【実施例1】
【0025】
本実施例は、カッターヘッド2にローラーカッター3を有するトンネル掘削機1に本発明を適用した場合の例である。尚、以下適宜、
図3,
図4の矢印Aが示す方向をトンネル掘削機1の前方とし、
図1〜
図4の矢印Bが示す方向をローラーカッター3の周回方向(カッターヘッド2の軸心を中心としたローラーカッター3の周回方向)とし、
図1,
図2の矢印Cが示す方向をカッターヘッド2の径方向(カッターヘッド2の中心から外側に延びる放射方向)として説明する。
【0026】
図1には、トンネル掘削機1のカッターヘッド2のみ図示してある。このトンネル掘削機1には、基本的に、カッターヘッド2、このカッターヘッド2が回動可能に前側に支持された掘削機本体(図示略)、カッターヘッド2の背面側のチャンバ(図示略)、カッターヘッド2を回転駆動するための回転駆動機構(図示略)、複数のシールドジャッキ(図示略)等を有し、カッターヘッド2の前面部に複数のローラーカッター3が装備された一般的な構造のものである。
【0027】
このトンネル掘削機1では、カッターヘッド2が複数のシールドジャッキにより前進駆動されると共に回転駆動機構により回動されて、前方の地山を掘削してトンネルを掘削していく。そして、このカッターヘッド2には、複数のローラーカッター3を夫々カッターヘッド2の後側から着脱可能に装備する為の複数のローラーカッター用カッターホルダ5(以下、カッターホルダ5という)が設けられている。
【0028】
ここで、カッターヘッド2は、例えば、ヘッド中央部2aと、このヘッド中央部2aから半径方向へ延びる複数のカッタースポーク2bと、これらカッタースポーク2bの外周端に連結された外周リング2cとを有し、これらに、複数のローラーカッター3がほぼ一様に、且つローラ軸3aを径方向に向けて取り付けられている。
【0029】
カッターヘッド2のうち各ローラーカッター3を取り付ける部分には、カッタースポーク2bの一部である1対の取付板部4が設けられている。1対の取付板部4は、ローラーカッター3のカッターリング3cの直径よりも大きな間隔を隔てて対面状に配設され、これら取付板部4にカッターホルダ5が設けられている(
図2参照)。
【0030】
次に、カッターホルダ5について説明する。
図2〜
図4に示すように、カッターホルダ5は、トンネル掘削機1の前端部のカッターヘッド2に装備されるローラーカッター3を回転可能に支持する為のものであり、ローラーカッター3を回転自在に支持するローラ軸3aの端部の1対の係合軸部3bを支持する1対のホルダー部材9と、各ホルダー部材9に夫々形成されたL形溝12と、各ホルダー部材9に設けられたロック部材13と楔機構14とを備えている。尚、以下の説明では、このカッターホルダ5は、カッターヘッド2の軸心と直交する平面部分(中心部分)に取り付けられたものを例にして説明する。
【0031】
次に、ホルダー部材9について説明する。
各カッターホルダ5において、1対のホルダー部材9は、カッターヘッド2に取り付けられ且つL形溝12が夫々形成された1対のホルダー本体10と、このホルダー本体10の前部に固定され且つ係合部21が夫々形成された1対の押え部材11とを備え、1対の取付板部4の間において取付板部4と直交するように且つローラーカッター3のハブ3dのローラ軸方向幅よりも僅かに大きな間隔を隔てて対面状に対称に配設されている。この1対のホルダー部材9に、ローラーカッター3の1対の係合軸部3bが、夫々着脱可能に固定されている。
【0032】
次に、ホルダー本体10について説明する。
各ホルダー本体10は、ローラーカッター3の係合軸部3bの長さの約1.5倍のカッターヘッドの径方向(ローラ軸方向)の厚さを有すると共に、径方向から視て略矩形の形状に形成されている。各ホルダー本体10の周回方向両端部が1対の取付板部4の内側面にブロック部材4aとボルト部材4b及び溶接等で固定されている。各ホルダー本体10の前端部は取付板部4よりも少し前方へ台形状に張り出し、ホルダー本体10で支持されるローラーカッター3は、ホルダー本体10よりも前方へ突出した状態になる。
【0033】
さらに、各ホルダー本体10のうち、
図2における内面側からローラーカッター3の係合軸部3bの長さと略同じ径方向の厚さ部分において、
図3における前部に前方開放状の嵌入凹部15と、この嵌入凹部15の後端に連なるL形溝12とが形成されている。L形溝12は、押え部材11に形成された係合部21の後方側端部
に連なる一端部分からローラーカッター3の周回方向と平行方向へ直線的に延び
