(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
本発明は、単離ヒト改変抗−IL−6抗体(またIL−6抗体とも呼ぶ)、これの免疫グロブリン、フラグメント、開裂生成物および他の特定部分および変異体ばかりでなく抗−IL−6抗体組成物、IL−6−抗−イディオタイプ抗体、コード化もしくは相補的核酸、ベクター、宿主細胞、組成物、製剤、機器、遺伝子導入動物、遺伝子導入植物およびそれらの製造および使用方法を提供するものである。
【0008】
本発明は、1つの面において、特定の抗−IL−6抗体または抗−イディオタイプ抗体をコードするポリヌクレオチドを含んで成るか、それに相補的であるか或はそれとハイブリダイズする単離核酸分子を提供し、これは少なくとも1種の特定配列、これのドメイン、部分または変異体を含んで成る。本発明は、更に、前記抗−IL−6抗体核酸分子を含んで成る組換え型ベクター、前記核酸および/または組換え型ベクターを含有する宿主細胞ばかりでなく前記抗体の核酸、ベクターおよび/または宿主細胞を生産および/または使用する方法も提供する。
【0009】
本発明は、また、少なくとも1種の抗−IL−6抗体またはIL−6抗−イディオタイプ抗体を宿主細胞内に発現させる少なくとも1種の方法も提供し、この方法は、本明細書に記述する如き宿主細胞を少なくとも1種の抗−IL−6抗体が検出可能および/または回収可能な量で発現する条件下で培養することを含んで成る。
【0010】
本発明は、また、(a)本明細書に記述する如き単離抗−IL−6抗体をコードする核酸および/または抗体および(b)適切および/または製薬学的に受け入れられる担体もしくは希釈剤を含有して成る少なくとも1種の組成物も提供する。
【0011】
本発明は、更に、細胞、組織、器官、動物または患者および/または関連状態になる前、後または間のそれらにおける少なくとも1種のIL−6が関与する症状を調節または処置するに治療的に有効な量を本技術分野で公知および/または本明細書に記述するようにして投与するに適した少なくとも1種の抗−IL−6抗体方法もしくは組成物も提供する。
【0012】
本発明は、また、本発明に従う少なくとも1種の抗−IL−6抗体を治療的または予防的に有効な量で送達する少なくとも1種の組成物、機器および/または方法も提供する。
【0013】
本発明は、更に、細胞、組織、器官、動物または患者および/または関連状態になる前、後または間のそれらにおける少なくとも1種のIL−6関連状態を本技術分野で公知および/または本明細書に記述するようにして診断するに適した少なくとも1種の抗−IL−6抗体方法もしくは組成物も提供する。
【0014】
本発明は、また、本発明に従う少なくとも1種の抗−IL−6抗体を診断の目的で送達する少なくとも1種の組成物、機器および/または方法も提供する。
【0015】
また、本発明の少なくとも1種の単離哺乳動物抗−IL−6抗体を含有して成る医学機器も提供し、ここで、前記機器は、少なくとも1種の抗−IL−6抗体、IL−6抗−イディオタイプ抗体、核酸分子、化合物、蛋白質および/または組成物を接触させるか或は投与するに適する。
【0016】
また、本発明の少なくとも1種の単離抗−IL−6抗体の溶液または凍結乾燥形態物が入っている容器および包装用材料を含んで成るヒト製薬学的または診断用途用製品も提供
する。この製品に場合により送達デバイスまたはシステムの構成要素として前記容器を持たせることも可能である。
【0017】
本発明は更に本明細書に記述する全ての発明も提供する。
【0018】
<発明の記述>
本発明は、単離、組換え型および/または合成抗−IL−6ヒト改変抗体およびこれのIL−6抗−イディオタイプ抗体ばかりでなく少なくとも1種の抗−IL−6抗体もしくは抗−イディオタイプ抗体をコードする少なくとも1種のポリヌクレオチドを含んで成る組成物およびコード化核酸分子も提供する。本発明は、更に、これらに限定するものでないが、前記核酸および抗体および抗−イディオタイプ抗体の製造および使用方法も包含し、それには診断用および治療用組成物、方法および機器が含まれる。
【0019】
本明細書で用いる如き「抗−IL−6抗体」、「IL−6抗体」、「抗−IL−6抗体部分」または「抗−IL−6抗体フラグメント」および/または「抗−IL−6抗体変異体」などには、免疫グロブリン分子の少なくとも一部、例えばこれらに限定するものでないが、重もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)またはそれのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域またはこれのいずれかの部分、またはIL−6受容体もしくは結合蛋白質の少なくとも一部など(これらを本発明の抗体の中に組み込むことができる)を含んで成る蛋白質もしくはペプチド含有分子のいずれも含まれる。そのような抗体は、場合により、更に、特定のリガンドに影響を与える可能性もあり、例えば、これらに限定するものでないが、そのような抗体は少なくとも1種のIL−6の活性もしくは結合またはIL−6受容体の活性もしくは結合に関してインビトロ、インシトゥおよび/またはインビボで修飾、低下、向上、アンタゴニストとしての作用、アゴニストとしての作用、軽減、緩和、阻害、抑制、無効および/または妨害などを及ぼす。非限定例として、本発明の適切な抗−IL−6抗体、特定部分または変異体は少なくとも1種のIL−6分子またはこれの特定部分、変異体またはドメインと結合し得る。また、適切な抗−IL−6抗体、特定部分または変異体は場合によりIL−6の活性または機能、例えばこれらに限定するものでないが、RNA、DNAまたは蛋白質の合成、IL−6の放出、IL−6受容体のシグナル伝達、膜IL−6の開裂、IL−6の活性、IL−6の産生および/または合成などの中の少なくとも1つにも影響を与える。
【0020】
更に、用語「抗体」は抗体、これの消化フラグメント、特定部分および変異体[抗体またはこれの特定フラグメントもしくは部分の構造および/または機能を模倣するか或は模倣する抗体部分を含んで成る抗体模倣物(一本鎖抗体およびこれのフラグメントを包含)を包含]を包含することも意図する。機能的フラグメントには、哺乳動物のIL−6と結合する抗原結合フラグメントが含まれる。本発明は例えばIL−6もしくはこれの部分と結合し得る抗体フラグメントなどを包含し、それには、これらに限定するものでないが、Fab(例えばパパイン消化による)、Fab’(例えばペプシン消化および部分的還元による)およびF(ab’)
2(例えばペプシン消化による)、facb(例えばプラスミン消化による)、pFc’(例えばペプシンまたはプラスミン消化による)、Fd(例えばペプシン消化、部分的還元および再集合による)、FvまたはscFv(例えば分子生物学技術による)フラグメントが含まれる(例えば上記Colligan、Immunologyを参照)。
【0021】
そのようなフラグメントの生成は本技術分野で公知および/または本明細書に記述する如き酵素による開裂、合成または組換え技術を用いて実施可能である。また、1つ以上の終止コドンを天然の終止部位の上流に導入しておいた抗体遺伝子を用いることで抗体をいろいろな切断型で生じさせることも可能である。例えば、F(ab’)
2重鎖部分をコー
ドする組換え遺伝子が重鎖のCH
1ドメインおよび/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含有するようにそれを設計することも可能である。抗体のいろいろな部分を通常技術を用いて化学的に一緒に結合させてもよいか、或は遺伝子工学技術を用いて連続した蛋白質として調製することも可能である。
【0022】
本明細書で用いる如き用語「ヒト改変抗体」は、少なくとも完全にヒトのフレームワークおよび定常領域[C
L、C
Hドメイン(例えばC
H1、C
H2、C
H3)およびヒンジ]および抗原結合抗体由来CDRを伴う抗体である。完全にヒトのフレームワークには、ヒト生殖細胞配列ばかりでなく体細胞変異を伴う配列に相当するフレームワークが含まれる。CDRは、抗体フレームワークのいずれかに関連してIL−6と結合する1つ以上のCDRに由来するものであってもよい。例えば、本発明のヒト改変抗体のCDRは、マウス抗体フレームワークに関連してIL−6と結合するCDRに由来するものであってもよく、その後、完全にヒトのフレームワークに関連してIL−6と結合するようにそれを改変させる。そのようなヒト改変抗体はしばしばヒトに実質的に免疫原性を示さない。
【0023】
同様に、抗体が霊長類[サル、バブーン(babboon)、チンパンジーなど]、齧歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)および他の哺乳動物を指定する場合、それは、そのような種、亜属、属、亜科および科に特異的な抗体を示す。その上、キメラ抗体には前記の任意組み合わせが含まれ得る。そのような変形もしくは変異体は、場合によるが好適には、ヒトまたは他の種において、修飾を受けさせていない抗体に比べて免疫原性を保持しているか或は低い免疫原性を示す。従って、ヒト改変抗体はキメラ抗体ともヒト化抗体とも異なる。
【0024】
機能的に再配列させたヒトもしくはヒト改変免疫グロブリン(例えば重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現し得る動物(ヒト以外)または原核もしくは真核細胞を用いてヒト改変抗体を生じさせることができることを指摘する。その上、ヒト改変抗体が一本鎖抗体の場合、これは天然のヒト抗体には見られないリンカーペプチドを含んで成り得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域をつなげているリンカーペプチド、例えば2から約8個のグリシンもしくは他のアミノ酸残基などを含んで成り得る。そのようなリンカーペプチドはヒトに由来するものであると考えている。
【0025】
また、少なくとも2種類の異なる抗原に結合特異性を示すモノクローナルの二重特異性、異種特異性、異種接合もしくは同様な抗体、好適にはヒト、ヒト改変もしくはヒト化抗体も使用可能である。本ケースでは、結合特異性の中の一方は少なくとも1種のIL−6蛋白質に対する特異性であり、もう一方は他のいずれかの抗原に対する特異性である。二重特異性抗体を生じさせる方法は本技術分野で公知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(2つの重鎖が異なる特異性を示す)を一緒に発現させることが基になっている[Milstein and Cuello、Nature 305:537(1983)]。免疫グロブリンの重および軽鎖の組み合わせは無作為であることから、そのようなハイブリドーマ(クアドローマ)は10種類の異なる抗体分子の潜在的混合物をもたらし、これらの中で的確な二重特異性を示す構造を有するのは1つのみである。その的確な分子の精製は一般にアフィニティークロマトグラフィー段階で実施される。同様な手順が例えばWO 93/08829、米国特許第6210668,6193967,6132992,6106833,6060285,6037453,6010902,5989530,5959084,5959083,5932448,5833985,5821333,5807706,5643759,5601819,5582996,5496549,4676980,WO91/00360,WO92/00373,EP03089,Traunecker 他.,EMBO J.10:3655(1991),Suresh 他, Methods in Enzymology 121:210(これらは各々引用することによって全体が本明細書に
組み入れられる)に開示されている。
【0026】
本発明の方法および組成物で用いるに有用な抗−IL−6抗体は、場合により、IL−6に高い親和力で結合することでも特徴付け可能であり、かつ場合によるが好適には、毒性が低いとしても特徴付け可能である。個々の成分、例えば可変領域、定常領域およびフレームワークなどが個別および/または集合的に場合によるが好適には低い免疫原性を示す本発明の抗体、特定フラグメントまたは変異体が特に本発明で用いるに有用である。本発明で使用可能な抗体は、場合により、患者を長期間に渡って測定可能な症状軽減を伴いかつ低いおよび/または受け入れられる毒性度合で処置することができることでも特徴付けられる。免疫原性が低いか或は受け入れられる度合でありそして/または親和力が高いばかりでなく他の適切な特性を有することが、そのように達成する治療結果に貢献している可能性がある。本明細書では、抗−IL−6抗体で処置した患者における「低い免疫原性」を、処置期間の間の推奨される治療期間の間に推奨用量で処置した場合に抗−IL−6抗体に対する抗体が滴定濃度で発生する率が処置した患者の25%未満、好適には処置した患者の10%未満であるとして定義する。
【0027】
本発明の単離核酸は、少なくとも1種の抗−IL−6抗体もしくはこれの特定変異体を生じさせる目的で使用可能であり、それらは、これらに限定するものでないが、免疫疾患もしくは病、心臓血管疾患もしくは病、感染、悪性および/または神経学的疾患または病気または他の公知もしくは特定のIL−6関連状態の中の少なくとも1つから選択した少なくとも1種のIL−6状態を診断、監視、調節、処置、改善、発生率阻止の補助または症状の軽減を測定または実施する目的で細胞、組織、器官または動物(哺乳動物およびヒトを包含)で使用可能である。
【0028】
前記方法は、そのような症状、影響または機構における修飾、処置、改善、予防または軽減を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有させておいた組成物または製薬学的組成物を有効量で投与することを含んで成り得る。そのような有効量には、本明細書に記述するか或は関連技術で公知の如き公知方法を用いて実施および測定した時に1回(例えばボーラス)、多数回または連続投与当たり約0.001から500mg/kgの量または1回、多数回または連続投与当たり血清濃度1ml当たり0.01−5000μgの血清中濃度が達成される量、またはそれらの中の有効な範囲または値のいずれも含まれ得る。
【0029】
本発明の抗体−産生および発生
本発明の少なくとも1種の抗−IL−6抗体を場合により本技術分野で良く知られている如き細胞系、混合細胞系、不死化細胞または不死化細胞のクローン集団を用いて産生させることができる。例えば下記を参照:Ausubel,他編集、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987−2001);Sambrook 他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第2版、Cold Spring Harbor,NY(1989);Harlow and
Lane,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989);Colligan 他編集、Current Protocols in Immunology,John Wiley
& Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan 他、Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997−2001)。
【0030】
ヒトIL−6蛋白質またはこれのフラグメントに特異的なヒト改変抗体を適切な免疫原性抗原、例えば単離IL−6蛋白質および/またはこれの一部(合成分子、例えば合成ペ
プチドを包含)に対して生じさせることができる。他の特定または一般的哺乳動物抗体も同様に生じさせることができる。免疫原性抗原の調製およびモノクローナルの産生は適切な技術のいずれかを用いて実施可能である。
【0031】
1つのアプローチでは、適切な不死化細胞系[例えば骨髄腫細胞系、例えばこれらに限定するものでないが、Sp2/0,Sp2/0−AG14,NSO,NS1,NS2,AE−1,L.5,L243,P3X63Ag8.653,Sp2 SA3,Sp2 MAI,Sp2 SS1,Sp2 SA5,U937,MLA 144,ACTIV,MOLT4,DA−1,JURKAT,WEHI,K−562,COS,RAJI,NIH 3T3,HL−60,MLA 144,NAMALWA,NEURO 2A など、またはヘテロミローマ(heteromylomas)、これの融合生成物、またはそれから生じさせた細胞または融合細胞のいずれも、または本技術分野で公知の如き他の適切な細胞系のいずれも含まれる](例えばwww.atcc.org,www.lifetech.com.,などを参照)と抗体産生細胞、例えばこれらに限定するものでないが、単離もしくはクローン化脾臓、抹消血液、リンパ液、扁桃腺または他の免疫もしくはB細胞含有細胞、または重もしくは軽鎖定常もしくは可変もしくはフレームワークもしくはCDR配列を発現する他の細胞のいずれかの融合を内因性もしくは異種核酸としてか、組換え型もしくは内因性ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、齧歯類、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、緑葉体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、1本鎖、2本鎖もしくは3本鎖、雑種形成などまたはこれらの任意組み合わせのいずれかとして起こさせることでハイブリドーマを生じさせる。例えば、上記Ausubelおよび上記Colligan、Immunologyの2章(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0032】
抗体産生細胞を、また、興味の持たれる抗原を用いて免疫性を与えておいたヒトまたは他の適切な動物の抹消血または好適には脾臓またはリンパ節から得ることも可能である。また、本発明の抗体、これの特定フラグメントまたは変異体をコードする異種もしくは内因性核酸を発現させる目的で他の適切な宿主細胞のいずれかを用いることも可能である。融合させた細胞(ハイブリドーマ)または組換え型細胞を選択的培養条件または他の適切な公知方法を用いて単離した後、限界希釈方法または細胞選別または他の公知方法を用いてクローン化してもよい。所望特異性を示す抗体を産生する細胞を適切な検定(例えばELISA)で選択してもよい。
【0033】
また、ヒト以外またはヒトの抗体を改変またはヒト化する方法も使用可能であり、本技術分野で良く知られている。ヒト化もしくは改変抗体は、ヒト以外の源、例えばこれらに限定するものでないが、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類または他の哺乳動物などに由来するアミノ酸残基を1個以上持ち得る。そのようなヒト以外のアミノ酸残基を「重要な」残基(典型的には公知ヒト配列の「重要な」可変、定常または他のドメインから取った)としばしば呼ぶ残基に置き換える。
【0034】
公知ヒトIg配列は例えば下記に開示されている:
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;www.ncbi.nih.gov/igblast;www.atcc.org/phage/hdb.html;www.mrc−cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;www.kabatdatabase.com/top.html;ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;www.sciquest.com;www.abcam.com;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;www.public.iastate.edu/〜pedro/research
tools.html;www.
whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/mikeimages.html;mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com;pathbox.wustl.edu/〜hcenter/index.html;www.appliedbiosystems.com;www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;www.m.ehime−u.ac.jp/〜yasuhito/Elisa.html;www.biodesign.com;www.cancerresearchuk.org;www.biotech.ufl.edu;www.isac−net.org;baserv.uci.kun.nl/〜jraats/linksl.html;www.recab.unihd.de/immuno.bme.nwu.edu;www.mrc−cpe.cam.ac.uk;www.ibt.unam.mx/vir/V
mice.html;
http:// www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk;www.unizh.ch;www.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s;www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/humanisation/TAHHP.html;www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat
aim.html;www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;www.jerini.de;Kabat 他、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)(各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)。
【0035】
そのような移入配列を用いて免疫原性を低下させるか或は結合、親和、オンレート(on−rate)、オフレート(off−rate)、親和性、特異性、半減期または本技術分野で公知の如き他の適切な特徴のいずれかを低下、向上または修飾することができる。一般的には、抗原の結合に影響を与えることに直接かつ最も実質的に関与しているのはCDR残基である。従って、ヒト以外またはヒトCDR配列の一部または全部を保持させながら可変もしくは定常領域のヒト以外の配列をヒトまたは他のアミノ酸と置き換えてもよい。
【0036】
また、場合により、抗体にヒト化または改変またはヒト抗体改変を抗原の高い親和性および他の好ましい生物学的特性を保持させながら受けさせることも可能である。そのような目的が達成されるように、場合により、親配列、改変配列およびヒト化配列の三次元モデルを用いて親配列およびいろいろな概念的ヒト化および改変産物を分析する方法を用いることでヒト化(またはヒト)または改変抗体を生じさせることも可能である。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能でありかつ本分野の技術者に良く知られている。選択した候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体配座構造を例示かつ表示するコンピュータープログラムを利用することができる。そのような表示を検査することで、当該残基が候補免疫グロブリン種の機能に関して果たす可能性のある役割を分析することができる、即ち候補免疫グロブリンがこれの抗原と結合する能力に影響を与える残基を分析することができる。このようにして、フレームワーク(FR)残基を選択しそしてコンセンサス配列および移入配列を用いて組み合わせることで必要な抗体特徴、例えば標的抗原1種または2種以上に対する親和性の向上などを達成することができる。
【0037】
加うるに、本発明のヒト改変IL−6抗体にヒト生殖細胞軽鎖フレームワークを含有させることも可能である。特定の態様では、そのような軽鎖生殖細胞配列をヒトVK配列から選択するが、そのようなVK配列には、これらに限定するものでないが、A1,A10
,A11,A14,A17,A18,A19,A2,A20,A23,A26,A27,A3,A30,A5,A7,B2,B3,L1,L10,L11,L12,L14,L15,L16,L18,L19,L2,L20,L22,L23,L24,L25,L4/18a,L5,L6,L8,L9,O1,O11,O12,O14,O18,O2,O4,およびO8 が含まれる。特定の態様では、そのような軽鎖ヒト生殖細胞フレームワークをV1−11,V1−13,V1−16,V1−17,V1−18,V1−19,V1−2,V1−20,V1−22,V1−3,V1−4,V1−5,V1−7,V1−9,V2−1,V2−11,V2−13,V2−14,V2−15,V2−17,V2−19,V2−6,V2−7,V2−8,V3−2,V3−3,V3−4,V4−1,V4−2,V4−3,V4−4,V4−6,V5−1,V5−2,V5−4,およびV5−6から選択する。いろいろな生殖細胞配列の説明に関してはPCT WO 2005/005604を参照のこと。
【0038】
他の態様では、本発明のヒト改変IL−6抗体にヒト生殖細胞重鎖フレームワークを含有させてもよい。特別な態様では、そのような重鎖ヒト生殖細胞フレームワークをVH1−18,VH1−2,VH1−24,VH1−3,VH1−45,VH1−46,VH1−58,VH1−69,VH1−8,VH2−26,VH2−5,VH2−70,VH3−11,VH3−13,VH3−15,VH3−16,VH3−20,VH3−21,VH3−23,VH3−30,VH3−33,VH3−35,VH3−38,VH3−43,VH3−48,VH3−49,VH3−53,VH3−64,VH3−66,VH3−7,VH3−72,VH3−73,VH3−74,VH3−9,VH4−28,VH4−31,VH4−34,VH4−39,VH4−4,VH4−59,VH4−61,VH5−51,VH6−1,およびVH7−81から選択する。いろいろな生殖細胞配列の説明に関してはPCT WO 2005/005604を参照のこと。
【0039】
特定の態様における軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域はフレームワーク領域またはフレームワーク領域の少なくとも一部(例えば2または3個の小領域、例えばFR2およびFR3などを含有)を含んで成る。特定の態様において、少なくともFRL1、FRL2、FRL3またはFRL4は完全にヒトである。他の態様において、少なくともFRH1、FRH2、FRH3またはFRH4は完全にヒトである。いくつかの態様において、少なくともFRL1、FRL2、FRL3またはFRL4は生殖細胞配列(例えばヒト生殖細胞)であるか或は個々のフレームワーク用のヒトコンセンサス配列を含んで成る(この上に記述した公知ヒトIg配列の給源の所で容易に入手可能)。他の態様において、少なくともFRH1、FRH2、FRH3またはFRH4は生殖細胞配列(例えばヒト生殖細胞)であるか或は個々のフレームワーク用のヒトコンセンサス配列を含んで成る。好適な態様におけるフレームワーク領域はヒトフレームワーク領域(例えば以下の表13および14に示すヒトフレームワーク領域)である。いくつかの態様におけるフレームワーク領域は配列識別番号:105、106、107、108、109、110、111、112またはこれらの組み合わせを含んで成る。
【0040】
本発明の抗体のヒト化もしくは改変は公知方法、例えばこれらに限定するものでないが、Winter(Jones 他、Nature 321:522(1986);Riechmann 他、Nature 332:323(1988);Verhoeyen 他、Science 239:1534(1988)),Sims 他、J.Immunol.151:2296(1993);ChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter 他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta 他、J.Immunol.151:2623(1993),米国特許第:5723323,5976862,5824514,5817483,5814476,5763192,5723323,5,766886,5714352,6204023,6180370,56937
62,5530101,5585089,5225539,4816567,PCT/:US98/16280,US96/18978,US91/09630,US91/05939,US94/01234,GB89/01334,GB91/01134,GB92/01755;WO90/14443,WO90/14424,WO90/14430,EP229246,(各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられ、それらに引用されている文献を包含)に記述されているそれらのいずれかを用いて実施可能である。
【0041】
特定の態様における本抗体は改変(例えば変異)Fc領域を含んで成る。例えば、いくつかの態様では、本抗体が示すエフェクター機能が低下または向上するようにFc領域に改変を受けさせた。いくつかの態様におけるFc領域は、IgM、IgA、IgG、IgEまたは他のアイソタイプから選択したアイソタイプである。
【0042】
別法としてか或は追加的に、アミノ酸修飾をIL−6結合分子のFc領域が示すC1q結合および/または補体依存性細胞障害(CDC)機能を変える1種以上のさらなるアミノ酸修飾と組み合わせるのも有用であり得る。特に興味の持たれる出発ポリペプチドは、C1qと結合しかつ補体依存性細胞障害を示すポリペプチドであり得る。前以て存在するC1q結合活性を有するポリペプチドが場合によりCDCを調節する能力を更に持つようにそれに修飾を受けさせることでそのような活性の中の一方または両方を向上させることができる。C1qを変えそして/またはそれの補体依存性細胞障害機能を修飾するアミノ酸修飾は例えばWO 0042072(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0043】
この上で考察したように、本発明のヒト改変IL−6抗体のFc領域が改変エフェクター機能を持つようにデザインすることができ、例えばC1q結合および/またはFcγR結合を修飾することでCDC活性および/またはADCC活性を変えることなどでデザインすることができる。「エフェクター機能」は、生物学的活性(例えばある被験体における)を活性化または低下させる責任を負っている。エフェクター機能の例には、これらに限定するものでないが、C1q結合、補体依存性細胞障害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在細胞障害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えばB細胞受容体、即ちBCR)の下方調節などが含まれる。そのようなエフェクター機能を持たせるには、Fc領域を結合ドメイン(例えば抗体可変ドメイン)と組み合わせる必要があり得、それをいろいろな検定(例えばFc結合検定、ADCC検定、CDC検定など)で検定することができる。
【0044】
例えば、本ヒト改変IL−6抗体が向上したC1q結合および向上したFcγRIII結合を示す(例えば向上したADCC活性と向上したCDC活性の両方を持つ)ように、それの変異Fc領域を生じさせることができる。別法として、エフェクター機能を低下させるか或はなくす必要がある場合には、CDC活性が低下しそして/またはADCC活性が低下するように変異Fc領域に改変を受けさせることも可能である。他の態様では、そのような活性の中の一方のみを向上させかつ場合によりまたもう一方の活性を低下させることも可能である(例えばADCC活性が向上しているがCDC活性が低下しているように改変されたFc領域そしてその逆のFc領域を生じさせる)。
【0045】
また、Fc変異を改変に導入してそれらと新生児Fc受容体(FcRn)の相互作用を変えることで薬物動態特性を向上させることも可能である。FcRnとの結合が向上したヒトFc変異体の収集は記述されている(Shields 他、(2001).High
resolution mapping of the binding site on human IgGl for FcγRI,FcγRII,FcγRIII,and FcRn and design of IgGl variants with
improved binding to the FcγR,J.Biol.Chem.276:6591−6604)。
【0046】
別の種類のアミノ酸置換を用いて、本ヒト改変IL−6抗体のFc領域が示すグリコシル化パターンを変える。Fc領域が示すグリコシル化は典型的にN−結合またはO−結合のいずれかである。N−結合は、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖と結合することを指す。O−結合グリコシル化は、糖であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースの中の1つとヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンの結合を指すが、また、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンを用いることも可能である。そのような炭水化物部分とアスパラギン側鎖ペプチド配列の酵素による結合を認識する配列はアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニンであり、ここで、Xはプロリンを除くアミノ酸のいずれかである。従って、そのようなペプチド配列の中のいずれかがポリペプチドに存在すると潜在的グリコシル化部位が作り出される。
【0047】
そのグリコシル化パターンを変えようとする場合、例えばポリペプチドに存在するグリコシル化部位を1つ以上取り除きそして/またはポリペプチドに存在しないグリコシル化部位を1つ以上付加させることなどで変化させることができる。ヒト改変IL−6抗体のFc領域にグリコシル化部位を付加させようとする場合、便利には、そのアミノ酸配列が上述したトリペプチド配列(N−結合グリコシル化部位用の)を1つ以上含有するようにそれを変えることで付加を達成する。典型的なグリコシル化変異体では、重鎖の残基Asn 297のアミノ酸が置き換わっている。また、元々のポリペプチドの配列に1個以上のセリンまたはトレオニン残基(O−結合グリコシル化部位用の)を付加させるか或は置換させることでそのような改変を行うことも可能である。加うるに、Asn 297をAlaに変えることでグリコシル化部位の中の1つを除去することも可能である。
【0048】
特定の態様では、本発明のヒト改変IL−6抗体をベータ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞の中で発現させることで、GnT IIIによってGlcNAcが本ヒト改変IL−6抗体に付加するようにする。そのような様式で抗体を生じさせる方法は WO/9954342,WO/03011878,特許公開 20030003097A1,およびUmana 他,Nature Biotechnology,17:176−180,1999年2月に示されている。
【0049】
場合により、本明細書に記述しそして/または本技術分野で公知の如く、ヒト抗体のレパートリーをもたらし得る形質転換動物(例えばマウス、ラット、ハムスター、ヒト以外の霊長類など)に免疫性を与えることでヒト抗−IL−6抗体を生じさせることも可能である。ヒト抗−IL−6抗体を産生する細胞を前記動物から単離した後、適切な方法、例えば本明細書に記述する方法などを用いてそれを不死化させる。
【0050】
ヒト抗原と結合するヒト抗体のレパートリーをもたらし得る形質転換マウスを公知方法を用いて生じさせることができる[例えばこれらに限定するものでないが、Lonberg他に発行された米国特許第5,770,428,5,569,825,5,545,806,5,625,126,5,625,825,5,633,425,5,661,016および5,789,650 issued to Lonberg 他、Jakobovits 他、WO 98/50433,Jakobovits 他、WO 98/24893,Lonberg 他、WO 98/24884, Lonberg 他、WO
97/13852,Lonberg 他、WO 94/25585,Kucherlapate 他、WO 96/34096,Kucherlapate 他、EP 0463 151 B1,Kucherlapate 他、EP 0710 719 A1,S
urani 他、米国特許第5,545,807,Bruggemann 他、WO 90/04036,Bruggemann 他、EP 0438 474 B1,Lonberg 他、EP 0814 259 A2,Lonberg 他、GB 2 272 440 A,Lonberg 他、Nature 368:856−859(1994),Taylor 他、Int.Immunol.6(4)579−591(1994),Green 他、Nature Genetics 7:13−21(1994),Mendez 他、Nature Genetics 15:146−156(1997),Taylor 他、Nucleic Acids Researh 20(23):6287−6295(1992),Tuaillon 他、Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720−3724(1993),Lonberg 他、Int Rev Immunol 13(1):65−93(1995)およびFishwald 他、Nat Biotechnol 14(7):845−851(1996),(これらは各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)]。
【0051】
一般に、そのようなマウスは、少なくとも1種のヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含んで成る少なくとも1種のトランス遺伝子を含有し、それを機能的に再配列させるか或はそれに機能的再配列を受けさせてもよい。そのようなマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座が崩壊または欠如していることで、その動物の内因性遺伝子がコードする抗体を産生する能力が消失している。
【0052】
同様な蛋白質またはフラグメントと特異的に結合する抗体を選別しようとする場合、便利には、ペプチド提示ライブラリーを用いてそれを達成することができる。このような方法は、大きなペプチド集団に選別を所望の機能または構造を有する個々の員に関して受けさせることを伴う。ペプチド提示ライブラリーの抗体選別は本技術分野で良く知られている。その提示させるペプチド配列は長さがアミノ酸3から5000個分以上、しばしば長さがアミノ酸5−100個分、しばしば長さがアミノ酸約8から25個分であり得る。ペプチドライブラリーを生じさせるに適した直接化学的合成方法に加えて、組換え型DNA方法がいくつか記述された。1つの種類の方法は、ペプチド配列をバクテリオファージもしくは細胞の表面に提示させることを伴う方法である。バクテリオファージまたは細胞は各々が個々の提示ペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。そのような方法はPCT特許公開番号91/17271、91/18980、91/19818および93/08278に記述されている。
【0053】
ペプチドのライブラリーを生じさせる他のシステムは、インビトロ化学的合成と組換え方法の両方の面を有する。PCT特許公開番号92/05258、92/14843および96/19256を参照。また、米国特許第5,658,754号および5,643,768号も参照のこと。ペプチド提示ライブラリー、ベクターおよび選別用キットはInvitrogen(Carlsbad、CA)およびCambridge Antibody Technology(Cambridgeshire、UK)の如き供給業者から商業的に入手可能である。例えばEnzonに譲渡された米国特許第4704692,4939666,4946778,5260203,5455030,5518889,5534621,5656730,5763733,5767260,5856456、Dyaxに譲渡された5223409、5403484、5571698、5837500、Affymaxに譲渡された5427908、5580717、Cambridge
Antibody Technologyに譲渡された5885793、Genentechに譲渡された5750373、Xomaに譲渡された5618920、5595898、5576195、5698435、5693493、5698417、上記Colligan、上記Ausubelまたは上記Sambrookを参照のこと。また、少なくとも1種の抗−IL−6抗体をコードする核酸を用いて、そのような抗体を乳の中に産生するように遺伝子が導入された動物もしくは哺乳動物、例えばヤギ、ウシ、ウマ、ヒツ
ジ、ウサギなどがもたらされるようにすることでも本発明の抗体を生じさせることができる。公知方法を用いてそのような動物を生じさせることができる。例えば、これらに限定するものでないが、米国特許第5,827,690;5,849,992;4,873,316;5,849,992;5,994,616;5,565,362;5,304,489など(これらは各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0054】
加うるに、少なくとも1種の抗−IL−6抗体をコードする核酸を用いて、そのような抗体、特定部分または変異体をこれらを用いて培養した植物部分または細胞の中にもたらす形質転換植物を生じさせそして植物細胞(例えばこれらに限定するものでないが、タバコおよびトウモロコシ)を培養することでも、本発明の抗体を生じさせることができる。非限定例として、組換え型蛋白質を発現する形質転換タバコ葉を用いて組換え型蛋白質を成功裏に多量に生じさせることが行われ、例えば誘導プロモーターを用いることなどで行われた。例えばCramer他、Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95−118(1999)およびそこに引用されている文献を参照のこと。また、哺乳動物の蛋白質を商業的生産濃度で発現する形質転換トウモロコシも用いられ、それの生物学的活性は他の組換えシステムで生産されたそれまたは天然源から精製されたそれに相当する。例えばHood他、Adv.Exp.Med.Biol.464:127−149(1999)およびそれに引用されている文献を参照のこと。また、抗体フラグメント、例えば1本鎖抗体(scFv)などを含有する形質転換植物の種(タバコの種およびジャガイモの塊茎を包含)を用いて抗体を多量に生じさせることも行われた。例えばConrad他、Plant Mol.Biol.38:101−109(1998)およびそこに引用されている文献を参照のこと。このように、また、形質転換植物を公知方法に従って用いることで本発明の抗体を生じさせることも可能である。また、例えばFischer 他、Biotechnol.Appl.Biochem.30:99−108(Oct.,1999),Ma 他、Trends Biotechnol.13:522−7(1995);Ma 他、Plant Physiol.109:341−6(1995);Whitelam 他、Biochem.Soc.Trans.22:940−944(1994);およびそれらに引用されている文献も参照のこと。
