【文献】
Hepatitis C virus isolate 78387473K6 polyprotein gene, partial cds,GenBank Accession No.FJ931982,2010年 6月15日,[2015年11月25日検索]インターネット<URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/FJ931982>
【文献】
J. Infect. Dis.,2005年,Vol.192, No.12,pp.2112-2116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本出願人は、2011年4月29日に出願した係属中の米国特許出願第13/127,008号を開示し、本開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)は小型のエンベロープウイルスで、現在1億7000万超の個体が感染している、世界的にみても主要な健康を害するプラス鎖RNAウイルスである[Thomson, B.J. and R.G. Finch, Hepatitis C virus infection. Clin Microbiol Infect, 2005. 11(2): p. 86−94]。全てのヒトウイルスの中でも最も成功したウイルスの1つであるHCVは、優先的に、肝細胞に感染し、感染したすべての個体の内最大70%の肝臓内に残ることができる[Bowen, D.G. and C.M. Walker, Adaptive immune responses in acute and chronic hepatitis C virus infection. Nature, 2005. 436(7053): p. 946−52]。慢性的に感染した個体の最大30%が、個体の生存期間中、肝硬変および肝細胞癌(heptocellular carcinoma)(HCC)を含む進行性肝疾患を発症し、HCV感染は世界中で肝臓移植を引き起こす主要な要因となっている。さらに、HCV感染およびHBV感染は、全てのHCCの症例の70%と関連があるとされ、世界中での癌による死亡をもたらす第3番目の要因である[Levrero, M., Viral hepatitis and liver cancer: the case of hepatitis C. Oncogene, 2006. 25(27): p. 3834−47]。
【0004】
ウイルスの持続する性質により、HCV感染の治療が、極端に困難となり、かつ高価となる可能性がある。ほとんどの感染した状態の個体は治療を受けることはない。しかしながら、治療を受ける個体は、標準的な治療プロトコールに対し平均17,000〜22,000USドルを支払う[Salomon, J.A., et al., Cost−effectiveness of treatment for chronic hepatitis C infection in an evolving patient population. Jama, 2003. 290(2): p. 228−37]。遺伝子型1の感染は、ヨーロッパおよび北米で最も蔓延しており、予後不良であって、わずか42%の個体が標準的な治療に反応する、[Manns, M.P., et al., Peginterferon alfa−2b plus ribavirin compared with interferon alfa−2b plus ribavirin for initial treatment of chronic hepatitis C: a randomised trial. Lancet, 2001. 358(9286): p. 958−65]。
【0005】
したがって、広く蔓延している感染症であること、治療の効果が乏しいことおよび慢性HCVの経済的な負担は、本疾患と闘う新規の免疫療法戦略の開発が急務であることを例示するものである。現在、HCVの予防ワクチンまたは治療ワクチンは存在しない。
【0006】
このウイルスに対する適応免疫を理解することは、ウイルス性感染症と闘うDNAワクチンなどの設計戦略に重大な意味を有する。ウイルスに特異的な抗体は、HCV感染後7〜8週間内に検出される[Pawlotsky, J.M., Diagnostic tests for hepatitis C. J Hepatol, 1999. 31 Suppl 1: p. 71−9]が、再感染から対象を保護するものではなく[Farci, P., et al., Lack of protective immunity against reinfection with hepatitis C virus. Science, 1992. 258(5079): p. 135−40; Lai, M.Eet al.,Hepatitis C virus in multiple episodes of acute hepatitis in polytransfused thalassaemic children.Lancet,1994.343(8894):p.388−90]、感染症から回復した後、完全に存在しないものとなり得る[Cooper, S., et al., Analysis of a successful immune response against hepatitis C virus. Immunity, 1999. 10(4): p. 439−49; Post, J.J., et al., Clearance of hepatitis C viremia associated with cellular immunity in the absence of seroconversion in the hepatitis C incidence and transmission in prisons study cohort. J Infect Dis, 2004. 189(10): p. 1846−55]。
【0007】
したがって、HCVのワクチン開発における主要な課題の内の1つは、抗体に基づくワクチンの作製に成功したA型肝炎およびB型肝炎などの他の肝炎ウイルスとは異なり、HCV感染症に対する防御が、抗体を媒介するものではないらしいことである。免疫保護の正確な相関が依然として明らかとなっていないにも関わらず、急性感染の患者およびチンパンジーに関する多くの研究から、より遺伝的に保存されたウイルスの非構造領域を対象とする強力なTヘルパー1(Th1)反応が、HCV感染症のクリアランスに関連があるとする説得力のある証拠が提供された。Missale, G., et al., Different clinical behaviors of acute hepatitis C virus infection are associated with different vigor of the anti−viral cell−mediated immune response. J Clin Invest, 1996. 98(3): p. 706−14;およびDiepolder, H.M., et al., Possible mechanism involving T−lymphocyte response to non−structural protein 3 in viral clearance in acute hepatitis C virus infection. Lancet, 1995. 346(8981): p. 1006−7を参照。同じく重要なことに、末梢血よりも肝臓に対するHCVに特異的なT細胞の局在が、ウイルス負荷の減少および急性感染のクリアランスの両方において重要であることが示された。Thimme, R., et al., Determinants of viral clearance and persistence during acute hepatitis C virus infection. J Exp Med, 2001. 194(10): p. 1395−406;およびShoukry, N.H., et al., Memory CD8+ T cells are required for protection from persistent hepatitis C virus infection. J Exp Med, 2003. 197(12): p. 1645−55を参照。
【0008】
さらに、初期の、多特異的な肝臓内CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞反応を開始する感染した個体でHCV感染が消失する傾向があることが明らかとなった[Lechner, F., et al., Analysis of successful immune responses in persons infected with hepatitis C virus. J Exp Med, 2000. 191(9): p. 1499−512; Gerlach, J.T., et al., Recurrence of hepatitis C virus after loss of virus−specific CD4(+) T−cell response in acute hepatitis C. Gastroenterology, 1999. 117(4): p. 933−41; Thimme, R., et al., Determinants of viral clearance and persistence during acute hepatitis C virus infection. J Exp Med, 2001. 194(10): p. 1395−406; Grakoui, A., et al., HCV persistence and immune evasion in the absence of memory T cell help. Science, 2003. 302(5645): p. 659−62]。
【0009】
DNAワクチンは、弱毒化生ウイルスワクチンおよび組み換えタンパク質に基づくワクチンなどの、より伝統的なワクチン接種法を上回る多くの概念的な利点を有する。DNAワクチンは、安全であり、安定であり、容易に産生され、かつヒトにおいて十分に耐容性を示し、前臨床試験はプラスミド組み込みの証拠を示さない(Martin,T.,et al.,Plasmid DNA malaria vaccine:the potential for genomic integration after intramuscular injection.Hum Gene Ther,1999.10(5):p.759−68:Nichols,W.W.,et al.,Potential DNA vaccine integration into host cell genome.Ann N Y Acad Sci,1995.772:p.30−9)。さらに、DNAワクチンの有効性が、ベクターに対する、以前から存在する抗体力価によって影響されないという事実により、DNAワクチンは反復投与に十分に適する(Chattergoon,M.,J.Boyer,and D.B.Weiner,Genetic immunization:a new era in vaccines and immune therapeutics.FASEB J,1997.11(10):p.753−63)。しかし、大型動物に移行した時、DNAワクチンの臨床導入に対する1つの重大な障害は、プラットフォームとなる免疫原性の減少であった(Liu,M.A.and J.B.Ulmer,Human clinical trials of plasmid DNA vaccines.Adv Genet,2005.55:p.25−40)。