且つ前記係合軸部3bの前後幅以上の前後幅を有する収容溝16と、この収容溝16の周回方向の
他端部分(
図3,
図4では上端側部分)から後方側へ延びホルダー本体10の後端側に開放した開放溝17
であって
前記係合軸部3bが前後方向に通過可能な開放溝17からなる。L形溝12の溝幅(開放溝17と収容溝16の溝幅)は、ローラーカッター3の係合軸部3bの
幅より僅かに大きく形成されている。開放溝17と収容溝16は同じ深さに形成されている。
【0034】
尚、カッターホルダ5には、ローラーカッター3の係合軸部3bを、ホルダー本体10のL形溝12の収容溝16内を移動させる際に、ローラーカッター3の収容溝16と平行方向(周回方向)への移動を許容する為のローラーカッター移動用スペース18を、1対のホルダー本体10の間であってローラーカッター3を取り出す際の移動方向側の取付板部4の近傍部に設けてある(
図2参照)。
【0035】
次に、押え部材11について説明する。
図2〜
図4に示すように、1対の押え部材11が、各ホルダー本体10の嵌入凹部15に着脱可能に夫々装着されている。各ホルダー本体10の後側から操作可能な1対のボルト19がボルト挿通孔10aに夫々挿通されて1対の押え部材11に螺合され、これら1対のボルト19によりホルダー本体10に押え部材11が夫々固定されている。各押え部材11の前端部は、ホルダー本体10の前端部の形状と一致するように取付板部4よりも少し前方へ台形状に張り出している。
【0036】
押え部材11は、その後端部に形成され且つローラーカッター3の係合軸部3bが後方から係脱可能な係合部21を有している。押え部材11が嵌入凹部15に固定されている状態で、押え部材11の係合部21の後端にL形溝12の収容溝16の前端側部分が連なった状態になる。ホルダー本体10に押え部材11が装着された状態では、押え部材11の後端面と嵌入凹部15の後端壁面との間に僅かな隙間11bが形成される。それ故、押え部材11の係合部21に係合された係合軸部3bを、ロック部材13に確実に当接して保持することができる。
【0037】
次に、ロック部材13について説明する。
図2〜4に示すように、ロック部材13は、L形溝12の深さと略同じローラ軸方向(径方向)の厚さを有し、ローラ軸方向から視て台形の形状に形成されている。ロック部材13は、収容溝16の周回方向の
一端部分(
図3,
図4では下端側部分)に収容されて係合軸部3bと収容溝16の
前記一端部分の後端壁面16aとの間に後方移動不能に挟着されている。ロック部材13は、係合軸部3bに後方から当接して、押え部材11の係合部21に係合軸部3bを保持する。
【0038】
ロック部材13の周回方向における長さは、開放溝17の周回方向の長さ(溝幅)より僅かに小さく形成されている。それ故、ロック部材13を開放溝17を通過させて収容溝16に着脱することができる。
ロック部材13の周回方向の一端面(
図3,
図4では上端面)には、前端側程楔機構14を挟んで対向する収容溝16の側壁面16bに接近するように傾斜した傾斜面13aが形成されている。この傾斜面13aの両端には、楔部材23側へ少し突出した突縁部13bが形成され、ロック部材13のローラーカッター3側への移動を規制している。
【0039】
次に、楔機構14について説明する。
図2〜
図4に示すように、楔機構14は、収容溝16内においてロック部材13をロック位置に締結する為のものであり、ロック部材13に形成された上述の傾斜面13aと、収容溝16内で傾斜面13aと収容溝16の側壁面16bとの間に嵌合される楔部材23と、この楔部材23を押え部材11に接近する方向(ロック部材13をロック位置に締結する締結方向)へ駆動可能なボルト部材24とを有している。
【0040】
楔部材23は、L形溝12の深さと略同じローラ軸方向(径方向)の厚さを有し、ローラ軸方向から視て台形の形状に形成されている。楔部材23の周回方向における長さは、開放溝17の周回方向の長さ(溝幅)より僅かに小さく形成され、それ故、楔部材23を開放溝17を通過させて、収容溝16内でロック部材13の傾斜面13aと収容溝16の側壁面16bとの間に嵌合することができる。
【0041】
楔部材23のロック部材13の傾斜面13aに対向する側面には、傾斜面13aと同方向へ傾斜したテーパ部23aが形成されている。このテーパ部23aには係合凸部23bが形成され、この係合凸部23bがロック部材13の傾斜面13aに当接されている。係合凸部23bと突縁部13bにより、楔部材23の径方向(ローラ軸方向)への移動を規制することができる。楔部材23には、前後方向に延びるボルト挿通孔23cが形成されている。