【0055】
本発明の抗体はヒトIL−6と幅広い範囲の親和力(K
D)で結合し得る。好適な態様において、場合により、本発明の少なくとも1種のヒトmAbはヒトIL−6と高い親和力で結合し得る。例えば、ヒトもしくはヒト改変mAbはヒトIL−6と約10
−7Mに等しいか或はそれ以下のK
D[例えばこれらに限定するものでないが、0.1−9.9(またはこれの中のいずれかの範囲または値)x10
−7、10
−8、10
−9、10
−10、10
−11、10
−12、10
−13、10
−14、10
−15またはこれの中のいずれかの範囲または値(本分野の技術者が実施する如き表面プラズモン共鳴またはKinexa方法で測定した時)]で結合し得る。
【0056】
ある抗体がある抗原に対して示す親和力または親和性は適切な方法のいずれかを用いて実験的に測定可能である[例えばBerzofsky,他、“Antibody−Antigen Interactions,”In Fundamental Immunology,Paul,W.E.編集、Raven Press:New York,NY(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman
and Company:New York,NY(1992);および本明細書に記述する方法を参照]。個々の抗体−抗原相互作用の測定親和力は測定条件(例えば塩の濃度、pH)が異なると変わる可能性がある。従って、親和力および他の抗原結合パラメーター(例えばK
D、K
on、K
off)の測定を好適には抗体および抗原の標準溶液および標準緩衝液、例えば本明細書に記述する緩衝液などを用いて実施する。
【0057】
IL−6との結合に関して本発明の抗体と一緒にどの蛋白質、抗体および他のアンタゴニストが競合しそして/またはエピトープ領域を共有するかを測定する目的で、本発明の抗体を用いた競合検定を実施してもよい。そのような検定は本分野の通常の技術者に良く知られており、ある蛋白質が有する限られた数の結合部位に関して示すアンタゴニストまたはリガンド間の競合を評価するものである。競合前または後に蛋白質および/または抗体を固定または不溶にし、そしてIL−6と結合したサンプルを結合しなかったサンプルから分離、例えば傾斜法(蛋白質/抗体を前以て不溶にしておいた場合)または遠心分離(蛋白質/抗体が競合反応後に沈澱する場合)などで分離する。また、抗体と蛋白質が結合するか或は結合しないことによって機能が変化するか否か、例えば抗体分子が例えば標識の酵素による活性を抑制するか或は促進させるかなどによって、競合的結合を決定することも可能である。本技術分野で良く知られている如きELISAおよび他の機能的検定を用いてもよい。
【0058】
本発明の好適な抗−IL−6抗体は以下の表1−5および12−14に示す配列を有する。例えば、本発明の抗−IL−6抗体は、表1に示す軽鎖CDR配列(即ち、CDRL1、CDRL2およびCDRL3)の中の1つおよび表2に示す重鎖CDR配列(即ち、CDRH1、CDRH2およびCDRH3)の中の1つを有する。より具体的には、抗−IL−6抗体(分子AME−A9)は、配列識別番号:15のCDRL1、配列識別番号:27のCDRL2、配列識別番号:35のCDRL3、配列識別番号:47のCDRH1、配列識別番号:61のCDRH2、配列識別番号:91のCDRH3を有する。
【0059】
核酸分子
本明細書に示す情報を用いることで、本明細書に記述する方法を用いるか或は本技術分野で公知のようにして、例えば、本明細書に開示する他の配列の中で配列識別番号:93、97および101の軽鎖可変領域の中の少なくとも1つと本明細書に開示する他の配列の中で配列識別番号:95、99および103の重鎖可変領域の中の少なくとも1つから成る連続したアミノ酸の少なくとも70−100%をコードするヌクレオチド配列、これの特定フラグメント、変異体またはコンセンサス配列、またはそのような配列の中の少なくとも1つ含有して成る寄託ベクター(deposited vector)、少なくとも1種の抗−IL−6抗体をコードする本発明の核酸分子などを得ることができる。
【0060】
本発明の核酸分子は、RNA、例えばmRNA、hnRNA、tRNAなどの形態または他のいずれかの形態であり得るか、或はDNA(これらに限定するものでないが、クローン化で得ることができるか或は合成で生じさせることができるcDNAおよびゲノムDNAが含まれる)の形態、またはこれらの任意組み合わせであり得る。そのようなDNAは3本鎖、2本鎖または1本鎖またはこれらの任意組み合わせであり得る。そのようなDNAまたはRNAの中の少なくとも1本の鎖のいずれかの部分はコード鎖(またセンス鎖としても知られる)であってもよいか、或はそれは非コード鎖(またアンチセンス鎖とも呼ばれる)であってもよい。
【0061】
本発明の単離核酸分子には、本明細書に記述しそして/または本技術分野で公知の如く、オープンリーディングフレーム(ORF)を場合により1種以上のイントロン、例えばこれらに限定するものでないが、少なくとも1つの重鎖(例えば配列識別番号:38、40、42、44など)または軽鎖(例えば配列識別番号:2、4、6、8など)の少なくとも1つのCDR、例えばCDR1、CDR2および/またはCDR3などの少なくとも1種の特定物を含んで成る核酸分子;抗−IL−6抗体または可変領域(例えば本明細書に開示する他の配列の中で配列識別番号:94、98および102の軽鎖可変領域および配列識別番号:96、100および104の重鎖可変領域など)のコード配列を含んで成る核酸分子;およびこの上に記述したヌクレオチド配列とは実質的に異なるヌクレオチド配列を含有するが遺伝子コードが縮重していることが理由でまだ少なくとも1種の抗−I
L−6抗体をコードする核酸分子が含まれ得る。勿論、遺伝子コードは本技術分野で良く知られている。従って、本発明の特定の抗−IL−6抗体をコードするそのような縮重核酸変異体を生じさせることは本分野の技術者にとって常規のことである。例えば、上記Ausubel他が参考になり、そしてそのような核酸変異体も本発明に含まれる。
【0062】
本明細書に示すように、抗−IL−6抗体をコードする核酸を含んで成る本発明の核酸分子には、これらに限定するものでないが、抗体フラグメントのアミノ酸配列をコードする核酸自身;その抗体全体またはこれの一部のコード配列;抗体、フラグメントまたは蛋白質のコード配列ばかりでなく追加的配列、例えば少なくとも1種のシグナルリーダーもしくは融合ペプチドのコード配列[これは、追加的非コード配列(これらに限定するものでないが、非コード5’および3’配列を包含)、例えば転写、mRNAプロセシング(スプライシングおよびポリアデニル化シグナルを包含)である役割(例えばリボソーム結合およびmRNAの安定性)を果たす転写された非翻訳配列と一緒に上述した追加的コード配列、例えば少なくとも1種のイントロンなどを伴うか或は伴わない];追加的アミノ酸、例えば追加的機能を与えるアミノ酸などをコードする追加的コード配列が含まれ得る。従って、抗体をコードする配列をマーカー配列、例えば抗体のフラグメントまたは部分を含んで成る融合抗体の精製を容易にするペプチドをコードする配列などと融合させることも可能である。
【0063】
本明細書に記述する如きポリヌクレオチドと選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明は、本明細書に開示するポリヌクレオチドと選択的ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離核酸を提供する。従って、この態様のポリヌクレオチドを用いて、そのようなポリヌクレオチドを含有して成る核酸を単離、検出および/または量化することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを用いて、寄託ライブラリーの中の部分的または全長クローンを同定、単離または増幅することができる。いくつかの態様におけるポリヌクレオチドは、ヒトまたは哺乳動物の核酸ライブラリーから単離したゲノムもしくはcDNA配列または他の様式でcDNAと相補的なそれらである。
【0064】
そのようなcDNAライブラリーは、好適には、全長配列の少なくとも80%、好適には全長配列の少なくとも85%または90%、より好適には全長配列の少なくとも95%を含有する。そのcDNAライブラリーに標準化を受けさせることで稀な配列の発現量を増加させることも可能である。相補的配列に比べて配列同一性が低い配列を用いる時には、排他的ではないが典型的に、ストリンジェンシーが低いか或は中程度のハイブリダイゼーション条件を用いる。同一性がより高い配列の場合には、場合により、ストリンジェンシーが中程度および高い条件を用いてもよい。低いストリンジェント条件を用いると、配列同一性が約70%の配列の選択的ハイブリダイズを起こさせることが可能になり、それを用いて、オーソロガスまたはパラロガス配列を識別することができる。
【0065】
場合により、本発明のポリヌクレオチドが本明細書に記述するポリヌクレオチドがコードする抗体の少なくとも一部をコードするようにしてもよい。本発明のポリヌクレオチドには、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドと選択的にハイブリダイズさせる目的で使用可能な核酸配列が含まれる。例えば上記Ausubel、上記Colligan(これらは各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0066】
核酸の構築
本発明の単離核酸の構築は、本技術分野で良く知られている如き(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術および/または(d)これらの組み合わせを用いて実施可能である。
【0067】
本核酸に本発明のポリヌクレオチドに加えて便利な配列を含有させることも可能である。例えば、エンドヌクレアーゼ制限部位を1個以上含んで成るマルチクローン化部位(multi−cloning sites)を本核酸に挿入することで本ポリヌクレオチドの単離に役立たせることも可能である。また、翻訳可能配列を挿入させることで本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立たせることも可能である。例えば、ヘキサ−ヒスチジンマーカー配列は本発明の蛋白質を精製する便利な手段を与える。本発明の核酸(コード配列を除く)は場合により本発明のポリヌクレオチドをクローン化および/または発現させるためのベクター、アダプターまたはリンカーであってもよい。
【0068】
そのようなクローン化および/または発現用配列がクローン化および/または発現で果たす機能を最適にするか、本ポリヌクレオチドの単離を補助するか、或は本ポリヌクレオチドを細胞に導入する時の導入を向上させる追加的配列を付加させることも可能である。クローン化用ベクター、発現用ベクター、アダプターおよびリンカーの使用は本技術分野で良く知られている(例えば上記Ausubelまたは上記Sambrookを参照のこと)。
【0069】
核酸を構築するに適した組換え方法
本分野の技術者に公知のいろいろなクローン化方法のいずれかを用いることで本発明の単離核酸組成物、例えばRNA、cDNA、ゲノムDNAまたはこれらの任意組み合わせを生物学的源から得ることができる。いくつかの態様では、本発明のポリヌクレオチドと緊縮条件下で選択的に雑種形成するオリゴヌクレオチドプローブを用いてcDNAまたはゲノムDNAライブラリーの中の所望配列を同定する。RNAの単離およびcDNAおよびゲノムライブラリーの構築は本分野の通常の技術者に良く知られている(例えば上記Ausubelまたは上記Sambrookを参照のこと)。
【0070】
核酸の選別および単離方法
本発明のポリヌクレオチドの配列、例えば本明細書に開示する如き配列などが基になったプローブを用いてcDNAまたはゲノムライブラリーに選別を受けさせることができる。同じまたは異なる有機体の中に入っている相同遺伝子を単離する目的でゲノムDNAまたはcDNA配列とハイブリダイズするプローブを用いることができる。本分野の技術者は、そのような検定でいろいろなストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションを用いることができ、かつハイブリッド形成もしくは洗浄用媒体のいずれかがストリンジェントであってもよいことを理解するであろう。ハイブリッド形成条件のストリンジェンシーが高くなるにつれて、プローブと二重鎖形成標的の間に存在する相補度をより高くすべきである。温度、イオン濃度、pHおよび部分変性溶媒、例えばホルムアミドなどの存在の中の1種以上を用いてストリンジェンシーを制御することができる。例えば、便利には、反応体溶液の極性を例えばホルムアミドの濃度が0%から50%の範囲内になるように操作することなどで変えることでハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを変える。結合が検出可能であるに必要な相補度(配列同一性)はハイブリッド形成用媒体および/または洗浄用媒体のストリンジェンシーに応じて変わるであろう。相補度は最適には100%または70−100%またはこれの中のいずれかの範囲または値であろう。しかしながら、プローブとプライマーの配列が若干異なる場合にはハイブリッド形成および/または洗浄用媒体のストリンジェンシーを低下させることでそれを補うことができると理解されるべきである。
【0071】
RNAまたはDNAを増幅させる方法は本技術分野で良く知られており、それを本明細書に示す教示および指針を基にして過度な実験を行うことなく本発明に従って用いることができる。
【0072】
公知のDNAもしくはRNA増幅方法には、これらに限定するものでないが、ポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)および関連増幅方法[例えばMullis他の米国特許第4,683,195号、4,683,202号、4、800、159号、4,965,188号、Tabor他の米国特許第4,795,699号およびお4,921,794号、Innisの米国特許第5,142,033号、Wilson他の米国特許第5,122,464号、Innisの米国特許第5,091,310号、Gyllensten他の米国特許第5,066,584号、Gelfand他の米国特許第4,889,818号、Silver他の米国特許第4,994,370号、Biswasの米国特許第4,766,067号、Ringoldの米国特許第4,656,134号を参照]、および2本鎖DNA合成の鋳型として標的配列に対するアンチセンスRNAを用いるRNA媒介増幅(Malek他の米国特許第5,130,238号、商標NASBA)(これらの文献の内容は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)(例えば上記Ausubelまたは上記Sambrookを参照のこと)が含まれる。
【0073】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて本発明のポリヌクレオチドの配列および関連遺伝子をゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから直接増幅させることができる。また、PCRおよび他のインビトロ増幅方法も有用であり、例えば発現させるべき蛋白質をコードする核酸配列をクローン化する方法、サンプルの中に入っている所望mRNAの存在を検出する目的、核酸の配列を決定する目的または他の目的のプローブとして用いる核酸を生じさせる方法なども有用であり得る。技術者をインビトロ増幅方法に導くに充分な技術の例が上記Berger、上記Sambrookおよび上記AusubelばかりでなくMullis他の米国特許第4,683,202号(1987)およびInnis他のPCR Protocols A Guide to Methods and Applications、Academic Press Inc.編集、San Diego、CA(1990)に見られる。ゲノムPCR増幅用市販キットは本技術分野で公知である。例えばAvantage−GC Genomic PCT Kit(Clontech)を参照のこと。加うるに、長鎖PCR産物の収率を向上させる目的で例えばT4遺伝子32蛋白質(Boehringer Mannheim)を用いることも可能である。
【0074】
核酸を構築するに適した合成方法
本発明の単離核酸の調製をまた公知方法による直接的化学合成で実施することも可能である(例えば上記Ausubelを参照のこと)。化学的合成では一般に1本鎖オリゴヌクレオチドがもたらされ、これを相補的配列と雑種形成させるか或は1本鎖を鋳型として用いたDNAポリメラーゼによる重合で2本鎖DNAに変化させることができる。本分野の技術者は、DNAの化学的合成は塩基数が約100またはそれ以上の配列に制限され得るが、より短い配列を連結させることでより長い配列を得ることも可能であることを理解するであろう。
【0075】
組換え型発現カセット
本発明は、更に、本発明の核酸を含有して成る組換え型発現カセットも提供する。本発明の抗体をコードする本発明の核酸配列、例えばcDNAまたはゲノム配列などを用いて、少なくとも1種の所望宿主細胞の中に導入することができる組換え型発現カセットを構築することができる。組換え型発現カセットは、典型的に、意図した宿主細胞の中で起こさせる本ポリヌクレオチドの転写を指図する転写開始調節配列と機能的に連結している本発明のポリヌクレオチドを含んで成る。本発明の核酸の発現を指図する目的で異種プロモーターおよび異種ではない(即ち内因性)プロモーターの両方を用いることができる。
【0076】
いくつかの態様では、プロモーター、エンハンサーまたは他の要素として働く単離核酸を異種ではない形態の本発明のポリヌクレオチドの適切な場所(イントロンの上流、下流または中)に導入することで本発明のポリヌクレオチドの発現を上方または下方調節する
ことも可能である。例えば、内因性プロモーターに変異、欠如および/または置換による改変をインビボまたはインビトロで受けさせてもよい。
【0077】
ベクターおよび宿主細胞
本発明は、また、本発明の単離核酸分子を含有させたベクター、本組換え型ベクターを用いて遺伝的に改変を受けさせた宿主細胞、および本技術分野で良く知られている如き組換え技術を用いて少なくとも1種の抗−IL−6抗体を生じさせることにも関する。例えば上記Sambrook他、上記Ausubel他(各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0078】
本ポリヌクレオチドを場合により選択可能マーカー含有ベクターと連結させて宿主の中で増殖させてもよい。一般的には、プラスミドベクターを沈澱物、例えば燐酸カルシウム沈澱物などまたは帯電脂質との複合体の中に導入する。当該ベクターがウイルスの場合、適切なパッケージング細胞株を用いてそれにパッケージングをインビトロで受けさせた後、宿主細胞の中に形質導入してもよい。
【0079】
DNA挿入断片と適切なプロモーターを動作可能なように連結させておくべきである。その発現構築物に更に転写開始部位および終止部位も含有させ、そして転写された領域の中に翻訳用リボソーム結合部位も含有させる。そのような構築物が発現する成熟した転写物のコード部分に好適には翻訳されるべきmRNAの開始部分の所に適切に位置する翻訳開始コドンおよびそれの末端部の所に適切に位置する終止コドン[例えばUAA、UGAまたはUAG(哺乳動物または真核細胞発現の場合にはUAAおよびUAGが好適である)]を含有するようにする。
【0080】
場合によるが好適には、発現ベクターに少なくとも1種の選択可能マーカーを含有させる。そのようなマーカーには、例えばこれらに限定するものでないが、真核細胞を培養する場合のメトトレキセート(MTX)、ジヒドロホレート還元酵素(DHFR、米国特許第4,399,216;4,634,665;4,656,134;4,956,288;5,149,636;5,179,017)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸またはグルタミン合成酵素(GS、米国特許第5,122,464号、5,770,359号、5,927,739号)耐性遺伝子、そして大腸菌および他の細菌または原核細胞を培養する場合のテトラシクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子などが含まれる(前記特許は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)。上述した宿主細胞用の適切な培養培地および条件は本技術分野で公知である。適切なベクターが本分野の技術者に容易に明らかになるであろう。宿主細胞へのベクター構築物の導入は燐酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の公知方法を用いて実施可能である。そのような方法は本技術分野、例えば上記Sambrookの1−4章および16−18章、上記Ausubelの1、9、13、15、16章などに記述されている。
【0081】
本発明の少なくとも1種の抗体を修飾形態、例えば融合蛋白質などとして発現させることも可能であり、それに分泌シグナルばかりでなくまた追加的異種機能領域を含有させることも可能である。例えば、追加的アミノ酸、特に帯電しているアミノ酸などの領域を抗体のN末端に付加させることで、精製または次の取り扱いおよび貯蔵中にそれが宿主細胞内で示す安定性および持続性を向上させることも可能である。また、精製を容易にするペプチド部分を本発明の抗体に付加させることも可能である。そのような領域を抗体またはこれの少なくとも1つのフラグメントを最終的に調製する前に除去しておくことも可能である。そのような方法は数多くの標準的実験マニュアル、例えば上記Sambrookの17.29−17.42章および18.1−18.74章、上記Ausubelの16、
17および18章などに記述されている。
【0082】
本分野の通常の技術者は、本発明の蛋白質をコードする核酸の発現で利用可能な数多くの発現系を認識するであろう。別法として、本発明の核酸の発現を本発明の抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞の中でターンオン(turning on)(操作)することで宿主細胞の中で起こさせることも可能である。そのような方法は例えば米国特許第5,580,734号、5,641,670号、5,733,746号および5,733,761号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されているように本技術分野で良く知られている。
【0083】
本抗体、これの特定部分または変異体を産生させるに有用な細胞培養物の例は哺乳動物の細胞である。哺乳動物の細胞系はしばしば単層形態の細胞であるが、また、哺乳動物の細胞の懸濁液またはバイオリアクターを用いることも可能である。無傷のグリコシル化蛋白質を発現し得る適切な宿主細胞系が本技術分野で数多く開発され、それらには、COS−1(例えば、ATCC CRL 1650),COS−7(例えば、ATCC CRL−1651),HEK293,BHK21(例えば、ATCC CRL−10),CHO(例えば、ATCC CRL 1610)およびBSC−1(例えば、ATCC CRL−26)細胞株、Cos−7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653,SP2/0−Ag14,293細胞、HeLa細胞などが含まれ、これらは例えばAmerican Type Culture Collection、Manassas、Va(www.atcc.org)などから容易に入手可能である。好適な宿主細胞には、リンパ系起源の細胞、例えば骨髄腫およびリンパ腫細胞などが含まれる。特に好適な宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC Accession Number CRL−1580)およびSP2/0−Ag14細胞(ATCC Accession Number CRL−1851)が含まれる。特に好適な態様における組換え型細胞はP3X63Ab8.653またはSP2/0−Ag14細胞である。
【0084】
そのような細胞用の発現ベクターに下記の発現制御配列、例えばこれらに限定するものでないが、複製起点;プロモーター[例えば後期もしくは早期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号、5,385,839号)、HSV
tkプロモーター、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモーター、EF−1アルファプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1種のヒト免疫グロブリンプロモーター;エンハンサーおよび/またはプロセシング情報部位、例えばリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えばSV40ラージTAgポリA付加部位)、および転写終了配列などの中の1つ以上を含有させてもよい。例えば上記Ausubel他、上記Sambrook他を参照。本発明の核酸または蛋白質の産生で用いるに有用な他の細胞も公知でありそして/または入手可能、例えばAmerican Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)または他の公知もしくは商業源から入手可能である。
【0085】
真核宿主細胞を用いる場合、典型的には、ポリアデニル化または転写終了配列をベクターの中に取り込ませる。終了配列の一例はウシ成長ホルモン遺伝子に由来するポリアデニル化配列である。また、転写物の正確なスプライシングを起こさせる配列を含めることも可能である。スプライシング配列の一例はSV40に由来するVP1イントロンである[Sprague他、J.Virol.45:773−781(1983)]。加うるに、本技術分野で公知のように、宿主細胞の中で起こる複製を制御する遺伝子配列をベクターの中に取り込ませることも可能である。
【0086】
抗体の精製
抗−IL−6抗体を良く知られた方法で組換え型細胞培養物から回収して精製することができるが、そのような方法には、これらに限定するものでないが、蛋白質Aによる精製、硫酸アンモニウムもしくはエタノールによる沈澱、酸による抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーなどが含まれる。また、高性能液クロ(「HPLC」)を精製で用いることも可能である。例えばColligan,Current Protocols in ImmunologyまたはCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997−2001)の例えば1、4、6、8、9、10章(各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)などを参照のこと。
【0087】
本発明の抗体には、天然精製生成物、化学合成手順の生成物および真核宿主(例えば酵母菌、高等植物、昆虫および哺乳動物の細胞を包含)を用いた組換え技術で生じさせた生成物が含まれる。組換え産生手順で用いる宿主に応じて、本発明の抗体にグリコシル化を受けさせてもよいか或はグリコシル化を受けさせなくてもよいが、グリコシル化を受けさせるのが好適である。そのような方法は数多くの標準的実験マニュアルに記述されており、例えば上記Sambrookの17.37−17.42章、上記Ausubelの10、12、13、16、18および20章、上記Colligan、Protein Scienceの12−14章(これらは全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)などに記述されている。
【0088】
抗−IL−6抗体
本発明に従う抗−IL−6抗体には、免疫グロブリン分子の少なくとも一部、例えばこれらに限定するものでないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(LBP)、例えばこれらに限定するものでないが、重もしくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)またはそれのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えばFR1、FR2、FR3、FR4またはこれらのフラグメント、または配列識別番号:105−112に示す如き領域、更に場合により少なくとも1種の置換、挿入または欠失を含んで成っていてもよい)、重鎖もしくは軽鎖定常領域(例えば少なくとも1つのCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2またはCH3、またはこれらのフラグメントを含んで成り、更に場合により少なくとも1種の置換、挿入または欠失を含んで成っていてもよい)、またはこれらのいずれかの部分(これらを本発明の抗体の中に組み込むことができる)を含んで成る蛋白質もしくはペプチド含有分子のいずれも含まれる。本発明の抗体には、いずれかの哺乳動物、例えばこれらに限定するものでないが、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、齧歯類、霊長類またはこれらの任意組み合わせなどの抗体またはそれらに由来する抗体が含まれる。
【0089】
本発明の単離抗体は、適切なポリヌクレオチドのいずれかまたは単離もしくは調製抗体のいずれかがコードする本明細書に開示する抗体アミノ酸配列を含んで成る。好適には、本ヒト抗体もしくは抗原結合フラグメントはヒトIL−6と結合することで、その蛋白質が示す少なくとも1種の生物学的活性をある程度または実質的に中和する。少なくとも1種のIL−6蛋白質もしくはフラグメントが示す少なくとも1種の生物学的活性をある程度または好適には実質的に中和する抗体またはこれの特定部分または変異体は、その蛋白質またはフラグメントと結合することでIL−6とIL−6受容体の結合が介在するか或はIL−6に依存するか或はそれが介在する他の機構による活性を抑制する。本明細書で用いる如き用語「中和抗体」は、IL−6依存活性を検定に応じて約20−120%、好適には少なくとも約10,20,30,40,50,55,60,65,70,75,80,85,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100%またはそれ以上抑制し得る抗体を指す。抗−IL−6抗体がIL−6依存活性を抑制する能
力の検定を好適には本明細書に記述しそして/または本技術分野で公知の如き少なくとも1種の適切なIL−6蛋白質もしくは受容体検定で実施する。本発明のヒト抗体は、如何なる種類(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)またはアイソタイプであってもよく、カッパもしくはラムダ軽鎖を含んで成り得る。1つの態様における本ヒト抗体はIgG重鎖もしくは限定フラグメント、例えばアイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4(例えばγ1、γ2、γ3またはγ4)の中の少なくとも1つを含んで成る。この種類の抗体の調製は、本明細書に記述しそして/または本技術分野で公知の如き少なくとも1つのヒト軽鎖(例えばIgG、IgAおよびIgM)トランス遺伝子を含んで成る遺伝子導入マウスまたは他の遺伝子導入哺乳動物(ヒト以外)を用いて実施可能である。別の態様における抗−ヒトIL−6ヒト抗体はIgG1重鎖およびIgG1軽鎖を含んで成る。
【0090】
本発明の少なくとも1種の抗体は、少なくとも1種のIL−6蛋白質、これのサブユニット、フラグメント、部分または任意組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定エピトープと結合する。前記少なくとも1つのエピトープは、本蛋白質の少なくとも一部を含んで成る少なくとも1つの抗体結合領域を含んで成っていてもよく、好適には、そのエピトープを本蛋白質の少なくとも1つの細胞外、可溶、親水性、外側または細胞質部分で構成させる。前記少なくとも1つの特定エピトープは、配列識別番号:115の連続したアミノ酸の中の少なくとも1−3個のアミノ酸から特定部分全体の少なくとも1種のアミノ酸配列の任意組み合わせ、例えばアミノ酸残基151−178、より具体的には残基171−182を含んで成っていてもよい。
【0091】
本発明のヒト抗体もしくは抗原結合フラグメントは、一般に、少なくとも1つの重鎖可変領域の少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)もしくは変異体および少なくとも1つの軽鎖可変領域の少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)もしくは変異体を含んで成る抗原結合領域を含有して成る。前記CDR配列はヒト生殖細胞配列に由来するものであってもよいか或は生殖細胞配列に密に合致するものであってもよい。例えば、元々のマウスCDRから生じさせた合成ライブラリーに由来するCDRなどを用いてもよい。元々のマウス配列に同類置換を取り込ませることでそのようなCDRを生じさせることができる。非限定例として、本抗体もしくは抗原結合部分もしくは変異体は、配列識別番号:79、81、83、85、87、89および91から成る群から選択したアミノ酸配列を有する重鎖CDR3および/または配列識別番号:29、31、33および35から成る群から選択したアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3の中の少なくとも一方を含んで成り得る。特別な態様における本抗体もしくは抗原結合フラグメントは、CDR1、2および/または3(例えば配列識別番号:37、49および79)に相当するアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖CDR(即ちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部を含んで成る抗原結合領域を持ち得る。別の態様における本抗体もしくは抗原結合部分もしくは変異体は、CDR1、2および/または3(例えば配列識別番号:1、17および9)に相当するアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(即ちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部を含んで成る抗原結合領域を持ち得る。
【0092】
好適な態様において、本抗体もしくは抗原結合フラグメントの前記3つの重鎖CDRおよび前記3つの軽鎖CDRは、本明細書に記述する如きmAb AME−A9,AME−1b,AME−18a,AME−22a,AME−20b,AME−23a,およびAME−19aの中の少なくとも1つの相当するCDRのアミノ酸配列を有する。そのような抗体の調製は、本抗体のいろいろな部分(例えばCDR、フレイムワーク)を通常技術を用いて一緒に化学的に結合させるか、本抗体をコードする核酸分子(即ち1種以上の分子)を調製しそして通常の技術である組換えDNA技術を用いて発現させるか、或は他の適切な方法のいずれかを用いて実施可能である。
【0093】
本抗−IL−6抗体は、限定したアミノ酸配列を有する重もしくは軽鎖可変領域の中の少なくとも一方を含んで成り得る。例えば、好適な態様における本抗−IL−6抗体は、少なくとも1つの重鎖可変領域(場合により配列識別番号:95、99、103、118、122、126および130から成る群から選択したアミノ酸配列を持たせてもよい)および/または少なくとも1つの軽鎖可変領域(場合により配列識別番号:93、97、101、116、120、124および/または128から成る群から選択したアミノ酸配列を持たせてもよい)の中の少なくとも一方を含んで成る。ヒトIL−6と結合しかつ限定した重もしくは軽鎖可変領域を含んで成る抗体の調製は適切な方法、例えばファージ提示法[Katsube,Y.他、Int J Mol.Med、1(5):863−868(1998)]または本技術分野で公知でありそして/または本明細書に記述する如き遺伝子導入動物を用いる方法などを用いて実施可能である。例えば、機能的に再配列させたヒト免疫グロブリン重鎖トランス遺伝子および機能的再配列を受けていてもよいヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に由来するDNAを含んで成るトランス遺伝子を含有して成る遺伝子導入マウスにヒトIL−6またはこれのフラグメントを用いて免疫性を与えることなどで抗体の産生を引き出してもよい。必要ならば、そのような抗体産生細胞を単離してもよく、そして本明細書に記述しそして/または本技術分野で公知のようにして、ハイブリドーマまたは他の不死化抗体産生細胞を生じさせてもよい。別法として、コード化核酸またはこれの一部を適切な宿主細胞の中で用いることで本抗体、特定部分または変異体を発現させることも可能である。
【0094】
アミノ酸コード
本発明の抗−IL−6抗体を構成するアミノ酸をしばしば省略形で示す。アミノ酸の表示を本技術分野で充分に理解されているように当該アミノ酸をそれの単一文字コード、3文字コード、名前または3ヌクレオチドコドン1種または2種以上で表示することで示すことができる(Alberts,B.,他、Molecular Biology of
The Cell,Third Ed.,Garland Publishing,Inc.,New York,1994)を参照)。
【0095】
本発明の抗−IL−6抗体は、本明細書に示す如き1種以上のアミノ酸置換、欠失または付加(自然変異またはヒトによる操作のいずれかによる)を含んでいてもよい。本発明の抗−IL−6抗体の中の機能に必須なアミノ酸を本技術分野で公知の方法、例えば部位特異的突然変異誘発法またはアラニン走査突然変異誘発法[例えば上記Ausubelの8、15章、CunninghamおよびWells、Science 244:1081−1085(1989)]などで同定することができる。後者の手順では、分子中の全て残基の所に単一のアラニン変異を導入する。次に、その結果としてもたらされた変異分子に生物学的活性、例えばこれらに限定するものでないが、少なくとも1種のIL−6中和活性などに関する試験を受けさせる。また、抗体結合に重要な部位も構造分析、例えば結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識(Smith,他、J.Mol.Biol.224:899−904(1992)およびde Vos,他、Science 255:306−312(1992))などを用いることで同定可能である。
【0096】
本発明の抗−IL−6抗体は、これらに限定するものでないが、配列識別番号:91、93、95、97、99などの中の少なくとも1つの連続したアミノ酸の中の5個から全部から選択した少なくとも一部、配列または組み合わせを含有し得る。
【0097】
この示した活性の中の少なくとも1つが向上しているか或はそれを維持し得る非限定変異体には、これらに限定するものでないが、開示する変異アミノ酸配列の中の変化した残基の中の少なくとも1つの置換に相当する少なくとも1種の変異を更に含んで成る前記ポリペプチドのいずれも含まれる。
【0098】
抗−IL−6抗体に更に場合により配列識別番号:95、99および103などの中の少なくとも1つの連続したアミノ酸の配列から変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有させることも可能である(例えば本明細書に示す配列の1種以上の同類置換)。また、本発明は、配列識別番号:93、97または101の軽鎖可変領域のアミノ酸配列または配列識別番号:79、81、83、85、87、89または91の重鎖のアミノ酸配列の変異体も包含する。
【0099】
技術者が理解するであろうように、本発明は、本発明の少なくとも1種の生物学的活性抗体を包含する。生物学的活性抗体は、天然(合成ではない)、内因性または関連および公知抗体が示す活性の少なくとも20%、30%または40%、好適には少なくとも50%、60%または70%、最も好適には少なくとも80%、90%または95%−1000%またはそれ以上の比活性を示す。酵素の活性および基質の特異性の尺度を検定および量化する方法は本分野の技術者に良く知られている。
【0100】
本発明は、別の面において、有機部分を共有結合させることによる修飾を受けさせておいた本明細書に記述する如きヒト抗体および抗原結合フラグメントに関する。そのような修飾によって、薬物動態特性が向上した(例えば生体内血清中半減期が向上した)抗体または抗原結合フラグメントを生じさせることができる。その有機部分は直鎖もしくは分枝親水性重合体基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であってもよい。特別な態様では、そのような親水性重合体基に約800から約120,000ダルトンの分子量を持たせてもよく、それはポリアルカングリコール[例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)]、炭水化物重合体、アミノ酸重合体またはポリビニルピロリドンなどであってもよく、そして脂肪酸もしくは脂肪酸エステル基は炭素原子を約8から約40個含有していてもよい。
【0101】
本発明の修飾を受けさせた抗体および抗原結合フラグメントは、本抗体と共有結合しているか、直接的または間接的に結合している1種以上の有機部分を含んで成り得る。本発明の抗体または抗原結合フラグメントと結合させる有機部分は各々独立して親水性重合体基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であってもよい。本明細書で用いる如き用語「脂肪酸」にはモノカルボン酸およびジカルボン酸が含まれる。「親水性重合体基」を本明細書で用語として用いる場合、これは水中の溶解度の方がオクタン中の溶解度より高い有機重合体を指す。例えば、ポリリシンは水中の方がオクタン中よりも高い溶解性を示す。従って、ポリリシンを共有結合させることによる修飾を受けさせた抗体は本発明に含まれる。本発明の抗体に修飾を受けさせる時に用いるに適した親水性重合体は直鎖もしくは分枝であってもよく、それには例えばポリアルカングリコール[例えばPEG、モノメトキシ−ポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど]、炭水化物(例えばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸の重合体(例えばポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキサイド(例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなど)およびポリビニルピロリドンなどが含まれる。好適には、本発明の抗体を修飾する親水性重合体が個別の分子実体として示す分子量を約800から約150,000ダルトンにする。例えばPEG