コドン最適化、RNA最適化および免疫グロブリンリーダー配列の付加などの、DNAワクチン免疫原の遺伝子工学処理における最近の技術的進歩により、DNAワクチンの発現および免疫原性が改良され(Andre,S.,et al.,Increased immune response elicited by DNA vaccination with a synthetic gp120 sequence with optimized codon usage.J Virol,1998.72(2):p.1497−503;Deml,L.,et al.,Multiple effects of codon usage optimization on expression and immunogenicity of DNA candidate vaccines encoding the human immunodeficiency virus type 1 Gag protein.J Virol,2001.75(22):p.10991−1001;Laddy,D.J.,et al.,Immunogenicity of novel consensus−based DNA vaccines against avian influenza.Vaccine,2007.25(16):p.2984−9;Frelin,L.,et al.,Codon optimization and mRNA amplification effectively enhances the immunogenicity of the hepatitis C virus nonstructural 3/4A gene.Gene Ther,2004.11(6):p.522−33)、かつ、近年、電気穿孔法などのプラスミド送達システムの技術が開発された(Hirao,L.A.,et al.,Intradermal/subcutaneous immunization by electroporation improves plasmid vaccine delivery and potency in pigs and rhesus macaques.Vaccine,2008.26(3):p.440−8;Luckay,A.,et al.,Effect of plasmid DNA vaccine design and in vivo electroporation on the resulting vaccine−specific immune responses in rhesus macaques.J Virol,2007.81(10):p.5257−69;Ahlen,G.,et al.,In vivo electroporation enhances the immunogenicity of hepatitis C virus nonstructural 3/4A DNA by increased local DNA uptake,protein expression,inflammation,and infiltration of CD3+ T cells.J Immunol,2007.179(7):p.4741−53)。さらに、コンセンサス免疫原を使用することで、天然の抗原のみと比較して、細胞性免疫反応の幅を拡大させることができる可能性があることを複数の研究が示唆した(Yan.,J.,et al.,Enhanced cellular immune responses elicited by an engineered HIV−1 subtype B consensus−based envelope DNA vaccine.Mol Ther,2007.15(2):p.411−21;Rolland,M.,et al.,Reconstruction and function of ancestral center−of−tree human immunodeficiency virus type 1 proteins.J Virol,2007.81(16):p.8507−14)。
【0010】
HCVのNS3およびNS4をコードするDNAワクチンが、Lang, K.A. et al. Vaccine vol 26, issue 49, pp 6225−6231 (November 2008)において開示される。
【0011】
したがって、HCVに対して有効なワクチンに対するニーズが依然としてある。同様に、HCVに感染した個体を治療する有効な方法に対するニーズも依然としてある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」という語句は、1つの核酸分子が別の核酸分子とハイブリダイズするが、他の配列とはハイブリダイズしない条件を表す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる環境において様々である。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特異的配列の熱融解点(Tm)より約5℃低く選択される。Tmは、標的配列と相補的なプローブの50%が、平衡状態でこの標的配列とハイブリダイズする(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度の下での)温度である。一般に、これらの標的配列はTmにおいて過剰に存在するので、これらのプローブの50%が平衡状態で占有する。典型的には、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において、塩濃度が約1.0M未満のナトリウムイオン、典型的に約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)に対して少なくとも約30℃であり、長いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドに対して少なくとも約60℃である条件であろう。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定剤の付加によっても達成され得る。
【0020】
ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列相同性を、FASTA、BLASTおよびGapped BLAST(Altschul et al.,Nuc.Acids Res.,1997,25,3389、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)ならびにPAUP*4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて測定してもよい。「類似度のパーセンテージ」を、PAUP*4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて計算する。コンセンサス配列の平均類似度を、系統樹の全配列と比較して計算する。
【0021】
簡潔に述べると、Basic Local Alignment Search Toolを表すBLASTアルゴリズムは、配列類似度の決定に適している(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403−410,これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)。BLAST解析を行うソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公表されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同一の長さのワードと整列させた時に、ある正の値の域値スコア(positive−valued threshold score)Tと一致するかまたはそれを満足させる問い合わせ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、ハイスコアな配列の対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア域値(neighborhood word score threshold)と称される(Altschul et al.,前出)。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含むHSPを見出す検索を開始するための種として機能する。このワードヒットは、累積のアラインメントスコアが増加することができる限り、各配列に沿って両方向に拡大される。各方向のワードヒットの拡大は、以下の場合に停止される:1)累積のアラインメントスコアが、その最大達成値からX量低下する場合;2)1つ以上の負のスコア残基アラインメント(negative−scoring residue alignments)の蓄積により、累積スコアが0以下になる場合;または3)いずれかの配列の末端に到達する場合。BlastアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。このBlastプログラムでは、初期設定として、ワード長(W)が11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89,10915−10919を参照、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)アラインメント(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=4、および両鎖の比較が使用される。このBLASTアルゴリズム(Karlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,5873−5787、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)およびGapped BLASTは、2つの配列間の類似度の統計解析を行う。このBLASTアルゴリズムによって提供される類似度の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列間の一致が偶然に生じる確率の指標を与える最小合計確率(smallest sum probability(P(N))である。例えば、試験核酸と他の核酸の比較における最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は別の核酸と類似するとみなされる。
【0022】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を表す。コード配列は、核酸分子が投与される個体の細胞において発現を指示することができる、プロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素と作動可能に連結される開始シグナルおよび終止シグナルを含む。
【0023】
本明細書で使用される「発現できる形態」という用語は、個体の細胞に存在する時に、コード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列と作動可能に連結される必須の調節配列を含む遺伝子構築物を表す。
【0024】
特に、ウイルス内の複数の保存領域を対象とする細胞傷害性T細胞反応ならびにIFN−γおよびHCV特異的T細胞反応を含む、亢進した細胞免疫反応を誘導することができる異なるDNAワクチンを設計するための複数のステップの手法から生じる改良型ワクチンを開示する。たとえば、コンセンサス抗原NS4B、NS5A、およびNS5Bを含むDNAワクチンを含む、改変したコンセンサス配列を作製した。コドン最適化、RNA最適化、および高効率な免疫グロブリンリーダー配列の付加を含む遺伝子改変も開示する。
【0025】
改良型HCVワクチンは、抗HCVを誘導することができる免疫原として改良型ワクチンを特に効果的にさせるエピトープを有するタンパク質、およびそのようなエピトープを有するタンパク質をコードする遺伝子構築物に基づく。
