結機構62を正面から説明するための図、(B)は(A)のQ−Q方向から第2連結機構62を説明するための図である。
図26は、
図6に示す保持部材26を傾けたときの状態を正面から説明するための図である。
【0064】
昇降機構18は、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向と上下方向とに直交する方向(以下、この方向を「第1方向」とする。)の両端側のそれぞれに配置される第1昇降機構59および第2昇降機構60を備えている。第1昇降機構59は、第1連結機構61によって、第1保持部材27の第1方向の一端側に連結されている。第2昇降機構60は、第2連結機構62によって、第1保持部材27の第1方向の他端側に連結されている。第1昇降機構59および第2昇降機構60は、水平方向に対して保持部材26を傾けるために、個別に駆動可能となっている。また、保持部材26は、水平方向に対して傾斜可能となるように第1昇降機構59および第2昇降機構60に連結されている。
【0065】
第1昇降機構59および第2昇降機構60は、上下方向へ移動可能な昇降部材63と、昇降部材63を昇降可能に保持する柱状部材64と、昇降部材63を昇降させる昇降駆動機構65とを備えている。柱状部材64は、上下方向に細長い柱状に形成されている。
図6に示すように、第1昇降機構59を構成する柱状部材64の上端と、第2昇降機構60を構成する柱状部材64の上端とは、連結部材66によって連結されており、2個の柱状部材64と連結部材66とによって、門型のフレームが構成されている。
【0066】
昇降駆動機構65は、昇降部材63を昇降させるための構成として、モータ67と、ボールネジ等のネジ部材68と、ネジ部材68に螺合するナット部材69とを備えている。また、昇降駆動機構65は、昇降部材63を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール70と、ガイドレール70に係合するとともにガイドレール70に沿って相対移動可能なガイドブロック71とを備えている。
【0067】
モータ67は、柱状部材64の上端側に固定されている。ネジ部材68は、柱状部材64に回転可能に保持されている。モータ67とネジ部材68とは、カップリング72(
図7参照)を介して連結されている。ナット部材69は、昇降部材63に固定されている。ガイドレール70は、柱状部材64の側面に固定されている。具体的には、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向における柱状部材64の両側面のそれぞれに、ガイドレール70が固定されている。ガイドブロック71は、昇降部材63に固定されている。そのため、本形態では、モータ67が回転すると、昇降部材63は、ガイドレール70およびガイドブロック71に案内されて、柱状部材64に対して上下動する。
【0068】
第1連結機構61は、
図24に示すように、第1保持部材27の第1方向の一端側に固定される略筒状の筒状部材73と、筒状部材73の内周側に挿通される軸部材74と、第1昇降機構59を構成する昇降部材63に固定されるとともに軸部材74の両端側を保持する軸保持部材75とを備えている。軸部材74は、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向を軸方向として軸保持部材75に保持されている。
【0069】
筒状部材73の内周面は、円筒面となっており、軸部材74は、細長い円柱状に形成されている。筒状部材73の内周面と軸部材74の外周面との間には、テーパコロ軸受76が配置されている。筒状部材73は、軸部材74に対して相対回動可能となっており、第1昇降機構59の昇降部材63に対する軸部材74を中心とした保持部材26の相対回動が可能となっている。
【0070】
第2連結機構62は、
図25に示すように、第1保持部材27の第1方向の他端側に固定される軸保持部材77と、軸保持部材77にその両端側が保持される軸部材78と、第2昇降機構60を構成する昇降部材63に固定される軸保持部材79と、軸保持部材79にその両端側が保持される軸部材80と、軸部材78および軸部材80のそれぞれが挿通される2個の挿通孔81aが形成されたリンク部材81とを備えている。軸部材78は、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向を軸方向として軸保持部材77に保持され、軸部材80は、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向を軸方向として軸保持部材79に保持されている。また、軸部材78、80は、上側からこの順番で重なるように配置されている。
【0071】
挿通孔81aの内周面は、円筒面となっており、軸部材78、80は、細長い円柱状に形成されている。挿通孔81aの内周面と軸部材78、80の外周面との間には、テーパコロ軸受82が配置されている。リンク部材81は、軸部材78、80のそれぞれに対して相対回動可能となっており、第2昇降機構60の昇降部材63に対する軸部材80を中心としたリンク部材81の相対回動と、保持部材26に対する軸部材78を中心としたリンク部材81の相対回動とが可能となっている。そのため、第2昇降機構60の昇降部材63に対する保持部材26の相対回動と第1方向への相対移動とが可能となっている。
