(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームについて、図面を参照して説明する。
図1は、車体フレーム1の全体を表した斜視図であり、
図2は、それを上方から見た平面図である。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、自動二輪車に騎乗したライダーから見た方向の概念と一致するものとして説明する。
【0024】
図1、2に示すように、自動二輪車の車体フレーム1は、ヘッドパイプ2と、該ヘッドパイプ2からやや下方に傾斜しつつ後方へ延びるメインフレーム3とを備えている。メインフレーム3は、ヘッドパイプ2から後方に向かって二股に分かれた左右のフレーム部材からなり、この例では夫々のフレーム部材が、上下に並んだ2本の丸パイプ(以下、上メインパイプ30及び下メインパイプ31と呼ぶ)からなる。左右のフレーム部材の後端は、扁平な四角筒状のセンタクロスメンバ4(クロスメンバ)によって互いに連結されるとともに、このセンタクロスメンバ4を介してフレーム後部のランバーフレーム5に連繋している。
【0025】
前記メインフレーム3はいわば車体の主骨格であり、下方に搭載するエンジン(図示せず)等に合わせて左右のフレーム部材の間に或る程度の幅を持たせ、曲げ及び捻れの剛性バランスを取りやすくしている。その後方にセンタクロスメンバ4を介して繋がるランバーフレーム5は、後輪のスイングアーム22(
図10を参照)を支持しており、前記センタクロスメンバ4と共に骨格に例えれば腰部(ランバー)を構成するので、この明細書においてランバーフレーム5と呼称する。詳しくは後述するが、ランバーフレーム5は、夫々プレス成形した2枚の鋼板50,51を左右から重ね合わせて高剛性の閉断面構造としたものである。
【0026】
なお、
図1には仮想線で模式的に示すが、メインフレーム3の上方には燃料タンク20が配設され、その後端部が後方且つ下方に延びて、ランバーフレーム5の前端部とオーバーラップしている。燃料タンク20の後方には、図示しないライダーやタンデムライダーの騎乗する2人乗りのシート21が配設される。
【0027】
−フレーム前部の構造−
まず、前記ヘッドパイプ2、メインフレーム3及びセンタクロスメンバ4からなるフレーム前部の構造について説明する。最前部に位置するヘッドパイプ2は、前輪に所要のキャスタ角を与えるように後傾しており、図示は省略するが、その内部に挿通されるステアリングシャフトに上下一対のブラケットを介してフロントフォークの上部が接続される。つまり、ヘッドパイプ2は自動二輪車における前輪の操舵軸を構成する。
【0028】
前記ヘッドパイプ2の上部及び下部には夫々、メインフレーム3の上メインパイプ30及び下メインパイプ31の前端部が溶接され、それらのメインパイプ30,31は、
図2に表れているように後方に向かって徐々に左右に広がった後に概ね中央部にて内向きに湾曲し、今度は徐々に左右の間隔を狭めながら後方に延びている。上メインパイプ30の前端部には、それらを上方から覆うようにヘッドパイプ2の上部外周から延びるV字状のガジェット33が重ね合わされて溶接されている。また、そのガジェット33の後方に隣接して左右の上メインパイプ30の間にクロスパイプ34が架け渡されている。
【0029】
同様に左右の下メインパイプ31の間にもクロスパイプ34が架け渡されていて、この下側のクロスパイプ34と前記上側のクロスパイプ34とを互いの中央部分で繋ぐように矩形断面のピラー35が設けられている。すなわち、メインフレーム3において左右のフレーム部材(メインパイプ30,31)の間隔が後方に向かって徐々に広がる相対的に前側の部分は、上下のクロスパイプ34,34とそれらを繋ぐピラー35とによって補強されている。
【0030】
そうして補強されて剛性が高いメインフレーム3の前側の部分において、左右の下メインパイプ31から夫々下方に垂下するようにダウンフレーム36が設けられている。このダウンフレーム36は全体としてT字状とされ、下方への延出部の下端部にはエンジンのケースに締結するボルトの挿通孔36aが設けられている一方、概ね前後方向に延びる上縁部は下メインパイプ31の前側部分に接合されて、直線的に溶接されている。このため、丸パイプである下メインパイプ31の外周を周回するように溶接するのに比べると、作業が容易になり、溶接跡が綺麗に仕上がる。
【0031】
また、この例ではダウンフレーム36は、ランバーフレーム5と同様にプレス成形した鋼板を2枚、左右から重ね合わせて閉断面構造としたもので、複数のパイプを組み合わせるのに比べて低コストでありながら、十分な剛性を確保することができる。ランバーフレーム5の断面は前後方向に長い長方形状なので、所要の剛性を確保しながら前方から見ると幅を狭くすることができ、冷却風の後方への流れを阻害しない。このため、エンジンの冷却性能も高める上で有利になる。
【0032】
