特許第5898306号(P5898306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5898306直流電圧検出器およびそれを用いた電力変換装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5898306
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】直流電圧検出器およびそれを用いた電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20160324BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20160324BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20160324BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   H02P6/02 361K
   H02P7/63 303V
   H02M7/48 E
   H02M7/12 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-514328(P2014-514328)
(86)(22)【出願日】2012年5月11日
(86)【国際出願番号】JP2012062136
(87)【国際公開番号】WO2013168282
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 宏之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 彰修
(72)【発明者】
【氏名】細川 靖彦
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−313576(JP,A)
【文献】 特開2003−061380(JP,A)
【文献】 特開2001−025292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/16
H02M 7/12
H02M 7/48
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交流電圧を直流電圧に変換し、前記直流電圧を第2の交流電圧に変換して負荷に供給する電力変換装置において、前記直流電圧を検出する直流電圧検出器であって、
前記第1または第2の交流電圧を検出する交流電圧検出器と
前記交流電圧検出器によって検出された前記第1または第2の交流電圧に基づいて前記直流電圧を求める演算回路とを備え
前記負荷は同期電動機であり、
前記電力変換装置は、前記同期電動機を起動させるサイリスタ起動装置であって、第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電流を平滑化させる直流リアクトルと、前記コンバータから前記直流リアクトルを介して与えられた前記直流電力を第2の交流電力に変換して前記同期電動機に供給するインバータとを備え、
前記コンバータおよび前記インバータの各々は複数のサイリスタを含み、
前記第1および第2の交流電圧の各々は三相交流電圧であり、
前記第1の交流電圧は前記コンバータに入力される電圧であり、
前記第2の交流電圧は前記インバータから出力される電圧であり、
前記第2の交流電圧の周波数は変更可能になっていて、
前記演算回路は、前記交流電圧検出器によって検出された前記第1または第2の交流電圧と、前記コンバータまたは前記インバータに含まれる前記複数のサイリスタを制御する複数の制御信号とに基づいて、前記コンバータから出力される前記直流電圧または前記インバータに入力される前記直流電圧を求める、直流電圧検出器。
【請求項2】
第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと
直流電流を平滑化させる直流リアクトルと
前記コンバータから前記直流リアクトルを介して与えられた前記直流電力を第2の交流電力に変換して負荷に供給するインバータと
前記コンバータに入力される第1の交流電圧および前記インバータから出力される第2の交流電圧を検出する交流電圧検出器と
前記交流電圧検出器の検出結果に基づいて前記コンバータおよび前記インバータを制御する制御回路とを備え、
前記第1および第2の交流電圧の各々は三相交流電圧であり、
前記第2の交流電圧の周波数は変更可能になっていて、
前記負荷は同期電動機であり、
前記電力変換装置は前記同期電動機を起動させるサイリスタ起動装置であり、
前記コンバータおよび前記インバータの各々は複数のサイリスタを含み、
