(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばテールランプやストップランプは、部品点数の削減やデザイン面からの要求により灯具ユニットが共通化されることがあるが、光源については、テールランプおよびストップランプの各点灯モードにおいて必要とされる光量で発光可能な数のLED素子がパッケージ化されたLEDパッケージが点灯モード毎に別個に設けられていた。また、ヘッドランプやテールランプなどの車両用灯具は、その用途が同じであっても、例えばヨーロッパと米国とで法規によって必要とされる光量が異なる場合がある。このような場合、従来は、各国の法規によって必要とされる光量に応じて、搭載されるLED素子の数が異なるLEDパッケージを別個に設計する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的として、本発明は、
複数のLED素子が搭載されたLEDパッケージを光源とする車両用灯具であって、
前記LEDパッケージは、
複数の前記LED素子が互いに直列に接続された第1直列素子部と、
前記第1直列素子部の前記LED素子よりも少ない数の前記LED素子が互いに直列に接続された第2直列素子部と、
前記第1直列素子部のアノード側に設けられる第1アノード電極と、
前記第1直列素子部のカソード側に設けられる第1カソード電極と、
前記第2直列素子部のアノード側に設けられる第2アノード電極と、
前記第2直列素子部のカソード側に設けられる第2カソード電極と、
を備えることを特徴とする車両用灯具を提供する。
【0006】
このような車両用灯具によれば、上記のようにそれぞれ直列に接続される2系統のLED素子を含むLEDパッケージを備えることにより、1つのLEDパッケージ内に設けられた第1直列素子部と第2直列素子部とを光量の異なる2種類の光源として別々に発光させることができる。また、LEDパッケージの第1カソード電極と第2アノード電極とを互いに電気的に接続するとともに第1アノード電極と第2カソード電極をそれぞれ電源の正極と負極に電気的に接続する導電パターンが形成された基板にLEDパッケージを実装することで、LEDパッケージを、第1直列素子部のLED素子と第2直列素子部のLED素子とが直列に接続された光量のより大きな光源として用いることもできる。
【0007】
また、上記車両用灯具において、
前記LEDパッケージは、基板に実装されており、
前記基板は、前記第1アノード電極および前記第2アノード電極をそれぞれ電源の正極と電気的に接続させ、前記第1カソード電極および前記第2カソード電極をそれぞれ電源の負極と電気的に接続させる導電パターンが形成されていることが好ましい。
【0008】
これにより、1つのLEDパッケージ内に設けられた第1直列素子部と第2直列素子部とを光量の異なる2種類の光源として別々に発光させることができる。
【0009】
また、上記車両用灯具において、
前記車両用灯具はテールランプおよびストップランプであって、
前記テールランプおよび前記ストップランプの各点灯モードに応じて前記第1直列素子部および前記第2直列素子部と電源との接続を制御する制御回路をさらに備え、
前記制御回路は、
前記テールランプに対応する前記点灯モードでは、前記第2直列素子部と前記電源とを接続し、
前記ストップランプに対応する前記点灯モードでは、前記第1直列素子部または前記第1直列素子部および前記第2直列素子部と前記電源とを接続することが好ましい。
【0010】
これにより、LEDパッケージをテールランプおよびストップランプの各点灯モードに応じた光量で発光させることができる。
【0011】
また、上記車両用灯具において、
前記LEDパッケージは、基板に実装されており、
前記基板は、前記第1アノード電極を電源の正極と電気的に接続させ、前記第2カソード電極を電源の負極と電気的に接続させ、前記第1カソード電極と前記第2アノード電極とを電気的に接続させる導電パターンが形成されていることが好ましい。
【0012】
これにより、LEDパッケージを、第1直列素子部と第2直列素子部のLED素子を直列に接続したより光量の大きな光源として発光させることができる。
【0013】
また、上記車両用灯具において、
前記LEDパッケージにおいて、
前記第1直列素子部は、3つの前記LED素子を含み、
前記第2直列素子部は、1つの前記LED素子を含み、
を備え、
4つの前記LED素子は、平面視で外形が正方形または長方形であって、前記LEDパッケージ内において、4つの前記LED素子全体の外形が平面視において略正方形となるように互いに近接配置されていることが好ましい。
【0014】
これにより、LEDパッケージをより小型化できるともに、LEDパッケージにおける発光面の照度をより大きくすることができる。
【0015】
なお、本発明は、上記の各特徴を備えるものに限られず、これらの特徴のサブコンビネーションも本発明に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具1の縦断面図である。
【0018】
本実施形態に係る車両用灯具1は、乗用自動車などの車両の後部に取り付けられて当該車両の後方の車両などからの視認性を高めるとともに、運転者がブレーキをかけた際により大きな光量で点灯することによりブレーキがかかっていることを後方の車両などに知らせる機能を有する所謂テール&ストップランプである。したがって、以下において「灯具前方」とは、車両後方と略等しい。