5000およびPEG
20,000[下付き文字は重合体が示す平均分子量(ダルトン)である]を用いてもよい。そのような親水性重合体基は1から約6個のアルキル、脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換されていてもよい。脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換されている親水性重合体の調製は適切な方法を用いることで実施可能である。例えば、アミン基を含有する重合体を脂肪酸もしくは脂肪酸エステルのカルボキシレートと連成させてもよく、そして脂肪酸または脂肪酸エステルが有する活性カルボキシレート(例えばN,N−カルボニルジイミダゾールで活性化させた)を重合体が有するヒドロキシル基と連成させてもよい。
【0102】
本発明の抗体に修飾を受けさせる時に用いるに適した脂肪酸および脂肪酸エステルは飽和であってもよいか或は不飽和単位を1個以上含有していてもよい。本発明の抗体に修飾を受けさせる時に用いるに適した脂肪酸には、例えばn−ドデカノエート(C
12、ラウレート)、n−テトラデカノエート(C
14、ミリステート)、n−オクタデカノエート(C
18、ステアレート)、n−エイコサノエート(C
20、アラキデート)、n−ドコサノエート(C
22、ベヘネート)、n−トリアコンタノエート(C
30)、n−テトラコンタノエート(C
40)、シス−Δ9−オクタデカノエート(C
18、オレエート)、あらゆるシス−Δ5,8,11,14−エイコサテトラエノエート(C
20、アラキドネート)、オクタ二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれる。適切な脂肪酸エステルには、直鎖もしくは分枝低級アルキル基を含有するジカルボン酸モノエステルが含まれる。そのような低級アルキル基は炭素原子を1から約12個、好適には1から約6個含有し得る。
【0103】
そのような修飾を受けたヒト抗体および抗原結合フラグメントの調製は適切な方法、例えば1種以上の修飾剤を用いた反応などで実施可能である。「修飾剤」を本明細書で用語として用いる場合、これは、活性基を含有する適切な有機基(例えば親水性重合体、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。「活性基」は、適切な条件下で2番目の化学基と反応して当該修飾剤と前記2番目の化学基の間に共有結合を形成し得る化学的部分または官能基である。例えば、アミン反応性活性基には親電子基、例えばトシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル(NHS)などが含まれる。チオールと反応し得る活性基には、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリロイル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)などが含まれる。アルデヒド官能基をアミン含有もしくはヒドラジン含有分子と連成させることができ、そしてアジド基を三価燐基と反応させることでホスホルアミデートまたはホスホルイミド結合を生じさせることができる。活性基を分子の中に導入するに適した方法は本技術分野で公知である(例えばHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996))を参照)。活性基を有機基(例えば親水性重合体、脂肪酸、脂肪酸エステル)と直接結合させてもよいか、或はリンカー部分、例えば二価C
1−C
12基(ここで、1個以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄に置き換わっていてもよい)などを通して結合させてもよい。適切なリンカー部分には、例えばテトラエチレングリコール、−(CH
2)
3−,−NH−(CH
2)
6−NH−,−(CH
2)
2−NH−および−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH−NH−が含まれる。リンカー部分を含有して成る修飾剤の製造は、例えばモノ−Boc−アルキルジアミン(例えばモノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジアミノヘキサン)と脂肪酸を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で反応させて遊離アミンと脂肪酸のカルボキシレートの間にアミド結合を生じさせることなどで実施可能である。その生成物にトリフルオロ酢酸(TFA)を用いた処理を受けさせることで前記Boc保護基を除去することで第一級アミン基を露出させることができ、それを別のカルボキシレート(記述した如き)と連成させてもよいか、或は無水マレイン酸と反応させそしてその結果として生じた生成物を環化させることで当該脂肪酸の活性マレイミド誘導体を生じさせてもよい[例えばThompson他、WO 92/16221(これの教示は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照]。
【0104】
本発明の修飾抗体の製造は、ヒト抗体または抗原結合フラグメントを修飾剤と反応させることで実施可能である。例えば、アミン反応性修飾剤、例えばPEGのNHSエステルなどを用いて有機部分を本抗体と部位に特異的ではない様式で結合させてもよい。また、抗体または抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)に還元を受けさせることを通して、修飾ヒト抗体または抗原結合フラグメントを調製するこ
とも可能である。次に、その還元を受けさせた抗体もしくは抗原結合フラグメントをチオール反応性修飾剤と反応させることで本発明の修飾抗体を生じさせることができる。本発明の抗体の特定部位と結合している有機部分を含んで成る修飾ヒト抗体および抗原結合フラグメントの調製は適切な方法、例えば逆蛋白分解(Fisch 他、Bioconjugate Chem.,3:147−153(1992);Werlen 他、Bioconjugate Chem.,5:411−417(1994);Kumaran 他、Protein Sci.6(10):2233−2241(1997);Itoh 他、Bioorg.Chem.,24(1):59−68(1996);Capellas 他、Biotechnol.Bioeng.,56(4):456−463(1997)),およびHermanson,G.T.,Rioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記述されている方法などを用いて実施可能である。
【0105】
抗−IL−6抗体組成物に対する抗イディオタイプ抗体
本発明は、モノクローナル抗−IL−6抗体に加えて、また、本発明の前記抗体に特異的な抗イディオタイプ(抗−Id)抗体にも向けたものである。抗−Id抗体は、別の抗体の抗原結合領域に一般に関連したユニークな決定基を認識する抗体である。そのような抗−Idの調製は、同じ種および遺伝型の動物(例えばマウス株)をId抗体の源として用いてそれに本抗体またはこれのCDR含有領域を用いて免疫性を与えることで実施可能である。その免疫性を与えた動物は免疫抗体のイディオタイプ決定基を認識しかつ反応することで抗−Id抗体を産生する。その抗−Id抗体をまた「免疫原」として用いて更に別の動物に免疫反応を誘発することでいわゆる抗−抗−Id抗体を生じさせることも可能である。
【0106】
本発明は、また、本発明の抗−IL−6抗体を少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種またはそれ以上含有して成る少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物も提供し、本明細書に記述しそして/または本技術分野で公知のようにして、それらを天然には存在しない組成物、混合物または形態として提供する。そのような組成物には、配列識別番号:1−114および116−138の連続したアミノ酸の中の70−100%から成る群から選択した抗−IL−6抗体アミノ酸配列またはこれの特定フラグメント、ドメインまたは変異体の全長、C末端および/またはN末端欠如変異体、ドメイン、フラグメントまたは特定変異体を少なくとも1つまたは2つ含んで成る天然には存在しない組成物が含まれる。好適な抗−IL−6抗体組成物は、本明細書に記述する抗−IL−6抗体配列の一部、例えば配列識別番号:15、27、35、47、61および91の70−100%またはこれの特定フラグメント、ドメインまたは変異体を含有する少なくとも1種のCDRまたはLBPとして全長、フラグメント、ドメインまたは変異体を少なくとも1つまたは2つ含有する。さらなる好適な組成物は、例えば配列識別番号:93、95、97、99、101、103などの70−100%の中の少なくとも1つの40−99%またはこれの特定フラグメント、ドメインまたは変異体を含んで成る。そのような組成物のパーセントは、本技術分野で公知であるか或は本明細書に記述するように、液体または無水溶液、混合物、懸濁液、乳液、粒子、粉末またはコロイドとしての重量、体積、濃度、モル濃度または重量モル濃度である。
【0107】
さらなる治療有効成分を含有して成る抗体組成物
本発明の抗体組成物に場合により更に抗感染薬、心臓血管(CV)系作用薬、中枢神経系(CNS)作用薬、自律神経系(ANS)作用薬、呼吸器作用薬、胃腸(GI)管作用薬、ホルモン薬、体液もしくは電解質平衡用薬剤、血液製剤、抗癌薬、免疫修飾薬、眼、耳もしくは鼻用薬剤、局所用薬剤、栄養薬などの中の少なくとも1種から選択した少なくとも1種の化合物もしくは蛋白質を有効量で含有させることも可能である。そのような薬剤は本技術分野で良く知られており、それには本明細書に示す各々の調製、適応、投薬お
よび投与が含まれる(例えばNursing 2001 Handbook of Drugs,第21版、Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001;Health Professional’s Drug Guide 2001,編集、Shannon,Wilson,Stang,Prentice−Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ;Pharmcotherapy Handbook,Wells 他編集、Appleton & Lange,Stamford,CT,各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられるを参照)。
【0108】
前記抗感染薬は、抗アメーバ薬または少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬または少なくとも1種の抗ハンセン菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラシクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド系抗感染薬およびいろいろな抗感染薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記CV作用薬は強心薬、抗不整脈薬、抗狭心症薬、抗高血圧薬およびいろいろな心臓脈管薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記CNS作用薬は、非麻薬性鎮痛薬から選択した少なくとも1種または解熱薬、非ステロイド系抗炎症薬、麻酔薬または少なくとも1種のオピオイド鎮痛薬、睡眠−鎮痛薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、中枢神経系興奮薬、抗パーキンソン病薬、およびいろいろな中枢神経系薬剤から選択した少なくとも1種であってもよい。前記ANS作用薬は、コリンアゴニスト(副交感神経作用薬)、抗コリン作用薬、アドレナリン作用薬(交感神経作用薬)、アドレナリン遮断薬(交感神経遮断薬)、骨格筋弛緩薬および神経筋遮断薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記呼吸器作用薬は、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、去痰薬または少なくとも1種の鎮咳薬、およびいろいろな呼吸器作用薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記GI管作用薬は、制酸薬または少なくとも1種の粘滑薬または少なくとも1種の整腸薬、消化酵素または少なくとも1種の胆石溶解剤、下痢止め薬、下剤、制吐薬および抗潰瘍薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲンまたは少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲンまたは少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬または少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモンアンタゴニスト、下垂体ホルモンおよび副甲状腺様薬剤から選択した少なくとも1種であってもよい。前記体液および電解質平衡用薬剤は、利尿薬、電解質または少なくとも1種の置換溶液、酸性化薬または少なくとも1種のアルカリ性化薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記血液製剤は、造血剤、抗凝血薬、血液製剤および血栓溶解酵素から選択した少なくとも1種であってもよい。前記抗癌薬は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、ホルモン平衡を変える抗癌薬およびいろいろな抗癌薬から選択した少なくとも1種であってもよい。前記免疫修飾薬は、免疫抑制剤、ワクチンまたは少なくとも1種のトキソイド、抗毒素薬または少なくとも1種の抗毒血清、免疫血清、および生物反応修飾物質から選択した少なくとも1種であってもよい。前記眼、耳および鼻用薬剤は、眼科用抗感染薬、眼科用抗炎症薬、縮瞳薬、散瞳薬、眼科用血管収縮薬、いろいろな眼、耳および鼻用薬剤から選択した少なくとも1種であってもよい。前記局所用薬剤は、局所抗感染薬、局所抗疥癬薬、または少なくとも1種のシラミ駆除剤または外用副腎皮質ホルモン剤から選択した少なくとも1種であってもよい。前記栄養薬は、ビタミン、ミネラルまたはカロリー薬(calorics)から選択した少なくとも1種であってもよい。例えば上記Nursing 2001 Drug Handbookの内容を参照のこと。
【0109】
前記少なくとも1種の抗アメーバ薬または抗原虫薬は、アトバクオン、塩酸クロロキン、燐酸クロロキン、メトロインダゾール、塩酸メトロニダゾールおよびイセチオン酸ペンタミジンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の駆虫薬は、メベンダゾール、パモ酸ピランテルおよびチアベンダゾールから選択した少なくとも1種であってもよい。前記抗真菌薬は、アンホテリシンB、アンホテリシンB硫酸コレステリ
ル複合体、アンホテリシンB脂質複合体、アンホテリシンBリポソーム、フルコナゾール、フルシトシン、微細グリセオフルビン、超微細グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ニスタチンおよび塩酸テルビナフィンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗マラリア薬は、塩酸クロロキン、燐酸クロロキン、ドキシシクリン、硫酸ヒドロキシクロロキン、塩酸メフロキン、燐酸プリマキン、ピリメタミンおよびスルファドキシンを伴うピリメタミンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗結核薬または抗ハンセン菌薬は、クロファジミン、シクロセリン、ダプソン、塩酸エタムブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファブチン、リファムピン、リファペンチンおよび硫酸ストレプトマイシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のアミノグリコシドは、硫酸アミカシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸ネオマイシン、硫酸ストレプトマイシンおよび硫酸トブラマイシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のペニシリンは、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム、アモキシシリン三水和物、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アンピシリン三水和物、アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム、クロキサシリンナトリウム、ジクロキサシリンナトリウム、メズロシリンナトリウム、ナフシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンGナトリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、ピペラシリンナトリウム/タゾバクタムナトリウム、チカルシリンジナトリウムおよびチカルシリンジナトリウ/クラブラン酸カリウムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタンジナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアクソンナトリウム、セフロキシムアクセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セファラジンおよびロラカルベフから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のテトラシクリンは、塩酸デメクロシクリン、ドキシシクリンカルシウム、ドキシシクリンヒクレート、塩酸ドキシシクリン、ドキシシクリン一水和物、塩酸ミノシクリンおよび塩酸テトラシクリンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のスルホンアミドは、コ−トリモキサゾール、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾールおよびスルフィソキサゾールアセチルから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のフルオロキノロンは、メシル酸アラトロフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシンおよびメシル酸トロバフロキサシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のフルオロキノロンは、メシル酸アラトロフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシンおよびメシル酸トロバフロキサシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗ウイルス薬は、硫酸アバカビル、アシクロビルナトリウム、塩酸アマンタジン、アムプレナビル、シドホビル、メシル酸デラビルジン、ジダノシン、エファビレンズ、ファムシクロビル、ホミビルセンナトリウム、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、硫酸インジナビル、ラミブジン、ラミブジン/ジドブジン、メシル酸ネルフィナビル、ネビラピン、燐酸オセルタミビル、リバビリン、塩酸リマンタジン、リトナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、スタブジン、塩酸バラシクロビル、ザルシタビン、ザナミビルおよびジドブジンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のマクロリン抗感染薬は、アジトロマイシン、クラリトロマイシン、ジリトロマイシン、エリスロマイシン塩基、エリスロマイシンエストレート、エチルこはく酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシンおよびステアリン酸エリスロマイシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の
いろいろな抗感染薬は、アズトレオナム、バシトラシン、こはく酸クロラムフェニコールナトリウム、塩酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシンパルミテート、燐酸クリンダマイシン、イミペネムおよびシラスタチンナトリウム、メロペネム、ニトロフラントイン巨結晶、ニトロフラントイン微結晶、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、塩酸スペクチノマイシン、トリメトプリムおよび塩酸バンコマイシンから選択した少なくとも1種であってもよい(例えばNursing 2001 Drug Handbookの24−214頁を参照)。
【0110】
前記少なくとも1種の強心薬は、乳酸アムリノン、ジゴキシンおよび乳酸ミルリノンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗不整脈薬は、アデノシン、塩酸アミオダロン、硫酸アトロピン、トシル酸ブレチリウム、塩酸ジルチアゼム、ジソピラミド、燐酸ジソピラミド、塩酸エスモロール、酢酸フレカイニド、フマル酸イブチリド、塩酸リドカイン、塩酸メキシレチン、塩酸モリシジン、フェニトイン、フェニトインナトリウム、塩酸プロカイナミド、塩酸プロパフェノン、塩酸プロプラノロール、二硫酸キニジン、グルコン酸キニジン、ポリガラクツロン酸キニジン、硫酸キニジン、ソタロール、塩酸トカイニドおよび塩酸ベラパミルから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗狭心症薬は、アムロジピジンベシレート、亜硝酸アミル、塩酸ベプリジル、塩酸ジルチアゼム、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、ナドロール、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニトログリセリン、塩酸プロプラノロール、ベラパミルおよび塩酸ベラパミルから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗高血圧薬は、塩酸アセブトロール、アムロジピンベシレート、アテノロール、塩酸ベナゼプリル、塩酸ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、カンデサルタンシレキセチル、カプトプリル、塩酸カルテオロール、カルベジロール、クロニジン、塩酸クロニジン、ジアゾキシド、塩酸ジルチアゼム、メシル酸ドキサゾシン、エナラプリラット、マレイン酸エナラプリル、メシル酸エプロサルタン、フェロジピン、メシル酸フェノロドパム、フォシノプリルナトリウム、酢酸グアナベンズ、硫酸グアナドレル、塩酸グアンファシン、塩酸ヒドララジン、イルベサルタン、イスラジピン、塩酸ラベタロール、リシノプリル、ロサルタンカリウム、メチルドーパ、塩酸メチルドペート、こはく酸メトプロロール、酒石酸メトプロロール、ミノキシジル、塩酸モエキシプリル、ナドロール、塩酸ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトロプルシドナトリウム、硫酸ペンブタロール、ペリンドプリルエルブミン、メシル酸フェントールアミン、ピンドロール、塩酸プラゾシン、塩酸プロプラノロール、塩酸キナプリル、ラミプリル、テルミサルタン、塩酸テラゾシン、マレイン酸チモロール、トランドラプリル、バルサルタンおよび塩酸ベラパミルから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗脂血症薬は、アトルバスタチンカルシウム、セリバスタチンナトリウム、コレスチラミン、塩酸コレスチポール、フェノフィブラート(微粉化)、フルバスタチンナトリウム、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、ナイアシン、プラバスタチンナトリウムおよびシムバスタチンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のいろいろなCV作用薬は、アブシキシマブ、アルプロスタジル、塩酸アルブタミン、シロスタゾール、二硫酸クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド、塩酸ミドドリン、ペントキシフィリン、塩酸チクロピジンおよび塩酸チロフィバンから選択した少なくとも1種であってもよい(例えばNursing 2001 Drug Handbookの215−336頁を参照)。
【0111】
前記少なくとも1種の非麻薬性鎮痛薬または解熱薬は、アセタミノフェン、アスピリン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサールおよびサリチル酸マグネシウムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の非ステロイド系抗炎症薬は、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インドメタシンナトリウム三水和物、ケトプロフェン、ケトロラクトロメタミン、ナブ
メトン、ナプロキセン、ナプロセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブおよびスリンダクから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の麻酔薬またはオピオイド鎮痛薬は、塩酸アフェンタニル、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノール、燐酸コデイン、硫酸コデイン、クエン酸フェンタニル、フェンタニル経皮システム、フェンタニル経粘膜、塩酸ヒドロモルフォン、塩酸メペリジン、塩酸メタドン、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、酒石酸モルヒネ、塩酸ナルブフィン、塩酸オキシコドン、オキシコドンペクチネート、塩酸オキシモルフォン、塩酸ペンタゾシン、塩酸ペンタゾシンおよび塩酸ナロキソン、乳酸ペンタゾシン、塩酸プロポキシフェン、ナプシル酸プロポキシフェン、塩酸レミフェンタニル、クエン酸フェンタニルおよび塩酸トラマドールから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の睡眠−鎮痛薬は、抱水クロラール、エスタゾラム、塩酸フルラゼパム、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、テマゼパム、トリアゾラム、ザレプロンおよび酒石酸ゾルピデムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗けいれん薬は、アセタゾールアミドナトリウム、カルバマゼピン、クロナゼパム、クロラゼブ酸二カリウム、ジアゼパム、ジバルプロエキスナトリウム、エトスクシミド、フォスフェニトインナトリウム、ガバペンチン、ラモトリギン、硫酸マグネシウム、フェノバルビタール、フェノバルビタールナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、フェニトインナトリウム(加増量剤)、プリミドン、塩酸チアガビン、トピラメート、バルプロエートナトリウムおよびバルプロ酸から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗うつ薬は、塩酸アミトリプチリン、パモ酸アミトリプチリン、アモキサピン、塩酸ブプロピオン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸クロミプラミン、塩酸デシプラミン、塩酸ドキセピン、塩酸フルオキセチン、塩酸イミプラミン、パモ酸イミプラミン、ミルタザピン、塩酸ネファゾドン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸パロキセチン、硫酸フェネルジン、塩酸セルトラリン、硫酸トラニルシプロミン、マレイン酸トリミプラミンおよび塩酸ベンラファクシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗不安薬は、アルプラゾラム、塩酸ブスピロン、クロルジアゼポキシド、塩酸クロルジアゼポキシド、クロラゼブ酸二カリウム、ジアゼパム、塩酸ドキセピン、ヒドロキシジンエンボネート、塩酸ヒドロキシジン、パモ酸ヒドロキシジン、ロラゼパム、メフロバメート、塩酸ミダゾラムおよびオキサゼパムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗精神病薬は、塩酸クロルプロマジン、クロザピン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、ハロペリドール、ドデカン酸ハロペリドール、乳酸ハロペリドール、塩酸ロキサピン、こはく酸ロキサピン、メソリダジンベシレート、塩酸モリンドン、オランザピン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、フマル酸ケチアピン、リスペリドン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、塩酸チオチキセンおよび塩酸トリフルオペラジンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の中枢神経系興奮薬は、硫酸アンフェタミン、カフェイン、硫酸デキストロアンフェタミン、塩酸ドキサプラム、塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリンおよび塩酸フェンテルミンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗パーキンソン病薬は、塩酸アマンタジン、メシル酸ベンズトロピン、塩酸ビペリデン、乳酸ビペリデン、メシル酸ブロモクリプチン、カルビドパ−レボドパ、エンタカポン、レバドパ、メシル酸ペルゴリド、二塩酸プラミペキソール、塩酸ロピニロール、塩酸セレギリン、トルカポンおよび塩酸トリヘキシフェニジルから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のいろいろな中枢神経系作用薬は、塩酸ブプロピオン、塩酸ドネペジル、ドロペリドール、マレイン酸フルボキサミン、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、塩酸ナラトリプタン、ニコチンポラクリレクス、ニコチン経皮システム、プロポフォール、安息香酸リザトリプタン、塩酸シブトラミン一水和物、こはく酸スマトリプタン、塩酸タクリンおよびゾルミトリプタンから選択した少なくとも1種であってもよい(例えばNursing 2001 Drug Handbookの337−530頁を参照のこと)。
【0112】
前記少なくとも1種のコリンアゴニスト(例えば副交感神経作用薬)は、塩化ベタネコール、塩化エドロホニウム、臭化ネオスチグミン、メチル硫酸ネオスチグミン、サリチル酸フィゾスチグミンおよび臭化ピリドスチグミンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗コリン作用薬は、硫酸アトロピン、塩酸ジシクロミン、グリコピロレート、ヒヨスチアミン、硫酸ヒヨスチアミン、臭化プロパンテリン、スコポラミン、臭化ブチルスコポラミンおよび臭化水素酸スコポラミンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のアドレナリン作用薬(交感神経作用薬)は、塩酸ドブタミン、塩酸ドーパミン、酒石酸水素メタラミノール、酒石酸水素ノルエピネフリン、塩酸フェニレフリン、塩酸プソイドエフェドリンおよび硫酸プソイドエフェドリンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のアドレナリン遮断薬(交感神経遮断薬)は、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギドおよび塩酸プロプラノロールから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の骨格筋弛緩薬は、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、塩酸シクロベンザプリン、ダントロレンナトリウム、メトカルバモールおよび塩酸チザニジンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の神経筋遮断薬は、アトラクリウムベシレート、シサトラクリウムベシレート、塩化ドキサクリウム、塩化ミバクリウム、臭化パンクロニウム、臭化ピペクロニウム、臭化ラパクロニウム、臭化ロクロニウム、塩化スクシニルコリン、塩化ツボクラリンおよび臭化ベクロニウムから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの531−84頁を参照のこと)。
【0113】
前記少なくとも1種の抗ヒスタミン剤は、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸セチリジン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、塩酸シプロフェプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸フェキソフェナジン、ロラタジン、塩酸プロメタジン、プロメタジンテオクレートおよび塩酸トリプロリジンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の気管支拡張剤は、アルブテロール、硫酸アルブテロール、アミノフィリン、硫酸アトロピン、硫酸エフェドリン、エピネフリン、酒石酸水素エピネフリン、塩酸エピネフリン、臭化イプラトロピウム、イソプロテレノール、塩酸イソプロテレノール、硫酸イソプロテレノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、オキシトリフィリン、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸テルブタリンおよびテオフィリンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の去痰薬または鎮咳薬は、ベンゾナテート、燐酸コデイン、硫酸コデイン、臭化水素酸デキストラメトルファン、塩酸ジフェンヒドラミン、グアイフェネシンおよび塩酸ヒドロモルホンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のいろいろな呼吸器作用薬は、アセチルシステイン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベラクタント、ブデソニド、カルファクタント、クロモリンナトリウム、ドルナーゼアルファ、エポプロステノールナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、ノンテルカストナトリウム、ネドクロミルナトリウム、パリビズマブ、トリアムシノロンアセトニド、ザフィルルカストおよびジレウトンから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの585−642頁を参照のこと)。
【0114】
前記少なくとも1種の制酸薬、粘滑薬または整腸薬は、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、マガルドレート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、シメチコンおよび重炭酸ナトリウムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の消化酵素または胆石溶解剤は、パンクレアチン、パンクレリパーゼおよびウルソジオールから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の下痢止め薬は、アタパルジャイト、次サリチル酸ビスマス、カルシウムポリカルボフィル、塩酸ジフェノキシレートおよび硫酸アトロピン、ロペラミド、酢酸オクトレオチド、アヘン
チンキおよびオピウムチンクレ(樟脳含有)から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の下剤は、ビソコジル、カルシウムポリカルボフィル、カスカラサグラダ、カスカラサグラダ芳香流エキス剤、カスカラサグラダ流エキス剤、ヒマシ油、ドキュセートカルシウム、ドキュセートナトリウム、グリセリン、ラクトース、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メチルセルロース、鉱油、ポリエチレングリコールまたは電解質溶液、オオバコ、センナンおよび燐酸ナトリウムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の制吐薬は、塩酸クロルプロマジン、ジメンヒドリナート、メシル酸ドラセトロン、ドロナビノール、塩酸グラニセトロン、塩酸メクリジン、塩酸メトクロプロアミド、塩酸オンダンセトロン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、エジシル酸プロクロルペラジン、マレイン酸プロクロルペラジン、塩酸プロメタジン、スコポラミン、マレイン酸チエチルペラジンおよび塩酸トリメトベンズアミドから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗潰瘍薬は、シメチジン、塩酸シメチジン、ファモチジン、ランソプラゾール、ミソプロストール、ニザチジン、オメプラゾール、ラベプロゾールナトリウム、クエン酸ランチジンビスマス、塩酸ラニチジンおよびスクラルフェートから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの643−95頁を参照のこと)。
【0115】
前記少なくとも1種のコルチコステロイドは、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾンまたは燐酸ベタメタゾンナトリウム、燐酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、燐酸ナトリウムデキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、燐酸ナトリウムヒドロコルチゾン、こはく酸ナトリウムヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、こはく酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、燐酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよび二酢酸トリアムシノロンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のアンドロゲンまたはアナボリックステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、テストステロンシピオネート、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロンおよびテストステロン経皮システムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のエストロゲンまたはプロゲスチンは、エステル化エストロゲン、エストラジオール、エストラジオールシピオネート、酢酸エストラジオール/ノルエチンドロン経皮システム、吉草酸エストラジオール、エストロゲン(共役)、エストロピペート、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオールとデソゲストレル、エチニルエストラジオールとエチノジオールジアセテート、エチニルエストラジオールとレボノルゲストレル、エチニルエストラジオールとノレチンドロン、エチニルエストラジオールと酢酸ノルエチンドロン、エチニルエストラジオールとノルゲスチメート、エチニルエストラジオールとノルゲストレル、エチニルエストラジオールとノルエチンドロンおよびアセテートとフマル酸第一鉄、レボノルゲストレエル、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノールとノレチンドロン、ノレチンドロン、酢酸ノレチンドロン、ノルゲストレルおよびプロゲステロンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のゴナドトロピンは、酢酸ガニレリクス、酢酸ゴナドレリン、酢酸ヒストレリンおよびメノトロピンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗糖尿病薬またはグルカオンは、アカルボース、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グルカゴン、グリブリド、インスリン、塩酸メトフォルミン、ミグリトール、塩酸ピオグリタゾン、レパグリニド、マレイン酸ロシグリタゾンおよびトログリタゾンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の甲状腺ホルモンは、レボチロキシンナトリウム、リオチロニンナトリウム、リオトリックスおよびチロイドから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の甲状腺ホルモンアンタゴニストは、メチマゾール
、ヨウ化カリウム、ヨウ化カリウム(飽和溶液)、プロピルチオウラシル、放射性ヨウ素(ヨウ化ナトリウム