前記制御回路は
前記交流電圧検出器によって検出された前記第2の交流電圧に基づいて前記インバータに含まれる前記複数のサイリスタを制御する複数の制御信号を生成し、
さらに、前記複数の制御信号と前記交流電圧検出器によって検出された前記第2の交流電圧とに基づいて、前記インバータに入力される直流電圧を求める、電力変換装置。
【請求項3】
第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
直流電流を平滑化させる直流リアクトルと、
前記コンバータから前記直流リアクトルを介して与えられた前記直流電力を第2の交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、
前記コンバータに入力される第1の交流電圧および前記インバータから出力される第2の交流電圧を検出する交流電圧検出器と、
前記交流電圧検出器の検出結果に基づいて前記コンバータおよび前記インバータを制御する制御回路とを備え、
前記第1および第2の交流電圧の各々は三相交流電圧であり、
前記第2の交流電圧の周波数は変更可能になっていて、
前記負荷は同期電動機であり、
前記電力変換装置は前記同期電動機を起動させるサイリスタ起動装置であり、
前記コンバータおよび前記インバータの各々は複数のサイリスタを含み、
前記制御回路は
前記交流電圧検出器によって検出された前記第1の交流電圧に基づいて前記コンバータに含まれる前記複数のサイリスタを制御する複数の制御信号を生成し、
さらに、前記複数の制御信号と前記交流電圧検出器によって検出された前記第1の交流電圧とに基づいて、前記コンバータから出力される直流電圧を求める、電力変換装置。
【請求項4】
前記サイリスタ起動装置は、発電所の同期発電機を前記同期電動機として起動させる、請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は直流電圧検出器およびそれを用いた電力変換装置に関し、特に、直流電圧を検出する直流電圧検出器と、それを用いた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サイリスタ起動装置は、第1の三相交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電流を平滑化させる直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられた直流電力を第2の三相交流電力に変換して同期電動機に与えるインバータとを備える。また、サイリスタ起動装置は、コンバータに入力される第1の三相交流電圧とインバータから出力される第2の交流電圧とを検出する交流電圧検出器と、交流電圧検出器の検出結果に基づいてコンバータおよびインバータを制御する制御回路とを備える。第2の三相交流電力を制御することにより、停止状態の同期電動機を起動させて所定の回転速度で回転駆動させることができる(たとえば、特開2003−61380号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−61380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなサイリスタ起動装置においては、インバータに与えられる直流電圧が過大になってインバータなどが破壊されるのを防止したり、直流電圧のリップルを観測するため、直流電圧を検出する直流電圧検出器を設けることが好ましい。しかし、直流電圧検出器を別途設けると、装置の大型化、高価格化を招く。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、小型で低価格の直流電圧検出器と、それを用いた電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る直流電圧検出器は、第1の交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧を第2の交流電圧に変換して負荷に供給する電力変換装置において直流電圧を検出する直流電圧検出器であって、第1または第2の交流電圧を検出する交流電圧検出器と、交流電圧検出器によって検出された第1または第2の交流電圧に基づいて直流電圧を求める演算回路とを備えたものである。負荷は同期電動機である。電力変換装置は、同期電動機を起動させるサイリスタ起動装置であって、第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電流を平滑化させる直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられた直流電力を第2の交流電力に変換して同期電動機に供給するインバータとを備える。コンバータおよびインバータの各々は複数のサイリスタを含む。第1および第2の交流電圧の各々は三相交流電圧である。第1の交流電圧はコンバータに入力される電圧であり、第2の交流電圧はインバータから出力される電圧であり、第2の交流電圧の周波数は変更可能になっている。演算回路は、交流電圧検出器によって検出された第1または第2の交流電圧と、コンバータまたはインバータに含まれる複数のサイリスタを制御する複数の制御信号とに基づいて、コンバータから出力される直流電圧またはインバータに入力される直流電圧を求める。