【0019】
車両用灯具1は、
図1に示すように、ランプボディ20と、ランプボディ20の灯具前方側に設けられた開口を覆うようにランプボディ20に取り付けられた素通し状の透光カバー30とによって形成された灯室内に、光源ユニット50が収容されている。また、透光カバー30を通して灯室外から見ると、光源ユニット50の灯具前方側における中央の光源光出射部を除く周縁部はエクステンション40によって覆われている。
【0020】
光源ユニット50は、
図1に示すように、車両用灯具1の光源であるLEDパッケージ100と、LEDパッケージ100が実装された基板200と、LEDパッケージ100からの光を灯具前方へと反射するリフレクタ52と、基板200の下方に配されて基板200を保持固定するヒートシンク54と、ヒートシンク54の下方に配されてヒートシンク54に保持固定される放熱ファン56と、を有する。この光源ユニット50は、図示しないブラケットおよび光源ユニット50の照射光軸の調整が可能なエイミング機構等を介してランプボディ20に固定されている。
【0021】
ヒートシンク54は、例えばアルミニウム合金などの熱伝導性に優れた金属材料によって形成されており、下部にはLEDパッケージ100および基板200から発生する熱を効率良く放熱するために複数の放熱フィンが設けられている。そして、ヒートシンク54から放出された熱は、放熱ファン56によって生じる空気の流れによって拡散される。
【0022】
リフレクタ52は、例えば鉛直方向の断面の内面形状が楕円となる略ドーム状の部材であって、
図1に示す断面における内面形状は、LEDパッケージ100の発光面近傍に第1焦点を有し、灯室内におけるエクステンション40と透光カバー30との間に第2焦点を有する楕円の一部である。なお、リフレクタ52の形状は本例に限られず、少なくともLEDパッケージ100からの光を灯具前方へ拡散するように反射するものであることが好ましい。
【0023】
図2は、LEDパッケージ100の平面図および側面図である。
図2に示すように、LEDパッケージ100は、6つの電極115,116,117,118,125,126と、4つのLED素子111,112,113,121と、これらのLED素子111,112,113,121と電極116,117,118,126とをボンディング接続するワイヤ130と、これらの各部品を封止する樹脂パッケージ140とを有する。
【0024】
電極116,117,118,126は、
図2に示すように、いずれも平面図で見て略正方形であり、LEDパッケージ100の中央部に配置されている。また、電極115,125は、平面図で見て略長方形であり、電極125はLEDパッケージ100の上部に、電極115はLEDパッケージ100の下部に、それぞれ配置されている。これらの電極115,116,117,118,125,126は、いずれも樹脂パッケージ140から表面が露出しており、LEDパッケージ100が基板200に実装されたときに基板200に形成された後述の導電パターンと電気的に接続する。
【0025】
LED素子111,112,113,121は、
図2に示すように、平面視で外形が略正方形のチップであり、電極116,117,118,126の各々に1つずつ固定されている。特に本例では、LED素子111,112,113,121は、平面視で全体の外形が略正方形となるように、すなわち4つのLED素子111,112,113,121の発光面が全体として1つの四角形に見えるように電極116,117,118,126の表面上に互いに近接配置されている。
【0026】
ワイヤ130は、電極116上に配されたLED素子113と電極118とを電気的に接続し、電極118上に配されたLED素子112と電極117とを電気的に接続する。また、ワイヤ130は、電極117上に配されたLED素子111と電極115とを電気的に接続し、電極126上に配されたLED素子121と電極125とを電気的に接続する。
【0027】
上記の電気的構成により、LEDパッケージ100における3つのLED素子111,112,113は、電極115および電極116をアノード電極(第1アノード電極)およびカソード電極(第1カソード電極)とする互いに直列に接続された第1直列素子部110を構成し、LED素子121は、電極125および電極126をアノード電極(第2アノード電極)およびカソード電極(第2カソード電極)とする第2直列素子部120を構成している。
【0028】
図3は、LEDパッケージ100が実装される基板200の平面図である。また、
図4は、LEDパッケージ100および基板200を含む車両用灯具1の点灯回路の回路図である。
図3に示すように、基板200の表面上には、導電パターンとして端子部211,212,213,214、電極部215,216,217,218,225,226、および配線部231,232,233,234が形成されている。この基板200には、例えばガラス・エポキシ基板が好ましく用いられる。
【0029】
電極部215,216,217,218,225,226は、LEDパッケージ100が基板200に実装されたときにLEDパッケージ100の電極115,116,117,118,125,126との当接位置に形成されている。また、電極部226は、配線部231を介して端子部211と電気的に接続されており、同様に、電極部215,216,225は、それぞれ配線部232,233,234を介して端子部212,213,214と電気的に接続されている。
