【実施例1】
【0016】
以下、本発明を適用した空力試験モデル懸架装置の実施例について説明する。
実施例において、空力試験モデルは、例えば実車の1/5程度にスケールダウンされた風洞試験モデルであり、空力試験モデル懸架装置は、この風洞試験モデルを支持する台車として構成されている。
図1は、実施例の台車を含む風洞試験装置を車両側方側(ベルト走行方向と直交する水平方向)から見た図である。
図2は、
図1の台車の上面視図である。
図3は、
図1の台車の前面視図である。
図4は、
図1の台車の後面視図である。
図5は、
図1の台車の外観斜視図であって、斜め前方側の斜め上方側から見た図である。
【0017】
図1に示すように、風洞試験装置1は、図示しない風洞内に設置される台車1、供試ボディ2、ムービングベルト3、支柱4、ウェイト懸垂装置5等を備えて構成されている。
なお、図示及び理解を容易にするために、ムービングベルト3の長さは実際よりも短く図示し、支柱4及びウェイト懸垂装置5は実際よりも車両に近く図示している。
【0018】
台車1は、供試ボディ2を支持する空力試験モデル懸架装置であって、前輪FW2輪、後輪RW2輪を有する4輪のものである。
台車1の構成については、後に詳しく説明する。
供試ボディ2は、実車の車体外表面形状を模した空力試験用のモデルであって、台車1に被せられた状態で、台車1に固定される。
ムービングベルト3は、上面部が風洞の気流方向に沿って配置された無端ベルトである。
台車1は、ムービングベルト3の上面に載置され、台車1の前輪FW、後輪RWは、ムービングベルト3の走行に応じて回転するようになっている。
【0019】
支柱4は、ムービングベルト3の風上側における床面から上方へ突き出して設けられるとともに、風向に沿って張られたワイヤW1を介して台車1の前部と接続され、台車1をムービングベルト3上に保持するものである。
また、ワイヤW1には、その張力を検出するドラッグ成分測定用のロードセルが設けられる。
ウェイト懸垂装置5は、台車1のムービングベルト3からの逸脱等を、直進制御等を行なうことなく防止するために、供試ボディ2の後方を風下側に引くウェイトWを懸垂するものである。ウェイト懸垂装置5は、ムービングベルト3の風下側における床面から突き出した支柱の上端部に、滑車を回転可能に取り付けて構成されている。供試ボディ2から風下側(後方側)に引き出されたワイヤW2は、滑車において下向きに向きを変え、その下端部にウェイトWが接続されている。
【0020】
以下、台車1について、より詳細に説明する。
台車1は、左右前輪FW、左右後輪RWを有する4輪の構成となっている。
台車1は、メインフレーム10、フロントサスペンション20、リアサスペンション30、ステアリング機構40、アッパフレーム50、6分力検出装置100等を備えて構成されている。
【0021】
メインフレーム10は、フロントサスペンション20及びリアサスペンション30が取り付けられる台車1の本体部である。
メインフレーム10は、下面部11の前端部、後端部、側端部からそれぞれ上方に立設された前面部12、後面部13、側面部14を含むボックス状の本体部の前後に、フロントフレーム15及びリアフレーム16をそれぞれ突き出させて構成されている。
【0022】
下面部11は、本体部の床面を構成する部分であって、車幅方向における両端部に配置され前後方向に延びた平板状の部材である。
前面部12は、下面部11の前端部から上方へ立設されている。
また、前面部12の上端部には、ほぼ水平に配置された平板状の補強部材12aが固定されている。補強部材12aは、側面部14及びフロントフレーム15の前面部12に隣接する範囲の上端部にも固定されている。
【0023】
後面部13は、下面部11の後端部から上方へ立設されている。
また、後面部13の上端部における左右両端部には、側面部14の後面部13に隣接する範囲の上端部にも固定されたガセット状の補強部材13aが設けられている。
前面部12及び後面部13の下部における車幅方向中央部には、台形状の切欠部が形成されている。この切欠部の上端部には、後述するアッパフレーム取付部19が固定される。
側面部14は、前面部12と後面部13の側端部間にわたして設けられた平板状の部材であって、上下に2分割されている。
【0024】
フロントフレーム15及びリアフレーム16は、車幅方向に離間した一対がそれぞれ設けられ、鉛直方向及び前後方向にほぼ沿って伸びた平板状に形成されている。
左右のフロントフレーム15の前端部間は、アッパクロスメンバ15a及びロワクロスメンバ15bによって連結されている。アッパクロスメンバ15a及びロワクロスメンバ15bは、車幅方向に沿って延びた梁状の部材であって、上下方向に離間して配置されている。