【0026】
いくつかの実施形態において、a)配列番号2;配列番号2と98%相同性のあるタンパク質;または配列番号2の免疫原性断片;b)配列番号4;配列番号4と98%相同性のあるタンパク質;または配列番号4の免疫原性断片;c)配列番号6;配列番号6と98%相同性のあるタンパク質;または配列番号6の免疫原性断片を含む群から選択される1つ以上のタンパク質をコードするコード配列を含む核酸分子がある。いくつかの実施形態において、この核酸分子は、配列番号9をコードするIgEリーダーのコード配列が存在しない可能性がある。好ましくは、この核酸分子は、a)配列番号1;または配列番号1と98%相同性のあるコード配列;b)配列番号3;または配列番号3と98%相同性のあるコード配列;c)配列番号5;または配列番号5と98%相同性のあるコード配列を含む群から選択される1つ以上の配列とすることができる。いくつかの実施形態において、これらの核酸分子は、配列番号7または配列番号8の配列を有するIgEリーダーのコード配列が存在しない。
【0027】
したがって、ワクチンは治療的または予防的に免疫反応を誘導し得る。いくつかの実施形態において、この免疫原を送達する手段には、DNAワクチン、組み換えワクチン、タンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む組成物、弱毒化ワクチンまたは不活化ワクチンがある。いくつかの実施形態において、このワクチンは、以下からなる群から選択される組み合わせを含む:1つ以上のDNAワクチン、1つ以上の組み換えワクチン、1つ以上のタンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む1つ以上の組成物、1つ以上の弱毒化ワクチンおよび1つ以上の不活化ワクチン。
【0028】
いくつかの実施形態によると、ワクチンが個体に送達され、この個体の免疫システムの活性を調節し、それによって、HCVに対する免疫反応が高まる。このタンパク質をコードする核酸分子がこの個体の細胞に取り込まれると、このヌクレオチド配列がこれらの細胞において発現し、それによって、このタンパク質がこの個体に送達される。プラスミドなどの核酸分子上のこのタンパク質のコード配列を、組み換えワクチンの一部としておよび弱毒化ワクチンの一部として、単離したタンパク質またはベクターのタンパク質部分として送達する方法を提供する。
【0029】
別の実施態様において、a)配列番号2;配列番号2と98%相同性のあるタンパク質;または配列番号2の免疫原性断片;b)配列番号4;配列番号4と98%相同性のあるタンパク質;または配列番号4の免疫原性断片;またはc)配列番号6;配列番号6と98%相同性のあるタンパク質;または配列番号6の免疫原性断片からなる群から選択されるタンパク質がある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるタンパク質は、配列番号9の配列を有するIgEリーダーが存在しない可能性がある。
【0030】
さらに、HCVと診断された対象の治療方法であって、本明細書に記載される核酸分子をこの対象に投与することを含む方法の態様を開示する。
【0031】
さらに、HCVと診断された対象の治療方法であって、本明細書中のタンパク質を投与することを含む方法を本明細書に記載する。
【0032】
さらに、本明細書中に提供される核酸分子および薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物が本明細書中に記載される。
【0033】
さらに、本明細書中に提供されるタンパク質および薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物が存在する。
【0034】
HCVに対して予防的および/または治療的に個体を免疫化する組成物ならびに方法を提供する。この免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を送達するための組成物を、調節要素と作動可能に連結する。組成物には、この免疫原をコードするプラスミド、この免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む組み換えワクチン、本発明のタンパク質をコードするおよび/もしくは本発明のタンパク質を含む弱毒化生病原体;本発明のタンパク質を含む不活化病原体;または本発明のタンパク質を含むリポソームもしくはサブユニットワクチンなどの組成物が含まれてもよい。本発明は、さらに、組成物を含む注射可能な医薬組成物に関する。
【0035】
配列番号1は、HCVタンパク質NS4BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。さらに、配列番号1は、IgEリーダーからの追加的な5´上流配列と共に、HCVタンパク質NS4BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列に連結したIgEリーダー配列を含む。配列番号2は、HCVタンパク質NS4BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。さらに、配列番号2は、コンセンサス免疫原配列に連結したIgEリーダー配列を含む。このIgEリーダー配列は、コンセンサスNS4Bに対するN末端であり、かつ配列番号9であり、かつ配列番号8によりコードすることができる。
【0036】
本明細書に記載されるコンセンサス抗原およびその抗原から作製されるワクチンは、IgEリーダー配列を含むことができ、またはIgEリーダー配列を除去させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、好ましくは配列番号2または配列番号2をコードする核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、好ましくは、ワクチンは配列番号1を含む。好ましくは、ワクチンは、配列番号9のIgEリーダー配列またはそれと同一のものをコードする核酸配列を含む。
【0038】
配列番号1の相同配列は、90以上のヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号1の断片は、180以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、270以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、360以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、450以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、540以上のヌクレオチドを、いくつかの実施形態において、630以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、720以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、810以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、870以上のヌクレオチドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、配列番号1の断片は、IgEリーダー配列のコード配列を含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号1の相同配列は、IgEリーダー配列のコード配列を含まない。好ましくは、この相同配列は、配列番号1と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは、98%または99%の相同性を有する。いくつかの実施形態において、配列番号1の免疫原性断片が存在し、好ましくは、配列番号1と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%、より好ましくは98%または99%の相同性を有する断片が存在する。
【0039】
配列番号2の相同配列は、30以上のアミノ酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、配列番号2の断片は60以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、90以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、120以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、150以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、180以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、210以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、240以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、270以上のアミノ酸を含んでもよい。好ましくは、この相同配列は、配列番号2と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは、98%または99%の相同性を有する。いくつかの実施形態において、配列番号2の免疫原性断片が存在し、好ましくは、配列番号2と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性、好ましくは98%または99%の相同性を有する断片が存在する。
【0040】
配列番号3は、HCVタンパク質NS5AのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。配列番号4は、HCVタンパク質NS5AのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号3は、IgEリーダーからの追加的な5´上流配列と共に、HCVタンパク質NS5AのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列に連結するIgEリーダー配列をさらに含む。配列番号4は、HCVタンパク質NS5AのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号4は、コンセンサス免疫原配列NS5Aに連結したIgEリーダー配列をさらに含む。このIgEリーダー配列は、コンセンサスNS5Aに対するN末端であり、配列番号9であり、かつ配列番号7によりコードすることができる。
【0041】
