(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電子機器が備える主要な部品を示す斜視図である。同図では、冷却ユニット40、アンテナ38,39、上シャーシ10、及び電気ケーブル31,32が示されている。
図2は上シャーシ10と、回路基板20と、下シャーシ5の分解斜視図である。
図3は上シャーシ10の平面図である。
図4は
図3に示すIV−IV線での断面図であり、
図5は
図3に示すV−V線での断面図である。
図6はケーブル31,32の屈曲した部分を示す拡大斜視図である。以下の説明においては、これらの図に示すX1及びX2をそれぞれ左方向及び右方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とし、Z1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。
【0009】
図1に示すように、電子機器は上シャーシ10を備えている。上シャーシ10は例えば1枚の金属板から板金加工により形成される板材である。また、電子機器は回路基板20を備えている(
図2参照)。上シャーシ10は回路基板20の一方の面(この例では上面)を覆っている。上シャーシ10は回路基板20と概ね同じサイズを有し、回路基板20の全体を覆っている。上シャーシ10は回路基板20に取り付けられている。例えば、上シャーシ10に形成された穴と回路基板20に形成された穴とに螺子が差し込まれ、この螺子がこれらを収容するハウジングに固定される。そして、回路基板20と上シャーシ10は、螺子とハウジングとによって挟まれ、互いに固定される。なお、この例の電子機器は、さらに回路基板20の下面を覆う下シャーシ5を有している(
図2参照)。
【0010】
回路基板20の上面には複数の電子部品が取り付けられている。この例では、
図2に示すように、回路基板20にはICチップ21,22やコネクタ29a〜29fが取り付けられている。上シャーシ10はICチップ21,22から出る電磁波を遮蔽する機能を有している。また、回路基板20の上面には、後述する電気ケーブル31,32が接続されるコネクタ23,24が取り付けられている。
【0011】
図1に示すように、上シャーシ10を挟んで回路基板20とは反対側には、すなわち、上シャーシ10の上側には冷却ユニット40が配置されている。この例の冷却ユニット40は冷却ファン41とカバー42とを含んでいる。カバー42の内側には、ICチップ21,22に熱的に接続されICチップ21,22の熱を受けるヒートシンクが配置されている。ヒートシンクは冷却ファン41によって形成された空気流により冷却される。
【0012】
電子機器はアンテナを有している。この例の電子機器は、
図1に示すように、2つのアンテナ38,39を有している。アンテナ38,39は、例えば、Bluetooth規格やIEEE802.11規格の無線通信に用いられるアンテナである。アンテナ38,39は回路基板20の外縁及び上シャーシ10の外縁よりも外方に位置している。この例では、
図3に示すように、アンテナ38,39は回路基板20の前縁及び上シャーシ10の前縁よりも前方に位置している。
図1に示すように、カバー42は回路基板20の前縁及び上シャーシ10の前縁を越えて張り出した部分42aを有し、アンテナ38,39は部分42aによって支持されている。アンテナ38,39は左右方向において離れて位置している。
【0013】
図1に示すように、電子機器はアンテナ38,39とコネクタ23,24とをそれぞれ接続する電気ケーブル31,32を有している。ケーブル31,32は例えば同軸ケーブルである。すなわち、ケーブル31,32は管状のグランド線とその内側に配置される信号線とを有している。コネクタ23,24は、例えば同軸コネクタである。
【0014】
ケーブル31,32は上シャーシ10の上側、すなわち上シャーシ10を挟んで回路基板20とは反対側を通っている。詳細には、ケーブル31,32は、コネクタ23,24側に、上流部31a,32aを有している(
図3参照)。上流部31a,32aは、後述する第1中途部31b,32bと、コネクタ23,24との間の部分である。
図1に示すように、上シャーシ10は、回路基板20のコネクタ23,24が取り付けられた部分を露出させる開口10eを有している。上流部31a,32aは上シャーシ10の上側に配置され、それらの端部(すなわちケーブル31,32の端部)は、開口10eの内側でコネクタ23,24にそれぞれ接続されている。このように上流部31a,32aは上シャーシ10を挟んで回路基板20とは反対側に位置しているので、上流部31a,32bにおいてケーブル31,32の信号にノイズが加わることを、抑えることができる。