【0042】
この楔機構14によれば、ロック部材13と楔部材23とが収容溝16に収容された状態で、楔部材23のボルト挿通孔23cに後方からボルト部材24が挿通され、先端部が押え部材11のボルト孔に螺合されて、このボルト部材24により楔部材23を押え部材11に接近する方向へ挿入すると、ロック部材13の傾斜面13aと楔部材23のテーパ部23aとの楔作用により、楔部材23とロック部材13とが収容溝16の側壁面16b,16cの間に押圧され嵌入されて固定状態となり、ロック部材13をロック位置に締結することができる。
【0043】
次に、本発明のカッターホルダ5の作用及び効果について説明する。
トンネルを掘削可能な使用状態では、ローラーカッター3の係合軸部3bが、ホルダー本体10に固定された押え部材11の係合部21に係合され、ロック部材13がホルダー本体10の収容溝16の開放溝側とは反対側部分に装着され、楔部材23が収容溝16の開放溝側部分であってロック部材13の傾斜面13aと収容溝16の側壁面16bとの間に嵌合されている。このとき、楔機構14においては、ロック部材13の傾斜面13aと楔部材23のテーパ部23aが係合され、楔部材23がボルト部材24で押え部材11に締結されて固定されている 。
【0044】
こうして、ロック部材13が、係合軸部3bと収容溝16の後端壁面16aとの間に挟着されるので、前後方向への移動が規制され、楔部材23がボルト部材24により締結されることで、ロック部材13の傾斜面13aと楔部材23のテーパ部23aとの間に楔作用を奏する。このため、楔部材23とロック部材13とが収容溝16の側壁面16b,16cの間に押圧され嵌入されて固定状態となり、ロック部材13をロック位置に締結し、ロック部材13により係合軸部3bが係合部21に保持されるので、ローラーカッター3の掘削反力は、ロック部材13を介してホルダー本体10で受け止められ、楔機構14には作用しない。
【0045】
ローラーカッター3を交換する場合には、カッターヘッド1の後方からボルト部材24と1対のボルト19を弛めて、ボルト部材24と楔部材23とを開放溝17から後方へ取り外してから、ロック部材13を収容溝16と開放溝17とを通過させて後側へ取り外す。この場合、L形溝12の開放溝17は、後方開放状に形成されているため、楔部材23とロック部材13とを、ローラーカッター3と干渉することなく後方へ取り外すことができ、また、ロック部材13の傾斜面13aに楔部材23のテーパ部23aを係合させているため、傾斜面13aと側壁面16bとの間から楔部材23を後方へ容易に取り外すことができる。
【0046】
その後、ローラーカッター3の係合軸部3bを収容溝16と開放溝17とを通過させて後側へ取り外すことで、ローラーカッター3をホルダー本体10の後方へ取り外すことができる(
図4参照)。このとき、ローラーカッター移動用スペース18が設けられているので、ローラーカッター3が取付板部4に干渉することなく取り外すことができる。
【0047】
次に、新たなローラーカッター3の係合軸部3bをL形溝12を通過させて、ローラーカッター3を前側へ移動させ、係合軸部3bを係合部21に係合させる。その後、前記と逆の手順で、ロック部材13をL形溝12の収容溝16の開放溝側とは反対側部分(係合軸部側部分)に後方から装着し、楔部材23を収容溝16の開放溝側部分に後方から装着する。この場合、ロック部材13の傾斜面13aと楔部材23のテーパ部23aにより、楔部材23を傾斜面13aと側壁面16bとの間に簡単に挿入することができる。
【0048】
そして、1対のボルト19を締めて押え部材11を後方に引き寄せて、押え部材11をホルダー本体10に固定し、ボルト部材24を締めて楔部材23を押え部材11に締結してロック部材13をロック位置に締結することで、ローラーカッター3の係合軸部3bを最終的に固定して、ローラーカッター3の交換作業が完了する。
【0049】
このように、ローラーカッター3の掘削反力を、楔機構14に作用させずに、ロック部材13を介してホルダー本体10で受け止めることができ、楔機構14におけるボルト部材24が緩むことがない。そのため、ローラーカッター3の抜け落ちを防止することができる。この結果、従来のものと比較して同等の強度を確保できる上、簡単な構造のカッターホルダ5を提供することができる。
【0050】
ローラーカッター3とカッターホルダ5との間に土砂が噛み込んでしまい、ローラーカッター3が回動不能な状態であっても、ローラーカッター3の1対の係合軸部3bを回動させずに取り外し可能なので、交換に支障をきたすことがない。しかも、カッターホルダ5の構造を簡単化することもできる。