131I)および強ヨウ素溶液から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の下垂体ホルモンは、コルチコトロピン、コシントロピン、酢酸デスモフレシン、酢酸ロイプロリド、持続性コルチコトロピン、ソマトレム、ソマトロピンおよびバソプレシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の副甲状腺様薬剤は、カルシフェジオール、カルシトニン(ヒト)、カルシトニン(サケ)、カルシトリオール、ジヒドロタキステロールおよびエチドロン酸2ナトリウムから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの696−796頁を参照のこと)。
【0116】
前記少なくとも1種の利尿薬は、アセタゾールアミド、アセタゾールアミドナトリウム、塩酸アミロリド、ブメタニド、クロルタリドン、エタクリン酸ナトリウム、エタクリン酸、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、マンニトール、メトラゾン、スピロノラクトン、トルセミド、トリアムテレンおよび尿素から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の電解質または置換溶液は、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、カルシウムグルビオネート、カルシウムグルセプテート、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、燐酸カルシウム(二塩基性)、燐酸カルシウム(三塩基性)、デキストラン(高分子量)、デキストラン(低分子量)、ヘタスターチ、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カリウム、重炭酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、リンゲル注射液、リンゲル注射液(乳酸加)および塩化ナトリウムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の酸性化薬またはアルカリ性化薬は、重炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトロメタミンから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの797−833頁を参照のこと)。
【0117】
前記少なくとも1種の造血剤は、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄(乾燥)、デキストラン鉄、ソルビトール鉄、多糖−鉄錯体およびグルコン酸第一鉄ナトリウム錯体から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗凝血薬は、アルデパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、エノキサパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンナトリウムおよびワルファリンナトリウムから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の血液製剤は、5%アルブミン、25%アルブミン、抗血友病因子、活性化プロトロンビン複合体、アンチトロンビンIII(ヒト)、因子IX(ヒト)、因子IX複合体および血漿蛋白画分から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の血栓溶解酵素は、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ(組換え型)、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの834−66頁を参照のこと)。
【0118】
前記少なくとも1種のアルキル化剤は、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ロムスチン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、塩酸メルファラン、ストレプトゾシン、テモゾロミドおよびチオテパから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の代謝拮抗剤は、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フロクスリジン、燐酸フルダラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウムおよびチオグアニンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗腫瘍性抗生物質は、硫酸ブレオマイシン、ダクチノマイシン、クエン酸ダウノルビシンリポソーム、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシンリポソーム、塩酸エピルビシン、塩酸イダルビシン、ミトマイシン、ペントスタチン、プリカマイシンおよびバルルビシンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のホルモン平衡を変える抗癌薬は、アナストロゾール、ビカル
タミド、燐酸エストラムスチンナトリウム、エキセメスタン、フルタミド、酢酸ゴセレリン、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、ニルタミド、クエン酸タモキシフェン、テストラクトンおよびクエン酸トレミフェンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のいろいろな抗癌薬は、アスパラギナーゼ、カルメットゲラン菌(BCG)(生膀胱内)、ダカルバジン、ドセタキセル、エトポシド、燐酸エトポシド、塩酸ゲムシタビン、塩酸イリノテカン、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、パクリタキセル、ペガスパルゲーゼ、ポルフィマーナトリウム、塩酸プロカルバジン、リツキシマブ、テニポシド、塩酸トポテカン、トラスツブマブ、トレチノイン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビンから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの867−963頁を参照のこと)。
【0119】
前記少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ−CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリマスおよびタクロリムスから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のワクチンまたはトキソイドは、BCGワクチン、コレラワクチン、ジフテリアおよび破傷風トキソイド(沈降)、ジフテリア破傷風トキソイドおよび沈降無細胞百日咳ワクチン、ジフテリア破傷風トキソイドおよびホールセル百日咳ワクチン、ヘモフィルスb共役ワクチン、A型肝炎ワクチン(不活化)、B型肝炎ワクチン(組換え型)、インフルエンザウイルスワクチン1999−2000三価タイプAおよびB(精製表面抗原)、インフルエンザウイルスワクチン1999−2000三価タイプAおよびB(サブビリオンまたは精製サブビリオン)、インフルエンザウイルスワクチン1999−2000三価タイプAおよびB(ホールビリオン)、日本脳炎ウイルスワクチン(不活化)、ライム病ワクチン(組換え型OspA)、はしか・おたふく風邪・風疹ウイルスワクチン(生)、はしか・おたふく風邪・風疹ウイルスワクチン(弱毒化生)、はしかウイルスワクチン(弱毒化生)、髄膜炎菌多糖類ワクチン、おたふく風邪ウイルスワクチン(生)、ペストワクチン、肺炎球菌ワクチン(多価)、ポリオウイルスワクチン(不活化)、ポリオウイルスワクチン(生、経口、三価)、狂犬病ワクチン(沈降)、狂犬病ワクチン(ヒト2倍体細胞)、風疹・おたふく風邪ウイルスワクチン(生)、風疹ウイルスワクチン(生、弱毒化)、破傷風トキソイド(沈降)、破傷風トキソイド(流体)、腸チフスワクチン(経口)、腸チフスワクチン(非経口)、腸チフスVi多糖ワクチン、水痘ウイルスワクチンおよび黄熱病ワクチンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗毒素薬または抗毒血清は、クロゴケグモ抗毒血清、クロタリダエ抗毒血清(多価)、ジフテリア抗毒素(ウマ)およびサンゴヘビ抗毒素から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の免疫血清は、サイトメガロウイルス免疫グロブリン(静脈内)、B型肝炎免疫グロブリン(ヒト)、免疫グロブリン筋肉内、免疫グロブリン静脈内、狂犬病免疫グロブリン(ヒト)、呼吸器合胞体ウイルス免疫グロブリン静脈内(ヒト)、Rh
0(D)免疫グロブリン(ヒト)、Rh
0(D)免疫グロブリン静脈内(ヒト)、破傷風免疫グロブリン(ヒト)および水痘帯状疱疹免疫グロブリンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の生物反応修飾物質は、アルデスロイキン、エポエチンアルファ、フィルグラスチム、注射用酢酸ガラティラメル、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンアルファ−2a(組換え型)、インターフェロンアルファ−2b(組換え型)、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b(組換え型)、インターフェロンガンマ−1b、塩酸レバミゾール、オプレルベキンおよびサルグラモスティムから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの964−1040頁を参照のこと)。
【0120】
前記少なくとも1種の眼科用抗感染薬は、バシトラシン、クロラムフェニコール、塩酸シプロフロキサシン、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、オフロキサシン0.3%
、硫酸ポリミキシンB、スルファセタミドナトリウム10%、スルファセタミドナトリウム15%、スルファセタミドナトリウム30%、トブラマイシンおよびビダラビンから選択可能である。前記少なくとも1種の眼科用抗炎症薬は、デキサメタゾン、燐酸デキサメタゾンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム0.1%、フルオロメトロン、フルルビプロフェンナトリウム、ケトロラクトロメタミン、酢酸プレドニゾロン(懸濁液)および燐酸プレドニゾロンナトリウム(溶液)から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の縮瞳薬は、塩化アセチルコリン、カルバコール(眼球内)、カルバコール(局所)、ヨウ化エコチオフェート、ピロカルピン、塩酸ピロカルピンおよび硝酸ピロカルピンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の散瞳薬は、硫酸アトロピン、塩酸シクロペントレート、塩酸エピネフリン、ホウ酸エピネフリル、臭化水素酸ホマトロピン、塩酸フェニルエフリン、臭化水素酸スコポラミンおよびトロピカミドから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の眼科用血管収縮薬は、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリンおよび塩酸テトラヒドロゾリンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のいろいろな眼科用薬剤は、塩酸アプラクロニジン、塩酸ベタキソロール、酒石酸ブリモニジン、塩酸カルテオロール、塩酸ジピベフリン、塩酸ドルゾラミド、二フマル酸エメダスチン、フルオレセインナトリウム、フマル酸ケトチフェン、ラタノプロスト、塩酸レボブノロール、塩酸メチプラノロール、塩化ナトリウム(高浸透圧)およびマレイン酸チモロールから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の耳用薬剤は、ホウ酸、過酸化カルバミド、クロラムフェニコールおよびトリエタノールアミンポリペプチドオレート凝集物から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の鼻用薬剤は、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、硫酸エフェドリン、塩酸エピネフリル、フルニゾリド、プロピオン酸フルチカゾン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニルフリン、塩酸テトラヒドロゾリン、トリアムシノロンアセトニドおよび塩酸キシロメタゾリンから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの1041−97頁を参照のこと)。
【0121】
前記少なくとも1種の抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、燐酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ニスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラシクリン、チオコナゾールおよびトルナフテートから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の抗疥癬薬またはシラミ駆除剤は、クロタミトン、リンダン、ペルメトリンおよびピレトリンから選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種の外用副腎皮質ホルモン剤は、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、燐酸デキサメタゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、モメタゾンフロエートおよびトリアムシノロンアセトニドから選択した少なくとも1種であってもよい(例えばNursing 2001 Drug Handbookの1098−1136頁を参照のこと)。
【0122】
前記少なくとも1種のビタミンもしくはミネラルは、ビタミンA、ビタミンB複合体、シアノコバラミン、葉酸、ヒドロキソコバラミン、ロイコボリンカルシウム、ナイアシン、ナイアシンアミド、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、塩酸チアミン、ビタミンC、ビタミンD、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、ビタミンD類似体、ドキセルカルシフェロール、パリカルシトール、ビタミンE、ビタミンK類似体、フィトナジオン、フッ化ナトリウム、フッ化ナトリウム(局所)、微量元素、クロム、銅、ヨウ素、マ
ンガン、セレンおよび亜鉛から選択した少なくとも1種であってもよい。前記少なくとも1種のカロリー薬は、アミノ酸輸液(結晶)、デキストロースに入っているアミノ酸輸液、電解質を伴うアミノ酸輸液、デキストロースに入っている電解質を伴うアミノ酸輸液、肝不全用アミノ酸輸液、高代謝的ストレス用アミノ酸輸液、腎不全用アミノ酸輸液、デキストロース、脂肪乳剤および中鎖脂肪酸トリグリセリドから選択した少なくとも1種であってもよい。(例えばNursing 2001 Drug Handbookの1137−63頁を参照のこと)。
【0123】
本発明の抗−IL−6抗体組成物には、更に、そのような調節、処置または治療を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に接触または投与すべき少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有しかつ場合により更に少なくとも1種のTNFアンタゴニスト[例えばこれらに限定するものでないが、TNF化学もしくは蛋白質アンタゴニスト、TNFモノクローナルもしくはポリクローナル抗体もしくはフラグメント、可溶TNF受容体(例えばp55、p70またはp85)またはフラグメント、それの融合ポリペプチドまたは低分子TNFアンタゴニスト、例えばTNF結合蛋白質IまたはII(TBP−1またはTBP−II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、CDP−571、CDP−870、アフェリモマブ、レネルセプトなど]、抗リウマチ剤(例えばメトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋弛緩薬、睡眠薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮痛剤、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えばアミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルロルキノロン、マクロリド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラシクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、蛋白同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養剤、甲状腺用薬剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め薬、鎮咳薬、制吐薬、抗腫瘍薬、下剤、抗凝血薬、エリスロポイエチン(例えばエポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えばG−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF、Leukine)、予防接種、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えばバシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制因子、放射性薬剤、抗鬱薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息用薬剤、ベータ作用薬、ステロイド剤吸引、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似物、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択した少なくとも1種を含有していてもよい少なくとも1種の適切な有効量の組成物もしくは製薬学的組成物のいずれも含まれ得る。そのようなサイトカインの非限定例には、これらに限定するものでないが、IL−1からIL−23(例えばIL−1、IL−2など)のいずれも含まれる。適切な投薬量は本技術分野で良く知られている。例えばWells他編集、Pharmacotherapy Handbook,第2版、Appleton and Lange,Stamford,CT(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia,2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000),(これらの文献は各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0124】
そのような抗癌もしくは抗感染薬には、また、本発明の少なくとも1種の抗体と会合させるか、結合させるか、共調製するか或は共投与するトキシン分子も含まれ得る。そのようなトキシンは場合により病原性細胞または組織を選択的に死滅させる働きをし得る。そのような病原性細胞は癌細胞または他の細胞であり得る。そのようなトキシンは、これらに限定するものでないが、精製もしくは組換え型トキシン、またはトキシンの少なくとも
1種の機能的細胞障害ドメインを含んで成るトキシンフラグメント、例えばリシン、ジフテリアトキシン、ベノムトキシンまたは細菌トキシンの中の少なくとも1種から選択したトキシンであってもよい。用語「トキシン」はまた天然に存在するか或は突然変異を起こしたか或は組換え型の細菌またはウイルスのいずれかが産生するエンドトキシンおよびエクソトキシンの両方も含まれ、それらはヒトおよび他の哺乳動物における病気状態のいずれかの原因になり得、それには、トキシンショック(結果として死亡する可能性がある)が含まれる。そのようなトキシンには、これらに限定するものでないが、腸管毒素原性大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)、耐熱性エンテロトキシン(ST)、シゲラ細胞毒素、アエロモナスエンテロトキシン、毒素性ショック症候群トキシン−1(TSST−1)、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、B(SEB)またはC(SEC)、連鎖球菌エンテロトキシンなどが含まれ得る。前記細菌には、これらに限定するものでないが、腸管毒素原性大腸菌種(ETEC)、腸管出血性大腸菌種(例えば血清型株0157:H7)、ブドウ球菌種(例えば黄色ブドウ球菌、化膿ブドウ球菌)、シゲラ種(例えばシゲラディゼンテリエ、シゲラフレキシネリ、シゲラボイジイおよびシゲラソネイ)、サルモネラ種(例えばチフス菌、サルモネラコレラスイス、腸炎菌)、クロストリジウム種(例えばウェルシュ菌、クロストリジウムジフィサイル、ボツリヌス菌)、カンフロバクター種(例えばカンフロバクタージェジュニ、カンフロバクターフェタス)、ヘリコバクター種(例えばピロリ菌)、アエロモナス種(例えばアエロモナスソブリア、アエロモナス細菌、アエロモナスカビアエ)、プレイソモナスシゲロイデス、エルシニアエンテロコリチカ、ビブリオ種(例えばビブリオコレラ、腸炎ビブリオ)、クレブシエラ種、緑膿菌および連鎖球菌の株が含まれる。例えばStein編集、INTERNAL MEDICINE、第3版、1−13頁、Little,Brown and Co.,Boston,(1990);Evans 他編集、Bacterial Infections of Humans:Epidemiology and Control,第2版、239−254頁、Plenum Medical Book Co.,New York(1991);Mandell 他、Principles and Practice of Infectious Diseases,第3版、Churchill Livingstone,New York(1990);Berkow 他編集、The Merck Manual,第16版、Merck and Co.,Rahway,N.J.,1992;Wood 他、FEMS Microbiology Immunology,76:121−134(1991);Marrack 他、Science,248:705−711(1990),(これらの文献の内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0125】
本発明の抗−IL−6抗体化合物、組成物または組み合わせに更に適切な全ての助剤、例えばこれらに限定するものでないが、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、防腐剤、アジュバントなどの中の少なくとも1種を含有させることも可能である。製薬学的に受け入れられる助剤が好適である。前記無菌溶液の非限定例および製造方法は本技術分野、例えばこれらに限定するものでないが、Gennaro編集、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.(Easton、PA)1990などで良く知られている。製薬学的に受け入れられる担体は、本技術分野で良く知られているか或は本明細書に記述するように、本抗−IL−6抗体、フラグメントまたは変異体組成物の投与様式、溶解性および安定性に適するように常規通り選択可能である。
【0126】
本組成物で用いるに有用な製薬学的賦形剤および添加剤には、これらに限定するものでないが、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物[例えば糖(単糖、二糖、三糖、四糖およびオリゴ糖を包含)、誘導体化糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など、および多糖または糖重合体)が含まれ、これらを単独または組み合わせて存在させてもよく、それには、単独または1−99.99重量%または体積%の組み合わ
せが含まれる。典型的な蛋白質賦形剤には血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、組換え型ヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。代表的なアミノ酸/抗体成分(これはまた緩衝能力としても機能し得る)には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタムなどが含まれる。1つの好適なアミノ酸はグリシンである。
【0127】
本発明で用いるに適した炭水化物賦形剤には、例えば単糖類、例えばフルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなど、二糖類、例えばラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなど、多糖類、例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉など、およびアルジトール、例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどが含まれる。本発明で用いるに適した好適な炭水化物賦形剤はマンニトール、トレハロースおよびラフィノースである。
【0128】
抗−IL−6抗体組成物にまた緩衝剤またはpH調節剤を含有させることも可能であり、そのような緩衝剤は典型的に有機酸または塩基から生じさせた塩である。代表的な緩衝剤には有機酸塩、例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、こはく酸、酢酸またはフタル酸などの塩、Tris、塩酸トロメタミンまたは燐酸塩緩衝剤が含まれる。本組成物で用いるに適した好適な緩衝剤は有機酸塩、例えばクエン酸塩などである。
【0129】
加うるに、本発明の抗−IL−6抗体組成物に重合体賦形剤/添加剤、例えばポリビニルピロリドン、フィコール(高分子量糖)、デキストレート(例えばシクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、風味剤、抗菌剤、甘味剤、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えばポリソルベート、例えば「TWEEN 20」および「TWEEN 80」)、脂質(例えば燐脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えばコレステロール)およびキレート剤(例えばEDTA)などが含まれ得る。
【0130】
本発明に従う抗−IL−6抗体、部分または変異体組成物で用いるに適した前記および追加的公知製薬学的賦形剤および/または添加剤は本技術分野で公知であり、例えば
“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”第19版、Williams & Williams,(1995),および“Physician’s Desk Reference”第52版、Medical Economics,Montvale,NJ(1998),(これらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に示されているように公知である。好適な担体もしくは賦形剤は炭水化物(例えば糖およびアルジトール)および緩衝剤(例えばクエン酸塩)または高分子作用剤である。典型的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これは関節内送達で用いるに有用であり得る。
【0131】
製剤
この上で述べたように、本発明は、少なくとも1種の抗−IL−6抗体が製薬学的に受け入れられる製剤の中に入っている安定な製剤(好適には燐酸塩緩衝剤に加えて食塩水または選択した塩を含有して成る)ばかりでなく防腐剤を含有させた防腐処理溶液および製剤、並びに製薬学または獣医用途で用いるに適した多用途防腐処理製剤を提供する。防腐処理製剤は水性希釈剤に入っている少なくとも1種の公知防腐剤を含有するか或は場合により少なくとも1種のフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば六水化物)、アルキル
パラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールなど、それの重合体または混合物から成る群から選択した防腐剤を含有する。本技術分野で公知の如く適切な如何なる濃度も混合物も使用可能であり、例えば約0.0015%、または如何なる範囲でも値でも分率でも使用可能である。非限定例には、防腐剤無し、約0.1−2%のm−クレゾール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、約0.1−3%のベンジルアルコール(例えば0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、約0.001−0.5%のチメロサール(例えば0.005、0.01)、約0.001−2.0%のフェノール(例えば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005−1.0%のアルキルパラベン1種または2種以上(例えば0.00075,0.0009,0.001,0.002,0.005,0.0075,0.009,0.01,0.02,0.05,0.075,0.09,0.1,0.2,0.3,0.5,0.75,0.9,1.0%)などが含まれる。
【0132】
この上に示したように、本発明は、包装用材料と少なくとも1つに瓶を含んで成る製品を提供し、前記瓶に、少なくとも1種の抗−IL−6抗体に加えて指定緩衝剤および/または防腐剤が場合により水性希釈剤に入っている溶液を入れ、ここで、前記包装用材料に、前記溶液を1,2,3,4,5,6,9,12,18,20,24,30,36,40,48,54,60,66,72時間またはそれ以上の時間に渡って保持することができることを示すラベルを含める。本発明は、更に、包装用材料と凍結乾燥させた少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている1番目の瓶と指定緩衝剤もしくは防腐剤を含有する水性希釈剤が入っている2番目の瓶を含んで成る製品も包含し、ここで、前記包装用材料に、前記少なくとも1種の抗−IL−6抗体を前記水性希釈剤に入れて再構成させて24時間またはそれ以上の時間に渡って保持することができる溶液を生じさせることを患者に知らせるラベルを含める。
【0133】
本発明に従って用いる少なくとも1種の抗−IL−6抗体の製造は組換え手段(哺乳動物の細胞または遺伝子導入を用いた調製を包含)を用いて実施可能であるか、或は本明細書に記述するか或は本技術分野で公知のように、それを他の生物学的源から精製することも可能である。
【0134】
本発明の製品に入れる少なくとも1種の抗−IL−6抗体の量の範囲には、再構成時(湿潤/乾燥系で実施する場合)に約1.0μg/mlから約1000mg/mlの濃度がもたらされるような量が含まれるが、より低い濃度およびより高い濃度も有効であり、これは意図した送達用媒体に依存し、例えば溶液製剤のそれは経皮パッチ、肺、経粘膜または浸透圧またはミクロポンプ方法のそれとは異なるであろう。
【0135】
好適には、前記水性希釈剤に場合により更に製薬学的に受け入れられる防腐剤も入れておいてもよい。好適な防腐剤には、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールなどまたはそれらの混合物から成る群から選択した防腐剤が含まれる。本製剤で用いる防腐剤の濃度は、抗菌効果をもたらすに充分な濃度である。そのような濃度は選択した防腐剤に依存するが、本分野の技術者はそれを容易に決定することができるであろう。
【0136】
前記希釈剤に場合によるが好適には他の賦形剤、例えば等張剤、緩衝剤、抗酸化剤および防腐向上剤などを加えることも可能である。等張剤、例えばグリセリンなどを一般に公知濃度で用いる。好適には、pH制御を向上させる目的で生理学的に許容される緩衝剤を加える。本製剤のpHの範囲は幅広い範囲に渡り、例えば約pH4から約pH10の範囲
であってもよいが、好適な範囲は約pH5から約pH9であり、最も好適な範囲は約6.0から約8.0である。本発明の製剤のpHを好適には約6.8から約7.8の範囲にする。好適な緩衝剤には、燐酸塩緩衝剤、最も好適には燐酸ナトリウム、特に燐酸塩緩衝食塩水(PBS)が含まれる。
【0137】
場合により、他の添加剤、例えばTween 20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]、Tween 40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート]、Tween 80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]、Pluronic F68(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体)およびPEG(ポリエチレングリコール)などの如き製薬学的に受け入れられる可溶化剤または非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート20もしくは80またはポロキサマー184または188、Pluronic(商標)ポリル、他のブロック共重合体およびキレーター、例えばEDTAおよびEGTAなどを本製剤または組成物に添加することで凝集度合を低くすることも可能である。特に、本製剤を投与する時にポンプまたはプラスチック製容器を用いる場合にそのような添加剤が有用である。製薬学的に受け入れられる界面活性剤を存在させると蛋白質が凝集する傾向が軽減される。
【0138】
本発明の製剤の調製は、少なくとも1種の抗−IL−6抗体とフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールなどまたはそれらの混合物から成る群から選択した防腐剤を水性希釈剤に入れて混合することを含んで成る方法を用いて実施可能である。前記少なくとも1種の抗−IL−6抗体と防腐剤を水性希釈剤に入れて混合することを通常の溶解および混合手順を用いて実施する。適切な製剤を生じさせるには、例えば測定量の少なくとも1種の抗−IL−6抗体を緩衝溶液に入れてそれを本蛋白質および防腐剤が所望の濃度になるに充分な量で緩衝溶液に入れておいた所望防腐剤と一緒にする。本分野の通常の技術者はそのような方法の変法を認識するであろう。例えば、前記成分を添加する順、追加的添加剤を用いるか否か、当該製剤を調製する時の温度およびpHは全部が使用する濃度および投与手段毎に最適にすることができる要因である。
【0139】
本請求する製剤を患者に透明な溶液としてか或は凍結乾燥させた少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている瓶とこれを再構成させる時の水、防腐剤および/または賦形剤、好適には燐酸塩緩衝剤および/または食塩水および選択した塩(水性希釈剤の中に入っている)が入っている2番目の瓶を包含する2個の瓶として供給してもよい。溶液が入っている単一の瓶または再構成が必要な2個の瓶のいずれも多数回再使用可能であり、患者の処置を1回または多数回実施するに充分であり得、従って、現在利用可能な処置療法に比べてより便利であり得る。
【0140】
この請求する製品は、即時から24時間またはそれ以上の範囲の時間に渡って投与するに有用である。従って、この請求する製品は患者に大きな利点を与える。本発明の製剤は場合により約2℃から約40℃の温度で安全に貯蔵可能でありかつ本蛋白質が示す生物学的活性を長期間に渡って維持させ、従ってその溶液を6、12、18、24、36、48、72または96時間またはそれ以上の時間に渡って保持しそして/または使用することができることを示すパッケージラベルを付けることを可能にする。防腐処理希釈剤を用いると、そのようなラベルに1−12カ月、半年、1年半および/または2年に及ぶ使用を含めることも可能である。
【0141】
本発明の少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている溶液の調製は、少なくとも1種の抗体を水性希釈剤に入れて混合することを含んで成る方法を用いて実施可能である。
混合を通常の溶解および混合手順を用いて実施する。適切な希釈剤を生じさせるには、例えば、測定量の少なくとも1種の抗体を水または緩衝液に入れて、これを本蛋白質および場合により防腐剤または緩衝剤が所望濃度になるに充分な量で一緒にする。本分野の通常の技術者はそのような方法の変法を認識するであろう。例えば、前記成分を添加する順、追加的添加剤を用いるか否か、当該製剤を調製する時の温度およびpHは全部が使用する濃度および投与手段毎に最適にすることができる要因である。
【0142】
この請求する製品を患者に透明な溶液としてか或は凍結乾燥させた少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている瓶とこれを再構成させる時の水性希釈剤が入っている2番目の瓶を包含する2個の瓶として供給してもよい。溶液が入っている単一の瓶または再構成が必要な2個の瓶のいずれも多数回再使用可能であり、患者の処置を1回または多数回実施するに充分であり得、従って、現在利用可能な処置療法に比べてより便利であり得る。
【0143】
透明な溶液としてか或は凍結乾燥させた少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている瓶とこれを再構成させる時の水性希釈剤が入っている2番目の瓶を包含する2個の瓶を薬局、診療所または他のそのような機関および施設に供給することを通して、この請求する製品を患者に間接的に供給してもよい。この場合の透明な溶液の大きさは1リットルまたはそれ以上の量であってもよく、大型の貯蔵槽を供給して、それから、その少なくとも1種の抗体溶液の少ない部分を取り出し、より小さい瓶に1回もしくは数回移し、そして薬局または診療所が顧客および/または患者に供給するようにしてもよい。
【0144】
単一瓶システムを包含すると認識される機器には、溶液送達用ペンインジェクター機器、例えばBD Pens,BD Autojector
(R),Humaject
(R),NovoPen
(R),B−D
(R)Pen,AutoPen
(R),and OptiPen
(R),GenotropinPen
(R),GenotronormPen
(R),Humatro Pen
(R),Reco−Pen
(R),Roferon Pen
(R),Biojector
(R),Iject
(R),J−tip Needle−Free Injector
(R),Intraject
(R),Medi−Ject
(R) など[Becton Dickensen(Franklin Lakes,NJ,www .bectondickenson.com),Disetronic(Burgdorf,Switzerland,www.disetronic.com;Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com);National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston medical.com),Medi−Ject Corp(Minneapolis,MN,
www.mediject.com)が製造または開発した如き]および同様な適切な機器が含まれる。2個の瓶システムを包含すると認識される機器には、凍結乾燥薬剤をカートリッジの中で再構成させて前記再構成させた溶液を送達するペンインジェクターシステム、例えばHumatroPen(商標)などが含まれる。他の適切な機器の例には、前以て充填されているシリンジ、オートインジェクター、針を必要としないインジェクターおよび針を必要としないIV輸液セットが含まれる。
【0145】
この請求する製品に包装用材料を含める。そのような包装用材料を用いて、規制当局が要求する情報に加えて、本製品の使用を可能にする条件を示す。本発明の包装用材料を用いて、2個の瓶の湿潤/乾燥製品の場合には少なくとも1種の抗−IL−6抗体を水性希釈剤に入れて再構成させて溶液を生じさせそしてその溶液を2−24時間またはそれ以上の時間に渡って用いることができることを示す使用説明書を患者に提供する。1個の瓶の溶液製品の場合には、ラベルを用いて、そのような溶液を2−24時間またはそれ以上の時間に渡って用いることができることを示す。この請求する製品はヒト製薬学的製品使用で用いるに有用である。
【0146】
本発明の製剤の調製は、少なくとも1種の抗−IL−6抗体と選択した緩衝液、好適には食塩または選択した塩を入れておいた燐酸塩緩衝液を混合することを含んで成る方法を用いて実施可能である。前記少なくとも1種の抗−IL−6抗体と緩衝剤を水性希釈剤に入れて混合することを通常の溶解および混合手順を用いて実施する。適切な製剤を生じさせるには、例えば測定量の少なくとも1種の抗体を水または緩衝液に入れてそれを本蛋白質および緩衝剤が所望の濃度になるに充分な量で水に入れておいた所望緩衝剤と一緒にする。本分野の通常の技術者はそのような方法の変法を認識するであろう。例えば、前記成分を添加する順、追加的添加剤を用いるか否か、当該製剤を調製する時の温度およびpHは全部が使用する濃度および投与手段毎に最適にすることができる要因である。
【0147】
請求する安定もしくは防腐処理製剤を患者に透明な溶液としてか或は凍結乾燥させた少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている瓶とこれを再構成させる時の防腐剤または緩衝剤と賦形剤(水性希釈剤に入っている)が入っている2番目の瓶を包含する2個の瓶として供給してもよい。溶液が入っている単一の瓶または再構成が必要な2個の瓶のいずれも多数回再使用可能であり、患者の処置を1回または多数回実施するに充分であり得、従って、現在利用可能な処置療法に比べてより便利であり得る。
【0148】