図1に示すように、上シャーシ10は、上流部31a,32aが回路基板20の外縁(この例では右縁)に向かって延びるように当該上流部31a,32aの位置を固定するクランプ部10d,11fを有している。上流部31a,32aはクランプ部10dに引っ掛けられ、屈曲し、回路基板20の外縁の外方(この例では右方向)に延び、クランプ部11fに達している。後において詳説するように、この例のクランプ部11fは回路基板20の外縁(この例では右縁)の外方に位置している。
【0015】
ケーブル31,32は回路基板20の外縁に沿って配置されている。詳細には、
図3に示すように、ケーブル31,32は上流部31a,32aに続く第1中途部31b,32bをそれぞれ有している。また、ケーブル31,32は第1中途部31b,32bに続く第2中途部31c,32cをそれぞれ有している。第1中途部31b,32bと第2中途部31c,32cは回路基板20の外縁に沿って配置されている。特に第1中途部31b,32bは、回路基板20の外縁よりも外方において、回路基板20の外縁に沿って延びている(
図4参照)。
【0016】
回路基板20は、その外縁に、右縁20aと前縁20bと右縁20aと前縁20bとで形成される角20cとを有している(
図2参照)。
図4に示すように、第1中途部31b,32bは右縁20aに沿って配置され、且つ右縁20aよりも外方(すなわち右方向)に位置している。第2中途部31c,32cは前縁20bに沿って配置されている。この例の第2中途部31c,32cは回路基板20の最前部の上方に位置している。ケーブル31,32は、第1中途部31b,32bと第2中途部31c,32cとの間で、回路基板20の角20cに合わせて屈曲している(
図1参照)。
【0017】
このように、ケーブル31,32を回路基板20の外縁に沿って配置することにより、回路基板20上の電子部品から出る電磁波がケーブル31,32の信号に影響すること、すなわち信号にノイズが発生することを、効果的に抑えることができている。特に第1中途部31b,32bは回路基板20の外縁よりも外方に位置しているので、ノイズの発生をより効果的に抑えることができている。
【0018】
図3に示すように、アンテナ38,39とコネクタ23,24は、左右方向における回路基板20の中心を通る中心線Lyを挟んで互いに反対側に位置している。この例では、アンテナ38,39は中心線Lyに対して左方向に位置し、コネクタ23,24は中心線Lyに対して右方向に位置している。また、アンテナ38,39とコネクタ23,24は、前後方向における回路基板20の中心を通る線Lxを挟んで互いに反対側に位置している。この例では、アンテナ38,39は中心線Lxに対して前方に位置し、コネクタ23,24は中心線Lxに対して後方に位置している。本実施形態では、アンテナ38,39とコネクタ23,24と斜めに配置されるケーブルで接続するのではなく、回路基板20の角20cを経由するケーブル31,32でこれらを接続している。これにより、ケーブル31,32の信号にノイズが発生することを効果的に抑えながら、大きく離れて位置するアンテナ38,39とコネクタ23,24とを接続することができている。
【0019】
コネクタ23,24と第1中途部31b,32bは中心線Lyに対して同一方向に位置している。この例では、これらは中心線Lyに対して右方向に位置している。そのため、ケーブル31,32の上述した上流部31a,32aの長さを短くできている。
【0020】
図1に示すように、上シャーシ10はケーブル31,32を支持する支持部11,12を有している。第1支持部11はケーブル31,32の第1中途部31b,32bを支持し、第2支持部12は第2中途部31c,32cを支持している。特に第1支持部11は、第1中途部31b,32bを回路基板20の外縁よりも外方で支持している。このように、上シャーシ10でケーブル31,32を支持することにより、部品数の低減を図ることができている。
【0021】
支持部11,12は回路基板20の外縁に沿った溝を構成している。この例では、第1支持部11は回路基板20の右縁20aに沿った溝を構成し(
図4参照)、第2支持部12は回路基板20の前縁20bに沿った溝を構成している(
図5参照)。ケーブル31,32はこれらの溝の内側に配置されている。
【0022】
図4に示すように、上シャーシ10は、回路基板20の上面の外周部に接している接触部10aを有している。接触部10aは、回路基板20における電子部品が配置された領域を取り囲んでいる。第1支持部11は溝部11aを有している(