前記ダウンフレーム36の外側の面には、図示しないカウルの取付座36bやラジエータの取付座36cが設けられている。外側の鋼板をプレス加工する際に取付座を一体成形し、その裏側にナットを溶接しておけば、カウルやラジエータの取付けが容易になる。その場合に取付座を例えばラジエータ等の搭載物に合わせて凹ませれば、車幅の増大を抑制できる。そうして凹凸の嵌合状態にすればフレームの剛性を高める上でも有利になる。
【0033】
更に、メインフレーム3において左右のフレーム部材(メインパイプ30,31)が夫々が内向きに湾曲するコーナ部と、このコーナ部から後方に向かって左右の幅が徐々に狭まる相対的に後側の部分とには夫々、上下のメインパイプ30,31同士を繋ぐように板状のブラケット37が設けられている。
【0034】
そして、上下のメインパイプ30,31の後端が互いにジョイント部材38、39によって連結一体化され、更に、
図3及び
図4にも表されるようセンタクロスメンバ4によって連結されている。
図3において手前に表れている左側のジョイント部材38は、先端側にテーパ状の嵌入部を有する概略円柱状の2本のエンド部材38a,38bを上下に並べてその基端部を繋いだ構造であり、夫々のエンド部材38a,38bの嵌入部が上下のメインパイプ30,31の後端に嵌入され、該メインパイプ30,31の全周に亘って溶接されている。
【0035】
一方、
図3の奥に表れている右側のジョイント部材39は、左側のジョイント部材38と同様に上下のエンド部材39a,39bを繋ぐとともに、上側のエンド部材39aの後方から斜め下方にかけてサスペンション支持部40を一体的に設け、更に下側のエンド部材39bの後方から前記サスペンション支持部40までに亘って概略円柱状の延出部39cを設けてなる。サスペンション支持部40は左右一対のドーナツ状の支持板40a,40bであり、右側の支持板40aがジョイント部材39の上側のエンド部材39aと一体に形成される一方、左側の支持板40bは別体とされ、右側の支持板40aとの間に所定の間隔を空けて配設されている。
【0036】
なお、
図3に表れているように左側ジョイント部材38の下側エンド部材38bの基端側には、車幅方向の外側である左側に向かって開口するように肉盗みが形成されており、図には表れていないが上側のエンド部材38aの基端側には車幅方向の内側である右側に向かって開口するように肉盗みが形成されている。同様に右側ジョイント部材39の下側エンド部材39bの基端側には、車幅方向の外側である右側に向かって開口し、また、上側のエンド部材39aの基端側には車幅方向の内側である左側に向かって開口するように、夫々肉盗みが形成されている。
【0037】
−センタクロスメンバ−
前記メインフレーム3の後端の左右のジョイント部材38,39同士を連結するセンタクロスメンバ4は、以下に述べるようにプレス成形した2枚の鋼板41、42を前後方向に重ね合わせるとともに、その下縁に沿うように厚肉の角パイプ43(パイプ部材)を溶接して、概ね前後に扁平な閉断面構造としたものである。これによりセンタクロスメンバ4は、高い剛性を有しながらパイプワークに比べて省スペースになり、その近傍における燃料タンク20や車両装備品のレイアウトの自由度が向上する。
【0038】
すなわち、センタクロスメンバ4はやや前傾するように配設され、その上部の左右両側に夫々前記ジョイント部材38,39が溶接される一方、下部の後面の略中央にはランバーフレーム5の前部が溶接されている。このため、センタクロスメンバ4の上方から後方ないし斜め後方にかけてのスペースにまで燃料タンク20の後端を下げることができ、その容量を増大できる。また、そのスペースに車体フレーム1を構成するパイプやステー等が存在しないので、後述するようにキャニスタ7等の車両装備品を取付ける作業が行いやすい。
【0039】
詳しくは、
図3に破線で示すように前記左右のジョイント部材38,39には夫々、膨出部38c,39dが設けられていて、これらがセンタクロスメンバ4の前後の鋼板41,42に挟まれたインロー結合の状態で溶接されている。左側のジョイント部材38の膨出部38cは、下側のエンド部材38bから右側に、即ち相手方のジョイント部材39に向かうよう車幅方向の内側に膨出するとともに、下側エンド部材38bの下方にも回り込んで概略J字状に形成されている。
【0040】
また、右側のジョイント部材39では下側のエンド部材39bからその後方斜め下向きに延びる延出部39cに亘って、それらの左側に、即ち相手方のジョイント部材38に向かうよう車幅方向の内側に膨出するとともに、該延出部39cの下方にも回り込むように膨出部39dが形成され、前記左側ジョイント部材38の膨出部38cよりも長いJ字状になっている。
【0041】
センタクロスメンバ4の前後の鋼板41,42は、いずれも概略横長の四角形状を基本とし、その中央に矩形穴41a(