本抗−IL−6抗体を安定にする他の調製または方法を用いると、結果として、本抗体を含有する凍結乾燥粉末の透明な溶液以外の液が生じる可能性もある。透明ではない溶液は、とりわけ、粒子状懸濁物が入っている製剤であり、前記粒子は寸法がいろいろな構造を有する抗−IL−6抗体が入っている組成物であり、それは微小球、微小粒子、ナノ粒子、ナノ球またはリポソームとしていろいろ公知である。そのような活性薬剤が入っている相対的に均一で本質的に球形の粒子状製剤の調製は、米国特許第4,589,330号に教示されているように、その活性薬剤が入っている水相と重合体と非水性相を接触させた後に前記非水性相を蒸発させて前記水相の粒子を合体させることで実施可能である。多孔質微小粒子の調製は、米国特許第4,818,542号に教示されているように、活性薬剤が入っている1番目の相と連続溶媒の中に分散している重合体を用いそしてその懸濁液から前記溶媒を凍結乾燥または希釈−抽出−沈澱などで除去することで実施可能である。そのような調製に好適な重合体は、ゼラチン、寒天、澱粉、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド−L(−)ラクチドポリ(エプシロン−カプロラクトン、ポリ(エプシロン−カプロラクトン−コ−乳酸)、ポリ(エプシロン−カプロラクトン−コ−グリコール酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレン、ポリ(アルキル−2−シアノアクリレート)、ポリ(メタアクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2−ヒドロキシエチルDL−アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L−フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6−ジイソシアナトヘキサン)およびポリ(メタアクリル酸メチル)から成る群から選択した天然もしくは合成共重合体もしくは重合体である。特に好適な重合体はポリエステル、例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド−L(−)ラクチドポリ(エプシロン−カプロラクトン、ポリ(エプシロン−カプロラクトン−コ−乳酸)およびポリ(エプシロン−カプロラクトン−コ−グリコール酸などである。そのような重合体および/または活性剤を溶解させるに有用な溶媒には、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼンまたはヘキサフルオロアセトンセスキ水化物が含まれる。活性剤含有相を2番目の相を用いて分散させる方法は、前記1番目の相をノズルの中のオリフィスに通して圧力で押し出すことで液滴を生じさせることを包含し得る。
【0149】
凍結乾燥以外の方法、例えば噴霧乾燥または蒸発による溶媒抽出または結晶性組成物を沈澱させた後に水性もしくは非水性溶媒を除去する段階を1つ以上設ける方法などを用いて乾燥粉末製剤を生じさせることも可能である。噴霧乾燥抗体製剤の調製が米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体が基になった乾燥粉末組成物の調製は当該抗
体と場合により賦形剤が溶媒に入っている溶液またはスラリーに噴霧乾燥を呼吸性乾燥粉末が生じる条件下で受けさせることで実施可能である。溶媒には、乾燥で容易に除去することができる極性化合物、例えば水およびエタノールなどが含まれ得る。その噴霧乾燥手順を酸素の存在無し、例えば窒素ブランケット下で実施するか或は窒素を乾燥用ガスとして用いることで抗体の安定性を向上させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、WO 9916419に教示されているように、多数の穴開き微小構造物を典型的にはヒドロフルオロアルカン噴射剤が入っている懸濁用媒体に入れて分散させることで生じさせた分散液である。その安定な分散液を定量投与吸入装置を用いて患者の肺に投与してもよい。噴霧乾燥薬剤の商業的製造で用いるに有用な装置をBuchi Ltd.またはNiro Corp.が製造している。
【0150】
本発明に従い、本明細書に記述する少なくとも1種の抗−IL−6抗体を安定または防腐処理製剤または溶液の状態で多様な送達方法を用いて患者に投与してもよく、そのような送達方法には、本技術分野で良く知られているように、SCもしくはIM注入、経皮、肺、経粘膜、移植、浸透圧ポンプ、カートリッジ、ミクロポンプまたは本分野の技術者が理解するであろう他の手段が含まれる。
【0151】
治療用途
本発明は、また、本発明の少なくとも1種のIL−6抗体を用いて細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連疾患を本技術分野で公知のようにしてか或は本明細書に記述するようにして調節または処置する、例えば前記細胞、組織、器官、動物または患者にIL−6抗体を治療的に有効な量で投与または接触させることなどで調節または処置する方法も提供する。本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連疾患を調節または処置する方法も提供し、そのような疾患には、これらに限定するものでないが、肥満、免疫関連疾患、心臓血管疾患、感染病、悪性疾患または神経学的疾患の中の少なくとも1つが含まれる。
【0152】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連免疫関連疾患を調節または処置する方法も提供し、それには、これらに限定するものでないが、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性発症若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、変形性関節症、骨溶解、整形外科用インプラントの無菌性緩み、炎症性大腸炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、ループス腎炎、抗リン脂質症候群、光彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、突発性肺線維症、全身性血管炎/ヴェーゲナー肉芽種症、サルコイドーシス、精巣炎/精管切除術を戻す手術、アレルギー性疾患/アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、移植臓器拒絶、移植片対宿主病、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性菌敗血症、グラム陰性菌敗血症、培養陰性菌敗血症、真菌性敗血症、好中球減少性発熱、ウロセプシス(urosepsis)、髄膜炎菌血症、外傷/出血、火傷、電離放射線暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病変、サルコイドーシス、クローン病変、鎌状赤血球貧血、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性疾患、超過敏性反応、アレルギー性鼻炎、花粉症、通年性鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、喘息、じんま疹、全身性アナファラキス(anaphalaxis)、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、全ての臓器もしくは組織移植拒絶反応、腎臓移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植拒絶反応、小腸移植拒絶反応、胎児胸腺移植拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、全ての臓器または組織の異種移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、抗受容体過敏性反応(anti−receptor hypersensitivity reactions)、グレーブス病、レイノー病、タイプBインスリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介細胞傷害、III型超過
敏性反応、POEMS症候群[多発性神経障害、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症および皮膚変化症候群(skin changes syndrome)]、多発性神経障害、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症、皮膚変化症候群、抗リン脂質症症候群、天疱瘡、強皮症、混合結合組織病、突発性アジソン病、糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、MI心臓切開術後症候群(post−MI cardiotomy syndrome)、IV型過敏症(type IV hypersensitivity)、接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植拒絶反応、細胞内生物による肉芽腫、薬物過敏性、代謝性/突発性ウィルソン病、ヘマクロマトーシス(hemachromatosis)、アルファ−1−アンチトリプシン欠乏症、糖尿病性網膜症、橋本甲状腺炎、骨粗しょう症、視床下部・下垂体・副腎系評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性線維症、新生児慢性肺病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性ヘマトファゴシチック(hematophagocytic)リンパ組織球増多症、皮膚病変、乾癬、脱毛症、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、血液透析、尿毒症、毒性(toxicity)、子癇前症、okt3療法、抗−cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えばこれらに限定するものでないが、無力症、貧血症、悪液質などが含まれる)、慢性サリチル酸塩中毒などの中の少なくとも1つが含まれる。例えばthe Mereck Manual、12−17版、Merck & Company,Rahway,NJ(1972,1977,1982,1987,1992,1999),Pharmacotherapy Handbook,Wells 他編集、第2版、Appleton and Lange,Stamford,Conn.(1998,2000),(各々引用することによって全体が組み入れられる)を参照のこと。
【0153】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種の心臓血管病を調節または処置する方法も提供し、それには、これらに限定するものでないが、カーディアックスタン症候群(cardiac stun syndrome)、心筋梗塞、うっ血性心不全、心臓発作、虚血発作、出血、急性冠症候群、動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈再狭窄、糖尿病性動脈硬化性疾患、高血圧、動脈性高血圧、腎血管性高血圧、失神、ショック、心血管系の梅毒、心不全、肺性心、原発性肺高血圧症、心不整脈、心房異所性拍動、心房粗動、心房細動(持続性または発作性)、かん流後症候群(post perfusion syndrome)、心肺バイパス炎症反応、カオス(chaotic)または多源生心房頻拍、レギュラーナロー(regular narrow)QRS頻拍、特異(specific)不整脈、心室細動、ヒス束不整脈(His bundle arrythmias)、房室ブロック、脚ブロック、虚血性心筋疾患、冠動脈疾患、狭心症、心不全、心筋症、拡張性うっ血性心筋症、拘束型心筋症、心臓弁膜症、心内膜炎、心膜疾患、心臓腫瘍、大動脈瘤および抹消動脈瘤、大動脈解離、大動脈の炎症、腹部大動脈および分枝の閉塞、抹消血管障害、閉塞性動脈障害、抹消アテローム性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎、機能的抹消動脈障害(functional peripheral arterial disorders)、レイノー現象およびレイノー病、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、静脈疾患、静脈血栓症、静脈瘤、動静脈瘻、リンフェデルマ(lymphederma)、脂肪性浮腫、不安定狭心症、再かん流障害、ポストポンプ症候群(post pump syndrome)、虚血−再かん流障害などの中の少なくとも1つが含まれる。そのような方法に、場合により、そのような修飾、処置または治療を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有して成る組成物もしくは製薬学的組成物を有効量で投与することを含めることも可能である。
【0154】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連感染疾患を調節または処置する方法も提供し、それには、これらに限定するものでないが、急性または慢性細菌感染、急性および慢性寄生もしくは感染過程(細菌、ウイル
スおよび菌・カビ感染を包含)、HIV感染/HIV神経障害、髄膜炎、肝炎(例えばA、BまたはC型など)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、大腸菌O157:h7、溶血性尿毒症症候群/血栓性血小板減少性紫斑病、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、ハンセン病、毒素性ショック症候群、連鎖球菌筋炎、ガス壊疽、ヒト型結核菌、ヒト結核菌細胞内、ニューモシスティスカリニ肺炎、骨盤内炎症性疾患、精巣炎/エピジジミチス(epidydimitis)、レジオネラ菌、ライム病、インフルエンザ、エプスタイン・バーウイルス、ウイルス関連ヘマトファゴシチック症候群、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎などの中の少なくとも1つが含まれる。
【0155】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連悪性疾患を調節または処置する方法も提供し、それには、これらに限定するものでないが、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ性白血病、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、膵臓癌、上咽頭癌、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴症候群/悪性カルシウム血症、固形腫瘍、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭部癌、頸部癌、遺伝性非腺腫性癌、ホジキンリンパ腫、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、精巣癌、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨痛などの中の少なくとも1つが含まれる。
【0156】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連神経系疾患を調節または処置する方法も提供し、それには、これらに限定するものでないが、神経変性疾患、多発性硬化症、片頭痛、エイズによる認知症、脱髄疾患、例えば多発性硬化症および急性横断性脊髄炎;錐体外路疾患および小脳疾患、例えば皮質脊髄系の病変;基底核疾患;多動性運動障害、例えばハンチントン舞踏病および老人性舞踏病;薬剤誘発運動障害、例えばCNSドーパミン受容体を遮断する薬剤によって誘発される運動障害;運動不全疾患、例えばパーキンソン病;進行性核上性麻痺;小脳の構造的病変;脊髄小脳変性症、例えば脊髄性運動失調症、フリードライヒ失調症、小脳皮質変性症、多系統変性症(Mencel、Dejerine−Thomas、Shi−DragerおよびMachado−Joseph);全身性疾患[レフサム病、アベタリポプロテミア(abetalipoprotemia)、運動失調、毛細血管拡張症およびミトコンドリアマルチシステム疾患(mitochondrial multi−system disorder)];脱髄コア(core)疾患、例えば多発性硬化症、急性横断性脊髄炎;および運動単位疾患、例えば神経原性筋委縮症(前角細胞変性、例えば筋委縮性側索硬化症、乳児脊髄性筋委縮症および若年性脊髄性筋委縮症);アルツハイマー病、中年におけるダウン症;ディフューズレヴィー小体病(Diffuse Lewy body
disease);レヴィー小体型の老年性認知症;ウェルニッケ・コルサコフ症候群;慢性アルコール依存症;クロイツフェルト・ヤコブ病;亜急性硬化性全脳炎、ハレルフォルデン・スパッツ病;拳闘家認知症;神経外傷損傷(neurotraumatic injury)[例えば脊髄損傷、脳損傷、脳震盪、反復性脳震盪(repetitive concussion);痛覚;炎症性痛覚;自閉症;鬱病;発作;認識力障害;てんかんなどの中の少なくとも1つが含まれる。そのような方法に、場合により、そのような修飾、処置または治療を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種のTNF抗体または指定部分または変異体を含有して成る組成物もしくは製薬学的組成物を有効量で投与することを含めることも可能である。例えばthe Merck Manual、16版、Merck & Company、Rahway、NJ(1992)を参照のこと。
【0157】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種のIL−6関連創傷、外傷または組織傷害または関連慢性状態を調節または処置する方法も提供し、それには、これらに限定するものでないが、肉体的損傷または口腔外科手術[歯根膜手術、抜糸、歯内療法、歯インプラント挿入(insertion of tooth implants)、義歯の適用および使用を包含]に関連した外傷の中の少なくとも1つが含まれ、或は前記創傷は、非感染創、挫傷、切り傷、裂傷、非穿通創、開放創、穿通創、貫通創、刺創、汚染創、梗塞(infarctions)および皮下創から成る群から選択され、或は前記創傷は、虚血性潰瘍、床擦れ、瘻、ひどい噛み傷、熱傷およびドナー部位創傷(donor site wounds)から成る群から選択され、或は前記創傷は、アフタ性創傷、外傷性創傷またはヘルペス関連創傷である。
【0158】
創傷および/または潰瘍は一般に皮膚または粘膜表面から突き出ているか或は器官の中の梗塞(「脳梗塞」)の結果として見られる。創傷は軟組織欠陥または病巣または下に位置する状態の結果として生じ得る。これに関連して、用語「皮膚」は動物(ヒトを包含)の体の最外表面に関し、無傷またはほとんど無傷の皮膚ばかりでなく傷害のある皮膚表面を包含する。用語「粘膜」は、動物、例えばヒトなどの損傷を受けたか或は損傷を受けていない粘膜に関し、口、口腔、肛門、鼻、肺、目、胃腸、膣または直腸の粘膜であり得る。
【0159】
これに関連して、用語「創傷」は、組織構造の正常な一体性の崩壊を伴う体損傷を表す。この用語にまた用語「痛み」、「病巣」、「壊死」および「潰瘍」も包含させることを意図する。一般に、用語「痛み」は、皮膚または粘膜のほとんど全ての病巣に関する一般的用語であり、用語「潰瘍」は、器官または組織の表面の局所的欠陥または掘削であり、これは壊死組織の腐肉形成によって生じる。病巣は一般に全ての組織欠陥に関する。壊死は、感染、損傷、炎症または梗塞の結果としてもたらされる死亡した組織に関する。
【0160】
これに関連して用いる用語「創傷」は、全ての創傷(創傷の分類分けに関しては以下を参照)および治癒過程の所定段階[治癒が始まる前の段階または外科切開の如き特定の創傷を生じさせる前の段階(予防的処置)を包含]の創傷を示す。本発明に従って予防および/または処置することができる創傷の例は、例えば非感染創、挫傷、切り傷、裂傷、非穿通創(即ち、皮膚は崩壊していないが下に位置する構造物に損傷が存在する創傷)、開放創、穿通創、貫通創、刺創、汚染創、皮下創などである。痛みの例は、床擦れ、口内炎、クロムソア(chrome sores)、ヘルペス、褥創などである。潰瘍の例は、例えば消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、痛風性潰瘍、糖尿病性潰瘍、高血圧性虚血性潰瘍、うっ血性潰瘍、下腿潰瘍(静脈性潰瘍)、舌下潰瘍、粘膜下潰瘍、症候性潰瘍、栄養障害性潰瘍、熱帯性潰瘍およびベネラル(veneral)潰瘍、例えば淋病(尿道炎、子宮頸内膜炎および直腸炎を包含)によって生じる潰瘍などである。本発明に従って成功裏に処置することができる創傷または痛みに関する状態は、火傷、炭疽、破傷風、ガス壊疽、猩紅熱、丹毒、白癬性毛瘡、毛嚢炎、伝染性膿痂疹または水疱性伝染性膿痂疹などである。用語「創傷」と「潰瘍」および「創傷」と「痛み」の使用の間には特定の重なりがしばしば存在し、その上、これらの用語をしばしば無作為に用いる。従って、これに関連して、上述したように、用語「創傷」は用語「潰瘍」、「病巣」、「痛み」および「梗塞」を包含し、かつこれらの用語を特に明記しない限り無差別に用いる。
【0161】
本発明に従って処置する創傷の種類には、また、(i)一般的創傷、例えば手術、外傷、感染、虚血、熱、化学的および水泡性創傷など、(ii)口腔に特異的な創傷、例えば摘出後の創傷、特にシスト(cysts)および膿瘍を処置することに関連した歯内創傷、細菌、ウイルスまたは自己免疫が源の潰瘍および病巣、機械的、化学的、熱、感染および苔癬状創傷など[ヘルペス潰瘍、アフタ性口内炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎および口腔内しゃく熱症候群が具体例である]、および(iii)皮膚上の創傷、例えば腫瘍、火傷
(例えば化学的、熱)、病巣(細菌、ウイルス、自己免疫)、刺傷および外科切開なども含まれる。創傷を分類分けする別の方法は、(i)外科切開、小さな擦傷および小さな刺傷による小さな組織損失、または(ii)重大な組織損失として分類分けする方法である。後者の群には、虚血性潰瘍、床擦れ、瘻、裂傷、ひどい刺傷、熱傷および供血者部位創傷(軟および硬組織)および梗塞が含まれる。
【0162】
本発明に関連して重要な他の創傷は、虚血性潰瘍、床擦れ、瘻、ひどい刺傷、熱傷および供血者部位創傷の如き創傷である。虚血性潰瘍および床擦れは、通常は治癒が非常に遅い創傷であり、特にそのようなケースでは、その患者にとって勿論治癒過程を向上させてより速めることが非常に重要である。その上、治癒が改善されかつ治癒がより迅速に起こると、そのような創傷に苦しんでいる患者の処置に伴う費用も顕著に少なくなる。
【0163】
供血者部位創傷は、例えば体のある部分から硬組織を取り出して体の別の部分に移すこと、例えば移植に関連して移すことなどに関連して起こる創傷である。そのような手術の結果として生じる創傷は非常に痛く、従って、治癒が改善されることは非常に価値のあることである。用語「皮膚」を非常に幅広い意味で用い、これに皮膚の表皮層および皮膚の表面が多少とも損傷を受けている場合にはまた皮膚の真皮層も含まれる。皮膚の表皮層は、角質層以外に、外側(上皮)層であり、そして皮膚のより深い所の結合組織層を真皮と呼ぶ。
【0164】
本発明は、また、細胞、組織、器官、動物または患者におけるIL−6関連疾患(これらに限定するものでないが、免疫関連疾患、心臓血管疾患、感染、悪性および/または神経学的疾患の中の少なくとも1つを包含)としてこの上に挙げた他の病気の中でとりわけ変形性関節症、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、ループス腎炎、2型糖尿病および慢性閉塞性肺疾患を調節または処置する方法も提供する。前記方法に、場合により、そのような調節、処置または治療を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有して成る少なくとも1種の組成物もしくは製薬学的組成物を有効量で投与することを含めてもよい。
【0165】
本発明の方法はいずれもそのような修飾、処置または治療を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有して成る組成物もしくは製薬学的組成物を有効量で投与することを含んで成り得る。前記方法に、場合により更に、そのような病気または疾患を処置するための共投与または組み合わせ治療を含めることも可能であり、その場合、前記少なくとも1種の抗−IL−6抗体、これの特定部分または変異体の投与に、更に、少なくとも1種のTNFアンタゴニスト[例えばこれらに限定するものでないが、TNFの化学的もしくは蛋白質アンタゴニスト、TNFのモノクローナルもしくはポリクローナル抗体もしくはフラグメント、可溶TNF受容体(例えばp55、p70またはp85)またはフラグメント、それの融合ポリペプチドまたは低分子TNFアンタゴニスト、例えばTNF結合蛋白質IまたはII(TBP−1またはTBP−II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト[Enbrel(商標)]、アダリムラブ[Humira(商標)]、CDP−571、CDP−870、アフェリモマブ、レネルセプなど]、抗リウマチ剤(例えばメトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋弛緩薬、睡眠薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮痛剤、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えばアミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルロルキノロン、マクロリド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラシクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、蛋白同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養剤、甲状腺用薬剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め薬、鎮咳薬、制吐薬、抗腫瘍薬、下剤、抗凝血薬、エリスロポイエチン(例えばエポエチ
ンアルファ)、フィルグラスチム(例えばG−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF、Leukine)、予防接種、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えばバシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制因子、放射性医薬品、抗鬱薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息用薬剤、ベータ作用薬、ステロイド剤吸引、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似物、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択した少なくとも1種を前以て、同時および/または後に投与することも含める。適切な投薬は本技術分野で良く知られている。例えばWells他編集、Pharmacotherapy Handbook,第2版、Appleton and Lange,Stamford,CT(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,豪華版、Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000);Nursing 2001 Handbook of Drugs,第21版、Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001;Health Professional’s Drug Guide 2001,編集、Shannon,Wilson,Stang,Prentice−Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ.(これらの文献の各々は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0166】
本発明の組成物、組み合わせ治療、共投与、機器および/または方法(更に本発明の少なくとも1種の抗体、これの特定部分および変異体も含んで成る)に適切なTNFアンタゴニストには、これらに限定するものでないが、抗−TNF抗体(例えばこの上で定義した如き少なくとも1種のTNFアンタゴニスト)、これの抗原結合フラグメント、およびTNFと特異的に結合する受容体分子;TNF合成、TNF放出またはそれが標的細胞に対して示す作用を防止および/または抑制する化合物、例えばタリドミド、テニダップ、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えばペントキシフィリンおよびロリプラム)、A2bアデノシン受容体アゴニストおよびA2bアデノシン受容体強化薬など;TNF受容体のシグナル伝達を防止および/または抑制する化合物、例えばマイトジェン活性化蛋白質(MAP)キナーゼ阻害剤など;膜TNF開裂を阻害および/または抑制する化合物、例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤など;TNF活性を阻害および/または抑制する化合物、例えばアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えばカプトプリル)など;およびTNFの産生および/または合成を阻害および/または抑制する化合物、例えばMAPキナーゼ阻害剤などが含まれる。
【0167】
本明細書で用いる如き「腫瘍壊死因子抗体」、「TNF抗体」、「TNFα抗体」またはフラグメントなどは、TNFα活性をインビトロ、インシトゥおよび/または好適にはインビボで低下、阻害、抑制、無効または妨害する。例えば、本発明の適切なTNFヒト抗体はTNFαと結合する能力を有し、それにはTNFαと特異的に結合する抗−TNF抗体、これの抗原結合フラグメントおよび特定の変異体またはドメインが含まれる。また、適切なTNF抗体またはフラグメントもTNFのRNA、DNAまたは蛋白質の合成、TNFの放出、TNF受容体のシグナル伝達、膜TNFの開裂、TNFの活性、TNFの産生および/または合成を低下、阻害、無効、妨害、防止および/または抑制し得る。
【0168】
TNF抗体もしくはアンタゴニストの例はキメラ抗体cA2である。本発明で使用可能なモノクローナル抗−TNF抗体の追加的例は本技術分野で記述されている[例えば米国特許第5,231,024号;Moller,A他、Cytokine 2(3):162−169(1990);米国出願番号07/943,852(1992年9月11日付けで出願);Rathjen他の国際公開番号WO 91/02078(1991年2月
21日付けで公開);Rubin他のEPO特許公開番号0218868(1987年4月22日付けで公開);Yone他のEPO特許公開番号0288088(1988年10月26日);Liang,他、Biochem,Biophys.Res.Comm.137:847−854(1986);Meager,他、Hybridoma 6:305−311(1987);Fendly 他、Hybridoma 6:359−369(1987);Bringman 他、Hybridoma 6:489−507(1987);および、Hirai,他、J.Immunol.Meth.96:57−62(1987)を参照]。
【0169】
TNF受容体分子
本発明で用いるに有用な好適なTNF受容体分子は、TNFαと高い親和力で結合する分子であり[例えばFeldmann他の国際公開番号WO 92/07076(1992年4月30日付けで公開);Schall他、Cell 61:361−370(1990);およびLoetscher他、Cell 61:351−359(1990)(これらの文献は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照]、そしてそれらは場合により低い免疫原性を示す。特に、55kDa(p55TNF−R)および75kDa(p75TNF−R)のTNF細胞表面受容体が本発明で用いるに有用である。そのような受容体の切断形態[この受容体の細胞外ドメイン(ECD)を含有する]またはこれの機能的部分[例えばCorcoran他、Eur.J.Biochem.223:831−840(1994)を参照]もまた本発明で用いるに有用である。そのようなECDを含有して成る切断形態のTNF受容体が30kDaおよび40kDaのTNFα阻害結合蛋白質として尿および血清中に検出された[Engelmann,H.他、J.Biol.Chem.265:1531−1536(1990)]。TNF受容体多量体分子およびTNF免疫受容体融合分子およびこれらの誘導体およびフラグメントまたは部分が本発明の方法および組成物で用いるに有用なTNF受容体分子の追加的例である。
【0170】
本発明で用いるに有用なTNF受容体多量体分子は、1個以上のポリペプチドリンカーまたは他の非ペプチドリンカー、例えばポリエチレングリコール(PEG)などで連結している2個以上のTNF受容体のECDの全部または機能的部分を含有して成る。前記TNF免疫受容体融合分子の例はTNF受容体/IgG融合蛋白質である。TNF免疫受容体融合蛋白質およびそれの製造方法は本技術分野に記述されている[(Lesslauer 他、Eur.J.Immunol.21:2883−2886(1991);Ashkenazi 他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Peppel 他、J.Exp.Med.174:1483−1489(1991):Kolls 他、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 91:215−219(1994);Butler 他、Cytokine 6(6):616−623(1994);Baker 他、Eur.J.Immunol.24:2040−2048(1994);Beutler他の米国特許第5,447,851号および米国出願番号08/442,133(1995年5月16日付けで出願)(これらの文献は各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)]。また、免疫受容体融合分子を生じさせる方法をCapon他の米国特許第5,116,964号、Capon他の米国特許第5,225,538号およびCapon他、Nature 337:525−531(1989)(これらの文献は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)にも見ることができる。
【0171】
サイトカインには公知サイトカインのいずれも含まれる。例えばCopewithCytokines.com.を参照。サイトカインアンタゴニストには、これらに限定するものでないが、全ての抗体、フラグメントまたは模擬物、全ての可溶受容体、フラグメントまたは模擬物、全ての低分子アンタゴニストまたはこれらの任意組み合わせが含まれる
。
【0172】
治療処置
本発明の方法はいずれもIL−6媒介疾患を処置する方法を含んで成り得、この方法は、そのような修飾、処置または治療を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有して成る組成物もしくは製薬学的組成物を有効量で投与することを含んで成る。前記方法に、場合により更に、そのような病気または疾患を処置するための共投与または組み合わせ治療を含めることも可能であり、その場合、前記少なくとも1種の抗−IL−6抗体、これの特定部分または変異体の投与に、更に、抗感染薬、心臓血管(CV)系作用薬、中枢神経系(CNS)作用薬、自律神経系(ANS)作用薬、呼吸器作用薬、胃腸(GI)管作用薬、ホルモン薬、体液もしくは電解質平衡用薬剤、血液製剤、抗癌薬、免疫修飾薬、眼、耳もしくは鼻用薬剤、局所用薬剤、栄養薬など、少なくとも1種のTNFアンタゴニスト[例えばこれらに限定するものでないが、TNF抗体もしくはフラグメント、可溶TNF受容体もしくはフラグメント、それの融合ポリペプチドまたは低分子TNFアンタゴニスト]、抗リウマチ剤(例えばメトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋弛緩薬、睡眠薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮痛剤、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えばアミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルロルキノロン、マクロリド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラシクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、蛋白同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養剤、甲状腺用薬剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め薬、鎮咳薬、制吐薬、抗腫瘍薬、下剤、抗凝血薬、エリスロポイエチン(例えばエポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えばG−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF、Leukine)、予防接種、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えばバシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制因子、放射性医薬品、抗鬱薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息用薬剤、ベータ作用薬、ステロイド剤吸引、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似物、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択した少なくとも1種を前以て、同時および/または後に投与することも含める。そのような薬剤は本技術分野で良く知られており、それには本明細書に示す各々の調製、適応、投薬および投与が含まれる(例えばNursing 2001 Handbook of Drugs,第21版、Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001;Health Professional’s Drug Guide 2001,編集、Shannon,Wilson,Stang,Prentice−Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ;Pharmcotherapy Handbook,Wells 他編集、Appleton & Lange,Stamford,CT,各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられるを参照)。
【0173】
病理学的状態の処置を典型的には少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物を有効な量もしくは投薬量で投与することで実施するが、少なくとも1種の抗−IL−6抗体の総量を当該組成物に含有させる活性薬剤の比活性に応じて平均で1回投与当たり患者1キログラム当たり少なくとも約0.01から500ミリグラムの範囲、好適には1回もしくは多数回投与当たり患者1キログラム当たり少なくとも約0.1から100ミリグラムの抗体にする。別法として、有効血清中濃度が1回もしくは多数回投与当たり血清1ml当たり0.1−5000μgの濃度になるようにしてもよい。適切な投薬量は医者に公知であり、勿論、個々の病気状態、投与すべき組成物が示す比活性および処置を受けさせる個々の
患者に依存するであろう。ある場合には、必要な治療量を達成する目的で、投与を繰り返し行う必要があり得る、即ち用量を特別に監視または計量して個別の投与を繰り返し行う必要がり得るが、その場合、個々の投与を必要な1日当たりの投薬量または効果が達成されるまで繰り返す。
【0174】
好適な投薬量には、場合により、投与1回当たり約0.1−99および/または100−500mg/kgまたはこれの如何なる範囲も値も分率も含まれ得るか、或は1回もしくは多数回投与当たり血清1ml当たり約0.1−5000μg濃度の血清中濃度を達成する用量またはこれの如何なる範囲も値も分率も含まれ得る。本発明の抗−IL−6抗体に好適な投薬範囲は、患者の体重1kg当たり約1mgから約3、約6または約12mgである。
【0175】
別法として、投薬量を公知要因、例えば個々の薬剤が示す薬物動体特性、それの投与様式および経路;受益者の年齢、健康および体重;症状の性質および度合、現在受けている治療の種類、治療の頻度および必要な効果などに応じて変えることも可能である。有効成分の投薬量を通常は体重1キログラム当たり約0.1から100ミリグラムにしてもよい。必要な結果を得ようとするに有効な量は、通常、1回投与または持続放出形態において1キログラム当たり0.1から50、好適には0.1から10ミリグラムである。
【0176】
非限定例として、ヒトまたは動物の処置を本発明の少なくとも1種の抗体の1回または定期的投与として1回、輸液または繰り返し投与を用いて1−40日の中の少なくとも1日、または別法としてとしてか或は追加的に、152週の中の少なくとも1週、または別法としてとしてか或は追加的に、1−20年の中の少なくとも1年またはこれらの任意組み合わせで1日当たり約0.1から100mg/kgまたはこれのいずれかの範囲、値または分率で行ってもよい。
【0177】
体内投与に適した投薬形態物(組成物)の有効成分含有量を単位または容器当たり一般に約0.001ミリグラムから約500ミリグラムにする。そのような製薬学的組成物に存在させる有効成分の量を通常は当該組成物の総重量を基準にして約0.5−99.999重量%の量にする。
【0178】
非経口投与の場合、本抗体を溶液、懸濁液、乳液、粒子、粉末または凍結乾燥粉末として個別にか或は製薬学的に受け入れられる非経口用媒体と一緒に調製してもよい。そのような媒体の例は、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液および約1−10%のヒト血清アルブミンである。また、リポソームおよび非水性媒体、例えば不揮発性油なども使用可能である。そのような媒体または凍結乾燥粉末に等張性を維持する添加剤(例えば塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性を維持する添加剤(例えば緩衝剤および防腐剤)などを含有させてもよい。そのような製剤に滅菌を公知または適切な技術を用いて受けさせる。