【0009】
また、この発明に係る電力変換装置は、第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電流を平滑化させる直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられた直流電力を第2の交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、コンバータに入力される第1の交流電圧およびインバータから出力される第2の交流電圧を検出する交流電圧検出器と、交流電圧検出器の検出結果に基づいてコンバータまたはインバータを制御する制御回路とを備えたものである。第1および第2の交流電圧の各々は三相交流電圧であり、第2の交流電圧の周波数は変更可能になっている。負荷は同期電動機であり、電力変換装置は同期電動機を起動させるサイリスタ起動装置であり、コンバータおよびインバータの各々は複数のサイリスタを含む。制御回路は、交流電圧検出器によって検出された第2の交流電圧に基づいてインバータに含まれる複数のサイリスタを制御する複数の制御信号を生成し、さらに、複数の制御信号と交流電圧検出器によって検出された第2の交流電圧とに基づいて、インバータに入力される直流電圧を求める。
【0012】
また、この発明に係る他の電力変換装置は、第1の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電流を平滑化させる直流リアクトルと、コンバータから直流リアクトルを介して与えられた直流電力を第2の交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、コンバータに入力される第1の交流電圧およびインバータから出力される第2の交流電圧を検出する交流電圧検出器と、交流電圧検出器の検出結果に基づいてコンバータまたはインバータを制御する制御回路とを備えたものである。第1および第2の交流電圧の各々は三相交流電圧であり、第2の交流電圧の周波数は変更可能になっている。負荷は同期電動機であり、電力変換装置は同期電動機を起動させるサイリスタ起動装置であり、コンバータおよびインバータの各々は複数のサイリスタを含む。制御回路は、交流電圧検出器によって検出された第1の交流電圧に基づいてコンバータに含まれる複数のサイリスタを制御する複数の制御信号を生成し、さらに、複数の制御信号と交流電圧検出器によって検出された第1の交流電圧とに基づいて、コンバータから出力される直流電圧を求める。
【0013】
また好ましくは、サイリスタ起動装置は、発電所の同期発電機を同期電動機として起動させる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る直流電圧検出器では、電力変換装置に既に設けられている交流電圧検出器で検出された第1または第2の交流電圧に基づいて直流電圧を求める。したがって、装置の小型化、低価格化を図ることができる。
【0015】
また、この発明に係る電力変換装置では、既設の制御回路が、既設の交流電圧検出器によって検出された第1または第2の交流電圧に基づいて直流リアクトルの一方端子または他方端子の直流電圧を求める。したがって、直流電圧検出器を別途設ける必要がないので、装置の小型化、低価格化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の一実施の形態によるサイリスタ起動装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2図1に示した同期電動機の要部を示す回路図である。
図3図1に示した制御回路に含まれる演算回路の構成を示す回路図である。
図4図3に示した演算回路の動作を示すタイムチャートである。