図4にのみ示す),42aが開口するとともに、左右夫々の上隅部には前記した左右のジョイント部材38,39の夫々のエンド部材38b,39bや延出部39cの形状に対応する切り欠き41b,41c,42b,42cが形成されている。それらの切り欠きを除いて各鋼板41,42の上縁、左右の両側縁には夫々相手方に、即ち前側の鋼板41では後側に、後側の鋼板42では前側に向かうように折り曲げられたフランジ41d,42dが形成されている。
【0042】
図の例では前側の鋼板41の外形寸法が後側の鋼板42よりも一回り大きいので、両者を前後に重ね合わせると、
図4に表れているように前側の鋼板41のフランジ41dが外側から後側の鋼板42のフランジ42dに重なる。この状態で外側のフランジ42dがその周縁に沿って概ね直線状に内側のフランジ41dの外周面に溶接されていて、この溶接部分が二重構造になって剛性が向上するとともに、溶接材の融け込みもよく、溶接跡も綺麗に仕上がる。パイプとは異なり直線状に溶接できるので、溶接の作業性もよい。
【0043】
そうして前後の鋼板41,42が重ね合わされて一体化され、それらの左上隅の切り欠き41b,42bが一体になって構成する開口部に、前記した左側ジョイント部材38の膨出部38cが嵌め込まれている。同様に、前後に重ね合わされた鋼板41,42の右上隅に切り欠き41c,42cによって構成される開口部には、右側ジョイント部材39の膨出部39dが嵌め込まれている。こうして、重ね合わされた前後の鋼板41,42の左上及び右上の開口部に夫々膨出部38c,39dが嵌め込まれて、それら各開口部の周縁に沿って溶接されている。
【0044】
一方、前後の鋼板41,42の下縁にはフランジは設けられておらず、これは角パイプ43の上面に接合されて溶接されている。角パイプ43は、鋼板41,42よりも厚肉で高剛性のものであり、これが下縁に沿って設けられていることで、センタクロスメンバ4の剛性が高くなっている。更に、前後の鋼板41,42の夫々の中央部に開口する矩形穴41a,42aには対応する外形状の補強筒44(補強部材)が挿通され、センタクロスメンバ4を前後に貫通する状態で溶接されている。
【0045】
この補強筒44は、帯状の鋼板を長手方向に折り曲げて扁平な矩形の筒状としたものであり、図の例では上壁の中央部において鋼板の長手方向の両端が付き合わされて溶接されている。こうして補強筒44を追加することでセンタクロスメンバ4の剛性が格段に高くなり、それでいてセンタクロスメンバ4の外形寸法は変化しないので、燃料タンク20等のレイアウトや車両装備品の取付け作業性には影響を及ぼさない。
【0046】
つまり、補強筒44は主にセンタクロスメンバ4を補強するという機能を有しながらも当該センタクロスメンバ4から外方に張り出すことがなく、周辺部品のレイアウトの邪魔にはならない。しかも、後述するように補強筒44内にはハーネス等を通して、センタクロスメンバ4を貫通するように敷設することができ、電装品のレイアウトやハーネスの長さを最適化できる。補強筒44の下壁には後方(図の手前側)に向かう凸片44aが形成されていて、ここには以下に述べるようにランバーフレーム5の前縁の上突出部5aが溶接される。
【0047】
すなわち、ランバーフレーム5自体の詳細な構造については後述するが、
図3、4に表れているようにセンタクロスメンバ4の下部には、その後方から見て角パイプ43と直交し十文字状となるようにランバーフレーム5が溶接されている。このランバーフレーム5の前縁の上部には、センタクロスメンバ4の後側の鋼板42の後面から下方に繋がる角パイプ43の形状に対応して概略C字状の切り欠き部5bが形成され、角パイプ43から鋼板42の後面に跨って接合されている。
【0048】
より詳しくは、ランバーフレーム5の上面は前方に向かってせり上がっていて、側方から見ると上方に突出する鋭角の上突出部5aが形成されている。この上突出部5aの前縁が、ランバーフレーム5の前縁の上端部分であり、これは、
図3、4に表れているようにセンタクロスメンバ4の後側の鋼板42の後面に接合されている。上突出部5aの下方には、角パイプ43の上面からその後面、更には下面に回り込むように前記の切り欠き部5bが連続し、これが角パイプ43を上下に挟み込んでいる。
【0049】
そうしてランバーフレーム5の前縁の切り欠き部5bにセンタクロスメンバ4の角パイプ43が挟み込まれて溶接されているとともに、切り欠き部5bよりも上方の上突出部5aは、センタクロスメンバ4の角パイプ43の上面とその上方の補強筒44の凸片44aとの間に挟み込まれて溶接されている。つまり、センタクロスメンバ4とランバーフレーム5とは互いの凹凸形状によってしっかりと嵌め合わされた状態で溶接されている。
【0050】
その上更に、前記のように十文字状に組み合わされている角パイプ43とランバーフレーム5との間には、該角パイプ43の後面から後方のランバーフレーム5の左右両側面に亘るように楔状ブラケット45が付加されている。この楔状ブラケット45は、鋼板を上下に折り曲げて直角三角形状とした二重構造の補強板であり、その直角の角を、角パイプ43の後面にランバーフレーム5の前縁が当接する隅部に位置づけて溶接したものである。これによりセンタクロスメンバ4の後面に対するランバーフレーム5の左右への倒れが防止されて、より強固な結合状態になる。