【0179】
適切な製薬学的担体が本分野の標準的な文献であるRemington’s Pharmaceutical Sciences(A.Osol)の最新版に記述されている。
【0180】
代替投与
本発明に従う少なくとも1種の抗−IL−6抗体を製薬学的に有効な量で投与する目的で数多くの公知および開発された様式を本発明に従って用いることができる。以下の説明では肺投与を用いるが、他の投与様式を本発明に従って用いることでも適切な結果を得ることができる。本発明のIL−6抗体を担体に入れるか、溶液、乳液、コロイドまたは懸濁液としてか或は乾燥粉末として本技術分野の範囲内または公知の吸入またはここに記述する他の様式で投与するに適したいろいろな機器および方法のいずれかを用いて送達して
もよい。
【0181】
非経口製剤および投与
非経口投与用製剤に無菌水もしくは食塩水、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールなど、植物が源の油、水添ナフタレンなどを一般的賦形剤として含有させてもよい。注射用の水性もしくは油性懸濁液の調製は、適切な乳化剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を用いて公知方法に従って実施可能である。注射用の薬剤は、経口では投与不能な無毒の希釈剤、例えば水溶液、無菌注射可能溶液または溶媒に入っている懸濁液であってもよい。使用可能な媒体または溶媒として、水、リンゲル液、等張食塩水などが可能であり、通常の溶媒または懸濁用溶媒として無菌の非揮発性油を用いてもよい。そのような目的で全ての種類の非揮発性油および脂肪酸を用いることができ、それには天然もしくは合成もしくは半合成の脂肪油もしくは脂肪酸、天然もしくは合成もしくは半合成のモノ−もしくはジ−もしくはトリ−グリセリドが含まれる。非経口投与は本技術分野で公知であり、それには、これらに限定するものでないが、通常の注射手段、米国特許第5,851,198号に記述されている如き気体加圧の無針注射器具、および米国特許第5,839,446号(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている如きレーザー穴開け装置などが含まれる。
【0182】
代替送達
本発明は、更に、少なくとも1種の抗−IL−6抗体を非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、髄腔内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣、直腸、口腔、舌下、鼻内または経皮手段で投与することにも関する。少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物は、これを非経口(皮下、筋肉内または静脈内)または他のいずれかの投与で用いる場合には、特に液状溶液または懸濁液の形態、膣または直腸投与で用いる場合には、特に半固体形態、例えばこれらに限定するものでないが、クリームおよび座薬など形態、口腔または舌下投与の場合には、例えばこれらに限定するものでないが、錠剤またはカプセルの形態、または鼻内の場合にはこれらに限定するものでないが、粉末、鼻用液滴またはエーロゾルまたは特定の作用剤の形態、または経皮の場合には、これらに限定するものでないが、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液、またはパッチ送達系{皮膚構造を修飾するか或は経皮パッチの中の薬剤濃度を高くする化学的促進剤、例えばジメチルスルホキサイドなど(Junginger,他、In“Drug Permeation Enhancement;”Hsieh,D.S.編集、59−90頁(Marcel Dekker,Inc.New York 1994,引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を用いるか或は蛋白質およびペプチドが入っている製剤を皮膚に投与することを可能にする酸化剤(WO 98/53847)を用いるか或は一時的輸送経路を作り出す目的で電場をかける(例えばエレクトロポレーション)か或は帯電している薬剤が皮膚を通過する可動性を向上(例えばイオン導入)させるか或は超音波をかける[例えば音波導入(米国特許第4,309,989号および4,767,402号)]ことを伴わせて}などで用いるに適するように調製可能である(この上に示した出版物および特許は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)。
【0183】
肺/鼻投与
肺投与の場合、好適には、少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物を肺もしくは洞の下方気道に到達させるに有効な粒径にして送達する。本発明に従い、治療薬を吸引で投与するに適することが本技術分野で知られているいろいろな吸入もしくは鼻用器具のいずれかを用いて少なくとも1種の抗−IL−6抗体を送達することができる。エーロゾル化した製剤を患者の空洞または肺胞の中に付着させる能力を有する器具には、定量吸入器、ネブライザー、乾燥粉末発生装置、噴霧装置などが含まれる。本技術分野ではまた肺または
鼻への抗体投与を指示するに適した適切した他の器具も公知である。そのような器具では、全部で、抗体を投与する目的でエーロゾルの状態で分与するに適した製剤を用いることができる。そのようなエーロゾルを溶液(水性および非水性の両方)または固体粒子のいずれかで構成させてもよい。
【0184】
Ventolin(商標)定量吸入器の如き定量吸入器では、典型的に、噴射用ガスが用いられておりかつこれを吸入中に作動させる必要がある(例えばWO 94/16970、WO 98/35888を参照)。Inhale Therapeuticsが市販している Turbuhaler
TM(Astra),Rotahaler
(R)(Gla
xo),Diskus
(R)(Glaxo),Spiros
TMinhaler(Dura
)器具の如き乾燥粉末吸入器およびSpinhaler(商標)粉末吸入器(Fisons)では、混合粉末を息で作動させることが利用されている[(US 4668218 Astra,EP 237507 Astra,WO 97/25086 Glaxo,WO 94/08552 Dura,US 5458135 Inhale,WO 94/06498 Fisons(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)]。AERx
TMAradigm,Ultravent
(R) ネブライザー(Malli
nckrodt)およびAcorn II
(R) ネブライザー(Marquest Me
dical Products)(US 5404871 Aradigm,WO 97/22376),(前記文献は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の如きネブライザーでは、溶液からエーロゾルを生じさせるが、定量吸入器、乾燥粉末吸入器などでは小さい粒子のエーロゾルを生じさせる。そのような市販吸入器具の具体例は本発明の実施で用いるに適した具体的な器具の代表例であることを意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものでない。
【0185】
好適には、少なくとも1種の抗−IL−6抗体を含有して成る組成物を乾燥粉末吸入器または噴霧器で送達する。本発明の少なくとも1種の抗体を投与するに適した吸入器具に求められる特徴はいくつか存在する。例えば、吸入器具による送達は有利に信頼できて再現性があって正確である。そのような吸入器具を用いて場合により小さい乾燥粒子、例えば約10μm未満、好適には約1−5μmの粒子を良好な呼吸性で送達することができる。
【0186】
IL−6抗体組成物をスプレーとして投与
少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている懸濁液または溶液をノズルの中に通して加圧下で押し出すことでIL−6抗体組成物を含有するスプレーを生じさせることができる。そのノズルの大きさおよび形態、かける圧力および液体供給速度を選択することで必要な放出量および粒径を達成することができる。エレクトロスプレーを例えば電場を毛細管またはノズル供給と伴わせて用いることなどで生じさせることができる。有利には、噴霧装置を用いて送達する少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物の粒子の粒径が約10μm未満、好適には約1μmから約5μmの範囲、最も好適には約2μmから約3μmになるようにする。
【0187】
噴霧装置で用いるに適した少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物の製剤には、典型的に、少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物の濃度が溶液1ml当たり約0.1mgから約100mg(即ちmg/g)またはこれの中のいずれかの範囲、値または分率である水溶液の状態の抗体組成物が含まれる。そのような製剤に賦形剤、緩衝剤、等張剤、防腐剤、界面活性剤および好適には亜鉛などの如き作用剤を含有させることも可能である。そのような製剤に、また、本抗体組成物を安定にする賦形剤または作用剤、例えば緩衝剤、還元剤、バルク蛋白質または炭水化物などを含有させることも可能である。抗体組成物を調製する時に用いるに有用なバルク蛋白質には、アルブミン、プロタミンなどが含まれる。抗体組成物を調製する時に用いるに有用な典型的な炭水化物には、スクロース、マン
ニトール、ラクトース、トレハロース、グルコースなどが含まれる。本抗体組成物製剤に、また、エーロゾルを生じさせる時に溶液を噴霧することに伴って抗体組成物が表面で誘発されて凝集する度合を軽減または防止し得る界面活性剤を含有させることも可能である。いろいろな通常の界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどを用いることができる。量を一般的に当該製剤の0.001から14重量%の範囲内にする。本発明の目的に特に好適な界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20などである。また、蛋白質、例えばIL−6抗体または特定部分または変異体などの調製に適することが本技術分野で知られている追加的作用剤を本製剤に含有させることも可能である。
【0188】
ネブライザーによるIL−6抗体組成物の投与
本発明の抗体組成物の投与をネブライザー、例えばジェットネブライザーまたは超音波ネブライザーなどを用いて実施することも可能である。ジェットネブライザーの場合、典型的に、オリフィスを通る高速空気ジェットを生じさせる目的で圧縮空気源を用いる。そのガスが前記ノズルを出て膨張する時に低圧領域が作り出され、それによって、抗体組成物の溶液が液体貯蔵槽と連結している毛細管の中に吸い込まれる。その毛細管から出た液体流れが前記管を出る時にせん断を受けて不安定なフィラメントおよび液滴になることでエーロゾルが作り出される。所定のジェットネブライザーを用いて所望の性能特徴を達成しようとする時にある範囲の形態、流量およびバッフルの種類を用いることができる。超音波ネブライザーの場合には、高周波数の電気エネルギーを用いて振動する機械的エネルギーを作り出すが、典型的には圧電変換器を用いる。そのエネルギーを本抗体組成物の製剤に直接にか或はカップリング流体を通して伝達することで、本抗体組成物を含有するエーロゾルを生じさせる。有利には、ネブライザーで送達する抗体組成物の粒子の粒径が約10μm未満、好適には約1μmから約5μmの範囲、最も好適には約2μmから約3μmになるようにする。
【0189】
ネブライザー(ジェットまたは超音波のいずれか)と一緒に用いるに適した少なくとも1種の抗−IL−6抗体製剤に含有させる少なくとも1種の抗−IL−6抗体蛋白質の濃度を典型的に溶液1ml当たり約0.1mgから約100mgにする。その製剤に賦形剤、緩衝剤、等張剤、防腐剤、界面活性剤および好適には亜鉛などの如き作用剤を含有させることも可能である。そのような製剤に、また、本少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物を安定にする賦形剤または作用剤、例えば緩衝剤、還元剤、バルク蛋白質または炭水化物などを含有させることも可能である。少なくとも1種の抗−IL−6抗体を調製する時に用いるに有用なバルク蛋白質には、アルブミン、プロタミンなどが含まれる。少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物を調製する時に用いるに有用な典型的な炭水化物には、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコースなどが含まれる。本少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物製剤に、また、エーロゾルを生じさせる時に溶液を噴霧することに伴って少なくとも1種の抗−IL−6抗体が表面で誘発されて凝集する度合を軽減または防止し得る界面活性剤を含有させることも可能である。いろいろな通常の界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどを用いることができる。量を一般的に当該製剤の0.001から14重量%の範囲内にする。本発明の目的に特に好適な界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ポリソルベート20などである。また、蛋白質、例えば抗体蛋白質などの調製に適することが本技術分野で知られている追加的作用剤を本製剤に含有させることも可能である。
【0190】
定量吸入器によるIL−6抗体組成物の投与
定量吸入器(MDI)では、噴射剤、少なくとも1種の抗−IL−6および任意の賦形剤または他の添加剤を液化圧縮ガス含有混合物として容器の中に入れる。定量弁を作動さ
せることで前記混合物をエーロゾル、好適には大きさの範囲が約10μm未満、好適には約1μmから5μm、最も好適には約2μmから約3μmの粒子を含有するエーロゾルとして放出させる。本分野の技術者に知られているいろいろな方法を用いて生じさせた抗体組成物製剤を用いることで必要なエーロゾル粒径を得ることができるが、そのような方法には、ジェットミリング、噴霧乾燥、臨界点凝縮などが含まれる。好適な定量吸入器には、3MまたはGlaxoが製造している吸入器が含まれ、それらにはヒドロフルオロカーボン噴射剤が用いられている。定量吸入器で用いるに適した少なくとも1種の抗−IL−6抗体製剤に、一般に、少なくとも1種の抗−IL−6抗体が非水性媒体に入っている懸濁液、例えば界面活性剤を用いて噴射剤の中に懸濁させた懸濁液として少なくとも1種の抗−IL−6抗体が入っている微細粉末を含有させる。そのような噴射剤はそのような目的で用いられる通常の材料、例えばクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボンまたは炭化水素などのいずれであってもよく、それにはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン、HFA−134a(ヒドロフルオロアルカン−134a)、HFA−227(ヒドロフルオロアルカン−227)などが含まれる。そのような噴射剤は好適にはヒドロフルオロカーボンである。少なくとも1種の抗−IL−6抗体をこれが噴射剤に入っている懸濁液として安定にすること、活性薬剤が化学的劣化に対して抵抗するように保護することなどをもたらす界面活性剤を選択することができる。適切な界面活性剤には、ソルビタントリオレエート、大豆レシチン、オレイン酸などが含まれる。ある場合には、溶媒、例えばエタノールなどを用いた溶液のエーロゾルが好適である。また、蛋白質調製技術で公知の追加的作用剤を本製剤に含有させることも可能である。本分野の通常の技術者は、少なくとも1種の抗−IL−6抗体組成物を本明細書に記述しなかった器具を用いて肺投与することで本発明の方法を達成することも可能であることを認識するであろう。
【0191】
経口製剤および投与
経口投与用製剤は、アジュバント(例えばレゾルシノールおよび非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテル)を一緒に投与して腸壁透過性を人工的に向上させることばかりでなく酵素阻害剤(例えば膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFF)およびトラシロール)を一緒に投与することで酵素の劣化を抑制することに頼っている。親水性薬剤(蛋白質および抗体、および経口、口腔、粘膜、鼻、肺、膣膜貫通または直腸投与を意図する場合の少なくとも2種類の界面活性剤の組み合わせを包含)を送達するための製剤が米国特許第6,309,663号に教示されている。経口投与用の固体型投薬形態物の有効成分化合物を少なくとも1種の添加剤と混合してもよく、そのような添加剤には、スクロース、ラクトース、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、澱粉、寒天、アルギン酸塩、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成もしくは半合成重合体およびグリセリドが含まれる。そのような投薬形態物にまた他の種類の添加剤、例えば不活性な希釈剤、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど、パラベン、防腐剤、例えばソルビン酸、アスコルビン酸、アルファ−トコフェロールなど、抗酸化剤、例えばシステインなど、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、風味剤、芳香剤などを含有させることも可能である。
【0192】
錠剤およびピルにさらなる処理を受けさせることで腸溶性膜被覆製剤にすることも可能である。経口投与用液状製剤には、医学用途に受け入れられる乳液、シロップ、エリキシル、懸濁液および溶液製剤が含まれる。そのような製剤に前記分野で通常用いられる不活性な希釈剤、例えば水などを含有させることも可能である。また、インスリンおよびヘパリン用の薬剤送達系としてリポソームも記述された(米国特許第4,239,754号)。より最近になって、薬剤を送達する目的で混合アミノ酸の人工重合体の微小球(プロテ
イノイド)が用いられた(米国特許第4,925,673号)。更に、米国特許第5,879,681号および米国特許第5,871,753号に記述されている担体化合物を生物学的活性薬剤を経口送達する目的で用いることも本技術分野で公知である。
【0193】
粘膜用製剤および投与
生物活性薬剤を経口投与する目的でミクロカプセルがもたらされるように1種以上の生体適合性重合体もしくは共重合体賦形剤、好適には生分解性重合体もしくは共重合体の中に封じ込めておいた製剤を用いると、その結果としてもたらされるミクロカプセルは大きさが適切なことから、結果として、その薬剤が集合リンパ小節(他に、動物の「Peyerパッチ」または「GALT」としても知られる)に到達してそれによって吸収されることから、その薬剤が胃腸管を通ることによって起こる効果損失が起こらない。同様な集合リンパ小節が気管支(BALT)および大腸にも存在し得る。この上に記述した組織は一般に粘膜関連リンパ細網組織(MALT)と呼ばれる。粘膜表面を貫通する吸収を起こさせるには、少なくとも1種の抗−IL−6抗体を投与する組成物および方法に、多数のサブミクロン粒子、粘膜接着性高分子、生物学的活性を示すペプチドおよび水性連続相を含有して成る乳液(乳液粒子の粘膜接着を達成することで粘膜表面を貫通する吸収を助長する)を含める(米国特許第5,514,670号)。本発明の乳液を付着させるに適した粘膜表面には、角質、結膜、口腔、舌下、鼻、膣、肺、胃、腸および直腸経路の投与が含まれ得る。膣もしくは直腸投与用製剤、例えば座薬などの場合、これに例えばポリアルキレングリコール、ワセリン、ココアバターなどを賦形剤として含有させてもよい。鼻内投与用製剤は固体であってもよく、これに例えばラクトースを賦形剤として含有させてもよいか、或はそれは鼻液滴の水性もしくは油性溶液であってもよい。口腔投与の場合の賦形剤には、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、前以てゼラチン状にしておいた澱粉などが含まれる(米国特許第5,849,695号)。
【0194】
経皮製剤および投与
経皮投与の場合には、少なくとも1種の抗−IL−6抗体を送達用デバイス、例えばリポソームまたは重合体ナノ粒子、微小粒子、ミクロカプセルまたは微小球(特に明記しない限り、集合的に微小粒子と呼ぶ)の中に封じ込める。適切なデバイスが数多く公知であり、それには合成重合体、例えばポリヒドロキシ酸、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸およびこれらの共重合体、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリホスファゼンなど、および天然重合体、例えばコラーゲン、ポリアミノ酸、アルブミンおよび他の蛋白質、アルギネートおよび他の多糖などおよびこれらの組み合わせで出来ている微小粒子が含まれる(米国特許第5,814,599号)。
【0195】
長期投与および製剤
本発明の化合物を被験体に1回の投与で長期間、例えば1週間から1年間に渡って送達するのが望ましい可能性がある。いろいろな徐放、持続性薬剤または移植投薬形態物を利用することができる。例えば、投薬形態物に体液中の溶解度が低い当該化合物の製薬学的に受け入れられる無毒塩、例えば(a)多塩基酸、例えば燐酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノ−もしくはジ−スルホン酸、ポリガラクツロン酸などを用いた酸付加塩、(b)多価金属カチオン、例えば亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどとの塩または例えばN,N’−ジベンジルエチレンジアミンまたはエチレンジアミンなどを用いて生じさせた有機カチオンとの塩、または(c)(a)と(b)の組み合わせ、例えばタンニン酸亜鉛塩などを含有させてもよい。加うるに、本発明の化合物または好適には相対的に不溶な塩、例えばこの直ぐ上に記述した塩などを注射に適するゲル、例えばモノステアリン酸アルミニウムゲルの状態に例えばゴマ油などを用いて調製することも可能である。特に好適な塩は亜鉛塩、タンニン酸亜鉛塩、パモ酸塩などである。他の種類の注射用徐放持続性製剤に、分散させた化合物または塩を含有さ
せ、それを米国特許第3,773,919号に記述されているように劣化速度が遅い無毒の非抗原性重合体、例えばポリ乳酸/ポリグリコール酸重合体などの中に封じ込めてもよい。そのような化合物または好適には相対的に不溶な塩、例えばこの上に記述した塩などをまたコレステロールマトリクスシラスティックペレット、特に動物に用いるに適したペレットの状態に調製することも可能である。追加的徐放性、持続性もしくは移植製剤、例えば気体または液体状のリポソームなども文献(米国特許第5,770,222号および“Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems”,J.R.Robinson 編集、Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,1978)で公知である。
【0196】
本発明を一般的に記述してきたが、例示として示すものでありかつ限定として解釈されるべきではない以下の実施例を参照することで前記がより容易に理解されるであろう。
【0197】
適応症
関節リウマチ(RA)
関節リウマチ(RA)は、自己免疫特徴を伴う慢性全身性炎症疾患である。RAの特徴の多くは無調節なIL−6の作用によるものであると説明可能である。
【0198】
RAに関連している可能性のあるIL−6の作用には、B細胞分化因子としてIL−6が示す作用によるポリクローナル高ガンマグロブリン血および自己抗体産生(リウマトイド因子)の誘発;IL−2に呼応して起こる細胞障害T細胞発生の増進;肝細胞刺激活性による急性期蛋白質(CRP、SAA、フィブリノーゲン)の産生;破骨細胞活性化による関節周囲骨粗しょう症および骨破壊;巨核球分化因子としての作用によるトロンボサイトーシスの誘発;およびVEGFの調節、従ってIL−1βおよびTNFαに呼応して起こり得る血管形成が含まれる。
【0199】
IL−6はTNFαもしくはIL−1で刺激されたRA滑膜性線維芽細胞によって産生され、RAでは、滑膜液(SF)および血清の両方の中に高濃度で存在する。血清中濃度と臨床/実験室疾患活動指数の間に相関関係が存在する。
【0200】
抗−IL−6/IL−6R mAbに活動性RAにかかっている患者に数種の臨床試験を実施することによる試験を受けさせた。今日までに得た結果を以下に簡単に記述する。
【0201】
フェーズI/II試験
この試験の1番目として、マウス抗−IL−6 mAb(BE−8)をRAにかかっている5人の患者に連続10日間に渡って毎日投与し、そして一時的な臨床および実験室改善度合と関連付けた(9)(Wendling,D他、1993 J.Rheumatol.20:259)。RAにかかっている患者にヒト化抗−IL−6R(80kDa)mAb(MRA;Chugai)を用いた試験をいくつかのフェーズI/II試験で受けさせた。これらの中の1番目としてMRAを1週間に1回または2回の割合で1−50mgの用量でIV注入することで投与し、週に50mgの維持処置を6カ月に及んで実施した。その結果として急性期測定値、C−反応性蛋白質(CRP)およびフィブリノーゲンが急速に減少し、かつ熱、疲れおよび臨床スコア、例えば朝の硬直および膨れおよび関節圧痛カウント数などは低い度合であった。また、貧血、トロンボサイトーシスおよび高ガンマグロブリン血が改善されたことも注目した。次の試験では、45人の患者にMRAを0.1−10mg/kgの用量で1回IV注入することによる処置を受けさせ、その結果として、用量濃度を高くすると臨床スコアが改善する傾向があることに加えて急性期反応物質が減少した。
【0202】
フェーズII試験
この試験の1番目として、15人の患者にMRAを用いた処置(24週間に渡って2週間毎に2、4または8mg/kgの投薬濃度)を受けさせた結果、24週間で15人中13人にACR20反応が現れ、CRP/血清アミロイドA(SAA)は正常であった。重要な急性安全懸念は全く存在しなかったが、患者の2/3は顕著なLDLコレステロール濃度上昇を示した。第二フェーズII試験では、DMARD耐性RAにかかっている164人の患者にプラセボまたはMRAを用いた処置をIV注入(3カ月に渡って4週間毎に4または8mg/kgの投薬濃度)で受けさせた結果、12週の時に示したACR20反応率はプラセボ、4および8mg/kgの場合それぞれ11%、57%および78%であった。最後に、活動性RAにかかっている359人の患者にMTX単独(10−25mg/週)、MRA単独(IV注入で毎月2、4または8mg/kgの投薬濃度)またはMTXとMRAを投与した。ACR20反応で測定した時にMRAおよびMRA+MTXの方がMTX単独よりも有効であった。
【0203】
全身性エリトマトーデス(SLE)
SLEは、多様な症状を伴う慢性の潜在的に致命的な自己免疫病である。その病因は未知である。この病気の1つの特質は、B細胞の過増殖、活性化および多様な自己抗原に対して起こる自己抗体の産生を伴う。
【0204】
IL−6は、B細胞の分化を誘発することで抗体産生細胞を生じさせる。SLEでは、自己抗体(ANA、抗−dsDNA)産生細胞による前記抗体の産生および免疫複合体の沈着量が増加する。IL−6は、細胞障害T細胞発生を助長し、肝急性期反応物質、メサンギウム細胞増殖、ケラチノサイト増殖、巨核球分化および血栓形成を増加させる。
【0205】
SLE患者およびマウスSLEモデルの両方ともIL−6濃度が高い。IL−6受容体がB細胞に結合するとB細胞が自己抗体産生細胞になる最終的分化が誘発されることが立証された。
【0206】
Linker−Israeli 他、(Linker−Israeli M 他、1991 J Immunol 147:117−123)は、IL−6に対する中和抗体を用いると自然発生的ポリクローナル抗体産生が減少することを示した。Kitani他(Kitani A,他、1992 Clin Exp Immunol 88:75−83)は、SLE培養物中のIL−6のインビトロT細胞産生量が2倍になることとSLEのB細胞がIL−6を産生する量は対照のB細胞が産生する量の5倍であることを立証することで前記発見を裏付けた。しかしながら、SLEにおける自己抗体の病的産生がIL−6の効果のみに限定されることはない。また、IL−6受容体が果たす役割も研究された。Nagafuchi他は、IL−6受容体がSLEのB細胞の大部分を正常なB細胞と比べて上方調節することを示した。抗−IL−6受容体抗体はそのようなB細胞が抗体産生細胞になる最終的分化を阻害した。そのような可溶IL−6受容体がSLEで果たす役割はまだ確認されていない。
【0207】
2型糖尿病(T2DM)
インスリン耐性(インスリン作用不全)およびβ細胞機能不全(膵臓β細胞によるインスリン分泌の機能的欠乏)がT2DM発症の主原因であると見なされている。インスリン耐性は、抹消組織がインスリンチャレンジに充分な反応を示さないことで血糖値が高くなるとして明らかになる。病気の初期段階でインスリン耐性および血糖値が高くなることに続いて膵臓のβ細胞が補足的にインスリンを過剰に分泌する。T2DMが進行するにつれて、β細胞がインスリンを分泌する能力が悪化する。
【0208】
インスリン耐性発症の一因となる基礎的機構は不明である。T2DMの発症に最も一般的に関連した1つの状態は肥満であり、T2DMにかかっている患者では減量を適度に行
ったとしても血糖値が有意に高い。
【0209】
肥満およびインスリン耐性/高インスリン血の両方に加えて脂質異常症、耐糖能異常および高血圧はメタボリック症候群と呼ばれる状態を特徴付けるものである。メタボリック症候群からT2DMに自然に進行した人は微細および巨視的血管変化を起こし易く、それによって心臓血管(CV)病にかかりそして最終的に死亡する可能性がある。肥満、インスリン耐性および高インスリン血がT2DMとCV病の間を関連付けている可能性が最も高いと示唆されている。
【0210】
脂肪組織は、代謝を調節する主要な器官の中の1つであると識別されており、それは、インスリン感受性調節に関与する数多くの分子を分泌するエネルギー貯蔵場所および内分泌器官の両方である。レプチン、レシスチン、アジポネクチンおよびTNFαに加えて、脂肪組織もIL−6を分泌し、このことが肥満と炎症とT2DMと心臓血管(CV)病の間の関連に相当すると示唆されている。
【0211】
脂肪過多症とIL−6濃度の間に積極的な相互関係が存在することが示された。肥満状態の時に脂肪組織が増加すると循環しているIL−6の増加が維持される可能性があり、それによって、インスリン反応性組織における炎症が助長されることでインスリン感受性が低下するか或はインスリンシグナル伝達カスケードに関係する蛋白質の活性および発現が妨害されることでインスリン耐性が起こる可能性がある。IL−6がインスリン耐性発症である役割を果たしている可能性を裏付けるか或は否定するインビトロおよびインビボ両方のデータが存在する。
【0212】
肝臓(HepG2)(44)、脂肪(3T3L1)または単離ラット膵島細胞を包含する充分に定義された細胞系を用いたインビトロデータは、IL−6がインスリンシグナル伝達、糖吸収およびインスリン分泌のそれぞれに対して直接的な否定的影響を与えることを示している。他方、骨格筋生検を用いて実施された実験で得られたデータは、運動している筋肉ではIL−6が糖吸収度合を向上させ得ることを示唆している。
【0213】
IL−6濃度とインスリン感受性の間の関連に関するインビボデータも同様に混在している。IL−6過剰発現もしくは完全切除モデルは、IL−6活性を完全に抑制しても有益な効果は得られない可能性があることを示唆している。例えば、肥満ではない遺伝子導入糖尿病(NOD)マウスでは、ヒトIL−6が過剰発現することで糖尿病の発症が遅れかつ寿命が伸びる。加うるに、IL−6がゼロのマウスを用いたデータは、IL−6がエネルギー均衡調節である役割を果たしている可能性があることを示唆している、と言うのは、そのような動物は遅発性肥満を発症しかつ血糖値がより高いからである。
【0214】
ヒトでは、IL−6プロモーター領域内に自然に起こる変異が存在するとIL−6分泌率が高くなる。そのような変異はインスリン感受性の増大および低下の両方に関係している。
【0215】
別の組の実験で外因性IL−6の効果を評価した。正常な被験体では、IL−6を投与すると血漿中インスリン濃度に影響が生じることなく血糖値が高くなるが、癌患者では、IL−6を加えると糖処理度合が高くなった。加うるに、IL−6濃度とインスリン耐性の間の相互関係も試験した。そのような試験で得たデータは、男性および女性の両方とも循環しているIL−6濃度が高くなることとインスリン耐性が高いことが相互に関係していたが、原因と影響の関係は測定すべき状態のままであることを示している。
【0216】
肥満に関連したインスリン耐性の発症でIL−6がある重要な役割を果たしていることが分かった。しかしながら、それがインスリン耐性である役割を果たしている可能性を裏
付けするか或は否定する両方の相反するインビトロおよびインビボデータが存在する。
【0217】
変形性関節症(OA)
OAは、関節軟骨が失われることに関連して軟骨下骨が変化することで特徴づけられる慢性の変性関節疾患である。関節鏡検査または滑膜生検片でいろいろな炎症度合が観察されるが、その病気は主に炎症ではない。むしろ、軟骨細胞および/または骨芽細胞代謝が変化することに由来すると考えられている。TNF、IL−1およびIL−6がそのような変化に最も強力に関連しているサイトカインである。
【0218】
OAにかかっている患者から得た骨膜液の中にIL−6が検出されるが、その濃度は炎症性関節症で見られる濃度より実質的に低い(Bertazzolo,N.他 1994
Agents and Actions 41:90−92)。
【0219】
IL−6は、肝急性期蛋白質合成の主要な刺激因子であると認識されており、そしてCRPの濃度と膝にOAが存在することが関連しており、CRPと肥満の間に関連があることが知られていることを考慮に入れたとしても関連している(Mohtai,M.他、1996 J Orthopedic Research 14:67−73)。
【0220】
IL−6はOAの軟骨に由来する軟骨細胞の中では発現するが、正常な軟骨では発現しない(Sowers,M.他、2002 Osteoarthritis and Cartilage 10:595−601)。機械的応力が軟骨細胞によるサイトカイン発現に対して示す影響をインビトロで試験する実験において、体液によって誘発されたせん断応力によってIL−6mRNAおよび蛋白質が顕著に上方調節された。このことは、OAの軟骨にIL−6が発現するのは機械的付加の結果によるものである可能性があることを示唆している。IL−6はまたIL−1が軟骨細胞に対して示す作用に反応することでも産生され得る(Dozin,B.他、2002 Matrix Biology 21:449−459)。
【0221】
ヒト関節軟骨細胞を生体外で培養することによる他の実験において、IL−6がsIL−6と一緒になってプロテオグリカン合成の抑制をもたらしたが、そのような影響はIL−1に比べて控えめであった(Guerne,P.他、1999 Matrix Biology 18:253−260)。
【0222】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDは、気道狭窄が完全には可逆的ではないことで特徴づけられる病気状態である。気道狭窄は一般に進行性でありかつ肺が毒性粒子および気体に対して異常な免疫反応を示すことに関連している(Pauwels RA 他、2001 Am.J.Respir Crit Care Med 163:1256−1276)。
COPDは、加齢に伴って見られる正常な肺機能低下が加速することで特徴づけられる。気道狭窄がゆっくりと進行すると身体障害そして早期死亡がもたらされる。COPDは死亡および身体障害の主要な原因ではあるが、細胞および分子の観点から広範な研究が成されたのはほんの最近である(Barnes P.J.他、2003 Eur Respir J 22:672−688)。
COPDでは、抹消気道が一定して狭くなりかつ肺胞崩壊(肺気腫)をもたらす慢性的炎症が存在する。その炎症反応は、肺胞マクロファージ、好中球および細胞障害Tリンパ球の数が増加しかつ複数の炎症性メディエータ(ケモカイン、サイトカイン、成長因子および脂質)が放出されることで特徴づけられる。酸化応力のレベルが高いことで炎症度合が高くなり得る。また、エラスチン分解度合が高くなりかつ数種のエラスチン分解酵素が関与する証拠も存在する。COPDにおける炎症および蛋白分解はタバコの煙に対する正常な炎症反応が高くなることで起こる。喘息とは対照的に、炎症はコルチコステロイドに耐
性があると思われる(Barnes P.J.他、2003)。
【0223】
動物モデルにおいて、細菌のエンドトキシンまたはリポ多糖(LPS)およびタバコの煙にさらされることによって好中球増加が誘発されかつ気管支肺胞洗浄(BAL)液の中に存在するIL−6産生量が増加する。(Underwood D.C.他、2000 AJPLCMP 279:L895−902)。マウス肺の中でIL−6の過剰発現が起こると肺気腫が誘発される(Kuhn III Ch.他、2000 AJRCMB 22:289−295)。ヒトでは、1秒間努力呼気容量(FEV1)とBALの中のIL−6、IL−8濃度および多核白血球数は逆の関係にある(Soler N.他、1999 Eur Respir J 14:1015−1022)。中程度からひどいCOPDにかかっている被験体では血漿中のTNFα、IL−6およびCRP濃度が高い(Yasuda N.他、1998 Respir Med 92:993−999)。
【0224】
COPDの急性増悪期は、患者の状態が安定な状態から正常な日毎の変化を超えて持続的に悪化するとして定義され、それは発症時に急性であることから標準的医療で変化させる必要がある(Burge S.他、2003 Eur Respir J 21:Suppl.41,46s−53s)。肺機能の症状が増大しかつ悪化することが入院(米国では毎年約500,000人)する共通した原因であるが、基礎を成す細胞および分子的機構は幅広くは調査されておらずかつ理解度も劣っている(Wedzicha,J.A.2002 Chest 121:136S−141S)。急性増悪期は長期に渡ることで生活の質に顕著な影響が生じかつCOPDの進行が加速する可能性がある(Soto F.J.他、2003 Pulm Med 9:117−124)。呼吸器感染がCOPD増悪の最も一般的な原因である。そのような感染は大部分が細菌によって引き起こされるが、それらの多くはウイルス感染、特にレトロウイルス感染によるものである(Soto
F.J.他、2003)。また、環境の要因、空気汚染および温度がある役割を果たしている可能性もある。
【0225】
COPDにかかっている患者では、増悪期中に好中球が増加しかつ唾液の中に存在するIL−6、IL−8、TNFαおよびLTB4の濃度が増大する。中程度からひどいCOPDにかかっているある患者は頻繁に増悪期になる傾向がある(1年当たり3回以上の増悪期)。このような群の患者(「増悪期の頻度が高い」)では、COPDが安定している時でさえ、IL−6の濃度がより高くかつ分泌白血球蛋白分解酵素阻害因子の濃度が低い(Bhowmik A.他、2000 Thorax 55:114−120;Gompertz S.他、2001 Thorax 56:36−41;Gompertz S.他、2001 Eur Respir J 17:1112−1119)。
【0226】
他の数多くの機構、例えば酸化応力および細菌のコロニー化なども同様にCOPD増悪期の病生理学に関係していると思われている。
【実施例4】
【0250】
抗−IL−6抗体のインビトロ特徴付け
抗−IL−6抗体の配列、エピトープ特異性、親和力および生物学的活性を特徴付けるインビトロ試験を実施した。
【0251】
ヒト改変mAb
配列分析を用いて、本発明の抗−IL−6抗体(いろいろな変異体/クローンとして具体化した)が完全にヒトのフレームワークを含有することを立証する。表5aは、本発明の抗−IL−6抗体(本抗体のいろいろな変異体)ではCDR1、2および3の重鎖および軽鎖の両方ともキメラ抗−IL−6抗体(PCT WO 04/039826に記述されている)に比べて全体で10個のアミノ酸残基が変化したことを示している。
【0252】
エピトープ特異性
本発明の抗−IL−6抗体およびキメラ抗−IL−6抗体はヒトIL−6上の同様なエピトープを認識する。これらの抗体はR&D Systems #MAB−206の商業的マウス抗−ヒトIL−6 mAbとは競合せず、このことは、それらは前記R&Dの抗−IL−6 mAbが認識するエピトープとはユニークに異なるエピトープを認識することを示唆している。本発明の抗−IL−6抗体およびキメラ抗−IL−6抗体はR&Dのラット抗−ヒトIL−6 mAbとは競合しない。
【0253】
プレートに結合させておいた抗−IL−6 mAb[マウス抗−ヒトIL−6 mAb、即ちMAB−206(これを単にヒトIL−6を捕捉するプレート結合mAbとして用いた)](10μg/ml)を用いてヒトIL−6(200ng/ml)を捕捉させた後、前記プレートに本発明の抗−IL−6抗体およびキメラ抗−IL−6抗体の一連の希釈液を加えた(X軸に沿って示すように)。IL−6との結合度合がOD
490がY軸に沿って高くなるとして測定した。本発明の抗−IL−6抗体およびキメラ抗−IL−6抗体の両方ともがIL−6との結合を用量依存様式で示す。
【0254】
逆に、本発明の抗−IL−6抗体およびキメラ抗−IL−6抗体はヒトIL−6に対して競合的結合を示し、このことは、その2種類の分子がIL−6上の同様な結合エピトープを共有することを示唆している。プレートに結合させておいたMAB−206(10μg/ml)を用いてヒトIL−6(200ng/ml)を捕捉させた。次に、前記プレートにX軸に沿って示す如き本発明の抗−IL−6抗体の一連の希釈液およびビオチニル化キメラ抗−IL−6抗体を50ng/ml加えた。ビオチニル化キメラ抗−IL−6抗体とIL−6の結合をストレプトアビジン−HRPで検出して、Y軸に沿ったOD
490読み取り値として測定した。
【0255】
その上、本ヒト改変抗体およびキメラ抗体はsIL−6/sIL−6R複合体に対する結合に関して同様な特性を示す(
図1)。本発明の抗−IL−6抗体はsIL−6/sIL−6R複合体と結合する。前記プレートに可溶IL−6受容体(sIL−6R)による被覆を濃度が10μg/mlになるように受けさせた。次に、前記プレートにヒトIL−6を200ng/mlの濃度で加えた。次に、前記プレートにX軸に沿って示す如き本発明の抗−IL−6抗体またはキメラ抗−IL−6抗体の一連の希釈液を加えた後、IL−6/sIL−6R複合体との結合をHRP−抗−ヒトIgGを用いて検出して、Y軸に沿ったOD