【0072】
本形態では、第1昇降機構59の昇降部材63の移動量と第2昇降機構60の昇降部材63の移動量とが等しくなるようにモータ67が回転すると、保持部材26が水平方向と平行な状態を保ったまま昇降する。一方、第1昇降機構59のモータ67または第2昇降機構60のモータ67の一方のみが回転すると、あるいは、第1昇降機構59の昇降部材63の移動量と第2昇降機構60の昇降部材63の移動量とが異なるようにモータ67が回転すると、たとえば、
図26に示すように、水平方向に対して保持部材26が傾く。
【0073】
(回動機構および水平移動機構の構成)
図27は、
図2に示す回動機構19および水平移動機構20を正面から説明するための図である。
図28は、
図2に示す回動機構19および水平移動機構20を上面から説明するための図である。
図29は、
図28のR−R方向から回動機構19および水平移動機構20を説明するための図である。
図30(A)は、
図28のU部の拡大図であり、
図30(B)は、
図28のV部の拡大図である。
【0074】
回動機構19は、バッテリー抜差機構17および昇降機構18が搭載されるとともに回動可能な回動部材85と、回動部材85を回動させる回動駆動機構86とを備えている。水平移動機構20は、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19が搭載されるとともに左右方向へ移動可能なスライド部材87と、スライド部材87を移動させる水平駆動機構88とを備えている。
【0075】
回動部材85は、略円板状に形成されている。スライド部材87は、左右方向を長手方向とする略長方形の板状に形成されている。スライド部材87の左右方向の幅は、回動部材85の直径よりも大きくなっており、スライド部材87の前後方向の幅は、回動部材85の直径よりも小さくなっている。
【0076】
回動部材85は、スライド部材87の上側に配置されている。この回動部材85は、その曲率中心を中心にして回動可能となっている。バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向に直交する第1方向における回動部材85の上面の両端側のそれぞれには、柱状部材64の下端が固定されている。
【0077】
回動駆動機構86は、回動部材85を回動させるための構成として、モータ90と、プーリ91、92と、ベルト93とを備えている。また、回動駆動機構86は、回動部材85を回動方向へ案内するための構成として、ガイドレール94と、ガイドレール94に係合するとともにガイドレール94に沿って相対移動可能な複数のガイドブロック95とを備えている。
【0078】
モータ90およびプーリ91、92は、左右方向における回動部材85の径方向外側に配置されている。モータ90は、その出力軸が下方向を向くように、スライド部材87の上面側に固定されている。モータ90の出力軸には、減速機が取り付けられており、この減速機にプーリ91が固定されている。プーリ91は、外周面に歯が形成された歯付きプーリである。プーリ91の前側および後ろ側のそれぞれに、プーリ92が配置されている。プーリ92は、スライド部材87の上面側に配置されるとともに、スライド部材87に回転可能に支持されている。
【0079】
ベルト93は、一方の面に歯が形成された歯付きのベルトである。ベルト93は、プーリ91、92と、回動部材85の外周面とに架け渡されている。本形態では、ベルト93の歯が形成された一方の面がプーリ91の外周面に当接し、ベルト93の歯が形成されていない他方の面がプーリ92および回動部材85の外周面に当接するように、プーリ91、92と回動部材85の外周面とにベルト93が架け渡されている。プーリ92は、ベルト93に張力を与えるためのテンションプーリである。
【0080】
本形態の回動部材85の回動範囲は、約180°となっている。そのため、ベルト93には、回動部材85の外周面に常に当接している部分がある。本形態では、ベルト93の、回動部材85の外周面に常に当接している部分の一部は、回動部材85の外周面に固定されている。なお、本形態では、バス2に対するバッテリー3の引抜きや差込みを行う位置に対して、ロボット5が180°回動すると、バッファステーションに対するバッテリー3の搬入や搬出が可能になる。
【0081】
ガイドレール94は、円環状に形成されており、スライド部材87の上面に固定されている。具体的には、上下方向から見たときに、円環状に形成されるガイドレール94の曲率中心と回動部材85の曲率中心とが略一致するように、ガイドレール94がスライド部材87の上面に固定されている。ガイドブロック95は、回動部材85の下面側に固定されている。複数のガイドブロック95は、回動部材85の曲率中心を中心とする円環状に配置されている。また、複数のガイドブロック95は、回動部材85の曲率中心を中心にして等角度ピッチで配置されている。
【0082】
本形態では、モータ90が回転すると、回動部材85は、ガイドレール94およびガイドブロック95に案内されてスライド部材87に対して回動する。また、モータ90が回転すると、回動部材85は、その曲率中心を中心にして回動する。
【0083】