【0051】
なお、
図1、3の他、後述する
図8、9にも表れているように、センタクロスメンバ4の前面の下部における左右両側寄りの部位には夫々、前方に向かって延びる板状のエンジンブラケット46,47(
図9を参照)が、前側の鋼板41から角パイプ43に亘って設けられており、これらは図示しないエンジンのクランクケースやこれと一体の変速機ケースに、その左右両側で締結される。
【0052】
かくの如く本実施形態では、前後に扁平な閉断面構造のセンタクロスメンバ4によってメインフレーム3の左右のフレーム部材同士を連結し、且つそれらを後方のランバーフレーム5と連結しているので、省スペースでありながら従来一般的なパイプワークと同等以上の剛性を得ることが可能であり、この結果として燃料タンク20や車両装備品のレイアウトの自由度が高くなっている。
【0053】
例えば、左右に延びるクロスパイプ等に邪魔されることなく、センタクロスメンバ4の上方のスペースを利用して、燃料タンク20の後端部を従来よりも後方且つ下方に配置することができる。また、詳しくは後述するが、センタクロスメンバ4の後方にはキャニスタ7やABSユニット9のような車両装備品が搭載され、その取付作業が容易に行えるようになっている。更にランバーフレーム5の前側の部分をできるだけ低く位置づければ、シート21の厚みを十分に確保できるようになり、ライダーの乗り心地が向上する。
【0054】
−フレーム後部の構造−
次に、前記のようにセンタクロスメンバ4に連結されているランバーフレーム5等、フレーム後部の構造について説明する。本実施形態におけるランバーフレーム5は、
図1に表れているようにセンタクロスメンバ4から下方に延びるピボットフレーム部5cと、後方に延びるリヤステー部5d(リヤフレーム部の前側の部分)とを一体化したものであり、そのリヤステー部5dの後端部には、リヤフレーム部の後側の部分であるリヤエンドフレーム6の前端部が連結されている。
【0055】
図1及び
図5に表れているように、ランバーフレーム5の前側部分の上半部は、側方から視ると下窄まりの逆三角形状であり、これが下側に向かってやや前方に傾斜しながら延びてピボットフレーム部5cを構成している。また、前記逆三角形状の部分から後方に向かって斜め上向きに延びる部分がリヤステー部5dであり、このリヤステー部5dの前側の部分と前記ピボットフレーム部5cの上側の部分とを、前記逆三角形状の部分が兼ねている。
【0056】
前記ピボットフレーム部5cの上下方向の中間部、正確には中央部のやや下寄りには丸穴が開口し、ここを貫通する状態で丸パイプからなるピボット支持筒52が溶接されている。また、ピボットフレーム部5cの下端には、左右に夫々延出するように丸パイプからなるロワクロスパイプ53が溶接されている。ロワクロスパイプ53の右端面は、センタクロスメンバ4の右側面に対応する位置にあり、後述するようにピボットプレート96(
図10参照)が接合される。一方、ロワクロスパイプ53の左端にはサイドスタンドブラケット54が取付けられ、ここにピボットブレート96の取付座が設けられている。
【0057】
また、ロワクロスパイプ53の右側の部分と前記サイドスタンドブラケット54とに夫々、前方に向かって延びる板状のエンジンブラケット53a(
図9を参照),54aが設けられており、前記センタクロスメンバ4のエンジンブラケット46,47と同じく変速機ケースにその左右両側で締結される。なお、右側のエンジンブラケット53aに対応する部位と、左側のエンジンブラケット54aよりもやや右側(車幅方向の内側)の部位とに夫々、ロワクロスパイプ53から後方に延びて、図示しない排気系のマフラーを支持するためのマフラー取付ブラケット55が設けられている。
【0058】
一方、ランバーフレーム5の上半部の逆三角形状の部分から後方斜め上方に向かって延びるリヤステー部5dは、
図1に表れているように、後方に向かって少しずつ上下の幅が短くなっている。これは、リヤステー部5dの上部に載置されるシート21からライダーやタンデムライダーの体重がかかることを考慮して、付け根の部分を強化したものであり、結果としてリヤステー部5dの下面は、その前側の逆三角形状の部分において緩やかに下方に湾曲し、ピボットフレーム部5cの後面に連なっている。
【0059】
なお、
図1に表れているようにランバーフレーム5の上面における前後方向の中央付近には、シート21を下方から保持するシートサポート56が配設されている。シートサポート56は鋼板を折り曲げて逆U字状としたものであり、その左側の側板は、リヤステー部5dの左側面から上面にかけて形成された窪み内に接合されている。また、シートサポート56の下方には、キャニスタ7やバッテリ8の取付座57,58も設けられている。
【0060】
このようにピボットフレーム部5cとリヤステー部5dとが一体化されたランバーフレーム5は、後述の如く左右両側を車両装備品の搭載スペースとするために、2枚のプレス鋼板50,51を左右から重ね合わせて閉断面構造とし、高い剛性を有しながら左右の幅をできるだけ狭くしたものである。