配列番号3の相同配列は、90以上のヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号3の断片は、180以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、270以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、360以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、450以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、540以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、630以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、720以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、810以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、900以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、990以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1080以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1170以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1260以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1350以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1430以上のヌクレオチドを含んでもよい。好ましくは、この相同配列は、配列番号3と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは98%または99%の相同性を有する。いくつかの実施形態において、配列番号3の免疫原性断片が存在し、好ましくは、配列番号3と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性、より好ましくは98%または99%の相同性を有する断片が存在する。
【0042】
配列番号4の相同配列は、30以上のアミノ酸を含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号4の断片は、60以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、90以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、120以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、150以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、180以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、210以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、240以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、270以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、300以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、330以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、360以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、390以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、420以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、450以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、470以上のアミノ酸を含んでもよい。好ましくは、この相同配列は、配列番号4と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは98%または99%の相同性を有する。いくつかの実施形態において、配列番号4の免疫原性断片が存在し、好ましくは、配列番号4と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性、より好ましくは98%または99%の相同性を有する断片が存在する。
【0043】
配列番号5は、HCVタンパク質NS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む。配列番号6は、HCVタンパク質NS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号5は、IgEリーダーからの追加的な5´上流配列と共に、HCVタンパク質NS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原をコードするヌクレオチド配列に連結するIgEリーダー配列をさらに含む。配列番号6は、HCVタンパク質NS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む。配列番号6は、コンセンサス免疫原配列NS5Bに連結したIgEリーダー配列をさらに含む。このIgEリーダー配列は、コンセンサスNS5Bに対するN末端であり、配列番号9であり、配列番号8によりコードすることができる。
【0044】
配列番号5の相同配列は、90以上のヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号5の断片は、180以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、270以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、360以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、450以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、540以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、630以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、720以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、810以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、900以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、990以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1080以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1170以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1260以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1350以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1440以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1530以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1620以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1710以上のヌクレオチドを;いくつかの実施形態において、1800以上のヌクレオチドを含んでもよい。好ましくは、この相同配列は、配列番号5と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは98%または99%の相同性を有する。いくつかの実施形態において、配列番号5の免疫原性断片が存在し、好ましくは、配列番号5と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性を有し、より好ましくは98%または99%の相同性を有する断片が存在する。
【0045】
配列番号6の相同配列は、30以上のアミノ酸を含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号6の断片は、60以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、90以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、120以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、150以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、180以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、210以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、240以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、270以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、300以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、330以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、360以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、390以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、420以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、450以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、480以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、510以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、540以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、570以上のアミノ酸を;いくつかの実施形態において、600以上のアミノ酸を含んでもよい。好ましくは、この相同配列は、配列番号6と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは98%または99%の相同性を有する。いくつかの実施形態において、配列番号6の免疫原性断片が存在し、好ましくは、配列番号6と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有し、より好ましくは、98%または99%の相同性を有する断片が存在する。
【0046】