図1参照)。溝部11aはケーブル31,32の外周を取り囲む3つの壁部11b,11c,11dを含んでいる。第1壁部11bは接触部10aの外縁(この例では右縁)で屈曲し、回路基板20に対して立つように配置されている。この例の第1壁部11bは接触部10aの右縁から上方に屈曲している。なお、第1壁部11bは接触部10aの右縁から下方に屈曲してもよい。第1中途部31b,32bは第1壁部11bの外方に位置し、且つ第1壁部11bに沿って配置されている。第3壁部11dは第1壁部11bと対向し、第2壁部11cは第1壁部11bの縁(この例では上縁)と第3壁部11dの縁(この例では上縁)とを繋いでいる。ケーブル31,32はこれら3つの壁部11b,11c,11dの内側に配置されている。そのため、ケーブル31,32の信号にノイズが発生することを、さらに効果的に抑えることができている。特に第1壁部11bは、ケーブル31,32と回路基板20の上面との間に位置するため、電子部品から出る電磁波の信号への影響を効果的に抑える。
【0023】
図4に示すように、上シャーシ10は、接触部10aの内側に、回路基板20の上面から離れて位置し、回路基板20上の電子部品を覆う本体部10Aを有している。ここで本体部10Aは、接触部10aの内側の部分の全体である。上シャーシ10は、本体部10Aから接触部10aに向かって下がる壁部10bを有している。第1支持部11の第1壁部11bは壁部10bの外側に位置している。そのため、回路基板20上の電子部品から出る電磁波はこの2つの壁部10b,11bによって遮られる。なお、壁部10bには回路基板20と上シャーシ10の本体部10Aとの間に空気を導入するための複数の通気穴10cが形成されている(
図1参照)。
【0024】
図1に示すように、第1支持部11は、コネクタ23,24寄りの端部に、ケーブル31,32を留めるためのクランプ部11fを有している。クランプ部11fは、上シャーシ10のクランプ部10dに比べて後方に位置している。第1壁部11bの一方の端部はクランプ部11fに繋がっている。第1壁部11bの他方の端部、より具体的には溝部11aの端部は、回路基板20の角20cに達している。
【0025】
図4及び
図6に示すように、溝部11aは、第3壁部11dの縁(この例では下縁)から第1壁部11bに向かって突出する複数(この例では2つ)の突出部11e,11gを有している。突出部11e,11gは、壁部11b,11c,11dとともにケーブル31,32を取り囲んでいる。これにより、ケーブル31,32の位置をさらに安定させることができる。
【0026】
上述したように、第2支持部12は、ケーブル31,32の第2中途部31c,32cが内側に配置される溝を構成している。この例の第2支持部12は、
図5に示すように、壁部12aを有している。壁部12aは接触部10aの外縁(この例では下縁)で屈曲し、回路基板20に対して立つように配置されている。上述したように、上シャーシ10は本体部10Aから接触部10aに向かって下がる壁部10bを有している。第2中途部31c,32cは接触部10a上に位置し、回路基板20の下縁20bに沿って配置されている。第2中途部31c,32cのこのようなレイアウトによれば、第2中途部31c,32cにおいてケーブル31,32を流れる信号に電磁波が影響するのを、上シャーシ10によって抑えることができる。
図1及び
図5に示すように、第2支持部12は、壁部12aの上縁から本体部10Aに向かって突出する複数の突出部12bを有している。突出部12bは、壁部12aと接触部10aと壁部10bとともに、第2中途部31c,32cを取り囲んでいる。これにより、ケーブル31,32の位置を、安定させることができる。
【0027】
上述したように、ケーブル31,32は第1中途部31b,32bと第2中途部31c,32cとの間で、回路基板20の角20cに合わせて屈曲している。
図6に示すように、第1支持部11は、角20c側の端部に、突出部11hを有している。突出部11hは、板状の部分を折り曲げることにより形成されており、突出部11hの上縁11iは円弧となっている。ケーブル31,32の屈曲した部分、すなわち、第1中途部31b,32bと第2中途部31c,32cとの間の部分は突出部11hの上縁11iに配置されている。これにより、ケーブル31,32の屈曲した部分に負荷が掛ることを抑えることが可能となる。
【0028】
図1に示すように、ケーブル31,32は、第2中途部31c,32cに続く下流部31d,32dを有している。下流部31d,32dはアンテナ38,39にそれぞれ接続される端部を有している。すなわち、下流部31d,32dは、アンテナ38,39と第2中途部31c,32cとの間の部分である。この例の下流部31d,32dは、