図5には左側の鋼板50を仮想線で表し、右側の鋼板51の内部を表している。右側の鋼板51には、その外周縁の略全周、即ちピボットフレーム部5cの前縁、後縁及びリヤフステー部5dの上縁、下縁において鋼板51を車体の内側である左側に折り曲げて、フランジ51aが形成されている。
【0061】
図5には仮想線で表されているが、左側の鋼板50にも同様に外周縁を折り曲げてフランジ50aが形成されている。この左側の鋼板50の外形寸法は右側の鋼板51よりも一回り小さいので、両者を左右から重ね合わせると、
図6及び
図7に表れているように左側の鋼板50のフランジ50aに外側から右側の鋼板51のフランジ51aが重なる。そして、この外側のフランジ51aがその周縁に沿って概ね直線状に内側のフランジ50aの外周面に溶接されている。
【0062】
こうしてフランジ50a,51aが重ね合わされているので、ランバーフレーム5においてピボットフレーム部5cの前面と、このピボットフレーム部5cからリヤステー部5dに亘る上面と、ピボットフレーム部5cの後面からリヤステー部5dの下面にかけて連続する面とがそれぞれ二重構造になって、その剛性が向上している。また、各面の長手方向に沿って線状に溶接するので作業が容易であり、溶接材の融け込みもよく、溶接跡も綺麗に仕上がる。特に、上方からの荷重によって長手方向へ引張力が作用する上面においては、溶接部分を左右に開くような力が発生するが、これに耐え得る十分な溶接強度が確保されている。
【0063】
また、閉断面構造であるランバーフレーム5の剛性は、その断面積や断面形状だけでなく、鋼板50,51の厚みによって調整することもでき、必要に応じて内部にリブを追加することによっても調整できる。一例として
図5、6に表れているように、ピボットフレーム部5cの上側の逆三角形状の部分には、リヤステー部5dの方向に延びるようにそのリヤステー部5dの捻れや左右への倒れを抑えるためのリブ59が、左右の鋼板50,51を繋ぐように設けられている。
【0064】
このリブ59は、前後に長い概略矩形状の板材の右縁を右側の鋼板51(左右の板材の一方)の裏面に、左側(他方)に向かって突出するように溶接したもので、その端縁部である左縁には下向きに折り曲げられた折曲部59aが形成されている。この折曲部59aは、左側の鋼板50に形成された貫通溝50bを塞ぐよう、その周縁部に当該鋼板50の裏側から当接して溶接されている。この構造では、貫通溝50bを介して鋼板50の表側、即ちランバーフレーム5の外側から溶接を行うことができる。
【0065】
また、
図5、7に表れているようにリヤステー部5dの後端部には、右側の鋼板51の上下のフランジ51a間に亘ってリブ60が設けられ、その上縁及び下縁で溶接されている。この部位は、
図1、2に表れているようにリヤエンドフレーム6の左右のパイプ61の前端が溶接される部位であり、特にタンデムライダーの体重が加わることを考慮してリブ60により補強している。また、リヤステー部5dの後端には、その開口を閉ざす蓋部62も溶接されていて、これも断面を効果的に補強している。
【0066】
こうして閉断面を構成する左右の鋼板50,51の間にリブ59,60を追加しても、ランバーフレーム5の外形寸法は変化しないので、後述するようにその左右に搭載する車両装備品のスペースに影響を及ぼすことがない。つまり、別途、補強フレームを追加しなくてもよいので、自動二輪車1の開発の途中であっても必要に応じて容易に車体の剛性アップを図ることができる。このことは従来までのパイプフレームにはない大きなメリットである。
【0067】
なお、
図5に表れているようにランバーフレーム5の右側の鋼板51の裏面には、所要の箇所にナット63が溶接されている。これは、
図9を参照して後述するようにABSユニット9を取付けるためのボルトが螺合されるものであり、図には表れていないが、ナット63の丸穴に対応して鋼板51にもボルトの挿入される丸穴が開口している。
【0068】
ここで、
図2に表れているように上方から見ると、ランバーフレーム5は左右の幅が非常に狭い幅狭形状部であり、車体フレーム1の中心線Xに沿って前後方向に延びていて、その左右両側に車両装備品の搭載スペースが確保されている。すなわち、ランバーフレーム5の前端部は概ね左右の中心に位置し、その右側には
図9を参照して後述するようにABSユニット9が搭載される。また、その後方でランバーフレーム5は少しだけ右側にオフセットしていて、その分、スペースの広がった左側には
図8を参照して後述するようにキャニスタ7及びバッテリ8が搭載される。
【0069】
また、
図6、7に表れているようにランバーフレーム5の左右の幅は、ピボットフレーム部5cにおけるピボット支持筒52以下の範囲では相対的に大きく(厚く)されていて、ここでは前後の長さと左右の幅とが略同じ角パイプ状になっている。この角パイプ状の部分の上端にはピボット支持筒52が貫通状態で溶接され、一方、下端はロワクロスパイプ53の外周に溶接される。つまり、スイングアーム22を介して後輪から強い力の加わるピボットフレーム部5cの下側の部分がしっかりと補強されている。