水平駆動機構88は、スライド部材87を移動させるための構成として、モータ97と、プーリ98、99と、ベルト100とを備えている。また、水平駆動機構88は、スライド部材87を左右方向へ案内するための構成として、直線状に形成された2本のガイドレール101と、ガイドレール101に係合するとともにガイドレール101に沿って相対移動可能な複数のガイドブロック102とを備えている。
【0084】
2本のガイドレール101は、前後方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。また、ガイドレール101は、左右方向に所定のピッチで配置される複数の支持部材103(
図1参照)の上面に固定されている。ガイドブロック102は、スライド部材87の下面に固定されている。具体的には、スライド部材87の下面に、前後方向に所定の間隔をあけた状態で2個の固定部材104が固定されており、この固定部材104のそれぞれの下面に、複数のガイドブロック102が固定されている。固定部材104は、左右方向に細長いブロック状に形成されている。複数のガイドブロック102は、左右方向に一定のピッチで固定部材104の下面に固定されている。
【0085】
モータ97およびプーリ98、99は、左右方向における回動部材85の径方向外側であって、回動部材85を挟んで、モータ90およびプーリ91、92の反対側に配置されている。モータ97は、その出力軸が前後方向を向くように、スライド部材87の上面側に固定されている。モータ97の出力軸には、減速機が取り付けられており、この減速機にプーリ98が固定されている。プーリ98は、外周面に歯が形成された歯付きプーリである。プーリ98の左下側および右下側のそれぞれに、プーリ99が配置されている。プーリ99は、スライド部材87に回転可能に支持されている。
【0086】
ベルト100は、一方の面に歯が形成された歯付きのベルトである。ベルト100の一端は、複数の支持部材103のうちの左端に配置される支持部材103に固定され、ベルト100の他端は、複数の支持部材103のうちの右端に配置される支持部材103に固定されている。また、ベルト100は、プーリ98、99に架け渡されている。ベルト100の、歯が形成された一方の面の一部は、プーリ98の外周面に係合しており、左右方向におけるプーリ99の外側では、ベルト100の一方の面が下側を向き、ベルト100の他方の面が上側を向いている。プーリ99は、ベルト100に張力を与えるためのテンションプーリである。
【0087】
本形態では、モータ97が回転すると、ガイドレール101およびガイドブロック102に案内されてスライド部材87が左右方向へ直線状に移動する。
【0088】
スライド部材87の左右方向の両端には、左右方向におけるプーリ99の外側において上側を向いているベルト100の他方の面(歯が形成されていない面)の上に溜まるゴミや砂等の異物を除去するためのブラシ106が取り付けられている。具体的には、スライド部材87の左右方向の一端に、ブラシ保持部材107を介して、ブラシ106が取り付けられ、スライド部材87の左右方向の他端に、ブラシ保持部材108を介して、ブラシ106が取り付けられている。
【0089】
ブラシ106は、その毛先がベルト100の他方の面に接触するように、ブラシ保持部材107、108に保持されており、スライド部材87が左右方向へ移動すると、ベルト100の他方の面に載っているゴミ等の異物がブラシ106に掃き取られて除去される。本形態のブラシ106は、フラット型のブラシであり、
図30に示すように、その厚み方向が左右方向に対してわずか傾くように、ブラシ保持部材107、108に保持されている。そのため、スライド部材87が左右方向へ移動する際にブラシ106によって掃き取られた異物は、スライド部材87の移動に伴って、ベルト100の他方の面から前後方向の一方側へ落下する。
【0090】
なお、バッテリー交換システム1は、スライド部材87に搭載されるバッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19の左右方向の可動範囲内に作業者が入ったか否かを検出して、モータ97を非常停止等させるための検出機構(図示省略)を備えている。この検出機構は、互いに対向するように配置される発光部と受光部とを有する光学式センサである。本形態では、スライド部材87の左端側に、発光部または受光部の一方が取り付けられ、複数の支持部材103のうちの左端に配置される支持部材103の上側に、発光部または受光部の他方が配置されており、この発光部から受光部へ向かう光が遮られると、スライド部材87の左側において、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19の左右方向の可動範囲内に作業者が入ったことが検出される。また、スライド部材87の右端側に、発光部または受光部の一方が取り付けられ、複数の支持部材103のうちの右端に配置される支持部材103の上側に、発光部または受光部の他方が配置されており、この発光部から受光部へ向かう光が遮られると、スライド部材87の右側において、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19の左右方向の可動範囲内に作業者が入ったことが検出される。また、スライド部材87の前後方向の全域で、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19の左右方向の可動範囲内に作業者が入ったか否かを検出することが可能となるように、発光部は、前後方向に配列される複数の発光素子を備え、受光部は、前後方向に配列される複数の受光素子を備えている。なお、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19の左右方向の可動範囲内に作業者が入ったか否かを検出する検出機構は、カメラであっても良い。