左右のリアフレーム16の後端部間は、クロスメンバ17によって連結されている。クロスメンバ17は、車幅方向に沿って延びた梁状の部材であって、鉛直方向に沿って延びた平板状に形成されている。
クロスメンバ17の中間部における後方側には、リアサスペンション30のアッパリンク33及びロワリンク34が接続されるマウント部18が形成されている。
マウント部18は、クロスメンバ17の後面部から後方側へ突き出した左右一対のプレートを有して構成され、アッパリンク33及びロワリンク34はその後端部に連結される。
【0025】
メインフレーム10の本体部には、アッパフレーム50が6分力検出装置100を介して取り付けられるアッパフレーム取付部19が設けられている。
アッパフレーム取付部19は、メインフレーム10の前面部12と後面部13にわたして設けられ、水平方向にほぼ沿って延びた平板状の部材である。
【0026】
フロントサスペンション20は、前輪FWを支持するものであって、アップライト21、ロワリンク22、アッパリンク23、スプリングダンパユニット24等を有して構成されている。
アップライト21は、前輪FWを回転可能に支持するホイールベアリングを保持する部材である。
ロワリンク22、アッパリンク23は、アップライト21とフロントフレーム15とを連結するサスペンションアームである。
ロワリンク22のアップライト21側の端部は、ボールジョイント(スフェリカルベアリング)を介してアップライト21に対して揺動可能に連結されている。
ロワリンク22のフロントフレーム15側の端部は、フロントフレーム15の下部に対して、ほぼ前後方向に伸びた回転軸回りに揺動可能に連結されている。
アッパリンク23のアップライト21側の端部は、ボールジョイントを介してアップライト21に対して揺動可能に連結されている。
アッパリンク23のフロントフレーム15側の端部は、フロントフレーム15の中央部に対して、ほぼ前後方向に伸びた回転軸回りに揺動可能に連結されている。
アッパリンク23は、ロッドの両端部にネジ部を有し、全長調整が可能なターンバックル構成とされ、サスペンションジオメトリ、ホイールアライメントの変更が可能となっている(後述するリアサスペンション30のアッパリンク33、ロワリンク34も同様)。
【0027】
スプリングダンパユニット24は、油圧緩衝器及びこれと同軸に配置されたコイルスプリングをユニット化したものであって、ストロークに応じたバネ反力を発生するとともに、伸縮速度に応じた減衰力を発生するものである。
スプリングダンパユニット24は、伸縮方向が上下方向にほぼ沿って配置され、下端部はロワリンク22に対して揺動可能に連結されている。
また、スプリングダンパユニット24の上端部は、ボールジョイントを有するマウントを介してアッパフレーム50に連結されている。
さらに、スプリングダンパユニット24には、軸力を検出するロードセルが設けられている。
【0028】
リアサスペンション30は、後輪RWを支持するものであって、トレーリングリンク31、アップライト32、アッパリンク33、ロワリンク34、スプリングダンパユニット35等を有して構成されている。
トレーリングリンク31は、リアフレーム16の前側下部から車両後方側に延びて形成され、後端部にアップライト32が取り付けられるサスペンションアームである。
トレーリングリンク31は、リアフレーム16側の連結部支点に設けられたボールジョイント回りに、後端部が上下する方向に揺動可能となっている。
【0029】
アップライト32は、後輪RWを回転可能に支持するホイールベアリングを保持する部材である。
アップライト32は、トレーリングリンク31の後端部近傍における車幅方向外側の面部に固定されている。
アッパリンク33及びロワリンク34は、トレーリングリンク31とメインフレーム10のマウント部18とを連結するサスペンションアームである。
アッパリンク33及びロワリンク34は、車幅方向にほぼ沿って伸びかつ上下方向に離間して配置されている。
アッパリンク33及びロワリンク34のマウント部18側の端部は、マウント部18の後端部における上部及び下部に、それぞれボールジョイントを介して揺動可能に連結されている。
アッパリンク33及びロワリンク34のトレーリングリンク31側の端部は、トレーリングリンク31の後端部における上部及び下部に、それぞれボールジョイントを介して揺動可能に連結されている。
【0030】
スプリングダンパユニット35は、油圧緩衝器及びこれと同軸に配置されたコイルスプリングをユニット化したものであって、ストロークに応じたバネ反力を発生するとともに、伸縮速度に応じた減衰力を発生するものである。