490読み取り値として測定した。
【0256】
この上で見いだしたことを更に立証する目的で、7TD1(IL−6依存マウスハイブリドーマ細胞株)の細胞が基になった増殖検定を用いて、いろいろな種のIFNγ刺激PBMCおよびLPSを用いて生じさせたIL−6含有条件付き上澄み液を用いて異種間反応性試験を実施した。いろいろな霊長類種(ヒト、マーモセット、カニクイザル、チンパンジー、赤毛猿、バブーン、ブタオザルおよびコットントップモンキーを包含)に由来する7TD1細胞増殖の刺激で前記条件付き上澄み液が示す活性を本発明のヒト改変抗体が中和することが分かり、かつ前記キメラ抗体と比べて同様な異種反応パターンを示した(表8)。
【0257】
最後に、トリプシン消化方法を用いてエピトープマッピングを実施した時、本ヒト改変抗体およびキメラ抗体がヒトIL−6に対して示す結合エピトープは同じであることを観察し、そしてそれはHelix D貫通アミノ酸残基168−184上に位置する(
図3)。最近の変異分析により、本発明の抗体がIL−6と結合するには残基179および182が必須であることが分かった。そのエピトープ(アミノ酸残基168−184)はヒト改変抗−IL−6抗体の存在下で重水素を保持するIL−6表面であると同定した。
【0258】
生物学的活性
ヒト改変抗−IL−6抗体が示すIL−6中和効力の測定を7TD1細胞が基になったバイオアッセイで実施した。ヒト改変抗−IL−6抗体が7TD1細胞増殖検定で示した中和効力はキメラ抗−IL−6抗体が示したそれに比べて10倍高かった。7TD1細胞にhIL−6を500pg/ml用いた刺激を一連の希釈したヒト改変抗−IL−6抗体またはキメラ抗−IL−6抗体またはアイソタイプ対照mAbの存在下で72時間受けさせた。細胞増殖を1秒当たりのカウント数として測定し、それはY軸に示す如くであった。誤差棒グラフは重複したサンプルのSDを示している。黒丸はIL−6を用いなかった細胞を示し、白丸は、hIL−6を500pg/ml用いた刺激を受けさせた細胞を示す。
【0259】
ヒト改変抗−IL−6抗体はまたU937細胞によるIL−6誘発単球走化性蛋白質−1(MCP−1)産生(
図3)およびHepG2ヒトヘパトーマ細胞によるIL−6/IL−1β誘発血清アミロイドA(SAA)産生(
図4)も抑制する。
図3は、ヒト改変抗−IL−6抗体がU937細胞によるIL−6刺激MCP−1分泌を抑制することを示している。穴1個当たり5x10
5個の細胞にhIL−6を1ng/mlおよびヒト改変抗
−IL−6抗体の一連の希釈液を用いた処置を72時間受けさせた。細胞培養物の上澄み液にELISAによる分析をMCP−1の存在に関して三重に受けさせた。
【0260】
図4は、ヒト改変抗−IL−6抗体がHepG2細胞によるIL−6およびIL−1β刺激SAA分泌を抑制することを示している。2.25x10
5個の細胞にhIL−6を100ng/ml、sIL−6Rを200ng/mlおよびIL−1βを1ng/ml用いた刺激をヒト改変抗−IL−6抗体の一連の希釈液の存在下で24時間受けさせた。次に、細胞培養物の上澄み液にELISAによる分析をSAAの存在に関して二重に受けさせた。
【0261】
IL−6依存Stat3燐酸化
ヒト改変抗−IL−6抗体がIL−6がIL−6Rおよびgp130と結合する結果としてもたらされるシグナル伝達カスケードを阻害する能力を評価する目的で免疫沈澱検定を実施することで、gp130を細胞表面に発現するTHP−1細胞におけるIL−6依存STAT3燐酸化に対する効果を試験した。
【0262】
mAbに無菌濾過による濾過殺菌を受けさせた後、PBSに入れて4℃で貯蔵した。R&D Systems(Minneapolis、MN)の組換え型ヒトIL−6(206−IL−010)およびsIL−6R(227−SR−025)を用いた。RPMI培地(11875−085)、熱不活化ウシ胎仔血清(16000−069)、L−グルタミン(25030−81)、非必須アミノ酸(11140−050)およびピルビン酸ナトリウム(11360−070)をInvitrogen(Carlsbad、CA)から入手した。また、TBS(10mMのTris、pH7.5、100mMのNaCl)も用いた。
【0263】
研究細胞銀行から受け取ったTHP−1、即ちヒト急性単球性白血病細胞株に試験を受けさせた結果、マイコプラズマ陰性で細菌も存在していなかった。前記細胞をウシ胎仔血清を10%とグルタミンを2mMとピルビン酸ナトリウムを1mM含有させておいたRPMI培地に入れて培養した。培養物が約85%の密集度に到達した時点で細胞を二次培養するか或は収穫した。細胞を常規通り3日毎に1:5に分割した。
【0264】
チロシン燐酸化では、細胞をT−225フラスコの中で密集度が80−90%になるまで増殖させた。その培地を除去した後、血清が入っていない新鮮な培地を代わりに入れて、一晩インキュベートした。血清を欠乏させた後の細胞を各フラスコから収穫し、沈澱させた後、各条件毎に最終濃度が20x10
6個の細胞を血清を含有しない0.5mlの培地に入れて再懸濁させた。
【0265】
RhIL−6(0.1μg/ml)を下記の反応体と一緒に37℃で15分間予備培養した:0.5mlの培養単独、抗−IL−6 Ab(10μg/ml)およびsIL−6R(0.2μg/ml)。次に、抗−IL−6 AbおよびsIL−6Rのそれぞれと一緒に予備培養しておいた細胞にSIL−6R(0.2μg/ml)および抗−IL−6 Ab(10μg/ml)を加えて37℃で15分間培養した。次に、その細胞を負対照としての培地およびIL−6/Ab/sIL−6R複合体と一緒にした後、37℃で6分間インキュベートした。その細胞を氷冷TBSで2回洗浄した後、細胞沈澱物をセクション5.4に記述する如く処理するか或は−70℃で貯蔵した。
【0266】
免疫沈澱では、細胞沈澱物を完全プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(1697498、Roche、Basel、スイス)を入れておいた1mlの溶解用緩衝液(50 mM Tris,pH7.5,300mM NaCl,0.5% Triton−X−100)(T−9284,Sigma,St.Louis,MO)に入れて溶解させた。その細胞
を30秒間渦巻き撹拌した後、−70℃で20−60分間インキュベートした。細胞の屑を13,000rpmの遠心分離で20分かけて除去した。非特異的背景染色の度合を低下させる目的で、そのサンプルを2μgのウサギIgG(I5006、Sigma、St.Louis、MO)と50μlの蛋白質Aアガロース(SC−2001、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)と一緒にしてオービタルミキサー上で4℃で1時間インキュベートすることで前以て奇麗にしておいた。そのアガロースビードを2500rpmの遠心分離で5分かけて除去した。その奇麗にした溶解産物をミクロ遠心分離管に移し、抗−STAT3(2μg/ml)(SC−7179、Santa Cruz Biotechnology)と一緒にしてオービタルミキサー上で4℃で一晩インキュベートした後、蛋白質Aアガロースビードを50μ加えて、オービタル振とう機上で4℃で2時間インキュベートした。そのアガロースビードを2500rpmの遠心分離で5分かけて集めた後、4℃の氷冷TBSで5回洗浄した。次に、そのアガロースビードを40μlのLaemmliサンプル緩衝液とDTT(NP0007−465030、Invitrogen、Carlsbad、CA)に入れて懸濁させた後、95℃に5分間加熱した。
【0267】
そのサンプルを3−8%のNuPage Bis−Trisゲル(EA0375BOX、Invitrogen、Carlsbad、CA)上に置いて緩衝液(NP0002−465026、Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて100Vで1時間流すことで分離させた。トランスファー緩衝液(NP0006−465029、Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて蛋白質をニトロセルロース膜(LC2001、Invitrogen、Carlsbad、CA)に30Vで1時間かけて移した。その膜をTBS−T中10%の無脂肪乾燥乳(Nestle、Glendale、カリフォルニア)に入れて4℃で一晩ブロッキングを実施した。室温のTBS−Tを用いた洗浄を数回受けさせた後の膜をマウスモノクローナル抗−p−STAT3 Ab(SC−8059、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)(TBS−Tで1:1000に希釈しておいた)と一緒にしてオービタル振とう機上で4℃で4時間インキュベートした。次に、洗浄を数回受けさせた後の膜をロバ抗−マウスIgG−HRP(1:1000)(SC−2318、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)と一緒にしてオービタルミキサー上で室温で2時間インキュベートした。洗浄を数回受けさせた後のサンプルにECLplus Western Blot Detection Reagentsおよび分析用キット(RPN2108、Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)を製造業者のプロトコルに従って用いることによる検定を受けさせた後、ECLフィルムに暴露させることで可視化した。次に、その膜を100mMのDTT、2%のSDS、62.5%mMのTris−HCl(pH6.7)に浸漬して100℃で30分間撹拌することでAbを除去した。次に、その膜をTBS−Tで洗浄した後、それに10%の無脂肪乾燥乳を用いたブロッキングを一晩受けさせた。その膜を洗浄した後、抗−STAT3(1:1000)(SC−7179、Santa Cruz Biotechnology)と一緒にTBS−Tに入れて4℃で2時間インキュベートし、5回洗浄した後、ヤギ−抗−ウサギIgG−HRP(1:1000)(SC2030、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)と一緒にして1時間インキュベートし、そしてECLplusを用いた検出を実施した。あらゆる膜にストリッピングを常規通り受けさせた後、STAT3を用いた再検査を受けさせることでSTAT3蛋白質の存在を立証した。
【0268】
この結果により、ヒト改変抗−IL−6抗体がIL−6媒介stat3燐酸化、即ちIL−6シグナル伝達経路の鍵となる成分を阻害することが分かった(
図5Aおよび5B)。ヒト改変抗−IL−6抗体ヒト改変抗−IL−6抗体(AME−19A)はIL−6/sIL−6R誘発stat3燐酸化を抑制する。組換え型ヒトIL−6/sIL−6R誘
発stat3燐酸化をTHP−1細胞内で検出した(
図5B)。ヒト改変抗−IL−6抗体(AME−19A)またはキメラ抗−IL−6抗体を10μg/ml添加するとstat3燐酸化が完全に抑制された(
図5B)。
図5Aは、いろいろなヒト改変抗−IL−6クローンに相当するあらゆるサンプル中に存在する燐酸化されていないstat3蛋白質の量が同様であることを示している。本明細書で用いる如きCNTO328(または328)はキメラ、ヒト−マウス抗体[また野生型(WT)とも呼ぶ]を表し、150はクローンAME−22aを表し、143はクローンAME−23aを表し、140はクローンAME−20bを表し、136はクローンAME−19aを表し、130はクローンAME−18aを表し、106はクローンAME−A16を表し、104はクローンAME−A9を表す。
【0269】
ヒト改変抗−IL−6抗体がインビボで示す効力
ヒト改変抗−IL−6抗体が示す効力を異なる2種類のインビボモデルで評価した。1番目として、ヒト改変およびキメラ抗−IL−6抗体が示す効果をマウスを用いたヒトIL−6誘発マトリゲル血管形成検定で試験して比較した。200ng/mlのヒトIL−6をマトリゲルプラグに入れた。2個のマトリゲルプラグを各ヌードマウスに注入した。マウスが6匹のグループにヒト改変もしくはキメラ抗−IL−6抗体を1、3または6mg/kg i.v.注射することで与えた。また、対照グループにはPBSまたはアイソタイプ対照mAbを投与した。プラグを7日目に取り出した後、そのプラグ中のヘモグロビン含有量、微小血管の長さおよび微小血管の数を用いて血管形成を測定した。マトリゲルプラグモデルを用いて3パラメーター全部で測定した時の結果はヒトIL−6(PBSグループ)が血管形成を刺激することを示していた。
【0270】
ヒト改変抗−IL−6抗体(AME−19A)はマトリゲルプラグ中の微小血管平均数を抑制する。加うるに、ヒト改変抗−IL−6抗体(AME−19A)はマトリゲルプラグ中の微小血管の平均長も抑制する。また、ヒト改変抗−IL−6抗体(AME−19A)はマトリゲルプラグ中のヘモグロビン濃度も抑制する。
【0271】
加うるに、ヒト改変(AME−19A)およびキメラ抗−IL−6抗体は両方ともヌードマウスにおけるIL−6媒介血管形成を依存様式で抑制した。最後に、ヒト改変およびキメラ抗−IL−6抗体が試験を実施した最も高い用量である6mg/kgの時にIL−6誘発血管形成で示した活性は匹敵していた。キメラ抗−IL−6抗体は3mg/kgの時に血管長および血管数で測定してヒトIL−6誘発血管形成を有意に抑制したが、そのような用量の時には、ヒト改変およびキメラ抗−IL−6抗体の間に検出された差は統計学的に有意ではなかった。
【0272】
ヒト改変抗−IL−6抗体がヒトIL−6誘発急性期反応物質である血清アミロイド蛋白質A(SAA)の産生に対して示す効果を更に評価する目的でBalb/Cマウスを用いた追加的インビボモデルを開発した。マウスにヒトIL−6を5μg/kgの量でi.v.投与する4時間前にヒト改変抗−IL−6抗体を0.01、0.5また5mg/kgの量でi.p.投与することで与えた(
図6)。PBSおよびアイソタイプ対照mAbを対照として用いた。IL−6を注入してから16時間後に血清中SAA濃度を測定した。ヒト改変およびキメラ抗−IL−6抗体は両方ともがBalb/CマウスにおけるヒトIL−6誘発SAA産生を0.5および5mg/kgの時に有意に抑制し、かつヒト改変抗−IL−6抗体は最も低い試験用量の時にもSAA産生を有意に抑制した。しかしながら、この試験した3用量全部においてヒト改変およびキメラ抗−IL−6抗体の間に観察した差は統計学的に有意ではなかった(
図6)。
【0273】
図6は、ヒト改変抗−IL−6抗体がヒトIL−6誘発SAA産生を抑制することを示している。各点は、各動物毎の平均SAA値を示し、そして線は各グループの中のあらゆ
るデータ点の平均を示している。対様式の比較を実施し、そしてTukeyの95%同時信頼間隔を用いて全体的第1種の過誤を制御した(**p<0.001、*p<0.05)。
【実施例5】
【0274】
抗−IL−6 mAbに関する治療原理
関節リウマチ。抗−IL−6 mAbがコラーゲン誘発関節炎(CIA)に対して示す効果−関節リウマチの動物モデル
臨床前インビボ病気モデル
いろいろなインビボモデルでIL−6を標的にした。ラット抗−マウスIL−6抗体を標準的マウスモデルで用いるか或はヒト化抗−IL−6R(80kDa)mAb(MRA;Chugai)を霊長類モデルおよびヒト/マウスSCIDモデルで用いた。マウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)において、抗−IL−6を後期時間点ではない早期(コラーゲンで免疫性を与えてから0または3日後)に用いると病気の予防に有効であった。ヒト滑膜組織を免疫不全マウスに移植したヒト/マウスSCID移植モデルでは、MRAの処置によって組織移植片が収縮しかつ炎症性細胞および破骨細胞が減少した。カニクイザルにおけるCIAでは、MRAが関節炎の発症を抑制しかつ急性期測定値を改善した。
【0275】
代理抗−マウスIL−6 mAbが病気の発症に対して示す効果をCIAモデルで評価した。その結果は、病気誘発前に抗−マウスIL−6を1mg/マウス/週でi.p.投与すると病気のひどさが顕著に軽減することで示されるようにコラーゲン誘発関節炎の発症が有意に抑制されたことを示している。100μgのウシII型コラーゲンをフロインド完全アジュバント(FCA)に入れて8週齢のDBA/1 LacJマウスの尾の基部に皮内注入することで関節炎を誘発した。マウスを病気の発症に関して毎日臨床的に監視した。CIAを誘発する2日前に抗−IL−6 mAbまたはアイソタイプ対照mAbを1mg/マウスの量でi.p.投与した後、毎週投与した。関節の膨れ、紅斑および変形を基にして関節炎スコアを決定した。
【0276】
組織病理学データを用いて、抗−マウスIL−6 mAbを毎週i.p.注入するとコラーゲン誘発関節炎のパラメーターが有意に向上すると言った臨床的観察を立証した。マウスを抗−マウスIL−6で処置すると、対照mAbで処置した動物に比べて、検査した関節炎パラメーター[炎症反応(滑膜炎およびパンヌス形成)および侵食性変化(侵食および全体的関節構造)を包含]の全部が有意に改善した。抗−IL−6 mAbは組織病理学的レベルで関節炎を抑制した。滑膜炎のスコアを滑膜の厚みを基にして付け、パンヌス形成のスコアを関節空間に対するパンヌスの度合を基にして付け、そして侵食のスコアを軟骨および軟骨下骨への侵食度合を基にして付けた。
【0277】
マウスを抗−マウスIL−6 mAbで処置すると軟骨マトリクス蛋白質損失の度合が有意に低下した。抗−IL−6 mAbで処置した動物および対照から試験終了(53日)時に得た代表的な関節部分をトルイジンブルー染色で軟骨マトリクスに関して検査した。
【0278】
ミクロ−CT分析により、抗−マウスIL−6治療の効果が個々の関節の中の病気進行のレベルで現れると言った臨床的観察が裏付けされた。典型的な3D CT画像を目で検査した結果、抗−マウスIL−6で処置した動物から得た関節で起こっていた軟組織炎症変化は主に穏やかであることに対比してアイソタイプ対照mAbで処置したグループでは侵食変化の度合が顕著であることが分かる。これらの実験を対照mAbで処置した代表的な動物および抗−マウスIL−6 mAbで処置した動物に関して実施した。
【0279】
ループス。抗−IL−6がNZB/W F1マウスで示す効果
臨床前インビボ病気モデル
SLE用のマウスモデルが存在し、それらはヒト病気と非常に類似している。MRL/lprおよびNZB/W F1株を用いた試験でB細胞の過剰増殖、自己抗体の産生および免疫複合体の沈着がヒトの病気に非常に類似していることを立証した。抗−IL−6 mAbはNZB/W F1マウスにおける自己抗体産生の抑制、タンパク尿の減少および動物生存率の改善に効果があることが分かった。
【0280】
代理抗−マウスIL−6 mAbがループス病発症に対して示す効果をNZB/W F1マウスを用いて評価した。予備結果は、抗−マウスIL−6 mAbを1mg/マウス/週の量で22週に渡ってi.p.投与すると抗−dsDNA自己抗体、即ちこの病気モデルにおける主要な病原性自己抗体の産生が抑制させることを示していた(
図7)。抗−IL−6 mAbで処置した動物の場合の抗−dsDNA自己抗体濃度は食塩水で処置した動物および対照Abで処置した動物の場合のそれに比べて試験全体に渡って一定して低かった。
【0281】
この上で考察したように、
図7は、NZB/W F1マウスにおける抗−dsDNA自己抗体の産生を抗−IL−6 mAbが抑制することを示している。各サンプル毎の個々のO.D.値を正対照血清に対して正規化し、それを正対照に対する%として示した。各点は各サンプルが正対照に対して示した%を示しており、そして線は、各グループにおけるデータ点全部の平均を示している。差は*p<0.01として示されるように有意である。
【0282】
加うるに、小さなサブセットの動物に試験を受けさせた時、抗−IL−6 mAbはB細胞の増殖も抑制しかつ腎臓障害も軽減した。試験終了時におけるT細胞増殖にはいろいろな処置群の間に有意な差は存在していなかったが、抗−IL−6 mAbで処置した動物では、食塩水で処置したマウスのそれに比べて、抗−IgGおよび抗−CD40で誘発させたB細胞増殖が経時的、具体的には34週後に低くなった。このような結果は、この上に報告したように抗−dsDNA自己抗体の産生が減少することと一致しており、自己反応性B細胞が抗−IL−6 mAb処置の主要な直接的標的になる可能性があることを示唆している。
【0283】
組織病理学的分析により、この試験を受けさせた動物を3つの腎疾患ひどさグループ(穏やか、中程度およびひどい)に分類分けすることができることが分かった(表9)。NZB/W F1マウスにおける腎疾患病理学は、糸球体基底膜の中に混合型リンパ過形成と免疫複合体沈着が存在することを示している。
【0284】
抗−IL−6 mAbで処置した動物では、ひどい腎疾患を発症する度合が低かった。抗−IL−6 mAbで処置した動物には血管周囲の混合型リンパ過形成と蛋白質沈着が存在しなかったが、食塩水で処置した動物および対照Abで処置した動物では、抹消血管周囲の混合型リンパ過形成と蛋白質沈着が中程度およびひどく生じた。その上、糸球体基底膜の中で起こる免疫複合体の沈着も抗−IL−6 mAbで処置した動物の方が他の2処置グループが示したそれよりも穏やかであった。抗−IL−6 mAbがB、Tおよびマクロファージ細胞の機能に対して示す作用の機構のさらなる詳細な分析を実施した、と言うのは、そのような細胞はSLEの病因で重要な役割を果たすからである。
【0285】
2型糖尿病
IL−6は肥満に関連したインスリン耐性の発症で重要な役割を果たすことが示されている。しかしながら、今日までに得られたインビトロおよびインビボデータは、それがインスリン耐性である役割を果たす可能性の裏付けおよび否定の両方である。
【0286】
インビトロ実験
IL−6がインスリンシグナル伝達およびインスリンの生物学的効果および機能、例えば糖吸収、遺伝子調節および関連機構などに対して果たしている可能性のある効果をより良好に理解するための実験をインスリン反応性組織のインビトロモデル(脂肪組織に関しては3T3 L1細胞、肝細胞に関してはHepG2細胞、骨格筋に関してはC2C12細胞)およびインスリン耐性およびT2DMのインビボモデル、例えばdb/dbマウスなどを用いて実施した。
【0287】
インビトロデータは、IL−6が肝臓におけるインスリンシグナル伝達に対して主要な効果を及ぼすことを示唆している。HepG2細胞をIL−6で処置するとインスリン誘発Akt燐酸化が抑制される。このようにIL−6がインスリンシグナル伝達に対して示す阻害効果は抗−IL−6抗体によって遮断される。肝臓における糖代謝およびインスリン効果が変化することがインスリン耐性およびT2Dの発症を推進する原因であると思われる。IL−6が3T3 L1細胞(脂肪細胞株)およびC2C12(骨格筋細胞株)におけるインスリンシグナル伝達に対して示す効果を測定することでIL−6がT2Dで示す機構を確認する。
【0288】
3T3 L1
3T3 L1マウス脂肪細胞株を用いて実験を実施した。90%分化した3T3 L1細胞を用いて、IL−6がインスリン誘発糖吸収に対して示す効果を評価した。この実験において、TNFαを10ng/ml用いた処置を24時間行うとインスリン誘発糖吸収が一定して抑制される一方、IL−6を20ng/ml用いても全く影響がなかった。このようなデータは、IL−6が脂肪組織に対して示す活性は主にIL−6媒介インスリン耐性機構ではなく、むしろ、脂肪組織がIL−6の主要源である可能性があり、それが次に肝臓および筋肉におけるインスリン感受性を妨害していることを示唆している。皮下沈着物に由来する分化した初代ヒト脂肪細胞を用いることでも同じデータが得られた。内蔵脂肪沈着物に由来するヒト初代脂肪細胞を用いてIL−6が糖吸収に対して示す効果を試験した、と言うのは、そのような沈着物はインスリン耐性に関連した肥満に対してより高い関連を示す可能性があるからである。
【0289】
HepG2
肝臓組織のインビトロ代表例としてHepG2細胞を選択した。HepG2細胞はヒトヘパトーマ細胞株であり、この細胞株を用いることでIL−6がインスリンシグナル伝達に対して効果があることが以前に分かっていた。この実験では、IL−6を20ng/ml用いるとインスリン誘発Akt燐酸化、インスリンシグナル伝達経路における重要なキナーゼが阻害され、60分間のインキュベーション後に最大の効果が観察され、このことは、科学文献に報告された結果と一致している。
【0290】
rh IL−6(20ng/ml)を30、60、90および120分間インキュベーションした後に、10cmの皿に入っている密集未満のHepG2細胞を用いてAkt燐酸化を測定した。最後の5分間のインキュベーション中にインスリンを0.5nM、1nMおよび5nM添加することでAkt燐酸化を誘発した。修飾RIPA溶解用緩衝液を用いて細胞を溶解させた後、Ser−Phospho−Akt ELISAを用いてAkt燐酸化を測定した。pAktおよびAkt ELISAキット(BioSource)を用いて結果を得た。IL−6を用いた処置を生理学的濃度(0.5−1nM)のインスリンの存在下で60分間実施すると、Akt燐酸化が対照グループに比較して〜50%抑制された。Pierce BCA蛋白質検定キットを用いて蛋白質の濃度を量化した。
【0291】
IL−6抗体の効果
IL−6がインスリン誘発Akt燐酸化に対して示す影響をヒト改変抗−IL−6抗体
が抑制する能力を測定した。ヒト改変抗−IL−6抗体を20μg/ml用いるとHepG2細胞におけるIL−6の影響が抑制され得る。
図8Aおよび8Bに、IL−6がヒト改変抗−IL−6抗体の存在有り無しでインスリン誘発Akt燐酸化に対して示した影響を示す。
【0292】
上部の画像(
図8A)におけるデータは平均±SEMを示す[*(+)インスリン、IL−6と比較した有意さ、P=0.029;**(+)インスリン+IL−6と比較した有意さ、P=0.02]。密集未満のHepG2細胞を20ng/mlのIL−6で60分間処置した。最後の5分間の処置中にインスリンを1nM添加しそして修飾RIPA緩衝液を用いて細胞を溶解させた。サンプルをELISAで分析した結果、AktのSer
473の所に燐酸化が検出された。あらゆるデータをELISAで測定した全Aktに対して正規化した。AME−19aによる処置によって正常なAktシグナル伝達を回復させることができた。
【0293】
下部の画像(
図8B)に代表的なウエスタンブロットを示す。上部の帯には、IL−6(20ng/ml、60分、1nMのインスリンを用いて5分間)、AME−19a(20ug/ml±20ng/mlのIL−6で60分間、1nMのインスリンを用いて5分間)または緩衝液を用いて処置したサンプルが含まれている。ブロットを抗−ホスホSer/Akt抗体(上方のパネル)(pS473、Biosource)で検査した。下方の帯(同じブロットにストリッピングを受けさせた後、BioSourceの抗−Aktを用いて再び検査した)は、レーン毎に相当する蛋白質が充填されたことを示している。
【0294】
方法:
HEPG2細胞を100mmの組織培養皿の中で密集するまで増殖させた。細胞をDMEM−1%BSAに入れて一晩絶食状態にした。AME−19a(20ug/ml)を細胞上でIL−6添加に先立って〜30分間インキュベートした。IL−6(20ng/ml)±AME−19a(20ug/ml)を細胞に添加する前に〜30分間インキュベートした。サンプルを細胞上で37℃において60分間インキュベートした後、細胞に1nMのインスリン(最終濃度)を加えて室温に5分間置いた。細胞を直ちに氷冷PBSで3回濯ぐことで洗浄した。プレートを溶解まで凍結させておいた。ELISAキット(BioSource and Sigma)を用いてホスホAktおよび全Aktを測定した。文献:JJ Senn、PJ Kover、IA NowakおよびRA Mooney。インターロイキン6は肝細胞における細胞インスリン耐性を誘発する。Diabetes、51:3391−3399、2002。
【0295】
初代ラット肝細胞
初代肝細胞は、IL−6および抗−IL−6抗体(または他のIL−6アンタゴニスト)がインスリンシグナル伝達に対して示す効果およびインスリンが肝臓糖産生に対して示す効果を試験する時に用いるに適したより関連のあるインビトロシステムに相当する。インスリン、IL−6および/またはIL−6 mAbで処置したラット肝細胞におけるPI3キナーゼ(PI3K)活性化を測定する目的で単離細胞にインスリンによる処置を5ng/mlのIL−6の存在有り無しで受けさせた後、ELISA検定およびウエスタンブロット分析を用いて、インスリン受容体であるIRS−1(
図12A)およびAkt(
図12B)の燐酸化を測定した。加うるに、IL−6がインスリン刺激IRS1/p85結合に対して示す効果も検査した(
図11AおよびB)。これらの実験を下記の如く実施した。
【0296】
初代ラット肝細胞(〜2カ月齢)をコラーゲンで被覆しておいた6穴プレートに入れ、Hepatoczyme培地の中で一晩かけて平衡状態にした。次の日、細胞をDMEM−1%BSA−penn strepに入れて6時間絶食状態にした後、hIL−6(5
ng/ml)、抗−IL−6抗体(AME−19a)(20ng/ml)または抗−IL−6抗体(AME−19a)+hIL−6と一緒にして37℃で90分間インキュベートした。その組み合わせを添加するに先立って予め細胞を抗−IL−6抗体(AME−19a)で1時間処置しておいた。また、その組み合わせを細胞に添加する前にも予備インキュベーションを実施した。5nMのインスリン(BioSourceの)を細胞に加えて5分間置いた後、細胞を吸引で取り出し、そして直ちにBioSource抽出用緩衝液+蛋白分解酵素阻害剤を用いて溶解させた。溶解物を遠心分離にかけた後、その上澄み液を1:10に希釈しそしてELISA(Biosourceの)で試験した。
【0297】
IRS1/p85関連:
等しい量の蛋白質(45μg)を2μgの抗−IRS−1ポリクローナル抗体(Upstateの品目#06−248)と一緒に一晩インキュベートした。次に、そのサンプルに蛋白質Aビードを用いた免疫沈澱を1時間受けさせた後、SDS−PAGE用3xサンプル緩衝液で溶離させた。次に、そのIPサンプルを4−12%のSDS−Pageゲルの上に置いて流した後、ウエスタンブロット分析用の膜に移した。その膜を(1)IRS−1関連p85、即ち活性PI3Kに関しては希釈率が1:100のp85 mAb(Upstateの品目#05−217)(
図11Aに示す如く)および(2)充填対照としての全IRS−1に関しては希釈率が1:600のIRS−1 mAb(BD Biosciencesの品目#611395)を用いて検査した(
図11Bに示す如く)。
【0298】
このデータは、IL−6で処置するとIR、IRS−1およびAktのインスリン誘発燐酸化の度合が低下することを示している。細胞を抗−IL−6抗体(クローンAME−19a)で前以て処置しておくとそのようなIL−6の効果が無効になった。加うるに、IL−6はインスリンに誘発されるp85(PI3Kのサブユニット)とIRS−1の関連を抑制した。再び、抗−IL−6抗体で前以て処置しておくとそのようなIL−6の効果が抑制された。
【0299】
インビボ実験
IL−6がインスリン感受性に対して示す効果を動物で広範に試験することは成されていなかった。抗−IL−6治療によってインスリン感受性およびT2DMが改善するか否かを評価する目的で、脂肪量が多い餌を与えておいたdb/dbマウスおよびC57/B16のオスを市販の抗−マウスIL−6抗体(R&D Systemsから得た)で処置した。
【0300】
db/dbマウス
抗IL−6処置の効果をいろいろな年齢のdb/dbマウスを用いて試験した。年齢が8−10週の範囲のマウスは高インスリン血およびインスリン耐性で特徴づけられ、従って、病気の早期段階に相当する一方、年齢が12−14週のマウスは高インスリン血に加えて血糖値が高いことで特徴づけられ、従って、T2DMの段階が進行したことに相当していた。両方の年齢グループのマウスを腹腔内耐糖能試験(ipGTT)で用いることで、抗−IL−6治療によってインスリン感受性および血糖コントロールが改善される可能性を試験した。
【0301】
db/dbマウスは、レプチン受容体内に変異を有することでレプチンシグナル伝達の機能を持たない。そのようなマウスはマウスの年齢に伴って肥満、高インスリン血およびインスリン耐性を発症し、そのマウスが6−8週齢になった時点で最初の症状が検出される。8および12週齢の年齢がいろいろなマウスの2グループに抗IL−6 mAbを5mg/kgを用いた処置を受けさせた後、処置してから1日目および7日目に腹腔内耐糖能試験(ipGTT)を実施した。処置計画を
図15に示す。
【0302】
8週齢の動物では、GTT中に抗IL−6 mAbで処置しても糖クリアランスに対して効果がなかった。抗IL−6 mAbで処置すると12週齢の動物では耐糖能(GT)の改善がもたらされたが、その効果は統計学的には有意でなかった(p=0.063)。そのようなGTTの改善は処置してから7日目に見られた。加うるに、試験を完了する前および完了した後の血清サンプルにアジポカインおよびアジポネクチンプロファイルに関する分析を受けさせた。IL−6、TNFαおよびMCP−1の濃度は検出濃度未満であった。このデータをipGTTで得た結果と一緒にすることで下記が示唆され得る:db/db動物は抗IL−6がインスリン耐性に対して示す効果を試験する時の良好なモデルではないこと、そして組織中のIL−6濃度の方がIL−6がインスリン耐性およびT2DMの発症で果たす可能性のある役割により関係があること。
【0303】
食餌誘発肥満(DIO)−肥満およびインスリン耐性の動物モデル
C57/B1オスマウスに脂肪含有量が60%の食餌を20−35週間与えた。それらは肥満を発症し(平均体重は50.5グラムであった)そして空腹時血糖値が高くなった(FBG>145mg/dl)。加うるに、それらはGTが悪化した。DIO動物にマウス抗−IL−6 Ab(R&D Systems)を10mg/kg用いた処置を受けさせた。全体として、それらに50mg/kgの抗IL−6 mAbを3週間に渡って与えた。最初の2回の投与後(5日目)、4回目の投与後(12日および16日目)および5回目の投与後(23日目)にipGTTを実施した。それと同時に、血液を採取してアジポサイトカインおよびアジポネクチンの測定を実施した。
【0304】
抗IL−6で処置しても5日目および12日目の耐糖能は向上しなかったが、しかしながら、16日および23日目に実施すると、糖クリアランスが改善されるばかりでなく糖エクスカーションの度合が改善されることを観察した。このような改善はGTT中の39、60および90分の時に統計学的有意さに到達した。
【0305】
別の組の実験として、DIO動物に10および20mg/kgの抗IL−6 Abおよび20mg/kgのIgGアイソタイプ対照を用いた処置をi.p経路で毎週受けさせた(1番目の週の間に2回投与しそして次の4週の間に毎週1回投与)。HOMA−IR(2、4および6週間の処置後)、ipGTT、ipITTおよびアジポカインプロファイル(6週間処置時)を実施した。
【0306】
抗−IL−6 Abで処置したDIO動物に関するHOMA−IR分析
この検定では、DIO動物を10および20mg/kgのマウス抗−IL−6 Abおよびアイソタイプ対照で処置すると空腹時血糖値およびインスリン濃度が低くなった。動物の採血を実施した後、Trace/DMAグルコース(ox)(thermo Electron Corp)およびUltra Sensitive Rat Insulin Elisa(Crystal Chem)を用いてそれぞれ空腹時血糖値およびインスリン濃度を測定した。それらの値を用いてHOMA−IRを決定した。HOMA−IR指数は、インスリン感受性の状態を示し、これはクランプ検定(clamp study)で確認したことと良好に相互に関係している。HOMA−IRの計算を式:(空腹時血糖値(mM)x空腹時インスリン(mIU/Lit)/22.5を用いて実施した(
図13A、BおよびC)。
【0307】
処置して2、4および6週間後にHOMA−IRの改善を観察した(
図13A−Cに6週間処置後のデータを示す)。検定終了時にipGTTおよびipITTを実施した。両方の試験とも、抗−IL−6処置(20mg/ml)を実施するとアイソタイプで処置した動物に比べて糖エクスカーションおよびクリアランスの両方が有意に改善された。
【0308】
対照および抗−IL−6処置動物から採取した血清サンプルのアジポカインおよびサイ
トカインを分析した結果、IL−6中和によって循環しているIL−6およびTNFa濃度が減少することに加えてMCP−1およびレシスチン濃度が減少する傾向があることが分かった。別の組のデータとして、抗−IL−6の処置に伴ってアジポネクチン濃度が高くなった。
【0309】
処置グループおよび対照グループから得た肝臓サンプルの組織学的分析を実施した。これらのサンプルにOil Red O染色による染色を受けさせることで肝実質の中の脂質含有量を測定した。マウス抗−IL−6抗体による処置に反応してDIO動物の肝臓脂質含有量が低下した。
【0310】
染色により、媒体で処置した肝臓サンプルの中の34%は未処置動物に関連した脂質でありかつ20mg/kgの抗−IL−6で処置した動物では8%のみであることが分かる(
図14A−F)。
図14AおよびDに対照グループを示し、
図14BおよびEに未処置DIO動物を示し、そして
図14CおよびFに抗−IL−6処置動物を示す。肝臓の脂質含有量が増加したことはインスリン耐性および2型糖尿病の発症と関連していた。従って、IL−6の中和によって肝臓脂質の代謝が影響を受けることでインスリン感受性およびT2DMが改善すると思われる。これらのデータが一緒になってIL−6は2型糖尿病の病因で役割を果たしていることとIL−6の中和によってインスリン感受性が改善する可能性があることを強力に示唆している。
【0311】
追加的研究
IL−6がヒト改変抗−IL−6抗体の存在有り無しでインスリン刺激IRS1燐酸化、p85/P13Kとの関連、インスリン受容体(IR)燐酸化、グリコーゲン合成およびHepG2細胞におけるSOCS3およびSTATシグナル伝達の改善に対して示す影響を監視する。追加的実験でIL−6が膵島による糖誘発インスリン分泌に対して示す影響を検査した。今日までに公開されたデータには、IL−6がラット膵島によるインスリン分泌に対して阻害ばかりでなく刺激効果の両方を示すことが記述されている。新しく単離したラット膵島(Liefscannの)にIL−6およびヒト改変抗−IL−6抗体(AME−19a)による処置を糖の存在有り無しで受けさせる。膵島から分泌されるインスリンの濃度をいろいろな処置下で測定する。
【0312】
C2C12
インスリンが骨格筋に対して示す影響を試験する目的でC2C12細胞を用いる。IRS1およびGlut4発現、インスリン誘発IRS1燐酸化およびIL−6がアジポネクチン作用に対して示す影響を検査する実験を実施する。
【0313】
利点:
本発明のIL−6抗体を用いてIL−6の活性を抑制することは有意な治療的進展に相当し得る、と言うのは、それによってインスリン感受性および代謝制御を現存薬剤の副作用無しに改善することができるからである。加うるに、現在の治療を用いてT2DMに関連して糖尿病合併症の基礎となる原因であると考えられている全身性炎症を制御するのはほとんど不可能である。本発明のIL−6抗体の如き治療薬は、インスリン感受性を向上させることに加えて、全身性炎症を抑制しかつ糖尿病合併症の発症を防止すると期待する。
【0314】
T2DMにかかっている患者の数が増えており、2025年までに300百万人になると推定されている。抗IL−6抗体は単治療薬としてか或は既に現存する他のOAD、例えばスルホニル尿素、ビグアニド(例えばMetphormin)、チアゾリジンジオン、メグリチニド(例えばレパグリニド)、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース)などと組み合わせて使用可能である。加うるに、それをインスリンもしくは他
の治療薬、例えばインスリン感受性および血糖コントロールを向上させかつインスリン処置に関連した低血糖イベントを回避する治療薬などと組み合わせて用いることも可能である。また、抗−IL−6治療薬はインスリン感受性およびT2Dおよびメタボリック症候群患者における血糖値調節を改善することに加えてそのような患者にしばしば観察されるCV変化に対して有益な効果を与えるであろうとも期待する。Saltiel,AR,およびKahn,CR.2001.Nature 414:799−806;Hansen,BC.,1995.Diabetes Care 18:A2−A9;Diabetes Prevention Program 研究グループ.2002.New Engl.J Med.,346:393−403;Hansen,BC.,2000,Ann
New York Academy of Science,892:1−24;Hsueh.WA.,and Quinones,MJ.,2003,Am.J.Cardiology,93:10J−17J;Resnick,HEおよびHoward,BV.,2002,Ann.Rev.Med.,53:245−267;Korner,J.and Aronne,L.,2003,J Clin.Invest.,111(5):565−570;Skoog,T.,他、2001.Diabetologia,44:654:655;Fernandez−Real,JM.,およびRicart W.,2003,Endocrine Reviews,24(3):278−301;Fernandez−Real,JM.,他、2001,J Clin Endocrinol
Metab.,86:1154−1159;10a.Fried,S.,他、1998.J Clin Endocrinol Metab.,83:847−850;Senn,JJ.,他、2002,Diabetes,51:3391−3399;Rotter,V.,他、2003,JBC in press,Manus.#301977200;12a.Stouthard,JM.,他、1996,BBRC,220:241−245;Southern,C.,他、1990,Biochem J.,272:243−245;Sandler,S.,他、1990,Endocrinology,126:1288−1294;Pedersen,BK,他、2001,J Physiol.,536:329−337;DiCosmo,BF,他、1994,Int.Immunol.,6:1829−1837;Wallenius,V.,他、2002,Nature Medicine,8:75−79;Vozarova,B.,他、2003,Human Genetic,112:409−413;Kubaszek,A.,他,2003,Diabetes,52:558−461;Tsigos,C.,他、1997,J Clin Endocrinol Metab,82:4167−4170;Stoutharad,JM.,他、1995,Am J Physiol.,268;E813−E819;Kern,PA.,他、2001,Am J Physiol Endocrinol Metab.,280:E745−E751;Bastard,JP.,他、2000,J Clon Endocrinol Metab.,85:3338−3342;およびBastard,JP.,他、2002,J.Clin.Endocrinol.Metab.,87:2084−2089を参照のこと。
【0315】
【表1】
【0316】
【表2】
【0317】
【表3】
【0318】