【0030】
車両用灯具1の点灯回路では、上記の電気的構成を有する基板200にLEDパッケージ100が実装されるとともに、基板200の端子部212,214が電源400の正極と電気的に接続されており、また、基板200の端子部211,213が電源400の負極と電気的に接続されている。したがって、
図4に示すように、LEDパッケージ100における電極115(第1アノード電極)および電極125(第2アノード電極)が電源400の正極と電気的に接続されており、電極116(第1カソード電極)および電極126(第2カソード電極)が電源400の負極と電気的に接続されている。すなわち、3つのLED素子111,112,113で構成される第1直列素子部110と、LED素子114で構成される第2直列素子部120とが電源400に対して並列に接続されている。
【0031】
また、
図4に示すように、車両用灯具1の点灯回路では、電源400の正極側に抵抗500および制御回路300が設けられている。抵抗500は、電源400の出力電圧によって点灯させるLED素子に流れる電流が定格値を超えないようにするために設けられた電流制御用の抵抗である。なお、電源400は、通常の車載バッテリーなどの直流電源であってよいが、電気自動車などでは、動力供給用の電池などであってもよい。また、電流値制御のための手段は、本例の抵抗500に限られず、インバータ回路などであってもよい。
【0032】
制御回路300は、入力信号(SIG
IN)の内容に応じて第1直列素子部110および第2直列素子部120と電源400との接続を制御する。より具体的には、車両用灯具1がテールランプおよびストップランプである場合、制御回路300は、入力信号(SIG
IN)が例えば運転者によってテールランプの点灯スイッチがオンに切り替えられたことを示す信号など車両用灯具1をテールランプとして点灯させるべき旨を示す信号である場合は、第2直列素子部120の電極125(第2アノード電極)と電源400の正極とを接続することにより第2直列素子部120のLED素子114を点灯させる。
【0033】
また、制御回路300は、入力信号(SIG
IN)が例えば運転者によってブレーキペダルが踏み込まれたことを示す信号など車両用灯具1をストップランプとして点灯させるべき旨を示す信号である場合は、第1直列素子部110の電極115(第1アノード電極)と電源400の正極とを接続することにより第1直列素子部110のLED素子111,112,113を点灯させる。なお、この場合、制御回路300は、第1直列素子部110とともに第2直列素子部120も併せて点灯させてもよいが、その場合は、第1直列素子部110のLED素子111,112,113と第2直列素子部120のLED素子114に流れる電流値が等しくなるように設定可能であることが好ましい。
【0034】
図5は、LEDパッケージ100が実装される基板201の平面図である。また、
図6は、LEDパッケージ100および基板201を含む車両用灯具1の点灯回路の回路図である。
図5に示す基板201において、
図3を参照して説明した基板200と同様の構成については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。
【0035】
図5に示すように、基板201には、基板200の端子部211,212,213,214および配線部231,232,233,234に替えて、端子部261,262および配線部235,281,282が導電パターンとして形成されている。また、基板201には、基板200と同様の電極部215,216,217,218,225,226が導電パターンとして形成されている。
【0036】
そして、基板201では、電極部216は、配線部235を介して電極部225と電気的に接続されている。また、電極部226は、配線部281を介して端子部261と電気的に接続されており、同様に、電極部215は、それぞれ配線部282を介して端子部262と電気的に接続されている。なお、端子部261,262および配線部281,282を、基板200の端子部211,212および配線部231,232と同じ形状の導電パターンとしてもよい。
【0037】
したがって、車両用灯具1の点灯回路の回路基板として基板201を用いると、
図6に示すように、電極115(第1アノード電極)が制御回路300を介して電源400の正極に接続されるとともに、電極126(第2カソード電極)が電源400の負極に接続される点では基板200を用いた場合と同様であるが、電極116(第1カソード電極)と電極125(第2アノード電極)とが電気的に接続される点で基板200を用いたときの回路構成と異なる。すなわち、車両用灯具1の点灯回路に基板201を用いると、第1直列素子部110のLED素子111,112,113および第2直列素子部120のLED素子114が電源400に対して直列に接続される。
【0038】
したがって、車両用灯具1を1種類の点灯モードのみの灯具として用いる場合やより大きな光量が必要な場合は、本例の基板201を用いることで、LEDパッケージ100の全てのLED素子111,112,113,121を同時に発光させることができる。
【0039】