スプリングダンパユニット35は、伸縮方向が上下方向にほぼ沿って配置され、下端部はトレーリングリンク31の後端部に対して揺動可能に連結されている。
また、スプリングダンパユニット35の上端部は、ボールジョイントを有するマウントを介してアッパフレーム50に連結されている。
さらに、スプリングダンパユニット35には、軸力を検出するロードセルが設けられている。
【0031】
また、アップライト21及びアップライト32には、前輪FW及び後輪RWに作用する上下方向、前後方向、車軸方向の3軸方向の力、及び、これらの3軸回りのモーメントを検出可能な6分力ロードセルが設けられている。
このようなロードセルとして、後に説明する6分力検出装置100と実質的に同様のものを適用することが可能である。
【0032】
ステアリング機構40は、クロスメンバ41、ステアリングサーボ42、タイロッド43等を有して構成されている。
クロスメンバ41は、左右のフロントフレーム15を連結するプレート状の部材であって、ステアリングサーボ42が取り付けられる座部となるものである。クロスメンバ41は、フロントフレーム15の前後方向における中間部の下部に設けられている。
【0033】
ステアリングサーボ42は、クロスメンバ41に搭載され、左右の前輪FWを操向する電動アクチュエータ(サーボモータ)である。
タイロッド43は、ステアリングサーボ42の動きを、フロントサスペンション20のアップライト21に伝達する軸状の部材である。タイロッド43は、アップライト21の前端部に設けられたナックルアームを押し引きすることによって、前輪FWをキングピン軸(アップライト21上下のボールジョイント中心線を結んだ直線)回りに回動させる。
なお、タイロッド43は、各図においては、左側のみ図示している。
【0034】
アッパフレーム50は、メインフレーム10の上部に設けられ、供試ボディ2が固定されるとともに、メインフレーム10のアッパフレーム取付部19と6分力検出装置100を介して接続されるものである。
【0035】
アッパフレーム50は、フロントフレーム51及びリアフレーム52を結合して構成されている。
フロントフレーム51は、6分力検出装置100の上部に配置された中央部から、左右斜め前方にそれぞれ延びたアーム部を有し、上方から見た平面形が前開きのV字状に形成されている。
リアフレーム52は、6分力検出装置100の上部に配置された中央部から、左右斜め後方にそれぞれ伸びたアーム部を有し、上方から見た平面形が後開きのV字状に形成されている。
リアフレーム52は、その中央部がフロントフレーム51の下部に結合されることによって、アッパフレーム50は、上方から見た平面形がX字状に形成されている。
【0036】
また、補強のため、フロントフレーム51は、下面から突き出したリブを有し、リアフレーム52は上面から突き出したリブを有する。フロントフレーム51のリブの下端部はリアフレーム52の上面に固定され、リアフレーム52のリブの上端部はフロントフレーム51の下面に固定されている。
フロントサスペンション20のスプリングダンパユニット24及びリアサスペンション30のスプリングダンパユニット35の上端部は、フロントフレーム51及びリアフレーム52の各アーム部の先端部にボールジョイントを介して連結されている。
【0037】
6分力検出装置100は、メインフレーム10のアッパフレーム取付部19と、リアフレーム52の中央部の下面部とを連結するとともに、これらの間に作用する6分力を検出するものである。
【0038】
6分力検出装置100は、実質的に円筒状に形成された感受体110、及び、この感受体110に設けられた複数のひずみゲージ及びこのひずみゲージを含むブリッジ回路を有して構成されている。
感受体110は、メインフレーム10のアッパフレーム取付部19と、アッパフレーム50の中央部における下面とを連結するものである。
図6は、実施例の6分力検出装置100における感受体110を中心軸を含む平面で切って見た断面図である。
図6に示すように、感受体110は、円筒部111、第1フランジ112、第2フランジ113等を有して形成されている。
【0039】
円筒部111は、所定の軸方向長さにわたって内径及び外径が実質的に一定である円筒状に形成された部分であって、後述する複数のひずみゲージが貼付(接着)される部分である
。
円筒部111の中心軸は、鉛直方向にほぼ沿って配置されている。
第1フランジ112は、円筒部111の一方の端部に設けられ、円筒部111に対して外径側及び内径側にそれぞれ張り出して形成された平板状の部分である。
第1フランジ112は
、図示しないボルトが締結されるネジ孔112aが形成されている。