【0051】
ローラーカッター3の交換作業が簡単化し、交換作業の時間を著しく短縮することができ、特に、非常に固い地盤(硬岩部)を掘削する場合、また、長距離のトンネルを連続的に掘削する場合でも、トンネル掘削工期を短縮することが可能になる。さらに、押え部材11と楔機構14による協働によりローラーカッター3をホルダー部材9に支持する構成なので、トンネル掘削時の振動による各種固定ボルトの緩みを防止することが期待できる。
【0052】
楔部材23がボルト部材24によりロック部材13をロック位置に締結する締結方向へ駆動されることで、楔部材23とロック部材13の傾斜面13aとの楔作用により、楔部材23とロック部材13を収容溝16に押圧して、楔部材23とロック部材13をホルダー部材9に確実に一体化させることができる。また、楔部材23は、収容溝16内で傾斜面13aと収容溝16の側壁面16bとの間に嵌合されるので、楔部材23を容易に後方へ取り外すことができる。楔部材23はローラーカッター3の掘削反力を直接受けないので、ボルト部材24の外れ止めを防止することができる。
【0053】
押え部材11は、ホルダー本体10の後側から操作可能な1対のボルト19によりホルダー本体10に固定されたので、カッターヘッド2の後側から1対のボルト19を操作して、押え部材11をホルダー本体10に固定することで、ローラーカッター3の係合軸部3bをホルダー本体10の前部に確実に固定することができる。
【0054】
係合軸部3bを収容溝16内を移動させる際に、ローラーカッター3の収容溝16と平行方向への移動を許容する為のローラーカッター移動用スペース18を設けたので、ローラーカッター3を他の部材と干渉させることなくスムーズに移動させて交換することができる。
【実施例2】
【0055】
次に、実施例1のカッターホルダ5を部分的に変更した変更形態について説明するが、実施例1と同様の構成には同様の参照符号を付して説明は省略する。
図5,
図6に示すように、カッターホルダ5Aは、1対のホルダー部材9Aと、各ホルダー部材9Aに夫々形成されたL形溝12Aと、各ホルダー部材9Aに設けられたロック部材13A及び楔機構14Aとを備えている。
【0056】
1対のホルダー部材9Aは、L形溝12Aが夫々形成された1対のホルダー本体10Aと、各ホルダー本体10Aの前部にボルト19Aを介して固定された1対の押え部材11とを備えているが、L形溝12Aの形状が実施例1のものと異なる以外は、ホルダー本体10Aと押え部材11は実施例1と基本的に同じ構造であるので、以下の説明では、L型溝12Aについてのみ説明する。
【0057】
次に、L形溝12Aについて説明する。
図6に示すように、L形溝12Aは、実施例1の収容溝16より周回方向に長く形成された収容溝16Aと、この収容溝16Aの周回方向の
他端部分(
図6では上端側部分)から後方側へ延びホルダー本体10Aの後端側に開放した実施例1の開放溝17より幅広の開放溝17Aからなる。収容溝16Aは、嵌入凹部15の周回方向における長さの1/2〜2/3倍程度の長さを有し、押え部材11がホルダー本体10Aに固定されている状態では、係合部21の後端は収容溝16Aの前端側の途中部分に連なった状態になる。
【0058】
次に、ロック部材13Aについて説明する。
図5,
図6に示すように、ロック部材13Aは、L形溝12Aの深さと略同じローラ軸方向(径方向)の厚さを有し、ローラ軸方向及び前方から視て細長い台形の形状に形成されている。ロック部材13Aは、収容溝16Aに収容されて係合軸部3bと収容溝16Aの
一端部分の後端壁面16Aaとの間に後方移動不能に挟着され、係合軸部3bに後方から当接して、押え部材11の係合部21に係合軸部3bを保持する。
【0059】
ロック部材13Aの長手方向(周回方向)における長さは、開放溝17Aの周回方向の長さ(溝幅)より僅かに小さく形成されている。それ故、ロック部材13Aを
図6に示す姿勢のままでも開放溝17Aを通過させて収容溝16Aに着脱することができる。
【0060】
ロック部材13Aの周回方向の一端面(
図6では上端面)には、傾斜面13Aaが形成されている。この傾斜面13Aaは、前端側程楔機構14Aを挟んで対向する収容溝16Aの側壁面16Abに接近するように傾斜し(
図6参照)、且つ、ローラーカッター3側程楔機構14Aを挟んで対向する収容溝16Aの側壁面16Abに接近するように傾斜している(
図5参照)。
【0061】
ロック部材13Aの周回方向の他端面(