図5図3に示した演算回路の動作を示す他のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態によるサイリスタ起動装置は、図1に示すように、商用交流電源(電力系統)1からの三相交流電力を受けて同期電動機11を起動させるものであり、交流電圧検出器2,7、交流電流検出器3,8、コンバータ4、直流リアクトル5、インバータ6、回転子位置検出器9、および制御回路10を備える。また、このサイリスタ起動装置は、商用交流電源1とコンバータ4の間に接続されたU相ラインUL、V相ラインVL、およびW相ラインWLと、インバータ6と同期電動機11の間に接続されたR相ラインRL、S相ラインSL、およびT相ラインTLとを備える。
【0018】
商用交流電源1で生成された商用周波数の三相交流電圧は、U相ラインUL、V相ラインVL、およびW相ラインWLを介してコンバータ4に与えられる。交流電圧検出器2は、U相ラインULとV相ラインVLの線間電圧Vuvと、V相ラインVLとW相ラインWLの線間電圧Vvwとを検出し、それらの検出値を示す信号を制御回路10に与える。交流電流検出器3は、U相ラインULに流れる電流Iuと、V相ラインVLに流れる電流Ivと、W相ラインWLに流れる電流Iwとを検出し、それらの検出値を示す信号を制御回路10に与える。
【0019】
コンバータ4は、商用交流電源1からの三相交流電力を直流電力に変換する。すなわち、コンバータ4は、サイリスタ21〜26を含む。サイリスタ21〜23のアノードはそれぞれU相ラインUL、V相ラインVL、およびW相ラインWLに接続され、それらのカソードはともに高電圧側出力端子4aに接続される。サイリスタ24〜26のカソードはそれぞれU相ラインUL、V相ラインVL、およびW相ラインWLに接続され、それらのアノードはともに低電圧側出力端子4bに接続される。
【0020】
サイリスタ21〜26のゲートは、それぞれ制御回路10からの制御信号φ21〜φ26を受ける。制御信号φ21〜φ26が「H」レベルにされると、それぞれサイリスタ21〜26がオンする。サイリスタ21〜26を所定のタイミングでオンさせることにより、三相交流電力を直流電力に変換することができる。
【0021】
直流リアクトル5は、コンバータ4の高電圧側出力端子4aとインバータ6の高電圧側入力端子6aとの間に接続され、直流電流を平滑化させる。コンバータ4の低電圧側出力端子4bとインバータ6の低電圧側入力端子6bとは直接接続される。
【0022】
インバータ6は、コンバータ4から直流リアクトル5を介して与えられた直流電力を所望の周波数の三相交流電力に変換する。すなわち、インバータ6は、サイリスタ31〜36を含む。サイリスタ31〜33のアノードはともに高電圧側入力端子6aに接続され、それらのカソードはそれぞれR相ラインRL、S相ラインSL、およびT相ラインTLに接続される。サイリスタ34〜36のアノードはそれぞれR相ラインRL、S相ラインSL、およびT相ラインTLに接続され、それらのカソードはともに低電圧側入力端子6bに接続される。
【0023】
サイリスタ31〜36のゲートは、それぞれ制御回路10からの制御信号φ31〜φ36を受ける。制御信号φ31〜φ36が「H」レベルにされると、それぞれサイリスタ31〜36がオンする。サイリスタ31〜36を所定のタイミングでオンさせることにより、直流電力を所望の周波数の三相交流電力に変換することができる。
【0024】
インバータ6で生成された三相交流電力は、R相ラインRL、S相ラインSL、およびT相ラインTLを介して同期電動機11に与えられる。同期電動機11は、図2に示すように、R相コイルCr、S相コイルCs、およびT相コイルCtを含む。コイルCr,Cs,Ctの一方端子は、それぞれR相ラインRL、S相ラインSL、およびT相ラインTLに接続される。コイルCr,Cs,Ctの他方端子は、ともに中性点に接続される。コイルCr,Cs,Ctに三相交流電力を供給すると、回転磁界が発生し、ロータ(図示せず)が回転する。
【0025】
図1に戻って、交流電圧検出器7は、R相ラインRLとS相ラインSLの線間電圧Vstと、S相ラインSLとT相ラインTLの線間電圧Vstとを検出し、それらの検出値を示す信号を制御回路10に与える。交流電流検出器8は、R相ラインRLに流れる電流Irと、S相ラインSLに流れる電流Isと、T相ラインTLに流れる電流Itとを検出し、それらの検出値を示す信号を制御回路10に与える。回転子位置検出器9は、同期電動機11の回転子位置を検出し、その検出値を示す信号を制御回路10に与える。
【0026】
制御回路10は、検出器2,3,7〜9からの信号に基いてコンバータ4およびインバータ6を制御する。たとえば、制御回路10は、交流電圧検出器2、交流電流検出器3、および回転子位置検出器9の検出結果に基づいて、コンバータ4に含まれるサイリスタ21〜26の制御信号φ21〜φ26を生成する。また、制御回路10は、交流電流検出器3,8、交流電圧検出器7、および回転子位置検出器9の検出結果に基づいて、インバータ6に含まれるサイリスタ31〜36の制御信号φ31〜φ36を生成する。
【0027】