図1に示すように、第2中途部31c,32cから回路基板20の外縁の内方に向かって延びている。そして、下流部31d,32dはカバー42の側壁部42bによって支持されている。詳細には、側壁部42bにはクランプ部42c,42d,42eが形成されている。下流部31d,32dはクランプ部42c,42d,42eに引っ掛けられ、側壁部42bに沿って配置されている。
【0029】
図1に示すように、クランプ部42c,42dは回路基板20の外縁よりも内方に位置している。クランプ部42c,42dは、上シャーシ10から上方に離れた位置に形成され、下流部31d,32dは上シャーシ10から上方に離れている。そのため、ケーブル31,32の信号に対する電子部品から出る電磁波の影響が低減されている。なお、クランプ部42eは回路基板20の外縁よりも外方に位置している。この例では、クランプ部42eは回路基板20の前縁20b(
図2参照)よりも前方に位置している。クランプ部42eは、他のクランプ部42c,42dよりも低い位置に形成されている。
【0030】
以上説明したように、コネクタ23,24とアンテナ38,39とを接続するケーブル31,32は、上シャーシ10に設けられたクランプ部10d,11fによって留められて、コネクタ23,24の位置から回路基板20の外縁に向けて延びている。そして、ケーブル31,32は、上シャーシ10によって回路基板20の外縁に沿って支持されている。この構造によれば、ケーブル31,32の信号に電子部品から出る電磁波が影響するのを抑えることができる。
【0031】
また、ケーブル31,32は、回路基板20の右縁20aと前縁20bと、それらによって形成される角20cとに沿って配置されている。これによれば、ケーブル31,32の信号にノイズが発生することを効果的に抑えながら、大きく離れて位置するアンテナ38,39とコネクタ23,24とを接続することができる。
【0032】
上シャーシ10は、回路基板20の外縁の外方でケーブル31,32を支持している。これによれば、ケーブル31,32の信号に電子部品から出る電磁波が影響するのを、さらに効果的に抑えることができる。
【0033】
上シャーシ10は、回路基板20の外縁の外方で前記ケーブルを支持する支持部を有し、回路基板20の一方の面を覆っている。これによれば、ケーブル31,32を支持する専用の部品が不要となるので、部品の数を低減できる。
【0034】
上シャーシ10は、その外周部に、回路基板20に接触する接触部10aを有し、ケーブル31,32は上シャー10シの接触部10a上に配置され、且つ回路基板20の外縁(以上の例では前縁)に沿って配置されている。この構造によれば、回路基板20に実装される集積回路などの電子部品とケーブル31,32との間に上シャーシ10が介在することとなる。その結果、ケーブル31,32の信号に電子部品から出る電磁波が影響するのを、効果的に抑えることができる。
【0035】
また、第1支持部11は、ケーブル31,32が内側に配置され、回路基板20の外縁に沿った溝を構成している。これによれば、ケーブル31,32の信号に電子部品から出る電磁波が影響するのを、さらに効果的に抑えることができる。
【0036】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、以上の説明では、アンテナ38,39とコネクタ23,34は中心線Lyを挟んで互いに反対側に位置しているが、これらは中心線Lyに対して同一方向に位置してもよい。また、アンテナ38,39とコネクタ23,34は中心線Lxを挟んで互いに反対側に位置しているが、これらは中心線Lxに対して同一方向に位置してもよい。
【0038】
また、第1支持部11は溝部11aを有していなくてもよい。例えば、回路基板20の縁に沿って並ぶ複数のクランプ部が第1支持部を構成してもよい。
【0039】
また、上シャーシ10とコネクタ23,24のうちいずれか一方は回路基板20の上面に取り付けられ、他方は回路基板20の下面に取り付けられてもよい。
【0040】
また、ケーブル31,32を支持する支持部は、下シャーシ5に形成されてもよい。
【0041】
また、以上説明した電子機器は、2つのコネクタ23,24と2つのアンテナ38,39を備えている。しかしながら、これらの数は2つに限定されず、例えば、1つや3つでもよい。
【0042】
また、ケーブル31、32の第1中途部31b,32bと第2中途部31c,32cの双方が回路基板20の外縁の外方に配置されてもよい。また、第1中途部31b,32bと第2中途部31c,32cの双方が上シャーシ10の接触部10a上において、回路基板20の外縁に沿って配置されてもよい。