いくつかの実施形態によると、免疫原に対する免疫反応を個体において誘導する方法は、HCVタンパク質NS4B、NS5AもしくはNS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列、またはその機能的断片、またはその発現できるコード配列、または上述の組み合わせをこの個体に投与するステップを含む。いくつかの実施形態は、HCVタンパク質NS4B、NS5AもしくはNS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列またはその断片をコードする単離した核酸分子を含む。いくつかの実施形態は、HCVタンパク質NS4B、NS5AもしくはNS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列またはその断片をコードする組み換えワクチンを含む。いくつかの実施形態は、HCV7タンパク質NS4B、NS5AもしくはNS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列またはその断片を含むサブユニットワクチンを含む。いくつかの実施形態は、HCVタンパク質NS4B、NS5AもしくはNS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス免疫原のアミノ酸配列を含む弱毒化生ワクチンおよび/または不活化ワクチンを含む。
【0047】
改良型ワクチンは、抗HCV免疫反応を誘導することができ、特に、肝臓内HCV特異的T細胞の免疫を誘導することのできる免疫原として改良型ワクチンを特に効果的にさせるエピトープを有するタンパク質、およびそのようなエピトープを有するタンパク質をコードする遺伝子構築物を含む。したがって、治療的または予防的に免疫反応を誘導するために、ワクチンを提供することができる。いくつかの実施形態において、この免疫原を送達する手段には、DNAワクチン、組み換えワクチン、タンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む組成物、弱毒化ワクチンまたは不活化ワクチンがある。いくつかの実施形態において、このワクチンは、以下からなる群から選択される組み合わせを含む:1つ以上のDNAワクチン、1つ以上の組み換えワクチン、1つ以上のタンパク質サブユニットワクチン、この免疫原を含む1つ以上の組成物、1つ以上の弱毒化ワクチン、1つ以上の不活化ワクチン。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によると、ワクチンは、個体の免疫系の活性を調節するために個体に送達されることにより、免疫反応を高める。タンパク質をコードする核酸分子が、個体の細胞により取り込まれると、この核酸配列は細胞内で発現され、それにより、タンパク質が個体に送達される。本発明の態様は、プラスミドなどの核酸分子上のタンパク質コード配列を、組み換えワクチンの一部として、弱毒化ワクチンの一部として、単離したタンパク質またはベクターのタンパク質部分として送達する方法を提供する。
【0049】
本発明のいくつかの態様によると、予防的におよび/または治療的に個体を免疫化する組成物ならびに方法が提供される。
【0050】
DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、同第5,676,594号、および本明細書で引用する優先出願に記載されており、これらは参照により各々が本明細書に組み込まれる。それらの出願に記載される送達プロトコールに加えて、DNAを送達する代替方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
本発明は、改良型弱毒化生ワクチン、改良型不活化ワクチン、および抗原をコードする外来遺伝子を送達するために組み換えベクターを使用する改良型ワクチン、さらにサブユニットワクチンおよび糖タンパク質ワクチンに関する。弱毒化生ワクチン、組み換えベクターを使用して外来抗原を送達するワクチン、サブユニットワクチンおよび糖タンパク質ワクチンの例は、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号および同第6,589,529号に記載されており、これらは参照により各々が本明細書に組み込まれる。
【0052】
細胞に取り込まれると、この遺伝子構築物(複数可)は、機能している染色体外分子としてこの細胞内に存在したままであってもよく、かつ/またはこの細胞の染色体DNAに組み込まれてもよい。DNAは細胞内に導入されてもよく、そこで、1つまたは複数のプラスミドの形態の別々の遺伝物質として留まる。あるいは、染色体に組み込むことができる直鎖DNAを、この細胞に導入してもよい。この細胞にDNAを導入する場合、染色体へのDNA組み込みを促進する薬剤を加えてもよい。組み込みを促進するのに有用なDNA配列が、このDNA分子に含まれてもよい。あるいは、RNAをこの細胞に投与してもよい。セントロメア、テロメアおよび複製開始点を含む直鎖ミニ染色体としてこの遺伝子構築物を提供することも考えられる。遺伝子構築物は、細胞内で生存する弱毒化された生の微生物または組み換え微生物ベクターの遺伝物質の一部のままであってもよい。遺伝子構築物は、組み換えウイルスワクチンのゲノムの一部であってもよく、ここで、この遺伝物質はこの細胞の染色体に組み込まれるかまたは染色体外に留まるかのいずれかである。遺伝子構築物は、核酸分子の遺伝子発現に必要な調節要素を含む。これらの要素には、プロモーター、開始コドン、終止コドン、およびポリアデニル化シグナルが含まれる。さらに、大抵、エンハンサーは、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現に必要とされる。これらの要素は、所望のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結されること、およびこれらの調節要素は、これらが投与される個体において作動可能であることが必要である。
【0053】
開始コドンおよび終止コドンは、一般に、所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であると考えられる。しかし、これらの要素は、この遺伝子構築物が投与される個体において機能的であることが必要である。開始および終止コドンはコード配列と共にフレームの中になければならない。
【0054】
使用されるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルは、個体の細胞内で機能的でなければならない。
【0055】
本発明を実行するのに有用な、特にヒトの遺伝子ワクチンの産生において有用なプロモーターの例として、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、マウス乳ガンウイルス(MMTV)プロモーター、BIV末端反復配列(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、ALVプロモーター、CMV最初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターならびにヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターが挙げられるが、それらに限定されない。
【0056】
本発明を実行するのに有用な、特にヒトの遺伝子ワクチンの産生において有用なポリアデニル化シグナルの例として、SV40ポリアデニル化シグナルおよびLTRポリアデニル化シグナルが挙げられるが、それらに限定されない。特に、プラスミドpCEP4(Invitrogen,San Diego CA)内に存在し、SV40ポリアデニル化シグナルと称されるSV40ポリアデニル化シグナルを使用する。
【0057】
DNA発現に必要な調節要素に加えて、他の要素もこのDNA分子の中に含まれてもよい。かかる追加の要素はエンハンサーを含む。このエンハンサーは、以下を含む群から選択されてもよいがそれらに限定されない:ヒトアクチンエンハンサー、ヒトミオシンエンハンサー、ヒトヘモグロビンエンハンサー、ヒト筋肉クレアチンエンハンサーならびにCMV、RSVおよびEBVのエンハンサーなどのウイルスエンハンサー。
【0058】
遺伝子構築物は、染色体外にこの遺伝子構築物を維持し、細胞内でこの構築物の複数のコピーを産生するために、哺乳類複製開始点が供給され得る。インビトロジェン(San Diego,CA)のプラスミドpVAX1、pCEP4およびpREP4は、組み込まれることなく、高コピーのエピソーム複製を行うエプスタイン・バーウイルス複製開始点および核抗原EBNA−1コード領域を含む。
【0059】
免疫化の適用に関連するいくつかの好ましい実施形態において、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および追加として、かかる標的タンパク質に対する免疫反応をさらに高めるタンパク質の遺伝子を含む核酸分子(複数可)を送達する。かかる遺伝子の例として、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮細胞増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、MHC、CD80、CD86およびシグナル配列が除去され、任意でIgEのシグナルペプチドを含むIL−15を含むIL−15などの他のサイトカインならびにリンホカインをコードする遺伝子が挙げられる。有用であり得る他の遺伝子には、以下をコードする遺伝子が含まれる:MCP−1、MIP−lα、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異型、CD40、CD40L、血管増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2およびそれらの機能的断片。
【0060】
何らかの理由で、この遺伝子構築物を受け取る細胞を除去することが望ましい場合、細胞破壊の標的として機能を果たす追加の要素を加えてもよい。発現できる形態のヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子を、この遺伝子構築物に含めることができる。薬剤ガンシクロビルはこの個体に投与され得、かつこの薬剤はtkを産生する全細胞を選択的に死滅させるため、この遺伝子構築物を有する細胞の選択的破壊のための手段をもたらす。
【0061】
タンパク質産生を最大限するために、この構築物が投与される細胞における遺伝子発現に十分に適した調節配列を選択してもよい。さらに、細胞内で最も効率的に転写されるコドンを選択してもよい。当業者は、細胞内で機能的なDNA構築物を作製することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、本明細書記載のタンパク質のコード配列がIgEシグナルペプチドと連結される遺伝子構築物を提供し得る。いくつかの実施形態において、本明細書記載のタンパク質は、IgEシグナルペプチドと連結される。
【0063】
タンパク質が用いられるいくつかの実施形態において、例えば、当業者は、周知の技術を用いて、本発明のタンパク質を産生および単離することができる。タンパク質が用いられるいくつかの実施形態において、例えば、当業者は、周知の技術を用いて、本発明のタンパク質をコードするDNA分子を、周知の発現系で使用するための市販の発現ベクターに挿入することができる。例えば、市販のプラスミドpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)を大腸菌(E.coli)におけるタンパク質産生のために使用してもよい。例えば、市販のプラスミドpYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)を、酵母のサッカロマイセス・セレヴィシエ(S.cerevisiae)株における(タンパク質)産生のために使用してもよい。例えば、市販のMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)を昆虫細胞における(タンパク質)産生のために使用してもよい。例えば、市販のプラスミドpcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif)を、チャイニーズハムスター卵巣細胞などの哺乳類細胞における(タンパク質)産生のために使用してもよい。当業者は、これらの市販の発現ベクターおよび発現系または他のものを使用して、通例の技術およびすぐに入手できる出発物質によりタンパク質を産生することができる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照、これは参照により本明細書に組み込まれる)。従って、所望のタンパク質を原核細胞系および真核細胞系の両方において調製することができ、このタンパク質の一連のプロセシング型をもたらすことができる。