【0070】
そして、ピボット支持筒52よりも上でランバーフレーム5には、
図1や
図6、7に表れているように上側の逆三角形状の部分における下側の1/3くらいの範囲において、下方のピボット支持筒52に向かって徐々に前後方向の長さが短くなるとともに、これに対応するように左右の幅が徐々に広がる領域R(
図6、7にのみ示す)が設けられている。これは、ピボットフレーム部5cの水平断面の断面積が上下方向に急に変化することを防ぐもので、剛性の確保に寄与している。
【0071】
なお、前記のように左右の幅が徐々に広がる領域Rの上側では、左側の鋼板50が僅かに凹んでいて、ランバーフレーム5の左右の幅が少しだけ小さくなっているが、また、その直ぐ斜め後方には前記したリブ59が設けられており、剛性は十分に確保されている。その僅かな凹みは、以下に述べるようにランバーフレーム5の左側に搭載するキャニスタ7の下部が右側に少しだけ膨出していることに対応して設けられている。
【0072】
−車両装備品のレイアウト−
図8には、ランバーフレーム5の左側に配設されたキャニスタ7の搭載構造を拡大して表している。前記のようにランバーフレーム5は、車体フレーム1全体の中で左右の幅が特に狭い幅狭形状部であり、その中でもピボット支持筒52よりも上方では、それ以下の角パイプ状の部分に比べて左右の幅が狭くなっている。そして、この幅狭の部位に対応するように、蒸散燃料を一時貯留してパージするためのキャニスタ7が搭載されている。
【0073】
すなわち、
図8では略長方形のボックス状のキャニスタ7が、その下縁をピボット支持筒52の上方に近接させる(即ちできるだけ低く配置する)とともに、センタクロスメンバ4との結合部を補強する楔状ブラケット45を避けるように後傾して配置され、その上面がランバーフレーム5の前部の上面付近に位置している。キャニスタ7の側面及び下面は金属製のホルダー70によって取り囲まれ、このホルダー70がランバーフレーム5の取付座57にボルトにより締結されている。ホルダー70には一体的に、蒸散燃料のパージ制御バルブ71を支持する支持ステー70aが設けられている。
【0074】
また、キャニスタ7の上面には、燃料タンク20から蒸散燃料を導入する導入ホース72と、キャニスタ7の活性炭に吸着されている蒸散燃料をパージ制御バルブ71に吸い出すための吸引ホース73と、が接続されている。また、パージ制御バルブ71にはエンジンの吸気系、例えばスロットルボディに蒸散燃料を送り出すための導出ホース74が接続され、この導出ホース74は、センタクロスメンバ4の略中央を貫通する補強筒44内に挿通されている。
【0075】
それらのホース71,73,74にはいずれも高価なフッ素被覆が施されているが、キャニスタ7の直ぐ上に近接して燃料タンク20の後端部が位置しているので、導入ホース72が短くて済み、コストの低減に有利になる。また、図示は省略するが、前記補強筒44内には蒸散燃料の導出ホース74だけでなく、パージ制御バルブ71へエンジンECUからの制御信号を伝送したり、このエンジンECUに後輪車速センサからの信号を伝送したりするCANのハーネスや燃料ホース等も挿通される。
【0076】
そして、キャニスタ7を取付けるときには、それに予めホルダー70やパージ制御バルブ71を装着し、ホース71,73,74も接続した上でランバーフレーム5の左側の所定位置に仮組みして、ホルダー70を取付座57にボルトで締結すればよい。この際、キャニスタ7の搭載スペースの付近には、従来一般的なパイプフレームのように邪魔になるパイプやステー等がないため、作業が容易に行える。特に取付取付座57がランバーフレーム5の左側の鋼板50に設けられ、それにナットが溶接してあるので、ボルト締めの作業が非常に容易になる。
【0077】
図8には仮想線で表されているが、キャニスタ7の後方にはバッテリ8が搭載される。前記のようにキャニスタ7が燃料タンク20に近い前寄りに配置され、その後ろに近接してバッテリ8が配置される。従来一般的なパイプフレームのように邪魔になるパイプやステー等がないので、バッテリ8は、スイングアーム22と干渉しない範囲でできるだけ低く配置することができ、
図8の例ではランバーフレーム5のリヤステー部5dの左側面に溶接されたL字状の取付座58の上に載置される。バッテリ8は、側方から見て後上がりのリヤステー部5dと概ね重なるように、やや後上がりに搭載されるので、その上方に配設されるシート21のクッションの厚みを確保しやすく、ライダー及びタンデムライダーの乗り心地を向上させる上で好ましい。
【0078】
図9には前記
図8と同様に拡大して、ランバーフレーム5の右側におけるABSユニット9の搭載状態を表している。ABSユニット9は、車輪のロックを防止するためにブレーキ液圧を減圧等するABS(Anti-Lock Brake System)制御のためのもので、図の例では、複数の電磁バルブが一体化されたバルブブロック9a、ブレーキ液圧を昇圧させるためのポンプ及びその駆動モータ9b、それらを制御するECU9c等がユニット化されている。