【0091】
(検出機構の構成およびバッテリーの位置検出動作)
図31は、
図10に示す検出機構21によるバッテリー3の概略位置の検出方法を説明するための図である。
図32は、
図10に示す検出機構21によるバッテリー3の位置の検出方法を説明するための図である。
【0092】
検出機構21は、レーザ光を射出する発光部と、この発光部から射出されバス2の側面2aやバッテリー置き台6の前面等で反射されたレーザ光を受光する受光部とを備えるレーザセンサである。この検出機構21は、
図10に示すように、バッテリー搭載部22の前端側の上面に取り付けられている。また、検出機構21は、発光部と受光部とが水平方向で隣り合うように、バッテリー搭載部22に取り付けられている。本形態では、バッテリー置き台6に形成される2個の検出用マーク8に対応するように、2個の検出機構21がバッテリー搭載部22に取り付けられている。具体的には、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向に直交する第1方向におけるバッテリー搭載部22の両端側の上面に検出機構21が固定されている。また、2個の検出用マーク8の間隔と同じ間隔で、2個の検出機構21がバッテリー搭載部22に固定されている。
【0093】
検出機構21は、発光部から射出されたレーザ光を反射する反射物が所定の測定レンジ内にあるとオンの状態になり、レーザ光を反射する反射物が測定レンジ内にないとオフの状態になる。また、検出機構21では、検出機構21がオンの状態のときに、検出機構21と反射物との距離を検出することが可能となっている。
【0094】
検出機構21によるバッテリー3の位置の検出は、たとえば、以下のように行われる。まず、バッテリー3が交換されるバス2が所定の停止位置に停止したときには、たとえば、バッテリー抜差機構17は、バッテリー収容部4よりもバス2の進行方向手前側で待機している。また、このときには、
図31の実線で示すように、バッテリー搭載部22の前面がバス2の側面2aと向き合うとともに、バッテリー搭載部22は、バス2から離れる方向に後退している。また、このときには、たとえば、検出用マーク8と検出機構21とが略同じ高さとなる位置で、バッテリー抜差機構17が待機している。
【0095】
この状態から、
図31の破線で示すように、検出機構21の発光部から射出されバス2の側面2aで反射されたレーザ光を受光した検出機構21がオンの状態となるまで、バッテリー搭載部22がバス2に向かって前進する。その後、バッテリー搭載部22がバッテリー収容部4に向かって左右方向へ移動する。すなわち、スライド部材87がバッテリー収容部4に向かって移動する。
【0096】
バッテリー搭載部22がバッテリー収容部4に向かって移動して、
図31の二点鎖線で示すように、バッテリー置き台6と側面2aとの境界に形成される段差2bを一方の検出機構21が通過すると、一方の検出機構21の発光部から射出されたレーザ光は、バッテリー置き台6の前面で反射される。本形態では、検出機構21の発光部からのレーザ光がバス2の側面2aで反射されるときに検出機構21がオンの状態となる場合には、検出機構21の発光部からのレーザ光がバッテリー置き台6の前面で反射されると検出機構21がオフの状態となるように、検出機構21の検出レンジが設定されている。そのため、段差2bを一方の検出機構21が通過すると、一方の検出機構21がオフの状態となる。すなわち、一方の検出機構21がオフの状態となることで、段差2bが検出される。また、段差2bが検出されることで、バッテリー置き台6の左右方向の端部が検出され、バッテリー置き台6の左右方向の端部が検出されることで、バッテリー置き台6に搭載されるバッテリー3の概略位置が検出される。
【0097】
また、一方の検出機構21がオフになると、バッテリー搭載部22がバッテリー収容部4に向かって左右方向へ移動する際に、一方または他方の検出機構21によって任意の2点で検出された検出機構21とバス2の側面2aとの距離に基づいて、上下方向から見たときの左右方向に対するバス2の傾きが検出される。
【0098】
その後、バッテリー3の概略位置の検出結果に基づいて、
図32(A)に示すように、2個の検出用マーク8のそれぞれと、2個の検出機構21のそれぞれとが向き合うように、バッテリー搭載部22が左右方向へさらに移動する。このときには、上述のように検出されたバス2の傾きの検出結果に基づいて、バッテリー搭載部22の前面とバッテリー置き台6の前面とが略平行に向き合うように、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー抜差機構17の傾きが調整される。具体的には、回動部材85を回動させることで、バッテリー抜差機構17の傾きが調整される。