【0064】
当業者は、他の市販の発現ベクターおよび発現系を使用してもよく、または周知の方法およびすぐに入手できる出発物質を用いてベクターを産生してもよい。プロモーターおよびポリアデニル化シグナル、ならびに好ましくはエンハンサーなどの必須の制御配列を含む、様々な種類の宿主に対する発現系は、すぐに入手でき、当業で知られている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照。遺伝子構築物は、この構築物がトランスフェクトされる細胞株において機能的であるプロモーターと作動可能に連結されるタンパク質コード配列を含む。構成的プロモーターの例として、サイトメガロウイルスまたはSV40のプロモーターが挙げられる。誘導できるプロモーターの例として、マウス乳腺白血病ウイルスまたはメタロチオネインプロモーターが挙げられる。当業者は、すぐに入手できる出発物質から、本発明のタンパク質をコードするDNAで細胞をトランスフェクトするのに有用な遺伝子構築物を容易に作製することができる。このタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターを用いて、適合性宿主を形質転換し、その後、外来DNAの発現が起こる条件下で培養し、維持する。
【0065】
産生させたタンパク質を、必要に応じて、かつ当業者に知られるように、これらの細胞を溶解するまたは培地から回収することによって、培養物から回収した。当業者は、周知の方法を用いて、かかる発現系を用いて産生されるタンパク質を単離することができる。上記の特異的タンパク質と特異的に結合する抗体を用いて天然源からタンパク質を精製する方法を、組み換えDNA法によって産生されるタンパク質の精製に同様に適用してもよい。
【0066】
組み換え技術によるタンパク質産生に加えて、自動化ペプチド合成機も使用して、本質的には純粋な単離されるタンパク質を産生してもよい。かかる技術は当業者に周知であり、置換を有する誘導体がDNAにコードされるタンパク質産生において供給されない場合に有用である。
【0067】
DNA注射(DNAワクチン接種とも称される)、組み換えアデノウイルス、組み換えアデノウイルス関連ウイルスおよび組み換えワクシニアなどの組み換えベクターを含むいくつかの周知の技術のいずれかを用いて、これらの核酸分子を送達してもよい。
【0068】
投与経路には、筋肉内経路、鼻腔内経路、腹腔内経路、皮内経路、皮下経路、静脈内経路、動脈内経路、眼球内経路、および経口経路、ならびに粘膜組織への吸入剤もしくは坐薬による、例えば、膣、直腸、尿道、頬および舌下の組織への洗浄による局所的経路、経皮的経路が含まれるが、それらに限定されない。好ましい投与経路には、筋肉内注射、腹腔内注射、皮内注射および皮下注射が含まれる。遺伝子構築物は、電気穿孔の方法および装置、従来の注射器、無針注射器具、または「微粒子衝撃遺伝子銃」を含むがそれらに限定されない手段により投与されてもよい。
【0069】
これらのDNAワクチンの送達を促進するのに好ましい電気穿孔装置および電気穿孔法の例には、Draghia−Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより出願された米国特許公開第2005/0052630号(これらの内容は、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)に記載される例が含まれる。35USC119(e)条の下、2006年10月17日に出願された米国特許仮出願第60/852,149号および2007年10月10日に出願された米国特許仮出願第60/978,982号の利益を主張する、2007年10月17日に出願された同時係属で共同所有の米国特許出願第11/874072号(これらの全ては、この全体が本明細書に組み込まれる)に提供されるDNAワクチンの送達を促進する電気穿孔装置および電気穿孔法も好ましい。
【0070】
以下は、電気穿孔技術を用いた実施形態の例であり、上記で論じた特許参考文献の中で詳細に論じられる:電気穿孔装置は、使用者により事前に設定された電流入力と同じような定電流を生み出すエネルギーのパルスを、哺乳類の所望の組織へ送達するように配置され得る。この電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素および電極集合体またはハンドル集合体を含む。この電気穿孔構成要素は、制御装置、電流波形発生器、インピーダンス試験器、波形自動記録装置、入力要素、状況報告要素、伝達ポート、記録構成要素、電源、および電源スイッチを含む電気穿孔装置の1つ以上の様々な要素を含み、かつ組み込むことができる。この電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1つの要素として機能することができ、他の要素は、この電気穿孔構成要素と連通する別々の要素(または構成要素)である。いくつかの実施形態において、この電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の2つ以上の要素として機能することができ、それは、この電気穿孔構成要素から分離する電気穿孔装置のさらに他の要素と連通することができる。これらの要素は1つの装置として、または互いに連通する別々の要素として機能することができるので、改良型HCVワクチンを送達するためにこの電気穿孔技術を用いることは、1つの電気機械装置または機械装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素に限定されない。この電気穿孔構成要素は、所望の組織に定電流を生み出すエネルギーパルスを送達することができ、フィードバック機構を含む。電極集合体は、空間的配置に複数の電極を有する電極アレイを含み、ここで、この電極集合体は、この電気穿孔構成要素からエネルギーパルスを受け取り、電極を通して所望の組織にエネルギーパルス送る。複数の電極の少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達の間は中性であり、所望の組織のインピーダンスを測定し、この電気穿孔構成要素へインピーダンスを伝える。このフィードバック機構は、測定されるインピーダンスを受け取ることができ、この電気穿孔構成要素によって送達されるエネルギーパルスを調節し、定電流を維持することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、複数の電極は、分散的パターンでエネルギーパルスを送達することができる。いくつかの実施形態において、複数の電極は、プログラムされた順番の下で、電極制御を介して分散的パターンでエネルギーパルスを送達することができ、使用者が、プログラムされた順番を電気穿孔構成要素に入力する。いくつかの実施形態において、プログラムされた順番は、順に送達される複数のパルスを含み、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つの中性極と共に少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスの次のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性極と共に少なくとも2つの活性電極の別の1つによって送達される。
【0072】
いくつかの実施形態において、このフィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって実行される。好ましくは、このフィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって行われる。好ましくは、このフィードバックは、毎50μs、20μs、10μsまたは1μsで生じるが、好ましくはリアルタイムなフィードバックつまり瞬間的(すなわち、反応時間を決定するために利用できる技術によって決定されるような事実上瞬間的)である。いくつかの実施形態において、中性電極は、所望の組織においてインピーダンスを測定し、インピーダンスをこのフィードバック機構へ伝達し、このフィードバック機構はインピーダンスに応答し、事前設定電流と同じような値で定電流を維持するためにエネルギーパルスを調節する。いくつかの実施形態において、このフィードバック機構は、エネルギーパルス送達の間、連続的にかつ瞬間的に定電流を維持する。
【0073】
いくつかの実施形態において、この核酸分子を、ポリヌクレオチド機能エンハンサーまたは遺伝子ワクチン促進剤の投与と併用して、これらの細胞に送達する。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号および1994年1月26日に出願された国際出願第PCT/US94/00899号に記載されており、これらは参照により各々が本明細書に組み込まれる。遺伝子ワクチン促進剤は、1994年4月1日に提出された米国特許第021,579号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。核酸分子と併用して投与する助剤を、核酸分子の投与前後に、この核酸分子との混合物として投与するか、または別々に、同時に投与してもよい。さらに、トランスフェクション剤および/または複製剤および/または炎症性薬剤として機能し得、かつGVFと一緒に投与され得る他の薬剤には、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、GM−CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF、上皮細胞増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12およびIL−15などの増殖因子、サイトカインおよびリンホカイン、ならびに線維芽細胞増殖因子、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバンド、モノホスホリルリピドA(WL)を含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体およびスクアレンスクアレンなどの小胞が含まれ、かつヒアルロン酸も、この遺伝子構築物と併用して投与に使用してもよい。いくつかの実施形態において、免疫調節タンパク質を、GVFとして使用してもよい。いくつかの実施形態において、この核酸分子はPLGと関連して提供され、送達および取り込みを高める。
【0074】
本発明による医薬組成物は、約1ng〜約2000μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、約5ng〜約1000μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約10ng〜約800μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約0.1〜約500μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約1〜約350μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約25〜約250μgのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態において、これらの医薬組成物は、約100〜約200μgのDNAを含む。