【0079】
前記右側のキャニスタ7と同じくABSユニット9も、ランバーフレーム5のピボットフレーム部5cにおいてピボット支持筒52の上方に近接して、即ちできるだけ低い位置に搭載される。図示は省略するがABSユニット9には、その左側面(
図9の奥の側面)に沿って上方に突出するように小さな凸片が取付けられており、これを貫通するボルトによってランバーフレーム5の右側面に締結される。
【0080】
前記ピボットフレーム部5cの右側にはフットブレーキのマスタシリンダ91が配設されており、ABSユニット9はマスタシリンダ91に近接するので、両者を繋ぐブレーキ配管92が短くて済む。このブレーキ配管92はバルブブロック9aの上面に接続され、その近傍には、図示しない自動二輪輪のブレーキレバーや前輪のホイールシリンダへと繋がるブレーキ配管93も接続される。従来一般的なパイプフレームのようにそのパイプ等の外まで引き出す必要がないので、ブレーキ配管93は非常に短くて済み、コストの削減に有利になる。
【0081】
そうしてブレーキ配管92,93が取付けられる上面を除いて、ABSユニット9の前面、下面及び後面の三面を三方から囲むように遮蔽板94が配設されている。遮蔽板94は一例としてゴム製の板材を折り曲げてなり、前方のエンジンからの輻射熱を遮るとともに、前方ないし下方からの水や泥或いは跳ね石からABSユニット9を保護する。また、ABSユニット9の右側面にはECU9cのソケットが設けられ、ここには前輪及び後輪の車速センサやエンジンECUとの間で信号の授受を行うためのハーネスが差し込まれる。
【0082】
そして、そのハーネスを覆うように右側からピボットプレート96(
図10参照)が取付けられることで、ABSユニット9は、その上方を除いた全ての方向から取り囲まれることになる。このピボットプレート96によってスイングアーム22の前端部を支持するピボット構造等も覆い隠されるようになり、更なる意匠カバーは不要になる。なお、
図9において符号95は、マスタシリンダ91に接続されたブレーキ液のリザーブタンクを表しており、その上部にはブレーキ液を補充するときに開かれる蓋が取付けられている。
【0083】
前記したキャニスタ7と同様にABSユニット9も、ランバーフレーム5に対してその側方から容易に取付けることができる。その際には従来一般的なパイプフレームのように車体フレームのパイプ等が邪魔になることはない。作業者はランバーフレーム5の右側からABSユニット9を遮蔽板94の内側に位置づけて、凸片の丸穴をランバーフレーム5の右側の鋼板51の丸穴に合致させ、そこにボルトを挿入して、鋼板51の裏側に溶接されているナット63(
図5を参照)と螺合させる。
【0084】
図10に表れているようにABSユニット9の上方にはサスペンションユニット10が配設される。同図にのみ表すが、後輪23(仮想線で示す)を支持するスイングアーム22は、車体のメインフレーム3と同じく上下に対をなす丸パイプ22a,22bからなり、下側の丸パイプ22bの前端部がピボット支持筒52に内挿されたシャフトに支持されている一方、上側の丸パイプ22aの前端部には、サスペンションユニット10の下端を支持する支持部22cが設けられている。
【0085】
サスペンションユニット10は、概略円筒状のオイルダンパ11の上下両端に夫々リング状の連結部11aが設けられるとともに、上下両端側の外周に夫々コイルばね12の受け皿11bが溶接されている。そして、オイルダンパ11の外周を離間して取り巻くように配設されたコイルばね12の両端が夫々、前記受け皿11bに当接して予圧縮された状態になっている。
【0086】
そして、サスペンションユニット10は、ABSユニット9の上方に所定の間隔を空けて前後方向に延び且つ前上がりに傾斜していて、その上端の連結部11aが、メインフレーム3の後端のサスペンション支持部40に回動可能に連結支持されている。すなわち、オイルダンパ11の上端のリング状連結部11aは、サスペンション支持部40の左右の支持板40a,40bの間に挟まれた状態で、それらを刺し通すように挿入された連結軸によって回動可能に連結される。同様にサスペンションユニット10の下端の連結部11aは、前記スイングアーム22前端の支持部22cに回動可能に連結される。
【0087】
つまり、本実施形態においてサスペンションユニット10は、車体の概ね中央を通るランバーフレーム5を避けるように、その右側にオフセットして配置されており、
図10に表れているように後ろ下がりのメインフレーム3に連続して、後方のスイングアーム22に滑らかに連続するように見えることから、自動二輪車の外観見栄えの向上に寄与している。
【0088】