図6における下端面)には、収容溝16Aの側壁面16Acに当接する平坦面13Acが形成され、この平坦面13Acを挟んで後側には径方向に延びる傾斜面13Adが形成され、反対側の前側には緩やかにカーブした湾曲面13Aeが形成されている。
【0062】
このロック部材13Aによれば、ロック部材13Aを収容溝16Aに挿入する場合、ロック部材13Aを収容溝16Aに対して直交する姿勢で開放溝17Aに挿入しても、湾曲面13Aeにより押え部材11や係合軸部3bに引っかかることなく、ロック部材13AをL形溝12A内でスムーズに方向変換して収容溝16Aに挿入することができ、依って、ロック部材13Aの取り付け作業がスムーズになる。
【0063】
また、ロック部材13Aの締結を解除する場合、楔部材23Aを取り外した後に、ホルダー本体10Aのネジ孔32に後方からボルト31を螺入し、このボルト31の先端部でロック部材13Aの傾斜面13Adを押圧すると、ロック部材13Aが締結解除側(
図6における上側)に押圧されて移動させることができ、依って、ロック部材13Aを収容溝16Aから容易に取り外し可能となる。
【0064】
次に、楔機構14Aについて説明する。
図5,
図6に示すように、楔機構14Aは、収容溝16A内においてロック部材13Aをロック位置に締結する為のものであり、ロック部材13Aに形成された上述の傾斜面13Aaと、収容溝16A内で傾斜面13Aaと収容溝16Aの側壁面16Abとの間に前側部分が嵌合される楔部材23Aと、この楔部材23Aを押え部材11に接近する方向(ロック部材13Aをロック位置に締結する締結方向)へ駆動可能な1対のボルト部材24Aとを有している。
【0065】
楔部材23Aは、L形溝12の深さと略同じローラ軸方向(径方向)の厚さを有し、ローラ軸方向から視て凸状の形状に形成されている。楔部材23Aの鍔部23Abを除く部分の周回方向における長さは、開放溝17Aの周回方向の長さより僅かに小さく形成されている。それ故、楔部材23Aを開放溝17aに挿入して、その前側部分を収容溝16a内でロック部材13Aの傾斜面13Aaと収容溝16Aの側壁面16Abとの間に嵌合することができる。
【0066】
テーパ部23Aaは、楔部材23Aのロック部材13Aの傾斜面13Aaに対向する前側部分の側面に形成され、傾斜面13Aaと同方向へ傾斜している。楔部材23Aの後端部には、周回方向に突出した鍔部23Abが形成されている。この鍔部23Abの両端部には1対のボルト挿通孔23Acが形成されている。
【0067】
この楔機構14Aによれば、ロック部材13Aと楔部材23Aとが収容溝16Aに収容された状態で、楔部材23Aの1対のボルト挿通孔23Acに後方から1対のボルト部材24Aが挿通され、先端部がホルダー本体10Aの1対のボルト孔に夫々螺合されて、この1対のボルト部材24Aにより楔部材23Aを押え部材11Aに接近する方向へ挿入する。
【0068】
すると、ロック部材13Aの傾斜面13Aaと楔部材23Aのテーパ部23Aaとの楔作用により、楔部材23Aとロック部材13Aとが収容溝16Aの側壁面16Ab,16Acの間に押圧され嵌入されて固定状態となる。また、このとき、ロック部材13Aは僅かにローラーカッター3側に移動して固定されるので、ロック部材13Aのガタツキを押さえた状態でロック位置に締結することができる。その他の作用及び構成は実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0069】
次に、前記実施例1,2を部分的に変更した形態について説明する。
[1]
図7に示すように、カッターホルダ5Bの各ホルダー部材9Bのように、前記ホルダー本体10,10Aと前記押え部材11とを一体的に構成しても良い。この構成よると、押え部材11を省略することで、カッターホルダ5Bの構成部材数を低減することができ、カッターホルダ5Bを容易に組み立てることができる。
【0070】
[2]前記1対の押え部材11の前面部分に対して、溶接ビードで肉盛りしたハード・フェーシングを形成しても良い。
【0071】
[3]前記ボルト挿通孔23cを、ボルト部材24よりも大径のボルト孔に形成しても良い。この構成によると、楔部材23を取り外す際にボルト部材24を取り外した後に、楔部材23が収容溝16に強固に固定されている場合であっても、前記ボルト孔に対応するボルトを締結して、このボルトを介して楔部材23を後方へ引き抜くことで、楔部材23を収容溝16から容易に取り外し可能となる。
【0072】
[4]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。