【0099】
その後、検出機構21の発光部から射出され検出用マーク8で反射されたレーザ光を受光した検出機構21がオンの状態となるまで、バッテリー搭載部22がバッテリー置き台6に向かって前進する。その後、
図32(B)、(C)に示すように、検出機構21の発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8を横切るように、バッテリー搭載部22が左右方向へ移動する。より具体的には、2個の検出機構21のそれぞれの発光部からのレーザ光が左右方向で2個の検出用マーク8のそれぞれを横切るように、バッテリー搭載部22が左右方向へ移動する。なお、本形態では、検出機構21の発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8を横切るまでバッテリー搭載部22が左右方向へ移動して停止すると、左右方向において、バッテリー搭載部22の中心とバッテリー3の中心とが略一致し、バッテリー抜差機構17は、バッテリー3の概略の引抜き位置に到達する。
【0100】
本形態では、検出機構21の発光部からのレーザ光が検出用マーク8で反射されるときに検出機構21がオンの状態となる場合には、検出機構21の発光部からのレーザ光がバッテリー置き台6の前面で反射されると検出機構21がオフの状態となるように、検出機構21の検出レンジが設定されている。そのため、検出機構21の発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8を横切るように、バッテリー搭載部22を左右方向へ移動させて、検出機構21で検出用マーク8を検出することで、検出用マーク8の検出される部分(すなわち、レーザ光を反射する部分。以下、「被検出部分」とする。)の幅を検出することが可能である。
【0101】
また、本形態の検出用マーク8は、上下方向でその幅が変化する略三角形状に形成されている。そのため、検出用マーク8の被検出部分の幅を検出することで、検出用マーク8の高さを検出することが可能であり、検出用マーク8の高さを検出することで、検出用マーク8が形成されるバッテリー置き台6の高さを検出することが可能である。本形態では、検出機構21で検出用マーク8の被検出部分の幅を検出することで、バッテリー置き台6の高さが検出され、バッテリー置き台6の高さが検出されることで、バッテリー置き台6に位置決めされて搭載されるバッテリー3の高さが検出される。
【0102】
また、検出機構21の発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8を横切るようにバッテリー搭載部22を移動させて、検出機構21で検出用マーク8を検出することで、検出用マーク8の被検出部分の左右方向の中心位置を検出することが可能である。本形態では、たとえば、この中心位置に基づいて、左右方向におけるバッテリー置き台6の位置が検出され、左右方向におけるバッテリー置き台6の位置が検出されることで、バッテリー置き台6に位置決めされて搭載されるバッテリー3の左右方向における位置が検出される。
【0103】
また、検出用マーク8の被検出部分の左右方向の中心位置と検出機構21との距離を検出機構21で検出することが可能であり、本形態では、たとえば、この中心位置と検出機構21との距離に基づいて、前後方向におけるバッテリー置き台6の位置が検出され、前後方向におけるバッテリー置き台6の位置が検出されることで、バッテリー置き台6に位置決めされて搭載されるバッテリー3の前後方向における位置が検出される。
【0104】
また、2個の検出機構21のうちの一方の検出機構21で検出されたバッテリー置き台6の高さと、他方の検出機構21で検出されたバッテリー置き台6の高さとから、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きが検出される。また、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きが検出されることで、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きが検出される。
【0105】
また、2個の検出機構21のうちの一方の検出機構21で検出された検出機構21と検出用マーク8との距離と、他方の検出機構21で検出された検出機構21と検出用マーク8との距離とから、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きが検出される。また、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きが検出されることで、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きが検出される。
【0106】