また、円筒部111と第1フランジ112との間には、外径及び内径がこれらの中間となるように設定された中間部114が設けられている。中間部114の外周面は、円筒部111の外周面に対して段状に径を大きくして形成されている。また、中間部114の内周面は、円筒部111の内周面に対して段状に径を小さくして形成されている。
【0040】
第1フランジ112の外径側における第2フランジ113側の端面と、中間部114の外周面との間には、R部(R1)が設けられている。
中間部114の外径側における第2フランジ113側の端面と、円筒部111の外周面との間には、R部(R2)が設けられている。
第1フランジ112の内径側における第2フランジ113側の端面と、中間部114の内周面との間には、R部(R3)が設けられている。
中間部114の内径側における第2フランジ113側の端面と、円筒部111の内周面との間には、R部(R4)が設けられている。
上述した各R部(R1〜R4)のうち、R1とR3とは、感受体110の軸方向における位置がほぼ一致して配置されている。
また、R2とR4とは、感受体110の軸方向における位置が、R2のほうが第2フランジ113側となるようにオフセットして配置されている。
【0041】
第2フランジ113は、円筒部111の第1フランジ112とは反対側の端部に設けられ、円筒部111に対して外径側及び内径側にそれぞれ張り出して形成された平板状の部分である。
第2フランジ113は
、図示しないボルトが挿入されるボルト孔113aが形成されている
。
【0042】
円筒部111と第2フランジ113との間には、外径及び内径がこれらの中間となるように設定された中間部115が設けられている。中間部115の外周面は、円筒部111の外周面に対して段状に径を大きくして形成されている。また、中間部115の内周面は、円筒部111の内周面に対して段状に径を小さくして形成されている。
【0043】
第2フランジ113の外径側における第1フランジ112側の端面と、中間部115の外周面との間には、R部(R5)が設けられている。
中間部115の外径側における第1フランジ112側の端面と、円筒部111の外周面との間には、R部(R6)が設けられている。
第2フランジ113の内径側における第1フランジ112側の端面と、中間部115の内周面との間には、R部(R7)が設けられている。
中間部115の内径側における第1フランジ112側の端面と、円筒部111の内周面との間には、R部(R8)が設けられている。
上述した各R部(R5〜R8)のうち、R5とR7とは、感受体110の軸方向における位置がほぼ一致して配置されている。
また、R6とR8とは、感受体110の軸方向における位置が、R6のほうが第1フランジ112側となるようにオフセットして配置されている。
なお、第1フランジ112の厚さt1及び第2フランジ113の厚さt2は、円筒部111の肉厚t0に対して十分大きくなるように設定される。
【0044】
6分力検出装置100は、上述した感受体110の円筒部111に設けられるひずみゲージを含むブリッジ回路をそれぞれ有するFx検出系、Fy検出系、Fz検出系、Mx検出系、My検出系、Mz検出系をそれぞれ有する。
Fx検出系は、感受体110の円筒部111に作用する径方向(以下、x軸方向と称する)の力Fxを検出するものである。
Fy検出系は、感受体110の円筒部111に作用するx軸方向と直交する方向の径方向(以下、y軸方向と称する)の力Fyを検出するものである。
Fz検出系は、感受体110の円筒部111に作用する軸方向(以下、z軸方向と称する)の力Fzを検出するものである。
【0045】
Mx検出系は、感受体110の円筒部111に作用するx軸回りのモーメントMxを検出するものである。
My検出系は、感受体110の円筒部111に作用するy軸回りのモーメントMyを検出するものである。
Mz検出系は、感受体110の円筒部111に作用するz軸回りのモーメントMzを検出するものである。
【0046】
上述したFx検出系、Fy検出系、Fz検出系、Mx検出系、My検出系、Mz検出系は、それぞれ4つのひずみゲージを含むブリッジ回路を有して構成されている。
図7は、実施例の6分力検出装置におけるひずみゲージの配置を示す模式的斜視図である。
図8は、実施例の6分力検出装置における力検出系のひずみゲージの配置及びブリッジ回路の構成を示す図である。
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)は、それぞれFx検出系、Fy検出系、Fz検出系を示している。
図9は、実施例の6分力検出装置におけるモーメント検出系のブリッジ回路の構成を示す図である。
