【実施例】
【0019】
図面を参照して、実施例である実装機10について説明する。実装機10は、回路基板に電子部品を実装(装着)する装置である。実装機10は、表面実装機又はチップマウンタとも称される。
図1、
図2、
図3に示すように、実装機10は、第1モジュール20aと、第2モジュール20bと、第3モジュール20cと、第4モジュール20dを有している。これらのモジュール20a−20dは、一方向に並んで配列されている。
【0020】
本明細書では、便宜上、複数のモジュール20a−20dの並び方向を左右方向とし、それに垂直な水平方向を前後方向とし、それらの両方向に垂直である鉛直方向を上下方向とする。
【0021】
第1−第3モジュール20a−20cは、一又は複数の電子部品を回路基板に実装(装着)する装着モジュールである。第4モジュール20dは、回路基板に対して検査を実行する検査モジュールである。なお、各々のモジュール20a−20dは、共通の構造を有しており、装着モジュールと検査モジュールのいずれにも変更可能となっている。
【0022】
各々のモジュール20a−20dは、基板搬送コンベア30を備えている。基板搬送コンベア30は、回路基板を搬送するベルトコンベアである。各々のモジュール20a−20dの基板搬送コンベア30は、隣接する他のモジュール20a−20dの基板搬送コンベア30と一連に配設されている。基板搬送コンベア30の搬送方向は、左右方向であって、第1モジュール20aから第4モジュール20dに向かう。回路基板は、基板搬送コンベア30により、複数のモジュール20a−20dに亘って順に搬送される。基板搬送コンベア30の具体的な構成については、公知の構造を適宜採用することができ、特に限定されない。一例ではあるが、本実施例では、各々のモジュール20a−20dが二つの基板搬送コンベア30を有しており、回路基板を搬送する二つのレーンが構成されている。
【0023】
各々のモジュール20a−20dは、可動ヘッド32a−32dを備えている。可動ヘッド32a−32dは、移動機構34によって支持されており、三次元方向に移動可能となっている。ここで、第1−第3モジュール20a−20cの可動ヘッド32a−32cは、回路基板に対して電子部品の実装を行う実装ヘッドとなっている。これらの実装ヘッドは、電子部品の供給装置40、60から電子部品を受け取り、当該電子部品を基板搬送コンベア30上の回路基板に搬送して実装する。一例ではあるが、本実施例の実装ヘッドは、負圧によって電子部品を保持する吸着型のヘッドである。一方、第4モジュール20dの可動ヘッド32dは、回路基板に対して検査を実行する検査ヘッドとなっている。検査ヘッドは、一例ではあるが、カメラを有しており、基板搬送コンベア30上の回路基板を撮影する。なお、各々の可動ヘッド32a−32dは、必要な機器を取り換えることによって、実装ヘッドと検査ヘッドのいずれにも変更することができる。一例ではあるが、本実施例では、各々のモジュール20a−20dが、二つの基板搬送コンベア30に対応して、二つの可動ヘッドを有している(一方の可動ヘッドは図示が省略されている)。
【0024】
各々のモジュール20a−20dの前部22a−22dは、電子部品の供給部となっており、電子部品を供給するトレイ式供給装置40及び/又はテープ式供給装置60を取付可能となっている。
図1−
図3では、第1、第2モジュール20a、20bに複数のテープ式供給装置60が取り付けられており、第4モジュール20dにトレイ式供給装置40が取り付けられている。なお、第4モジュール20dは検査モジュールであって、部品の供給を必要としないモジュールである。詳しくは後述するが、第4モジュール20dに取り付けられたトレイ式供給装置40は、隣接する第3モジュール20cに電子部品を供給する。
【0025】
図4は、トレイ式供給装置40を単体で示している。
図4に示すように、トレイ式供給装置40は、複数のトレイ42と、複数のトレイ42を収容するトレイマガジン44を備えている。トレイマガジン44は、ハウジング45の内部に収容されている。さらに、トレイ式供給装置40は、トレイマガジン44に対してトレイ42を出し入れするトレイ搬送装置46と、ハウジング45内でトレイマガジン44を昇降させる昇降機構48を備えている。トレイ搬送装置46は、トレイマガジン44に対して進退可能となっている。また、トレイ搬送装置46は、クランプ47を有しており、トレイ42が載置されたパレット43を把持することができる。トレイ搬送装置46は、トレイマガジン44内へ移動し、パレット43を把持した後に、トレイマガジン44から退出することによって、トレイマガジン44からトレイ42を取り出す。取り出すべきトレイ42の選択は、昇降機構48によるトレイマガジン44の昇降によって行われる。
【0026】
先に説明したように、第3モジュール20cに電子部品を供給するトレイ式供給装置40は、隣接する第4モジュール20dに取り付けられている。詳しくは、
図1−
図3及び
図5に示すように、トレイ式供給装置40は、トレイマガジン44が第4モジュール20d内に位置し、トレイマガジン44から取り出されたトレイ42が第3モジュール20c内に位置するように、配置される。第4モジュール20dは、検査モジュールであり、電子部品の供給を行う必要がないので、通常、その前部22d(部品供給部)は空きスペースとなる。即ち、電子部品の供給装置40、60を取り付ける必要はない。本実施例では、その空きスペースを利用して、トレイ式供給装置40が配置されている。このような構成によると、トレイ式供給装置40が実装機10の前方に突出せず、作業者の邪魔となることがない。また、実装機10の設置に必要な面積(占有面積)も削減でき、実装機10の面積生産性を向上させることができる。
【0027】
図5に示すように、第4モジュール20dでは、トレイマガジン44が、可動ヘッド32d(検査ヘッド)の可動範囲に隣接するように配置される。このとき、トレイマガジン44を含むトレイ式供給装置40の存在が、可動ヘッド32dによる検査において障害となることはない。検査ヘッドである可動ヘッド32dは、検査対象である回路基板50が載置される基板搬送コンベア30上を自由に移動できれば足りる。一方、第3モジュール20cでは、トレイマガジン44から取り出されたトレイ42の少なくとも一部が、可動ヘッド32c(実装ヘッド)の可動範囲内に位置する。従って、可動ヘッド32cは、トレイ42から電子部品を取り上げ、基板搬送コンベア30上の回路基板50へ搬送して、実装することができる。
【0028】
本実施例では、トレイ式供給装置40が左右方向に沿って配置されている。即ち、トレイマガジン44に対してトレイ42を出し入れする方向が、左右方向を向いており、基板搬送コンベア30の搬送方向に対して平行になっている。このような構成であると、トレイ式供給装置40の周囲に無用なスペースが生じず、トレイ式供給装置40が実装機10から突出することを効果的に抑制することができる。
【0029】
図6に示すように、第3モジュール20cには、一又は複数のテープ式供給装置60を付加的に取り付けることもできる。この場合、トレイマガジン44から取り出されたトレイ42が、一又は複数のテープ式供給装置60の上方に位置するとよい。このような構成によると、テープ式供給装置60の上方に存在する空きスペースを有効に活用することができる。
【0030】
図7に示すように、トレイ式供給装置40は、第4モジュール20dに代えて、第3モジュール20cへ直接的に取り付けることもできる。このとき、トレイマガジン44に対してトレイ42を出し入れする方向は、前後方向を向くことになり、基板搬送コンベア30の搬送方向に対して垂直となる。なお、第4モジュール20dを装着モジュールに変更した場合には、第4モジュール20dへ電子部品を供給するトレイ式供給装置40を、第4モジュール20dに直接的に取り付けることができる。
【0031】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0032】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。