また、制御回路10は、停止状態にある同期電動機11を起動させる場合は、インバータ6の出力を徐々に増大させるとともに、同期電動機11の回転に同期して三相交流電力の周波数を上昇させることにより、同期電動機11の回転速度を0から所定値まで増大させる。
【0028】
また、制御回路10は、制御信号φ31〜φ36と交流電圧検出器7の検出結果とに基づいて、インバータ6の入力端子6a,6b間の直流電圧VDCを求める。直流電圧VDCの検出結果は、たとえば、直流電圧VDCが過大になってインバータ6などが破壊されるのを防止するため(過電圧保護)や、直流電圧VDCのリップルをモニタするために使用される。
【0029】
このようなサイリスタ起動装置は、たとえば発電所において、停止状態の同期発電機を同期電動機として起動させるために使用される。同期発電機を同期電動機として所定の回転数で回転駆動させた状態で、サイリスタ起動装置を同期発電機から切り離すとともに、ガスタービンなどによって同期発電機を回転駆動させて交流電力を生成する。
【0030】
図3は、制御回路10に含まれる演算回路40の構成を示す回路図である。図3において、演算回路40は、ANDゲート41〜46、スイッチ51〜56、減算器61,63,66、および加算器62,64,65を含む。
【0031】
ANDゲート41は、制御信号φ31,φ35の論理積信号を出力する。ANDゲート42は、制御信号φ32,φ34の論理積信号を出力する。ANDゲート43は、制御信号φ32,φ35の論理積信号を出力する。ANDゲート44は、制御信号φ33,φ35の論理積信号を出力する。ANDゲート45は、制御信号φ33,φ34の論理積信号を出力する。ANDゲート46は、制御信号φ31,φ36の論理積信号を出力する。
【0032】
スイッチ51の一方端子は交流電圧Vrsを受ける。スイッチ51は、ANDゲート41の出力信号が「H」レベルである期間にオンし、ANDゲート41の出力信号が「L」レベルである期間にオフする。スイッチ52の一方端子は交流電圧Vrsを受ける。スイッチ52は、ANDゲート42の出力信号が「H」レベルである期間にオンし、ANDゲート42の出力信号が「L」レベルである期間にオフする。減算器61は、スイッチ51の他方端子の電圧V51からスイッチ52の他方端子の電圧V52を減算する。
【0033】
スイッチ53の一方端子は交流電圧Vstを受ける。スイッチ53は、ANDゲート43の出力信号が「H」レベルである期間にオンし、ANDゲート43の出力信号が「L」レベルである期間にオフする。スイッチ54の一方端子は交流電圧Vstを受ける。スイッチ54は、ANDゲート44の出力信号が「H」レベルである期間にオンし、ANDゲート44の出力信号が「L」レベルである期間にオフする。減算器63は、スイッチ53の他方端子の電圧からスイッチ54の他方端子の電圧を減算する。
【0034】
加算器65は、交流電圧Vrsの位相を180度遅延させた交流電圧と、交流電圧Vstの位相を180度遅延させた交流電圧とを加算して交流電圧Vtrを生成する(Vtr=−Vrs−Vst)。スイッチ55の一方端子は交流電圧Vtrを受ける。スイッチ55は、ANDゲート45の出力信号が「H」レベルである期間にオンし、ANDゲート45の出力信号が「L」レベルである期間にオフする。スイッチ56の一方端子は交流電圧Vtrを受ける。スイッチ56は、ANDゲート46の出力信号が「H」レベルである期間にオンし、ANDゲート46の出力信号が「L」レベルである期間にオフする。減算器66は、スイッチ55の他方端子の電圧からスイッチ56の他方端子の電圧を減算する。加算器62,64は、減算器61,63,66の出力電圧V61,V63,V64を加算して直流電圧V62を生成する。
【0035】
図4(a)〜(i)および図5(a)〜(e)は、図3に示した演算回路40の動作を示すタイムチャートである。制御信号φ31〜φ36は、図4(a)〜(f)に示すように、所定の周期のクロック信号である。1周期を0〜2πで表わすと、制御信号φ31は1周期のうちの0〜2π/3で「H」レベルになる。制御信号φ32は、1周期のうちの2π/3〜4π/3で「H」レベルになる。制御信号φ33は、1周期のうちの4π/3〜2πで「H」レベルになる。
【0036】
制御信号φ34〜φ36は、それぞれ制御信号φ31〜φ33をπだけ遅延させた信号である。すなわち、制御信号φ34は、1周期のうちのπ〜5π/3で「H」レベルになる。制御信号φ35は、1周期のうちの0〜π/3,5π/3〜2πで「H」レベルになる。制御信号φ36は、1周期のうちのπ/3〜πで「H」レベルになる。
【0037】
また図4(g)に示すように、交流電圧Vrsは、正弦波状に変化し、0〜πで正電圧となり、π〜2πで負電圧となる。交流電圧Vstは、交流電圧Vrsを2π/3だけ遅延させた電圧である。交流電圧Vtrは、交流電圧Vstを2π/3だけ遅延させた電圧である。