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)は、それぞれMx検出系、My検出系、Mz検出系を示している。
なお、
図8、
図9においては、中間部114、115等は図示を省略している。
【0047】
図7及び
図8に示すように、Fx検出系は、ひずみゲージ121〜124を有して構成されている。ひずみゲージ121〜124は、単軸のひずみゲージであって、その検出方向が円筒部111の中心軸方向と平行となるように、円筒部111の外周面に貼付されている。
ひずみゲージ121は、円筒部111の外周面における第1フランジ112側の領域(中間部114に近接した領域)に配置されている。
ひずみゲージ122は、ひずみゲージ121を通りかつ円筒部111の軸方向と平行な直線上に配置され、円筒部111の外周面における第2フランジ113側の領域(中間部115に近接した領域)に配置されている。
ひずみゲージ123は、ひずみゲージ122からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ122に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
ひずみゲージ124は、ひずみゲージ121からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ121に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
【0048】
また、
図8(a)に示すように、Fx検出系のブリッジ回路は、ひずみゲージ121〜124をループ状に順次接続し、ひずみゲージ122とひずみゲージ123との間、及び、ひずみゲージ121とひずみゲージ124との間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、ひずみゲージ121とひずみゲージ122との間、及び、ひずみゲージ123とひずみゲージ124との間の電位差を出力として抽出するものである。
【0049】
Fy検出系は、ひずみゲージ131〜134を有して構成されている。ひずみゲージ131〜134は、単軸のひずみゲージであって、その検出方向が円筒部111の中心軸方向と平行となるように、円筒部111の外周面に貼付されている。
ひずみゲージ131は、Fx検出系のひずみゲージ121に対して、円筒部111の中心軸回りに90度ずらして配置されている。
ひずみゲージ132は、Fx検出系のひずみゲージ122に対して、円筒部111の中心軸回りに90度ずらして配置されている。
ひずみゲージ131とひずみゲージ132とは、円筒部111の軸方向と平行な同一直線上に配置されている。
ひずみゲージ133は、ひずみゲージ132からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ132に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
ひずみゲージ134は、ひずみゲージ131からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ131に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
【0050】
また、
図8(b)に示すように、Fy検出系のブリッジ回路は、ひずみゲージ131〜134をループ状に順次接続し、ひずみゲージ132とひずみゲージ133との間、及び、ひずみゲージ131とひずみゲージ134との間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、ひずみゲージ131とひずみゲージ132との間、及び、ひずみゲージ133とひずみゲージ134との間の電位差を出力として抽出するものである。
【0051】
Fz検出系は、ひずみゲージ141〜144を有して構成されている。ひずみゲージ141〜144は、単軸のひずみゲージであって、その検出方向が円筒部111の中心軸方向と平行となるように、円筒部111の外周面に貼付されている。
ひずみゲージ141は、Fx検出系のひずみゲージ121、122の中間に配置されている。
ひずみゲージ142,143,144は、それぞれひずみゲージ141に対して、円筒部111の中心軸回りの位相が、90度、180度、270度ずれた位置に配置されている。
【0052】
また、