前後左右方向におけるバッテリー3の位置、バッテリー3の高さ、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾き、および、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きが検出されると、バッテリー3の下面の突起部12とバッテリー搭載部22のローラ32のガイド溝32aとが左右方向で略一致し、バッテリー3の下面と、ローラ31、32の上面とが略一致するとともに、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きとバッテリー抜差機構17の傾きとが略一致し、かつ、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きとバッテリー抜差機構17の傾きとが略一致するように、バッテリー抜差機構17の左右方向の位置、高さおよび傾きが調整される。
【0107】
具体的には、水平移動機構20によってバッテリー抜差機構17の左右方向の位置が調整され、昇降機構18によって、バッテリー抜差機構17の高さが調整され、回動機構19によって、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー抜差機構17の傾きが調整される。また、第1昇降機構59または第2昇降機構60の一方を駆動することで、あるいは、第1昇降機構59の駆動量と第2昇降機構60の駆動量とを変えることで、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー抜差機構17の傾きが調整される。
【0108】
バッテリー抜差機構17の左右方向の位置、高さおよび傾きが調整されると、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が前後方向へ移動して、バス2からバッテリー3が引き抜かれる。バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が前後方向へ移動するときには、バッテリー置き台6とバッテリー搭載部22との間でバッテリー3が円滑に載り移るように、かつ、係合爪部41が取手部11に適切に係合するように、バッテリー3の前後方向の位置の検出結果に基づいて、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の前後方向への移動量が設定される。バス2からバッテリー3が引き抜かれると、ロボット5は、180°回動して、バッファステーションにバッテリー3を搬入する。また、ロボット5は、バッファステーションから充電済みのバッテリー3を搬出し、180°回動した後に、バス2へバッテリー3を差し込む。
【0109】
なお、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きは、バス2へのバッテリー置き台6の取付精度やバス2の停止精度によって変動する。また、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きは、バス2へのバッテリー置き台6の取付精度やバス2が停止する地面の状態によって変動する。また、バス2には複数のバッテリー3が搭載されるとともに1個のバッテリー3の重量は数百kgであるため、バッテリー3の搭載位置によっては、バッテリー3の交換時にバス2からバッテリー3が順次、引き抜かれていくと、前後方向から見たときの左右方向に対するバス2の傾きが変動する。
【0110】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、係合爪部41が下降を始めると、クランプ機構116は、クランプ状態からアンクランプ状態に切り替わり、係合爪部41が取手部11に係合する際には、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能になっている。そのため、本形態では、バス2に搭載されているバッテリー3の前面が左右方向に対して傾いていても、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを係合させる際に、バッテリー係合部24を保持部材115に対して回動させて、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを適切に係合させることが可能になる。あるいは、左右方向と平行に配置されるバッテリー3の前面に取り付けられる取手部11が左右方向に対して傾いていても、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを係合させる際に、バッテリー係合部24を保持部材115に対して回動させて、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを適切に係合させることが可能になる。すなわち、本形態では、バッテリー3がバス2に精度良く搭載されていなくても、また、バッテリー3の前面に取手部11が精度良く取り付けられていなくても、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを適切に係合させて、バス2からバッテリー3を適切に引き抜くことが可能になり、その結果、バス2に搭載されているバッテリー3を適切に交換することが可能になる。
【0111】
また、本形態では、バッテリー3がバス2に精度良く搭載されていなくても、また、バッテリー3の前面に取手部11が精度良く取り付けられていなくても、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを適切に係合させて、バス2からバッテリー3を適切に引き抜くことが可能になるため、ロボット5のティーチングでの調整を簡素化することが可能になる。