【0075】
本発明による医薬組成物を、使用する投与方法に従って処方する。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合において、注射可能な医薬組成物は無菌であり、発熱物質も粒子も含まない。好ましくは、等張製剤を使用する。一般に、等張にするための添加剤には、塩化ナトリウム、D型グルコース、マンニトール、ソルビトールおよび乳糖が含まれ得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張液が好ましい。安定剤には、ゼラチンおよびアルブミンが含まれる。いくつかの実施形態において、血管収縮剤をこの製剤に加える。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態によると、免疫反応を誘導する方法が提供される。このワクチンは、タンパク質に基づく、弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組み換えワクチンまたは核酸もしくはDNAワクチンであってもよい。いくつかの実施形態において、粘膜免疫反応を誘導する方法を含む、免疫原に対する免疫反応を個体において誘導する方法は、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質およびそれらの機能的断片またはそれらの発現できるコード配列のうちの1つ以上を、本発明のタンパク質をコードする単離した核酸分子および/または本発明のタンパク質をコードする組み換えワクチン、および/または本発明のタンパク質のサブユニットワクチンおよび/または弱毒化生ワクチンおよび/または不活化ワクチンと組み合わせて、この個体に投与するステップを含む。CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質およびそれらの機能的断片のうちの1つ以上を、免疫原をコードする単離した核酸分子;および/もしくは免疫原をコードする組み換えワクチンおよび/もしくは免疫原を含むサブユニットワクチンおよび/もしくは弱毒化生ワクチンおよび/もしくは不活化ワクチンの投与前に、それらの投与と同時に、またはそれらの投与の後に投与してもよい。いくつかの実施形態において、CTACK、TECK、MECおよびそれらの機能的断片からなる群から選択される1つ以上のタンパク質をコードする単離した核酸分子を、この個体に投与する。
【0077】
本発明を、以下の実施例においてさらに説明する。この実施例は本発明の実施形態を示すが、単なる説明の目的で与えられるということが理解されるべきである。上記の説明およびこの実施例から、当業者は本発明の本質的特徴を突き止めることができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に本発明を適用するために、本発明の様々な変更および改良を行うことができる。したがって、本明細書に示され、記載される改良に加えて、本発明の様々な改良は、先の記載から当業者に明らかになるであろう。かかる改良は、添付の特許請求の範囲に入ることも意図される。
【0078】
米国特許、米国特許出願、および本開示の全体を通して引用される参考文献の各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
実施例
【0079】
実施例1
pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bの設計および発現
HCVタンパク質NS4B、NS5A、およびNS5BのHCV遺伝子型1aコンセンサス配列を、ロスアラモス国立研究所のHCV配列データベースから得た170の異なる配列から生成した。その後、これらの発現および検出を高めるために、各構築物のC末端にIgEリーダー配列を加えかつN末端にHA−タグを加えることを含むいくつかの改変をこのコンセンサス構築物に対して行った。さらに、各構築物を、GeneOptimizer(商標)(GENEART、ドイツ)を使用してコドンおよびRNAの最適化を介してさらに改変し、CMVプロモーターの制御下で臨床発現ベクターpVAXにサブクローニングした。最終的な構築物を、pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bと名付けた(プラスミドマップを、
図8A〜
図8Cに示す)。
【0080】
各構築物のタンパク質発現を、各個別の構築物でヒトRD筋肉細胞を一過的にトランスフェクションすることで確認した。製造者のガイドラインにしたがって、Lipofectamine(商標)(Invitrogen)を使用して、pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5BでRD筋肉細胞を一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、この細胞を固定し、透過処理した。各タンパク質の発現を、抗HAポリクローナルウサギ抗体(Invitrogen)およびCy3コンジュゲートヤギ抗ウサギ2次抗体(Invitrogen)を用いて検出した。
【0081】
この細胞を、共焦点顕微鏡を用い250倍の拡大率で視覚化した(画像は図示せず)。3つの構築物はすべて発現していることが示され、トランスフェクトされた細胞数が最も多かったのはpConNS4Bであり、最も少なかったのはpConNS5Bであった。空のベクターpVaxを用いたトランスフェクションを、対照として使用した。
【0082】
実施例2
pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bを用いたC57BL/6マウスの免疫は、強力な細胞免疫反応を誘導する
本構築物の発現を確認した後、本構築物の免疫原性を判定するために、C57BL/6マウスを免疫した。生後6〜8週間のメスのC57BL/6マウスをJackson Laboratoriesから購入し、国立衛生研究所およびペンシルバニア大学の研究機関の動物管理および使用委員会(Institutional Care and Use Committee)(IAUCUC)のガイドラインにしたがって飼育した。動物を、群あたり5匹とし、各構築物の3つの異なる用量群に分けた。この動物を、5μg、12、5μg、または25μgいずれかのpConNS4B、pConNS5AまたはpConNS5Bで筋肉注射により免疫し、続いて電気穿孔を行った。
【0083】
電気穿孔はCELLECTRA(商標)適合型一定電流の電気穿孔装置および電極アレイ(Inovio Pharmaceuticals, Inc., Blue Bell, PA)を使用して実行した。
【0084】
2週間あけて動物に合計2回の免疫処置を行い、第2の免疫処理から1週間後に屠殺した。本構築物の免疫原性を、IFN−γELISpotアッセイを使用して判定した。
【0085】
マウスのIFN−γELISpotアッセイは、Yan, J., et al., Enhanced cellular immune responses elicited by an engineered HIV−1 subtype B consensus−based envelope DNA vaccine. Mol Ther, 2007. 15(2): p. 411−21において以前に記載される通りに行った。マウスの脾細胞を、8アミノ酸ずつ重複し各構築物の長さにわたる15merのペプチドのプールで刺激した。ペプチドを、Genscript(Piscataway, NJ)により合成し、DMSO中で再懸濁し、2μg/ml/ペプチドの濃度でプールした。この脾細胞をウェルあたり200,000細胞の濃度でプレーティングした。結果を、1×10
6脾細胞あたりのスポット形成単位(SFU)の平均数として調節し、グラフにした。この結果を
図1中に見ることができる。
【0086】
本構築物の免疫原性は、免疫蛍光法(immunoflorescence)により判定される構築物の発現レベルと良好に相関した。すべての構築物は強力な免疫原性を有していたが、pConNS4Bに対する反応が最も強力であり、一方pConNS5Bに対する反応が最も弱かった。pConNS4Bの最適用量は12.5μg(1687±237SFU/10
6脾細胞)であり、pConNS5Aの最適用量は5μg(1091±111SFU10
6脾細胞)であり、pConNS5Bの最適用量は12.5μg(736±136SFU/10
6脾細胞)であった。
【0087】
各構築物の用量を決定した後、各構築物により誘導される細胞免疫反応のより詳細な分析を実行した。動物を上述した通りに免疫し、群分けした。屠殺後脾臓を単離し、Stomacher装置を用いてそれぞれ粉砕した。この脾細胞を40μMの細胞濾過器で濾過し、ACK溶解緩衝液(Biosource)で5分間処置し、RBCを除去した。脾細胞を完全培地(10%の熱失活させたFBS、1×抗生剤/抗真菌剤、および55μM/L β‐メルカプトエタノールを追加した2mM/LのLグルタミンを含むRPMI1640)中に再懸濁した。細胞数を、血球計算器を用いて判定した。
【0088】
各構築物についてCD8+およびCD4+T細胞反応の相対的寄与を判定するために、脾細胞をIFN−γに対し細胞内染色し、
図2のようにフローサイトメトリーで視覚化した。細胞内サイトカイン染色の結果は、IFN−γELISpotアッセイで以前に見られた結果と良好に相関した。pConNS4Bに対する反応が最も大きく、一方pConNS5Bの免疫原性が最も低かった。各構築物に特異的なCT4+T細胞も同定されたが、pConNS4BおよびpConNS5Aに対するIFN−γ反応の大部分は、CD8+T細胞により産生された。興味深いことに、pConNS5Bに対するIFN−γ反応の大部分はCD4+T細胞を媒介したものであり、IFN−γ+CD8+T細胞はほとんど同定されなかった。pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bに対するIFN−γ+CD4+T細胞の平均パーセンテージは、
図3Aの通り、それぞれ0.50%±0.11%、0.27%±0.06%および0.32%±0.11%であった。pConNS4BおよびpConNS5Aに対するIFN−γ+CD8+T細胞の平均パーセンテージは、
図3Bの通り、それぞれ3.29%±1.33%および0.68%±0.22%であった。
【0089】
実施例3
免疫が誘導したNS4B、NS5AおよびNS5Bに特異的なT細胞を、筋肉内免疫処置後の肝臓内で検出した
実施例1に上述されている通りにマウスを免疫した。最後の免疫から1週間後、これらの動物を屠殺した。屠殺後肝臓を単離し、Stomacher machineを用いてそれぞれ粉砕した。その結果得られた混合物を濾過し、10mlのACK溶解緩衝液(Bioscience)で5分間処置して、RBCを除去した。この混合物を沈殿させ、35%パーコールによる勾配を用いてリンパ球から肝細胞を分離した。沈殿させたリンパ球は完全培地中に再懸濁した。実験を、肝臓灌流を行う場合と行わない場合の両方で実行したが、両者に差異は観察されなかった。
【0090】
T細胞を各肝臓から単離し、各個別の構築物に対応する重複ペプチドで刺激した。免疫が誘導したHCV特異的T細胞を、細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリーを介して検出したIFN−γ発現により同定した。各動物をそれぞれ分析した。興味深いことに、HCV特異的T細胞は、すべての免疫マウスの肝臓内で同定された。CT4+およびCD8+T細胞反応の両方がpConNS4BおよびpConNS5Aで免疫したマウスの肝臓内で検出され、CD4+T細胞反応のみがpConNS5Bで免疫したマウス内で検出された。肝臓内で検出された主要なT細胞反応は、脾臓内で同定されたものと同一であった。pConNS4BおよびpConNS5Aで免疫したマウスは、肝臓内に強力なCD8+T細胞反応を有したのに対し、pConNS5Bで免疫したマウスは、主にCD4+T細胞反応を示し、CD8+T細胞反応をほとんど示さなかった。pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bに対するCT4+T細胞反応は、