図8(c)に示すように、Fz検出系のブリッジ回路は、ひずみゲージ141,142,144,143をループ状に順次接続し、ひずみゲージ141とひずみゲージ143との間、及び、ひずみゲージ142とひずみゲージ144との間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、ひずみゲージ141とひずみゲージ142との間、及び、ひずみゲージ143とひずみゲージ144との間の電位差を出力として抽出するものである。
【0053】
図7及び
図9に示すように、Mx検出系は、ひずみゲージ151〜154を有して構成されている。ひずみゲージ151〜154は、単軸のひずみゲージであって、その検出方向が円筒部111の中心軸方向と平行となるように、円筒部111の外周面に貼付されている。
ひずみゲージ151は、Fy検出系のひずみゲージ131に対して、円筒部111の中心軸方向に隣接して配置されている。
ひずみゲージ152は、Fy検出系のひずみゲージ132に対して、円筒部111の中心軸方向に隣接して配置されている。
ひずみゲージ151とひずみゲージ152とは、円筒部111の軸方向と平行な同一直線上に配置されている。
ひずみゲージ153は、ひずみゲージ152からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ152に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
ひずみゲージ154は、ひずみゲージ151からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ151に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
【0054】
また、
図9(a)に示すように、Mx検出系のブリッジ回路は、ひずみゲージ151,153,152,154をループ状に順次接続し、ひずみゲージ151とひずみゲージ153との間、及び、ひずみゲージ152とひずみゲージ154との間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、ひずみゲージ151とひずみゲージ154との間、及び、ひずみゲージ153とひずみゲージ152との間の電位差を出力として抽出するものである。
【0055】
My検出系は、ひずみゲージ161〜164を有して構成されている。ひずみゲージ161〜164は、単軸のひずみゲージであって、その検出方向が円筒部111の中心軸方向と平行となるように、円筒部111の外周面に貼付されている。
ひずみゲージ161は、Fx検出系のひずみゲージ121に対して、円筒部111の中心軸方向に隣接して配置されている。
ひずみゲージ162は、Fx検出系のひずみゲージ122に対して、円筒部111の中心軸方向に隣接して配置されている。
ひずみゲージ161とひずみゲージ162とは、円筒部111の軸方向と平行な同一直線上に配置されている。
ひずみゲージ163は、ひずみゲージ162からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ162に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
ひずみゲージ164は、ひずみゲージ161からみて円筒部111の中心軸回りに180度ずらした位置(ひずみゲージ161に対して円筒部111の中心軸対称な位置)に配置されている。
【0056】
また、
図9(b)に示すように、My検出系のブリッジ回路は、ひずみゲージ161,163,162,164をループ状に順次接続し、ひずみゲージ161とひずみゲージ163との間、及び、ひずみゲージ162とひずみゲージ164との間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、ひずみゲージ161とひずみゲージ164との間、及び、ひずみゲージ163とひずみゲージ162との間の電位差を出力として抽出するものである。
【0057】
Mz検出系は、ひずみゲージ171〜174を有して構成されている。ひずみゲージ171〜174は、せん断形のひずみゲージであって、その検出方向が円筒部111の周方向となるように、円筒部111の外周面に貼付されている。
ひずみゲージ171は、Fz検出系のひずみゲージ141、142の中間に配置されている。
ひずみゲージ172は、Fz検出系のひずみゲージ142,144の中間に配置されている。
ひずみゲージ173,174は、それぞれひずみゲージ172,171に対して、円筒部111の中心軸対称となる位置に配置されている。
【0058】
また、