【0038】
0〜π/3の期間では、φ31,φ35がともに「H」レベルになり、図1のサイリスタ31,35がオンし、図2のコイルCr,Csに直流電圧VDCが印加されている。また、図3のANDゲート41の出力信号が「H」レベルになり、スイッチ51がオンする。したがって、0〜π/3の期間では図4(a)(e)(g)(h)に示すように、Vrs=V51=VDCである。
【0039】
また、π〜4π/3の期間では、φ32,φ34がともに「H」レベルになり、図1のサイリスタ32,34がオンし、図2のコイルCs,Crに直流電圧VDCが印加されている。また、図3のANDゲート42の出力信号が「H」レベルになり、スイッチ52がオンする。したがって、π〜4π/3の期間では図4(b)(d)(g)(i)に示すように、Vrs=V52=−VDCである。
【0040】
したがって、減算器61の出力電圧V61は、図5(a)に示すように、1周期のうちの0〜π/3,π〜4π/3で直流電圧VDCに等しくなる。同様に、図5(b)に示すように、1周期のうちの2π/3〜π,5π/3〜2πで減算器63の出力電圧V63は直流電圧VDCに等しくなる。また図5(c)に示すように、1周期のうちのπ/3〜2π/3,4π/3〜5π/3で減算器66の出力電圧V66は直流電圧VDCに等しくなる。したがって、加算器62の出力電圧V62は、図5(d)(e)に示すように、0〜2πの全域で直流電圧VDCに等しくなる。なお、図5(e)の直流電圧VDCは、図1のインバータ6の入力端子6a,6b間に直流電圧検出器を接続して実測したものである。
【0041】
以上のように、本実施の形態では、制御回路10内の演算回路40が、既設の交流電圧検出器7によって検出された交流電圧Vrs,Vstに基づいて、インバータ6の入力電圧VDCを求める。したがって、直流電圧検出器を別途設ける必要がないので、装置の小型化、低価格化を図ることができる。
【0042】
なお、この実施の形態では、加算器65によって交流電圧Vrs,Vstから交流電圧Vtrを求めたが、交流電圧検出器によってT相ラインTLとR相ラインRLの線間電圧Vtrを検出してもよい。この場合は、加算器65を除去し、交流電圧検出器によって検出した交流電圧Vtrをスイッチ55,56の一方端子に与えるとよい。
【0043】
また、この実施の形態では、サイリスタ31〜36の制御信号φ31〜φ36と交流電圧検出器7の検出値とに基づいて、インバータ6の入力端子6a,6b間の直流電圧VDCを求めた。同様にして、サイリスタ21〜26の制御信号φ21〜φ26と交流電圧検出器2の検出値とに基づいて、コンバータ4の出力端子4a,4b間の直流電圧を求めることが可能であることは言うまでもない。
【0044】
また、この実施の形態では、インバータ6が6個のサイリスタ31〜36を含む6相変換器である場合について説明したが、これに限るものではなく、インバータ6が6個以外の数のサイリスタで構成されていてもよいことは言うまでもない。たとえば、インバータ6が12個のサイリスタを含む12相変換器である場合や、インバータ6が24個のサイリスタを含む24相変換器である場合でも、実施の形態と同様にして直流電圧VDCを検出することができる。
【0045】
同様に、この実施の形態では、コンバータ4が6個のサイリスタ21〜26を含む6相変換器である場合について説明したが、これに限るものではなく、コンバータ4が6個以外の数のサイリスタで構成されていてもよいことは言うまでもない。たとえば、コンバータ4が12個のサイリスタを含む12相変換器である場合や、コンバータ4が24個のサイリスタを含む24相変換器である場合でも、実施の形態と同様にして直流電圧を検出することができる。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明でなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 商用交流電源、2,7 交流電圧検出器、3,8 交流電流検出器、4 コンバータ、4a 高電圧側出力端子、4b 低電圧側出力端子、5 直流リアクトル、6 インバータ、6a 高電圧側入力端子、6b 低電圧側入力端子、9 回転子位置検出器、10 制御回路、11 同期電動機、21〜26,31〜36 サイリスタ、40 演算回路、41〜46 ANDゲート、51〜56 スイッチ、61,63,66 減算器、62,64,65 加算器、Cr R相コイル、Cs S相コイル、Ct T相コイル、RL R相ライン、SL S相ライン、TL T相ライン、UL U相ライン、VL V相ライン、WL W相ライン。
図1
図2
図3
図4
図5