以上のように、本例の車両用灯具1は、各々がアノードおよびカソードの外部電極を備える異なる数のLED素子で構成された第1直列素子部110および第2直列素子部120の2つの直列素子部が1つのLEDパッケージ100内に設けられている。そして、LEDパッケージ100が実装される基板の回路構成を変えることで、必要とされる光量や点灯モードの数に応じて各素子部を別々にまたは同時に発光させることができる。ゆえに、複数の点灯モードや各国の法規に車両用灯具1を対応させるために、搭載するLEDパッケージを別個に設計する必要がなく、部品コストを削減することができる。
【0040】
また、本例のLEDパッケージ100は、4つのLED素子全体の外形が平面視において略正方形となるようにLED素子111,112,113,114が互いに近接配置されているので、LEDパッケージ100をより小型化できるともに、LEDパッケージ100における発光面の照度をより大きくすることができる。
【0041】
図7は、LEDパッケージ101の平面図および側面図である。
図8は、LEDパッケージ101が実装される基板202の平面図である。
図7に示すLEDパッケージ101において、上記のLEDパッケージ100と同様の構成については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。また、
図8に示す基板202において、上記の基板200,201と同様の構成については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。
【0042】
LEDパッケージ101は、
図7に示すように、電極115,125の形状およびLED素子111,112,113,121が固定されている電極116,117,118,126の配置が上記のLEDパッケージ100と異なる。すなわち、
図7に示すように、本例のLEDパッケージ101では、電極115,125は、電極116,117,118,126と同じく平面図で見て略正方形であり、その大きさも電極116,117,118,126と同じである。
【0043】
また、LED素子111,112,113が固定された電極116,117,118が、パッケージの平面視で右側に一列に並んで配置されているとともに、LED素子121が固定された電極126が、電極115と電極125とに挟まれるようにパッケージの平面視で左側に一列に並んで配置されている。
【0044】
このLEDパッケージ101を
図8に示す基板202に実装して構成した点灯回路は、
図4に示すLEDパッケージ100と基板200を含む点灯回路と同様であるが、LEDパッケージ101における発光面の形状がLEDパッケージ100と異なる。すなわち、LEDパッケージ101では、第1直列素子部110のみを点灯させたときには、
図7に示す平面図でLEDパッケージ101の右側が発光し、第2直列素子部120のみを点灯させたときには、
図7に示す平面図でLEDパッケージ101の左側が発光する。
【0045】
このように、点灯回路の回路構成を変えることなく、LEDパッケージ101内のLED素子111,112,113,121および電極116,117,118,126の配置のみを変えることで、発光面の形状や位置を灯具に適したものとすることができる。また、本例のLEDパッケージ101は、上記のLEDパッケージ100と同様に、基板202に替えて
図9に示す基板203に実装することで、第1直列素子部110のLED素子111,112,113と第2直列素子部120のLED素子114とを電源400に対して直列に接続した回路構成とすることができる。
【0046】
図10は、LEDパッケージ102の平面図および側面図である。
図10に示すLEDパッケージ102においても、上記のLEDパッケージ100と同様の構成については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。
【0047】
LEDパッケージ102は、
図10に示すように、電極117およびLED素子111が設けられていない点で上記のLEDパッケージ100と異なるが、それ以外の構成についてはLEDパッケージ100と同様である。すなわち、LEDパッケージ102を例えば
図3に示す基板200に実装した点灯回路では、上記のLEDパッケージ100を基板200に実装した点灯回路と比べて、
図4に示す回路図おいて第1直列素子部110に含まれるLED素子が2つ(LED素子111,112)となる点のみが異なる。このように、車両用灯具1に必要とされる光量に応じて、基板を変更することなく搭載するLED素子の数を変更したLEDパッケージを用いることができる。
【0048】
なお、以上に例示したLEDパッケージ100,101,102は、第1直列素子部110に2つまたは3つのLED素子が含まれ、第2直列素子部120に1つのLED素子が含まれるものであったが、第1直列素子部110および第2直列素子部120に含まれるLED素子の数はこれらの例に限られない。また、以上に例示したLEDパッケージ100,101,102は、いずれも2系統の直列素子部(第1直列素子部110および第2直列素子部120)で構成されているが、LEDパッケージに設けられる直列素子部の数、および基板に形成される電極部および端子部などの数を、車両用灯具1に必要とされる点灯モードの数に応じて増やしてもよい。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。