図9(c)に示すように、Mz検出系のブリッジ回路は、ひずみゲージ171,173,174,172をループ状に順次接続し、ひずみゲージ171とひずみゲージ173との間、及び、ひずみゲージ172とひずみゲージ174との間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、ひずみゲージ171とひずみゲージ172との間、及び、ひずみゲージ173とひずみゲージ174との間の電位差を出力として抽出するものである。
【0059】
なお、上述した前輪FW、後輪RWの車輪力検出にも、この6分力検出装置100と実質的に同様のロードセルを用いることができる。
例えば円筒状の感受体を車輪の回転中心軸と同心に配置し、一方の端部をアップライトに接続するとともに、他方の端部をホイールベアリングを介して車輪に接続すればよい。
【0060】
以上説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)台車1にフロントサスペンション20、リアサスペンション30等の運動機構を設けて、供試ボディ2を架装した状態で自立させ、メインフレーム10とアッパフレーム50との間に6分力検出装置100を設けたことによって、ヨー、ピッチ、ロール等の車両の動的な挙動を伴う過渡的な現象を適切に測定することが可能となる。
さらに、6分力検出装置100が台車10の内部に設けられているため、ポータビリティに優れ、様々な風洞施設等に最低限の改修で対応できる。また、測定結果から空力を算出する補正演算が容易となり、実構造換算でより近い空力を測定することができる。
(2)6分力検出装置100が、感受体110の円筒部111の外周面に添付された1分力あたり4つのひずみゲージを含むブリッジ回路を有する構成とすることによって、例えば十字状のビームを感受体とする既存の多分力ロードセルに対して、感受体110の製造及びひずみゲージの取付工程を簡素化することが可能となり、量産化が容易となってコストを低くすることができる。
また、筒状部111における応力斑の対称性を利用して、各分力の相互干渉を抑えるとともに、ドリフトをバランスさせ、ブリッジ回路の出力に対する信号処理演算を不要とすることが可能となり、信号処理系の構造を大幅に簡素化することができる。
(3)6分力検出装置100は、
図7に示すひずみゲージの配置とすることによって、全ての分力、モーメントの中心軸が1点に集中するいわゆる単焦点型の構成とすることが容易であり、分力相互間の干渉が低減されて補償換算が不要となる。
(4)アップライト21、32に車輪力を検出するロードセルを設けて、ボディ作用力の測定と同時に、アップライト21,32と車輪FW,RWとの間の作用力も測定可能とすることによって、より精度の高い現象の解析が可能となる。
(5)スプリングダンパユニット24,35にロードセルを設けて、サスペンション作用力を個別に検出することによって、リフト成分の計測や6分力検出装置100が検出したボディ作用力の校正を行うことが可能となり、より精度の高い測定を行なうことができる。
(6)前輪FWをアクチュエータによって操舵可能としたことによって、前輪のステアを伴う減少の再現が可能となる。
【0061】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)上述した実施例において、スプリングダンパユニットに代えて、例えばリニアソレノイド等のアクチュエータを設けて、サスペンションを強制的にストロークさせるいわゆるアクティブサスペンションとしてもよい。
これによれば、積極的に車両の姿勢を変化させることが可能となり、ユーザーが所望する現象の再現性を向上したり、より複雑な車両挙動を伴う現象の再現が可能となる。
(2)空力試験モデル懸架装置の構成は、実施例の台車の構成に限らず、適宜変更することが可能である。
例えば、各部材の形状、構造、材質、形状等は適宜変更することが可能である。また、サスペンション形式も適宜変更することが可能である。
(3)実施例においては台車に動力を設けておらずムービングベルトを有する風洞において試験を行う構成としているが、例えば台車に電動モータや小型エンジン等の走行用動力源及び駆動機構を設けて、例えばテストコース等を自走させながら空力試験を行うようにしてもよい。
(4)実施例において、供試ボディは例えば実車のボディ形状を縮小したスケールモデルであったが、本発明はこれに限らず、原寸大モデルを用いた試験にも適用することが可能である。
(5)空力試験モデル懸架装置の第1のフレームと第2のフレームとの間に設けられるロードセル、及び、車輪支持部に設けられるロードセルは、上述した実施例の6分力検出装置の構成に限らず、他の構造を有するロードセルであってもよい。
また、6分力の全てを測定するものに限らず、一部の分力のみを測定するものであってもよい。