【0112】
本形態では、バッテリー搭載部22上でバッテリー係合部24がバッテリー3を移動させる際に、クランプ機構116はアンクランプ状態になっており、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能となっている。そのため、バス2に搭載されているバッテリー3の前面が左右方向に対して傾いていても、あるいは、左右方向に平行なバッテリー3の前面に取り付けられる取手部11が左右方向に対して傾いていても、バッテリー搭載部22にバッテリー3を搭載する際に、保持部材115に対してバッテリー係合部24を回動させて、ローラ32のガイド溝32aとバッテリー3の突起部12とを適切に係合させることが可能になる。したがって、本形態では、バッテリー3がバス2に精度良く搭載されていなくても、また、バッテリー3の前面に取手部11が精度良く取り付けられていなくても、バッテリー搭載部22にバッテリー3を適切に搭載することが可能になり、その結果、バス2に搭載されているバッテリー3を適切に交換することが可能になる。
【0113】
本形態では、バッテリー3の前面の、左右方向の両端側のそれぞれに取手部11が形成され、2個の取手部11のそれぞれに係合爪部41が係合するように、2個の係合爪部41が基部43の先端面に所定の間隔をあけた状態で配置されている。そのため、本形態では、2個の取手部11と係合爪部41とによって、バッテリー係合部24に対するバッテリー3の回動を防止することができる。したがって、本形態では、バッテリー3を引き抜いたり、差し込んだりする際に、バッテリー3を安定させることが可能になる。一方で、本形態では、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを係合させなければならないため、バス2に搭載されているバッテリー3の前面が左右方向に対して傾いていると、あるいは、左右方向に平行なバッテリー3の前面に取り付けられる取手部11が左右方向に対して傾いていると、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを係合させることは難しくなるが、本形態では、上述のように、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを係合させる際に、バッテリー係合部24を保持部材115に対して回動させて、2個の取手部11のそれぞれに2個の係合爪部41のそれぞれを適切に係合させることが可能になる。
【0114】
本形態では、ローラ32にガイド溝32aが形成され、バッテリー3の下面に突起部12が形成されている。そのため、バッテリー搭載部22上でバッテリー3を移動させる際に、バッテリー3の移動方向に直交する方向におけるバッテリー3のふらつきを抑制して、バッテリー3を安定させることが可能になる。一方で、本形態では、ガイド溝32aに突起部12を係合させなければならないため、バス2に搭載されているバッテリー3の前面が左右方向に対して傾いていると、あるいは、左右方向に平行なバッテリー3の前面に取り付けられる取手部11が左右方向に対して傾いていると、バッテリー搭載部22にバッテリー3を搭載する際に、ガイド溝32aに突起部12を係合させることは難しくなるが、本形態では、上述のように、バッテリー搭載部22にバッテリー3を搭載する際に、保持部材115に対してバッテリー係合部24を回動させて、ローラ32のガイド溝32aとバッテリー3の突起部12とを適切に係合させることが可能になる。
【0115】
本形態では、クランプ機構116によって、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動を留めることができる。そのため、本形態では、係合爪部41が下降してバッテリー3の取手部11に係合する際、および、バッテリー搭載部22上でバッテリー係合部24がバッテリー3を移動させる際を除いて、保持部材115に対してバッテリー係合部24がふらつくのを防止することが可能になる。
【0116】
本形態では、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときに、小径軸部121bは、その外径と略等しい内径を有する弾性部材124の内周側に配置されている。そのため、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときに、バッテリー係合部24に外力が作用していなければ、弾性部材124の弾性力を利用して、軸部材121の軸中心と係合孔123aの軸中心とを略一致させることが可能になる。したがって、本形態では、小径部123bの内周側から大径軸部121aが外れているアンクランプ状態から小径部123bの内周側に大径軸部121aが配置されるクランプ状態へクランプ機構116を切り替えやすくなる。
【0117】