以上、説明したように本実施形態に係る自動二輪車の車体フレーム1は、エンジンや変速装置が搭載されるフレーム前部のメインフレーム3を、従来通り左右に対をなすフレーム部材(上下のメインパイプ30,31)によって構成する一方、その後方に連なるフレーム後部において相対的に前側の部分は、概ね車体中心を通り左右に狭いランバーフレーム5としている。そして、その側方にキャニスタ7、ABSユニット9等の車両装備品を搭載することで、それらを車体フレーム1に左右から容易に取付けることができる。
【0089】
また、前記のように左右の幅を狭くしたランバーフレーム5は、プレス鋼板50,51を左右から重ね合わせた閉断面構造とし、その形状等の設定により適切な断面係数を得るとともに、必要に応じて内部にリブ59,60等を追加することによって、幅は狭くても十分な剛性を確保することができる。しかも、パイプワークの車体フレームに比べてコストダウンが図られ、かつ良好な溶接性を確保できるので、強度面でも有利である。
【0090】
特に本実施形態のようにピボットフレーム部5cとリヤステー部5dとを一体とすれば、閉断面構造のランバーフレーム5を形成する左右の鋼板50,51を夫々プレス等により一体に成型可能なので、製造コストの低減にはより有利になる。プレスする際に鋼板50,51に予め取付座を設けたり、その裏側にナット等を溶接することによって、車両装備品の取付け作業を一層、容易なものとすることができる。
【0091】
更に、本実施形態ではメインフレーム3の左右のフレーム部材の後端を繋ぐセンタクロスメンバ4も、前後方向から鋼板41,42を重ね合わせた閉断面構造としたので、従来一般的なパイプワークの車体フレームに比べて低コスト、省スペースでありながら同等以上の剛性を確保することができ、前記車両装備品の取付け、搭載に有利になる。しかも、センタクロスメンバ4の上方から後方へかけてのスペースに燃料タンク20の後端部を配設し、従来よりも後方且つ下方に位置付けているので、車両の重量配分の適正化にも貢献する。
【0092】
また、センタクロスメンバ4の鋼板42の後面から角パイプ43に跨るようにして後方からランバーフレーム5を溶接し、その前端の上突出部5aはセンタクロスメンバ4の補強筒44にも溶接するとともに、ランバーフレーム5と角パイプ43との間には楔状ブラケット45も付加して結合剛性を高めている。その上更に、センタクロスメンバ4とランバーフレーム5のピボットフレーム部5cとに夫々エンジンブラケット46,47,53a,54aを設けて、エンジンのケースを利用してセンタクロスメンバ4とランバーフレーム5との結合剛性を高めることができる。
【0093】
そして、センタクロスメンバ4の後方において、幅の狭いランバーフレーム5の左右の側方には、パイプワークに邪魔されない連続したスペースに複数の車両装備品をその大きさや形状に合わせて無駄なく搭載することができる。すなわち、ランバーフレーム5の右側において低い位置にABSユニットを搭載し、その上方にサスペンションユニット10を配置する一方、ランバーフレーム5の左側において燃料タンク20の近くにキャニスタ7を搭載し、その後方にバッテリ8をできるだけ低く搭載している。
【0094】
つまり、キャニスタ7、バッテリ8、ABSユニット9及びサスペンションユニット10の全てをランバーフレーム5の周囲に最適なレイアウトで搭載でき、多くの車両装備品をシート21の近傍に搭載しているにも拘らず、車幅はあまり大きくはならないので、ライダーの脚部のフィット感が損なわれず、自動二輪車との一体感を得やすいとともに、乗り心地や足着き性も向上する。
【0095】
−他の実施形態−
上述した実施形態の説明は例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限するものではない。本発明に係る車両装備品の搭載構造は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施形態の構成を変更、追加、又は削除することができる。
【0096】
例えば前記の実施形態では車体フレーム1の後部においてピボットフレーム部5cとリヤステー部5dとを一体として閉断面構造のランバーフレーム5としているが、これに限らずピボットフレーム部5c又はリヤステー部5dのいずれか一方のみを閉断面構造として、これをセンタクロスメンバ4に溶接してもよい。
【0097】
また、前記の実施形態ではセンタクロスメンバ4及びランバーフレーム5の双方を閉断面構造としているが、ランバーフレーム5については閉断面構造にはせず、例えば角パイプ等によって構成してもよい。
【0098】
更に前記の実施形態においてセンタクロスメンバ4には角パイプ43や補強筒44を設けなくてもよく、ランバーフレーム5のように内部に補強リブを配設してもよい。また、エンジンブラケット46,47も設けなくてもよい。
【0099】
また、前記の実施形態では車両装備品としてキャニスタ7、バッテリ8、ABSユニット9及びサスペンションユニット10を例示しているが、これに限定されることもなく、それ以外にも例えばGPSユニット、リレーボックス、レギュレータ、ECU等が挙げられる。