【表4】
【0319】
【表5】
【0320】
【表6】
【0321】
【表7】
【0322】
【表8】
【0323】
【表9】
【0324】
【表10】
【0325】
【表11】
【0326】
【表12】
【0327】
【表13】
【0328】
【表14】
【0329】
【表15】
【0330】
【表16】
【0331】
【表17】
【0332】
【表18】
【0333】
【表19】
【0334】
【表20】
【0335】
【表21】
【0336】
【表22】
【0337】
【表23】
【0338】
【表24】
【0339】
【表25】
【0340】
【表26】
【0341】
【表27】
【0342】
本発明をこの上で行った説明および実施例に詳細に記述した様式とは別の様式で実施することも可能であることは明らかであろう。この上で行った教示に照らすことで本発明のいろいろな修飾形および変形が可能になり、従って、それらも添付請求の範囲内である。以下、本発明の主な態様および特徴を挙げておく。
【0343】
態様1:配列識別番号:132−137から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域を含んでおり、かつ、ヒトIL−6またはこれのフラグメントと結合する単離IL−6抗体。
【0344】
態様2:X
1がAまたはGであり、X
2がSまたはRであり、X
3がH、I、SまたはYであり、X
4がSまたはYであり、X
5がSまたはFであり、X
6がF、L、MまたはTであり、X
7がNまたはEであり、X
8がAまたはTであり、X
9がM、C、SまたはQであり、X
10がQまたはCであり、X
11がTまたはQであり、X
12がF、SまたはTであり、X
13がSまたはPであり、X
14がLまたはMであり、X
15がAまたはIであり、X
16がSまたはPであり、X
17がYまたはWであり、X
18がT、EまたはYであり、X
19がYまたはFであり、X
20がP、S、DまたはYであり、X
21がVまたはDであり、X
22がTまたはAであり、X
23がGまたはPであり、X
24がS、Y、TまたはNであり、そしてX
25がY、T、FまたはIである態様1記載の単離抗体。
【0345】
態様3:少なくとも1つの相補性決定領域を含んでおり、かつ、ヒトIL−6またはこれのフラグメントと結合する単離ヒト改変抗体。
【0346】
態様4:配列識別番号:95、99、103、118、122、126および130から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可変領域および/または配列識別番号:93、97、101、116、120、124および128から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んで成る単離IL−6抗体。
【0347】
態様5:少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記軽鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:1、3、5、7、9、11、13および15から成る群から選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:17、19、21、23、25および27から成る群から選択されるCDRL2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:29、31、33、35および138から成る群から選択されるCDRL3アミノ酸配列;
から成る群の少なくとも一員を含んで成る単離IL−6抗体。
【0348】
態様6:少なくとも1つの重鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記重鎖可変領域が下記:(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択される相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:79、81、83、85、87、89、91および114から成る群から選択されるCDRH3アミノ酸配列;
から成る群の少なくとも一員を含んで成る単離IL−6抗体。
【0349】
態様7:態様5記載の軽鎖可変領域および請求項6記載の重鎖可変領域を含んで成る単離IL−6抗体。
【0350】
態様8:更に前記少なくとも1つの相補性決定領域に隣接して位置する少なくとも1つのヒトフレームワーク領域も含んで成る態様7記載の単離IL−6抗体。
【0351】
態様9:前記少なくとも1つのヒトフレームワーク領域が配列識別番号:105−112から選択される態様8記載の単離IL−6抗体。
【0352】
態様10:少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記軽鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:1、3、5、7、9、11、13および15から成る群から選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:17、19、21、23、25および27から成る群から選択されるCDRL2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:29、31、33、35および138から成る群から選択されるCDRL3アミノ酸配列;
を含んで成る態様5記載の単離IL−6抗体。
【0353】
態様11:少なくとも1つの重鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択される相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:79、81、83、85、87、89、91および114から成る群から選択されるCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成る態様6記載の単離IL−6抗体。
【0354】
態様12:態様10記載の軽鎖可変領域および態様11記載の重鎖可変領域を含んで成る単離IL−6抗体。
【0355】
態様13:更に配列識別番号:105のヒト軽鎖フレームワーク領域1(FRL1)、配列識別番号:106のFRL2、配列識別番号:107のFRL3、配列識別番号:108のFRL4、配列識別番号:109のヒト重鎖フレームワーク領域1(FRH1)、配列識別番号:110のFRH2、配列識別番号:111のFRH3および配列識別番号:112のFRH4も含んでおり、かつ、それらが前記相補性決定領域の間に散在している態様12記載の単離IL−6抗体。
【0356】
態様14:前記軽鎖可変領域が
(a)配列識別番号:1、3、5、7、9、11、13および15から成る群から選択されるCDRL1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:17、19、21、23、25および27から成る群から選択されるCDRL2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:29のCDRL3アミノ酸配列;
を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0357】
態様15:前記軽鎖可変領域が
(a)配列識別番号:1、3、5、7、9、11、13および15から成る群から選択されるCDRL1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:17、19、21、23、25および27から成る群から選択されるCDRL2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:35のCDRL3アミノ酸配列;
を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0358】
態様16:更に配列識別番号:105のヒト軽鎖フレームワーク領域1(FRL1)、配列識別番号:106のFRL2、配列識別番号:107のFRL3および配列識別番号:108のFRL4も含んで成っていてそれらがCDRLの間に散在している態様14または15記載の単離抗体。
【0359】
態様17:前記重鎖可変領域が
(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択されるCDRH1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:87のCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0360】
態様18:前記重鎖可変領域が
(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択されるCDRH1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:89のCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0361】
態様19:前記重鎖可変領域が
(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択されるCDRH1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:91のCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0362】
態様20:前記重鎖可変領域が
(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択されるCDRH1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:114のCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0363】
態様21:更に配列識別番号:109のヒト重鎖フレームワーク領域1(FRH1)、配列識別番号:110のFRH2、配列識別番号:111のFRH3および配列識別番号:112のFRH4も含んで成っていてそれらがCDRHの間に散在している態様17−20のいずれか記載の単離抗体。
【0364】
態様22:前記CDRL1が配列識別番号:7のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL2が配列識別番号:21のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL3が配列識別番号:29のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH1が配列識別番号:41のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH2が配列識別番号:75のアミノ酸配列を含んで成りそして前記CDRH3が配列識別番号:87のアミノ酸配列を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0365】
態様23:前記CDRL1が配列識別番号:3のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL2が配列識別番号:21のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL3が配列識別番号:29のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH1が配列識別番号:41のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH2が配列識別番号:75のアミノ酸配列を含んで成りそして前記CDRH3が配列識別番号:89のアミノ酸配列を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0366】
態様24:前記CDRL1が配列識別番号:15のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL2が配列識別番号:27のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL3が配列識別番号:35のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH1が配列識別番号:47のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH2が配列識別番号:61のアミノ酸配列を含んで成りそして前記CDRH3が配列識別番号:91のアミノ酸配列を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0367】
態様25:前記CDRL1が配列識別番号:15のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL2が配列識別番号:27のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL3が配列識別番号:35のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH1が配列識別番号:47のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH2が配列識別番号:57のアミノ酸配列を含んで成りそして前記CDRH3が配列識別番号:91のアミノ酸配列を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0368】
態様26:前記CDRL1が配列識別番号:15のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL2が配列識別番号:17のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL3が配列識別番
号:29のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH1が配列識別番号:45のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH2が配列識別番号:59のアミノ酸配列を含んで成りそして前記CDRH3が配列識別番号:89のアミノ酸配列を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0369】
態様27:前記CDRL1が配列識別番号:7のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL2が配列識別番号:17のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRL3が配列識別番号:29のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH1が配列識別番号:45のアミノ酸配列を含んで成り、前記CDRH2が配列識別番号:77のアミノ酸配列を含んで成りそして前記CDRH3が配列識別番号:87のアミノ酸配列を含んで成る態様12記載の単離抗体。
【0370】
態様28:配列識別番号:3の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列識別番号:21のCDRL2アミノ酸配列、配列識別番号:29のCDRL3アミノ酸配列、配列識別番号:39の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列識別番号:59のCDRH2アミノ酸配列および配列識別番号:89のCDRH3アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0371】
態様29:少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記軽鎖可変領域が
(a)配列識別番号:132の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:133のCDRL2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:134から成る群から選択されるCDRL3アミノ酸配列;
を含んで成り、ここで、X
1がAまたはGであり、X
2がSまたはRであり、X
3がH、I、SまたはYであり、X
4がSまたはYであり、X
5がSまたはFであり、X
6がF、L、MまたはTであり、X
7がNまたはEであり、X
8がAまたはTであり、X
9がM、C、SまたはQでありそしてX
10がQまたはCである単離IL−6抗体。
【0372】
態様30:少なくとも1つの重鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記重鎖可変領域が
(a)配列識別番号:135の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:136のCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:137のCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成り、ここで、X
11がTまたはQであり、X
12がF、SまたはTであり、X
13がSまたはPであり、X
14がLまたはMであり、X
15がAまたはIであり、X
16がSまたはPであり、X
17がYまたはWであり、X
18がT、EまたはYであり、X
19がYまたはFであり、X
20がP、S、DまたはYであり、X
21がVまたはDであり、X
22がTまたはAであり、X
23がGまたはPであり、X
24がS、Y、TまたはNであり、そしてX
25がY、T、FまたはIである単離IL−6抗体。
【0373】
態様31:態様29記載の軽鎖可変領域および請求項30記載の重鎖可変領域を含んで成る単離IL−6抗体。
【0374】
態様32:更に配列識別番号:105のヒト軽鎖フレームワーク領域1(FRL1)、配列識別番号:106のFRL2、配列識別番号:107のFRL3、配列識別番号:108のFRL4、配列識別番号:109のヒト重鎖フレームワーク領域1(FRH1)、配列識別番号:110のFRH2、配列識別番号:111のFRH3および配列識別番号:112のFRH4も含んで成っていてそれらが前記相補性決定領域の間に散在している態様22−28および31のいずれか記載の単離IL−6抗体。
【0375】
態様33:少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記軽鎖可変領域が配列識別番号:105のヒト軽鎖フレームワーク領域1(FRL1)、配列識別番号:106
のFRL2、配列識別番号:107のFRL3および配列識別番号:108のFRL4および散在しているCDR領域を含んで成り、ここで、前記CDR領域が
(a)配列識別番号:1、3、5、7、9、11、13および15から成る群から選択されるCDRL1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:17、19、21、23、25および27から成る群から選択されるCDRL2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:29、31、33、35および138から成る群から選択されるCDRL3アミノ酸配列;
を含んで成る単離IL−6抗体。
【0376】
態様34:少なくとも1つの重鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記重鎖可変領域が配列識別番号:109のヒト重鎖フレームワーク領域1(FRH1)、配列識別番号:110のFRH2、配列識別番号:111のFRH3および配列識別番号:112のFRH4および散在しているCDR領域を含んで成り、ここで、前記CDR領域が
(a)配列識別番号:37、39、41、43、45および47から成る群から選択されるCDRH1アミノ酸配列;
(b)配列識別番号:49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77および113から成る群から選択されるCDRH2アミノ酸配列;および
(c)配列識別番号:79、81、83、85、87、89、91および114から成る群から選択されるCDRH3アミノ酸配列;
を含んで成る単離IL−6抗体。
【0377】
態様35:態様33記載の軽鎖可変領域および請求項34記載の重鎖可変領域を含んで成る単離IL−6抗体。
【0378】
態様36:少なくとも1つの軽鎖可変領域および少なくとも1つの重鎖可変領域を含んでおり、かつ、配列識別番号:93および95、配列識別番号:97および99、配列識別番号:101および103、配列識別番号:116および118、配列識別番号:120および122、配列識別番号:124および126および配列識別番号:128および130から成る群から選択される軽鎖および重鎖可変領域を含んで成る少なくとも1種の単離IL−6抗体と一緒に競合的にIL−6と結合する単離ヒトもしくはヒト改変抗体。
【0379】
態様37:態様12記載の単離IL−6抗体と一緒に競合的にIL−6と結合する単離ヒトもしくはヒト改変抗体。
【0380】
態様38:配列識別番号:115のアミノ酸168−184を含んで成る領域と競合的にIL−6と結合する単離ヒトもしくはヒト改変抗体。
【0381】
態様39:ヒト改変された態様36−38のいずれか記載の抗体。
【0382】
態様40:表面プラズモン共鳴またはKinexa方法を用いて測定した時に少なくとも10
−9M、少なくとも10
−10M、少なくとも10
−11Mおよび少なくとも10
−12M、少なくとも10
−13M、少なくとも10
−14Mおよび少なくとも10
−15Mから選択される少なくとも1種の親和力でIL−6と結合する態様1−39のいずれか記載のIL−6抗体。
【0383】
態様41:少なくとも1種のIL−6ポリペプチドが示す少なくとも1種の活性を実質的に調節する態様1−40のいずれか記載のIL−6抗体。
【0384】
態様42:態様1−40いずれか記載の少なくとも1種の単離IL−6抗体をコードする単離核酸分子。
【0385】
態様43:態様42記載の単離核酸分子を含んで成る単離核酸ベクター。
【0386】
態様44:態様42記載の単離核酸分子を含んで成る原核または真核宿主細胞。
【0387】
態様45:COS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、Hep G2、653、SP2/0、293、HeLa、骨髄腫またはリンパ種細胞、またはそれらの誘導体、不死化細胞もしくは形質転換細胞のいずれかから選択される少なくとも1種である態様44記載の宿主細胞。
【0388】
態様46:少なくとも1種のIL−6抗体の産生方法であって、態様42記載の核酸分子による翻訳をインビトロ、インビボまたはインシトゥ条件下でIL−6抗体が検出可能または回収可能量で発現するように起こさせることを含んで成る方法。
【0389】
態様47:態様1−40いずれか記載の少なくとも1種の単離IL−6抗体および少なくとも1種の製薬学的に受け入れられる担体もしくは希釈剤を含んで成る組成物。
【0390】
態様48:更に検出可能標識もしくはレポーター、TNFアンタゴニスト、抗感染薬、心臓血管(CV)系作用薬、中枢神経系(CNS)作用薬、自律神経系(ANS)作用薬、呼吸器作用薬、胃腸(GI)管作用薬、ホルモン薬、体液もしくは電解質平衡用薬剤、血液製剤、抗癌薬、免疫修飾薬、眼、耳もしくは鼻用薬剤、局所用薬剤、栄養薬、サイトカインおよびサイトカインアンタゴニストから選択される少なくとも1種の化合物もしくはポリペプチドも含んで成る態様47記載の組成物。
【0391】
態様49:態様1−40いずれか記載の少なくとも1種の単離IL−6抗体と特異的に結合する抗イディオタイプ抗体もしくはフラグメント。
【0392】
態様50:細胞、組織、器官または動物におけるIL−6関連状態を診断または処置する方法であって、態様1−40いずれか記載の少なくとも1種の抗体を有効量で含んで成る組成物を前記細胞、組織、器官または動物に接触させるか或は投与することを含んで成る方法。
【0393】
態様51:前記IL−6関連状態が関節リウマチ、変形性関節症、骨溶解、整形外科用インプラントの無菌性緩み、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、ループス腎炎、2型糖尿病、慢性閉塞性肺疾患および腎細胞癌から成る群から選択される態様50記載の方法。
【0394】
態様52:前記有効量が前記細胞、組織、器官または動物1キログラム当たり約0.001−50mgである態様50記載の方法。
【0395】
態様53:前記接触または前記投与を非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、髄腔内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣、直腸、口腔、舌下、鼻内および経皮から選択した少なくとも1種の様式で実施する態様50記載の方法。
【0396】
態様54:前記接触または投与を実施する前、同時または後に更に検出可能標識もしくはレポーター、抗感染薬、心臓血管(CV)系作用薬、中枢神経系(CNS)作用薬、自律
神経系(ANS)作用薬、呼吸器作用薬、胃腸(GI)管作用薬、ホルモン薬、体液もしくは電解質平衡用薬剤、血液製剤、抗癌薬、免疫修飾薬、眼、耳もしくは鼻用薬剤、局所用薬剤、栄養薬、サイトカインおよびサイトカインアンタゴニストから選択した少なくとも1種の化合物もしくはポリペプチドを有効量で含んで成る少なくとも1種の組成物を投与することも含んで成る態様50記載の方法。
【0397】
態様55:態様1−40のいずれか記載のIL−6抗体を含んで成る医療機器であって、前記IL−6抗体を非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、髄腔内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣、直腸、口腔、舌下、鼻内および経皮から選択した少なくとも1種の様式で接触させるか或は投与するに適する機器。
【0398】
態様56:ヒト製薬学的もしくは診断用途用の製品であって、態様1−40のいずれか記載のIL−6抗体の溶液または凍結乾燥形態物が入っている容器および包装用材料を含んで成る製品。
【0399】
態様57:前記容器が非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、髄腔内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣、直腸、口腔、舌下、鼻内または経皮送達用の機器またはシステムの構成要素である態様56記載の製品。
【0400】
態様58:態様1−40のいずれか記載の単離IL−6抗体を製造する方法であって、前記抗体を回収可能量で発現し得る宿主細胞または遺伝子導入動物または遺伝子動物植物もしくは植物細胞を準備することを含んで成る方法。
【0401】
態様59:態様58記載の方法を用いて生じさせたIL−6抗体。
【0402】
態様60:IL−6抗体をコードする単離核酸分子であって、少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記軽鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:2、4、6、8、10、12、14および16から成る群から選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:18、20、22、24、26および28から成る群から選択されるCDRL2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:30、32、34および36から成る群から選択されるCDRL3ヌクレオチド配列;
から成る群の少なくとも一員を含んで成る単離核酸分子。
【0403】
態様61:IL−6抗体をコードする単離核酸分子であって、少なくとも1つの重鎖可変領域を含んで成っていて前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:38、40、42、44、46および48から成る群から選択される相補性決定領域重鎖1(CDRH1)ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76および78から成る群から選択されるCDRH2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:80、82、84、86、88、90および92から成る群から選択されるCDRH3ヌクレオチド配列;
から成る群の少なくとも一員を含んで成る単離核酸分子。
【0404】
態様62:態様60:IL−6抗体をコードする単離核酸分子であって、請求項60記載の軽鎖可変領域ヌクレオチド配列および請求項61記載の重鎖可変領域ヌクレオチド配列を含んで成る単離核酸分子。
【0405】
態様63:IL−6抗体をコードする単離核酸分子であって、少なくとも1つの軽鎖可変領域を含んで成っていて前記軽鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:2、4、6、8、10、12、14および16から成る群から選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:18、20、22、24、26および28から成る群から選択されるCDRL2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:30、32、34および36から成る群から選択されるCDRL3ヌクレオチド配列;
を含んで成る単離核酸分子。
【0406】
態様64:IL−6抗体をコードする単離核酸分子であって、少なくとも1つの重鎖可変領域を含んでおり、かつ、前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:38、40、42、44、46および48から成る群から選択される相補性決定領域重鎖1(CDRH1)ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76および78から成る群から選択されるCDRH2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:80、82、84、86、88、90および92から成る群から選択されるCDRH3ヌクレオチド配列;
を含んで成る単離核酸分子。
【0407】
態様65:IL−6抗体をコードする単離核酸分子であって、態様63記載の軽鎖可変領域ヌクレオチド配列および請求項64記載の重鎖可変領域ヌクレオチド配列を含んで成る単離核酸分子。
【0408】
態様66:更に配列識別番号:105のヒト軽鎖フレームワーク領域1(FRL1)、配列識別番号:106のFRL2、配列識別番号:107のFRL3、配列識別番号:108のFRL4、配列識別番号:109のヒト重鎖フレームワーク領域1(FRH1)、配列識別番号:110のFRH2、配列識別番号:111のFRH3および配列識別番号:112のFRH4をコードするヌクレオチド配列も含んで成っていてそれらが前記相補性決定領域ヌクレオチド配列の間に散在している態様65記載の単離核酸分子。
【0409】
態様67:前記軽鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:2、4、6、8、10、12、14および16から成る群から選択されるCDRL1ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:18、20、22、24、26および28から成る群から選択されるCDRL2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:30のCDRL3ヌクレオチド配列;
を含んで成る態様63記載の単離核酸分子。
【0410】
態様68:前記軽鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:2、4、6、8、10、12、14および16から成る群から選択されるCDRL1ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:18、20、22、24、26および28から成る群から選択されるCDRL2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:36のCDRL3ヌクレオチド配列;
を含んで成る態様63記載の単離核酸分子。
【0411】
態様69:前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:38、40、42、44、46および48から成る群から選択されるCDRH1ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76および78から成る群から選択されるCDRH2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:86のCDRH3ヌクレオチド配列;
を含んで成る態様64記載の単離核酸分子。
【0412】
態様70:前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:38、40、42、44、46および48から成る群から選択されるCDRH1ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76および78から成る群から選択されるCDRH2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:88のCDRH3ヌクレオチド配列;
を含んで成る態様64記載の単離核酸分子。
【0413】
態様71:前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:38、40、42、44、46および48から成る群から選択されるCDRH1ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76および78から成る群から選択されるCDRH2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:90のCDRH3ヌクレオチド配列;
を含んで成る態様64記載の単離核酸分子。
【0414】
態様72:前記重鎖可変領域が下記:
(a)配列識別番号:38、40、42、44、46および48から成る群から選択されるCDRH1ヌクレオチド配列;
(b)配列識別番号:50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76および78から成る群から選択されるCDRH2ヌクレオチド配列;および
(c)配列識別番号:92のCDRH3ヌクレオチド配列;
を含んで成る態様64記載の単離核酸分子。
【0415】
態様73:配列識別番号:8のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:22のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:30のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:42のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:76のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:88のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0416】
態様74:配列識別番号:4のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:22のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:30のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:40のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:60のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:90のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0417】
態様75:配列識別番号:4のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:22のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:30のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:42のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:76のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:90のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0418】
態様76:配列識別番号:16のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:28のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:36のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:48のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:62のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:92のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0419】
態様77:配列識別番号:16のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:28のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:36のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:48のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:58のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:92のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0420】
態様78:配列識別番号:16のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:18のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:30のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:46のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:60のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:90のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0421】
態様79:配列識別番号:8のCDRL1ヌクレオチド配列、配列識別番号:18のCDRL2ヌクレオチド配列、配列識別番号:30のCDRL3ヌクレオチド配列、配列識別番号:46のCDRH1ヌクレオチド配列、配列識別番号:78のCDRH2ヌクレオチド配列および配列識別番号:88のCDRH3ヌクレオチド配列を含んで成る態様65記載の単離核酸分子。
【0422】
態様80:約2.7x10
−11M以下のEC
50値を示す態様1−39のいずれか記載のIL−6抗体。
【0423】
態様81:EC
50値が約2.7x10
−12M以下である態様80記載の抗体。
【0424】
態様82:配列識別番号:93の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:95の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0425】
態様83:配列識別番号:97の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:99の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0426】
態様84:配列識別番号:101の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:103の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0427】
態様85:配列識別番号:116の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:118の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0428】
態様86:配列識別番号:120の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:122の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0429】
態様87:配列識別番号:124の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:126の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0430】
態様88:配列識別番号:128の軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:130の重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。
【0431】
態様89:配列識別番号:94、98、102、117、121、125および129のヌクレオチド配列の中の1つがコードする軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列識別番号:96、100、104、119、123、127および131のヌクレオチド配列の中の1つがコードする重鎖可変領域アミノ酸配列を含んで成る単離IL−6抗体。