また、本形態では、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときに、弾性部材124の弾性変形の範囲内において、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能となっているため、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときに、バッテリー係合部24が過度に回動するのを防止することが可能になる。
【0118】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0119】
上述した形態では、バッテリー3に2個の取手部11が形成されている。この他にもたとえば、上述した特許文献1に記載のバッテリーのように、バッテリー3に1個の取手部11が形成されても良い。この場合には、バッテリー係合部24は、1個の係合爪部41を備えていれば良い。また、バッテリー3に3個以上の取手部11が形成されても良い。
【0120】
上述した形態では、バッテリー3の取手部11と、バッテリー係合部24の係合爪部41とを係合させて、バス2からバッテリー3を引き抜いている。この他にもたとえば、バッテリー3に固定される磁石と、バッテリー係合部24に固定される磁石との間に生じる磁気的吸引力を利用して、バス2からバッテリー3を引き抜いても良い。また、バッテリー3またはバッテリー係合部24のいずれか一方に固定される磁石と、バッテリー3またはバッテリー係合部24のいずれか他方に固定される磁性部材との間に生じる磁気的吸引力を利用して、バス2からバッテリー3を引き抜いても良い。
【0121】
上述した形態では、バッテリー搭載部22のローラ32にガイド溝32aが形成され、ガイド溝32aに係合する係合突起部としての突起部12がバッテリー3に形成されている。この他にもたとえば、バッテリー3の移動方向へバッテリー3を案内するためのガイド溝がバッテリー3に形成され、このガイド溝に係合する係合突起部がローラ32に形成されても良い。また、ローラ32にガイド溝32aが形成されず、かつ、バッテリー3に突起部12が形成されていなくても良い。この場合には、バッテリー搭載部22上でバッテリー係合部24がバッテリー3を移動させる際に、クランプ機構116はクランプ状態になっていても良い。なお、ローラ32にガイド溝32aが形成され、バッテリー3に突起部12が形成されている場合において、バッテリー搭載部22上でバッテリー係合部24がバッテリー3を移動させる際に、クランプ機構116がクランプ状態になっていても良い。
【0122】
上述した形態では、バッテリー係合部24の基部43に、エアシリンダ119および支持部材122が固定され、保持部材115の保持部115aに、係合部材123が固定されている。この他にもたとえば、保持部115aに、エアシリンダ119および支持部材122が固定され、基部43に、係合部材123が固定されても良い。また、上述した形態では、軸部材121を上下動させる駆動源は、エアシリンダ119であるが、軸部材121を上下動させる駆動源は、油圧シリンダであっても良いし、電動シリンダであっても良い。また、軸部材121を上下動させる駆動源は、回転型のモータであっても良いし、リニアモータであっても良い。
【0123】
上述した形態では、係合部材123の大径部123dに弾性部材124が取り付けられているが、大径部123dに弾性部材124が取り付けられていなくても良い。この場合、クランプ機構116がアンクランプ状態となっているときには、小径軸部121bの外周面と、小径部123bの内周面との間に形成される隙間の範囲内で、保持部材115に対するバッテリー係合部24の回動が可能となる。
【0124】
上述した形態では、検出機構21は、発光部と受光部とが水平方向で隣り合うように、バッテリー搭載部22に取り付けられている。この他にもたとえば、
図33に示すように、検出機構21は、発光部と受光部とが上下方向(鉛直方向)で重なるように、バッテリー搭載部22に取り付けられても良い。発光部と受光部とが水平方向で隣り合うように、検出機構21が配置されている場合には、たとえば、
図34に示すように、バッテリー置き台6の前面と検出用マーク8との境界において、バッテリー置き台6の前面で反射されたレーザ光が検出用マーク8で遮られて、受光部へ戻らないといった問題が生じうるが、発光部と受光部とが上下方向で重なるように、検出機構21が配置されていると、かかる問題の発生を防止することが可能になる。
【0125】
上述した形態では、検出用マーク8は、バッテリー置き台6の前面から突出する平板状に形成されている。この他にもたとえば、検出用マーク8は、バッテリー置き台6の前面から窪む凹部であっても良い。たとえば、
図35に示すように、バッテリー置き台6の前壁を貫通する略正三角形状の貫通孔6aと、貫通孔6aを塞ぐようにバッテリー置き台6の前壁の後面に固定される反射板110とによって、検出用マーク8が形成されても良い。この場合には、バッテリー置き台6の製作時に、プレスによる抜き加工でバッテリー置き台6の前壁に貫通孔6aを形成することが可能になるため、平板状に形成される検出用マーク8をバッテリー置き台6の前面に固定する場合と比較して、検出用マーク8の位置精度を高めることが可能になる。
【0126】
上述した形態では、ロボット5は、バス2に搭載されるバッテリー3を交換するためのロボットであるが、ロボット5は、トラックや自家用車等のバス2以外の車両のバッテリー3を交換するためのロボットであっても良い。