図4Aの通り、それぞれ0.29%±0.07%、0.41%±0.09%および0.41%±0.06%であった。pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bに対するCD8+T細胞反応は、
図4Bの通り、それぞれ3.73%±0.73%、2.28%±0.68%および0.06%±0.02%であった。
【0091】
実施例4
3.4 肝細胞によるHCV抗原の肝特異的発現により、IFN−γ産生の増加およびトランスフェクトされた肝細胞のクリアランスが起こる
次に、NS4B、NS5AまたはNS5Bタンパク質のいずれかの肝特異的発現が、肝臓内で検出されるHCV特異的T細胞を活性化できるかどうかを判定しようと試みた。NS4B、NS5AおよびNS5Bの肝特異的発現を誘導するために、免疫したマウスの肝細胞を、Ahlen, G., et al., In vivo clearance of hepatitis C virus nonstructural 3/4A−expressing hepatocytes by DNA vaccine−primed cytotoxic T lymphocytes. J Infect Dis, 2005. 192(12):p. 2112−6で既に記載されたように、pConNS4B、pConNS5AまたはpConNS5Bのいずれかの尾静脈注射によりトランスフェクトした。肝臓を48時間トランスフェクトした後回収し、上の実施例3に記載される通り肝臓のリンパ球を単離した。前述の通り、免疫が誘導したHCV特異的T細胞を、細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリーを介して検出したIFN−γ分泌により同定した。
【0092】
細胞内サイトカイン染色
脾細胞を、1×10
6細胞/100μlの濃度で完全培地中に再懸濁し、96ウェルプレートの丸型の底部にプレーティングした。脾細胞を、100μlの:いずれもGolgiStopおよびGolgiPlug (BD Bioscience)を追加した完全培地中に希釈された1)2μg/mlのpConNS4B、pConNS5AまたはpConNS5B重複ペプチド、2)1μg/mlのブドウ球菌エンテロトキシンB(陽性対照:Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)または3)0.1%ジメチルスルホキシド(陰性対照)のいずれかで刺激した。脾細胞を37℃で合計5時間刺激した後、PBSで3回洗浄し、生存率を調べるために染色した。脾細胞を、表面マーカー;抗CD4、CD8に対し4℃で30分間細胞外染色した。その後脾細胞をBD Cytofix/Cytoperm Solution Kit(BD Bioscience)を用いて透過処理し、かつ洗浄し、それから抗IFN−γおよびCD3を用いて、4℃で45分間細胞内染色した。染色後、脾細胞を1%パラホルムアルデヒドで固定し、分析まで4℃で保存した。特異的機能を、各動物についてペプチド刺激群のパーセント関数から0.1%ジメチルスルホキシド刺激群(陰性対照)のパーセント関数を引いた値として記録した。
【0093】
フローサイトメトリーの試薬
以下の直接コンジュゲートされる抗体を使用した:抗マウス CD3−アロフィコシアニンシアニン色素7(APC−Cy7)[clone 145−C11]、抗マウスCD4−フルオレセインイソチオシアネート(FITC)[clone H129.19]、抗マウス CD8−ペリディニンクロロフィルタンパク質5.5(PerCP5.5)[clone 53−6.7]、抗マウスIFN−γフィコエリトリン(phycoerythryin)シアニン色素7(PE−Cy7)[clone XMG1.2](全てBD Biosciences製、サンノゼ,CA)。肝細胞を同定するために、製造者のプロトコールにしたがって、Aqua Live/Dead fixable dead cell Stain Kit (Molecular Probes、ユージーン、OR)を使用した。
【0094】
LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences,フランクリンレイクス、NJ)上で試料を収集した。 BD CompBeads(BD Biosciences)および単一の蛍光色素を補正のために使用した。データはMac用FlowJoソフトウェア バージョン8.7.1(Tree Star、アシュランド、OR)を使用して分析した。
【0095】
尾静脈注射の後、
図5にあるように、脾臓および静止状態の肝臓中で検出したHCV特異的T細胞のパーセンテージに比べCD4+およびCD8+HCV特異的T細胞のパーセンテージの大幅な上昇が、3つ全ての免疫群において見られた。
図6Aにある通り、CD4+HCV特異的T細胞のパーセンテージは、pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bで免疫したマウスで、それぞれ2.27%±0.70%、2.55%±0.70%および1.22%±0.22%であった。
図6Bにある通り、CD8+HCV特異的T細胞のパーセンテージは、pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5Bで免疫したマウスで、それぞれ9.46%±1.53%、6.98%±0.48%および0.477%±0.16%であった。尾静脈注射の前後で、肝臓中のHCV特異的IFN−γ+T細胞のパーセンテージにより決定されるように、最大倍数増加が、CD4+T細胞反応で見られた。pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5B免疫マウスにおける肝臓内CD4+T細胞反応の倍数増加は、それぞれ約8、6、および3倍であった。CD8+T細胞反応は、尾静脈注射の前後いずれの肝臓においても主要反応のままであったが、CD4+T細胞反応と比べCD8+T細胞反応の倍数増加はわずかに小さかった。pConNS4B、pConNS5AおよびpConNS5B免疫マウスにおける肝臓内CD8+T細胞反応の倍数増加は、それぞれ、約3、3、および8倍であった。
【0096】
各構築物により産生された肝臓内HCV特異的IFN−γ反応を評価した後、免疫賦与が肝臓内の細胞傷害性HCV特異的T細胞を産生したかどうかを判定する試験も実行した。各群の各動物から肝臓のローブを採取し、NS4B、NS5AまたはNS5Bのいずれかの肝細胞での発現を調べるため染色した。各構築物での免疫賦与により産生される肝臓内T細胞反応の細胞傷害性を、免疫未処置の対照のトランスフェクトと比べ各免疫動物がトランスフェクション後にNS4B、NS5AまたはNS5Bのいずれかを発現している肝細胞を除去する能力により評価した。各群の染色の代表的な共焦点画像を観察した(画像は図示されない)。
【0097】
共焦点顕微鏡
肝臓を切除し、生検を2%パラホルムアルデヒドで固定し、その後30%スクロース中で一晩凍結保護した。生検を、Tissue−Tek OCT (Bayer Corporation、ピッツバーグ、PA)中に浸し、ドライアイス窒素上の2−メチルブタン中で急速凍結した。Superfrost Plus glass slides (Fisher Scientific、ピッツバーグ、PA)上に置かれた組織切片(6μm)上で染色を実行し、使用するまで80℃で保存した。免疫蛍光染色を行う前に、スライドを室温に戻しリン酸緩衝塩溶液(PBS)で各10分間3回洗浄し、2次試薬が産生された種の10%の通常の血清および0.1%のトリトンを含むPBSにおいてブロックした。1次試薬を切片に適用し、室温で1時間または4℃で一晩インキュベートした。この切片を、PBSで各10分間3回洗浄し、必要である際には、2次試薬を室温で30分間適用した。この切片を再び、PBSで各10分間、3回洗浄した。カバーガラスを、Prolong Gold mounting media(Invitrogen、カールズバッドCA)で乗せ、スライドを試験および撮影まで暗所に4℃で保存した。すべての染色は湿度のある環境において実行した。使用した抗体は、Invitrogenあるいは抗体を製造する競合会社から入手した。全ての画像はZeiss Axiovert 100倒立共焦点顕微鏡を用いて得て、蛍光強度(florescence intensities)の分析および定量化は、Image Jソフトウェア(NIH、ロックビル、MD)を使用して行った。
【0098】
図9にある通り、各群のトランスフェクトされた肝細胞のクリアランスを、核のDAPI染色のMFIにより測定した各領域内に存在する肝細胞数により標準化したNS4B、NS5AまたはNS5B発現のいずれかの平均蛍光強度(MFI)によって定量化した。未処置の対照と比べ、トランスフェクトされた肝細胞数の劇的な低下が、免疫した群の動物で3つの構築物全てについて見られた。pConNS4B、pConNS5AまたはpConNS5Bで免疫した動物は、未処置の対照と比べトランスフェクトされた肝細胞の発現が、約9、3、および2倍低下した。各免疫群中で観察されたクリアランス量は、トランスフェクトされた肝臓内で検出されたHCV特異的CD8+T細胞反応と良好に相関した。最大のクリアランス量は、pConNS4Bで免疫した動物において観察され、最少のクリアランスは、pConNS5Bで免疫した動物において見られた。
【0099】
提供された結果は、全身性の免疫を介して誘導されたHCV特異的T細胞が同種の抗原の肝特異的発現がないとき肝臓内に取り込まれ、肝臓内HCV特異的T細胞の大きなプールの形成を引き起こすことを示す。これらのT細胞は、肝臓内で依然として完全に機能しており、静止状態の肝臓へのこれらの取り込みが免疫監視の連続的な工程の一部として代わりに機能しており、また肝臓が感染を防ぐための重要な機構であると証明し得ることを示唆している。このことを支持するものとして、HCVの抗原の肝特異的な発現に応答し、肝局在のHCV特異的T細胞の集団が、IFN−γ発現を急速に誘導しトランスフェクトされた肝細胞を除去できたことがある。T細胞の浸入が、肝臓トランスフェクションの72時間後まで観察されない(Ahlen et al.、上記)ことが報告されていることから、HCVをトランスフェクトされた肝細胞の急速なクリアランスは、トランスフェクション前に肝臓内に存在する肝局在のHCV特異的T細胞の集団に依存しているように思われる。さらに、pConNS5Bで免疫した動物において見られるように、IFN−γ産生により測定されるワクチン特異的反応のパーセンテージがかなり低くても、肝臓内のトランスフェクトされた肝細胞を大きく2倍減少させるのに十分であった。このことは末梢で検出されるワクチンに特異的のわずかなパーセンテージが、肝臓内で非常に大きな効果を発揮する能力を有することを示唆している。
【0100】
肝臓誘導型T細胞寛容は、全身性免疫を介して妨害することができ、有効な肝特異的免疫は、静止状態下で、抗原特異的なT細胞の取り込みおよび封鎖のいずれも行える肝臓の能力を利用することにより達成できる。この肝臓独特の特性は、感染症の第1の兆候に急速に反応しかつ動員される能力を有する未処置の個体の肝臓内部にHCV特異的T細胞のプールを作製するためだけでなく、ウイルスにすでに感染している患者におけるHCV特異的反応を促進するために利用されてもよい。まとめると、これらの結果は、肝臓内のエフェクター機能を保存すると共に、肝臓に抗原特異的T細胞を取り込むことが、免疫監視工程において、重要であり、かつ以前に認められていなかった役割を果たしており、このことが将来のT細胞に基づくHCVワクチンに利用できることを示唆している。